JPH09323379A - 耐衝撃性及び耐食性に優れたシームレス缶 - Google Patents

耐衝撃性及び耐食性に優れたシームレス缶

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JPH09323379A
JPH09323379A JP14318996A JP14318996A JPH09323379A JP H09323379 A JPH09323379 A JP H09323379A JP 14318996 A JP14318996 A JP 14318996A JP 14318996 A JP14318996 A JP 14318996A JP H09323379 A JPH09323379 A JP H09323379A
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勝宏 今津
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 金属板とポリエステルとの積層体の絞り加工
及びしごき加工で形成されており、周状多面体壁加工等
の二次加工を受けた場合にも優れた耐衝撃性及び耐食性
を示すシームレス缶を提供する。 【解決手段】 金属基体とポリエステル系被覆層との積
層体からなるシームレス缶において、前記ポリエステル
系被覆層が(A)エチレンテレフタレート単位を主体と
する結晶性ポリエステルと(B)ポリブチレンテレフタ
レート或いはブチレンテレフタレート単位を主体とする
結晶性ポリエステルのブレンド物からなり、ブレンド物
中の成分(A)のエステル交換率が0.5〜20%の範
囲にある耐衝撃性及び耐食性に優れたシームレス缶。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板に積層され
たフィルムを絞りおよびしごき加工により成形した容器
に関するものである。詳細には、容器における積層フィ
ルムを特定することにより、缶壁の強度を向上させる周
状多面体壁加工等の二次加工を行った後の耐食性および
耐衝撃性が飛躍的に向上した容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、側面無継目缶(サイド・シームレ
ス缶)としては、アルミニウム板、ブリキ板或いはティ
ン・フリー・スチール板等の金属素材を、絞りダイスと
ポンチとの間で少なくとも1段の絞り加工に付して、側
面継目のない胴部と該胴部に、継目なしに一体に接続さ
れた底部とから成るカップに形成し、次いで所望により
前記胴部に、しごきポンチとダイスとの間でしごき加工
を加えて、容器胴部を薄肉化したものが知られている。
また、しごき加工の代わりに、再絞りダイスの曲率コー
ナ部で曲げ伸ばして側壁部を薄肉化することも既に知ら
れている(特公昭56−501442号公報)。
【0003】また、側面無継目缶の有機被覆法として
は、一般に広く使用されている成形後の缶に有機塗料を
施す方法の他に、成形前の金属素材に予め樹脂フィルム
をラミネートする方法が知られており、特公昭59−3
4580号公報には、金属素材にテレフタル酸とテトラ
メチレングリコールとから誘導されたポリエステルフィ
ルムをラミネートしたものを用いることが記載されてい
る。また、曲げ伸ばしによる再絞り缶の製造に際して、
ビニルオルガノゾル、エポキシ、フェノリクス、ポリエ
ステル、アクリル等の被覆金属板を用いることも知られ
ている。
【0004】ポリエステル被覆金属板の製造に付いて
も、多くの提案があり、例えば、特開平51−4229
号公報には、表面に二軸配向が残存しているポリエチレ
ンテレフタレートより成る塗膜が記載され、更に特開平
6−172556号公報には、極限粘度[η]が0.7
5以上のポリエステルフィルムを金属ラミネートに用い
ることが提案されている。
【0005】また、特開平3−101930号公報に
は、金属板と、エチレンテレフタレート単位を主体とす
るポリエステルフィルム層と、必要により金属板とポリ
エステルフィルムとの間に介在する接着プライマー層と
の積層体から成り、該ポリエステルフィルム層は、式 Rx =IA /IB 式中、IA はポリエステルフィルム表面に平行な、面間
隔約0.34nm(CuKαX線回折角が24゜から2
8゜)の回折面によるX線回折強度、IB はポリエステ
ルフィルム表面に平行な、面間隔約0.39nm(Cu
KαX線回折角が21.5゜から24゜)の回折面によ
るX線回折強度、で定義されるX線回折強度が0.1乃
至15の範囲内にあり且つ結晶の面内配向の異方性指数
が30以下であるフィルム層から成ることを特徴とする
絞り缶用被覆金属板が記載されており、また、上記被覆
金属板を絞り再絞り成形し、且つ再絞り成形に際して缶
胴側壁部を曲げ伸ばしにより薄肉化して成る薄肉化絞り
缶が記載されている。
【0006】発明者等の提案にかかる特開平7−224
1号公報(特願平5−124041)には、金属板に樹
脂フィルムを積層したラミネート材を有底カップに絞り
加工してなるシームレス容器において、前記樹脂フィル
ムは、表層がエチレンテレフタレートを主体とし且つガ
ラス転移点(Tg)が70℃以上のポリエステル、コポ
リエステル或いはそれらの組成物から成り且つ金属に接
する側の層がブチレンテレフタレートを主体とするポリ
エステル乃至コポリエステルとエチレンテレフタレート
を主体とするポリエステル乃至コポリエステルとを必須
成分として含有し且つガラス転移点(Tg)が30乃至
65℃のポリエステル組成物から成る複層構造を有し、
且つ容器の状態で、樹脂フィルム表層が0.04乃至
0.18の複屈折法配向度(Δn)、但し
【数1】Δn = n1 − n21 は缶上部においてはフィルムの容器軸方向の屈折率
であり、缶底部においては、フィルム表面内の最大配向
方向の屈折率であり、n2 はフィルムの厚み方向の屈折
率である、を有することを特徴とする耐衝撃性及び香味
保持性に優れたラミネートシームレス容器が記載されて
いる。
【0007】一方、薄肉金属容器の補強手段として、容
器の側壁に周方向にビードを形成させることが知られて
いる。ビード加工法により耐圧性を向上させることは可
能であるが、そのためには比較的深いビードを多段に入
れる必要がある。しかし、多段のビード加工を施した容
器では、容器側壁の印刷画面がゆがむ、或いは見えにく
い等の問題点が生じ、美的感覚上実際の容器に殆ど採用
されていないのが現状である。
【0008】本出願人の提案にかかる特公平7−512
8号公報には、缶胴の少なくとも一部に周状多面体壁が
形成され、該多面体壁は構成単位面と、構成単位面同士
が接する境界稜線及び境界稜線同士が交わる交叉部を有
し、該境界稜線及び交叉部は構成単位面に比べて相対的
に容器外側に凸となっており、構成単位面は対向する交
叉部間で滑らかに窪んだ部分を有し、構成単位面の周方
向に隣合った容器軸方向配列が位相差をなしており、且
つ構成単位面の窪んだ部分は式
【数2】5t≦R≦r 式中、tは缶胴の厚み(mm)、rは缶胴の半径(m
m)、Rは曲率半径(mm)である、を満足する曲率半
径を有することを特徴とする耐変形性及び装飾効果に優
れた薄肉金属容器が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のラミネート板を
シームレス缶の製造に用いる提案は、成形前の金属素材
に樹脂フィルムを施せばよく、通常の塗装処理のよう
に、塗膜の焼き付け炉や塗料排ガスの処理施設が不要
で、大気汚染がなく、また成形後の缶体に塗装処理を行
わなくてもよいという利点を与えるものであるが、成形
後の缶体に、上記特公平7−5128号公報に見られる
ような二次加工(周状多面体壁加工)を行った場合に
は、最終缶体の耐衝撃性及び耐食性が未だ不十分である
ことが分かった。
【0010】即ち、上記シームレス缶の製造では、金属
板とポリエステルとのラミネートは、軸方向には引き延
ばされ且つ周方向には圧縮される加工を受け、更に曲げ
伸ばし或いはしごき加工による薄肉化を受けるが、周状
多面体壁加工では、多面体壁の稜線部が張り出し加工を
受けるので、この部分の被覆が衝撃に耐えられなくな
り、また耐食性も低下するのである。
【0011】本発明の目的は、金属板とポリエステルと
の積層体の絞り加工及びしごき加工で形成されており、
周状多面体壁加工等の二次加工を受けた場合にも優れた
耐衝撃性及び耐食性を示すシームレス缶を提供するにあ
る。
【0012】本発明の他の目的は、耐変形性及び装飾効
果に優れていると共に、多面体壁稜線部の耐衝撃性及び
耐食性が向上したラミネートシームレス缶を提供するに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、金属基
体とポリエステル系被覆層との積層体からなるシームレ
ス缶において、前記ポリエステル系被覆層が(A)エチ
レンテレフタレート単位を主体とする結晶性ポリエステ
ルと(B)ポリブチレンテレフタレート或いはブチレン
テレフタレート単位を主体とする結晶性ポリエステルの
ブレンド物からなり、ブレンド物中の成分(A)の下記
式(1)に示すエステル交換率(E)が0.5〜20%
の範囲にあることを特徴とする耐衝撃性及び耐食性に優
れたシームレス缶: E=100・[1-exp{(Hu/R)・(1/Tm0−1/Tm)}] …(1) ここで、 Hu :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融解熱量9200(J/mol) R :気体定数8.314(J/(mol・K)) Tm :ブレンド物の融点(K) Tm0:エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融点(K)、が提供される。
【0014】本発明によればまた、金属基体とポリエス
テル系被覆層との積層体からなるシームレス缶におい
て、前記ポリエステル系被覆層が、エチレンテレフタレ
