JPH09324276A - 内面スズめっき長尺銅管の製造方法 - Google Patents
内面スズめっき長尺銅管の製造方法Info
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- JPH09324276A JPH09324276A JP8165397A JP16539796A JPH09324276A JP H09324276 A JPH09324276 A JP H09324276A JP 8165397 A JP8165397 A JP 8165397A JP 16539796 A JP16539796 A JP 16539796A JP H09324276 A JPH09324276 A JP H09324276A
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Abstract
用される耐食性内面スズめっき銅管が、長尺コイルの状
態で製造される。形成されたスズめっき皮膜は、膜厚の
ばらつきが少なく、密着性、耐食性に優れたものとな
る。 【解決手段】 銅管の内部に置換型無電解スズめっき液
を流通させることにより長尺銅管の内面にスズめっき皮
膜を形成させる方法において、銅管の内部を流通したの
ち銅管から流出した直後のめっき液中の全銅イオン濃度
を2価のスズイオン濃度で除した値が0.8以下となる
ようスズめっき皮膜の析出速度を調整して行う第1のめ
っき処理工程と、めっき液の温度を該第1のめっき処理
におけるめっき液の温度より高い温度としてめっき処理
する第2のめっき処理工程を包含する。
Description
管、熱交換器用配管などに使用される耐食性内面スズめ
っき銅管の製造方法、とくに皮膜欠陥がなく耐食性に優
れたスズめっき皮膜を形成することができる内面スズめ
っき長尺銅管の製造方法に関する。
として使用される銅管内面の耐食性を向上させ、銅イオ
ンの溶出を防止するために、銅管の内面にスズめっき皮
膜を形成することが知られており、とくにコイル状の長
尺銅管の内面にスズめっき皮膜を形成するための方法と
して、置換型無電解スズめっき液を銅管の内部に流通さ
せるめっき処理方法が提案されている。(特開平4-4528
2 号公報)
き処理する場合、簡便且つきわめて効率の良い方法であ
り、密着性に優れた薄いスズめっき皮膜が形成される
が、長期間使用すると、スズめっき皮膜の摩耗、剥離に
起因して銅イオンの溶出が検出されることが経験されて
おり、耐食性をさらに改善するために、スズめっき皮膜
を形成したのち、温水または水蒸気で酸化処理する方法
も提案されている。(特開平4-99180 号公報) しかしな
がら、この方法により形成したスズめっき皮膜も、使用
環境が厳しくなると孔食を生じる場合があるとともに、
一般に、長尺の銅管をめっき処理した場合には、全体に
均一なめっき皮膜が形成されず耐食性が不十分となる傾
向もあるため、なお一層の耐食性改善が望まれている。
数メートル以下の短尺銅管の内部にめっき液を循環させ
ることにより銅材料をスズめっき処理する場合には、め
っき浴中のスズイオンと銅イオンの濃度比、( 銅イオン
濃度/スズイオン濃度) の値を0.7以下の範囲内に管
理して、欠陥のない均一なめっき皮膜を形成させ、耐孔
食性などをさらに改善する方法が提案されている。(特
開平5-339741号公報) この方法においては、めっき液が上記管理範囲を外れた
場合、めっき液を更新し、またはスズ塩などの薬品を補
給して、めっき液の性能を管理範囲に保持することによ
り均一なめっき皮膜を形成する。
千数百メートルに及ぶコイル状の長尺銅管の内部にめっ
き液を流通してめっき処理する場合には、めっき液の管
内流通に時間がかかり、一方の管端からめっき液を導入
したのち、他方の管端からめっき液が流出するまでは、
管内部を流れるめっき液の性状を変えることはできな
い。銅管内部をめっき液が流通している間に、Sn2++
2Cu=Sn+2Cu+のめっき反応の結果として、ス
ズイオンが消耗し、次第に銅イオンが蓄積するから、め
っき液が流出する側の銅管内部にめっき皮膜の品質低下
が生じ易く、この傾向は被処理銅管な長くなるほど著し
い。従って、長尺銅管のスズめっき処理においては、前
記短尺銅管のスズめっき処理方法とは別の観点からめっ
き液を所定の性能範囲に管理することが必要となる。
めっきを行う場合には、硫酸第一スズなどを含有してな
るめっき液を流通させるが、通常、めっき処理は60〜
70℃の高温で行われる。これは、例えば、40℃以下
のような低温でめっき処理を行うと、めっき皮膜の析出
速度が遅いため厚膜の形成が困難で、析出するスズ粒子
のサイズもばらつくためピンホールも多くなり、耐食性
をそなえた均一なめっき皮膜が得られないためである。
しかしながら、長尺銅管を高温でスズめっき処理した場
