JP3529871B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステルとポリオ
レフィンを含む熱可塑性樹脂組成物に関し、さらに詳し
くは、各成分が良好に相溶化されたポリエステルとポリ
オレフィンを含む熱可塑性樹脂組成物に関する。本発明
は特に、自動車の内外装品、電装部品、家電製品、スポ
ーツ用品、家具、事務用品などの用途において有用な前
記樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術およびその課題】ポリエステルは、耐熱
性、機械的強度および絶縁性に優れた樹脂である。一
方、ポリオレフィンは、低比重でしかも耐衝撃性に優
れ、また成形性や、耐水性、耐薬品性等の環境特性が良
好であるという特長を有する。そこでポリエステルとポ
リオレフィンとを配合して、両者の長所を備えた樹脂組
成物を製造する試みが行われてきた。ところが、ポリエ
ステルとポリオレフィンは互いの相溶性が悪いために、
両者を配合した熱可塑性樹脂組成物では、耐衝撃性およ
び機械的強度が低下してしまうという問題がある。 【0003】ポリエステルとポリオレフィンの相溶性を
向上させる試みとして、ポリエステルに、不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体、特に無水マレイン酸(MAH)
等の不飽和ジカルボン酸無水物を付加したポリオレフィ
ンを配合して溶融混練する方法が知られている。この方
法により、両者の相溶分散性が向上し、よって耐衝撃性
が優れ、吸水による劣化が防止された組成物が得られ
る。しかし、この方法では、ジカルボン酸無水物をポリ
オレフィンに付加させる際に、ポリオレフィンの架橋に
よる変質や劣化を生じてしまうこと、およびポリオレフ
ィンの特定部分を変性できないため、変性ポリオレフィ
ンの分子内反応、分子内会合等が生じてしまい、相溶化
による物性の改善が十分でない。また、ポリオレフィン
変性後に残留する未反応の酸とポリエステルが反応して
着色し、外観を損なうという問題もあった。 【0004】そこで本願出願人は既に、ポリエステルお
よびポリオレフィンを、グリシジルオキシ基を有する重
合性化合物および重合開始剤と共に溶融混練する方法
(特開平5-39329 号公報)を見出した。 【0005】本発明は、ポリエステルとポリオレフィン
とが良好に相溶化された、耐衝撃性、引張り強度、耐剥
離性等の力学的特性、耐熱性等の熱的特性、外観等の表
面特性および、耐水性、耐薬品性等の環境特性に優れた
熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリエス
テルとポリオレフィンの相溶化について鋭意検討を重ね
た結果、相溶化剤として、(メタ)アクリル酸ハライド
の残基を末端に備えたポリプロピレンを用いると、両者
の相溶化が良好であり、着色を生じることもなく優れた
前記特性を有する樹脂組成物が得られることを見出し、
本発明に到達した。 【0007】すなわち本発明によれば、(A)ポリエス
テル0.1〜99重量%、(B)ポリプロピレン0.1
〜99重量%、および(C)末端に、次式(I): 【0008】 【化2】 (上記式中、Raは水素原子またはメチル基を表し;X
はハロゲン原子であり;nは平均値であり、0.1〜5
00の範囲にある)で示される構造を有する、末端変性
ポリプロピレン0.01〜99重量%を含む熱可塑性樹
脂組成物が提供される。 【0009】好ましい態様として、次のものを挙げるこ
とができる: 前記式(I)において、Xが塩素原子または臭素原子
である前記の熱可塑性樹脂組成物。 (C)末端変性ポリプロピレンが、バナジウム化合物
と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、
プロピレンをリビング重合して得られたものである前記
のいずれかの熱可塑性樹脂組成物。 各成分の量が、(A)1〜95重量%、(B)1〜9
5重量%および(C)0.1〜95重量%である前記の
いずれかの熱可塑性樹脂組成物。 前記のいずれかの熱可塑性樹脂組成物の製造方法であ
って、各成分を200〜350℃で溶融混練する方法。 【0010】次に、本発明を説明する。まず、(A)ポ
リエステルは、特に限定されず、ジカルボン酸とジオー
ルとの重縮合で得られる公知のポリエステルが使用でき
る。ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、
イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。こ