ート単位を主体とするポリエステルの表面層と、(A)
エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶性ポリエ
ステルと(B)ポリブチレンテレフタレート或いはブチ
レンテレフタレート単位を主体とする結晶性ポリエステ
ルのブレンド物からなる下層を備え、前記ブレンド物中
の成分(A)の下記式(1)に示すエステル交換率が
0.5〜20%の範囲にあることを特徴とする耐衝撃性
及び耐食性に優れたシームレス缶: E=100・[1-exp{(Hu/R)・(1/Tm0−1/Tm)}] …(1) ここで、 Hu :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融解熱量9200(J/mol) R :気体定数8.314(J/(mol・K)) Tm :ブレンド物の融点(K) Tm0:エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融点(K)が提供される。
【0015】本発明において、前記ブレンド物における
エステル交換率(E)及び固有粘度(IV)は、下記式
(2) IV>−A*E+B …(2) 式中、Aは0.05の数であり、Bは0.75の数であ
る、及び下記式(3) IV≧0.55 …(3) を満足する範囲内にあるのがよい。
【0016】本発明において、 1.前記ブレンド物は、成分(A)と成分(B)とを9
0:10〜55:45の重量比で含有するものであるこ
と、 2.前記ブレンド物の成分(A)において、エチレンテ
レフタレート主体の結晶性ポリエステル樹脂は、エチレ
ングリコールと、テレフタル酸およびイソフタル酸、オ
ルソフタル酸、P−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフ
タレン2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−
4,4′−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン酸、セバ
シン酸、トリメリット酸及びピロメリット酸から成る群
より選ばれた2塩基酸の少なくとも1種とから誘導され
た共重合ポリエステルから成ること、 3.前記ブレンド物の成分(B)において、ブチレンテ
レフタレート主体の結晶性ポリエステル樹脂は、ブタン
ジオールと、テレフタル酸および他成分として5mol %
未満のイソフタル酸、オルソフタル酸、P−β−オキシ
エトキシ安息香酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、
ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル
酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸及びピロ
メリット酸から成る群より選ばれた2塩基酸の少なくと
も1種から誘導された共重合ポリエステルであること、
が好ましい。
【0017】本発明は、シームレス缶に成形後、二次加
工を受けるシームレス缶に広く適用できるが、缶胴の少
なくとも一部に周状多面体壁が形成されているシームレ
ス缶、特に前記多面体壁が、構成単位面と、構成単位面
同士が接する境界稜線及び境界稜線同士が交わる交叉部
を有し、該境界稜線及び交叉部は構成単位面に比べて相
対的に容器外側に凸となっており、構成単位面は対向す
る交叉部間で滑らかに窪んだ部分を有し、構成単位面の
周方向に隣合った容器軸方向配列が位相差をなしている
シームレス缶に適応させた場合、顕著な効果がある。容
器を構成する金属素材を薄肉化することは、素材コスト
を低減させ、容器自体を軽量化し且つ容器の廃棄処理も
容易にするために重要な課題であるが、本発明では、胴
部に周状多面体壁を形成することにより、器壁金属素材
をこの様に著しく薄肉化しながら優れた保形性、耐圧変
形性、装飾効果、耐食性及び耐衝撃性、を達成すること
ができる。
【0018】
【発明の実施形態】本発明では、ラミネートシームレス
缶のポリエステル被覆層として、エチレンテレフタレー
ト単位を主体とする結晶性ポリエステルに対して、ブチ
レンテレフタレートを主体とする結晶性ポリエステルを
ブレンドしたものを用いることが第1の特徴である。
【0019】缶詰め製品の場合、落下等による衝撃を受
けることは頻繁であり、この衝撃後にも尚優れた耐食性
を示すことは、金属溶出、孔食による漏洩等を防止する
上で極めて重要な要件である。ところが、エチレンテレ
フタレート単位を主体とする結晶性ポリエステルは、機
械的性質、耐熱性、腐食成分に対するバリアー性等には
優れているが、衝撃を加えた後には、耐食性が著しく低
下する傾向がある(比較例1参照)。これに対して、エ
チレンテレフタレート系ポリエステルにブチレンテレフ
タレート系の結晶性ポリエステルをブレンドすると、ポ
リエチレンテレフタレートが有する上記特性を損なうこ
となしに、衝撃後の耐食性を顕著に向上させることが可
能となる。
【0020】本発明においては、ブチレンテレフタレー
ト系ポリエステルは結晶性であることも極めて重要であ
る。非晶性ポリエステルを用いると、本発明による連続
製缶時に、工具温度が非晶性ポリエステルのガラス転移
点(Tg)以上になりやすく、このため、缶の抜け性不
良や工具への付着、内面フィルムの削れ等が発生しやす
い。
【0021】本発明では、上記ブレンド物中の成分
(A)、即ちエチレンテレフタレート系結晶性ポリエス
テルの前記式(1)に示すエステル交換率が0.5〜2
0%の範囲にあることが第二の特徴である。
【0022】エステル交換率を求める前記式(1)は、
一般に知られているフローリーの式を基にしたものであ
り、ブレンド物中のエステル交換反応の程度と、エチレ
ンテレフタレート主体の結晶性ポリエステル(A)の融
点降下との間に一定の関係があることに基づいて、求め
られるものである。即ち、ポリエステル(A)の融点降
下が全く生じていない場合、式(1)左辺の1/Tm0
−1/Tmの値は0となり、エステル交換率Eはゼロ%
となる。融点降下の程度が大きくなると、1/Tm0−
1/Tmの値は負でその絶対値が大きくなり、エステル
交換率Eは大きな値となる。
【0023】本発明では、上記エステル交換率が0.5
乃至20%の範囲にあることが、衝撃後の耐食性に関し
て重要である。即ち、エステル交換率が0.5%を下回
る場合には、両成分(A)及び(B)のブレンドが不十
分で、満足すべき物性のフィルムを得ることができな
い。一方、エステル交換率が20%を上回ると、衝撃後
の耐食性が著しく低下する(比較例2及び3参照)。こ
の理由は、次の通りと考えられる。成形後の缶には、印
刷が施され、印刷インキの焼き付けが行われるが、この
焼き付けに際して、エステル交換率が20%を越えるブ
レンド物の被覆層では、分子配向の緩和と熱結晶化とが
進行し、衝撃によりフィルムの割れが進行し、耐食性が
低下するものと思われる。これに対して、エステル交換
率が上記範囲内にあるブレンド物の被覆層では、分子配
向が維持され、配向結晶化は進行するとしても、熱結晶
化が抑制され、衝撃時のフイルムの割れが防止され、優
れた耐食性が維持されるものである。
【0024】本発明においては、ブレンド物の固有粘度
(IV)が前記式(3)を満足し、且つエステル交換率
と固有粘度とが前記式(2)を満足する関係にあること
も重要である。上記式(2)及び(3)の関係は、ブレ
ンド物の固有粘度がある下限値以上でなければならない
が、エステル交換率の増大により、許容される固有粘度
の範囲は拡大することを示している。即ち、ブレンド物
の固有粘度が式(3)を満足しない場合には、シームレ
ス缶を周状多面体壁に加工した際、稜線部の耐食性が低
下し、衝撃後の耐食性も低下する(比較例5参照)。ま
た、固有粘度が式(2)の左辺の値以下になると、やは
り、シームレス缶を周状多面体壁に加工した際、稜線部
の耐食性が低下し、衝撃後の耐食性も低下する(比較例
6及び8参照)。
【0025】本発明においては、更に、ブレンド物中に
おけるエチレンテレフタレート系ポリエステルとブチレ
ンテレフタレート系ポリエステルとの重量比が、
(A):(B)=90:10乃至55:45の範囲内に
あることも重要である。両者のブレンド比が上記範囲を
下回る場合及び上回る場合の何れにおいても、シームレ
ス缶を周状多面体壁に加工した際、稜線部の耐食性が低
下し、衝撃後の耐食性も低下する(比較例4及び7参
照)。これは、周状多面体壁への加工性及び衝撃後の耐
食性に関して、エチレンテレフタレート系ポリエステル
とブチレンテレフタレート系ポリエステルとのブレンド
比には、最適範囲があることを示している。
【0026】本発明のシームレス缶において、上記ブレ
ンド物の層は、耐食性が問題となる缶内面側に設けるべ
きであり、これは単層で設けても、或いは多層で設けて
もよい。後者の場合、ブレンド物層を下層として設け、
上層にはエチレンテレフタレート系ポリエステルを設け
るのが、加工性、耐食性、耐衝撃性等の総合的見地から
望ましい。
【0027】(エチレンテレフタレート系結晶性ポリエ
ステル)本発明に用いるエチレンテレフタレート系結晶
性ポリエステルは、エステル反復単位の大部分、80モ
ル%以上をエチレンテレフタレート単位を占めるもので
あり、ガラス転移点(Tg)が50乃至90℃、特に7
0乃至90℃で、融点(Tm)が210乃至260℃、
特に220乃至260℃にある結晶性ポリエステルが好
適である。ホモポリエチレンテレフタレートが耐熱性の
点で好適であるが、エチレンテレフタレート単位以外の
エステル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用し
得る。ポリエステルが結晶性であるか否かは、示差熱分
析において、明確な結晶融解ピークを示すことにより確
認できる。これは、ブチレンテレフタレート系ポリエス
テルにおいても同様である。