合には、めっき皮膜の析出速度が速いため、スズイオン
の消耗、銅イオンの蓄積が促進され、めっき液が流出す
る側における銅管内面のめっき皮膜の膜厚が低下し、ピ
ンホールも増加し、密着性の低下も生じ易くなり、長さ
が200m(9m2 )前後の銅管までしか処理できない
のが現状である。
内面スズめっき処理における上記従来の問題を解消する
ために、管内部にめっき液を流通させる長尺銅管の置換
型無電解スズめっき処理において、種々の長さの銅管に
ついて、管内に導入されるめっき液および管端から流出
するめっき液の性状、めっき処理条件と管内面スズめっ
き皮膜の析出との関係を多角的に検討した結果としてな
されたものであり、その目的は、ピンホールなどの欠陥
がなく、密着性に優れ、耐潰食性、耐孔食性などの耐食
性が良好な内面スズめっき皮膜を有する内面スズめっき
長尺銅管の製造方法を提供することにある。
めの本発明による内面スズめっき長尺銅管の製造方法
は、銅管の内部に置換型無電解スズめっき液を流通させ
ることにより長尺銅管の内面にスズめっき皮膜を形成さ
せる方法において、銅管の内部を流通したのち銅管から
流出した直後のめっき液中の全銅イオン濃度を2価のス
ズイオン濃度で除した値が0.8以下となるようスズめ
っき皮膜の析出速度を調整してめっき処理する第1のめ
っき処理工程と、めっき液の温度を該第1のめっき処理
におけるめっき液の温度より高い温度としてめっき処理
する第2のめっき処理工程を包含することを構成上の特
徴とする。
めっき処理におけるめっき液の温度を20℃以上60℃
未満、第2のめっき処理におけるめっき液の温度を60
℃以上80℃以下とすること、および銅管内部のめっき
液の流通を止めることなく、めっき液の温度を連続的に
上げ、第1のめっき処理および第2のめっき処理を行う
ことを発明構成上の第2および第3の特徴とする。
通したのち銅管から流出した直後のめっき液中の全銅イ
オン濃度を2価のスズイオン濃度で除した値(全Cuイ
オン濃度/2価のSnイオン濃度)が0.8以下となる
ようスズめっき皮膜の析出速度を調整して、第1のめっ
き処理を行う。長尺銅管の一端部からめっき液を導入
し、他端部からめっき液を流出させることにより、管内
部でめっき反応を行わせ、管内面にめっき皮膜を形成す
る場合、流通するめっき液が流出側管端部に達したとき
に、めっき液中の(全Cuイオン濃度/2価のSnイオ
ン濃度)の値が最高値となるから、この値を0.8以下
とすることにより、被処理銅管全長において、めっき反
応中、上記濃度比が0.8以下に維持され、被処理銅管
の全長にわたって均一かつ良好なめっき皮膜が形成され
る。全Cuイオン濃度/2価のSnイオン濃度の値は低
いほうがよく、0.6以下にするのがより好ましい。
換型無電解スズめっき処理工程の第1のめっき処理にお
いて、銅管から流出するめっき液中の全銅イオン濃度を
2価のスズイオン濃度で除した値を常時0.8以下の調
整することは必ずしも必要ではなく、めっき処理の開始
時、長尺銅管の一端部からめっき液を導入し、管内部を
流通しためっき液を、他端部から流出させる場合、最初
に銅管から流出した直後のめっき液の性状として、めっ
き液中の全銅イオン濃度を2価のスズイオン濃度で除し
た値が0.8以下、好ましくは0.6以下を満足してい
ればよい。
オン濃度/2価のSnイオン濃度の値を0.8以下にし
ためっき液でスズめっき皮膜を形成しておくことが重要
であり、形成された良好な初期皮膜が、その上に成長す
るめっき皮膜の核となって、品質の良いめっき皮膜が得
られる。めっき液中の全銅イオン濃度を2価のスズイオ
ン濃度で除した値が0.8を越えると、析出するめっき
皮膜にCu−Sn金属間化合物が多く含まれるようにな
るため、密着性不良など、皮膜の品質低下が生じる。と
くに、めっき処理の初期段階において、この濃度比が
0.8を越えるめっき液でめっき皮膜を形成すると、そ
の後に0.8以下の濃度比を有するめっき液で処理して
も、品質の良いめっき皮膜を形成することができ難い。
めっき処理すべきコイル状の長尺銅管を、常法に従って
脱脂、洗浄し、必要に応じて、酸溶液中で軽いエッチン
グ処理を行い、十分に水洗、乾燥したのち、第1スズ塩
を含む置換型無電解スズめっき液を銅管の一端部から導
入し、管内部を流通させることによって第1のめっき処
理を行う。
た直後のめっき液中の全Cuイオン濃度を2価のSnイ
オン濃度で除した値を0.8以下になるようめっき皮膜
の析出速度を調整するには、めっき液の温度を比較的低
い温度、好ましくは20℃以上60℃未満、より好まし
くは20〜40℃としてめっき処理を行う。めっき液の
温度を低くしてめっき処理することにより、めっき反応
が抑制されて、めっき液の流出側まで、流通するめっき
液中におけるSnイオンの析出、Cuイオンの溶出が抑
えられ、良好な初期めっき皮膜が形成される。
