JPH09329239A

JPH09329239A - メタルガスケット

Info

Publication number: JPH09329239A
Application number: JP15084396A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Sasaki; 弘佐々木; Masakatsu Takahashi; 正克高橋; Katsuhide Fujisawa; 勝秀藤沢
Original assignee: Nippon Reinz Co Ltd
Current assignee: Nippon Reinz Co Ltd
Priority date: 1996-06-12
Filing date: 1996-06-12
Publication date: 1997-12-22

Abstract

(57)【要約】【課題】シール性能と信頼性に優れ、しかもガスケッ
トを構成する金属板の枚数が少なくてガスケット厚さが
薄く、ストッパー部の高さを自由に調整することができ
る積層メタルガスケットを提供する。【解決手段】燃焼室穴４を包囲しシールする凸条ビー
ド６を備えた２枚の金属板１及び２をビードの頂部が互
に対向しかつ当接するように積層する。一方の金属板１
の燃焼室穴周縁に折返し部７を設けるとともに、他方の
金属板２の金属板１に対面する側の面の上記折返し部７
に対向する位置に、上記折返し部の折返された部分の厚
さt₁よりも小さい段差t₂を有し燃焼室穴４を囲む環状の
凹部８を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自動車等のエンジン
のシリンダヘッド用ガスケットとして用いられるメタル
ガスケットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】１枚もしくは複数枚の弾性を有する金属
板からなるシリンダヘッド用メタルガスケットにおい
て、燃焼室穴を包囲しシールするビードを設けるととも
に該ビードよりも燃焼室穴側に金属板の折返し部等によ
るストッパー部を設け、ガスケットをシリンダヘッドと
シリンダブロックとの接合面間に挟着しボルト締結した
ときに、上記ストッパー部によりビードが完全に平坦に
圧縮されるのを防止し、またシリンダヘッドの接合面の
湾曲により生じた間隙を補償しシールすることは公知で
ある。

【０００３】出願人はかかるストッパー部を備えた積層
メタルガスケットにおいて、シール性、耐久性を向上さ
せるためにストッパー部の高さ（厚さ）を所望の値に自
由に調整でき、また該ストッパーの高さを燃焼室穴周り
において局部的に変化させることもできるようにしたメ
タルガスケットを特願平５−２２０８０号（特開平７−
５５００５号）において開示した。

【０００４】このメタルガスケットは、図６に断面図を
示す通り、燃焼室穴１３０の周縁に折返し部１０３を備
えた補償板１０１と燃焼室穴１３０の周縁に上記折返し
部の折返された部分１０４の厚さよりも小さい段差の環
状の凹部１０５を備えた調整板１０２とを上記凹部１０
５と上記折返し部１０３とが互に対向するように積層し
てなる複合中間板１００の両側に、上記折返し部１０３
よりも外側の位置において燃焼室穴１３０を包囲しシー
ルするビード１４０を備えたビード板１１０をビードの
頂部１４１が上記複合中間板に対向し当接するように積
層したものである。

【０００５】上記ガスケットにおいては、ストッパー部
は補償板１０１の燃焼室穴１３０周縁の上記折返し部１
０３の折返された部分１０４により形成され、ストッパ
ー部の高さが調整板１０２の凹部１０５により調整され
る。すなわちストッパー部の高さは折返し部の折返され
た部分１０４の厚さと凹部１０５の段差との差として与
えられ、段差の大きさを適宜に調整することによりスト
ッパー部の高さを所望の値に調整することができる。そ
して環状の凹部１０５の段差を燃焼室穴１３０周りにお
いて局部的に変化させることによりストッパー部の高さ
を局部的に変化させることができ、例えば、燃焼室穴間
におけるストッパー部の高さをストッパー部の他の部位
の高さよりも高く形成し、燃焼室穴間のシール性能を高
めることができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】然しながら、図６に示
したガスケットにおいては、ストッパー部の高さを調整
するために補償板１０１と調整板１０２とからなる複合
中間板１００を備えるために、少なくとも４枚の金属板
を積層する必要があり、構成金属板の枚数が多く、コス
ト高になる難点があり、また、ガスケットの厚さも必然
的に厚くなる。従ってエンジンに組付けたとき、シリン
ダヘッドとシリンダブロックとの接合面間のギャップが
大きくなり、燃料の混合気が未燃焼で残る空間の容積い
わゆるクレビスボリュームが大きくなり、排気ガス成分
におけるＨＣ，ＣＯ濃度が高くなるという問題がある。

