JPH093261A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH093261A
JPH093261A JP17801595A JP17801595A JPH093261A JP H093261 A JPH093261 A JP H093261A JP 17801595 A JP17801595 A JP 17801595A JP 17801595 A JP17801595 A JP 17801595A JP H093261 A JPH093261 A JP H093261A
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JP
Japan
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group
resin composition
polypropylene
thermoplastic resin
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Application number
JP17801595A
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English (en)
Inventor
Yasuo Nomura
泰生 野村
Masahide Murata
昌英 村田
Satoshi Ueki
聰 植木
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリアミドとポリオレフィンとが良好に相溶
化され、力学的特性、熱的特性、表面特性および環境特
性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【構成】 (A) ポリアミド0.1 〜99重量%、(B) ポリオ
レフィン0.1 〜99重量%、および(C) 末端に下記式 (I)
で示される構造を含む末端変性ポリプロピレン0.01〜99
重量%を含む熱可塑性樹脂組成物。 【化1】 [上記式中、RはHまたはメチル基;Xは、-(C
m 2m)-Y で示され、ここでCm 2mは直鎖状もしく
は分枝状のアルキレン基、mは1〜6の整数、Yはアル
コキシシリル基、アルコキシシロキシ基、アルキルシリ
ル基、アルキルシロキシ基、(メタ)アクリレート基、
アルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロ
ゲン化アルキル基、テトラヒドロフリル基およびテトラ
ヒドロピラニル基から成る群より選択され;nは平均値
であり、0.1 〜500 の範囲にある]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアミドとポリオレ
フィンを含む熱可塑性樹脂組成物に関し、さらに詳しく
は、各成分が良好に相溶化されたポリアミドとポリオレ
フィンを含む熱可塑性樹脂組成物に関する。本発明は特
に、自動車の内外装品、電装部品、家電製品、スポーツ
用品、家具、事務用品などの用途において有用な前記樹
脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】ポリアミド樹脂は、耐熱
性、機械的強度、絶縁性等に優れた樹脂である。一方、
ポリオレフィンは、低比重でしかも耐衝撃性に優れ、ま
た成形性や、耐水性、耐薬品性等の環境特性が良好であ
るという特長を有する。そこでポリアミドとポリオレフ
ィンとを配合して、両者の長所を備えた樹脂組成物を製
造する試みが行われてきた。ところが、ポリアミドとポ
リオレフィンは互いの相溶性が悪いために、両者を配合
した熱可塑性樹脂組成物では、耐衝撃性や機械的強度等
が低下してしまうという問題がある。
【0003】ポリアミドとポリオレフィンの相溶性を向
上させる試みとして、ポリアミドに、不飽和カルボン酸
またはその誘導体、特に無水マレイン酸(MAH)等の
不飽和ジカルボン酸無水物を付加したポリオレフィンを
配合して溶融混練する方法が知られている。この方法に
より、両者の相溶分散性が向上し、よって耐衝撃性が優
れ、吸水による劣化が防止された組成物が得られる。し
かし、この方法では、ジカルボン酸無水物をポリオレフ
ィンに付加させる際に、ポリオレフィンの架橋による変
質や劣化を生じてしまうこと、およびポリオレフィンの
特定部分を変性できないため、変性ポリオレフィンの分
子内反応、分子内会合等が生じてしまい、相溶化による
物性の改善が十分でない。また、ポリオレフィン変性後
に残留する未反応の酸とポリアミドが反応して着色し、
外観を損なうという問題もあった。
【0004】そこで本願出願人は既に、ポリアミドおよ
びポリオレフィンを、分子中に少なくとも1つのグリシ
ジルオキシ基を有する重合性化合物および重合開始剤と
共に溶融混練する方法(特開平5-39330 号公報)や、芳
香族系のグリシジル化合物をグラフトさせた変性オレフ
ィン系エラストマーをポリアミドに配合した組成物(特
開平4-164960号公報)を見出した。
【0005】本発明は、ポリアミドとポリオレフィンと
が良好に相溶化された、耐衝撃性、引張り強度、耐剥離
性等の力学的特性、耐熱性等の熱的特性、外観等の表面
特性および、耐水性、耐薬品性等の環境特性に優れた熱
可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリアミ
ドとポリオレフィンの相溶化について鋭意検討を重ねた
結果、相溶化剤として、特定構造を末端に備えたポリプ
ロピレンを用いると、両者の相溶化が良好であり、着色
を生じることもなく優れた前記特性を有する樹脂組成物
が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0007】すなわち本発明は、(A)ポリアミド0.
