JPH09327860A - マイクロレンズアレイの製造方法および圧子押圧装置 - Google Patents

マイクロレンズアレイの製造方法および圧子押圧装置

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JPH09327860A
JPH09327860A JP8146282A JP14628296A JPH09327860A JP H09327860 A JPH09327860 A JP H09327860A JP 8146282 A JP8146282 A JP 8146282A JP 14628296 A JP14628296 A JP 14628296A JP H09327860 A JPH09327860 A JP H09327860A
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indenter
manufacturing
microlens array
indentation
pressing
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JP8146282A
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English (en)
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Yasuhisa Tomita
泰央 冨田
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】焦点板において、モアレ縞の生じにくいマイク
ロレンズアレイの製造方法および圧子押圧装置の提供。 【解決手段】 圧子1を金型母材5の表面に押圧して複
数の圧痕を形成し、圧痕の形状を光学部材に転写して複
数の微小凸曲面を形成するマイクロレンズアレイの製造
方法において、圧痕を形成する際に、圧子1の押し込み
深さを不規則に変える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一眼レフカメラの
焦点板等に形成されるマイクロレンズアレイの製造方法
および圧子押圧装置に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロレンズアレイを用いた一般的な
例として、一眼レフカメラの焦点板があげられる。図1
3は一眼レフカメラの基本的な構成を示す断面図であ
り、焦点板30はマイクロレンズアレイからなるマット
面30aと、輪帯構造をしたフレネルレンズ面30bと
で構成されている。マイクロレンズアレイは多数のマイ
クロレンズから成り、撮影レンズ31を通過した後に主
ミラー32で反射された光束はマット面30aにより拡
散された後、フレネルレンズ面30bにより撮影レンズ
31の光軸外の結像光束が光軸方向へ偏向される。焦点
板30で拡散された光束はコンデンサレンズ33,ペン
タプリズム34を通過してファインダ光学系35に達
し、ファインダを覗いている撮影者によって観察され
る。
【0003】焦点板30はカメラのピント合わせに用い
られ、撮影者がファインダから覗いた時にザラツキ感の
ない適度なボケ味を有することが要求される。この適度
なボケ味を出すためには、焦点板30の各マイクロレン
ズが同一形状を有して規則正しく整列していて、かつ、
マイクロレンズの分布にムラがないように形成されてい
ることが重要となる。ただし、規則性が非常に良く、か
つムラが全くない状況だと、この規則性がフレネルレン
ズの輪帯構造との干渉を引き起こしモアレ縞が発生す
る。逆に、規則性が全くなくムラが強い場合には、にじ
みや部分的に暗く見えるという問題が生じる。
【0004】ところで、マイクロレンズアレイの製造方
法としては、圧痕法を利用したものが知られている。圧
痕法では、図14に示すように金型母材5の表面に圧子
1を所定の荷重で繰り返し押圧して圧痕5aを所定の間
隔で多数形成し、それを金型としてアクリル等の光学用
樹脂を用いた射出成形,圧縮成形,注型成形等によりマ
イクロレンズアレイ40が作製される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た方法で多数の圧痕を形成した場合には圧痕深さが同一
となるため、このようにして形成されたマイクロレンズ
アレイを具備する焦点板を用いた場合には、モアレ縞が
発生し易いという欠点があった。
【0006】本発明の目的は、焦点板において、モアレ
縞の生じにくいマイクロレンズアレイの製造方法および
圧子押圧装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明の実施の形態を示す
図1に対応付けて説明する。 (1)請求項1の発明は、圧子1を型母材5の表面に押