【０００７】本発明は上記の点に鑑みてなされたもの
で、シール性能と信頼性とに優れ、しかもガスケットを
構成する金属板の枚数が少なくてガスケットの厚さが薄
く、ストッパー部の高さを自由に調整することができる
積層メタルガスケットを提供することを目的とするもの
である。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のメタルガスケットは、エンジンの燃焼室の開口に整
合する燃焼室穴を有し、該燃焼室穴を包囲しシールする
ビードを備えた金属板２枚を上記ビードが互に対向当接
するように積層してなり、一方の金属板の上記ビードよ
りも燃焼室穴側の燃焼室穴周縁に該金属板を折返した折
返し部を設けるとともに、他方の金属板の上記ビードよ
りも燃焼室穴側の上記一方の金属板に対面する側の面に
燃焼室穴を囲み上記折返し部の折返された部分の厚さよ
り小さい段差の環状の凹部を設け、ガスケットが締付け
られたときに上記折返し部が上記凹部内に位置するよう
に配設されていることを特徴とするものである。

【０００９】また、本発明のメタルガスケットは、上記
ビードが断面山形等の凸条ビードであり、ビードの頂部
同士が互に対向しかつ当接していることを特徴とし、或
は上記ビードが段差形ビードであることを特徴とする。
更に、本発明のガスケットは、上記一方の金属板におけ
る上記折返し部が上記他方の金属板の側の面上に折返さ
れていることを特徴とし、或は逆に、上記他方の金属板
と反対の側の面上に折返されていることを特徴とする。

【００１０】本発明によるメタルガスケットは燃焼室穴
を包囲しシールするビードを備えた金属板２枚を、中間
板を介在させることなく、上記ビードが互に対向当接す
るように積層するので、最小２枚の金属板により構成で
き、積層メタルガスケットの構成枚数を最小にできる。
従ってガスケットのコストを低減できるとともに、ガス
ケットの厚さを薄くでき、クレビスボリュームを減少さ
せ、排気ガス中のＨＣ，ＣＯ濃度を低減できる。しかも
２枚の金属板のビードの復元力、復元量は相加されるの
で、前記の４層構成のガスケットと同等のバネ性、歪吸
収性を有する。

【００１１】そして、本発明においては、一方の金属板
がビードよりも燃焼室穴側の燃焼室穴周縁に折返し部を
有し、他方の金属板がビードよりも燃焼室側の上記一方
の金属板に対面する側の一面に、上記折返し部の折返さ
れた部分の厚さより小さい段差を有し燃焼室穴を囲む環
状の凹部を備えており、上記折返し部の折返された部分
がストッパー部を形成し、上記凹部がストッパー部の高
さを調整するので、上記凹部の段差の大きさを適宜に選
定することにより、ストッパー部の高さを所望の値に調
整することができる。また燃焼室穴を囲む環状の凹部の
段差を燃焼室穴周りに局部的に変化させることにより、
燃焼室穴間のストッパー部の高さを他の部位よりも高く
する等、燃焼室穴周りに沿って変化させることができ
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の詳細並びに実施の形態を
図面に基づき以下に説明する。図１は本発明の第１実施
形態のメタルガスケットの平面図であり、図面を簡単に
するため燃焼室穴及びボルト穴以外の冷却水通路穴、オ
イル通路穴等の図示を省略している。図２は図１のＡ−
Ａ線による拡大断面図である。図３は第２実施形態につ
いての図２と同様な拡大断面図であり、図４はその変形
例についての同様な拡大断面図である。図５は本発明の
第３実施形態についての図２と同様な拡大断面図であ
る。各図において同一符号は同一部分を示している。

【００１３】図１及び図２において、本発明によるメタ
ルガスケットＧは例えばＳＵＳ３０１−ＣＳＰ等のステ
ンレス鋼板等の弾性を有する金属板１及び２からなり、
該金属板１及び２は、それぞれ、エンジンの燃焼室穴
４、図示を省略した冷却水通路穴、オイル通路穴等の液
体通路穴及びシリンダヘッドをシリンダブロックに締結
するボルトを挿通するボルト穴５を備えている。金属板
１及び２はそれぞれ上記燃焼室穴４の周りに燃焼室穴４
を包囲しシールする断面山形の凸条ビード６を備え、金
属板１及び２は該凸条ビード６,６の頂部６１,６１が互
に対向しかつ当接するように積層されている。上記凸条
ビードの断面形状は半円形、台形等であってもよく、ビ
ード頂部同士の当接面は曲率半径が大きいことが望まし
く、また面粗度が良好な平滑面であることが望ましい。

