JPH09328677A - 撥水撥油性組成物 - Google Patents

撥水撥油性組成物

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JPH09328677A
JPH09328677A JP14957896A JP14957896A JPH09328677A JP H09328677 A JPH09328677 A JP H09328677A JP 14957896 A JP14957896 A JP 14957896A JP 14957896 A JP14957896 A JP 14957896A JP H09328677 A JPH09328677 A JP H09328677A
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acrylate
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境への悪影響を抑制でき、環境を配慮した
溶剤への溶解性が良好であるとともに、少量のフッ素含
有量で優れた撥水撥油性能を発現でき、かつ常温乾燥で
撥水撥油性能を発揮できる撥水撥油性組成物を提供す
る。 【解決手段】 撥水撥油性組成物は、ブロック共重合体
と炭素数6〜20の脂肪族炭化水素系溶剤から構成され
る。ブロック共重合体は、フルオロアルキル基含有単量
体と単独重合体のガラス転移点が20℃以下のアルキル
(メタ)アクリレートを含む単量体混合物より形成され
る重合体セグメント(I)と、(A)アルキル(メタ)
アクリレートから形成される重合体セグメント(II)と
から構成される。重合体セグメント(II)が、さらに
(B)ポリシロキサン含有単量体を含む単量体混合物よ
り形成されることが好ましい。さらに、重合セグメント
(I)は、フルオロアルキル基含有単量体を主成分とし
て形成されるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば綿、麻な
どの天然繊維、ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊
維、布地、衣料などに撥水性や撥油性を付与するための
撥水撥油性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、繊維、衣料、皮革等に撥水撥油性を付与するため
に様々な方法が用いられてきている。その中でもフッ素
系樹脂は、(1) 撥水撥油性、(2) 即効性、(3) 防汚性、
(4) 少量で効果を発揮等の優れた特性を有するため、幅
広い分野に使用されている。これらのフッ素系樹脂は主
に、ハロゲン系、ケトン系、エステル系、石油系、芳香
族系等の溶剤に溶解されて使用されてきた。それらの中
では、フロンや1,1,1-トリクロロエタン等のハロゲン系
溶剤は取り扱いが容易なため数多く使用されてきた。
【0003】しかし、近年の環境保護意識の高まりか
ら、ハロゲン系溶剤の使用制限、さらにはオゾン層を破
壊する特定フロンや1,1,1-トリクロロエタン等の使用規
制並びに全廃がモントリオール議定書締約国会合等で決
定されたため、他の溶剤への転換が行われつつある。
【0004】このような状況の中で、溶剤のほとんどを
n−ヘキサンやヘプタンのような炭化水素系の溶剤で希
釈したランダム共重合体の撥水撥油剤(特公平6−51
764号公報、特開平6−240238号公報)が知ら
れている。一般に、このようなランダム共重合体の撥水
撥油剤は、フッ素の導入率を上げれば撥水撥油性等の性
能を向上させることはできるが、それによるコストの上
昇や、溶液安定性の悪化等の問題が生じるため好ましく
ない。
【0005】また、ランダム共重合体は被処理物への接
着性に乏しく、撥水撥油性の持続性に欠けるものが多
い。これは、ランダム共重合体に、例え被処理物との接
着性に優れた成分をコモノマーとして使用してもポリマ
ー鎖中にフルオロアルキル基と混在することになり、互
いにその機能を阻害しあってしまうためである。
【0006】一方、エアゾール型の撥水撥油剤として、
含フッ素ブロック共重合体と、有機溶剤と、噴射剤とを
含有するものが知られている(特開昭60−22858
8号公報)。しかし、このエアゾール型撥水撥油剤は、
噴射剤としてフロンガスなどが使用されており、前述の
ような環境上の問題がある。しかも、このエアゾール型
撥水撥油剤は、被処理物に噴霧した後、熱処理すること
によって高度な撥水撥油性能を発現することはできる
が、常温乾燥ではその性能を発現しにくいという問題が
あった。
【0007】この発明は、上記のような従来技術の問題
に着目されてなされたものである。その目的とするとこ
ろは、環境への悪影響を抑制できるとともに、環境を配
慮した溶剤への溶解性が良好な撥水撥油性組成物を提供
することにある。その他の目的とするところは、少量の
フッ素含有量で優れた撥水撥油性能を発現でき、かつ常
温乾燥で撥水撥油性能を発揮できる撥水撥油性組成物を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、第1の発明の撥水撥油性組成物は、ブロック共重合
体と、炭素数6〜20の脂肪族炭化水素系溶剤とから構