【0028】テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イ
ソフタル酸、オルソフタル酸、P−β−オキシエトキシ
安息香酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、ジフェノ
キシエタン−4,4′−ジカルボン酸、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、トリメリット酸及びピロメリット
酸から成る群より選ばれた2塩基酸の少なくとも1種が
好適である。
【0029】ジオール成分は、エチレングリコールのみ
からなることが好適であるが、本発明の本質を損なわな
い範囲で、それ以外のジオール成分、例えば、プロピレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレング
リコール、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキ
サンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサ
イド付加物等の1種又は2種以上が含まれていてもよ
い。
【0030】用いるエチレンテレフタレート系結晶性ポ
リエステルは、ブレンド物として前述した固有粘度を満
足するものであるが、固有粘度の上限は1.5以下であ
るのがよい。尚、固有粘度の測定は後述する方法で行
う。
【0031】(ブチレンテレフタレート系結晶性ポリエ
ステル)本発明に用いるブチレンテレフタレート系結晶
性ポリエステルは、エステル反復単位の大部分、80モ
ル%以上をブチレンテレフタレート単位を占めるもので
あり、ガラス転移点(Tg)が10乃至40℃、特に2
0乃至35℃で、融点(Tm)が180乃至240℃、
特に190乃至230℃にある結晶性ポリエステルが好
適である。ホモポリブチレンテレフタレートが耐熱性の
点で好適であるが、ブチレンテレフタレート単位以外の
エステル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用し
得る。
【0032】テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イ
ソフタル酸、オルソフタル酸、P−β−オキシエトキシ
安息香酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、ジフェノ
キシエタン−4,4′−ジカルボン酸、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、トリメリット酸及びピロメリット
酸から成る群より選ばれた2塩基酸の少なくとも1種か
つ5モル%以下が好適である。テレフタル酸以外の二塩
基酸は5モル%未満とすることが好ましい。
【0033】ジオール成分は、ブチレングリコールのみ
からなることが好適であるが、本発明の本質を損なわな
い範囲内で、ブチレングリコール以外のジオール成分と
しては、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ジエチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAの
エチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上を含有
していてもよい。
【0034】用いるブチレンテレフタレート系結晶性ポ
リエステルは、少なくともフィルムを形成するに足る分
子量を有するべきであり、ブレンド物の形で、前述した
固有粘度を与えるものである。その固有粘度の上限は、
2.0以下であるのがよい。
【0035】(ポリエステル組成物)本発明では、エチ
レンテレフタレート系ポリエステル(A)とブチレンテ
レフタレート系ポリエステル(B)とを A:B=90:10乃至55:45 特に 90:10乃至60:40 の重量比で含有するポリエステルブレンド物を使用す
る。
【0036】エチレンテレフタレートを主体とする結晶
性ポリエステル樹脂と、ブチレンテレフタレートを主体
とする結晶性ポリエステル樹脂とのブレンド物におい
て、前述した範囲のエステル交換率に制御する方法とし
ては、押し出し機の前工程にて、あらかじめ樹脂チップ
をブレンドし樹脂温度、反応時間、湿度等を制御しなが
ら混練してエステル交換率を制御する方法や直接原料チ
ップを押し出し機中に入れて押し出し機中の樹脂温度、
滞留時間を制御する方法などがあり、いずれの方法を用
いてもよいが、混練時の温度、時間はエステル交換反応
において非常に重要なパラメーターである。ポリエステ
ル樹脂の混練時の温度としては260℃〜280℃が一
般的であるが、温度が高いとエステル交換反応は進みや
すいが、逆に熱分解が始まり、結果的に分子量が低下す
る。また、混練時間は長いほどエステル交換率は上昇す
る。
【0037】混合乃至混練操作は、ブレンダーやヘンシ
ェルミキサー等を用いて乾式混合を行った後、各種ニー
ダー或いは一軸乃至二軸の押出型溶融混練装置や射出機
用混練装置を用いて、溶融混練を行うことができる。
【0038】(ポリエステルフィルム)本発明に用いる
ポリエステルフィルムは、前述したブレンド物単独のフ
ィルムであっても、このブレンド物層を含む多層フィル
ムであってもよい。多層フィルムの場合、下層がブレン
ド物から成り、上層が前述したエチレンテレフタレート
系結晶性ポリエステルから成るのがよい。
【0039】本発明に使用するポリエステル系フィルム
の厚みは、全体として、2乃至100μm、特に5乃至
50μmの範囲にあるのが金属の保護効果及び加工性の
点でよい。多層フィルムの場合、ブレンド物層と、エチ
レンテレフタレート系ポリエステル層とは、96:4乃
至4:96の厚み比を有するのがよい。
【0040】ポリエステル系フィルムは一般に二軸延伸
されているべきである。二軸配向の程度は、X線回折
法、偏光蛍光法、複屈折法、密度勾配管法密度等でも確
認することができる。フィルムの2軸延伸の程度は、単
層の場合0.04乃至0.18、二層フィルムの場合、
少なくとも1つの層が0.04乃至0.18の複屈折を
有するものが適当である。
【0041】勿論、このポリエステル系フィルムには、
それ自体公知のフィルム用配合剤、例えば非晶質シリカ
等のアンチブロッキング剤、二酸化チタン(チタン白)
等の顔料、各種帯電防止剤、滑剤等を公知の処方に従っ
て配合することができる。
【0042】一般に必要でないが、接着用プライマーを
用いる場合には、フィルムへの接着用プライマーとの密
着性を高めるために、二軸延伸ポリエステルフィルムの
表面をコロナ放電処理しておくことが一般に望ましい。
コロナ放電処理の程度は、そのぬれ張力が44dyne
/cm以上となるようなものであることが望ましい。
【0043】この他、フィルムへのプラズマ処理、火炎
処理等のそれ自体公知の接着性向上表面処理やウレタン
樹脂系、変性ポリエステル樹脂系等の接着性向上コーテ
ィング処理を行っておくことも可能である。
【0044】(金属板)本発明では、金属板としては各
種表面処理鋼板やアルミニウム等の軽金属板が使用され
る。
【0045】表面処理鋼板としては、冷圧延鋼板を焼鈍
後二次冷間圧延し、亜鉛メッキ、錫メッキ、ニッケルメ
ッキ、電解クロム酸処理、クロム酸処理等の表面処理の
一種または二種以上行ったものを用いることができる。
好適な表面処理鋼板の一例は、電解クロム酸処理鋼板で
あり、特に10乃至200mg/m2 の金属クロム層と
1乃至50mg/m2 (金属クロム換算)のクロム酸化
物層とを備えたものであり、このものは塗膜密着性と耐
腐食性との組合せに優れている。表面処理鋼板の他の例
は、0.5乃至11.2g/m2 の錫メッキ量を有する
硬質ブリキ板である。このブリキ板は、金属クロム換算
で、クロム量が1乃至30mg/m2 となるようなクロ
ム酸処理或いはクロム酸−リン酸処理が行われているこ
とが望ましい。
【0046】更に他の例としては、アルミニウムメッ
キ、アルミニウム圧接等を施したアルミニウム被覆鋼板
が用いられる。
【0047】軽金属板としては、所謂アルミニウム板の
他に、アルミニウム合金板が使用される。耐腐食性と加
工性との点で優れたアルミニウム合金板は、Mn:0.
2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量%、Z
n:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.15乃
至0.25重量%、残部がAlの組成を有するものであ
る。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、クロム量
が20乃至300mg/m2 となるようなクロム酸処理
或いはクロム酸/リン酸処理が行われていることが望ま
しい。
【0048】金属板の素板厚、即ち缶底部の厚み(tB
)は、金属の種類、容器の用途或いはサイズによって
も相違するが、一般に0.10乃至0.50mmの厚み
を有するのがよく、この内でも表面処理鋼板の場合に
は、0.10乃至0.30mmの厚み、また軽金属板の
場合には0.15乃至0.40mmの厚みを有するのが
よい。
【0049】[ラミネート及びその製造方法]本発明の
積層体の断面構造の一例を示す図5において、この積層
体1は金属基体2と少なくとも内面側に位置するポリエ
ステルブレンド物層3とから成っている。金属基体2に
は外面被膜4が形成されているが、この外面被膜4はポ
リエステルブレンド物層3と同様のものであってもよい
し、また通常の缶用塗料や樹脂(ポリエステル)フィル
ム被覆であってもよい。
【0050】積層体の断面構造の他の例を示す図6にお
いて、ポリエステルブレンド物層3と金属基体2との間
に接着用プライマーの層5を設けている以外は、図5の
場合と同様である。
【0051】本発明に用いるポリエステル−金属ラミネ
ートは、二軸延伸ポリエステルフィルムを金属に熱接着
