JP3277846B2 - 内面SnまたはSn合金めっき管のめっき方法 - Google Patents

内面SnまたはSn合金めっき管のめっき方法

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JP3277846B2 JP12875097A JP12875097A JP3277846B2 JP 3277846 B2 JP3277846 B2 JP 3277846B2 JP 12875097 A JP12875097 A JP 12875097A JP 12875097 A JP12875097 A JP 12875097A JP 3277846 B2 JP3277846 B2 JP 3277846B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内面SnまたはS
n合金めっき管のめっき方法に係り、特に、建築用水配
管および給湯水用配管などに用いられるコイル状の内面
SnまたはSn合金めっき管のめっき方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来の無電解めっき法(置換めっき法お
よび化学還元めっき法) を用いた銅管内面へのSnめっ
き方法として、以下のものが知られている。
【0003】 被めっき管である銅管の長さを50m
程度とし、その銅管内部に市販の無電解錫めっき液を6
0℃で連続的に流通させ、その後、10〜60分間めっ
き処理を施して厚さ0.1〜3μmのSnめっき膜を得
る(特願平2−152844号、特公平4−45282
号公報参照)。
【0004】 Snめっき膜の表面に多少のピンホー
ルが存在しても下地銅の腐食溶解が生じにく、かつ、S
nめっき膜の耐食性を高めるべく、厚さ3μm以下のS
nめっき膜を銅管内面に形成させた後、Snめっき管を
80℃〜120℃の温水または水蒸気中で加熱処理を施
してSnめっき膜の一部をSn酸化物に形成し、Snめ
っき層とSn酸化物層との厚さの合計を3μm以下とす
る(特願平2−206907号、特公平4−99180
号公報参照)。
【0005】 Snめっき膜単層に比べ耐食性を高め
るべく、銅管内面にSnめっきを施した後、そのSnめ
っき銅管に120℃〜220℃で5時間以内の加熱処理
を施して銅管下地直上にεおよびη−CuSn合金層を
形成し、Snめっき層とεおよびη−CuSn合金層と
の厚さの合計を3μm以下とする(特願平2−2501
15号、特公平4−131384号公報参照)。
【0006】 管長手方向の膜厚分布を均一にすべ
く、長さが4m程度の銅管内に、市販の無電解Snめっ
き液を、Sn濃度:1.2〜60g/l、温度:40℃
〜80℃、注入速度:0.2〜2.5m/sの状態で連
続的に注入し、全通過時間の1/10経過後および3/
4経過後のそれぞれにおいて、無電解Snめっき液の注
入方向を逆転させる(特願平6−287578号、特公
平8−127877号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
〜の方法においては、置換型無電解Snめっき膜が
一定の膜厚に達するとめっき欠陥(ピンホール)が消失
し、下地銅との置換反応が出来なくなるため、めっき膜
の成長が自然発生的に停止するというように信じられて
おり、いずれもSnめっき膜厚が3μm以下であった。
【0008】また、従来における無電解Snめっき膜の
膜厚は、0.05〜0.5μmと極端に薄く、無電解S
nめっき液中に50℃×5分間の浸潰を行うと厚さ0.
25μm程度の無電解Snめっき膜が得られるが、無電
解Snめっき液中に高温度、長時間の浸潰を行うと素地
が侵されるため、無電解Snめっき膜が剥離しやすく、
厚膜の形成が困難である(現場技術者のための実用めっ
き(1),日本プレーティング協会編,P.522,1
978)。
【0009】さらに、高温タイプ浴は65℃〜80℃の
温度でめっきを施し、3〜5分の浸漬時間で厚さ0.8
μmのめっき膜が得られ、低温タイプ浴は40℃〜60
℃の温度でめっきを施し、3分間の浸漬時間で厚さ0.
45μmのめっき膜が得られている(メルテックス株式
会社技術資料,浸漬光沢スズめっき液、エンプレートT
IN−421 スペシャル,1987)。
【0010】また更に、標準めっき温度および標準めっ
き時間は60℃×5分、めっき温度範囲およびめっき時
間範囲は45℃〜75℃×1〜30分という記載(奥野
製薬工業株式会社技術資料,置換スズめっき,サブス夕
ーSN−5,1996)と、めっき温度は標準で60℃
〜70℃、めっき温度範囲としては常温〜70℃(石原
薬品株式会社技術資料,ユニコン無電解スズ580M資
料書,1996)という記載はあるものの、80℃以上
の液温でのめっき処理についての記載は何もない。
【0011】そこで本発明は、上記課題を解決し、10
0m以上の長尺管の内表面に、均一で、耐食性に優れ、
かつ、欠陥の少ない繊密な膜質のSnめっき厚膜を有し
た内面SnまたはSn合金めっき管を提供することにあ
る。
【0012】
【0013】
【0014】
【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するため
に請求項1 の発明は、−10℃〜+50℃の温度の無電
解Snめっき液を、被めっき材である長尺銅管の一端か
ら管内部へ注入し、その後、該長尺銅管の他端からは排
出される無電解Snめっき液を再び長尺銅管の一端に循
環させながら、長尺銅管および上記無電解Snめっき液
