JPH09331677A - 多出力スイッチング電源装置とそれに用いるチョークコイル - Google Patents
多出力スイッチング電源装置とそれに用いるチョークコイルInfo
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Abstract
た多出力スイッチング電源装置の電力損失を低減して電
力効率を向上する。 【解決手段】 多出力スイッチング電源装置であるDC
−DCコンバータ3の、各2次整流平滑回路21〜23
にそれぞれ設けたチョークコイルCH1〜CH3を、互
いにコアを共有する協調チョークコイル7とすると共
に、その協調チョークコイル7の磁気特性を負荷電流が
小さい時にはインダクタンスが大きく、負荷電流が大き
い時にはインダクタンスが小さくなる電流依存性の磁気
特性とする。したがって、共通コアが小型軽量化すると
共に、無負荷時にも電流カットオフを生ずることなくダ
ミー電流を少なくして電力損失を低減し、電力効率を向
上させる。
Description
ング電源装置とその複数の2次整流平滑回路にそれぞれ
用いる各チョークコイルに関し、特に互いに磁心を共有
すると共に、負荷電流が大きくなった時にそのインダク
タンスが小さくなる電流依存性の磁気特性を有するチョ
ークコイルを用いた多出力スイッチング電源装置に関す
る。
容量に比べて安価で小型軽量であり、電力変換効率が高
いため電力損失とそれに伴う発熱が少なく、複数の互い
に独立した直流電力が得られると共に定電圧制御機能も
備えている多出力スイッチング電源装置が広く用いられ
ている。
源装置は、例えば図23に示すように、交流電源1から
入力する1次交流電力をダイオードブリッジ4と大容量
のコンデンサC1とからなる1次整流平滑回路2によっ
て1次直流電力に変換する。トランス6,トランジスタ
Q,スイッチング制御回路5及び3個の2次整流平滑回
路20a〜20cからなる多出力スイッチング電源装置
であるDC−DCコンバータ3aは、1次直流電力を入
力して、互いに独立した3個の2次直流電力をそれぞれ
一対の出力端子8p,8nから出力する。
路の、例えば2次整流平滑回路20cのチョークコイル
CHcは、トランジスタQがオンの時に2次巻線N23
に誘起される2次交流電力の整流ダイオードDs3を介
して流れるコンデンサC23の充電電流によって励起さ
れ、トランジスタQがオフの時に励起によって蓄積した
磁気エネルギを電流に再変換し、転流ダイオードDt3
を介してコンデンサC23をさらに充電する。
も常に電流が流れていれば、2次整流平滑回路20cの
出力電圧は、トランジスタQオン時の入力電圧(2次巻
線N23の端子間電圧)とトランジスタQのオンデュー
ティ比との積になる関係が成立する(2次整流平滑回路
20a,20bも同様)から、その出力電圧をスイッチ
ング制御回路5にフィードバックして、出力電圧が予め
設定した電圧になるように制御することが出来る。
流が流れない不連続状態、すなわち電流カットオフが生
じると出力電圧が上昇するから、トランジスタQのオン
デューティ比が瞬間的にゼロになってスイッチングが停
止し、そのため出力電圧が低下すると再びスイッチング
が始まるという間欠発振が発生する。間欠発振が始まる
と、その周波数は可聴周波数域内に入ることが多いから
不快なノイズ音が出るようになると共に、その間欠発振
の周波数ですべての2次整流平滑回路20a〜20cの
出力電圧が変動し不安定になる。
滑回路20a又は20bでは、そのチョークコイルCH
a又はCHbに電流カットオフが生じると、間欠発振は
発生しないが、その2次整流平滑回路の出力電圧が上昇
するという問題が発生する。したがって、すべての2次
整流平滑回路20a〜20cのコンデンサC21〜C2
3にそれぞれ並列にダミー抵抗Rd1〜Rd3を接続し
て、いずれの2次整流平滑回路の負荷電流がゼロになっ
ても、そのチョークコイルの電流がカットオフしないだ
けのダミー電流を常時流す必要があった。
ンダクタンスとそれに流れる電流のリップル分との積は
一定すなわち反比例する関係にある。また、無負荷時に
もチョークコイルに流れる電流がカットオフしない臨界
値は、電流のリップル分のp−p値の略1/2であり、
ダミー電流はその臨界値より大きく設定しなければなら
ない。したがって、チョークコイルのインダクタンスが