圧して複数の圧痕を形成し、圧痕の形状を光学部材に転
写して複数の微小凸曲面を形成するマイクロレンズアレ
イの製造方法に適用され、圧痕を形成する際に、圧子1
の押し込み深さを不規則に変えることによって上述の目
的を達成する。 (2)請求項2の発明は、圧子1を光学材料からなる被
加工部材の表面に押圧し、複数の微小凹曲面を形成する
マイクロレンズアレイの製造方法に適用され、微小凹曲
面を形成する際に、圧子1の押し込み深さを不規則に変
えることによって上述の目的を達成する。 (3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載の製
造方法において、1回の圧子押圧操作毎に押し込み深さ
を変える。 (4)請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記
載の製造方法において、型母材5または被加工部材を圧
子1の押し込み方向(z方向)と直交する面(xy面)
内で駆動しつつ、押し込み深さを時間的に一定の周期で
変える。 (5)請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記
載の製造方法において、圧子1に与える押し込み力を制
御することにより押し込み深さを変える。 (6)請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記
載の製造方法に用いられる圧子押圧装置であって、圧子
1を型母材5または被加工部材に押圧する圧子駆動装置
2と、各圧痕または各微小凹曲面を形成する際、圧子1
の押し込み深さが不規則にまたは一定の周期で変化する
ように圧子駆動装置2を制御する制御手段22とを備え
て上述の目的を達成する。 (7)請求項7の発明は、請求項1〜5のいずれかに記
載の製造方法により作製されるマイクロレンズアレイに
適用され、マイクロレンズアレイに形成される複数の微
小凸曲面の曲率半径が、押し込み深さに応じてそれぞれ
異なる。 (8)請求項8の発明は、請求項1〜5のいずれかに記
載の製造方法において、圧痕または微小凹曲面を形成す
る際に、圧子1の押圧方向の軸に関して圧子1を所定角
度回転させてから型母材5または被加工部材の表面に押
圧する工程を含む。 (9)請求項9の発明による一眼レフカメラは、請求項
1〜6のいずれかに記載の製造方法により作製されるマ
イクロレンズアレイが形成された焦点板を備える。
【0008】(1)請求項1〜3の発明では、圧子1の
押し込み深さを不規則に変えて圧痕の深さの規則性を生
じさせない。 (2)請求項7の発明では、微小凸曲面の曲率半径の大
きさが、マイクロレンズアレイ全体においてばらつく。 (3)請求項8の発明では、圧痕の深さが不規則になる
とともに、圧子1を回転することにより圧痕の歪みの方
向がばらつく。
【0009】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段の項では、本発明を分かり易くする
ために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本
発明が発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図12を参照して本
発明の実施の形態を説明する。 −第1の実施の形態− 図1は本発明によるマイクロレンズアレイの製造方法の
一実施の形態を説明するための図であって、その製造方
法に用いられる圧子押圧装置の概略図である。金型母材
5は機械式あるいは接着等の固定方法によりXYステー
ジ6上に載置される。7X,7YはXYステージ6を駆
動するステージ移動用モータであり、ステージ駆動回路
20により制御される。8X,8YはXYステージ6の
位置を検出するデジタルマイクロメータであり、デジタ
ルマイクロメータ8X,8Yの出力に基づいてXYステ
ージ6の移動量がステージ移動量検知回路21により検
出される。
【0011】2は圧子押圧装置の臥体4に固定されたム
ービングコイル装置であり、図2にその詳細な断面を示
す。ムービングコイル装置2のシャフト11には、先端
部分が円錐形をした圧子1が取り付けられている。ムー
ビングコイル装置2は、圧子1が取り付けられたシャフ
ト11を回転するためのモータ3を備えている。図1に
示すように、モータ3はステッピングモータであり、回
転角割り出し回路23からのパルス数により回転角が制
御される。22はムービングコイル装置2のシャフトを
上下方向に駆動するためのムービングコイル駆動回路、
24は各回路20,21,22,23に対して所定の指
示を与えるコンピュータである。コンピュータ24には
入力装置により、作業条件(回転角度や圧痕ピッチ等)
を入力することができる。
【0012】図2において、12はシャフト11に外挿
するように設けられた円筒状の永久磁石であり、ベース