を80℃〜105℃の温度に加熱してSnめっき膜形成
処理を施す方法である。
【0015】請求項2の発明は、上記無電解Snめっき
液中におけるSnCl2の濃度が25〜100g/l、
添加剤の濃度が0.1〜5g/l、かつ、該無電解Sn
めっき液中にSnCl2モル濃度の3倍の濃度のアダク
ト剤および2倍の濃度の錯化剤がそれぞれ添加されてい
請求項1記載の内面SnまたはSn合金めっき管のめ
っき方法である。
【0016】請求項3の発明は、上記無電解Snめっき
液の注入速度が流速1〜5m/sであると共に、循環速
度が流速0.2m/s以下の穏やかな流動あるいは揺動
状態である請求項2記載の内面SnまたはSn合金めっ
き管のめっき方法である。
【0017】請求項4の発明は、少なくとも上記Snめ
っき膜形成処理時における上記無電解Snめっき液の脱
気状態に保つ請求項1記載の内面SnまたはSn合金め
っき管のめっき方法である。
【0018】請求項5の発明は、上記Snめっき膜形成
処理時間が60〜180分である請求項1記載の内面S
nまたはSn合金めっき管のめっき方法である。
【0019】請求項6の発明は、上記Snめっき膜形成
処理後の長尺銅管内部に、pHが11〜14のアルカリ
液あるいは酸化剤を含有するアルカリ液を注入し、その
後、85℃〜110℃の温度で加熱処理を施すことによ
って、Snめっき膜の最外層及び該Snめっき膜表面部
のピンホール内部にSn酸化膜を形成する請求項1乃至
請求項4記載の内面SnまたはSn合金めっき管のめっ
き方法である。
【0020】請求項7の発明は、上記Snめっき膜形成
処理後の長尺銅管に140℃〜230℃の温度で0.1
〜20hrの加熱処理を施して、該長尺銅管の下地表面
直上にCuリッチなCu−Sn合金層を形成した後、さ
らに230℃〜500℃の温度で0.01〜1hrの加
熱処理を施して、最外層のSn層およびSnリッチなC
u−Sn合金層の一部を溶解・流動させ、Snめっき膜
表面部のピンホールを消失させると共に、該Snめっき
膜の大部分をCuリッチなCu−Sn合金層とする請求
項1乃至請求項5記載の内面SnまたはSn合金めっき
管のめっき方法である。
【0021】以上の構成によれば、被めっき材である長
尺管の内面に、3.0〜10μmの厚さのSn膜または
Sn−Pb合金膜をめっき形成したため、100m以上
の長尺管の内表面に、均一で、耐食性に優れ、かつ、欠
陥の少ない繊密な膜質のSnめっき厚膜を有した内面S
nまたはSn合金めっき管を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0023】一般に、100m以上の長尺管内面に対す
る無電解めっき処理において、めっき液を長尺管の一端
より注入すると、長尺管の長手方向におけるめっき膜質
および膜厚分布が変化することが知られている。
【0024】従来のめっき手法は、上述したに見られ
るように、高温めっき液を長尺管の一端から内部に高速
で連続的に注入する方法と、上述したに見られるよう
に、めっき液注入方向を逆転する操作を行う方法が主で
あった。しかし、このような方法では、長尺管の一端と
長尺管の他端との間に液質の劣化状態の違いが生じると
共に、膜質や膜厚分布が悪くなり、実用的でなかった。
【0025】本発明者らは、鋭意研究した結果、以下に
示すことを見出した。
【0026】(a) めっき液組成やめっき条件を選択
し、80℃以上の温度で60分以上のめっき処理を施せ
ば、緻密な膜を保持したまま容易に膜厚が3μm以上の
置換型無電解Snめっき膜を得ることができると共に、
この無電解Snめっき膜が優れた耐食性を示す。
【0027】(b) めっき処理工程を2つの工程に分
割し、第1段めっき処理工程として、実質的にめっき反
応が起きない50℃以下の低温において長尺管内にめっ
き液を注入・充満させると共に、めっき膜全体の膜厚の
1/4程度を形成し、その後、第2段めっき処理工程と
して、長尺管およびめっき液を80℃以上に加熱すると
共に、この時点で実質的なめっき膜成長を行なうこと
で、めっき膜に管長手方向における特異性が存在せず、
均質なめっき膜が形成される。
【0028】(c) 第2段めっき処理工程におけるめ
っき液の循環速度を流速0.2m/s以下に保持するこ
とで、高速注入によってめっき形成した場合に比べて、
膜質が格段に繊密となる。
【0029】(d) 高温(約65℃以上)めっき処理
において問題になっていた液劣化を、めっき液の取り扱
い及び雰囲気を非酸化性とすることで防止できる。
【0030】本発明の内面SnまたはSn合金めっき管
は、被めっき材である長尺管の内面に、3.0〜10μ
m、好ましくは3.5〜5μmの厚さのSn膜またはS
n−Pb合金膜をめっき形成してなるものである。
【0031】長尺管の素材としては、特に限定するもの
ではないが、特に純銅が好ましく、その他の素材として
は、例えば、黄銅、Fe、Niなどが挙げられる。
【0032】本発明の内面SnまたはSn合金めっき管
を得るためのめっき装置の模式図を図1に示す。
【0033】図1に示すように、めっき装置20は、長
尺銅管1、配管、めっき液タンク4、および加熱手段1
3から構成される。
【0034】長尺銅管1はコイル状に巻かれており、長
尺銅管1の一端にはめっき液供給管(配管)2が、他端
にはめっき液回収管(配管)3が接続されている。
【0035】めっき液供給管2およびめっき液回収管3
の各他端は、上部に密閉性が良好な蓋14が設けられた
めっき液タンク4の蓋14を貫通して、めっき液タンク
4内部の無電解Snめっき液5中に配置されている。ま