大きければダミー電流は少なくて済むが、インダクタン
スが小さいとダミー電流が大きくなるから、それによる
電力損失とそれに伴う発熱とが無視出来なくなる。
大きく設定すると、2次整流平滑回路の出力電流に対し
てチョークコイルのサイズ,重量が大きくなる。この傾
向は、2次整流平滑回路20a〜20cすべてについて
同様であるから、最大出力電流が大きく、出力数(2次
整流平滑回路の数)が多いスイッチング電源装置であれ
ば、サイズ及び重量の増大とそのコストアップが大きな
問題となっていた。
立したチョークコイルCHa〜CHcにおいては、(詳
しくは後述するが、)図20に示すI型コア16と、巻
線が巻き付けられた巻線枠を装着する中央脚17aを有
するE型コア17とで通常の磁気回路が構成されるが、
その磁気回路の一部である中央脚17aの上面に段差を
設けて、電流が小さい間はインダクタンスが大きく、電
流が大きくなるとインダクタンスが小さくなる磁気特性
を形成し、ダミー電流を減少させると共に、コアを小型
軽量化したものがあった。
報の第3図に従来例として示されたように、それぞれコ
ンデンサ21,22を備えた2個の2次整流平滑回路の
各チョークコイルn1,n2を、互いに磁心(コア)を
共有する協調チョークコイル19で構成する例があっ
た。
のように、それぞれコンデンサ10〜12を備えた3個
の2次整流平滑回路の各チョークコイルを協調チョーク
コイル9で構成すると共に、フィードバック系以外の2
次整流平滑回路の各チョークコイルに直列にインダクタ
7,8を設け、協調チョークコイル9を構成する各チョ
ークコイルの巻数が回路常数により決定される特別の巻
数比を満足出来なかった場合に、それによるトラブルを
防止するという提案もあった。
と、巻線の巻数比を上記の特別な巻数比とすることによ
り、いずれかの2次整流平滑回路の出力電圧が一定電圧
になるように制御されていれば、トランスのクロスレギ
ュレーションによって他の2次整流平滑回路の出力電圧
も略一定に保持される。また、協調チョークコイルのい
ずれかの巻線に臨界値以上の電流が流れていれば、電流
カットオフが生じないため、軽負荷時の出力電圧の異常
な上昇を防止出来るから、互いに独立したチョークコイ
ルを用いた場合に比べて、コア全体が小型軽量になり、
ダミー電流による電力損失を低減することが可能にな
る。
ジスタQのスイッチング周波数は、トランス及びチョー
クコイルを小型化するために100kHz以上の高周波
域にあり、近年ますます周波数を高くする傾向にあるた
め、チョークコイルの巻数は数ターン程度と少なくなっ
ている。基本的に巻数は1/2ターンの整数倍であり、
1/2ターン未満の端数に設定することは出来ない。そ
のため、実際の設計に当って、必要なインダクタンスで
且つ特別な巻数比を満足する巻数を得ることが困難にな
る。
ークコイルの巻線間でエネルギの授受が行なわれたり、
希望の出力電圧が得られなくなったり、軽負荷時の出力
電圧上昇や不要な発振の発生等のトラブルが生じる。こ
の問題に対して、特公平7−50990号公報に示され
た提案は極めて有効な解決手段であるが、出力数より1
個少ない数のインダクタを追加することによって、多出
力スイッチング電源装置の大型化及びコストアップを招
くという問題があった。
よって、互いに独立した複数のチョークコイルに比べ
て、コアが小型軽量化したことは確かであるが、大電力
の多出力スイッチング電源装置においては、協調チョー
クコイルといえども大型のコアを必要とし、それに伴っ
て巻かれる巻線も太く長いものになるため、その重量と
共に銅損,鉄損による電力損失や発熱が大きな問題にな
ってくる。
であり、多出力スイッチング電源装置に用いられる協調
チョークコイルをさらに小型軽量化すると共に、電力損
失を低減して発熱を抑え、その電力効率を向上すること
を目的とする。
達成するため、1次直流電力をトランスの1次巻線とス
イッチング素子との直列回路に入力し、スイッチング素
子をスイッチングすることによりトランスの複数の2次
巻線に誘起される2次交流電力を、それぞれチョークコ
イルを備えた複数の2次整流平滑回路により2次直流電
力に交換して出力する多出力スイッチング電源装置にお
いて、複数の2次整流平滑回路の各チョークコイルは互
いに磁心を共有すると共に、負荷電流が小さい時にはそ