板10cに固定されている。13はシャフト11に取り
付けられ、永久磁石12に外挿するように設けられたコ
イル支持枠であり、コイル14が環状に巻き付けられて
いる。15はコイル14に外挿するように設けられた環
状の永久磁石であり、ベース板10aに固定されてい
る。
【0013】9a,9bは板バネであり、板バネ9aの
基端は、ベース板10cに固定されたブロック17に押
さえ板17aとボルトにより固定されている。板バネ9
aの先端は、ピン18aによりシャフト11と一体とな
っている連結リング18とともに押え板16aとブロッ
ク16とで挟み込むことによりシャフト11と連結され
ている。一方、板バネ9bの基端は、ベース板10aに
固定されたブロック17に押え板17aとボルトにより
固定されている。板バネ9bの先端は、連結リング18
とともに押さえ板13aと支持枠13とで挟み込むこと
により、シャフト11と連結されている。したがって、
シャフト11は板バネ9a,9bによって鉛直線上を往
復移動可能に弾性支持されているが、シャフト11自体
は回転できるようになっている。シャフト11の上端は
ジョイント19を介して圧子回転用モータ3に接続され
ている。ジョイント19は回転(ラジアル)方向に対し
て剛性をもち、上下(スラスト)方向に関してはフレキ
シブルな構造になっているため、モータ3の回転はシャ
フト11に伝わるが、シャフト11の上下方向の動きは
モータ3に伝わることはない。
【0014】次に、図3を用いてムービングコイル装置
2のシャフト駆動部の詳細を説明する。図3に示すよう
に、永久磁石15は下部がS極、上部がN極に、一方、
永久磁石12は下部がN極、上部がS極に着磁されてお
り、シャフト11の中心軸では矢印Bで示すように磁力
線の向きは鉛直下方である。ここで、コイル14で発生
する磁力線がシャフト11の中心軸で矢印Bのように鉛
直下向きとなるように電流を与えると、コイル14に対
して鉛直下向きの力が働いてシャフト11が鉛直下方へ
移動する。一方、逆向きの電流をコイル14に与える
と、鉛直上方の力が働いてシャフト11が鉛直上方へ移
動する。ムービングコイル駆動回路22は可変パルス電
流発生器を有しており、周期的に極性が変化するパルス
波形状の電流をコイル14へ出力することにより圧子1
を高速で上下動させることができる。この上下動の周期
は0.1〜50Hzにすることができる。なお、上下の
ストロークは50μm程度である。また、コイル14に
供給する電流の大きさ変えることにより、圧子1の押し
付け力を変えることができる。なお、XYステージ6,
ムービングコイル装置2およびモータ3は、コンピュー
タ24の指令に基づいて、回路20〜23により制御さ
れる。図1の圧子押圧装置を使用して、金型母材5に連
続的に圧痕を形成することにより、図4,5に示すよう
な金型母材5が作製される。
【0015】従来のマイクロレンズアレイ製造方法で
は、ムービングコイル装置2に付与する印加電圧(V)
を一定としマイクロレンズアレイを形成するため、圧子
の押圧力が一定となり圧痕の深さが同一となる。ところ
が、金型母材5として良く用いられるマルテンサイト系
ステンレス鋼は他の金型材料に比べ緻密かつ均質である
が結晶質であるため、圧子1で圧痕を形成した場合、圧
子1の形状がそのまま金型母材5に転写されずに、結晶
粒界により硬度が変化する部分で圧痕の曲率半径が不規
則に変化する。その結果、マイクロレンズアレイの形状
がランダム性を有することとなり、マイクロレンズの規
則性に起因する欠点(例えば、ボケ味が不適切であった
り、焦点板に形成されたフレネルレンズとの干渉)が軽
減されることがわかった。
【0016】しかしながら、結晶質の材料を用いても全
て上述したような不規則性が得られるわけではない。特
に、非晶質な材料を金型母材5として使用した場合、ほ
ぼ均一に圧子1の形状が転写されるため、その金型母材
5を金型として焦点板を作製した場合、規則性を原因と
するフレネルレンズとの干渉によりモアレ縞が発生した
り、色ムラが生じたりすることが判明した。
【0017】本実施の形態では、圧子1の押し込みを制
御して圧痕の曲率半径に不規則性を与えるにより、上述
したような欠点を解消する。以下、その詳細を説明す
る。図6は、圧子1の押し込み力と金型母材5に形成さ
れた圧痕の曲率半径との関係を説明する図である。押し
込み力はムービングコイル装置2のコイル14に与える
電圧に依存しており、V1<V2<V3なる電圧V1,
V2,V3を与えたときの押し込み力F1,F2,F3
は、F1<F2<F3となる。このとき、圧痕の深さH
1,H2,H3は押し込み力に比例して深くなり、H1
<H2<H3となる。
【0018】金型母材5に形成された圧痕形状の全てが
マイクロレンズの光学的性能を支配するわけではなく、
図6の領域φがその性能を左右する。この領域φの曲率