温度がより低いほど、めっき液の流出部における全Cu
イオンも濃度/2価のSnイオン濃度の比を小さくする
ことができるが、20℃未満では、めっき液中に沈殿が
生じ易くなり、60℃を越えると密着性の良い初期皮膜
が形成されない。第1のめっき処理工程におけるめっき
液の温度は、めっき処理される銅管の長さにより調整さ
れ、例えば、めっき液温度20〜40℃において、外径
15.88mm 、肉厚0.71mm、長さ2000m 前後の銅管を処理
し、良好な初期スズめっき皮膜を形成することが可能で
ある。
通を継続すると、めっき皮膜の成長がきわめて遅く、所
望の膜厚のめっき皮膜を得るまでに長時間を要するのみ
でなく、析出するSn粒子の大きさにばらつきが生じ、
ピンホールが発生し易くなるため、耐食性に優れためっ
き皮膜の形成が期待できない。このような問題点を解消
するため、本発明においては、めっき液の温度を比較的
低温としてめっき処理する第1のめっき処理工程と、め
っき液の温度を第1のめっき処理におけるめっき液の温
度より高くしためっき液を流通させ、Snの析出速度を
高めた第2のめっき処理工程を組合わせ、第1のめっき
処理工程で形成された初期皮膜の上に、めっき皮膜を成
長させる。
は、好ましくは60℃以上80℃以下、より好ましくは
60〜70℃の温度範囲とする。めっき液を加熱する方
法としては、めっき浴中のめっき液を適宜の手段で加熱
する方法、銅管を加熱し、流通しているめっき液の温度
を上げる方法などがあるが、銅管を加熱する手段は加熱
設備が大型化するおそれもあるから、めっき浴中で加熱
する方法がより簡便である。なお、第1のめっき処理
後、水洗、乾燥を行うと、第1のめっき処理工程で析出
したスズの表面が酸化され、めっき皮膜の成長が低下し
易いから、第1のめっき処理後、何らの処理を行うこと
なく、そのままの状態で第2のめっき処理を行うのが好
ましい。
ら第2のめっき処理工程に移行する態様としては、まず
第1のめっき処理を所定時間行ったのち、めっき浴中の
めっき液の温度を高め、所定の温度となった時点で第2
のめっき処理を開始する方法、第1のめっき処理を所定
時間行ったのち、めっき液の流通を止めることなしに、
めっき浴中のめっき液の温度を上げながら、さらに流通
を続け、めっき液温度が所定温度になった時点でめっき
液の加熱を止め、所定時間めっき液を流通させることに
より第2のめっき処理を行う方法、銅管内部のめっき液
の流通を止めることなく、めっき処理開始時あるいは開
始後のある時点から、めっき浴中のめっき液温度を連続
的に上げて、第1のめっき処理および第2のめっき処理
を行う方法、予め、めっき液の温度を所定温度に上げた
めっき浴を準備し、第1のめっき処理終了後、該めっき
浴のめっき液を流通させることにより第2のめっき処理
を行う方法などがある。
き処理材とし、クロム硫酸溶液(10 %無水クロム酸、1
%硫酸)で酸洗浄し、十分に水洗、乾燥した。ついで、
市販の置換型無電解スズめっき液(第一スズ塩0.1mol/
l、有機イオウ化合物1mol/l、有機カルボン酸塩0.1mol/
l、硫酸0.5mol/l、芳香族スルホン酸塩0.2mol/l、ノニ
オン系界面活性剤1g/l) に銅イオン( 硫酸銅) を添加し
て、めっき液中の全Cuイオン濃度/2価のSnイオン
濃度の比を、表1に示すように調整し、これらのめっき
液に上記の銅板を浸漬して、まず30℃×30min の処理条
件で第1のめっき処理を行い、続いて、めっき液を加熱
して70℃×60min の処理条件で第2のめっき処理を行っ
てスズめっき皮膜を形成させた。
性および耐食性を以下に示す方法で評価した。 (1) 密着性評価:テープ( ニットーNo.31B) による剥離
試験を行って、めっき皮膜を剥離させ、剥離の有無を目
視により観察した。 (2) 耐食性評価:試験材のめっき皮膜表面に、pHを6
に調整した名古屋市上水のジェット流を5日間当て続
け、腐食発生の有無を観察した。なお、ジェット流の噴
出孔の直径は1.5mm 、噴出孔とめっき皮膜表面との距離
は2mm とした。
従う試験材No.1〜5 はいずれも、密着性に優れ、最大腐
食深さ0.05mm未満の耐食性良好なめっき皮膜が形成され
ていた。一方、めっき液中の全Cuイオン濃度/2価の
Snイオン濃度の比( 表中、イオン濃度比) が0.8を
越えている試験材No.6〜8 のスズめっき皮膜は、密着性
がわるく、最大腐食深さ0.05mm以上の腐食が生じた。
ン脱酸銅管を被めっき処理材とし、その内面を、市販の
脱脂剤( アミン化合物10%、塩酸9 %、ノニオン系界面
活性剤5 %)で脱脂し、硫酸13%、硝酸4 %の混酸液で
ソフトエッチングしたのち、十分に水洗し乾燥した。つ
いで、市販の置換型無電解スズめっき液(第一スズ塩0.
1mol/l、有機イオウ化合物1mol/l、有機カルボン酸塩0.