【００１４】上記実施形態においては、中間板を介在さ
せずに２枚の金属板１及び２がビードの頂部６１,６１
同士を直接当接するように積層されるので、積層ガスケ
ットの構成枚の枚数が最小であり、従ってガスケットの
厚さも薄くできる。そして、金属板１及び２それぞれの
ビード６の２個の基部６２,６２が、金属板１及び２に
較べて面粗度が劣るシリンダヘッド及びブロックの接合
面に燃焼室開口を囲む二重のシール線を生じさせ、後記
するストッパーによるガスシールと相俟って燃焼室開口
を多重にガスシールすることができ、シール性能及び信
頼性が高い。また、ビードの頂部が接合面に当接する場
合に較べてシール線の面圧が低いので、シリンダヘッド
及びブロックがアルミからなる場合においても接合面に
圧痕を生じる危険がない。

【００１５】一方の金属板１には、ビード４よりも燃焼
室穴側の位置に、燃焼室穴の周縁部を他方の金属板２に
対面する側の面上に１８０度折返した折返し部７が設け
られ、他方の金属板２の金属板１に対面する側の面に
は、ビード６よりも燃焼室穴側で上記折返し部７に対向
する位置に、燃焼室穴４を囲むように環状に、上記折返
し部７の折返された部分７１の厚さt₁（一重折返しの場
合、金属板１の厚さに等しい）よりも小さい段差t₂の凹
部８が設けられている。

【００１６】上記折返し部７の折返された部分７１がス
トッパー部を形成する。ガスケットＧをエンジンのシリ
ンダヘッドとブロックの接合面間に挟着してボルト締結
しガスケットＧを圧縮したとき、金属板１の上記折返し
部７は金属板２の凹部８に嵌まり当接し、ストッパー部
の高さが凹部８の段差の大きさにより調整され、ストッ
パー部の高さtは折返された部分７１の厚さt₁と凹部８
の段差t₂の差として与えられる。従って、凹部８の段差
t₂を適当な値に選定することにより、ストッパー部の高
さtをシリンダヘッドの剛性、ボルト締付力、運転時の
シリンダヘッドの熱歪み、・・・等を考慮した、ビード
６の高さよりも低い適正な値（所望値）にもたらすこと
ができる。ストッパー部は、ガスケットがエンジンへの
組付けにより圧縮され、またエンジン運転中に繰返し圧
縮されたときにビード６,６が完全に平坦になる全屈を
防止して、長期使用中にビードにへたりやクラックが生
じるのを防止し、また、ボルト締結によるシリンダヘッ
ドの湾曲に基づく燃焼室周縁における接合面間のギャッ
プを補償して燃焼室内のガスを有効にシールする機能を
果す。

【００１７】燃焼室穴を囲む環状の凹部８の段差t₂の大
きさは燃焼室穴周り全体にわたり一様であってもよい
が、例えば他の燃焼室穴と隣接する部位、ボルト穴から
離隔した部位においては段差t₂を他の部位よりも小さく
選ぶ等、燃焼室穴周りにおいて変化させてもよく、これ
によってストッパー部の機能高さを他の燃焼室穴と隣接
する部位、ボルト穴から離隔した部位において高くし、
燃焼室穴周りのガスシール性能を高めることができる。
凹部８はプレス成形、切削加工、エッチング加工等によ
り形成される。凹部８の段差t₂は金属板１及び２の厚さ
０.１７〜０.３０mm、ビード高さ０.１０〜０.２５mmに
対し、通常０.０５〜０.１０mmの範囲に選ばれる。

【００１８】図３に示す第２実施形態においては一方の
金属板１に設けた折返し部７′が他方の金属板２に面す
る側と反対側の面上に１８０度折返されており、折返し
部の折返し方向が第１実施形態とは逆になっている。第
２実施形態は上記の点を除けば、上述の第１実施形態と
同様に構成されている。

【００１９】前記した第１実施形態においては、金属板
２の薄肉化加工を施された凹部８に金属板１の折返し部
７の折返された部分７１が当接し、その先端のエッジ部
７２がエンジン運転中におけるガスケットの拡縮変形に
伴って凹部８の底面を叩き、この部分に応力が集中して
クラックを生じるおそれがあるが、第２実施形態におい
ては折返し部が上記の通り金属板２と反対側の面上に折
返されているので、かかる危険が回避できる。ただし、
第２実施形態において折返された部分７１′が当接する
シリンダブロックが鋳鉄からなるときは問題がないが、
アルミからなるときはそのエッジ部７２′により接合面
に圧痕を生じる問題があるので、図４に示す変形例のよ
うに、金属板１上すなわち金属板１の下方に副板３を積
層することが必要になる。