れらは芳香環がアルキル基、ハロゲン原子等で置換され
ていてもよい。またジオールとしては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコー
ル等のアルキレングリコールなどの飽和二価アルコール
類が挙げられる。これらのジカルボン酸またはジオール
は、単独で使用してもよく、また2種以上組合せて用い
ることもできる。好ましいポリエステルとしては、例え
ばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピ
レンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレー
ト(ポリブチレンテレフタレート、PBT)、ポリヘキ
サメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン-1,4-
ジメチロールテレフタレート、ネオペンチルテレフタレ
ート等が挙げられる。これらのなかでは、ポリエチレン
テレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタ
レート(PBT)が好ましい。なお、グリコール成分
は、主なグリコールの他に、50重量%程度まで、他の
グリコールを含有していてもよい。例えばポリエチレン
テレフタレート(PET)の場合には、1,4-ブチレング
リコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリ
コール等を、またポリブチレンテレフタレート(PB
T)の場合には、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ヘキサメチレングリコール等を、50重量%程
度まで含有できる。 【0011】本発明で使用する(B)ポリオレフィン
は、特に限定されず、公知のポリオレフィンが使用でき
る。例えばα‐オレフィン(エチレンを含む)の単独重
合体;2種以上のα‐オレフィンの共重合体(ランダ
ム、ブロック、グラフト等いずれの共重合体も含み、こ
れらの混合物であってもよい);またはオレフィン系エ
ラストマーが挙げられる。α‐オレフィンとしては、例
えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、3-
メチル-1- ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘプテ
ン、1-オクテン、1-デセン等が挙げられる。 【0012】エチレン単独重合体としては、低密度ポリ
エチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDP
E)および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)など
を用いることができる。ポリプロピレンとしては、プロ
ピレン単独重合体に限らず、プロピレンとエチレンとの
ブロック共重合体またはランダム共重合体を含む。共重
合体の場合、エチレン含有量が20重量%以下のエチレ
ン‐プロピレン共重合体であり、このようなポリプロピ
レンは通常0.1 〜200 g/10分程度のメルトフローレー
ト(MFR、JIS K7210 に従い、荷重2.16kg、230 ℃に
て測定)を有する。上記したポリエチレンやポリプロピ
レンは、オレフィン系エラストマーを40重量%程度ま
で含んでいてもよい。 【0013】ここで、オレフィン系エラストマーとは、
エチレンと、1種または2種以上のエチレン以外のα‐
オレフィン(例えばプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセ
ン、4-メチル-1- ペンテン等)との共重合体ゴムを意味
する。典型的には、エチレン‐プロピレン共重合体ゴム
(EPR)、エチレン‐ブテン共重合体ゴム(EB
R)、エチレン‐プロピレン‐ジエン共重合体ゴム(E
PDM)等が挙げられる。エチレン‐プロピレン‐ジエ
ン共重合体ゴム(EPDM)中のジエンとしては、例え
ばジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオ
クタジエン、メチレンノルボルネン等の非共役ジエンま
たはブタジエン、イソプレン等の共役ジエンを使用する
ことができる。また、これらEPR、EBRおよびEP
DMは、他の繰り返し単位、例えば4-メチル-1- ペンテ
ンなどの他のα‐オレフィンから誘導される繰り返し単
位を10モル%以下の割合まで含んでいてもよい。 【0014】好ましいポリオレフィンは、エチレンまた