た、ガス供給管15も、めっき液タンク4の蓋14を貫
通して、めっき液タンク4内部の無電解Snめっき液5
中に配置されている。ここで、無電解Snめっき液5
は、−10℃〜+50℃、好ましくは5℃〜30℃の温
度に調整されている。
【0036】めっき液供給管2およびめっき液回収管3
の中途には、供給バルブ6および回収バルブ7が設けら
れており、また、めっき液供給管2においては、供給バ
ルブ6の下流側にポンプ8が設けられている。ここで、
めっき液供給管2における供給バルブ6とポンプ8間の
部分とめっき液回収管3における回収バルブ7の上流部
分とは、バイパス管9によって接続されており、バイパ
ス管9の中途にはバイパスバルブ10が設けられてい
る。
【0037】加熱手段13としては、例えば、温水また
はオイル11で満たされたタンク12などが挙げられ
る。この加熱手段13によれば、比較的速やかに無電解
Snめっき液5の温度が上昇するため作業が能率的とな
り、また、長尺銅管1全域における無電解Snめっき液
5の温度が均質になりやすく、均質な膜質のSnめっき
膜が確保しやすい。ここで、温水またはオイル11の温
度は、80℃〜105℃、好ましくは80℃〜95℃に
調整されている。
【0038】長尺銅管1は、吊り下げロープ16および
フック17によって上下動自在に支持されている。
【0039】次に、本発明の内面SnまたはSn合金め
っき管のめっき方法を説明する。
【0040】先ず、第1段階として、供給バルブ6およ
び回収バルブ7を開、バイパスバルブ10を閉にすると
共に、ポンプ8を作動させて、めっき液タンク4内部の
無電解Snめっき液5をめっき液供給管2を介して長尺
銅管1の一端から注入する。その後、長尺銅管1の他端
からめっき液回収管3を介して無電解Snめっき液5が
めっき液タンク4へ戻される。ここで、無電解Snめっ
き液5の注入速度は、流速1〜5m/sに調整する。
【0041】この時、ガス供給管15からガス(図示せ
ず;例えば、窒素ガス)をめっき液タンク4中の無電解
Snめっき液5に適宜吹き込むことで、無電解Snめっ
き液5中の溶存酸素を除去する。
【0042】次に、供給バルブ6および回収バルブ7を
閉、バイパスバルブ10を開にして、無電解Snめっき
液5をめっき液タンク4に戻すことなく完全クローズ型
で循環させる。ここで、無電解Snめっき液5の循環速
度は、流速0.2m/s以下の穏やかな流動あるいは揺
動状態に調整する。
【0043】この第1段階の無電解Snめっき液5の循
環によって、目的の厚みの約1/4の厚みのSnめっき
膜が形成される。
【0044】次に、第2段階として、長尺銅管1を吊り
下げロープ16およびフック17を用いて下動させて、
長尺銅管1全体をタンク12内の温水またはオイル11
中に浸漬させて加熱を行う。この加熱処理が実質的なS
nめっき膜の形成処理となり、残りのSnめっき膜が形
成される。
【0045】なお、長尺銅管1より無電解Snめっき液
5を排出する過程においては、既に、Snめっき膜の成
長が実質的に終了しているため、無電解Snめっき液5
を急速に排出したり、急冷する必要がなく、一定の膜厚
のSnめっき膜が得られる。
【0046】本発明の内面SnめっきまたはSn合金め
っき管のめっき方法によれば、めっき液の注入段階であ
る第1段めっき処理工程においては、Snめっき膜の成
長は全体膜厚の1/4程度しか行われず、実質的なSn
めっき膜の成長は第2段めっき処理工程で行われ、ま
た、第2段めっき処理工程におけるめっき液の循環は、
完全クローズ型で、かつ、穏やかな流動あるいは揺動状
態で行うため、めっき液の実質的な劣化が生じにくい。
【0047】また、いわゆるDown Stream
Effectが殆ど生じないため、長尺管内の長手方向
におけるSnめっき膜の膜厚分布が変動しにくい。
【0048】Snめっき膜厚の増大に伴う恩恵としては
様々なものが挙げられ、例えば、ピンホール密度の減
少、熱処理に伴うめっき膜の喰われ防止、腐食減肉寿命
の増大などが期待される。
【0049】次に、本発明の他の実施の形態を説明す
る。
【0050】第1の実施の形態の内面Snめっきまたは
Sn合金めっき管のめっき方法は、Snめっき膜形成後
の長尺銅管内部に、表面後処理を施すことで、Snめっ
き膜層に当初から存在するピンホール孔内部及びSnめ
っき膜最外層の微小な凹部にSn酸化膜を形成させ、ピ
ンホールを塞ぐことでさらに耐食性を向上させる方法で
ある。
【0051】具体的には、Snめっき膜形成処理後の長
尺銅管内部に、pHが11〜14のアルカリ液あるいは
酸化剤を含有するアルカリ液を注入し、その後、高温で
一定時間、加熱処理を施すものである。
【0052】ここで、表面後処理条件は、表面後処理液
の腐食性を考慮して決定する必要があり、濃アルカリ液
および酸化剤を含むアルカリ液では、腐食速度が大きく
なりやすいので、処理温度および処理時間を調整する必
要がある。好適な処理温度および処理時間としては、8
5℃〜110℃、好ましくは90℃〜100℃、16分
〜1時間であり、処理液の液温が、20℃〜70℃の低
温では、処理時間が数十時間と増大するため、能率的で
ないことが確認されている。
【0053】これによって、Snめっき膜は、主に、そ
の最外層とピンホール内部壁が溶解して白濁した水酸化
Sn化合物を形成し、Snめっき膜表面の微少な凹部お
よびピンホール内部に堆積する。
【0054】その後、長尺銅管内部を純水で洗浄し、乾
燥することで、強固な酸化物を表面に有するSnめっき
膜が形成され、さらに耐食性が向上する。