1〜99重量%、(B)ポリオレフィン0.1〜99重
量%、および(C)末端に、次式(I):
【0008】
【化5】 [上記式中、Rは水素原子またはメチル基を表し;X
は、−(Cm 2m)−Yで示される基であって、ここで
m 2mは直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基であ
り、mは1〜6の整数であり、Yはアルコキシシリル
基、アルコキシシロキシ基、アルキルシリル基、アルキ
ルシロキシ基、アクリレート基、メタクリレート基、ア
ルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲ
ン化アルキル基、テトラヒドロフリル基およびテトラヒ
ドロピラニル基から成る群より選択される基であり;n
は平均値であり、0.1 〜500 の範囲にある]で示される
構造を含む末端変性ポリプロピレン0.01〜99重量
%を含む熱可塑性樹脂組成物である。
【0009】好ましい態様として、次のものを挙げるこ
とができる: 前記式(I)において、Yが、次式(a):
【0010】
【化6】 (上記式中、Ra 、Rb およびRc は、同じでも異なっ
ていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基もしくはアル
コキシ基を表し、qは0または1である)で示される基
である前記の熱可塑性樹脂組成物。 前記式(I)において、Yが、次式(b):
【0011】
【化7】 (上記式中、Rd は水素原子またはメチル基を表す)で
示される基である前記の熱可塑性樹脂組成物。 前記式(I)において、Yが、次式(c):
【0012】
【化8】 (上記式中、Re およびRf は同じでも異なっていても
よく、炭素数1〜4のアルキル基を表す)で示される基
である前記の熱可塑性樹脂組成物。 前記式(I)において、Yが、アルコキシ基、ハロゲ
ン原子、ハロゲン化アルキル基(例えばトリハロメチル
基)、テトラヒドロフリル基およびテトラヒドロピラニ
ル基から成る群より選択される前記の熱可塑性樹脂組成
物。 前記式(I)において、nが0.5 〜100 の範囲にある
前記のいずれかの熱可塑性樹脂組成物。 (C)末端変性ポリプロピレンが、バナジウム化合物
と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、
プロピレンをリビング重合して得られたものである前記
のいずれかの熱可塑性樹脂組成物。 各成分の量が、(A)1〜95重量%、(B)1〜9
5重量%および(C)0.1〜95重量%である前記の
いずれかの熱可塑性樹脂組成物。 前記のいずれかの熱可塑性樹脂組成物の製造方法であ
って、各成分を200〜350℃で溶融混練する方法。
【0013】次に、本発明を説明する。まず、(A)ポ
リアミドとしては、例えばジアミンとジカルボン酸との
反応により得られるポリアミド;アミノカルボン酸から
誘導されるポリアミド;ラクタムから誘導されるポリア
ミド;およびこれらの成分から成る共重合ポリアミド、
またはこれらのポリアミドの混合物が挙げられる。前記
ジアミンとしては、脂肪族、脂環式または芳香族系のジ
アミンがいずれも使用でき、例えばヘキサメチレンジア
ミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミ
ン、2,2,4-または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジア
ミン、1,3-または1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキ
サン、ビス(p-アミノシクロヘキシルメタン)、m-また
はp-キシリレンジアミン等が挙げられる。前記ジカルボ
ン酸としては、脂肪族、脂環式または芳香族系のジカル
ボン酸がいずれも使用でき、例えばアジピン酸、スベリ
ン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。前記アミノカ
ルボン酸としては、例えば6-アミノカプロン酸、11- ア
ミノウンデカン酸、12- アミノドデカン酸等が挙げられ
る。前記ラクタムとしては、例えばε‐カプロラクタ
ム、ω‐ドデカラクタム等が挙げられる。ポリアミドの
具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン61
0 、ナイロン9、ナイロン 6/66、ナイロン66/610 、
ナイロン6/11、ナイロン6/12、ナイロン12、ナイロ
ン46、非晶質ナイロン等が挙げられる。これらの中で
は、剛性、耐熱性の良好な点でナイロン6およびナイロ
ン66が好ましい。
【0014】分子量は特に限定されないが、通常、相対
粘度ηr ( JIS K6810に従い、98%硫酸中で測定)が
0.5以上のポリアミドが用いられ、中でも2.0以上
のものが機械的強度が優れている点で好ましい。
【0015】本発明で使用する(B)ポリオレフィン
は、特に限定されず、公知のポリオレフィンが使用でき
る。例えばα‐オレフィン(エチレンを含む)の単独重
合体;2種以上のα‐オレフィンの共重合体(ランダ
ム、ブロック、グラフト等いずれの共重合体も含み、こ
れらの混合物であってもよい);またはオレフィン系エ
ラストマーが挙げられる。α‐オレフィンとしては、例
えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、3-
メチル-1- ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘプテ
ン、1-オクテン、1-デセン等が挙げられる。
【0016】エチレン単独重合体としては、低密度ポリ
エチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDP
E)および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)など
を用いることができる。ポリプロピレンとしては、プロ
ピレン単独重合体に限らず、プロピレンとエチレンとの
ブロック共重合体またはランダム共重合体を含む。共重
合体の場合、エチレン含有量が20重量%以下のエチレ
ン‐プロピレン共重合体であり、このようなポリプロピ
レンは通常0.1 〜200 g/10分の範囲のメルトフローレ
ート(MFR、JIS K7210 に従い、荷重2.16kg、230 ℃
にて測定)を有する。上記したポリエチレンやポリプロ
ピレンは、オレフィン系エラストマーを40重量%程度
まで含んでいてもよい。
【0017】ここで、オレフィン系エラストマーとは、
エチレンと、1種または2種以上のエチレン以外のα‐
オレフィン(例えばプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセ
ン、4-メチル-1- ペンテン等)との共重合体ゴムを意味
する。典型的には、エチレン‐プロピレン共重合体ゴム
(EPR)、エチレン‐ブテン共重合体ゴム(EB
R)、エチレン‐プロピレン‐ジエン共重合体ゴム(E
PDM)等が挙げられる。エチレン‐プロピレン‐ジエ
ン共重合体ゴム(EPDM)中のジエンとしては、例え
ばジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオ
クタジエン、メチレンノルボルネン等の非共役ジエンま
たはブタジエン、イソプレン等の共役ジエンを使用する
ことができる。また、これらEPR、EBRおよびEP
DMは、他の繰り返し単位、例えば4-メチル-1- ペンテ
ンなどの他のα‐オレフィンから誘導される繰り返し単
位を10モル%以下の割合まで含んでいてもよい。
【0018】好ましいポリオレフィンは、エチレンまた
はプロピレンの単独重合体、エチレンとプロピレンとの
共重合体、エチレンまたはプロピレンと他のα‐オレフ
ィンとの共重合体、オレフィン系エラストマーである。
【0019】次に、(C)末端変性ポリプロピレンは、
前記式(I)で示される末端構造を有するポリプロピレ
ンである。このような末端変性ポリプロピレンは、本出
願人により見出されたものであり、特開平5-194633号公
報、特開平5-59118 号公報、特開平6-122709号公報およ
び特開平6-122710号公報に記載されている。ここで、ポ
リプロピレンとしては、プロピレン単独重合体に限ら
ず、プロピレンと他のα‐オレフィン(例えばエチレ
ン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン等)
との1種または2種以上のブロック共重合体もしくはラ
ンダム共重合体または共重合体ゴムを包含する。前記式
(I)で示される末端構造を有するポリプロピレンは、
種々の末端基重合度を有する末端変性ポリプロピレンの
組成物であり、nはその平均値である。nは0.1 〜500
、好ましくは0.5 〜100 である。前記式(I)におい
て、Cm 2mは、直鎖状でも、分枝状でもよい。すなわ
ち、Yは、Cm 2mの任意の位置の炭素原子に結合する
ことができる。Cm 2mとしては例えば、エチレン、ト
リメチレン、プロピレン(すなわちメチルエチレン)、
テトラメチレン、エチルエチレン、1-メチルトリメチレ
ン、ペンタメチレン、プロピルエチレン、ヘキサメチレ
ン、ブチルエチレン等が挙げられる。好ましいYを次に
挙げる:次式(a):
【0020】
【化9】 (上記式中、Ra 、Rb およびRc は、同じでも異なっ
ていてもよく、炭素数1〜8(好ましくは1〜4)のア
ルキル基もしくはアルコキシ基を表し、qは0または1
である)で示される基;次式(b):
【0021】
【化10】 (上記式中、Rd は水素原子またはメチル基を表す)で
示される基;次式(c):
【0022】
【化11】 (上記式中、Re およびRf は同じでも異なっていても
よく、炭素数1〜4のアルキル基を表す)で示される
基;炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ
素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ハロゲン
化アルキル基、例えばトリハロメチル基(例えばトリク
ロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル
等)、2,2,2-トリハロエチル基(例えば2,2,2-トリフル
オロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基等)、テトラ
ヒドロフリル基(テトラヒドロフラン-3- イル基および
テトラヒドロフラン-2- イル基)、およびテトラヒドロ
ピラニル基(テトラヒドロピラン-2- イル基、テトラヒ
ドロピラン-3- イル基およびテトラヒドロピラン-4- イ
ル基)から成る群より選択される基。
【0023】上記式において、アルキル基またはアルコ
キシ基は直鎖状でも分枝状でもよく、アルキルとしては
例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブ
チル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イ
ソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、ヘキシル、イ
ソヘキシル、s-ヘキシル、t-ヘキシル、ヘプチル、オク
チル等が挙げられる。
【0024】上記した末端構造(I)を有するポリプロ
ピレンは、次のようにして製造できる。すなわち、次式
(II) :
【0025】
【化12】 (上記式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ独立し
て、水素原子または炭素数1〜8個を有する炭化水素基
を表す。ただし、R1 〜R3 の少なくとも1つが水素原
子である必要があるが、R1 〜R3 の全部が水素原子で
あってはならない。)で示されるバナジウム化合物と有
機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下でプロピ
レンをリビング重合して得られるリビングポリプロピレ
ンを、次式(III):
【0026】
【化13】 (上記式中、RおよびXは前記と同義である)で示され
る化合物と反応させることにより製造する。
【0027】ここで、上記式(II) で示されるバナジウ
ム化合物の具体例について述べる。 (1) R2 が水素原子であり、R1 およびR3 が共に炭化
水素基である場合。R1/R3 の組合せとしては、例え
ばCH3 /CH3 、CH3 /C2 5 、C2 5/C2
5 、CH3 /C6 5 、C2 5 /C6 5 、C6
5 /C6 5 、CH3 /C6 5 CH2 、C6 5 CH
2 /C6 5 CH2 、C2 5 /C6 5CH2 、C6
5 /C6 5 CH2 が挙げられる。 (2) R2 が炭化水素基であり、R1 およびR3 のいずれ
か一方が水素原子で他方が炭化水素基である場合。R2
/R1 (もしくはR3 )の組合せとしては、例えばCH
3 /CH3 、C2 5 /CH3 、CH3 /C2 5 、C
2 5 /C2 5、C6 5 /CH3 、CH3 /C6
5 、C6 5 /C2 5 、C2 5 /C65 、C6
5 /C6 5 、C6 5 CH2 /CH3 、CH3 /C6
5 CH2、C6 5 CH2 /C6 5 CH2 、C6
5 CH2 /C2 5 、C2 5 /C6 5 CH2 、C6
5 CH2 /C6 5 、C6 5 /C6 5 CH2 が挙
げられる。 (3) R2 が水素原子であり、R1 およびR3 のいずれか
一方が水素原子で他方が炭化水素基である場合。R1