はプロピレンの単独重合体、エチレンとプロピレンとの
共重合体、エチレンまたはプロピレンと他のα‐オレフ
ィンとの共重合体、オレフィン系エラストマーである。 【0015】次に、(C)末端変性ポリプロピレンは、
前記式(I)で示される末端構造を有するポリプロピレ
ンである。ここで、ポリプロピレンとしては、プロピレ
ン単独重合体に限らず、プロピレンと他のα‐オレフィ
ン(例えばエチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル
-1- ペンテン等)との1種または2種以上のブロック共
重合体もしくはランダム共重合体または共重合体ゴムを
包含する。前記式(I)で示される末端構造を有するポ
リプロピレンは、種々の末端基重合度を有する末端変性
ポリプロピレンの組成物であり、nはその平均値であ
る。nは0.1 〜500 、好ましくは0.5 〜100 である。前
記式(I)において、ハロゲン原子は塩素原子または臭
素原子であるのが好ましい。 【0016】上記した末端構造(I)を有するポリプロ
ピレンは、次のようにして製造できる。すなわち、次式
(II) : 【0017】 【化3】 (上記式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ独立し
て、水素原子または炭素数1〜8個を有する炭化水素基
を表す。ただし、R1 〜R3 の少なくとも1つが水素原
子である必要があるが、R1 〜R3 の全部が水素原子で
あってはならない。)で示されるバナジウム化合物と有
機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下でプロピ
レンをリビング重合して得られるリビングポリプロピレ
ンを、次式(III): 【0018】 【化4】 (上記式中、Ra およびXは前記と同義である)で示さ
れる(メタ)アクリル酸ハライドと反応させることによ
り製造する。 【0019】ここで、上記式(II) で示されるバナジウ
ム化合物の具体例について述べる。 (1) R2 が水素原子であり、R1 およびR3 が共に炭化
水素基である場合。R1/R3 の組合せとしては、例え
ばCH3 /CH3 、CH3 /C2 5 、C2 5/C2
5 、CH3 /C6 5 、C2 5 /C6 5 、C6
5 /C6 5 、CH3 /C6 5 CH2 、C6 5 CH
2 /C6 5 CH2 、C2 5 /C6 5CH2 、C6
5 /C6 5 CH2 が挙げられる。 (2) R2 が炭化水素基であり、R1 およびR3 のいずれ
か一方が水素原子で他方が炭化水素基である場合。R2
/R1 (もしくはR3 )の組合せとしては、例えばCH
3 /CH3 、C2 5 /CH3 、CH3 /C2 5 、C
2 5 /C2 5、C6 5 /CH3 、CH3 /C6
5 、C6 5 /C2 5 、C2 5 /C65 、C6
5 /C6 5 、C6 5 CH2 /CH3 、CH3 /C6
5 CH2、C6 5 CH2 /C6 5 CH2 、C6
5 CH2 /C2 5 、C2 5 /C6 5 CH2 、C6
5 CH2 /C6 5 、C6 5 /C6 5 CH2 が挙
げられる。 (3) R2 が水素原子であり、R1 およびR3 のいずれか
一方が水素原子で他方が炭化水素基である場合。R1
たはR3 としては、例えばCH3 、C2 5 、C
6 5 、C6 5 CH2 等が挙げられる。 【0020】これらの中でも特に、下記式(IV)で示さ
れる化合物、すなわちV(アセチルアセトナト)3 ;下
記式(V)で示される化合物、すなわちV(2-メチル-
1,3-ブタンジオナト)3 ;下記式(VI)で示される化合
物、すなわちV(1,3-ブタンジオナト)3 が好ましい。 【0021】 【化5】 【0022】 【化6】 【0023】 【化7】 次に、前記した触媒として用いられる有機アルミニウム
化合物は、一般式: 【0024】 【化8】Rm AlY3-m (上記式中、Rはアルキル基またはアリール基であり、
Yはハロゲン原子または水素原子であり、mは1≦m<
3を満たす任意の数である)で示される化合物を使用で
きる。好ましい有機アルミニウム化合物は、炭素数1〜
18個、好ましくは炭素数2〜6個を有する有機アルミニ
ウム化合物またはその混合物または錯化合物であり、例
えばジアルキルアルミニウムモノハライド、モノアルキ
ルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムセス
キハライドなどが挙げられる。ジアルキルアルミニウム
モノハライドとしては、例えばジメチルアルミニウムク
ロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアル
ミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムアイオダイ
ド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどが挙げら
れ;モノアルキルアルミニウムジハライドとしては、例
えばメチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウ
ムジクロリド、メチルアルミニウムジブロミド、エチル
アルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジアイオ
ダイド、イソブチルアルミニウムジクロリドなどが挙げ
られ;アルキルアルミニウムセスキハライドとしては、
例えばエチルアルミニウムセスキクロリドなどが挙げら
れる。 【0025】触媒におけるバナジウム化合物と有機アル
ミニウム化合物の割合は、バナジウム化合物1モル当た
り、有機アルミニウム化合物1〜1,000 モルが好まし
い。 【0026】プロピレンのリビング重合は、プロピレン
の単独重合以外に、プロピレンにエチレン、1-ブテン、
1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン等のα‐オレフィン
を共存させて重合することも可能である。 【0027】重合反応は、重合反応に対して不活性で、
かつ重合時に液状である溶媒中で行うのが好ましい。そ
のような溶媒としては、例えばプロパン、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素;シ
クロプロパン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水
素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
などが挙げられる。 【0028】プロピレンの重合時の重合触媒の使用量
は、プロピレン(および他のα‐オレフィン)1モル当
たり、バナジウム化合物が1×10-4〜0.1モル、好まし
くは5×10-4〜5×10-2モルで、有機アルミニウム化合
物が1×10-4〜0.5 モル、好ましくは1×10-3〜0.1モ
ルである。なお、バナジウム化合物1モル当たり、有機
アルミニウム化合物は4〜100モル用いられるのが望ま
しい。 【0029】リビング重合は、通常−100℃〜100
℃で、0.5 〜50時間行われる。 【0030】得られるリビングポリプロピレンの分子量
および収量は反応温度および反応時間を変えることによ
り調節できる。重合温度を低温、特に−30℃以下にす
ることにより、単分散に近い分子量分布を持つポリマー
とすることができる。−50℃以下ではMw(重量平均
分子量)/Mn(数平均分子量)が、1.05〜1.40のリビ
ング重合体とすることができる。 【0031】重合反応時に、反応促進剤を用いることが
できる。反応促進剤としては、アニソール、水、酸素、
アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル等)、エステル(安息香酸エチル、酢酸エチル等)が
挙げられる。促進剤の使用量は、バナジウム化合物1モ
ル当たり、通常0.1 〜2モルである。 【0032】上記のようにして、約800 〜400,000 の数
平均分子量を持ち、単分散に近いリビングポリプロピレ
ンを製造できる。 【0033】次に、末端構造を導入するために、リビン
グポリプロピレンと、前記式(III)で示される(メタ)
アクリル酸ハライドとを反応させる。化合物(III)とし
ては、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル
酸ブロマイドが好ましく使用できる。リビングポリプロ
ピレンと化合物(III)との反応は、リビングポリプロピ
レンが存在する反応系に、化合物(III)を供給して反応
させる方法が好ましい。反応は通常、−100℃〜15
0℃の温度で5分間〜50時間行う。反応温度を高くす
るか、反応時間を長くすることにより、化合物(III)ユ
ニットによるポリプロピレン末端の変性率を増大するこ
とができる。リビングポリプロピレン1モルに対して、
通常化合物(III)を1〜1,000 モル使用する。 【0034】上記のようにして得られた末端変性ポリプ
ロピレンは、約800 〜500,000 の数平均分子量(Mn)
を有し、かつ前記のリビングポリプロピレンそのものを
踏襲した非常に狭い分子量分布(Mw/Mn=1.05〜1.