【００２０】金属板１及び２の燃焼室穴４を包囲しシー
ルするビードは上記説明した凸条ビードに限られるもの
ではなく、図５に示す第３実施形態におけるように段差
状ビード６′を採用することができる。すなわち、第３
実施形態においては金属板１及び２が、それぞれ、燃焼
室穴４の周りに第１平坦部６３′、傾斜部６４′、第２
平坦部６５′を有する段差状ビード６′を備え、金属板
１及び２は、燃焼室穴４から遠い側にある第２平坦部６
５′,６５′を互に当接するように重ね、傾斜部６４′,
６４′及び第１平坦部６３′,６３′が重ねられた第２
平坦部の仮想延長線に対して互に対称的に対向するよう
に配設されて積層されている。金属板１及び２の段差状
ビード６′,６′は上記のように互に対向当接するの
で、ばねの復元力、復元量は重畳され、相加され、第３
実施形態のガスケットも大きい復元力、復元量を有す
る。

【００２１】一方の金属板１の燃焼室穴４周辺の第１平
坦部６３′には、前記第１実施形態におけると同様に燃
焼室穴周縁部を他方の第２金属板２に対面する側の面上
に１８０度折返した折返し部７を備え、他方の金属板２
の第１平坦部６３′の第１金属板に対面する側の面に
は、上記折返し部７の折返された部分７１の厚さよりも
小さい段差を有する、燃焼室穴４を囲む環状の凹部８を
備えている。これらの折返し部７及び凹部８の詳細な構
造及び機能は第１実施形態について詳細に説明した所と
全く同様であり、再度の説明は省略する。

【００２２】

【発明の効果】本発明のメタルガスケットは上記説明し
た所から明らかな通り、下記の効果を奏する。（１）中間板を備えず、最小２枚の構成板で積層メタル
ガスケットを構成でき、ガスケットのコストを低減する
とともにガスケットの厚さを薄くできる。（２）従って本発明のガスケットを用いればエンジンの
クレビスボリュームを小さくでき、排気ガス中のＨＣ，
ＣＯ濃度を低減できる。（３）しかも、図６に示す４層構成のメタルガスケット
と同等のばね特性を有し、復元力、復元量が大きい。（４）ストッパー部の高さを適正な値に微調整できる。（５）ストッパー部の高さを燃焼室穴周りの部位によっ
て変化させ、他の燃焼室穴と隣接する部位、ボルトから
離隔した部位等においてストッパー部の高さを高くする
ことができる。（６）上記（３)〜(５）により優れたシール性能と信頼
性が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態のメタルガスケットの平
面図。

【図２】図１のＡ−Ａ線による拡大断面図。

【図３】第２実施形態についての図２と同様な拡大断面
図。

【図４】第２実施形態の変形例についての同様な拡大断
面図。

【図５】本発明の第３実施形態についての図２と同様な
拡大断面図。

【図６】従来のメタルガスケットについての断面図。

【符号の説明】

４燃焼室穴５ボルト穴６ビード７折返し部８凹部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】エンジンの燃焼室の開口に整合する燃焼
室穴を有し、該燃焼室穴を包囲しシールするビードを備
えた金属板２枚を上記ビードが互に対向当接するように
積層してなり、一方の金属板の上記ビードよりも燃焼室
穴側の燃焼室穴周縁に該金属板を折返した折返し部を設
けるとともに、他方の金属板の上記ビードよりも燃焼室
穴側の上記一方の金属板に対面する側の面に燃焼室穴を
囲み上記折返し部の折返された部分の厚さより小さい段
差の環状の凹部を設け、ガスケットが締付けられたとき
に上記折返し部が上記凹部内に位置するように配設され
ていることを特徴とするメタルガスケット。
【請求項２】上記ビードが断面山形等の凸状ビードで
あり、該ビードの頂部同士が対向しかつ当接するように
上記金属板が積層されている請求項１記載のメタルガス
ケット。
【請求項３】上記ビードが段差形ビードである請求項
１記載のメタルガスケット。
【請求項４】上記折返し部が上記他方の金属板の側の
面上に折返されている請求項１，２又は３記載のメタル
ガスケット。
【請求項５】上記折返し部が上記他方の金属板の側と
反対側の面上に折返されている請求項１，２又は３記載
のメタルガスケット。
【請求項６】上記一方の金属板上に副板を積層した請
求項５記載のメタルガスケット。