半径rは、圧子1の曲率半径Rとの間に次式(1)の関
係が成り立つ。
【数1】r=k×R …(1) ここで、kは転写係数であり実験により求められる。押
し込み力Fと転写係数kは反比例の関係にあり、押し込
み力Fを増加させると転写係数kは減少する。なお、押
し込み力Fは転写係数kが0.9〜0.5程度となるよ
うに設定するのが良い。圧子を製作する際には、式
(1)のrに光学設計上必要とされるマイクロレンズの
曲率半径を代入して得られるRを設計値として用いる。
【0019】本実施の形態では、ムービングコイル装置
2のコイル14に一定の周期(例えば正弦波形的な周
期)で変化する電圧を与え、所定の時間間隔Δtで圧子
1を金型母材5に押圧する。このとき、XYステージ6
は圧子1による押圧に連動してステップ移動する。電圧
の周期τに対して、時間間隔Δtを
【数2】Δt=α×τ …(2) としたとき(ただし、αは任意の定数)、例えば、電圧
Vが図7に示すように正弦的に変化し、α=2/5とし
た場合について説明する。時刻t=0において最初に押
圧した後、時刻t=2τ/5,4τ/5,6τ/5,…
において2番目,3番目,4番目,…の押圧を行う。こ
の場合、図7からも分かるように、押圧時の電圧値は押
圧を5回行う毎に同一のパターンとなり、すなわち、押
し込み力Fは5回周期で変化することになる。また、上
述したようにαをM/Nなる有理数とすれば、押圧時の
電圧値がN個周期で同一となり、Nを小さくするか大き
くするかによってこの周期を交えることができる。
【0020】図8は作製された金型母材5の一例を示す
図であり、ここでは5種類の深さの圧痕5aについて図
示しており、同一マークの圧痕5aの深さは同一であ
る。この図からもわかるように、本実施の形態の製造方
法によれば、金型母材5に形成される圧痕の曲率半径お
よび深さのばらつきの程度(不規則性)を変えることが
でき、これを型として作製した焦点板のマイクロレンズ
アレイに適度な不規則性を与えることができる。その結
果、焦点板に形成したフレネルレンズ面との干渉による
モアレ縞の発生を抑制することができる。また、従来の
圧子押圧装置では、圧子1の押し込み深さを変える場
合、その都度ムービングコイル駆動回路22に与える押
し込み深さに関する指示値(例えば、コイル14に付与
する電圧値)を設定する必要がり、煩雑であるととも
に、金型作製に時間がかかるという問題点があった。し
かし、発明の実施の形態によれば、コイル14に一定の
周期を有する電圧を与えて圧子1を上下動させながら、
連続的に圧痕を形成するため、金型製作時間を短縮する
ことができる。
【0021】なお、コイル14に与える電圧は、光学的
に必要とされる領域φの曲率半径と深さが光学設計上許
容値内で変化するように設定される。また、例えば、1
行当り100個ずつ格子状に並んだ圧痕を形成するよう
な場合、上述したように
【数3】Δt=2τ/5 …(3) (α=2/
5の場合) とした場合、押圧時の電圧値は5個周期で変化するた
め、1行目ごとの深さのパターンが同一なってしまう。
そこで、深さパターンが同一とならないように、押圧時
の時間間隔Δtはマイクロレンズの縦横の数に応じて決
定される。
【0022】図9は、マイクロレンズを透過する光とマ
イクロレンズの曲率半径との関係を示す図である。マイ
クロレンズの曲率半径が比較的大きいものは屈折の影響
が少ないため直進する光の量が多く明るい光学系とな
り、曲率半径が小さいものはレンズ表面を透過する際の
屈折の影響が高いため、周辺部に向かう拡散光が多く中
心部透過光量が少ない暗い光学系となる。ところで、図
4に示した5bは圧痕5aの内接円の内で最大径のもの
を示しており、その直径をλ、圧痕係数をeとすると圧
痕の曲率半径rとの間に次式(4)が成り立つ。
【数4】r=λ×e …(4) 圧痕係数eが0.7以下であれば、さほど問題なく圧子
1の形状を金型母材5に転写することが確認されている
が、圧痕係数eが1に近い値のマイクロレンズになる
と、設計値通りの曲率半径λを得るためには押し込み力
Fを強くする必要がある。特に、1眼レフカメラに搭載
される焦点板などでは、光学設計上マイクロレンズアレ
イに必要な性能として、圧痕係数eが1に近いものを重
要視する場合がある。このような場合、上述したように
押し込み力Fが強くなるため転写係数kが小さくなり、
それに伴って曲率半径が小さくなる。そのため、マイク
ロレンズの中心部透過光量が少なくなり、暗い焦点板と
なる。
【0023】そこで、図4に示すように、圧痕5a間に
隙間5cを設けることにより、焦点板が暗くなるのを防
止することができる。それは、この隙間5cは平面で構
成されるので、その部分を透過した光は直進光となり、
焦点板の明るさが増大するからである。
【0024】−第2の実施の形態− 第1の実施の形態で説明した圧子1の先端部分の最終的
な形状創成は全て研磨にて行なわれるが、結晶方位の影