たはR3 としては、例えばCH3 、C2 5 、C
6 5 、C6 5 CH2 等が挙げられる。
【0028】これらの中でも特に、下記式(IV)で示さ
れる化合物、すなわちV(アセチルアセトナト)3 ;下
記式(V)で示される化合物、すなわちV(2-メチル-
1,3-ブタンジオナト)3 ;下記式(VI)で示される化合
物、すなわちV(1,3-ブタンジオナト)3 が好ましい。
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】
【化16】 次に、前記した触媒として用いられる有機アルミニウム
化合物は、一般式:
【0032】
【化17】Rm AlY3-m (上記式中、Rはアルキル基またはアリール基であり、
Yはハロゲン原子または水素原子であり、mは1≦m<
3を満たす任意の数である)で示される化合物を使用で
きる。好ましい有機アルミニウム化合物は、炭素数1〜
18個、好ましくは炭素数2〜6個を有する有機アルミニ
ウム化合物またはその混合物または錯化合物であり、例
えばジアルキルアルミニウムモノハライド、モノアルキ
ルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムセス
キハライドなどが挙げられる。ジアルキルアルミニウム
モノハライドとしては、例えばジメチルアルミニウムク
ロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアル
ミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムアイオダイ
ド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどが挙げら
れ;モノアルキルアルミニウムジハライドとしては、例
えばメチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウ
ムジクロリド、メチルアルミニウムジブロミド、エチル
アルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジアイオ
ダイド、イソブチルアルミニウムジクロリドなどが挙げ
られ;アルキルアルミニウムセスキハライドとしては、
例えばエチルアルミニウムセスキクロリドなどが挙げら
れる。
【0033】触媒におけるバナジウム化合物と有機アル
ミニウム化合物の割合は、バナジウム化合物1モル当た
り、有機アルミニウム化合物1〜1,000 モルが好まし
い。
【0034】プロピレンのリビング重合は、プロピレン
の単独重合以外に、プロピレンにエチレン、1-ブテン、
1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン等のα‐オレフィン
を共存させて重合することも可能である。
【0035】重合反応は、重合反応に対して不活性で、
かつ重合時に液状である溶媒中で行うのが好ましい。そ
のような溶媒としては、例えばプロパン、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素;シ
クロプロパン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水
素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
などが挙げられる。
【0036】プロピレンの重合時の重合触媒の使用量
は、プロピレン(および他のα‐オレフィン)1モル当
たり、バナジウム化合物が1×10-4〜0.1 モル、好まし
くは5×10-4〜5×10-2モルで、有機アルミニウム化合
物が1×10-4〜0.5 モル、好ましくは1×10-3〜0.1 モ
ルである。なお、バナジウム化合物1モル当たり、有機
アルミニウム化合物は4〜100 モル用いられるのが望ま
しい。
【0037】リビング重合は、通常−100℃〜100
℃で、0.5 〜50時間行われる。
【0038】得られるリビングポリプロピレンの分子量
および収量は反応温度および反応時間を変えることによ
り調節できる。重合温度を低温、特に−30℃以下にす
ることにより、単分散に近い分子量分布を持つポリマー
とすることができる。−50℃以下ではMw(重量平均
分子量)/Mn(数平均分子量)が、1.05〜1.40のリビ
ング重合体とすることができる。
【0039】重合反応時に、反応促進剤を用いることが
できる。反応促進剤としては、アニソール、水、酸素、
アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル等)、エステル(安息香酸エチル、酢酸エチル等)が
挙げられる。促進剤の使用量は、バナジウム化合物1モ
ル当たり、通常0.1 〜2モルである。
【0040】上記のようにして、約800 〜400,000 の数
平均分子量を持ち、単分散に近いリビングポリプロピレ
ンを製造できる。
【0041】次に、末端構造を導入するために、リビン
グポリプロピレンと、前記式(III)で示される化合物と
を反応させる。化合物(III)としては、例えばトリアル
キルシロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えばト
リメチルシロキシエチルメタクリレート);トリアルコ
キシシルリアルキル(メタ)アクリレート(例えばトリ
メチルシロキシプロピルメタクリレート);アルキレン
グリコールジ(メタ)アクリレート(例えばエチレング
リコールジメタクリレート);N,N-ジアルキルアミノア
ルキル(メタ)アクリレート(例えばジメチルアミノエ
チルメタクリレート)等を好ましくを使用できる。リビ
ングポリプロピレンと化合物(III)との反応は、リビン
グポリプロピレンが存在する反応系に、化合物(III)を
供給して反応させる方法が好ましい。反応は通常、−1
00℃〜150℃の温度で5分間〜50時間行う。反応
温度を高くするか、反応時間を長くすることにより、化
合物(III)ユニットによるポリプロピレン末端の変性率
を増大することができる。リビングポリプロピレン1モ
ルに対して、通常化合物(III)を1〜1,000 モル使用す
る。
【0042】リビングポリプロピレンと化合物(III)と
の反応物は、次いでプロトン供与体と接触させる。プロ
トン供与体としては、例えばメタノール、エタノール等
のアルコール類;フェノール類;塩酸、硫酸等の鉱酸が
挙げられる。アルコール類、フェノール類および鉱酸は
同時に用いてもよい。プロトン供与体は、通常大過剰に
用いられる。プロトン供与体との接触は通常、−100
℃〜100℃で1分間〜10時間行われる。
【0043】上記のようにして得られた末端変性ポリプ
ロピレンは、約800 〜500,000 の数平均分子量(Mn)
を有し、かつ前記のリビングポリプロピレンそのものを
踏襲した非常に狭い分子量分布(Mw/Mn=1.05〜1.