1mol/l、硫酸0.5mol/l、芳香族スルホン酸塩0.2mm/l 、
ノニオン系界面活性剤1g/l) を、被めっき処理材の銅管
の内部に流通させ、表2に示す条件で第1のめっき処理
および第2のめっき処理を実施した。なお、第1のめっ
き処理後、めっき液の管内流通を止めることなしに、め
っき浴内のめっき液を70℃の温度まで1 ℃/minの加熱速
度で昇温し、昇温してからめっき処理が終了するまでの
時間を、第2のめっき処理の処理時間とした。
全Cuイオン濃度を2価のSnイオン濃度で除した値
燥し、流通するめっき液を導入する管端部とめっき液が
流出する管端部からそれぞれ1mの位置から試験材を採取
して、以下に示すめっき皮膜厚、ピンホール密度の測
定、めっき皮膜の密着性および耐食性の評価を行った。 (1) めっき皮膜厚測定:(株)中央製作所製電解式めっ
き膜厚測定器TH−10Pを用いて測定。 (2) ピンホール密度測定:30%アンモニア水270ml 、純
水630ml および過硫酸アンモニウム135gを混合した溶液
を、めっき処理した試験材( 長さ10cm) に充填し、室温
に1 時間放置後、水洗、乾燥し、めっき皮膜をテープ(
ニットーNo.31B)で剥離させ、銅の点状露出部分をピン
ホールとして顕微鏡観察により計数し、この計数値を検
査面積で除した値として求めた。
ープ(ニットーNo.31B) でめっき皮膜を剥離させ、剥離
の有無を目視で観察した。 (4) 耐食性評価:試験材を10cmの長さに切断し、これを
半割りにして、めっき皮膜の表面に、pHを6に調整し
た名古屋市上水のジェット流を5日間当て続け、銅の腐
食発生を観察した。なお、ジェット流の噴出孔の直径は
1.5mm 、噴出孔とめっき皮膜表面との距離は2mm とし
た。
材にも、めっき液の導入側、めっき液の流出側ともに、
ピンホールが皆無あるいはほとんどなく、密着性にも優
れたスズめっき皮膜が形成された。これらのめっき皮膜
には腐食の発生が認められず、めっき皮膜の耐食性はき
わめて優れていた。
例2と同様に前処理し、実施例2と同じめっき液を使用
して、表4に示す処理条件でめっき処理を行ったのち、
実施例2と同様の方法で、めっき皮膜厚、ピンホール密
度を測定し、めっき皮膜の密着性および耐食性を評価し
た。結果を表5に示す。
は、比較的高温のめっき液を使用して1段階のめっき処
理を行ったものであるため、とくにめっき液流出側の銅
管端部においては、めっき皮膜にピンホールが多く発生
して密着性が低下するとともに耐食性が劣り、腐食試験
において潰食が発生した。
ン脱酸銅管を被めっき処理材とし、予め1 %硫酸と5 %
無水クロム酸の混合液で内面を洗浄し、十分に水洗、乾
燥した。ついで、硫酸第一スズ0.2mol/l、チオ尿素1mol
/l、次亜リン酸ナトリウム0.2mol/l、硫酸1mol/l、アル
カノールスルホン酸0.2mol/l、非イオン界面活性剤1g/l
を含有する置換型無電解スズめっき液を使用して、表6
に示す条件でめっき処理した。
℃から開始し、めっき液の流通を止めることなく、昇温
速度0.5 ℃/minでめっき液を70℃の温度まで加熱し、め
っき液が流出する銅管端部のめっき皮膜厚が2.0 μm に
達するまで、めっき処理を続けた。めっき処理時間は合
計で150minであった。
し、めっき液の流出端部より1mの位置から試験材を採取
し、実施例2と同じ方法で、めっき皮膜厚、ピンホール
密度の測定および密着性評価を行った。さらに、試験材
を10cmに切断後、半割りにして、外面の銅露出部をエナ
メル樹脂でマスキングし、東京都上水模擬水中、200mVv
s SCEで3日間定電位電解し、銅の腐食の有無を観察
し、耐食性を評価した。結果を表7に示す。表7にみら
れるように、本発明に従う試験材No.15 〜16のスズめっ
き皮膜はいずれも、ピンホールがほとんどなく、耐食性
に優れたものであった。
管を、実施例3と同様に前処理し、実施例3と同じスズ
めっき液を使用して、表8に示す処理条件で置換型無電
解スズめっき処理したのち、実施例3と同じ方法で、め
っき皮膜厚、ピンホール密度を測定し、めっき皮膜の密
着性および耐食性の評価を行った。結果を表9に示す。
1段階のめっき処理を行った試験材No.17 〜18に形成さ
れたスズめっき皮膜は、ピンホールの発生が多く、密着
性に劣っていた。腐食試験においても孔食が生じた。
管の内面に皮膜厚のばらつきが少なく、ピンホールがな
く密着性に優れ、潰食や孔食の発生のない耐食性良好な
スズめっき皮膜を安定して形成させることができる。
管、熱交換器用配管などに使用される耐食性内面スズめ
っき銅管の製造方法、とくに皮膜欠陥がなく耐食性に優
れたスズめっき皮膜を形成することができる内面スズめ
っき長尺銅管の製造方法に関する。