のインダクタンスが大きく負荷電流が大きい時にはイン
ダクタンスが小さくなる磁気特性にしたものである。
に用いる互いに磁心を共有するチョークコイルであっ
て、チョークコイルの共有する磁心が形成する磁気回路
の一部にギャップを設けたものである。
を、その厚さ方向に互いに材質の異なる複数の磁心を重
ねて構成したものである。さらに、チョークコイルの重
ねて構成した磁心が形成する磁気回路の一部にギャップ
を設けるとなおよい。
気回路の断面の一部に段差を設けて構成するとよい。ま
た、ギャップを磁気回路の断面の全部又はその一部を斜
面に形成することにより構成してもよい。あるいは、ギ
ャップを磁気回路の断面の全部又はその一部を斜面及び
段差で形成することにより構成してもよい。
面を参照しながら具体的に説明する。図1は、この発明
の一実施形態である多出力スイッチング電源装置の構成
の一例を示す回路図である。図1に示した多出力スイッ
チング電源装置であるDC−DCコンバータ3は、ダイ
オードブリッジ4と大容量のコンデンサC1とからなる
1次整流平滑回路2が交流電源1から入力する交流電力
を変換した1次直流電力を入力し、3個の互いに独立し
た(2次)直流電力をそれぞれの正負の出力端子8p,
8nから出力する。
線N21,N22,N23を有する高周波用フォーワー
ド型のトランス6と、トランス6の1次巻線N1と直列
に接続されたスイッチング素子であるトランジスタ(F
ETでもよい)Qと、2次巻線N21〜N23にそれぞ
れ接続された各一対の出力端子8p,8nを有する2次
整流平滑回路21,22,23と、2次整流平滑回路2
3の出力電圧を検出してその検出電圧に応じたパルス幅
のスイッチングパルスをトランジスタQのベースに出力
するスイッチング制御回路(SWC)5とにより構成さ
れている。
Qとの直列回路の両端には、1次整流平滑回路2により
変換された1次直流電力が入力し、トランジスタQがス
イッチング制御回路5から入力するスイッチングパルス
に応じてスイッチングすることにより、1次巻線N1に
流れる電流がオン・オフし、そのオン・オフによって2
次巻線N21〜N23にそれぞれ2次交流電力が誘起さ
れる。
成,作用が同様であるから、例えばフィードバック系で
ある2次整流平滑回路23について説明すると、トラン
ジスタQがオンの時に2次巻線N23に起電力が誘起さ
れると、電流は整流ダイオードDs3を介して流れ、平
滑用大容量のコンデンサC23を充電すると共に、チョ
ークコイルCH3を励起して磁気エネルギを蓄積させ
る。
N23の起電力の極性が反転し、整流ダイオードDs3
に電流が流れなくなる。一方、チョークコイルCH3の
極性も反転し、蓄積された磁気エネルギは電流に再変換
されて転流ダイオードDt3を流れ、同様にコンデンサ
C23を充電する。コンデンサC23に並列に接続され
たダミー抵抗Rd3には、その抵抗値とコンデンサC2
3の端子間電圧とに応じたダミー電流が流れている。
23の端子間電圧すなわち2次整流平滑回路23の出力
電圧を検出して、その検出電圧が予め設定した設定電圧
より低ければ、スイッチングパルスのオンの幅を拡げ
る、即ちオンデューティ比を上げて出力電圧を高くす
る。検出電圧が設定電圧より高ければパルスオンの幅を
狹くする、即ちオンデューティ比を下げて出力電圧を低
くする。このようにして、2次整流平滑回路23の出力
電圧は、設定電圧を保持するようにフィードバック制御
されている。
及び作用の説明は、DC−DCコンバータ3a(図2
3)と変るところがないが、DC−DCコンバータ3a
のチョークコイルCHa〜CHcが互いに独立であった
のに対して、DC−DCコンバータ3のチョークコイル
CH1〜CH3は互いにコア(磁心)を共有する協調チ
ョークコイル7であることにより、作用及び効果が異な
ってくる。
ークコイルを用いたことにより、トランス6のクロスレ
ギュレーションによって、それぞれフィードバック系で
ない2次整流平滑回路21,22の出力電圧が、2次整
流平滑回路20a,20bの出力電圧に比べて、電圧変
動がより少なくなって安定化すると共に、コア全体がよ
り小型軽量化し、コストも安くなる。この点について
は、従来の協調チョークコイルを用いた多出力スイッチ
ング電源装置及び特公平7−50990号公報に示され
た提案も、同様な効果が得られている。