響で部分的な硬度差により完全な球面とならず、歪んだ
形状を示す場合が多い。図10は圧子1の先端部分を示
す図であり、光干渉を用いた非接触形状測定装置により
測定したものである。図10では、圧子1の軸方向(す
なわち圧子の押圧方向)をz軸とし、曲線101は圧子
先端部分の等高線を表している。なお、等高線の間隔は
λ/2(λは光源光の波長)である。圧子先端形状が完
全な球面であれば、z軸を含む面(紙面に垂直な面)で
断面したときの曲率半径は断面の方向によらず同一とな
る。しかし、圧子先端形状が歪んでいる場合には、図1
0のX−X’断面およびY−Y’断面の図からもわかる
ように、断面の方向によって曲率半径が異なる。
【0025】図11(a)は、このように先端形状が歪
んだ圧子1を用いて、第1の実施の形態に示す方法で複
数の圧痕を形成したときの金型母材5の平面図である。
51は圧痕5aの等高線を示している。等高線51の様
子からも分かるように、圧痕5aの中心より図示左側は
曲率半径が大きく右側は小さい。さらに、各圧痕5aは
歪みの方向が同一方向に揃っている。図11(b)は、
図11(a)に示す金型母材5を型として形成された焦
点板を使用し、点光源を撮影した場合にファインダ光学
系から観察される明暗を模式的に示した図である。焦点
板に形成されたマイクロレンズの曲率半径の大きい部分
(圧痕5aの曲率半径の大きい部分)では光の屈折が抑
えられ、逆に曲率半径の小さい部分ではより強く屈折を
生じさせる。そのため、図11(b)に示すように、フ
ァインダの中心より左側に一番明るい部分があり、そこ
から遠ざかるにつれて徐々に暗くなり、右上隅および右
下隅に極端に暗い部分が生じる。その結果、一般的な被
写体の場合には、明るさのむら(不均一性)が生じる。
【0026】そこで、第2の実施の形態では、各圧痕を
形成する際に、圧子1を所定角度回転させてから金型母
材5に押圧する。例えば、1番目の圧痕を形成したら圧
子1を30度回転して2番目の圧痕を形成し、さらに3
0度回転して3番目の圧痕を形成し、同様にして4番目
以降の圧痕を形成する。なお、圧子1の押し込み力Fに
ついては、第1の実施の形態と同様に変化させる。図1
2(a)はこのように圧子1を所定角度回転させながら
圧痕5aを形成した金型母材5の平面図であり、図12
(b)は図11(b)と同様の図である。図12(a)
の場合には、圧痕5aの歪みの方向はばらついており、
図12(b)に示すようにファインダの中心部に明部が
位置し、中心から遠ざかるにつれて暗くなるという対称
性が得られる。すなわち、本実施の形態によるマイクロ
レンズアレイの製造方法によれば、第1の実施の形態と
同様の効果を得ることができるとともに、明るさが均一
な焦点板を得ることができる。
【0027】ここで、図12(a)に示す各行の圧痕5
aの歪み方向の変化のパターンが同一となると、歪み方
向に関する方向性が生じるようになるので、各行の歪み
方向の変化のパターンが同一とならないように圧子1を
回転させる。このような圧子の回転は、図2に示すモー
タ3により圧子1が取り付けられたシャフト11を回動
することにより行われる。その際、モータ3による回転
は回転角割出し回路23によって制御される。
【0028】以上説明した発明の実施の形態では、各圧
痕の形成ごとにコイル14に与える電圧値や圧子1の回
転角度を変えたが、方向性が生じない範囲であれば、2
つおき、3つおき等、複数の圧痕ごとに圧子を回転させ
ても良い。また、コイル14に周期的に変化する電圧を
与えたり、圧子1を一定の角度で回転したが、コンピュ
ータ24で乱数を発生し、ムービングコイル駆動回路2
2により乱数に応じた電圧値でムービングコイル装置を
制御したり、回転角割出し回路23により乱数に応じた
回転角度でモータ3を制御したりしてもよい。
【0029】また、金型母材5に形成された圧痕の形状
を光学部材に転写してマイクロレンズアレイを作製した
が、上述した圧子押圧装置を用いて光学部材に圧痕を直
接形成するようにしてもよい。この場合、マイクロレン
ズアレイは多数の微小凹曲面から成るが、金型を用いて
製作された微小凸曲面から成るマイクロレンズアレイと
同様の拡散性を有する。
【0030】上述した発明の実施の形態と特許請求の範
囲の事項との対応において、ムービングコイル装置2は
圧子駆動装置を、ムービングコイル駆動回路22は制御
手段をそれぞれ構成する。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
型母材または被加工部材に形成される圧痕の深さまたは
形状が不規則にばらつくため、型母材を型として作製さ
れたマイクロレンズアレイ、または被加工部材から形成
されるマイクロレンズアレイは透過光の方向性が小さく
拡散性が向上する。特に、請求項8の発明によれば圧痕
の歪の方向もばらつくため、焦点板の明るさが均一とな