させることにより製造することができる。この際、ポリ
エステル層に、二軸分子配向の少なくとも一部が残存す
るようにすることが好ましい。
【0052】ポリエステル−金属ラミネートの製造方法
を説明するための図7において、金属板20を加熱ロー
ル21により用いるポリエステルの融点(Tm)以上の
温度(T1 )に加熱し、ラミネートロール22、22間
に供給する。一方、ポリエステルフィルム23は、供給
ロール24から巻きほぐされ、ラミネートロール22、
22間に金属板20をサンドイッチする位置関係で供給
される。ラミネートロール22、22は、加熱ロール2
1よりも若干低い温度(T2 )に保たれており、金属板
20の両面にポリエステルフィルムを熱接着させる。ラ
ミネートロール22、22の下方には、形成されるラミ
ネート25を急冷するための冷却水26を収容した水槽
が設けられており、この水槽中にラミネートを導くガイ
ドローラ27が配置されている。ラミネートロール2
2、22と冷却水26との間には一定の間隔のギャップ
28を形成し、このギャップ28に保温機構29を設け
て、一定の温度範囲(T3 )に保持し、ポリエステルの
溶融相から固相への遷移状態において、配向の戻りによ
るフィルム厚み方向途中における二軸配向のピークが形
成されるようにするのがよい。
【0053】金属板の加熱温度(T1 )は、一般にTm
+0℃乃至Tm+100℃、特にTm+0℃乃至Tm+
50℃の温度が適当であり、一方ラミネートロール11
の温度T2 は、70℃乃至180℃、特に90℃乃至1
50℃の範囲が適当である。上記の温度設定により、金
属板上のポリエステルには、上記温度差に対応する温度
勾配が形成され、この温度勾配は次第に低温側に移行し
やがて消失するが、ポリエステルの表面側から金属板側
への厚み方向途中の部分が、溶融相から固相への遷移状
態において配向の戻り現象を生じる温度領域を十分な時
間をかけて通過するようにする。このために、ラミネー
トロール通過後のラミネートを、保温域で保温するのが
有効である。
【0054】ポリエステルフィルムと金属素材の間に所
望により設ける接着プライマーは、金属素材とフィルム
との両方に優れた接着性を示すものである。密着性と耐
腐食性とに優れたプライマー塗料の代表的なものは、種
々のフェノール類とホルムアルデヒドから誘導されるレ
ゾール型フェノールアルデヒド樹脂と、ビスフェノール
型エポキシ樹脂とから成るフェノールエポキシ系塗料で
あり、特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂とを50:5
0乃至5:95重量比、特に40:60乃至10:90
の重量比で含有する塗料である。
【0055】接着プライマー層は、一般に0.01乃至
10μmの厚みに設けるのがよい。接着プライマー層は
予め金属素材上に設けてよく或いは予めポリエステルフ
ィルム上に設けてもよい。
【0056】[シームレス缶及びその製造方法]本発明
のシームレス缶の一例を示す図8において、このシーム
レス缶11は前述したポリエステル−金属ラミネート1
の絞り−再絞り加工による曲げ伸ばし或いは更にしごき
加工により形成され、底部10と側壁部12とから成っ
ている。側壁部12の上端には所望によりネック部13
を介してフランジ部14が形成されている。この缶11
では、底部10に比して側壁部12は曲げ伸ばし或いは
更にしごき加工により積層体元厚の30乃至85%の厚
みとなるように薄肉化されている。本発明のシームレス
缶は、上記のポリエステル−金属ラミネートをポンチと
ダイスとの間で、有底カップに絞り−深絞り成形し、深
絞り段階で曲げ伸しとしごきによりカップ側壁部の薄肉
化を行なうことにより製造される。即ち、薄肉化のため
の変形を、缶軸方向(高さ方向)の荷重による変形(曲
げ伸ばし)と缶厚み方向の荷重による変形(しごき)と
の組み合わせでしかもこの順序に行う。曲げ伸ばしはエ
チレンテレフタレート単位のc軸方向への分子配向を与
え、一方しごきはエチレンテレフタレート単位のベンゼ
ン面のフィルム面に平行な分子配向を与える。
【0057】ラミネートの絞り−しごき成形は次の手段
で行われる。即ち、図9に示す通り、被覆金属板から成
形された前絞りカップ30は、このカップ内に挿入され
た環状の保持部材31とその下に位置する再絞り−しご
きダイス32とで保持される。これらの保持部材31及
び再絞り−しごきダイス32と同軸に、且つ保持部材3
1内を出入し得るように再絞り−しごきポンチ33が設
けられる。再絞り−しごきポンチ33と再絞り−しごき
ダイス32とを互いに噛みあうように相対的に移動させ
る。
【0058】再絞り−しごきダイス32は、上部に平面
部34を有し、平面部の周縁に曲率半径の小さい作用コ
ーナー部35を備え、作用コーナー部に連なる周囲に下
方に向けて径の増大するテーパー状のアプローチ部36
を有し、このアプローチ部に続いて小曲率部37を介し
て円筒状のしごき用のランド部(しごき部)38を備え
ている。ランド部38の下方には、逆テーパ状の逃げ3
9が設けられている。
【0059】前絞りカップ30の側壁部は、環状保持部
材31の外周面40から、その曲率コーナ部41を経
て、径内方に垂直に曲げられて環状保持部材31の環状
底面42と再絞りダイス32の平面部34とで規定され
る部分を通り、再絞りダイス32の作用コーナ部35に
より軸方向にほぼ垂直に曲げられ、前絞りカップ30よ
りも小径の深絞りカップに成形される。この際、作用コ
ーナー部35において、コーナー部35と接する側の反
対側の部分は、曲げ変形により伸ばされ、一方、作用コ
ーナー部35と接する側の部分は、作用コーナー部を離
れた後、戻し変形で伸ばされ、これにより側壁部の曲げ
伸ばしによる薄肉化が行われる。
【0060】曲げ伸ばしにより薄肉化された側壁部は、
その外面が径の次第に増大する小テーパー角のアプロー
チ部36と接触し、その内面がフリーの状態で、しごき
部38に案内される。側壁部がアプローチ部を通過する
行程は続いて行うしごき行程の前段階であり、曲げ伸ば
し後のラミネートを安定化させ、且つ側壁部の径を若干
縮小させて、しごき加工に備える。即ち、曲げ伸ばし直
後のラミネートは、曲げ伸ばしによる振動の影響があ
り、フィルム内部には歪みも残留していて、未だ不安定
な状態にあリ、これを直ちにしごき加工に付した場合に
は、円滑なしごき加工を行い得ないが、本発明によれ
ば、側壁部の外面側をアプローチ部36と接触させてそ
の径を縮小させると共に、内面側をフリーの状態にする
ことにより、振動の影響を防止し、フィルム内部の不均
質な歪みも緩和させて、円滑なしごき加工を可能にする
ものである。
【0061】アプローチ部36を通過した側壁部は、し
ごき用のランド部(しごき部)38と再絞り−しごきポ
ンチ33との間隙に導入され、この間隙(C1)で規制
される厚みに圧延される。最終側壁部の厚みC1は積層
体元厚(t)の30乃至85%の厚みとなるように定め
る。尚、しごき部導入側の小曲率部37は、しごき開始
点を有効に固定しながら、しごき部38への積層体の導
入を円滑に行うものであり、ランド部38の下方の逆テ
ーパ状の逃げ39は、加工力の過度の増大を防ぐもので
ある。
【0062】再絞り−しごきダイス32の曲率コーナー
部35の曲率半径Rdは、曲げ伸ばしを有効に行う上で
は、ラミネートの肉厚(t)の2.9倍以下であるべき
であるが、この曲率半径があまり小さくなるとラミネー
トの破断が生じることから、ラミネートの肉厚(t)の
1倍以上であるべきである。
【0063】テーパー状のアプローチ部36のアプロー
チ角度(テーパー角度の1/2)αは1乃至5゜を有す
るべきである。このアプローチ部角度が上記範囲よりも
小さいと、ポリエステルフィルム層の配向緩和やしごき
前の安定化が不十分なものとなり、アプローチ部角度が
上記範囲よりも大きいと、曲げ伸ばしが不均一な(戻し
変形が不十分な)ものとなり、何れの場合もフィルムの
割れや剥離を生じることなしに、円滑なしごき加工が困
難となる。
【0064】小曲率部37の曲率半径Riは、しごき開
始点の固定有効に行う上では、ラミネートの肉厚(t)
の0.3倍以上、20倍以下であるべきであるが、この
曲率半径があまり大きくなるとラミネートの削れが生じ
ることから、ラミネートの肉厚(t)の20倍以下にす
ることが特に好ましい。
【0065】しごき用のランド部38と再絞り−しごき
ポンチ33とクリアランスは前述した範囲にあるが、ラ
ンド長Lは、一般に0.5乃至30mmの長さを有して
いるのがよい。この長さが上記範囲よりも大きいと加工
力が過度に大きくなる傾向があり、一方上記範囲よりも
小さいとしごき加工後の戻りが大きく、好ましくない場
合がある。
【0066】本発明のシームレス缶において、フランジ
部のポリエステル層は、過酷な巻締加工を受けることか
ら、缶側壁部のポリエステル層に比して、マイルドな加
工を受けていることが好ましい。これにより、巻締部の
密封性及び耐腐食性を向上させることができる。この目
的のため、しごき後の缶側壁部の上端に、缶側壁部の厚
みよりも厚いフランジ形成部が形成されるようにする。
即ち、缶側壁部の厚みをt1 及びフランジ部の厚みをt
2 とすると、t2 /t1 の比は、1.0乃至2.0、特
に1.0乃至1.7の範囲に定めるのがよい。
【0067】再絞り−しごき成形後のシームレス缶を示
す図10、図11及び図12において、シームレス缶5
0は、素板圧とほぼ同じ厚みを有する底部51と、再絞
り−しごき加工により薄肉化された側壁部52とから成
るが、側壁部52の上部には、これよりも厚肉のフラン
ジ形成部53が形成されている。
【0068】フランジ形成部53には、種々の構造があ
り、図11に示した例では、側壁部52の外面とフラン
ジ形成部53の外面とが同一径の円筒面上にあり、フラ
ンジ形成部53の内面は側壁部52の内面よりも小さい
径を有している。このタイプのフランジ形成部53は、
再絞り−しごきポンチ32において、側壁部が伸ばされ