【0055】pHおよび処理温度の上限を規定した理由
は、長尺管の長さが長い場合には、操作上、処理時間を
小さくすることが困難なため、処理能力が必要以上に大
きくならないようにすること、および加熱処理の作業性
を容易にする目的に基づいて決定した。
【0056】尚、従来における純水または酸による表面
後処理では、溶解速度が極めて小さく、形成したSn2+
イオンが流出して、Snめっき膜上に蓄積されないた
め、本実施の形態の効果は殆ど無いことが確認されてい
る。
【0057】本実施の形態の内面SnめっきまたはSn
合金めっき管のめっき方法によれば、本発明と同様の作
用効果を奏することは言うまでもなく、内面Snめっき
またはSn合金めっき管のめっき方法Snめっき膜最外
層を微少に溶解させて、Snめっき膜の最外層及びSn
めっき膜表面部のピンホール内部にSn酸化膜を形成し
ているため、耐食性が更に向上するという新たな作用効
果も奏する。
【0058】第2の実施の形態の内面Snめっきまたは
Sn合金めっき管のめっき方法は、Snめっき膜形成後
の長尺銅管内部に、表面後処理を施すことで、Snめっ
き膜を溶解させ、ピンホールを塞ぐことでさらに耐食性
を向上させる方法である。
【0059】従来における熱処理温度がめっき材料の融
点以下であったのに対して、本実施の形態においては、
1段目の熱処理後、2段目の熱処理として、めっき材料
の融点以上の温度に加熱するものである。
【0060】具体的には、Snめっき膜形成処理後の長
尺銅管に140℃〜230℃の温度で0.1〜20hr
の加熱処理を施して、長尺銅管の下地表面直上にCuリ
ッチなCu−Sn合金層を形成した後、さらに、Snの
融点以上の230℃〜500℃の温度で0.01〜1h
rの加熱処理を施すものである。
【0061】例えば、1段目の加熱処理を160×10
hrとして、長尺銅管の下地表面直上に耐食性に富んだ
CuリッチなCu−Sn合金層を形成した後、2段目の
加熱処理としてSnの融点直上の240℃×1hrの加
熱を施す。これによって、Snめっき膜が融解して、当
初のSnめっき膜に存在するピンホールが消失し、耐食
性が格段に向上する。尚、1段目および2段目の各熱処
理を、より高温側に移行させることで、処理時間の更な
る短縮を図ることができることは言うまでもない。
【0062】これによって、最外層のSn層およびSn
リッチなCu−Sn合金層の一部が溶融・流動し、Sn
めっき膜表面部のピンホールが消失すると共に、Snめ
っき膜の大部分がCuリッチなCu−Sn合金層に形成
される。
【0063】長尺管の素材とめっき膜材料の組み合わせ
が、上記したものと異なる場合(例えば、長尺管の素材
が黄銅、Fe、Ni、めっき膜材料がSn−Pb合金あ
るいはSnの場合)も基本的な熱処理方法は同じであ
り、特に、これらの組み合わせの場合は、本処理によっ
て長尺管下地とめっき膜との密着性が改善されるという
効果も加わる。
【0064】なお、本実施の形態のSnめっき膜の膜厚
は3〜10μmと厚いため、これらの2段階の熱処理に
よりSnめっき膜が多少喰われても消失までとは行か
ず、従来における薄膜のSnめっき膜と比べて作業上有
利である。
【0065】本実施の形態の内面SnめっきまたはSn
合金めっき管のめっき方法によれば、第1の実施の形態
の内面SnめっきまたはSn合金めっき管のめっき方法
と同様の作用効果を奏することは言うまでもない。
【0066】
【実施例】
(実施例1)先ず、主めっき液成分であるSnCl2
濃度を25g/l、アダクト剤であるCH4 2 S(チ
オ尿素)を、SnCl2 モル濃度に対して3倍以上の1
60g/l、錯化剤であるC4 6 6 (酒石酸)を、
SnCl2 モル濃度に対して2倍以上の120g/l、
添加剤であるデキストリンを、SnCl2 重量濃度に対
して0.05倍以上の1g/l、それぞれ添加・混合し
てSnめっき液を形成する。
【0067】ここで、アダクト剤は、めっき反応で生じ
る酸老化物を補足する役割を有しており、錯化剤は、め
っき反応で生じる銅イオンを補足する役割を有してお
り、添加剤は、めっき膜質の平滑化や焼けめっきの防止
に格段の作用を有している。
【0068】次に、第1段めっき処理工程として、この
Snめっき液を、内径20mm、長さ100mの純銅製
の長尺管(試料1−1〜1−6)のそれぞれの一端から
注入すると共に、他端から回収してSnめっき液を循環
させる。ここで、Snめっき液総量は長尺管内の容積の
105%とし、循環形態はめっき液タンクを経由しない
完全クローズ型の閉循環とした。第1段めっき処理工程
におけるSnめっき液は、めっき作業能率を考慮して、
液温が30℃、流速が1m/sの低温・高速注入とし
た。
【0069】次に、試料1−1〜1−6のそれぞれにお
いて、Snめっき液の流速を0.lm/s、めっき温度
を試料1−1が80℃、試料1−2が90℃、試料1−
3が100℃、試料1−4が105℃、試料1−5が6
0℃、試料1−6が70℃、めっき時間を試料1−4の
みを3hrとする他は2hrとして、第2段めっき処理
工程を行い、長尺管の内面にSnめっきを施して各内面
Snめっき管を作製する。
【0070】試料1−1〜1−6における各内面Snめ
っき管の諸元および評価(めっき膜厚、めっき膜質、め
っき膜の耐食性、およびめっき膜のピール強度)を表1
に示す。
【0071】
【表1】
【0072】めっき膜厚の測定は、長尺管の一端より1
mの地点をa地点、および長尺管の他端より1mの地点
をb地点とし、このa、bの2地点で測定した。この両
地点のめっき膜厚に余り差がない程、Down Str