として使用される銅管内面の耐食性を向上させ、銅イオ
ンの溶出を防止するために、銅管の内面にスズめっき皮
膜を形成することが知られており、とくにコイル状の長
尺銅管の内面にスズめっき皮膜を形成するための方法と
して、置換型無電解スズめっき液を銅管の内部に流通さ
せるめっき処理方法が提案されている。(特開平4−4
5282号公報)
き処理する場合、簡便且つきわめて効率の良い方法であ
り、密着性に優れた薄いスズめっき皮膜が形成される
が、長期間使用すると、スズめっき皮膜の摩耗、剥離に
起因して銅イオンの溶出が検出されることが経験されて
おり、耐食性をさらに改善するために、スズめっき皮膜
を形成したのち、温水または水蒸気で酸化処理する方法
も提案されている。(特開平4−99180号公報)し
かしながら、この方法により形成したスズめっき皮膜
も、使用環境が厳しくなると孔食を生じる場合があると
ともに、一般に、長尺の銅管をめっき処理した場合に
は、全体に均一なめっき皮膜が形成されず耐食性が不十
分となる傾向もあるため、なお一層の耐食性改善が望ま
れている。
数メートル以下の短尺銅管の内部にめっき液を循環させ
ることにより銅材料をスズめっき処理する場合には、め
っき浴中のスズイオンと銅イオンの濃度比、(銅イオン
濃度/スズイオン濃度)の値を0.7以下の範囲内に管
理して、欠陥のない均一なめっき皮膜を形成させ、耐孔
食性などをさらに改善する方法が提案されている。(特
開平5−339741号公報)この方法においては、め
っき液が上記管理範囲を外れた場合、めっき液を更新
し、またはスズ塩などの薬品を補給して、めっき液の性
能を管理範囲に保持することにより均一なめっき皮膜を
形成する。
千数百メートルに及ぶコイル状の長尺銅管の内部にめっ
き液を流通してめっき処理する場合には、めっき液の管
内流通に時間がかかり、一方の管端からめっき液を導入
したのち、他方の管端からめっき液が流出するまでは、
管内部を流れるめっき液の性状を変えることはできな
い。銅管内部をめっき液が流通している間に、Sn2+
+2Cu=Sn+2Cu+のめっき反応の結果として、
スズイオンが消耗し、次第に銅イオンが蓄積するから、
めっき液が流出する側の銅管内部にめっき皮膜の品質低
下が生じ易く、この傾向は被処理銅管な長くなるほど著
しい。従って、長尺銅管のスズめっき処理においては、
前記短尺銅管のスズめっき処理方法とは別の観点からめ
っき液を所定の性能範囲に管理することが必要となる。
めっきを行う場合には、硫酸第一スズなどを含有してな
るめっき液を流通させるが、通常、めっき処理は60〜
70℃の高温で行われる。これは、例えば、40℃以下
のような低温でめっき処理を行うと、めっき皮膜の析出
速度が遅いため厚膜の形成が困難で、析出するスズ粒子
のサイズもばらつくためピンホールも多くなり、耐食性
をそなえた均一なめっき皮膜が得られないためである。
しかしながら、長尺銅管を高温でスズめっき処理した場
合には、めっき皮膜の析出速度が速いため、スズイオン
の消耗、銅イオンの蓄積が促進され、めっき液が流出す
る側における銅管内面のめっき皮膜の膜厚が低下し、ピ
ンホールも増加し、密着性の低下も生じ易くなり、長さ
が200m(9m2)前後の銅管までしか処理できない
のが現状である。
内面スズめっき処理における上記従来の問題を解消する
ために、管内部にめっき液を流通させる長尺銅管の置換
型無電解スズめっき処理において、種々の長さの銅管に
ついて、管内に導入されるめっき液および管端から流出
するめっき液の性状、めっき処理条件と管内面スズめっ
き皮膜の析出との関係を多角的に検討した結果としてな
されたものであり、その目的は、ピンホールなどの欠陥
がなく、密着性に優れ、耐潰食性、耐孔食性などの耐食
性が良好な内面スズめっき皮膜を有する内面スズめっき
長尺銅管の製造方法を提供することにある。
めの本発明による内面スズめっき長尺銅管の製造方法
は、銅管の内部に置換型無電解スズめっき液を流通させ
ることにより長尺銅管の内面にスズめっき皮膜を形成さ
せる方法において、銅管の内部を流通したのち銅管から
流出した直後のめっき液中の全銅イオン濃度を2価のス
ズイオン濃度で除した値が0.8以下となるようスズめ
っき皮膜の析出速度を調整してめっき処理する第1のめ
っき処理工程と、めっき液の温度を該第1のめっき処理
におけるめっき液の温度より高い温度としてめっき処理
する第2のめっき処理工程を包含することを構成上の特
徴とする。
めっき処理におけるめっき液の温度を20℃以上60℃
未満、第2のめっき処理におけるめっき液の温度を60
℃以上80℃以下とすること、および銅管内部のめっき
液の流通を止めることなく、めっき液の温度を連続的に
上げ、第1のめっき処理および第2のめっき処理を行う