てフランジ形成部53が位置する部分を他の部分に比し
て小径にしておくことにより形成される。
【0069】フランジ形成部53の図10に示した例で
は、側壁部52の内面とフランジ形成部53の内面とが
同一径の円筒面上にあり、フランジ形成部53の外面は
側壁部52の外面よりも大きい径を有している。このタ
イプのフランジ形成部53は、再絞り−しごきダイのラ
ンド部の長さLを短くすると共に、このランド部に続く
部分にランド部よりも小径の部分を設けて、フランジ形
成部53が戻り変形させることにより形成される。
【0070】フランジ形成部53の図12に示した例で
は、フランジ形成部53の外面は側壁部52の外面より
も大きい径を有すると共に、フランジ形成部53の内面
は側壁部52の内面よりも小さい径を有している。この
タイプのフランジ形成部53は、再絞り−しごきポンチ
32において、側壁部が伸ばされてフランジ形成部43
が位置する部分を他の部分に比して小径にしておくと共
に、再絞り−しごきダイのランド部の長さLを短くし、
更に、このランド部に続く部分にランド部よりも小径の
部分を設けて、フランジ形成部43が戻り変形させるこ
とにより形成される。
【0071】本発明のシームレス缶を製造するに際し
て、表面のポリエステル層は十分な潤滑性能を付与する
ものであるが、より潤滑性を高めるために、各種油脂類
或いはワックス類等の潤滑剤を少量塗布しておくことが
できる。勿論、潤滑剤を含有する水性クーラント(当然
冷却も兼ねる)を使用することもできるが、操作の簡単
さの点では避けた方がよい。
【0072】また、再絞り−しごき加工時の温度(しご
き終了直後の温度)は、ポリエステルのガラス転移点
(Tg)よりも100℃高い温度以下で且つ10℃以上
の温度であることが好ましい。このため、工具の加温を
行ったり、或いは逆に冷却を行うことが好ましい。
【0073】本発明によれば、次いで絞り成形後の容器
を、少なくとも一段の熱処理に付することができる。こ
の熱処理には、種々の目的があり、加工により生じるフ
ィルムの残留歪を除去すること、加工の際用いた潤滑剤
を表面から揮散させること、表面に印刷した印刷インキ
を乾燥硬化させること等が主たる目的である。この熱処
理には、赤外線加熱器、熱風循環炉、誘導加熱装置等そ
れ自体公知の加熱装置を用いることができる。また、こ
の熱処理は一段で行ってもよく、2段或いはそれ以上の
多段で行うこともできる。熱処理の温度は、180乃至
240℃の範囲が適当である。熱処理の時間は、一般的
にいって、1乃至10分のオーダーである。
【0074】熱処理後の容器は急冷してもよく、また放
冷してもよい。即ち、フィルムや積層板の場合には急冷
操作が容易であるが、容器の場合には、三次元状でしか
も金属による熱容量も大きいため、工業的な意味での急
冷操作はたいへんであるが、本発明では急冷操作なしで
も、結晶成長が抑制され、優れた組合せ特性が得られる
のである。勿論、所望によっては、冷風吹付、冷却水散
布等の急冷手段を採用することは任意である。
【0075】(二次加工された缶)本発明の周状多面体
壁缶の一例を示す図13において、(A)はこの容器の
側面図、(B)は部分側面断面図及び(C)は水平断面
図である。この容器60は、前述したラミネートの絞り
しごき加工で形成された上部開口の側壁部66及び閉塞
底部67と上端に巻締めにより設けられた蓋体68とか
ら成っている。この胴部60には、周状に多面体壁が形
成されており、この多面体壁は、構成単位面61と、構
成単位面同士が接する境界稜線62及び境界稜線同士が
交わる交叉部63を有し、該境界稜線62及び交叉部6
3は構成単位面に比べて相対的に容器外側に凸、構成単
位面61の対向する交叉部間の部分65は相対的に容器
内側に凹となっている。またこの多面体壁では、構成単
位面61の隣合った容器軸方向配列が位相差をなした配
列とされている。
【0076】この具体例において、構成単位面1は、四
辺形(菱形)abcd(図14参照)から成っており、
構成単位面1の周方向に隣合った容器軸方向配列が丁度
1/2の位相差をなして配列されている。
【0077】図14は構成単位面の説明図であって、
(A)は構成単位面の平面図であり、(B)、(C)及
び(D)、窪みの曲率半径Rとの関係で構成単位面の中
央部の垂直断面を示す図である。図14(A)は図13
の容器胴部に使用される多面体壁面の四辺形単位面61
の一例を取り出して示したものであり、菱形abcdが
構成単位面61となっている。菱形における各辺ab、
bc、cd、daは容器側面に形成される境界稜線62
に相当する辺であり、外向きに凸となる頂点a、b、
c、dが交叉部63に該当する。
【0078】側壁が円筒の場合、上方頂点aと下方頂点
cとは同一径の円周面上に位置しており、左方頂点bと
右方頂点dとは同一径の円周面上に位置している。配列
が1/2の位相差をなしている場合、全ての頂点は同一
径の円周面上に位置しており、図13(C)に示す通
り、これら頂点に対応する容器胴部内半径は、最大半径
rである。一方、各稜線ab、bc、cd、daは端で
径外方に最も突出しているが、中間に行くに従って容器
中心軸からの距離、即ち径が減少するようになってい
る。周方向の対角線bdの中点の径sをとると、この径
sはrよりも小さく、図13(C)の場合、最小内半径
を与える。容器胴上の単位面を軸方向に投影したとき、
頂点acは重なるが、軸方向の対角線acは、周方向の
対角線bdとは重ならずに対角線bdよりも径外方向に
位置しており、四辺形abcdは滑らかに湾曲した面と
なっている。
【0079】図14の(A)において、構成単位面とし
ての菱形寸法は、周方向対角線bdの長さをwとし、軸
方向対角線acの高さをLとすると、w及びLはそれぞ
れ構成単位面の周方向最大巾及び軸方向の最大長さとな
る。軸方向対角線の長さac(高さL)に比して、実際
の構成単位面上のac断面での長さは長く、このac断
面は容器内側に滑らかに窪んだ曲線となっている。構成
単位面のac断面の長さは、窪みの曲率半径R=5t
(図14(B))、R=0.3r(図14(C))、R
=r(図14(D))が大きくなるに従って、短くな
る。
【0080】各構成単位面において、周方向対角線bd
の長さ(w)と実際の構成単位面上のbd断面での長さ
とが異なる場合がある。例えば、図13の(C)では、
周方向対角線bdと実際の構成単位面上のbd断面とが
一致していて、それらの長さが等しいが、この断面にお
ける辺の中点は周方向対角線bdの位置よりも径外方向
に位置していたり、径内方向に位置している場合があ
る。
【0081】図13及び図14に示す例では、ac断面
が滑らかに湾曲しており、bd断面は実質上ストレート
であるが、他の具体例を示す図15においては、ac断
面もbd断面も共に内方に滑らかに窪むように湾曲して
いる。
【0082】また、本発明においては、構成単位面は四
辺形、特に菱形であることが好ましいが、これに限定さ
れず、他の多角形とする事も勿論可能であり、例えば六
角形とすることができる。図16は構成単位面が六角形
であるである例を示す。この場合も、多面体の基本的構
成は、前述した場合と同様である。
【0083】多面体パターンは、容器胴部のほぼ全面に
設けることが好ましいが、容器の中央部にのみ設けるよ
うにすることもできる。図17は、多面体壁を容器胴部
の中央部に設けた例を示す。
【0084】本発明の周状多面体壁缶は、蓋を取り付け
る前のシームレス缶を、内型と外型とで型押して前記多
面体を形成することにより製造される。使用する内型
は、前記多面体の交叉部及び稜線に対応する突起を表面
に有するものであり、一方使用する外型は、前記多面体
の窪みに対応する滑らかな突起を表面に有するものであ
り、これらの内型及び外型をシームレス缶胴部を介して
噛み合わせることにより、多面体の形成が行われる。
【0085】図18は、容器胴部への多面体刻設の方法
を示す説明図であり、理解が容易なように容器胴部の一
部を切り欠いた状態で示してある。この例では構成単位
面が四辺形の場合を示すが、構成単位面が四辺形以外の
場合でも原理的にこれと変わりがない。容器胴部50は
内型71及び外型72に挟まれた状態で回転される。内
型71の表面には、多面体の交叉部に対応した突起73
及び境界稜線に対応した突条74と、構成単位面に対応
する窪んだ凹面75とが形成されている。一方、外型7
2の表面には、多面体の交叉部及び境界稜線に対応した
溝76と、構成単位面に対応する凸面77とが形成され
ている。
【0086】これらの内型71と外型72とを容器胴部
50を介して噛み合わせ、且つこれらを同期した速度で
回転させることにより、容器胴部への多面体の刻設が行
われる。尚、回転に際して一部に噛み合わせがずれる場
合には内型或いは外型の回転軸が若干上下動するように
してもよい。
【0087】図18に示す具体例において、内型71及
び外型72は、容器胴部50よりも小さい径を有してい
るが、内型71と外型72の表面における基本面構成単
位の周方向への配置数は容器胴部周囲のそれに比べて1
個或いは複数個少ないものとしているが、実用上多面体
の形成には問題はない。内型77と外型72とを離すこ
とにより、多面体刻設容器胴部の取り出しが容易に行わ
れる。
【0088】構成単位面の窪んだ部分は式(6) 5t≦R≦r ‥(6) 式中、tは缶胴の厚み(mm)、rは缶胴の半径(m
m)、Rは曲率半径(mm)である、を満足する曲率半
径を有することが望ましい。
【0089】窪みの曲率半径Rが缶壁の板厚tの5倍を
下回る場合、その窪みに加工時の折れ目が形成される
が、保形性の評価の際の局部圧縮時にその折れ目にて折
れ込む様に比較的容易に変形を生じるため、保形性上好
ましくない。一方、窪みの曲率半径Rが缶胴の半径rを
上回る場合、窪みの深さが浅くなり局部的な変形抵抗力
が小さくなるため好ましくない。
【0090】耐減圧変形性の点で、本発明の多面体パタ
ーンを構成する構成単位面の窪みの曲率半径Rは缶胴の
半径r以下で有ることが好ましく、特に好ましくは0.