成され、前記ブロック共重合体が、フルオロアルキル基
含有単量体および単独重合体のガラス転移点が20℃以
下のアルキル(メタ)アクリレートを含む単量体混合物
より形成される重合体セグメント(I)と、(A)アル
キル(メタ)アクリレートより形成される重合体セグメ
ント(II)とから構成されるものである。
【0009】第2の発明は、第1の発明において、前記
ブロック共重合体の重合体セグメント(II)が、さらに
(B)ポリシロキサン含有単量体を含む単量体混合物よ
り形成されるものである。
【0010】第3の発明は、第1の発明において、前記
ブロック共重合体の重合セグメント(I )は、フルオロ
アルキル基含有単量体を主成分として形成されるもので
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て詳細に説明する。まず、ブロック共重合体について詳
細に説明する。ブロック共重合体は、前述した2種類の
重合体セグメント(I)と(II)とよりなる。
【0012】重合体セグメント(I)は、フルオロアル
キル基含有単量体と、単独重合体のガラス転移点が20
℃以下のアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体の
セグメントである。フルオロアルキル基含有単量体とし
ては、例えば以下のような一般式で表されるフルオロア
ルキル基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。 Rf −SO2 −N(R1 )R2 OCOC(R3 )=CH
2f −(CH2 n OCOC(R3 )=CH2f −CON(R1 )R2 OCOC(R3 )=CH2f −CH2 CH(OH)CH2 OCOC(R3 )=C
2f −CH2 CH(OCOR3 )CH2 OCOC
(R3 )=CH2f −O−Ar −CH2 OCOC(R3 )=CH2 (Rf は炭素数3〜21のポリフルオロアルキル基また
はポリフルオロアルケニル基、R1 は水素または炭素数
1〜10のアルキル基、R2 は炭素数1〜10のアルキ
レン基、R3 は水素またはメチル基、Ar は置換基を有
することもあるアリール基、n は1〜10の整数であ
る) さらに具体的には、以下のフルオロアルキル基含有(メ
タ)アクリレートが挙げられる。 CF3 (CF2 7 (CH2 2 OCOCH=CH2 CF3 (CF2 7 (CH2 2 OCOC(CH3 )=
CH2 (CF3 2 CF(CF2 6 (CH2 2 OCOCH
=CH2 CF3 (CF2 7 SO2 N(CH3 )(CH2 2
COCH=CH2 CF3(CF2)7 SO2 N (C2 5) (CH2)2 OCOC
(CH3)=CH2 (CF3)2 CF (CF2)6 CH2 CH(OCOCH3)C
2 OCOC (CH3)=CH2 (CF3)2 CF (CF2)8 CH2 CH(OH)CH2
COCH=CH2
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】ここで、重合体セグメント(I)は、フル
オロアルキル基含有(メタ)アクリレートを2種以上共
重合させたものでもよく、特にRf 基の炭素数の異なる
フルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートを2種以
上含有させても良い。
【0017】これらのうち、 CF3 (CF2 7 (CH2 2 OCOCH=CH2 が最も好ましい。このフルオロアルキル基含有アクリレ
ートは、2段階重合時における2段目に重合を行った場
合、重合転化率を向上させることができ、また室温で液
体であるため作業性に優れているとともに、比較的安価
で入手が容易であるため好ましい。
【0018】次に、上記フルオロアルキル基含有単量体
と共重合するアルキル(メタ)アクリレートは、その単
独重合体のガラス転移点が20℃以下のものである。そ
のようなアルキル(メタ)アクリレートを用いることに
より、ブロック共重合体の軟化点を低下させることがで
き、常温乾燥で撥水撥油組成物の撥水性能と撥油性能と
を発揮できる。
【0019】このように、重合体セグメント(I)に単
独重合体のガラス転移点が20℃以下のアルキル(メ
タ)アクリレートを導入することにより、常温での撥水
撥油性を向上させることができる。フルオロアルキル基
含有重合体セグメント(I)は、より低温で動きやす
く、フルオロアルキル基による表面配向性が向上する。
従って、常温における撥水撥油性が向上するものと考え
られる。
【0020】このような単独重合体のガラス転移点が2
0℃以下のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例
えば(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸
イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)ア
クリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、
(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデ
シル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリ
ル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、
(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸
ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル等が好
適に用いられる。
【0021】さらにより高い撥水撥油性を考慮すると、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アク
リル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、
(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデ
シル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリ
ル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)
アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシ
ル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリ
ル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の
アルキル基の炭素数が8〜18のアルキル基を有するア
ルキル(メタ)アクリレートが好ましい。さらに、アル
キル基の炭素数が12〜18の長鎖アルキル基を有する
アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの単
量体は一種又は2種以上が使用される。
【0022】フルオロアルキル基含有単量体と前記アル
キル(メタ)アクリレートの重量比は95/5〜50/
50が好ましく、さらに90/10〜60/40が好ま
しい。すなわち、重合体セグメント(I)は、フルオロ
アルキル基含有単量体を主成分として形成されるもので
あることが好ましい。フルオロアルキル基含有単量体の
重量比が50/50よりも小さくなると、撥水撥油性能
が低下し、95/5よりも大きくなると、常温乾燥での
撥水撥油性が低下する。
【0023】重合体セグメント(I)の分子量は、ポリ
スチレン換算の数平均分子量で5000〜100000
が好ましく、10000〜50000がさらに好まし
い。この数平均分子量が5000未満では撥水撥油性が
十分に発揮できず、100000を越えるとブロック共
重合体を製造する場合のブロック効率が低下するととも
に、撥水撥油性が低下する。
【0024】次に、ブロック共重合体を形成するもう一
方の重合体セグメント(II)は、製造の容易さ、フルオ
ロアルキル基の導入のしやすさを考慮して、(A)アル
キル(メタ)アクリレートより形成されるか、またはそ
れに加えて(B)ポリシロキサン含有単量体より形成さ
れる。
【0025】(A)アルキル(メタ)アクリレートは、
ブロック共重合体を炭素数6〜20の脂肪族炭化水素系
溶剤に溶解させるためのもので、例えば(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピ
ル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メ
タ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シク
ロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソ
オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリ
ル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、
(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラ
ウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリ
ル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、
(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸
ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メ
タ)アクリル酸イソステアリル等が好適に用いられる。
【0026】これらのうち、さらに溶液安定性と撥水性
を考慮すると、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メ
タ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−
ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アク