ッチング電源装置に用いる協調チョークコイル7が、従
来の協調チョークコイルと大きく異なる特徴は、従来の
独立したチョークコイルにおいて行なわれていながら、
協調チョークコイルにおいてはその例がなかった「負荷
電流が小さい時にはそのインダクタンスが大きく、負荷
電流が大きい時にはインダクタンスが小さくなる磁気特
性」を有していることである。
もたせることにより、独立したチョークコイルと同様
に、そのコアを小型軽量化してコストを下げると共に、
ダミー電流を減少して電力損失を低減し、電力効率を向
上させることが出来るが、協調チョークコイル7の場合
は独立したチョークコイルよりも更にダミー電流を少な
くすることが出来るという効果がある。以下、その理由
を各実施形態と共に説明する。
ンダクタンスを有する従来のチョークコイルに用いるコ
アの構成の一例を示す斜視図である。また、チョークコ
イルに流れるダミー電流Idと負荷電流Ifを合わせた
電流をチョーク電流Ichとして、図20に示したコア
を用いたチョークコイルにおいて、図21はチョーク電
流Ichに対するインダクタンスLの特性(以下「I−
L特性」という)を示す線図であり、図22は無負荷時
及び負荷時のそれぞれチョーク電流Ichの一例を示す
波形図である。
I型コア16と、実線で示したE型コア17との組み合
せで構成され、E型コア17の中央脚17aに、それぞ
れ図示しない巻線を巻き付けた巻線枠が挿し込まれた
後、I型コア16と一体に構成される。E型コア17の
中央脚17aとその両側脚17b,17cは、互いに同
じ高さでその上端面は同一平面上にあるから、I型コア
16との間にはギャップが存在しない。
ョークコイルのI−L特性は、図21に示したように、
インダクタンスLは電流に無関係に一定の値を有し、チ
ョーク電流Ichが或る値を超えてコアが磁気飽和状態
になる(以下単に「飽和する」という)と、インダクタ
ンスLは急激に低下する。この場合のチョーク電流波形
は、図22に示したように、無負荷時にはインダクタン
スLに応じた臨界値に相当するダミー電流Idのみが流
れ、負荷時には負荷電流Ifとダミー電流Idとの和の
電流が流れるが、そのリップル分(p−p値)は、イン
ダクタンスLが一定であるから、変化しない。
面を、両側脚17b,17cの上側面より僅かに低くし
て、全面平行ギャップを設けたコアもある。その全面平
行ギャップを有するコアを用いたチョークコイルもイン
ダクタンスL一定であるが、そのI−L特性は図21に
示したI−L特性に比べて、インダクタンスLが低下す
る代りに、コアが飽和するチョーク電流Ichが大きく
なるから、大電流の回路においてコアを小型化する目的
や、オーディオ回路においてコアの飽和による歪の発生
を抑制する目的に用いられる場合が多い。
クコイルのI−L特性を負荷電流Ifが小さい時にはそ
のインダクタンスLが大きく、負荷電流Ifが大きい時
にはインダクタンスLが小さくなるようにするためのも
のである。したがって、上記のようにインダクタンスL
が一定でチョーク電流Ichを大きくする目的の全面平
行ギャップは含まない。
タ3の各2次整流平滑回路21〜23のチョークコイル
CH1,CH2,CH3からなる協調チョークコイル7
に用いるギャップを設けた(以下同様にI型コアを省略
して示す)共通コアの第1実施形態であるE型コアの構
成の一例を示す斜視図である。図3は、図2に示したE
型コア10を用いたチョークコイルのI−L特性の一例
を示す線図であり、図4はそのチョークコイルのチョー
ク電流Ichの一例を示す波形図である。
I型コアと共に形成する磁気回路の一部である断面(中
央脚10aの上端面)の一部に段差10bを設けたもの
である。このような段差10bを設けたことにより、こ
のコアを用いたチョークコイルのI−L特性は、図3に
示したように、インダクタンスL一定の部分が2段にな
って、チョーク電流Ichが小さい時にはインダクタン
スLが大きく、チョーク電流Ichが大きい時にインダ
クタンスLが小さくなる特性が得られる。
電流Ichが小さい間は、磁気回路に流れる磁力線が、
段差10bに比べて磁気抵抗が小さい中央脚10aの上
端面の残りの部分10cに集中し、大きなインダクタン
スLが得られる。チョーク電流Ichが増加して上端面
の残りの部分10cが飽和に近づくと、磁力線は磁気抵