ことを発明構成上の第2および第3の特徴とする。
通常は給水給湯用配管材料として一般的に用いられるリ
ン脱酸銅管(JIS H3300 C1220)である
が、P以外の脱酸剤としてB、Mg、Si等が使用され
た脱酸銅管においても、何らその効果を妨げられること
なく本発明を適用することが可能である。また、耐食性
向上を目的としてSn、Al、Zn、Mn、Mg等の各
種元素が微量添加された低銅合金管についても、銅含有
量が96重量%以上であれば、リン脱酸銅管と同様、何
らその効果を妨げられることなく本発明を適用すること
ができる。
通したのち銅管から流出した直後のめっき液中の全銅イ
オン濃度を2価のスズイオン濃度で除した値(全Cuイ
オン濃度/2価のSnイオン濃度)が0.8以下となる
ようスズめっき皮膜の析出速度を調整して、第1のめっ
き処理を行う。長尺銅管の一端部からめっき液を導入
し、他端部からめっき液を流出させることにより、管内
部でめっき反応を行わせ、管内面にめっき皮膜を形成す
る場合、流通するめっき液が流出側管端部に達したとき
に、めっき液中の(全Cuイオン濃度/2価のSnイオ
ン濃度)の値が最高値となるから、この値を0.8以下
とすることにより、被処理銅管全長において、めっき反
応中、上記濃度比が0.8以下に維持され、被処理銅管
の全長にわたって均一かつ良好なめっき皮膜が形成され
る。全Cuイオン濃度/2価のSnイオン濃度の値は低
いほうがよく、0.6以下にするのがより好ましい。
換型無電解スズめっき処理工程の第1のめっき処理にお
いて、銅管から流出するめっき液中の全銅イオン濃度を
2価のスズイオン濃度で除した値を常時0.8以下の調
整することは必ずしも必要ではなく、めっき処理の開始
時、長尺銅管の一端部からめっき液を導入し、管内部を
流通しためっき液を、他端部から流出させる場合、最初
に銅管から流出した直後のめっき液の性状として、めっ
き液中の全銅イオン濃度を2価のスズイオン濃度で除し
た値が0.8以下、好ましくは0.6以下を満足してい
ればよい。
オン濃度/2価のSnイオン濃度の値を0.8以下にし
ためっき液でスズめっき皮膜を形成しておくことが重要
であり、形成された良好な初期皮膜が、その上に成長す
るめっき皮膜の核となって、品質の良いめっき皮膜が得
られる。めっき液中の全銅イオン濃度を2価のスズイオ
ン濃度で除した値が0.8を越えると、析出するめっき
皮膜にCu−Sn金属間化合物が多く含まれるようにな
るため、密着性不良など、皮膜の品質低下が生じる。と
くに、めっき処理の初期段階において、この濃度比が
0.8を越えるめっき液でめっき皮膜を形成すると、そ
の後に0.8以下の濃度比を有するめっき液で処理して
も、品質の良いめっき皮膜を形成することができ難い。
めっき処理すべきコイル状の長尺銅管を、常法に従って
脱脂、洗浄し、必要に応じて、酸溶液中で軽いエッチン
グ処理を行い、十分に水洗、乾燥したのち、第1スズ塩
を含む置換型無電解スズめっき液を銅管の一端部から導
入し、管内部を流通させることによって第1のめっき処
理を行う。
た直後のめっき液中の全Cuイオン濃度を2価のSnイ
オン濃度で除した値を0.8以下になるようめっき皮膜
の析出速度を調整するには、めっき液の温度を比較的低
い温度、好ましくは20℃以上60℃未満、より好まし
くは20〜40℃としてめっき処理を行う。めっき液の
温度を低くしてめっき処理することにより、めっき反応
が抑制されて、めっき液の流出側まで、流通するめっき
液中におけるSnイオンの析出、Cuイオンの溶出が抑
えられ、良好な初期めっき皮膜が形成される。
温度がより低いほど、めっき液の流出部における全Cu
イオンも濃度/2価のSnイオン濃度の比を小さくする
ことができるが、20℃未満では、めっき液中に沈殿が
生じ易くなり、60℃を越えると密着性の良い初期皮膜
が形成されない。第1のめっき処理工程におけるめっき
液の温度は、めっき処理される銅管の長さにより調整さ
れ、例えば、めっき液温度20〜40℃において、外径
15.88mm、肉厚0.71mm、長さ2000m前
後の銅管を処理し、良好な初期スズめっき皮膜を形成す
ることが可能である。
通を継続すると、めっき皮膜の成長がきわめて遅く、所
望の膜厚のめっき皮膜を得るまでに長時間を要するのみ
でなく、析出するSn粒子の大きさにばらつきが生じ、
ピンホールが発生し易くなるため、耐食性に優れためっ
き皮膜の形成が期待できない。このような問題点を解消
するため、本発明においては、めっき液の温度を比較的
低温としてめっき処理する第1のめっき処理工程と、め
っき液の温度を第1のめっき処理におけるめっき液の温
度より高くしためっき液を流通させ、Snの析出速度を
高めた第2のめっき処理工程を組合わせ、第1のめっき