リル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチ
ル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリ
ル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)
アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ウンデシ
ル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸
ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)ア
クリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシ
ル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリ
ル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル等
のアルキル基の炭素数が3〜18のアルキル(メタ)ア
クリレートが好ましい。これらの単量体は1種又は2種
以上が使用される。
【0027】前記(B)ポリシロキサン含有単量体は下
記一般式で表される単量体であって、一般式中のR1
2 およびR3 は、同一であっても、異なっていても良
い。
【0028】
【化4】
【0029】(但し、R1 は水素原子またはメチル基、
2 はメチル基、エチル基、フェニル基、または
【0030】
【化5】
【0031】(但し、R5 は水素原子、フェニル基また
はCP 2P+1、R6 はメチル基、エチル基又はフェニル
基をそれぞれ示し、mは1〜500、P は1〜10の整
数である。)、R3 は水素原子、フェニル基またはCQ
2Q+1を、R4 はメチル基、エチル基またはフェニル基
をそれぞれ示し、nは1〜700、Q は1〜10の整数
である。)および、
【0032】
【化6】
【0033】〔式中、R1 は水素原子又はメチル基を、
2 はメチル基、エチル基、フェニル基、または
【0034】
【化7】
【0035】(但し、R5 は水素原子、フェニル基また
はCP 2P+1を、R6 はメチル基、エチル基又はフェニ
ル基をそれぞれ示し、mは1〜500、pは1〜10の
整数である。)を、R3 は水素原子、フェニル基または
Q 2Q+1をそれぞれ示し、R 4 はメチル基、エチル基
またはフェニル基をそれぞれ示し、nは1〜700、Q
は1〜12の整数である。〕 ポリシロキサン含有単量体(B)のポリシロキサン基の
数平均分子量は300〜50000が好ましく、100
0〜30000がさらに好ましい。このような(B)ポ
リシロキサン含有単量体を導入することにより、ポリシ
ロキサン基に由来する撥水性、低摩擦性、柔軟性といっ
た性能を付与することができる。数平均分子量が300
より小さい場合、ポリシロキサン基に由来する低摩擦
性、撥水性、柔軟性といった性能の発現が困難となる。
一方、その数平均分子量が50000を越す場合、重合
転化率が低下してポリシロキサン基の導入が困難とな
る。このポリシロキサン含有単量体は、市販品として入
手することができる。例えば、チッソ(株)製の商品名
サイラプレーンのFM0711、FM0715、FM0721、FM0725、XN
7710B 、XN7701等がこの化合物に相当する。
【0036】次に、重合体セグメント(II)の単量体
(A)及び(B)の組み合わせとその割合について説明
する。単量体(A)は単独で使用されるが、単量体
(B)は単独では使用されない。単量体(A)と単量体
(B)とを組み合わせて使用する場合、単量体(A)の
割合は、30重量%以上が好ましく、50重量%以上が
さらに好ましい。単量体(B)が多すぎると重合転化率
が低下し、撥水撥油性が低下する。
【0037】単量体(A)または単量体(A)と(B)
から形成される重合体セグメント(II)の分子量は、ポ
リスチレン換算の数平均分子量で5000〜10000
0が好ましく、10000〜50000がさらに好まし
い。この数平均分子量が5000未満または10000
0を越える場合、ブロック共重合体を製造するときのブ
ロック効率が低下し、撥水撥油性が低下する。
【0038】重合体セグメント(I)と重合体セグメン
ト(II)の重量比は、5/95〜50/50が好まし
く、溶液安定性を考慮すると、10/90〜40/60
がさらに好ましい。重合体セグメント(I)の重量比が
5/95より小さいと撥水撥油性に劣り、50/50大
きいとコスト高になり、溶液安定性も悪化する。
【0039】ここで、ブロック共重合体中のフルオロア
ルキル基含有単量体の含有量は、2〜50重量%が好ま
しく、6〜36重量%がさらに好ましい。2重量%未満
の場合、撥水撥油性が低下し、50重量%を越える場
合、コスト高となる傾向がある。
【0040】ブロック共重合体の分子量はポリスチレン
換算の数平均分子量で10000〜200000が好ま
しく、20000〜100000がさらに好ましい。こ
の数平均分子量が10000未満または200000を