抗が大きい段差10bにも流れるようになって、インダ
クタンスLが減少し始め、残りの部分10cが完全に飽
和すると、磁力線の増加分はすべて段差10bを流れ
て、段差10bが飽和するまでは、低いインダクタンス
値になる。
たように、無負荷時はインダクタンスLが大きいからリ
ップル分が小さく、ダミー電流Idを小さく設定するこ
とが出来る。一方、負荷時にはインダクタンスLが小さ
くなるからリップル分が大きくなるが、この時には負荷
電流Ifが大きいから、ダミー電荷Idが小さいままで
も、図示したように電流カットオフは発生しない。しか
も、ギャップを設けたことにより、コアが飽和する最大
チョーク電流は増大する。
チョーク電流Ichの最大値が大きくなり、しかもダミ
ー電流Idが小さいままであるから、負荷電流Ifの最
大値をさらに大きくとることが出来る。この効果は、互
いに独立したチョークコイルについてもいえることであ
るが、図1に示したチョークコイルCH1〜CH3のよ
うに、互いにコアを共有する協調チョークコイル7の場
合はさらに有効になってくる。
2次整流平滑回路にそれぞれ流れるダミー電流と負荷電
流との和のチョーク電流とその巻数との積に応じてコア
に発生する磁力線の総計が問題であって、個々の2次整
流平滑回路に流れる電流の大小は問題にならない。しか
しながら、図1に示した協調チョークコイル7は、特別
な巻数比の問題をクリアするために、各チョークコイル
CH1〜CH3を互いに同じ巻数比に揃えている。した
がって、2次整流平滑回路21〜23の各ダミー抵抗R
d1〜Rd3にそれぞれ流れるダミー電流の合計が、図
4に示したダミー電流Idになる。
各出力電圧が互いに異なる場合は、出力電圧の最も低い
2次整流平滑回路のダミー電流を大きく設定し、出力電
圧の高い2次整流平滑回路のダミー電流を小さく抑える
ことにより、図4に示したダミー電流Idを変えること
なく、ダミー電流による電力損失を最小にして、スイッ
チング電源装置全体の電力変換効率を向上させることが
出来る。さらに、その場合に、ダミー電流を小さく抑え
た2次整流平滑回路の負荷電流が増大して協調チョーク
コイル7のインダクタンスが小さくなり、その結果とし
てリップル分が大きくなっても電流カットオフは発生し
ないという効果もある。
0の一実施例の段差の寸法の一例を示す(中央脚10a
の先端部のみ示した)側面図であり、図6は、図5に示
したE型コアを用いたチョークコイルの(図3に対応す
る)I−L特性の実測値を示す線図である。この実施例
は、図1に示したスイッチング電源装置の2次整流平滑
回路23の電力容量が出力電圧24V,最大電流23A
であって、チョーク電流Ich=0の時にインダクタン
スL=320μH、Ich=0.3Aの時にL=215
μH、Ich=23Aの時にL=30〜60μHのチョ
ークコイルを得るためのものである。
幅12mm)を加工して、図5に示したように、段差の深
さを2.5mmとし、その横幅をそれぞれ5mm(破
線)、6mm(2点鎖線)、7mm(実線)に設定し
た。図5に示したE型コアをI型コアと組み合せて協調
チョークコイルを試作し、そのI−L型特性を実測した
結果、図6にそれぞれ破線,2点鎖線,実線で示
した結果が得られた。
アは、最大電流Ich=23Aで飽和ギリギリであった
が、2点鎖線,実線で示した段差幅6mm,7mmのコ
アは、それぞれIch=23AでL=30〜40μHで
あり、Ich=0.3Aの時にL=300〜400μH
で略満足する結果が得られている。そのため、同一容量
で段差のない従来の協調チョークコイルと比較して、コ
アはEI50規格からEI44規格になって約10%小
型化し、コストは600円から500円と約20%ダウ
ンし、ダミー電流Idを0.2Aから0.1Aに下げる
(省エネルギ2.4W)ことが出来た。
一変型を示す斜視図である。図7に示したE型コア11
は、図2に示した段差の幅が中央脚の幅の1/2であっ
たコアの代りに、深さが同じで幅が2/3である段差
を、その厚さ(奥行)の3/4だけ設け、厚さの残り1
/4を段差なしとして構成したものである。図7に示し
たような段差でギャップを構成しても、中央脚11aの
上端面を上から見た時の段差部11bの有効面積とその
深さが同じであれば、図2に示したE型コア10と同等
の作用及び効果が得られる。