40)を有する。しかも、その末端に、平均して0.1 〜50
0 個、好ましくは0.5 〜100 個の前記末端構造を有す
る。
【0044】また、このようにして製造した末端変性ポ
リプロピレンは、シンジオタクチックダイアッド分率が
0.6 以上であることが1つの特徴である。
【0045】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記した
各成分を次の割合で含有する。すなわち、(A)0.1
〜99重量%、(B)0.1〜99重量%および(C)
0.01〜99重量%であり、好ましくは(A)1〜9
5重量%、(B)1〜95重量%および(C)0.1〜
95重量%である。
【0046】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記し
た成分の他に、慣用の添加剤、例えば充填剤や強化材
(ガラス繊維、炭素繊維、カ―ボンブラック、シリカ、
酸化チタンなど)、熱安定剤、光安定剤、酸化劣化防止
剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、発泡剤、耐候
剤、滑剤、離型剤、流動性改良剤等が含有されていても
よい。
【0047】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
市販されているエンジニアリングプラスチックス耐衝撃
改良剤が50重量%程度まで含まれていてもよい。その
ような耐衝撃改良剤としては、例えばスタフィロイド
(武田薬品(株)製)が挙げられる。
【0048】本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方
法は特に限定されないが、溶融混練法が好ましい。溶融
混練法としては、例えば1軸もしくは2軸の連続押出
機、バンバリ―ミキサ―、混練ロール、ブラベンダー、
ニ―ダ―などのバッチ式混練機等の公知の方法がいずれ
も使用できる。混練温度は、好ましくは200〜350
℃であり、混練時間は通常0.5〜15分間である。溶
融混練の際、各成分の混練順序は特に限定されず、各成
分を同時に溶融混練しても、任意の順序で順次添加して
もよい。また、溶液法により製造することもできる。
【0049】
【作用】本発明の樹脂組成物においては、各成分が良好
に相溶化していて、耐衝撃性に優れ、MFRが高いとい
った優れた特性を発揮する。その理由は必ずしも明らか
ではないが、特定末端構造を有する末端変性ポリプロピ
レンを介してポリアミドとポリオレフィンとが相溶化す
るためであると推測される。すなわち、溶融混練すると
末端変性ポリオレフィンの変性部分がポリアミドの界面
で作用し、一方末端変性ポリプロピレンのポリプロピレ
ン部分はポリオレフィンと相溶性であるので、各成分が
相溶化するようになると考えられる。特に、従来法で相
溶化剤として使用されていた変性ポリプロピレンが、ポ
リプロピレンの主鎖上に変性剤(MAH、エポキシ官能
基など)が分枝した形で導入されているのに対して、本
発明では、特定末端構造が分子鎖末端にだけ導入されて
いて、トゥルーブロック状になっているために優れた効
果が得られると考えられる。
【0050】しかも、本発明では、相溶化成分に酸を使
用しないため、従来法のように着色による樹脂組成物の
外観劣化を生じない。さらに、ポリプロピレンを、リビ
ング重合法を用いて製造することにより、分子量制御が
可能であり、末端官能基の導入量も自由に変化させるこ
とができる。また、各成分を一括混練して樹脂組成物を
得ることができるので、工業的に実施が容易であり、混
練に伴うコストが少なく、極めて実用性が高い。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。なお、実施例および比較例においては、以下の
物質を使用した。 (A)ポリアミド Ny−6:ナイロン6(ユニチカ株式会社製、A1030BR
L) Ny−66:ナイロン66(アイシーアイ(ICI)社製、
マラニールA125) AmNy:非晶質ナイロン(エムス(EMS)社製、EX
3038) (B)ポリオレフィン PP:ポリプロピレン、(東燃化学株式会社製、Y20
1)、メルトフローレート(MFR)(230 ℃、2.16kg
荷重で測定)1.5 g/10分 EPR:エチレン‐プロピレン共重合体ゴム(日本合成
ゴム株式会社製、EP912P)、MFR(230 ℃、2.