越えるとブロック共重合体を製造する場合のブロック効
率が低下するとともに、撥水撥油性が低下する。
【0041】前記単量体以外にも、その他の重合性単量
体を使用することができる。この重合性単量体は特に限
定されないが、例えば、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ
アルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレング
リコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレング
リコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、p
−メチルスチレン、(メタ)アクリルアミド、N−メチ
ロール(メタ)アクリルアミド、アクリルニトリル、酢
酸ビニル、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸等が適
宜使用される。
【0042】次に、溶剤は、炭素数6〜20の脂肪族炭
化水素系溶剤であり、環境への悪影響を抑制するための
ものである。炭素数が6未満の場合、引火点が低くなる
ため好ましくなく、20より大きい場合、ブロック共重
合体の溶解性の悪化と乾燥に時間を要するので好ましく
ない。このような脂肪族炭化水素系溶剤としては、例え
ば、n-ヘキサン、イソヘキサン、イソヘキセン、n-ヘプ
タン、n-オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナ
ン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テト
ラデカン、ペンタデカン、イソパラフィン系溶剤である
出光石油化学(株)製のIPソルベント1620、同じくイソ
パラフィン系溶剤である日本油脂(株)製のNAS-3 、NA
S-4 、NAS-5H(それぞれ沸点が異なる)等が挙げられ
る。
【0043】これらのうち、溶剤の乾燥性および溶液安
定性を考慮して、n−ヘキサン、イソヘキサン、イソヘ
キセン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、
n−ノナン、イソノナン、n-デカン、ウンデカン、ドデ
カン、トリデカン、日本油脂(株)製NAS-3 等が好まし
い。これらの溶剤は1種又は2種以上が使用される。
【0044】次に、ブロック共重合体は、塊状重合法、
溶液重合法、懸濁重合法、エマルジョン重合法等により
容易に得られる。例えば溶液重合法の場合、ポリマーパ
ーオキサイドを開始剤とした2段階の重合により、所望
のブロック共重合体が得られる。
【0045】このポリマーパーオキサイドは、1分子中
に2個以上のパーオキサイド結合を有する化合物であ
り、従来公知のもののなかで分解温度が低温過ぎたり、
高温過ぎたり、製造上の困難を伴う化合物を除いてすべ
て使用できる。例えば、下記一般式化8〜35で示され
るものが挙げられる。
【0046】
【化8】
【0047】
【化9】
【0048】
【化10】
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
【0051】
【化13】
【0052】
【化14】
【0053】
【化15】
【0054】
【化16】
【0055】
【化17】
【0056】
【化18】
【0057】
【化19】
【0058】
【化20】
【0059】
【化21】
【0060】
【化22】
【0061】
【化23】
【0062】
【化24】
【0063】
【化25】
【0064】
【化26】
【0065】
【化27】
【0066】
【化28】
【0067】
【化29】
【0068】
【化30】
【0069】
【化31】
【0070】
【化32】
【0071】
【化33】
【0072】
【化34】
【0073】
【化35】
【0074】以上のポリマーパーオキサイドは使用に際
し、1種または2種以上が用いられる。これらのポリマ
ーパーオキサイドのうち溶液安定性を考慮すると、化学
式化13、化31および化35で表されるポリマーパー
オキサイドが好ましい。
【0075】ブロック共重合で用いられるポリマーパー
オキサイドの量は、単量体100重量部に対して通常
0.5〜20重量部、ブロック共重合体の片側セグメン
トの重合温度は60〜130℃、重合時間は2〜10時
間程度である。ブロック共重合体のもう一方のセグメン
トの重合温度は60〜140℃、重合時間は3〜15時
間程度である。
【0076】例えば、溶液重合法の場合について説明す
る。まず、化学式化31のポリマーパーオキサイドを用
い、前述した単量体(A)を用いて単独重合、または
(A)と(B)を用いて共重合する。
【0077】重合の際、ポリマーパーオキサイドの活性
酸素量を約50%残存させたところで重合を停止させる
ことにより、パーオキサイド結合を含有する重合体を得
ることができる。さらに、この重合体を重合開始剤とし
て、フルオロアルキル基含有重合体セグメントを形成す
るフルオロアルキル基含有単量体の1種または2種以上
と単独重合体のガラス転移点が20℃以下のアルキル
(メタ)アクリレートを共重合することによって、所定