eam Effectが小さく好ましいめっき膜と評価
する。
【0073】めっき膜質の評価は、金属の光沢具合から
判断したものをマクロ評価とし、光学顕微鏡(200
倍)による表面観察から判断したものをミクロ評価とし
た。
【0074】耐食性の評価は、試験面積3,000cm
2 当たりの直径1mm以上の孔食数とし、孔食環境条件
としては、 HCO3 /SO4 =0.5、 SiO2 :20ppm、 Cl- :25ppm、 残留塩素:3ppm、 pH:6.5、 液温:80℃、流速:2m/s、空気吹き込みによる撹
拝、 試験期間:6ケ月、 とし、孔食が生じやすいとされている環境とした。
【0075】ピール強度の評価は、JIS K6854
に準じた膜剥離試験法を用い、Snめっき膜にセロハン
テープを貼り付けると共に、剥がした後、Snめっき膜
が剥離するかどうかで判断する。
【0076】表1に示すように、試料1−1〜1−4の
内面Snめっき管においては、第2段めっき処理温度が
高くなるにしたがって膜厚が増大すると共に、耐食性が
向上している。
【0077】すなわち、試料1−1〜1−4のいずれに
おいても、膜厚が3μm以上、かつ、Down Str
eam Effectは小さく、Snめっき膜の表面は
金属光沢を有していると共に、平滑であり、耐食性は実
用的な耐食性レベルである30個/3,000cm2
下(それぞれ、12個、1個、0個、1個)を満足する
と共に、ピール強度に優れた良好なSnめっき膜が得ら
れていた。
【0078】これに対して、試料1−5、1−6の内面
Snめっき管においては、DownStream Ef
fectが小さく、かつ、めっき膜質およびピール強度
は良好であるものの、第2段めっき処理温度が規定範囲
(80℃〜105℃)外の60℃と70℃であるため、
めっき膜厚が3μm以下となり、延いては、めっき膜の
耐食性不足を招いている(それぞれ、400個/3,0
00cm2 、50個/3,000cm2 )。
【0079】以上の結果から、Snめっき膜厚は3.0
〜10μmが有効であるが、膜厚が5μm以上になると
耐食性が飽和傾向を示すため、コストや膜質を考慮する
と、好ましくは3.5〜5μmが好適と判断される。
【0080】(実施例2)主めっき液成分であるSnC
2 の濃度は試料2−1を40g/l、試料2−2を6
5g/l、試料2−3を10g/l、試料2−4を10
0g/l、試料2−5を40g/l、アダクト剤である
CH4 2 S(チオ尿素)を、SnCl2モル濃度に対
して3倍以上の300g/l、錯化剤であるC4 6
6 (酒石酸)を、SnCl2 モル濃度に対して2倍以上
の200g/l、添加剤であるデキストリンを試料2−
1〜2−4においては、SnCl2 重量濃度に対して
0.05倍以上の5g/l、試料2−5においては0.
01g/l、それぞれ添加・混合してSnめっき液を形
成する。
【0081】あとは実施例1と同様にして、Snめっき
液の流速を試料2−1〜2−5のそれぞれにおいて0.
lm/s、めっき温度を80℃、めっき時間を2hrと
して、第2段めっき処理工程を行い、長尺管の内面にS
nめっきを施して各内面Snめっき管を作製する。
【0082】試料2−1〜2−5における各内面Snめ
っき管の諸元および評価(めっき膜厚、めっき膜質、め
っき膜の耐食性、およびめっき膜のピール強度)を表2
に示す。尚、めっき膜厚の測定、めっき膜質の評価、耐
食性の評価、およびピール強度の評価は、実施例1と同
様に行った。
【0083】
【表2】
【0084】表2に示すように、試料2−1、2−2の
内面Snめっき管においては、めっき液中のSnCl2
濃度が高くなるにしたがって膜厚が増大すると共に、耐
食性mが向上している。
【0085】すなわち、試料2−1、2−2のどちらに
おいても、膜厚が3μm以上、かつ、Down Str
eam Effectは小さく、Snめっき膜の表面は
金属光沢を有していると共に、平滑であり、耐食性は実
用的な耐食性レベルである30個/3,000cm2
下(それぞれ、3個、0個)を満足すると共に、ピール
強度に優れた良好なSnめっき膜が得られていた。
【0086】これに対して、試料2−3の内面Snめっ
き管においては、Down Stream Effec
tが小さく、かつ、めっき膜質およびピール強度は良好
であるものの、めっき液中のSnCl2 濃度が規定範囲
(25〜100g/l)外の10g/lであるため、め
っき膜厚が3μm以下となり、延いては、めっき膜の耐
食性不足を招いている(500個/3,000c
2 )。
【0087】また、試料2−4の内面Snめっき管にお
けるSnめっき膜形成のための各条件は全て規定範囲内
であるものの、めっき膜厚が規定範囲(3.0〜10μ
m)外の14μmであると共に、めっき膜質が若干焼け
めっき気味となり、好ましくない。試料2−4において
は、第2段めっき時間を短くするなどにより、好ましい
膜厚および膜質のSnめっき膜が得られる。
【0088】試料2−5の内面Snめっき管において
は、めっき液中のデキストリン濃度が規定範囲(0.1
〜5g/l)外の0.01g/lであるため、膜厚はS
nCl2 濃度40g/lから予想される以上に厚くなる
(最大で7.0μm)と共に、Down Stream
Effectも大きく、膜質は焼けめっきになる。ま
た、耐食性は膜質が悪いことを反映して全面腐食状とな
り、孔食数は1,000個以上/3,000cm2 を示
した。さらに、Snめっき膜の剥離も観察され、ピール
強度も良好でなかった。したがって、添加剤濃度は0.