処理工程で形成された初期皮膜の上に、めっき皮膜を成
長させる。
は、好ましくは60℃以上80℃以下、より好ましくは
60〜70℃の温度範囲とする。めっき液を加熱する方
法としては、めっき浴中のめっき液を適宜の手段で加熱
する方法、銅管を加熱し、流通しているめっき液の温度
を上げる方法などがあるが、銅管を加熱する手段は加熱
設備が大型化するおそれもあるから、めっき浴中で加熱
する方法がより簡便である。なお、第1のめっき処理
後、水洗、乾燥を行うと、第1のめっき処理工程で析出
したスズの表面が酸化され、めっき皮膜の成長が低下し
易いから、第1のめっき処理後、何らの処理を行うこと
なく、そのままの状態で第2のめっき処理を行うのが好
ましい。
ら第2のめっき処理工程に移行する態様としては、まず
第1のめっき処理を所定時間行ったのち、めっき浴中の
めっき液の温度を高め、所定の温度となった時点で第2
のめっき処理を開始する方法、第1のめっき処理を所定
時間行ったのち、めっき液の流通を止めることなしに、
めっき浴中のめっき液の温度を上げながら、さらに流通
を続け、めっき液温度が所定温度になった時点でめっき
液の加熱を止め、所定時間めっき液を流通させることに
より第2のめっき処理を行う方法、銅管内部のめっき液
の流通を止めることなく、めっき処理開始時あるいは開
始後のある時点から、めっき浴中のめっき液温度を連続
的に上げて、第1のめっき処理および第2のめっき処理
を行う方法、予め、めっき液の温度を所定温度に上げた
めっき浴を準備し、第1のめっき処理終了後、該めっき
浴のめっき液を流通させることにより第2のめっき処理
を行う方法などがある。
銅板を被めっき処理材とし、クロム硫酸溶液(10%無
水クロム酸、1%硫酸)で酸洗浄し、十分に水洗、乾燥
した。ついで、市販の置換型無電解スズめっき液(第一
スズ塩0.1mol/l)有機イオウ化合物1mol/
l、有機カルボン酸塩0.1mol/l、硫酸0.5m
ol/l、芳香族スルホン酸塩0.2mol/l、ノニ
オン系界面活性剤1g/l)に銅イオン(硫酸銅)を添
加して、めっき液中の全Cuイオン濃度/2価のSnイ
オン濃度の比を、表1に示すように調整し、これらのめ
っき液に上記の銅板を浸漬して、まず30℃×30mi
nの処理条件で第1のめっき処理を行い、続いて、めっ
き液を加熱して70℃×60minの処理条件で第2の
めっき処理を行ってスズめっき皮膜を形成させた。
性および耐食性を以下に示す方法で評価した。 (1)密着性評価:テープ(ニットーNo.31B)に
よる剥離試験を行って、めっき皮膜を剥離させ、剥離の
有無を目視により観察した。 (2)耐食性評価:試験材のめっき皮膜表面に、pHを
6に調整した名古屋市上水のジェット流を5日間当て続
け、腐食発生の有無を観察した。なお、ジェット流の噴
出孔の直径は1.5mm、噴出孔とめっき皮膜表面との
距離は2mmとした。
従う試験材No.1〜5はいずれも、密着性に優れ、最
大腐食深さ0.05mm未満の耐食性良好なめっき皮膜
が形成されていた。一方、めっき液中の全Cuイオン濃
度/2価のSnイオン濃度の比(表中、イオン濃度比)
が0.8を越えている試験材No.6〜8のスズめっき
皮膜は、密着性がわるく、最大腐食深さ0.05mm以
上の腐食が生じた。
mのコイル状のリン脱酸銅管を被めっき処理材とし、そ
の内面を、市販の脱脂剤(アミン化合物10%、塩酸9
%、ノニオン系界面活性剤5%)で脱脂し、硫酸13
%、硝酸4%の混酸液でソフトエッチングしたのち、十
分に水洗し乾燥した。ついで、市販の置換型無電解スズ
めっき液(第一スズ塩0.1mol/l、有機イオウ化
合物1mol/l、有機カルボン酸塩0.1mol/
l、硫酸0.5mol/l、芳香族スルホン酸塩0.2
mm/l、ノニオン系界面活性剤1g/l)を、被めっ
き処理材の銅管の内部に流通させ、表2に示す条件で第
1のめっき処理および第2のめっき処理を実施した。な
お、第1のめっき処理後、めっき液の管内流通を止める
ことなしに、めっき浴内のめっき液を70℃の温度まで
1℃/minの加熱速度で昇温し、昇温してからめっき
処理が終了するまでの時間を、第2のめっき処理の処理
時間とした。
燥し、流通するめっき液を導入する管端部とめっき液が
流出する管端部からそれぞれ1mの位置から試験材を採
取して、以下に示すめっき皮膜厚、ピンホール密度の測
定、めっき皮膜の密着性および耐食性の評価を行った。 (1)めっき皮膜厚測定:(株)中央製作所製電解式め
っき膜厚測定器TH−10Pを用いて測定。 (2)ピンホール密度測定:30%アンモニア水270
ml、純水630mlおよび過硫酸アンモニウム135
gを混合した溶液を、めっき処理した試験材(長さ10
cm)に充填し、室温に1時間放置後、水洗、乾燥し、