40)を有する。しかも、その末端に、平均して0.1 〜50
0 個、好ましくは0.5 〜100 個の前記末端構造を有す
る。 【0035】また、このようにして製造した末端変性ポ
リプロピレンは、シンジオタクチックダイアッド分率が
0.6 以上であることが1つの特徴である。 【0036】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記した
各成分を次の割合で含有する。すなわち、(A)0.1
〜99重量%、(B)0.1〜99重量%および(C)
0.01〜99重量%であり、好ましくは(A)1〜9
5重量%、(B)1〜95重量%および(C)0.1〜
95重量%である。 【0037】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記し
た成分の他に、慣用の添加剤、例えば充填剤や強化材
(ガラス繊維、炭素繊維、カ―ボンブラック、シリカ、
酸化チタンなど)、熱安定剤、光安定剤、酸化劣化防止
剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、発泡剤、耐候
剤、滑剤、離型剤、流動性改良剤等が含有されていても
よい。 【0038】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
市販されているエンジニアリングプラスチックス耐衝撃
改良剤が50重量%程度まで含まれていてもよい。その
ような耐衝撃改良剤としては、例えばスタフィロイド
(武田薬品(株)製)が挙げられる。 【0039】本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方
法は特に限定されないが、溶融混練法が好ましい。溶融
混練法としては、例えば1軸もしくは2軸押出機、バン
バリ―ミキサ―、混練ロール、ブラベンダー、ニ―ダ
―、バッチ式混練機等の公知の方法がいずれも使用でき
る。混練温度は、好ましくは200〜350℃であり、
混練時間は通常0.5〜15分間である。溶融混練の
際、各成分の混練順序は特に限定されず、各成分を同時
に溶融混練しても、任意の順序で順次添加してもよい。
また、溶液法により製造することもできる。 【0040】 【作用】本発明の樹脂組成物においては、各成分が良好
に相溶化していて、耐衝撃性に優れ、MFRが高いとい
った優れた特性を発揮する。その理由は必ずしも明らか
ではないが、(メタ)アクリル酸ハライド残基含有末端
構造を有する末端変性ポリプロピレンを介してポリエス
テルとポリオレフィンとが相溶化するためであると推測
される。すなわち、溶融混練すると末端変性ポリオレフ
ィンの変性部分がポリエステルの末端に結合し、一方末
端変性ポリプロピレンのポリプロピレン部分はポリオレ
フィンと相溶性であるので、各成分が相溶化するように
なると考えられる。特に、従来法で相溶化剤として使用
されていた変性ポリプロピレンが、ポリプロピレンの主
鎖上に変性剤(MAH、エポキシ官能基など)が分枝し
た形で導入されているのに対して、本発明では、(メ
タ)アクリル酸ハライド残基含有構造が分子鎖末端にだ
け導入されていて、トゥルーブロック状になっているた
めに優れた効果が得られると考えられる。 【0041】しかも、本発明では、相溶化成分に酸を使
用しないため、従来法のように着色による樹脂組成物の
外観劣化を生じない。さらに、ポリプロピレンを、リビ
ング重合法を用いて製造することにより、分子量制御が
可能であり、末端官能基の導入量も自由に変化させるこ
とができる。また、各成分を一括混練して樹脂組成物を
得ることができるので、工業的に実施が容易であり、混
練に伴うコストが少なく、極めて実用性が高い。 【0042】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。なお、実施例および比較例においては、以下の
物質を使用した。 (A)ポリエステル PBT:ポリブチレンテレフタレート(帝人株式会社
製、TRB−K)、固有粘度[η]1.0、 PET:ポリエチレンテレフタレート(帝人株式会社
製、TR 4500)、固有粘度[η]0.7 (B)ポリオレフィン PP:ポリプロピレン、(東燃化学株式会社製、J20
9)、メルトフローレート(MFR)(230 ℃、2.16kg
荷重で測定)9 dg/ 分 EPR:エチレン‐プロピレン共重合体ゴム(日本合成
ゴム株式会社製、EP912P)、MFR(230 ℃、2.