6r以下である。窪みの曲率半径Rが缶胴の半径rを上
回る場合、窪みの深さが浅くなり、有効な耐減圧変形性
を保持することが難しくなる。
【0091】また、本発明のシームレス缶では、前記構
成単位面の容器軸方向の最大長さをLとし、構成単位面
の缶周方向の最大巾をwとしたとき、L及びwが式
(7)
【数3】0.2≦L/w≦4 ‥(7) の関係を満たすことが好ましく、また構成単位面の周方
向最大巾を与える交叉点間対角線と構成単位面の軸方向
最大長さを与える交叉点間対角線との距離(両対角線を
それぞれ直角に結ぶ線の長さ)をd0 及びこの線が構成
単位面と交わる位置と構成単位面の軸方向最大長さを与
える交叉点間対角線との距離をd1 としたとき、d1
0 の関係で次式(8)
【数4】0.5≦d1 /d0 ≦2 ‥(8) を満足する範囲内にあることが望ましい。
【0092】L/Wが上記範囲をはずれると、保形性、
耐減圧変形性が劣ってくる。L/wの値は缶径と缶高と
の比率を考慮したデザイン上の観点から上記範囲内にて
適時決めることが出来る。
【0093】また、構成単位面の周方向最大巾を与える
交叉点間対角線と構成単位面の軸方向最大長さを与える
交叉点間対角線との距離(両対角線をそれぞれ直角に結
ぶ線の長さ)をd0 及びこの線が構成単位面と交わる位
置と構成単位面の軸方向最大長さを与える交叉点間対角
線との距離をd1 としたとき、d1 はd0 の関係で式
(8)を満足する範囲内にあることが望ましい。d1
0 が上記範囲を下回ると保形性及び耐減圧変形性の点
で劣るようになる。d1 /d0 が上記範囲を上回ると、
多面体パターンの成形が難しくなり、また装飾効果の点
で劣ってくる。
【0094】得られた缶は、所望により、一段或いは多
段のネックイン加工に付し、フランジ加工を行って、巻
締用の缶とする。
【0095】
【実施例】本発明を次の例で説明する。本発明の特性値
は以下の測定法による。
【0096】エステル交換率の調整 実施例中のエステル交換率は、反応釜中にポリエステル
主体の結晶性ポリエステルとブチレンテレフタレート主
体の結晶性ポリエステルをブレンドし、雰囲気中の水分
量をコントロールしながら樹脂温度260℃〜280
℃、混練時間を5分〜90分とすることによりエステル
交換率を調整した。
【0097】エステル交換率の算出 エステル交換率は下式(1)を用いて求める E=100・[1-exp{(Hu/R)・(1/Tm0−1/Tm)}] …(1) ここで、 Hu :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融解熱量9200(J/mol) R :気体定数8.314(J/(mol・K)) Tm :ブレンド物の融点(K) Tm0:エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
性ポリエステルの融点(K) 式中のTm(ブレンド物の融点)は缶胴部の単離フィル
ムを下記に示すDSC(示差走査熱量計)の条件によ
り、昇温し280℃で2分保持した後、直ちに500℃
/分まで冷却し、再度常温より下記の条件にて昇温した
DSC曲線で熱量がピークを示す温度をブレンド物の融
点とした。実施例5に用いたブレンド物のDSC曲線を
図1に、比較例1に用いたブレンド物のDSC曲線を図
2に示す。なお、缶胴部の単離フィルムは、缶胴部を常
温にて塩酸/水混合溶液(重量比1:1)に浸漬し、金
属板を溶解した後にフィルムを洗浄、乾燥することによ
り得た。 DSC装置 : パーキンエルマー社製 DSC7型 昇温速度 : 20℃/分 秤量 : 5〜10mg また、Tm0(エチレンテレフタレート単位を主体とす
る結晶性ポリエステルの融点)については、図3に示す
イソフタル酸の共重合比率と融点の関係を示すグラフ
(実験値)を用いた。実施例6については、図4に示す
アジピン酸の共重合比率と融点の関係を示すグラフ(実
験値)を用いた。
【0098】IV(固有粘度) 缶胴部を切り出し、前記の方法でフィルムを単離し、2
00mg分をフェノール/1,1,2,2テトラクロロ
エタン混合溶液(重量比1/1)に110℃で溶解し、
ウベローデ型粘度計を用いて30℃で比粘度を測定し
た。固有粘度は下記式により求めた。 [η]=[(−1+√1+4K′ηsp)/2K′C]
(dl/g) K′ : ハギンスの恒数(=0.33) C : 濃度(g/100ml) ηsp : 比粘度[=(溶液の落下時間−溶媒の落下時
間)/溶媒の落下時間]
【0099】貯蔵試験 スポーツ飲料を90℃で熱間充填した後放冷し、充填し
た缶を25℃にて、缶軸を鉛直方向に対して15°傾け
て50cm高さから落下させて衝撃を与えた。その後、
37℃の温度で貯蔵試験を行い、1年後に開缶し、内面
側のダイヤカット部稜線部の腐食状態を観察した。ま
た、落下により衝撃を受けた部分についても同様に腐食
状態を観察した。
【0100】実施例1 TFS鋼板(板厚0.195mm、調質度T−4、金属
クロム量110mg/m2 、クロム水和酸化物量15m
g/m2 )の片面に、イソフタル酸12mol%、テレ
フタル酸88mol%、エチレングリコール100mo
l%からなるポリエステル樹脂に顔料として酸化チタン
を20重量%を含有した白色共重合体ポリエステル樹脂
を二軸延伸した膜厚13μmのフィルムを、他の面にイ
ソフタル酸6mol%テレフタル酸94mol%、エチ
レングリコール100mol%からなる結晶性ポリエス
テル(A)とテレフタル酸100mol%、1,4−ブ
タンジオール100mol%からなる結晶性ポリエステ
ル樹脂(B)を、重量比で70:30ブレンドし、混練
によりエステル交換反応を制御した後に押し出し機に樹
脂を入れ、縦3.0倍横3.0倍で二軸延伸した膜厚2
5μmのフィルムを、板温245℃、ラミネートロール
温度150℃、通板速度40m/min.で両面同時に
熱ラミネートし、直ちに水冷することによりラミネート
金属板を得た。この被覆金属板にワックス系潤滑剤を塗
布し、白色面が缶外面となるように直径158mmの円
盤を打ち抜き、浅絞りカップを得た。次いでこの浅絞り
カップを再絞り・しごきを行い深絞り−しごきカップを
得た。
【0101】この深絞りカップの諸特性は以下の通りで
あった。 カップ径 : 52mm カップ高さ : 140mm 素板厚に対する缶壁部の厚み 73% 素板厚に対するフランジ部の厚み 85%
【0102】この深絞り−しごきカップを、常法に従い
ドーミング成形を行い、220℃にて熱処理を行った
後、カップを放冷後、開口端縁部のトリミング加工、局
面印刷および焼き付け乾燥、ネック加工、フランジ加
工、更に周状多面体壁加工を行って250g用のシーム
レス缶を得た。周状多面体壁は、図13及び14に示す
最小構成単位面を、容器高の中心を含み、円周方向に9
個連続させ、且つ容器軸方向に1/2位相差で60mm
幅で設け、L/Wを0.96、深さ比d1 /d0 を0.
95、構成単位面の窪み曲率Rを5tとなるように設け
た。
【0103】次いで、スポーツドリンクを90℃で熱間
充填し、放冷後に充填缶を常温にて50cm高さより落
下させ、コンクリート床上に置かれたステンレス製のく
さび(角度15°)に缶底が衝突するようにした後、3
7℃1年間貯蔵した後の缶内面側の周状多面体壁加工部
の稜線部の腐食状態および缶底衝撃部の腐食状態を観察
した。
【0104】この缶の缶胴部のフィルムを分析した結
果、エステル交換率3.2%、IV0.82であった。
表1にフィルムの特性値および評価結果を示す。耐食
性、耐衝撃性ともに良好な結果が得られた。
【0105】実施例2 イソフタル酸6mol%テレフタル酸94mol%、エ
チレングリコール100mol%からなる結晶性ポリエ
ステル(A)とテレフタル酸100mol%、1,4−
ブタンジオール100mol%からなる結晶性ポリエス
テル樹脂(B)を重量比で55:45ブレンドし混練に
よりエステル交換反応を制御した後に押し出し機に樹脂
を入れ、縦3.0倍横3.0倍で混練によりエステル交
換反応を制御し、二軸延伸した膜厚25μmのフィルム
と実施例1記載の白色共重合二軸延伸フィルムについ
て、実施例1と同様に板温255℃でラミネート、製缶
および腐食試験を実施した。この缶の缶胴部のフィルム
を分析した結果、エステル交換率1.0%、IV1.1
2であった。表1にフィルムの特性値および評価結果を
示す。耐食性、耐衝撃性ともに良好な結果が得られた。
【0106】実施例3 イソフタル酸3mol%テレフタル酸97mol%、エ
チレングリコール100mol%からなる結晶性ポリエ
ステル(A)とテレフタル酸100mol%、1,4−
ブタンジオール100mol%からなる結晶性ポリエス
テル樹脂(B)を重量比で70:30ブレンドし混練に
よりエステル交換反応を制御した後に押し出し機に樹脂
を入れ、縦3.0倍横3.0倍で二軸延伸した膜厚25
μmのフィルムと実施例1記載の白色共重合二軸延伸フ
ィルムについて、実施例1と同様に板温240℃でラミ
ネート、製缶および腐食試験を実施した。この缶の缶胴
部のフィルムを分析した結果、エステル交換率10.2
%、IV0.58であった。表1にフィルムの特性値お
よび評価結果を示す。耐食性、耐衝撃性ともに良好な結
果が得られた。
【0107】実施例4 片面の表層にイソフタル酸12mol%、テレフタル酸
88mol%、エチレングリコール100mol%から
なる結晶性ポリエステル樹脂、下層にイソフタル酸6m
ol%テレフタル酸94mol%、エチレングリコール
100mol%からなる結晶性ポリエステル(A)とテ
レフタル酸100mol%、1,4−ブタンジオール1
00mol%からなる結晶性ポリエステル樹脂(B)を
重量比で55:45ブレンドし混練によりエステル交換
反応を制御した後に押し出し機に樹脂を入れ、縦3.0
倍横3.0倍で二軸延伸した膜厚25(表層5μm/下
層20μm)μmのフィルムと実施例1記載の白色共重
合二軸延伸フィルムについて、実施例1と同様に板温2
50℃でラミネート、製缶および腐食試験を実施した。
この缶の缶胴部のフィルムを分析した結果、エステル交
換率1.7%、IV0.71であった。表1にフィルム
の特性値および評価結果を示す。耐食性、耐衝撃性とも
に良好な結果が得られた。
【0108】実施例5 実施例4の下層組成がイソフタル酸6mol%テレフタ