1〜5g/l程度を必要とすることが明らかである。
【0089】また、試料2−1、2−5(SnCl2
度:40g/l)、2−2(SnCl2 濃度:65g/
l)、2−4(SnCl2 濃度:100g/l)におけ
る内面Snめっき管のSnめっき膜の成長速度は、Sn
Cl2 濃度が25g/lであった実施例1の試料1−1
〜1−6の場合に比べて大きく、めっき作業の能率が高
かった。
【0090】なお、添加剤を大過剰に添加した試料1−
1〜2−4の場合には、別の実験でCH4 2 S(チオ
尿素)はSnCl2 モル濃度に対し3倍以上、C4 6
6(酒石酸)はSnCl2 モル濃度に対し2倍以上に
すれば、それらの薬剤の膜厚や膜質に対する依存性は比
較的小さいことが明らかとなった。
【0091】以上の結果から、SnCl2 濃度を25〜
100g/l、添加剤濃度を0.1〜5g/lとし、S
nCl2 モル濃度に対してアダクト剤を3倍以上、錯化
剤を2倍以上添加することが実用的であるが、コストお
よびめっき膜質を考慮すると、好ましくはSnCl2
度を25〜60g/l、添加剤濃度を0.1〜5g/l
の範囲にすることが好適と判断される。
【0092】尚、本めっき液を用いて作製した配管にお
いては、めっき作業性および各種性質に優れていたこと
が確認されている。
【0093】(実施例3)第1段めっき処理工程とし
て、実施例1と同様のSnめっき液を、内径20mmの
純銅製の長尺管のそれぞれの一端から注入すると共に、
他端から回収してSnめっき液を循環させる。ここで、
長尺管長さは試料3−1、3−3、および3−5を1,
000m、試料3−2、3−4、および3−6を5,0
00mとした。
【0094】第1段めっき条件の内、めっき液温度は、
試料3−1、3−2が−10℃、試料3−3、3−4が
5℃、試料3−5、3−6が60℃、試料3−7、3−
8が30℃とし、平均流速1m/sで長尺管内に高速注
入した。ただし、めっき液温度が−10℃である試料3
−1および3−2の場合、めっき液成分の一部が結晶析
出すると共に、粘度が上昇し、平均流速が0.2〜0.
7m/sとなった。これは、Snめっき液注入段階にお
けるSnめっき液の劣化防止には好ましいものの、長尺
管にめっき液を注入するのに長時間を要するため、作業
能率を低下させる障害となる。
【0095】また、試料3−1〜3−6におけるSnめ
っき液総量は、長尺管内の容積の105%、循環形態は
完全クローズ型の閉循環とし、試料3−7、3−8にお
けるSnめっき液総量は、長尺管内の容積の300%、
循環形態はめっき液タンクを経由する開循環とした。
【0096】次に、試料3−1〜3−8のそれぞれにお
いて、めっき温度を80℃、Snめっき液の流速を0.
lm/s、めっき時間を2hrとして、第2段めっき処
理工程を行い、長尺管の内面にSnめっきを施して各内
面Snめっき管を作製する。
【0097】試料3−1〜3−8における各内面Snめ
っき管の諸元および評価(めっき膜厚、めっき膜質、め
っき膜の耐食性、およびめっき膜のピール強度)を表3
に示す。尚、めっき膜厚の測定、めっき膜質の評価、耐
食性の評価、およびピール強度の評価は、実施例1と同
様に行った。
【0098】
【表3】
【0099】表3に示すように、試料3−1〜3−4の
内面Snめっき管のいずれにおいても、膜厚が3μm以
上、かつ、Down Stream Effectは小
さく、Snめっき膜の表面は金属光沢を有していると共
に、平滑であり、耐食性は実用的な耐食性レベルである
30個/3,000cm2 以下(それぞれ、12個、1
0個、13個、9個)を満足すると共に、ピール強度に
優れた良好なSnめっき膜が得られていた。また、Do
wn Stream Effectについては、長尺管
長さの長い試料3−2、3−4においてもあまり大きな
差異はない。Snめっき膜の成長量は、第1段めっき処
理工程で全体の1/4以下、第2段めっき処理工程で3
μm以上になっていることが確認されている。
【0100】これに対して、試料3−5、3−6の内面
Snめっき管においては、めっき膜質、めっき膜の耐食
性、およびピール強度は良好であるものの、第1段めっ
き液温度が規定範囲(−10℃〜+50℃)外の60℃
であるため、第1段めっき処理工程の時点において実質
的なめっき反応が生じ、管長手方向における注入めっき
液の劣化が生じ、結果的にDown Stream E
ffectが生じたものと思われ、第2段めっき処理を
行なっても膜厚分布は改善されていない。Down S
tream Effectは、長尺管長さの長い試料3
−6においてより顕著に現れている。
【0101】試料3−7、3−8の内面Snめっき管に
おいては、ピール強度は良好であるものの、循環形態を
めっき液タンクを経由する開循環とし、長尺管出口側か
ら回収されたSnめっき液はめっき液タンクに戻される
ことで更新されるため、長尺管入口側では膜厚が増大す
る反面、出口側では逆に低下し、出口側地点におけるめ
っき膜質は灰色となった。また、出口側より切り出した
試料のめっき膜耐食性は、実用的な耐食性レベルである
30個/3,000cm2 以下(それぞれ、30個、6
5個)であった。
【0102】これらの挙動は、Snめっき液がめっき液
タンクに戻り再び更新される結果、長尺管の入口側と出
口側におけるめっき液質の違いに基づくものと思われ、