16kg荷重で測定)7.5 g/10分 (C)末端変性ポリプロピレン syn−PP−1:トリメチルシロキシエチルメタク
リレートで末端変性したシンジオタクチックポリプロピ
レン[R:CH3 、X:−CH2 −CH2 −O−Si
(CH3 3 ]、次のようにして製造した; (1) プロピレンのリビング重合 窒素ガスで十分置換した1リットルのステンレス製オー
トクレーブに、n-ヘプタン600 mlを入れ、−60℃に
冷却した。この温度で液化プロピレン200 mlを加え
た。次いで、150 ミリモルのAl(C2 5 2 Clの
n-ヘプタン溶液および30ミリモルのV(2-メチル-1,3-
ブタンジオナト)3 のトルエン溶液を加え、撹拌と共に
重合を開始した。プロピレンの重合を−60℃で10時間
行った。 (2) トリメチルシロキシエチルメタクリレート(HEMA-S
i )との反応 上記の反応系にトリメチルシロキシエチルメタクリレー
ト(HEMA-Si )100 mlを−60℃で添加し、系内の温
度を1時間かけて0℃に上昇させた後、同温度で撹拌し
て、HEMA-Si との反応を行った。10時間後、この反応溶
液を3リットルの無水アセトン中に注ぎ入れて、ポリマ
ーを析出させた。得られたポリマーを再度n-ヘプタンに
溶解させ、遠心分離により上澄み液を得た。この上澄み
液を、再度無水アセトン3リットル中に注ぎ入れて、再
度ポリマーを析出させた。得られたポリマーは、無水ア
セトンで5回洗浄した後、室温で減圧乾燥した。18gの
ポリマーが得られた。
【0052】得られたポリマーの分子量および分子量分
布を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)モデル150 (ウォーターズ(Waters)社製)を用いて
求めた。溶媒としてo-ジクロルベンゼンを用い、測定温
度135 ℃、溶媒流速1.0 ml/分にて行った。カラムは
GMH6HT(商品名、東ソー社製)を使用した。測定
に当り、東ソー社製の単分散ポリスチレン標準試料を用
い、ポリスチレンの検量線を求め、これよりユニバーサ
ル法によりポリプロピレンの検量線を作成した。得られ
たポリマーのGPC流出曲線は、単峰性であった。この
ポリマーのMnは、2.8 ×104 であり、Mw/Mnは
1.23と単分散に近い値であった。 (3) ポリマーの構造決定 トリメチルシリル基は同定が困難であるので、末端変性
シンジオタクチックポリプロピレンの末端部のトリメチ
ルシリル基をOH基で置き換えた化合物について、構造
決定を行った。すなわち上記(2) のHEMA-Si との反応後
の反応溶液の処理を無水アセトンの代わりにメタノール
を用いて次のようにして行った:反応溶液を3リットル
のメタノール中に注ぎ入れて、ポリマーを析出させた。
得られたポリマーを再度n-ヘプタンに溶解させ、遠心分
離により上澄み液を得た。この上澄み液を、再度メタノ
ール3リットル中に注ぎ入れて、再度ポリマーを析出さ
せた。得られたポリマーは、メタノールで5回洗浄した
後、室温で減圧乾燥した。かくして得られた末端OH基
を有する化合物について次の機器分析を行った: IR:日本分光工業社製モデルIR−810(商品名)
赤外線分光光度計を用いて、液膜法(KBr板)にて測
定した。1740cm-1にカルボニルの伸縮振動に基づく吸収
が観察された。また、3450cm-1付近にブロードなヒドロ
キシル基の吸収が認められたが、トリメチルシリル基の
吸収は認められなかった。
【0053】1 H−NMR:日本電子社製GSX−40
0(商品名)、フーリエ変換型NMRスペクトロメータ
ーを用い、400 MHz、30℃、パルス間隔15秒の条件
で測定した。試料は、重クロロホルムに溶解して調製し
た。ポリプロピレンのプロトンに起因するピーク(δ=
0.7 〜1.7 ppm )以外に、下記の化学シフト値からなる
ピークが観測された。
【0054】
【表1】
【0055】
【化18】 ポリプロピレン部分のプロトンシグナル(δ=0.7 〜1.
7 ppm )と、上記シグナルcの面積比から、先に得られ
たポリマーは、次式(i) :
【0056】
【化19】 で示される、ポリプロピレンの末端に5個のHEMA-Si ユ
ニットが結合したポリマーである(n=5.0 )と推定さ
れる。
【0057】syn−PP−1:トリメチルシロキシ
エチルメタクリレートで末端変性したシンジオタクチッ
クポリプロピレン[R:CH3 、X:−CH2 −CH2
−O−Si(CH3 3 ]。上記syn−PP−1の
製造方法に準じて、ただし反応時間を30分間にして製造
した。得られたポリマーは5.8 gであり、Mn=3.3×1
03 、Mw/Mn=1.21であった。1 H−NMRの分析
結果から、このポリマーは、上記化学式(i) で示され、
n=7.1 であると推定される
【0058】syn−PP−2:2-トリメチルシロキシ
プロピルメタクリレートで末端変性したシンジオタクチ
ックポリプロピレン[R:CH3 、X:−CH2 −CH
(CH3 )−O−Si(CH3 3 ]。上記syn−P
P−1の製造方法に準じて、ただしHEMA-Si の代わり
に2-トリメチルシロキシプロピルメタクリレート(HPMA
-Si )を使用して製造した。得られたポリマーは17gで
あり、Mn=2.9 ×104 、Mw/Mn=1.22であった。
1 H−NMRの分析結果から、このポリマーは、次式:
【0059】
【化20】 で示され、n=5.1 であると推定される。
【0060】syn−PP−3:3-トリメトキシシリル
プロピルメタクリレートで末端変性したシンジオタクチ
ックポリプロピレン[R:CH3 、X:−CH2 CH2
CH2 −Si(OCH3 3 ]。上記syn−PP−1
の製造方法に準じて、ただしHEMA-Si の代わりに3-ト
リメトキシシリルプロピルメタクリレート(TMSMA )を
使用し、反応時間を8時間にして製造した。得られたポ
リマーは19gであり、Mn=2.6 ×104 、Mw/Mn=
1.24であった。1 H−NMRの分析結果から、ポリプロ
ピレンに起因するピーク(δ=0.7 〜1.7 ppm )以外
に、下記の化学シフト値からなるピークが観測された。
【0061】
【表2】
【0062】
【化21】 ポリプロピレン部分のプロトンシグナル(δ=0.7 〜1.