タ3の協調チョークコイル7の共通コアの第2実施形態
であるE型コアの構成の一例を示す斜視図である。図9
は、図8に示したE型コア12を用いたチョークコイル
のI−L特性の一例を示す線図であり、図10はそのチ
ョークコイルのチョーク電流Ichの一例を示す波形図
である。
一部である断面(中央脚12aの上端面)に、ギャップ
としての斜面12bを、その一辺が上端面と一致してギ
ャップがゼロになるように設けたことにより、このコア
を用いたチョークコイルのI−L特性は、図9に示した
ように、そのインダクタンスLがチョーク電流Ich=
0の時に最高で、チョーク電流Ichの増大と共にリニ
アに減少して、遂には飽和状態に達する特性が得られ
る。
したように、無負荷時はインダクタンスLが大きいから
リップル分が小さく、ダミー電流Idを小さく設定する
ことが出来ると共に、負荷電流Ifの増大に伴ってイン
ダクタンスLが減少するから、リップル分も増大してゆ
くが、ダミー電流Idと負荷電流Ifの和であるチョー
ク電流Ichは、増大してゆくリップル分(の1/2)
より常に大きいから、電流カットオフは発生しない。
ル7の共通コアの第3実施形態であるE型コアの構成の
一例を示す斜視図である。図12は、図11に示したE
型コア13を用いたチョークコイルのI−L特性の一例
を示す線図であり、図13はそのチョークコイルのチョ
ーク電流Ichの一例を示す波形図である。
脚13aの上端面13bの一部に、ギャップとしての斜
面13cと段差13dとを設けたことにより、このコア
を用いたチョークコイルのI−L特性は、図12に示し
たように、図3に示したI−L特性に比べて、2段にな
っている大小のインダクタンスL一定の部分の幅が狹く
なった代りに、その中間が緩やかな斜線で結ばれてい
る。したがって、そのI−L特性は、図3と図9にそれ
ぞれ示したI−L型特性の中間的な特性を示している。
Ichの波形図は、無負荷時と最大負荷に近い負荷時と
についてのみ示しているから、図4及び図10にそれぞ
れ示したチョーク電流波形図との差が明らかではない
が、中間的な負荷に対するチョーク電流Ichの波形
も、E型コア10,12を用いたチョークコイルの間に
なっている。
ル7の共通コアの第4実施形態であり、ギャップを設け
る代りに材質の異なるコアを重ねて構成したE型コアの
一例を示す斜視図である。図15は、図14に示したE
型コア14を用いたチョークコイルのI−L特性の一例
を示す線図であり、図16はそのチョークコイルのチョ
ーク電流Ichの一例を示す波形図である。
ズであって互いに磁気特性の異なる材質からなる複数の
コア14a,14bを、その厚さ方向に重ねて構成した
ものである。例えばダストコアとフェライトコアとで
は、磁気抵抗や飽和限界等の磁気特性が異なるため、ギ
ャップのない磁気回路を形成しても、そのI−L特性は
その一例を図15に示したように、上下2段のL特性が
現れる。
も、図16に示したように、無負荷時にはリップル分を
抑えてダミー電流Idを少なくし、負荷時にはリップル
分が大きくなっても電流カットオフが生じないようにす
ることが出来る点では、ギャップを設けたE型コア10
〜13と同様な効果が得られる。ギャップを設けたE型
コア10〜13は、既に説明したようにギャップの型状
を変えることによって、任意のI−L特性が得られると
いう長所があったが、それに比べて図14に示したE型
コアでは、材質の組み合わせやその種類を変えても、I
−L特性の選択の自由度は多少狹くなる傾向がある。
ル7の共通コアの第5実施形態であり、材質の異なるコ
アを重ねて構成したものに、さらにギャップを設けたE
型コアの一例を示す斜視図である。図18は、図17に
示したE型コア15を用いたチョークコイルのI−L特
性の一例を示す線図であり、図19はそのチョークコイ
ルのチョーク電流Ichの一例を示す波形図である。
示したE型コア14と同様に、互いに異なる材質からな
るE型コア15a,15bを厚さ方向に重ねて構成した
ものに、さらに図8に示したE型コア12の斜面12b
と同様な、斜面15cからなるギャップを設けたもので
ある。そのため、E型コア15を用いたチョークコイル
のI−L特性は、図18に示したように、チョーク電流
Ichの増大に伴ってそれぞれ減少するが、その傾斜が
異なる2段のリニア部分からなっている。図19に示し