のブロック共重合体が得られる。
【0078】なお、前記ブロック共重合体を製造する手
順を逆にして、第1段重合においてパーオキサイド結合
を含有するフルオロアルキル基含有重合体セグメント
(I)を得、次いで第2段重合においてこれと共重合可
能な重合体セグメント(II)をブロック化反応しても良
い。
【0079】次に、上記のような撥水撥油性組成物を被
処理物に対して適用する。この場合、撥水撥油性組成物
が適用可能な被処理物は特に限定されず、種々の例を挙
げることができる。例えば、綿、麻、羊毛、絹などの天
然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテー
ト、トリアセテート等の半合成繊維、ポリアミド、ポリ
エステル、ポリアクリルニトリル、ポリプロピレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリビニルアルコール等の合成繊維、こ
れらの混合繊維およびこれらによる布地、衣料、靴、ガ
ラス繊維、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、レンガ、セメ
ント、金属、プラスチック、プラスター等が挙げられ
る。
【0080】撥水撥油性組成物を用いた撥水撥油処理は
常法に従って行われる。例えば、撥水撥油性組成物を炭
化水素に溶解または分散した液を処理物に浸漬塗布、ス
プレー塗布等により付着させて乾燥する。必要ならば適
当な架橋剤を用い、硬化を行っても良い。処理濃度は、
例えば浸漬塗布の場合0.01〜10重量%とする。さ
らに詳しくは、0.1〜5重量%がより好ましい。ま
た、必要に応じて撥水撥油性組成物とともに、他の防汚
加工剤、撥水剤、撥油剤、抗菌剤、帯電防止剤、つや出
し剤、難燃剤、防虫剤、風合調整剤、染料定着剤、消泡
剤等の各種処理剤や架橋剤を添加することもできる。
【0081】以上のような実施形態によれば、次のよう
な効果が発揮される。 (1) 撥水撥油性組成物は、フロンや1,1,1-トリクロ
ロエタンではなく、炭素数6〜20の脂肪族炭化水素系
溶剤を使用していることから、環境への悪影響を抑制で
きる。 (2) 撥水撥油性組成物は、ブロック共重合体の
(A)アルキル(メタ)アクリレートより形成される重
合体セグメント(II)により、炭素数6〜20の脂肪族
炭化水素系溶剤への溶解性に優れている。 (3) ブロック共重合体中においては、その重合体セ
グメント(I)を構成するフルオロアルキル基含有単量
体中のフッ素が表面に配向するため、ランダム共重合体
に比べ、少量のフッ素含有量で優れた撥水撥油性能を発
現できる。 (4) 撥水撥油性組成物は、ブロック共重合体中の重
合体セグメント(I)を形成するアルキル(メタ)アク
リレートのガラス転移点が20℃以下である。このた
め、フルオロアルキル基を含有する重合体セグメント
(I)が低温で動きやすくなり、フルオロアルキル基が
表面に配向する。従って、撥水撥油性組成物の常温にお
ける撥水撥油性能が向上する。 (5) ブロック共重合体の重合体セグメント(II)に
(B)ポリシロキサン含有単量体を含む単量体を導入す
ることにより、ポリシロキサン基の性質に基づき繊維の
風合いを向上させることができる。
【0082】
【実施例】以下に、実施例、比較例および性能試験の結
果を挙げて、この発明をさらに具体的に説明する。な
お、実施例および比較例における部数および%は全て重
量基準である。 (実施例1) (1)パーオキサイド結合含有重合体の合成 温度計、撹拌器および環流冷却器を備えた反応器に、前
述のイソパラフィン系溶剤であるNAS-3 を134g仕込み、
窒素ガスを吹き込みながら70℃に加熱した。さらに、
それにステアリルメタクリレート60g 、および前記化
学式化31で示されるパーオキサイド6gからなる混合
液を40分かけて仕込み、4時間重合反応を行った。
【0083】次に、メタノールにて再沈を行い、室温で
減圧乾燥した。得られた重合体の粉体微粉末は活性酸素
量が0.089%であり、パーオキサイド結合を有する
ことが示された。ゲルパーミエーションクロマトグラフ
(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量
は27000であった。 (2)ブロック共重合体の合成 前記(1)で得た微粉末6g、フッ化アクリレート(R
f =8)3g、ステアリルアクリレート1g、NAS-3 の
23.33gを混合溶解後、窒素置換したアンプル中に
仕込んだ。70℃で3時間、さらに80℃で2時間反応
させて、ブロック共重合体を合成した。得られた重合体
溶液は白濁していた。ガスクロマトグラフによる残存メ
タクリル酸ステアリルの分析から、重合転化率が99%
以上、またGPC分析から数平均分子量が32000で
あることが明らかとなった。 (3)重合体溶液の調製と評価方法 次いで、系中に重合体溶液が固形分1%になるようにn
−ヘプタンで希釈した後、以下に示す方法で評価を行っ
た。この結果を表6に示す。
【0084】撥水性、撥油性については、次のような尺
度で示した。すなわち、撥水性は、表1に示すように、
JIS L-1092のスプレー法による撥水性ナンバーをもって
表した。また、撥油性は、表2に示したように、試験溶