ル酸94mol%、エチレングリコール100mol%
からなる結晶性ポリエステル(A)とテレフタル酸10
0mol%、1,4−ブタンジオール100mol%か
らなる結晶性ポリエステル樹脂(B)を重量比で70:
30ブレンドし混練によりエステル交換反応を制御した
後に、押し出し機に樹脂を入れ、縦3.0倍横3.0倍
で二軸延伸した膜厚25(表層5μm/下層20μm)
μmのフィルムと実施例1記載の白色共重合二軸延伸フ
ィルムについて、実施例1と同様に板温250℃でラミ
ネート、製缶および腐食試験を実施した。この缶の缶胴
部のフィルムを分析した結果、エステル交換率2.6
%、IV0.72であった。表1にフィルムの特性値お
よび評価結果を示す。耐食性、耐衝撃性ともに良好な結
果が得られた。
【0109】実施例6 実施例4の下層組成がイソフタル酸3mol%、アジピ
ン酸6mol%、テレフタル酸91mol%、エチレン
グリコール100mol%からなる結晶性ポリエステル
(A)と、テレフタル酸100mol%、1,4−ブタ
ンジオール100mol%からなる結晶性ポリエステル
樹脂(B)を重量比で70:30ブレンドし、混練によ
りエステル交換反応を制御した後に押し出し機に樹脂を
入れ、縦3.0倍横3.0倍で二軸延伸した膜厚25
(表層5μm/下層20μm)μmのフィルムと実施例
1記載の白色共重合二軸延伸フィルムについて、実施例
1と同様に板温255℃でラミネート、製缶および腐食
試験を実施した。この缶の缶胴部のフィルムを分析した
結果、エステル交換率3.2%、IV0.66であっ
た。表1にフィルムの特性値および評価結果を示す。耐
食性、耐衝撃性ともに良好な結果が得られた。
【0110】比較例1 イソフタル酸12mol%テレフタル酸88mol%、
エチレングリコール100mol%からなる結晶性ポリ
エステル樹脂を二軸延伸した膜厚25μmのフィルムと
実施例1記載の白色共重合二軸延伸フィルムについて、
実施例1と同様に板温240℃でラミネート、製缶およ
び腐食試験を実施した。この缶の缶胴部のフィルムを分
析した結果、IV0.64であった。表1にフィルムの
特性値および評価結果を示す。周状多面体壁稜線部の耐
食性は良好であったが、衝撃部のフィルム割れが著し
く、実用性能が不足していた。
【0111】比較例2 実施例1において、実施例1のエチレンテレフタレート
系結晶性ポリエステル(A)とブチレンテレフタレート
系ポリエステル(B)とを実施例1と同じ比率でブレン
ドし、混練によりエステル交換反応を制御した後に押し
出し機に樹脂を入れ、縦3.0倍横3.0倍で二軸延伸
した膜厚25μmのフィルムと実施例1記載の白色共重
合二軸延伸フィルムについて、実施例1と同様に板温2
40℃でラミネート、製缶および腐食試験を実施した。
この缶の缶胴部のフィルムを分析した結果、エステル交
換率21.5%、IV0.68であった。表1にフィル
ムの特性値および評価結果を示す。周状多面体壁稜線部
の耐食性は部分的に腐食が発生する程度であったが、衝
撃部のフィルム割れが著しく、実用性能が不足してい
た。
【0112】比較例3 実施例5において、実施例5のエチレンテレフタレート
系結晶性ポリエステル(A)とブチレンテレフタレート
系ポリエステル(B)とを実施例5と同じ比率でブレン
ドし、混練により下層樹脂のエステル交換反応を制御し
た後に押し出し機に樹脂を入れ、縦3.0倍横3.0倍
で二軸延伸した膜厚25μmのフィルムと実施例1記載
の白色共重合二軸延伸フィルムについて、実施例1と同
様に板温240℃でラミネート、製缶および腐食試験を
実施した。この缶の缶胴部のフィルムを分析した結果、
エステル交換率22.3%、IV0.70であった。表
1にフィルムの特性値および評価結果を示す。成形時
に、内面側フィルムに部分的な割れを生じ熱処理後の、
缶内面フイルムの表面がしわ状となり、実用適性がない
と判断した。
【0113】比較例4 イソフタル酸6mol%テレフタル酸94mol%、エ
チレングリコール100mol%からなる結晶性ポリエ
ステル(A)とテレフタル酸100mol%、1,4−
ブタンジオール100mol%からなる結晶性ポリエス
テル樹脂(B)を重量比で95:5ブレンドし、混練に
よりエステル交換反応を制御した後に押し出し機に樹脂
を入れ、縦3.0倍横3.0倍で二軸延伸した膜厚25
μmのフィルムと実施例1記載の白色共重合二軸延伸フ
ィルムについて、実施例1と同様に板温250℃でラミ
ネート、製缶および腐食試験を実施した。この缶の缶胴
部のフィルムを分析した結果、エステル交換率3.5
%、IV0.64であった。表1にフィルムの特性値お
よび評価結果を示す。周状多面体壁稜線部の耐食性は部
分的に腐食が発生する程度であったが、衝撃部のフィル
ム割れが著しく、実用性能が不足していた。
【0114】比較例5 イソフタル酸6mol%テレフタル酸94mol%、エ
チレングリコール100mol%からなる結晶性ポリエ
ステル(A)とテレフタル酸100mol%、1,4−
ブタンジオール100mol%からなる結晶性ポリエス
テル樹脂(B)を重量比で70:30ブレンドし混練に
よりエステル交換反応を制御した後に押し出し機に樹脂
を入れ、縦3.0倍横3.0倍で二軸延伸した膜厚25
μmのフィルムと実施例1記載の白色共重合二軸延伸フ
ィルムについて、実施例1と同様に板温250℃でラミ
ネート、製缶および腐食試験を実施した。この缶の缶胴
部のフィルムを分析した結果、エステル交換率6.5
%、IV0.52であった。表1にフィルムの特性値お
よび評価結果を示す。周状多面体壁稜線部の耐食性は部
分的に腐食が発生する程度であったが、衝撃部のフィル
ム割れが大きく、実用性能が不足していた。
【0115】比較例6 イソフタル酸6mol%テレフタル酸94mol%、エ
チレングリコール100mol%からなる結晶性ポリエ
ステル(A)とテルフタル酸100mol%、1,4−
ブタンジオール100mol%からなる結晶性ポリエス
テル樹脂(B)を重量比で70:30ブレンドし混練に
よりエステル交換反応を制御した後に押し出し機に樹脂
を入れ、縦3.0倍横3.0倍で二軸延伸した膜厚25
μmのフィルムと実施例1記載の白色共重合二軸延伸フ
ィルムについて、実施例1と同様に板温255℃でラミ
ネート、製缶および腐食試験を実施した。この缶の缶胴
部のフィルムを分析した結果、エステル交換率1.1
%、IV0.66であった。表1にフィルムの特性値お
よび評価結果を示す。周状多面体壁稜線部は、ほぼ全面
腐食しており、衝撃部のフィルム割れも大きく、実用に
適さないと判断される。
【0116】比較例7 実施例4の下層組成がイソフタル酸6mol%テレフタ
ル酸94mol%、エチレングリコール100mol%
からなる結晶性ポリエステル(A)とテレフタル酸10
0mol%、1,4−ブタンジオール100mol%か
らなる結晶性ポリエステル樹脂(B)を重量比で50:
50ブレンドし混練によりエステル交換反応を制御した
後に押し出し機に樹脂を入れ、縦3.0倍横3.0倍で
二軸延伸した膜厚25(表層5μm/下層20μm)μ
mのフィルムと実施例1記載の白色共重合二軸延伸フィ
ルムについて、実施例1と同様に板温245℃でラミネ
ート、製缶および腐食試験を実施した。この缶の缶胴部
のフィルムを分析した結果、エステル交換率2.1%I
V0.68であった。表1にフィルムの特性値および評
価結果を示す。周状多面体壁稜線部の腐食はほぼ全面で
あり、衝撃部のフィルム割れも大きく、実用に適さない
と判断される。
【0117】比較例8 実施例4の下層組成がイソフタル酸6mol%テレフタ
ル酸94mol%、エチレングリコール100mol%
からなる結晶性ポリエステル(A)とテレフタル酸10
0mol%、1,4−ブタンジオール100mol%か
らなる結晶性ポリエステル樹脂(B)を重量比で70:
30ブレンドし混練によりエステル交換反応を制御した
後に押し出し機に樹脂を入れ、縦3.0倍横3.0倍で
二軸延伸した膜厚25(表層5μm/下層20μm)μ
mのフィルムと実施例1記載の白色共重合二軸延伸フィ
ルムについて、実施例1と同様に板温245℃でラミネ
ート、製缶および腐食試験を実施した。この缶の缶胴部
のフィルムを分析した結果、エステル交換率2.5%、
IV0.60であった。表1にフィルムの特性値および
評価結果を示す。周状多面体壁稜線部は、ほぼ全面腐食
しており、衝撃部のフィルム割れも大きく、実用に適さ
ないと判断される。
【0118】
【表1】
【0119】
【発明の効果】本発明のフィルムにより構成されたシー
ムレス缶は、耐衝撃性と耐食性との組み合わせに優れて
いると共に、周状多面体壁等の二次加工後の耐食性に優
れるため、缶胴部の金属厚みを低減することが可能とな
り、より軽量の缶を供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5に用いたブレンド物のDSC曲線を示
す。
【図2】比較例1に用いたブレンド物のDSC曲線を示
す。
【図3】イソフタル酸の共重合比率と融点の関係を示す
グラフ(実験値)である。
【図4】実施例6について、アジピン酸の共重合比率と
融点の関係を示すグラフ(実験値)である。
【図5】本発明に用いる積層体の断面構造の一例を示す
拡大断面図である。
【図6】本発明に用いる積層体の断面構造の他の例を示
す拡大断面図である。
【図7】ラミネート板の製造装置の断面図である。
【図8】本発明のシームレス缶の一例を示す断面図であ
る。
【図9】本発明のシームレス缶の絞りしごき成形装置の
要部を示す断面図である。
【図10】本発明のシームレス缶のフランジ部の一例を
示す断面図である。
【図11】本発明のシームレス缶のフランジ部の他の例
を示す断面図である。
【図12】本発明のシームレス缶のフランジ部の別の例
を示す断面図である。
【図13】四辺形を構成単位面とする多面体壁を設けた
容器の一例を示し、(A)は側面図、(B)は縦断面図
及び(C)は水平断面図である。
【図14】図13の容器の側面に形成され多面体壁の構
成単位面の一例を示し、(A)は平面図、(B)、
(C)及び(D)は窪んだ部分の曲率半径を変化させて
示す構成単位面の垂直断面図である。
【図15】多面体壁の他の例を用いた容器の側面図であ
る。
【図16】六角形を構成単位面とする多面体壁を設けた
容器の側面図である。