たチョーク電流Ichの波形図は、重複するところが多
いので、説明を省略する。
15の全面斜面15cは、ギャップの一例を示したもの
であり、ギャップは全面斜面に限定されるものではな
く、段差(図2,図7)、斜面と段差の組み合わせ(図
11)、又は例示しなかったが中央脚の上端面の一部を
残した斜面によって構成してもよい。あるいは、異なる
材質からなるE型コアの少くともいずれか1つにギャッ
プを設けてもよい。
4,図17にそれぞれ示したE型コア10〜15は、図
20に示したE型コア17と同様にI型コアと組み合わ
せるものとして説明したが、組み合わせるコアは必ずし
もI型コアに限定されるものではなく、例えばE型コア
とE型コアの組み合わせであってもよい。また、E型コ
アの中央脚の形状も、図示したような角柱状ではなく、
例えば円柱状であっても同様な効果が得られる。
する協調チョークコイル7を用いるに当って、図1に示
したDC−DCコンバータ3は、各チョークコイルCH
1〜CH3をそれぞれ2次整流平滑回路のグランドライ
ン側に設けたが、それぞれホットライン側に設けても同
様な効果が得られることはいうまでもない。また、もし
何等かの理由で、各チョークコイルCH1〜CH3が各
2次整流平滑回路のグランドラインとホットラインとに
分れて設けられたとしても、トランジスタQがオンにな
って各チョークコイルを励起する電流が流れた時に、そ
れぞれの巻線が共通コアを同方向に磁化する向きに巻か
れていれば、同様な効果が得られる。
調チョークコイルは小型軽量であると共に、それを用い
た多出力スイッチング電源装置は電力損失を低減して発
熱を抑え、電力効率を向上することが出来る。
グ電源装置であるDC−DCコンバータの構成を、1次
整流平滑回路と共に示す回路図である。
ークコイルの共通コアに用いられるE型コアの第1実施
形態の構成の一例を示す斜視図である。
のI−L特性の一例を示す線図である。
ルに流れる電流の一例を示す波形図である。
を示す側面図である。
のI−L特性の実測値を示す線図である。
他の例を示す斜視図である。
視図である。
のI−L特性の一例を示す線図である。
イルに流れる電流の一例を示す波形図である。
斜視図である。
イルのI−L特性の一例を示す線図である。
コイルに流れる電流の一例を示す波形図である。
斜視図である。
イルのI−L特性の一例を示す線図である。
コイルに流れる電流の一例を示す波形図である。
斜視図である。
イルのI−L特性の一例を示す線図である。
コイルに流れる電流の一例を示す波形図である。
クコイルのコアの構成の一例を示す斜視図である。
のI−L特性の一例を示す線図である。
コイルに流れる電流の一例を示す波形図である。
一例を示す回路図である。
置) 5:スイッチング制御回路 6:トランス 7:協調チョークコイル 11〜15:E型コア(磁心) 21〜23:2次整流平滑回路 C21〜C23:コンデンサ CH1〜CH3:チョークコイル N1:1次巻線 N21〜N23:2次巻線 Q:トランジスタ(スイッチング素子)
Claims (7)
- 【請求項1】 1次直流電力をトランスの1次巻線とス
イッチング素子との直列回路に入力し、前記スイッチン
グ素子をスイッチングすることにより前記トランスの複
数の2次巻線に誘起される2次交流電力を、それぞれチ
ョークコイルを備えた複数の2次整流平滑回路により2
次直流電力に交換して出力する多出力スイッチング電源
装置において、 前記複数の2次整流平滑回路の各チョークコイルは、互
いに磁心を共有すると共に、負荷電流が小さい時にはそ
のインダクタンスが大きく、負荷電流が大きい時にはイ
ンダクタンスが小さくなる磁気特性を有することを特徴
とする多出力スイッチング電源装置。 - 【請求項2】 請求項1記載の多出力スイッチング電源
装置に用いる互いに磁心を共有するチョークコイルであ
って、 前記チョークコイルの共有する磁心が形成する磁気回路
の一部にギャップを設けたことを特徴とするチョークコ
イル。 - 【請求項3】 請求項1記載の多出力スイッチング電源
装置に用いる互いに磁心を共有するチョークコイルであ
って、 前記チョークコイルの共有する磁心を、その厚さ方向に
互いに材質の異なる複数の磁心を重ねて構成したことを
特徴とするチョークコイル。 - 【請求項4】 請求項3記載のチョークコイルにおい