液を試験布の上2箇所に数滴(直径約4mm)置き、30秒後
の浸透状態により判別した。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】繊維の風合いの評価は、表3に示すよう
に、評価点の平均をもって表した。
【0088】
【表3】
【0089】(実施例2〜5および比較例1)実施例1
にならって、単量体を表4のように変えて同様な評価を
行った。これらの結果を表5に示す。
【0090】
【表4】
【0091】 イ: CH2 =CHCOOC2 4 8 17 ロ: ステアリルアクリレート ハ: ステアリルメタクリレート ニ: 2−エチルヘキシルメタクリレート ホ: iso- ブチルメタクリレート ヘ: イソボルニルメタクリレート ト: FM0725 〔チッソ(株)製〕 チ: XN7710B〔チッソ(株)製〕 リ: メチルメタクリレート (比較例3)実施例1の装置に、前述のイソパラフィン
系溶剤であるNAS-3 を232.33g仕込み、窒素ガス
を吹き込みながら70℃に加熱した。それに、 パーブチルPV〔日本油脂(株)製〕 1g メタクリル酸ステアリル 70g フッ化アクリレート(Rf =8) 30g からなる混合液を40分かけて滴下し、撹拌しながら1
0時間重合反応させてランダム共重合体を得た。得られ
た重合溶液を実施例1と同様に調製し、評価を行った。
この結果を表5に示す。
【0092】
【表5】
【0093】表5に示したように、実施例1〜5の撥水
撥油性組成物は、いずれの温度においても撥水性、撥油
性および繊維の風合いについて優れている。これに対
し、重合体セグメント(I)がフルオロアルキル基含有
単量体の単独重合体である場合(比較例1)、常温乾燥
における撥水性および撥油性が劣る。
【0094】重合体セグメント(I)がフルオロアルキ
ル基含有単量体と単独重合体のガラス転移点が20℃以
上のアルキル(メタ)アクリレートの共重合体である場
合(比較例2)、いずれの温度においても撥水性および
撥油性の点で各実施例に劣る。
【0095】同量のフルオロアルキル基含有単量体を用
いたランダム共重合体の場合(比較例3)、実施例と比
較して撥水性および撥油性が劣る。なお、前記実施形態
より把握される技術的思想について以下に記載する。 (1) 前記ガラス転移点が20℃以下のアルキル(メ
タ)アクリレートは、炭素数が8〜18のアルキル基を
有するアルキル(メタ)アクリレートである請求項1に
記載の撥水撥油性組成物。
【0096】このように構成した場合、より高い撥水性
および撥油性を得ることができる。 (2) 前記(A)アルキル(メタ)アクリレートは、
アルキル基の炭素数が3〜18のアルキル(メタ)アク
リレートである請求項1に記載の撥水撥油性組成物。
【0097】このように構成すれば、撥水撥油性組成物
の溶液安定性と撥水性を向上させることができる。 (3) 重合体セグメント(I)と重合体セグメント
(II)の重量比は、5/95〜50/50である請求項
1に記載の撥水撥油性組成物。
【0098】このように構成すれば、撥水性、撥油性お
よび溶液安定性を兼ね備えることができる。 (4) 前記(B)ポリシロキサン含有単量体は、ポリ
シロキサン基の数平均分子量が300〜50000であ
る請求項2に記載の撥水撥油性組成物。
【0099】このように構成した場合、ポリシロキサン
基に由来する撥水性、低摩擦性および柔軟性を発揮する
ことができる。
【0100】
【発明の効果】以上詳述したように、第1の発明の撥水
撥油性組成物によれば、環境への悪影響を抑制できると
ともに、環境を配慮した溶剤への溶解性に優れている。
さらに、少量のフッ素含有量で優れた撥水性および撥油
性を発現でき、加えて常温乾燥における撥水性と撥油性
を発揮できる。
【0101】第2の発明の撥水撥油性組成物によれば、
第1の発明の効果に加え、繊維の風合いを向上させるこ
とができる。第3の発明の撥水撥油性組成物によれば、
第1の発明の効果に加え、撥水性と撥油性をより確実に
向上させることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブロック共重合体と、炭素数6〜20の
    脂肪族炭化水素系溶剤とから構成され、前記ブロック共
    重合体が、フルオロアルキル基含有単量体および単独重
    合体のガラス転移点が20℃以下のアルキル(メタ)ア
    クリレートを含む単量体混合物より形成される重合体セ
    グメント(I)と、(A)アルキル(メタ)アクリレー
    トより形成される重合体セグメント(II)とから構成さ
    れる撥水撥油性組成物。
  2. 【請求項2】 前記ブロック共重合体の重合体セグメン
    ト(II)が、さらに(B)ポリシロキサン含有単量体を
    含む単量体混合物より形成されるものである請求項1に
    記載の撥水撥油性組成物。
  3. 【請求項3】 前記ブロック共重合体の重合セグメント
    (I)は、フルオロアルキル基含有単量体を主成分とし
    て形成されるものである請求項1に記載の撥水撥油性組
    成物。
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