る。請求項9の発明によれば、モアレ縞の発生を防ぐこ
とができ、ピント合わせのしやすいカメラを得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧子押圧装置の概略を示す斜視図。
【図2】ムービングコイル装置2の詳細を示す断面図。
【図3】ムービングコイル装置2の動作を説明する図。
【図4】圧痕が形成された金型母材5の斜視図。
【図5】圧痕が形成された金型母材5の斜視図。
【図6】圧子の押し込み力と圧痕の曲率半径との関係を
説明する図。
【図7】圧子押圧時の電圧値の変化を説明する図。
【図8】金型母材5に形成された圧痕を説明する図。
【図9】マイクロレンズアレイの機能を説明する図。
【図10】圧子の先端形状を説明する図。
【図11】焦点板を説明する図であり、(a)は金型母
材5の平面図、(b)はファインダ光学系から観察され
る明暗を模式的に示した図。
【図12】第2の実施の形態による焦点板を説明する図
であり、(a)は金型母材5の平面図、(b)はファイ
ンダ光学系から観察される明暗を模式的に示した図。
【図13】カメラの断面図。
【図14】圧子1,圧痕5aおよびマイクロレンズアレ
イ40の関係を示す図。
【符号の説明】
1 圧子 5 金型母材 5a 圧痕 5b 内接円 6 XYステージ 22 ムービングコイル駆動回路 23 回転角割出し回路 30 焦点板 40 マイクロレンズアレイ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧子を型母材の表面に押圧して複数の圧
    痕を形成し、前記圧痕の形状を光学部材に転写して複数
    の微小凸曲面を形成するマイクロレンズアレイの製造方
    法において、 前記圧痕を形成する際に、前記圧子の押し込み深さを不
    規則に変えることを特徴とするマイクロレンズアレイの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 圧子を光学材料からなる被加工部材の表
    面に押圧し、複数の微小凹曲面を形成するマイクロレン
    ズアレイの製造方法において、 前記微小凹曲面を形成する際に、前記圧子の押し込み深
    さを不規則に変えることを特徴とするマイクロレンズア
    レイの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の製造方法にお
    いて、 1回の圧子押圧操作毎に前記押し込み深さを変えること
    を特徴とするマイクロレンズアレイの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方
    法において、 前記型母材または被加工部材を前記圧子の押し込み方向
    と直交する面内で駆動しつつ、前記押し込み深さを時間
    的に一定の周期で変えることを特徴とするマイクロレン
    ズアレイの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方
    法において、 前記圧子に与える押し込み力を制御することにより前記
    押し込み深さを変えることを特徴とするマイクロレンズ
    アレイの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方
    法に用いられる圧子押圧装置であって、 前記圧子を前記型母材または被加工部材に押圧する圧子
    駆動装置と、 前記各圧痕または各微小凹曲面を形成する際、前記圧子
    の押し込み深さが不規則にまたは一定の周期で変化する
    ように圧子駆動装置を制御する制御手段とを備えること
    を特徴とする圧子押圧装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方
    法により作製されるマイクロレンズアレイにおいて、 前記マイクロレンズアレイに形成される複数の微小凸曲
    面の曲率半径が、前記押し込み深さに応じてそれぞれ異
    なることを特徴とするマイクロレンズアレイ。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方
    法において、 前記圧痕または微小凹曲面を形成する際に、前記圧子の
    押圧方向の軸に関して前記圧子を所定角度回転させてか
    ら前記型母材または被加工部材の表面に押圧する工程を
    含むことを特徴とするマイクロレンズアレイの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方
    法により作製されるマイクロレンズアレイが形成された
    焦点板を備えることを特徴とする一眼レフカメラ。
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