て、 前記チョークコイルの磁心が形成する磁気回路の一部に
ギャップを設けたことを特徴とするチョークコイル。 - 【請求項5】 請求項2又は4記載のチョークコイルに
おいて、 前記ギャップが前記磁気回路の断面の一部に段差を設け
たものであることを特徴とするチョークコイル。 - 【請求項6】 請求項2又は4記載のチョークコイルに
おいて、 前記ギャップが前記磁気回路の断面の全部又はその一部
を斜面に形成したものであることを特徴とするチョーク
コイル。 - 【請求項7】 請求項2又は4記載のチョークコイルに
おいて、 前記ギャップが前記磁気回路の断面の全部又はその一部
を斜面及び段差で形成したものであることを特徴とする
チョークコイル。
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---|---|---|---|
JP14955296A JP3604505B2 (ja) | 1996-06-11 | 1996-06-11 | 多出力スイッチング電源装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP14955296A JP3604505B2 (ja) | 1996-06-11 | 1996-06-11 | 多出力スイッチング電源装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09331677A true JPH09331677A (ja) | 1997-12-22 |
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Family
ID=15477662
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP14955296A Expired - Lifetime JP3604505B2 (ja) | 1996-06-11 | 1996-06-11 | 多出力スイッチング電源装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3604505B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6567285B2 (en) | 2000-03-23 | 2003-05-20 | Tdk Corporation | Switching power supply unit |
JP2007300364A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Toyo Networks & System Integration Co Ltd | 電力線通信システム |
JP2009178018A (ja) * | 2007-10-29 | 2009-08-06 | Tdk Corp | スイッチング電源 |
-
1996
- 1996-06-11 JP JP14955296A patent/JP3604505B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6567285B2 (en) | 2000-03-23 | 2003-05-20 | Tdk Corporation | Switching power supply unit |
JP2007300364A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Toyo Networks & System Integration Co Ltd | 電力線通信システム |
JP4706044B2 (ja) * | 2006-04-28 | 2011-06-22 | ネッツエスアイ東洋株式会社 | 電力線通信システム |
JP2009178018A (ja) * | 2007-10-29 | 2009-08-06 | Tdk Corp | スイッチング電源 |
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JP3604505B2 (ja) | 2004-12-22 |
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