この傾向は、長尺管長さの長い試料3−8の方により顕
著に現れている。なお、この状況を改善すべく第2段階
におけるめっき流速を0.5m/sに増大させても、め
っき膜は凹凸に富んだ灰色のままであり、膜厚分布は実
質的に改善されなかった。すなわち、従来より無電解め
っき法として一般的に行われているように、大量のめっ
き液をタンク内に建浴し、その一部を被めっき管内に注
入するめっき液循環方式は、好ましいめっき膜を形成し
ないことが明らかである。
【0103】以上の結果から、少なくとも低温度+高温
度の2段階のめっき処理工程とし、第1段めっき処理工
程においては−10℃〜+50℃、好ましくは5℃〜3
0℃の液温のめっき液を用いて最終めっき膜厚の1/4
以下のめっき膜を形成させ、第2段めっき処理工程で
は、長尺管出口から回収されるSnめっき液をめっき液
タンクを経由することなく長尺管入口に戻す閉循環と
し、その後、長尺管およびSnめっき液を昇温し、80
℃〜105℃、好ましくは80℃〜95℃で、残りのS
nめっき膜を形成する手法が長尺管長手方向における均
質なめっき膜形成に好適である。
【0104】また、実質的なめっき膜の成長が生じない
第1段めっき処理工程において、Snめっき液を高速注
入することでめっき作業能率を高め、続いて実質的にめ
っき膜が成長する第2段めっき処理工程の流速を、膜質
向上に好適な0.2m/s以下とすることが、めっき作
業性と膜質確保の観点から好ましいと判断される。
【0105】(実施例4)主めっき液成分であるSnC
2 の濃度は40g/l、アダクト剤であるCH4 2
S(チオ尿素)を、SnCl2 モル濃度に対して3倍以
上の300g/l、錯化剤であるC4 6 6 (酒石
酸)を、SnCl2 モル濃度に対して2倍以上の200
g/l、添加剤であるデキストリンを試料2−1〜2−
4においては、SnCl2 重量濃度に対して0.05倍
以上の5g/l、試料2−5においては0.01g/
l、それぞれ添加・混合してSnめっき液を形成する。
【0106】次に、第1段めっき処理工程として、この
Snめっき液を、内径20mm、長さ100mの純銅製
の長尺管(試料4−1〜4−4)のそれぞれの一端から
注入すると共に、他端から回収してSnめっき液を循環
させる。ここで、Snめっき液総量は長尺管内の容積の
105%とし、循環形態はめっき液タンクを経由しない
完全クローズ型の閉循環とした。第1段めっき処理工程
におけるSnめっき液は、めっき作業能率を考慮して、
液温が20℃、流速が1m/sの低温・高速注入とし
た。試料4−1、4−2においては、Snめっき液中に
予め窒素ガスを注入しておき、特に加熱状態においてS
nめっき液が徴量の酸素とも接触しないように配慮する
ものとし、試料4−3、4−4においては、Snめっき
液をめっき作業から保管に亘る全ての段階において、大
気開放状態とする。尚、Snめっき液は同じものを3回
使用に供する。
【0107】次に、試料4−1〜4−4のそれぞれにお
いて、Snめっき液の流速を0.2m/s、めっき温度
を試料4−1、4−3が80℃、試料4−2、4−4が
95℃、めっき時間を1.5hrとして、第2段めっき
処理工程を行い、長尺管の内面にSnめっきを施して各
内面Snめっき管を作製する。尚、試料4−1、4−2
におけるSnめっき液の加熱手段としては蒸気を用いた
間接加熱とし、局部的とはいえ100℃以上の高温度に
ならないように配慮した。また、試料4−3、4−4に
おけるSnめっき液の加熱手段としては投げ込み電気ヒ
ータによる直接加熱とした。
【0108】試料4−1〜4−4における各内面Snめ
っき管の諸元および評価(めっき膜厚、めっき膜質、め
っき膜の耐食性、およびめっき膜のピール強度)を表4
に示す。尚、めっき膜厚の測定、めっき膜質の評価、耐
食性の評価、およびピール強度の評価は、実施例1と同
様に行った。
【0109】
【表4】
【0110】表4に示すように、試料4−1、4−2の
内面Snめっき管のいずれにおいても、膜厚が3μm以
上、かつ、Down Stream Effectは小
さく、Snめっき膜の表面は金属光沢を有していると共
に、平滑であり、耐食性は実用的な耐食性レベルである
30個/3,000cm2 以下(それぞれ、3個、5
個)を満足すると共に、ピール強度に優れた良好なSn
めっき膜が得られていた。また、Snめっき液を3回使
用したにも関わらず、Snめっき液劣化が殆ど生じてお
らず、めっき膜厚、膜質、耐食性などが、いずれも実施
例1〜実施例3における試料1−1〜1−4、2−1、
2−2、3−1〜3−4と同等レベルの好ましい値を示
した。
【0111】これに対して、試料4−3、4−4の内面
Snめっき管におけるSnめっき液は、3回使用した段
階で変色して液劣化が生じており、めっき膜厚、膜質、
耐食性などが、いずれも試料4−1および4−2に比べ
著しく劣る結果を示した。
【0112】以上の結果から、高温または複数回のめっ
き処理を行うと液劣化が著しく生じるSnめっき液を用
いてめっき処理を行う場合、Snめっき液を長尺管内に
注入前、注入後および排出後において空気と接触させる
ことなく保持し、少なくとも実質的なめっき膜成長段階
である第2段めっき処理工程においてはSnめっき液を
脱気状態に保つと共に、めっき温度を80℃〜105
℃、好ましくは80℃〜90℃、めっき時間を60〜1