【図17】容器の中央部にのみ多面体壁をを形成させた
容器の側面図である。
【図18】容器胴部への多面体刻設の方法を説明する斜
視図である。
【符号の説明】
1 積層体 2 金属基体 3 ポリエステルブレンド物層 4 外面被膜 5 接着用プライマーの層 10 底部 11 シームレス缶 12 側壁部 13 ネック部 14 フランジ部 20 金属板 21 加熱ロール 22、22 ラミネートロール 23 ポリエステルフィルム 24 供給ロール 25 ラミネート 26 冷却水 27 ガイドローラ 28 ギャップ 29 保温機構 30 前絞りカップ 31 環状保持部材 32 再絞り−しごきダイス 33 再絞り−しごきポンチ 34 平面部 35 作用コーナー部 36 アプローチ部 37 小曲率部 38 ランド部(しごき部) 39 逆テーパ状の逃げ39 40 外周面 41 曲率コーナ部 42 環状底面 43 フランジ形成部 50 シームレス缶 51 底部 52 側壁部 53 フランジ形成部 61 構成単位面 62 境界稜線 63 交叉部 65 交叉部間の部分 66 側壁部 67 閉塞底部 68 蓋体 71 内型 72 外型 73 突起 74 突条 75 凹面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮沢 哲夫 神奈川県綾瀬市小園1328−60 (72)発明者 今津 勝宏 神奈川県横浜市泉区和泉町6205−1 グリ ーンハイムいずみ野27−101

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基体とポリエステル系被覆層との積
    層体からなるシームレス缶において、前記ポリエステル
    系被覆層が(A)エチレンテレフタレート単位を主体と
    する結晶性ポリエステルと(B)ポリブチレンテレフタ
    レート或いはブチレンテレフタレート単位を主体とする
    結晶性ポリエステルのブレンド物からなり、ブレンド物
    中の成分(A)の下記式(1)に示すエステル交換率
    (E)が0.5〜20%の範囲にあることを特徴とする
    耐衝撃性及び耐食性に優れたシームレス缶: E=100・[1-exp{(Hu/R)・(1/Tm0−1/Tm)}] …(1) ここで、 Hu :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
    性ポリエステルの融解熱量9200(J/mol) R :気体定数8.314(J/(mol・K)) Tm :ブレンド物の融点(K) Tm0:エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
    性ポリエステルの融点(K)。
  2. 【請求項2】 前記ブレンド物におけるエステル交換率
    (E)及び固有粘度(IV)が下記式(2) IV>−A*E+B …(2) 式中、Aは0.05の数であり、Bは0.75の数であ
    る、 及び下記式(3) IV≧0.55 …(3) を満足する範囲内にあることを特徴とする請求項1記載
    のシームレス缶。
  3. 【請求項3】 前記ブレンド物が成分(A)と成分
    (B)とを90:10〜55:45の重量比で含有する
    ものである請求項1または2に記載のシームレス缶。
  4. 【請求項4】 前記ブレンド物の成分(A)において、
    エチレンテレフタレート主体の結晶性ポリエステル樹脂
    が、エチレングリコールと、テレフタル酸およびイソフ
    タル酸、オルソフタル酸、P−β−オキシエトキシ安息
    香酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシ
    エタン−4,4′−ジカルボン酸、5−ナトリウムスル
    ホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン
    酸、セバシン酸、トリメリット酸及びピロメリット酸か
    ら成る群より選ばれた2塩基酸の少なくとも2つ以上と
    から誘導された共重合ポリエステルから成ることを特徴
    とする請求項3に記載のシームレス缶。
  5. 【請求項5】 前記ブレンド物の成分(B)において、
    ブチレンテレフタレート主体の結晶性ポリエステル樹脂
    が、ブタンジオールと、テレフタル酸および5モル%未
    満のイソフタル酸、オルソフタル酸、P−β−オキシエ
    トキシ安息香酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、ジ
    フェノキシエタン−4,4′−ジカルボン酸、5−ナト
    リウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル
    酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸及びピロ
    メリット酸から成る群より選ばれた2塩基酸の少なくと
    も1種から誘導された共重合ポリエステルである請求項
    3に記載のシームレス缶。
  6. 【請求項6】 缶胴の少なくとも一部に周状多面体壁が
    形成されている請求項1乃至5の何れかに記載のシーム
    レス缶。
  7. 【請求項7】 前記多面体壁は、構成単位面と、構成単
    位面同士が接する境界稜線及び境界稜線同士が交わる交
    叉部を有し、該境界稜線及び交叉部は構成単位面に比べ
    て相対的に容器外側に凸となっており、構成単位面は対
    向する交叉部間で滑らかに窪んだ部分を有し、構成単位
    面の周方向に隣合った容器軸方向配列が位相差をなして
    いることを特徴とする請求項6に記載のシームレス缶。
  8. 【請求項8】 金属基体とポリエステル系被覆層との積
    層体からなるシームレス缶において、前記ポリエステル
    系被覆層が、エチレンテレフタレート単位を主体とする
    ポリエステルの表面層と、(A)エチレンテレフタレー
    ト単位を主体とする結晶性ポリエステルと(B)ポリブ
    チレンテレフタレート或いはブチレンテレフタレート単
    位を主体とする結晶性ポリエステルのブレンド物からな
    る下層を備え、前記ブレンド物中の成分(A)の下記式
    (1)に示すエステル交換率が0.5〜20%の範囲に
    あることを特徴とする耐衝撃性及び耐食性に優れたシー
    ムレス缶: E=100・[1-exp{(Hu/R)・(1/Tm0−1/Tm)}] …(1) ここで、 Hu :エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
    性ポリエステルの融解熱量9200(J/mol) R :気体定数8.314(J/(mol・K)) Tm :ブレンド物の融点(K) Tm0:エチレンテレフタレート単位を主体とする結晶
    性ポリエステルの融点(K)。
  9. 【請求項9】 前記ブレンド物におけるエステル交換率
    (E)及び固有粘度(IV)が下記式(4) IV>−A*E+B …(4) 式中、Aは0.05の数であり、Bは0.75の数であ
    る、 及び下記式(5) IV≧0.55 …(5) を満足する範囲内にあることを特徴とする請求項8に記
    載のシームレス缶。
  10. 【請求項10】 前記ブレンド物が成分(A)と成分
    (B)とを90:10〜55:45の重量比で含有する
    ものである請求項8または9に記載のシームレス缶。
  11. 【請求項11】 前記成分(A)において、エチレンテ
    レフタレート主体の結晶性ポリエステル樹脂が、エチレ
    ングリコールと、テレフタル酸およびイソフタル酸、オ
    ルソフタル酸、P−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフ
    タレン2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−
    4,4′−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフ
    タル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン酸、セバ
    シン酸、トリメリット酸及びピロメリット酸から成る群
    より選択された2塩基酸の少なくとも1種以上から誘導
    された共重合ポリエステルであることを特徴とする請求
    項10に記載のシームレス缶。
  12. 【請求項12】 前記ブレンド物の成分(B)におい
    て、ブチレンテレフタレート主体の結晶性ポリエステル
    樹脂が、ブタンジオールと、テレフタル酸およびイソフ
    タル酸、オルソフタル酸、P−β−オキシエトキシ安息
    香酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、ジフェノキシ
    エタン−4,4′−ジカルボン酸、5−ナトリウムスル
    ホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、アジピン
    酸、セバシン酸、トリメリット酸及びピロメリット酸か
    ら成る群より選択された2塩基酸の少なくとも1種とか
    ら誘導された共重合ポリエステルである請求項10に記
    載のシームレス缶。
  13. 【請求項13】 缶胴の少なくとも一部に周状多面体壁
    が形成されている請求項8乃至12の何れかに記載のシ
    ームレス缶。
  14. 【請求項14】 前記多面体壁は、構成単位面と、構成
    単位面同士が接する境界稜線及び境界稜線同士が交わる
    交叉部を有し、該境界稜線及び交叉部は構成単位面に比
    べて相対的に容器外側に凸となっており、構成単位面は
    対向する交叉部間で滑らかに窪んだ部分を有し、構成単
    位面の周方向に隣合った容器軸方向配列が位相差をなし
    ていることを特徴とする請求項13に記載のシームレス
    缶。
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