めっき皮膜をテープ(ニットーNo.31B)で剥離さ
せ、銅の点状露出部分をピンホールとして顕微鏡観察に
より計数し、この計数値を検査面積で除した値として求
めた。
テープ(ニットーNo.31B)でめっき皮膜を剥離さ
せ、剥離の有無を目視で観察した。 (4)耐食性評価:試験材を10cmの長さに切断し、
これを半割りにして、めっき皮膜の表面に、pHを6に
調整した名古屋市上水のジェット流を5日間当て続け、
銅の腐食発生を観察した。なお、ジェット流の噴出孔の
直径は1.5mm、噴出孔とめっき皮膜表面との距離は
2mmとした。
材にも、めっき液の導入側、めっき液の流出側ともに、
ピンホールが皆無あるいはほとんどなく、密着性にも優
れたスズめっき皮膜が形成された。これらのめっき皮膜
には腐食の発生が認められず、めっき皮膜の耐食性はき
わめて優れていた。
例2と同様に前処理し、実施例2と同じめっき液を使用
して、表4に示す処理条件でめっき処理を行ったのち、
実施例2と同様の方法で、めっき皮膜厚、ピンホール密
度を測定し、めっき皮膜の密着性および耐食性を評価し
た。結果を表5に示す。
〜14は、比較的高温のめっき液を使用して1段階のめ
っき処理を行ったものであるため、とくにめっき液流出
側の銅管端部においては、めっき皮膜にピンホールが多
く発生して密着性が低下するとともに耐食性が劣り、腐
食試験において潰食が発生した。
mのコイル状のリン脱酸銅管を被めっき処理材とし、予
め1%硫酸と5%無水クロム酸の混合液で内面を洗浄
し、十分に水洗、乾燥した。ついで、硫酸第一スズ0.
2mol/l、チオ尿素1mol/l、次亜リン酸ナト
リウム0.2mol/l、硫酸1mol/l、アルカノ
ールスルホン酸0.2mol/l)非イオン界面活性剤
1g/lを含有する置換型無電解スズめっき液を使用し
て、表6に示す条件でめっき処理した。
し、めっき液の流出端部より1mの位置から試験材を採
取し、実施例2と同じ方法で、めっき皮膜厚、ピンホー
ル密度の測定および密着性評価を行った。さらに、試験
材を10cmに切断後、半割りにして、外面の銅露出部
をエナメル樹脂でマスキングし、東京都上水模擬水中、
200mVvsSCEで3日間定電位電解し、銅の腐食
の有無を観察し、耐食性を評価した。結果を表7に示
す。表7にみられるように、本発明に従う試験材No.
15〜16のスズめっき皮膜はいずれも、ピンホールが
ほとんどなく、耐食性に優れたものであった。
管を、実施例3と同様に前処理し、実施例3と同じスズ
めっき液を使用して、表8に示す処理条件で置換型無電
解スズめっき処理したのち、実施例3と同じ方法で、め
っき皮膜厚、ピンホール密度を測定し、めっき皮膜の密
着性および耐食性の評価を行った。結果を表9に示す。
1段階のめっき処理を行った試験材No.17〜18に
形成されたスズめっき皮膜は、ピンホールの発生が多
く、密着性に劣っていた。腐食試験においても孔食が生
じた。
管の内面に皮膜厚のばらつきが少なく、ピンホールがな
く密着性に優れ、潰食や孔食の発生のない耐食性良好な
スズめっき皮膜を安定して形成させることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 銅管の内部に置換型無電解スズめっき液
を流通させることにより長尺銅管の内面にスズめっき皮
膜を形成させる方法において、銅管の内部を流通したの
ち銅管から流出した直後のめっき液中の全銅イオン濃度
を2価のスズイオン濃度で除した値が0.8以下となる
ようスズめっき皮膜の析出速度を調整してめっき処理す
る第1のめっき処理工程と、めっき液の温度を該第1の
めっき処理におけるめっき液の温度より高い温度として
めっき処理する第2のめっき処理工程を包含することを
特徴とする内面スズめっき長尺銅管の製造方法。 - 【請求項2】 第1のめっき処理におけるめっき液の温
度を20℃以上60℃未満、第2のめっき処理における
めっき液の温度を60℃以上80℃以下とすることを特
徴とする請求項1記載の内面スズめっき長尺銅管の製造
方法。 - 【請求項3】 銅管内部のめっき液の流通を止めること
なく、めっき液の温度を連続的に上げ、第1のめっき処
理および第2のめっき処理を行うことを特徴とする請求
項1〜2記載の内面スズめっき長尺銅管の製造方法。
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1996
- 1996-06-05 JP JP8165397A patent/JP3005469B2/ja not_active Expired - Fee Related
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