7 ppm )と、上記シグナルaの面積比から、得られたポ
リマーは、ポリプロピレンの末端に8.9 個のTMSMA ユニ
ットが結合したポリマーである(n=8.9 )ことが判明
した。
【0063】syn−PP−4:エチレングリコールジ
メタクリレートで末端変性したシンジオタクチックポリ
プロピレン(R:CH3 、X:−CH2 CH2 −O−C
O−C(CH3 )=CH2 )。上記syn−PP−1
の製造方法に準じて、ただしHEMA-Si の代わりにエチレ
ングリコールジメタクリレート(EGMA)を使用して製造し
た。得られたポリマーは21gであり、Mn=3.1 ×1
04 、Mw/Mn=1.25であった。1 H−NMRの分析
結果から、ポリプロピレンに起因するピーク(δ=0.7
〜1.7 ppm )以外に、下記の化学シフト値からなるピー
クが観測された。
【0064】
【表3】
【0065】
【化22】 ポリプロピレン部分のプロトンシグナル(δ=0.7 〜1.
7 ppm )と、上記シグナルdの面積比から、得られたポ
リマーは、ポリプロピレンの末端に16.9個のEGMAユニッ
トが結合したポリマーである(n=16.9)ことが判明し
た。
【0066】syn−PP−5:N,N-ジメチルアミノエ
チルメタクリレートで末端変性したシンジオタクチック
ポリプロピレン(R:CH3 、X:−CH2 CH2 −N
(CH3 2 )。上記syn−PP−1の製造方法に
準じて、ただしHEMA-Si の代わりにN,N-ジメチルアミノ
エチルメタクリレート(DMMA)を使用して製造した。得ら
れたポリマーは22gであり、Mn=3.3 ×104 、Mw/
Mn=1.23であった。1 H−NMRの分析結果から、ポ
リプロピレンに起因するピーク(δ=0.7 〜1.7 ppm )
以外に、下記の化学シフト値からなるピークが観測され
た。
【0067】
【表4】
【0068】
【化23】 ポリプロピレン部分のプロトンシグナル(δ=0.7 〜1.
7 ppm )と、上記シグナルaの面積比から、得られたポ
リマーは、ポリプロピレンの末端に10個のDMMAユニット
が結合したポリマーである(n=10.0)ことが判明し
た。
【0069】syn−PP−6:N,N-ジエチルアミノエ
チルメタクリレートで末端変性したシンジオタクチック
ポリプロピレン(R:CH3 、X:−CH2 CH2 −N
(C2 5 2 )。上記syn−PP−1の製造方法
に準じて、ただしHEMA-Si の代わりにN,N-ジエチルアミ
ノエチルメタクリレート(DEMA)を使用して製造した。得
られたポリマーは18gであり、Mn=2.9 ×104 、Mw
/Mn=1.24であった。1 H−NMRの分析結果から、
ポリプロピレンに起因するピーク(δ=0.7 〜1.7 ppm
)以外に、下記の化学シフト値からなるピークが観測
された。
【0070】
【表5】
【0071】
【化24】 ポリプロピレン部分のプロトンシグナル(δ=0.7 〜1.