80分とすることにより、液劣化の懸念が小さくなるこ
とが明らかである。
【0113】本発明の内面SnまたはSn合金管のめっ
き方法は、上述した金属管内面に対するめっきの他に、
非金属材料管、例えば、プラスチック管にも適用するこ
とができる。また、管内面のほかに複雑形状品、例え
ば、密閉容器・構造物や特定部品・部分へのめっき膜付
与に有効である。
【0114】本発明の内面SnまたはSn合金管のめっ
き方法は、コイル状製品に対して適用するのみでなく、
固定された部品、例えば、既に建設されたビル内部の給
湯配管や、各種装置機器配管にも適用できる。
【0115】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を発揮する。
【0116】(1) めっき処理工程を2つの工程に分
割し、実質的にめっき反応が起きない50℃以下の低温
において第1段めっき処理を施して、長尺管内にSnめ
っき液を注入・充満させると共に、Snめっき膜の成長
を全体膜厚の1/4程度行い、その後、Snめっき液を
緩やかに流動或いは揺動させたまま80℃以上の温度で
60分以上加熱すると共に、実質的なめっき膜成長を行
なうことで、管長手方向における特異性が存在せず、か
つ、均質なSnめっき厚膜を形成することができる。
【0117】(2) Snめっき液中におけるSnCl
2 、添加剤、アダクト剤、および錯化剤の各濃度を規定
することで、膜厚、膜質、耐食性、および強度に優れた
Snめっき膜を得ることができる。
【0118】(3) Snめっき液の取り扱い及び雰囲
気を非酸化性とすることで、高温(約65℃以上)めっ
き処理において避けられなかった液劣化を防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内面SnまたはSn合金めっき管を得
るためのめっき装置の模式図である。
【符号の説明】
1 長尺銅管(長尺管) 5 無電解Snめっき液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−333686(JP,A) 特開 平4−99180(JP,A) 特開 平9−279356(JP,A) 特開 平10−72675(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 18/00 - 18/54

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 −10℃〜+50℃の温度の無電解Sn
    めっき液を、被めっき材である長尺銅管の一端から管内
    部へ注入し、その後、該長尺銅管の他端から排出される
    無電解Snめっき液を再び上記長尺銅管の一端に循環さ
    せながら、長尺銅管および上記無電解Snめっき液を8
    0℃〜105℃の温度に加熱してSnめっき膜形成処理
    を施すことを特徴とする内面SnまたはSn合金めっき
    のめっき方法
  2. 【請求項2】 上記無電解Snめっき液中におけるSn
    Cl 2 の濃度が25〜100g/l、添加剤の濃度が
    0.1〜5g/l、かつ、該無電解Snめっき液中にS
    nCl 2 モル濃度の3倍の濃度のアダクト剤および2倍
    の濃度の錯化剤がそれぞれ添加されている請求項1記載
    の内面SnまたはSn合金めっき管のめっき方法
  3. 【請求項3】 上記無電解Snめっき液の注入速度が流
    速1〜5m/sであると共に、循環速度が流速0.2m
    /s以下の穏やかな流動あるいは揺動状態である請求項
    2記載の内面SnまたはSn合金めっき管のめっき方
    法。
  4. 【請求項4】 少なくとも上記Snめっき膜形成処理時
    における上記無電解Snめっき液の脱気状態に保つ請求
    項1記載の内面SnまたはSn合金めっき管のめっき方
    法。
  5. 【請求項5】 上記Snめっき膜形成処理時間が60〜
    180分である請求項1記載の内面SnまたはSn合金
    めっき管のめっき方法。
  6. 【請求項6】 上記Snめっき膜形成処理後の長尺銅管
    内部に、pHが11〜14のアルカリ液あるいは酸化剤
    を含有するアルカリ液を注入し、その後、85℃〜11
    0℃の温度で加熱処理を施すことによって、Snめっき
    膜の最外層および該Snめっき膜表面部のピンホール内
    部にSn酸化膜を形成する請求項1乃至請求項4記載の
    内面SnまたはSn合金めっき管のめっき方法。
  7. 【請求項7】 上記Snめっき膜形成処理後の長尺銅管
    に140℃〜230℃の温度で0.1〜20hrの加熱
    処理を施して、該長尺銅管の下地表面直上にCuリッチ
    なCu−Sn合金層を形成した後、さらに230℃〜5
    00℃の温度で0.01〜1hrの加熱処理を施して、
    最外層のSn層およびSnリッチなC u−Sn合金層の
    一部を溶解・流動させ、Snめっき膜表面部のピンホー
    ルを消失させると共に、該Snめっき膜の大部分をCu
    リッチなCu−Sn合金層とする請求項1乃至請求項5
    記載の内面SnまたはSn合金めっき管のめっき方法。
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