16kg荷重で測定)7.5 dg/分 (C)末端変性ポリプロピレン synPP−MACl-1:メタクリル酸クロリドで末端変性
したシンジオタクティックポリプロピレン(Ra =CH
3 、X=Cl)、次のようにして製造した; (1) プロピレンのリビング重合 窒素ガスで十分置換した1リットルのステンレス製オー
トクレーブに、n-ヘプタン600 mlを入れ、−60℃に
冷却した。この温度で液化プロピレン200 mlを加え
た。次いで、30ミリモルのAl(C2 5 2 Clのn-
ヘプタン溶液および3ミリモルのV(2-メチル-1,3- ブ
タンジオナト)3 のトルエン溶液を加え、撹拌と共に重
合を開始した。プロピレンの重合を−60℃で30分間行
った。 (2) メタクリル酸クロリドとの反応 上記の反応系にメタクリル酸クロリド100 mlを−60
℃で添加し、同温度で1時間反応させた。その後、この
反応溶液を、無水アセトン1リットル中に注ぎ入れて、
ポリマーを析出させた。得られたポリマーを再度n‐ヘ
プタンに溶解させ、これを遠心分離することにより、上
澄を得た。この上澄を再度、無水アセトン1リットル中
に注ぎ、ポリマーを析出させた。このポリマーを無水ア
セトンで5回洗浄し、室温で減圧乾燥し、2.81gのポリ
マーを得た。ポリマーの保存は窒素下にて行った。 【0043】得られたポリマーの分子量および分子量分
布を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)モデル150 (ウォーターズ(Waters)社製)を用いて
求めた。溶媒としてo-ジクロルベンゼンを用い、測定温
度135 ℃、溶媒流速1.0 ml/分にて行った。カラムは
GMH6HT(商品名、東ソー社製)を使用した。測定
に当り、東ソー社製の単分散ポリスチレン標準試料を用
い、ポリスチレンの検量線を求め、これよりユニバーサ
ル法によりポリプロピレンの検量線を作成した。得られ
たポリマーのGPC流出曲線は、単峰性であった。この
ポリマーのMnは、3.2 ×103 であり、Mw/Mnは
1.18と単分散に近い値であった。 (3) ポリマーの構造決定 IR:日本分光工業社製モデルIR−810(商品名)
赤外線分光光度計を用いて、液膜法(KBr板)にて測
定した。1740cm-1にカルボニルの伸縮振動に基づく吸収
が認められた。 【0044】1 H−NMR:日本電子社製GSX−40
0(商品名)、フーリエ変換型NMRスペクトロメータ
ーを用い、400 MHz、30℃、パルス間隔15秒の条件
で測定した。試料は、重クロロホルムに溶解して調製し
た。ポリプロピレンのプロトンに起因するピーク(δ=
0.7 〜1.7 ppm )以外に、(a) - C 3 に起因するピー
ク(δ=1.4〜1.9ppm )および(b) -C(=O)-C
起因するピーク(δ=2.6〜3.1ppm )が認められた。 【0045】また、ポリプロピレン部分のプロトンシグ
ナル(δ=0.7 〜1.7 ppm )と、シグナル(δ=2.6〜
3.1ppm)の面積比から、得られたポリマーは、ポリプロ
ピレンの末端に10個のメタクリル酸クロリドのユニッ
トが導入されたものである(n=10)ことが判明し
た。 【0046】synPP−MACl-2:メタクリル酸クロリ
ドで末端変性したシンジオタクティックポリプロピレン
(Ra =CH3 、X=Cl)。上記synPP−MACl-1
と同様にして、ただしAl(C2 5 2 Clの量を30
ミリモルから50ミリモルに、およびV(2-メチル-1,3-
ブタンジオナト)3 の量を3ミリモルから1ミリモルに
代えて、かつプロピレンの重合時間を20時間にして製造
した。得られたポリマーは53gであった。また、Mn
=8.6 ×104 、Mw/Mn=1.24であった。1H−NM
Rの分析結果はsynPP−MACl-1と同じであり、また
n=9であった。 【0047】synPP−MABr:メタクリル酸ブロマイ
ドで末端変性したシンジオタクティックポリプロピレン
(Ra =CH3 、X=Br)。上記synPP−MACl-1
の製造方法に準じて、メタクリル酸クロリドの代わりに
メタクリル酸ブロマイドを用いて製造した。得られたポ
リマーは3.01gであり、Mn=3.4 ×103 、Mw/
Mn=1.19であった。1 H−NMRの分析により、n=
11であることがわかった。 【0048】なお、成分(C)の代わりに、比較例で以
下の物質を使用した。 PP−MAH:無水マレイン酸とポリプロピレンとのグ
ラフト共重合体、無水マレイン酸含有率0.25モル%、重
量平均分子量133,000 。なお、重量平均分子量は、GP
C法により測定したものであり、ポリプロピレン換算値