7 ppm )と、上記シグナルbの面積比から、得られたポ
リマーは、ポリプロピレンの末端に9.1 個のDEMAユニッ
トが結合したポリマーである(n=9.1 )ことが判明し
た。
【0072】なお、成分(C)の代わりに、比較例で以
下の物質を使用した。 PP−MAH:無水マレイン酸とポリプロピレンとのグ
ラフト共重合体、無水マレイン酸含有率0.25モル%、重
量平均分子量133,000 。なお、重量平均分子量は、GP
C法により測定したものであり、ポリプロピレン換算値
として求めた。 BF:ボンドファースト(住友化学工業株式会社製)IG
ETABOND 、グレードE、グリシジルメタクリレート(G
MA)とエチレンとの共重合体、GMA含有率12重量
%、MFR 3g/10分。
【0073】また、実施例および比較例で行った試験
は、以下のようにして測定した。 1)メルトフローレート(MFR):JIS K7210
に準拠して、275 ℃、2.16 kg 荷重にて測定した。 2)引張り剛性:JIS K7113に準拠して測定し
た。 3)破断強度(破断点伸び):JIS K7113に準拠
して測定した。 4)アイゾット衝撃強度:JIS K7110に準拠し
て、23℃にて、ノッチ付きで測定した。 5)表面剥離率:2号ダンベルに1mm2 四方の升目を碁盤
目状に100 個入れ、セロテープ(ニチバン(株)製)を
用いて、剥離の度合いを観察した。100 個当たりの剥離
した個数を%で求めた。
【0074】実施例1〜12 表6に示した各成分を、ラボプラストミルを用いて、窒
素シール下で、280 ℃、80 rpmの条件で5分間混練し、
クラッシャーにより粉砕した。得られた生成物を乾燥炉
で乾燥した後、射出成形により試験片を作成し、MF
R、引張り剛性、破断伸度、アイゾット衝撃強度、表面
剥離率を測定し、着色の有無を観察した。結果を表6に
示す。
【0075】
【表6】 表6において、成分(C)syn−PPの種類は、以下
のように略記した: 1−:syn−PP−1(トリメチルシロキシエチ
ルメタクリレートで末端変性したシンジオタクチックポ
リプロピレン、Mn=5.1 ×104 ) 1−:syn−PP−1(トリメチルシロキシエチ
ルメタクリレートで末端変性したシンジオタクチックポ
リプロピレン、Mn=3.3 ×103 ) 2:syn−PP−2(2-トリメチルシロキシプロピル
メタクリレートで末端変性したシンジオタクチックポリ
プロピレン) 3:syn−PP−3(3-トリメトキシシリルプロピル
メタクリレートで末端変性したシンジオタクチックポリ
プロピレン) 4:syn−PP−4(エチレングリコールジメタクリ
レートで末端変性したシンジオタクチックポリプロピレ
ン) 5:syn−PP−5(N,N-ジメチルアミノエチルメタ
クリレートで末端変性したシンジオタクチックポリプロ
ピレン) 6:syn−PP−6(N,N-ジエチルアミノエチルメタ
クリレートで末端変性したシンジオタクチックポリプロ
ピレン)比較例1 (A)ポリアミド80重量部および(B)ポリオレフィ
ン20重量部のみを配合し、成分(C)は配合しなかっ
た。実施例1と同様にして組成物を製造し、次いで射出
成形して、各評価を行った。結果を表7に示す。
【0076】比較例2 PP−MAH 0.4重量部をさらに配合し、ポリオレ
フィンを19.6重量部としたこと以外は比較例1と同
様にして組成物を製造し、次いで射出成形して、各評価
を行った。結果を表7に示す。
【0077】比較例3 (A)ポリアミド80重量部および(B)ポリオレフィ
ン5重量部に対してBFを15重量部配合した。実施例
1と同様にして組成物を製造し、次いで射出成形して、
各評価を行った。結果を表7に示す。
【0078】
【表7】
【0079】成分(A)および(B)の組成比が近い実
施例4と比較例1および2とを比較すると、相溶化剤成
分(C)を添加しなかった比較例1では、相溶性が悪い
ので、引張り剛性および破断点伸びが低く、アイゾット
衝撃強度が著しく低い。さらに、表面剥離率も非常に高
い。また、相溶化剤成分(C)の代わりにMAHで変性
したポリプロピレンを使用した比較例2では、流れ性
(MFR)が若干悪く、また引張り剛性およびアイゾッ
ト衝撃強度も低くなっており、着色が生じ、かつ表面剥
離率も上がっている。耐衝撃剤であるボンドファースト
を使用した比較例3では、流れ性(MFR)が非常に悪
く、また引張り剛性、破断点伸びおよびアイゾット衝撃
強度がいずれも低く、表面剥離もみられる。
【0080】
【発明の効果】本発明の組成物は、各成分が良好に相溶
化されており、よって耐衝撃性、引張り剛性、耐剥離性
などの力学的特性、耐熱性等の熱的特性、外観等の表面
特性および、耐水性、耐薬品性等の環境特性に優れてい
る。したがって、各種エンジニアリングプラスチックス
として、特に自動車の内外装品、電装部品、家電製品、
工業材料部品、スポーツ用品、家具、事務用品、包装材
料といった用途に使用されるのに好適である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリアミド0.1〜99重量%、
    (B)ポリオレフィン0.1〜99重量%、および
    (C)末端に、次式(I): 【化1】 [上記式中、Rは水素原子またはメチル基を表し;X
    は、−(Cm 2m)−Yで示される基であって、ここで
    m 2mは直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基であ
    り、mは1〜6の整数であり、Yはアルコキシシリル
    基、アルコキシシロキシ基、アルキルシリル基、アルキ
    ルシロキシ基、アクリレート基、メタクリレート基、ア
    ルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲ
    ン化アルキル基、テトラヒドロフリル基およびテトラヒ
    ドロピラニル基から成る群より選択される基であり;n
    は平均値であり、0.1 〜500 の範囲にある]で示される
    構造を含む末端変性ポリプロピレン0.01〜99重量
    %を含む熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記式(I)において、Yが、次式
    (a): 【化2】 (上記式中、Ra 、Rb およびRc は、同じでも異なっ
    ていてもよく、炭素数1〜8のアルキル基もしくはアル
    コキシ基を表し、qは0または1である)で示される基
    である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記式(I)において、Yが、次式
    (b): 【化3】 (上記式中、Rd は水素原子またはメチル基を表す)で
    示される基である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記式(I)において、Yが、次式
    (c): 【化4】 (上記式中、Re およびRf は同じでも異なっていても
    よく、炭素数1〜4のアルキル基を表す)で示される基
    である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記式(I)において、Yが、アルコキ
    シ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、テトラヒ
    ドロフリル基およびテトラヒドロピラニル基から成る群
    より選択される請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
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