として求めた。 BF:ボンドファースト(住友化学工業株式会社製)IG
ETABOND 、グレードE、グリシジルメタクリレート(G
MA)とエチレンとの共重合体、GMA含有率12重量
%、MFR 3g/10分。 【0049】また、実施例および比較例で行った試験
は、以下のようにして測定した。 1)メルトフローレート(MFR):JIS K7210
に準拠して、275 ℃、2.16 kg 荷重にて測定した。 2)引張り剛性:JIS K7113に準拠して測定し
た。 3)破断強度(破断点伸び):JIS K7113に準拠
して測定した。 4)アイゾット衝撃強度:JIS K7110に準拠し
て、23℃にて、ノッチ付きで測定した。 5)表面剥離率:2号ダンベルに1mm2 四方の升目を碁盤
目状に100 個入れ、セロテープ(ニチバン(株)製)粘着
テープを用いて、剥離の度合いを観察した。100個当た
りの剥離した個数を%で求めた。 【0050】実施例1〜8 表1に示した各成分を、ラボプラストミルを用いて、窒
素シール下で、280℃、80rpmの条件で5分間混
練し、クラッシャーにより粉砕した。得られた生成物を
乾燥炉で乾燥した後、射出成形により試験片を作成し、
MFR、引張り剛性、破断伸度、アイゾット衝撃強度、
表面剥離率を測定し、着色の有無を観察した。結果を表
1に示す。なお、実施例7、8は参考例である。 【0051】なお、(C)末端変性ポリプロピレンの反
応率は、組成物から200 μm厚のフィルムを作成し、12
0 ℃で2時間m-クレゾールで抽出した後テトラクロロエ
タン(TCE)洗浄したものを、再度フィルムにして、
FTIRにより定量して求めた。 【0052】 【表1】 比較例1 (A)ポリエステル80重量部および(B)ポリオレフ
ィン20重量部のみを配合し、成分(C)は配合しなか
った。実施例1と同様にして組成物を製造し、次いで射
出成形して、各評価を行った。結果を表2に示す。 【0053】比較例2 PP−MAH 0.4重量部をさらに配合したこと以外
は比較例1と同様にして組成物を製造し、次いで射出成
形して、各評価を行った。結果を表2に示す。比較例3 (A)ポリエステル80重量部および(B)ポリオレフ
ィン5重量部に対してBFを15重量部配合した。比較
例1と同様にして溶融混練して組成物を製造し、次いで
射出成形して、各評価を行った。結果を表2に示す。 【0054】 【表2】成分(A)および(B)の組成比が近い実施例4と比較
例1および2とを比較すると、相溶化剤成分(C)を添
加しなかった比較例1では、相溶性が悪いので、アイゾ
ット衝撃強度が非常に低く、また破断点伸びも低い。さ
らに表面剥離率も非常に高い。また、相溶化剤成分
(C)の代わりにMAHで変性したポリプロピレンを使
用した比較例2では、引張剛性および破断点伸びは高い
が、アイゾット衝撃強度が低く、かつ表面剥離率も上が
っており、しかも着色が生じている。耐衝撃剤であるボ
ンドファーストを使用した比較例3では、アイゾット衝
撃強度は高いが流れ性(MFR)が非常に悪く、表面剥
離もみられる。 【0055】 【発明の効果】本発明の組成物は、各成分が良好に相溶
化されており、よって耐衝撃性、引張り強度、耐剥離性
などの力学的特性、耐熱性等の熱的特性、外観等の表面
特性および、耐水性、耐薬品性等の環境特性に優れてい
る。したがって、各種エンジニアリングプラスチックス
として、特に自動車の内外装品、電装部品、家電製品、
工業材料部品、スポーツ用品、家具、事務用品、包装材
料といった用途に使用されるのに好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植木 聰 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番 1号 東燃株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平5−247122(JP,A) 特開 平5−17646(JP,A) 特開 平4−275363(JP,A) 特開 平6−65486(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)ポリエステル0.1〜99重量
    %、(B)ポリプロピレン0.1〜99重量%、および
    (C)末端に、次式(I): 【化1】 (上記式中、Raは水素原子またはメチル基を表し;X
    はハロゲン原子であり;nは平均値であり、0.1〜5
    00の範囲にある)で示される構造を有する、末端変性
    ポリプロピレン0.01〜99重量%を含む熱可塑性樹
    脂組成物。
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