JPH09322790A - L−アスパラギン酸の製造方法 - Google Patents
L−アスパラギン酸の製造方法Info
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Abstract
のとれたL−アスパラギン酸の連続的製造プロセスを提
供する。 【解決手段】 (工程)フマル酸とアンモニアを出発
原料とし、酵素反応によりL−アスパラギン酸アンモニ
ウム含有の水溶液を得る工程、 (工程)工程で得た溶液に、フマル酸を加えて、L
−アスパラギン酸を析出させる工程、 (工程)工程で得たL−アスパラギン酸結晶を回収
し、母液を工程にリサイクルする工程、からなるプロ
セスにおいて、原料フマル酸を工程及び少なくとも工
程あるいは工程から各々、系内に供給し、更に工程
で添加するフマル酸が工程に存在するL−アスパラ
ギン酸アンモニウムに対してモル比0.1以上0.85
未満である条件下でL−アスパラギン酸を製造する方
法。
Description
の製造方法に関するものである。更に詳しくは、フマル
酸及びアンモニアを原料とし、酵素反応によりL−アス
パラギン酸を製造するための工業的有利なプロセスに関
するものである。L−アスパラギン酸は医薬、食品添加
物として需要が増加している。
ては、フマル酸及びアンモニアを原料とし、これらを用
いてアスパルターゼ又はこれを産生する微生物の作用に
よりL−アスパラギン酸アンモニウムとし、これに無機
酸を添加してL−アスパラギン酸を得るという方法が知
られている。しかしながら、この方法は、酵素処理後の
L−アスパラギン酸アンモニウムを硫酸又は塩酸により
酸析するため、経済的価値の低い無機酸アンモニウム塩
を大量に副生し、結果的にL−アスパラギン酸の製造コ
ストを高めることとなる。
後のL−アスパラギン酸アンモニウムをフマル酸により
酸析する方法が提案されている(特開平8−3349
2、同8−33493、同6−234713各号公
報)。また、L−アスパラギン酸アンモニウムをアルコ
ール性フマル酸により酸析する方法も提案されている
(特開平7−285919号公報)。これらの方法によ
れば、原料であるフマル酸を用いるので、安定した連続
操作が行えれば所望のL−アスパラギン酸を工業的に非
常に有利に製造する方法となり得る。
案の場合、酵素反応原料中のフマル酸濃度が低い濃度に
限られているため、処理液量の割に得られるL−アスパ
ラギン酸の量が少なく、全系を通して生産効率の悪いプ
ロセスとなっている。また、特開平8−33493号公
報に提案される方法では、晶析工程において添加するフ
マル酸の量がほとんどの条件に於いてその溶解度を越え
ているため、L−アスパラギン酸と共にフマル酸も沈殿
し、得られるL−アスパラギン酸は純度の低いものとな
っている。また、高純度L−アスパラギン酸を得ようと
すれば、温水リンスが必要となり、リンス後のL−アス
パラギン酸を含む水の再使用等が必要となりプロセス的
に煩雑であり、且つ経済的に不利となる。
載の方法は、晶析工程において添加するフマル酸の量は
適当であるが、そこで得られる晶析母液を反応原料とし
てリサイクル利用する際の方法等についての記載が無
く、工業生産に必要な安定した連続操作を継続的に行う
ことが可能かどうか不明であった。更に、特開平7−2
85919号公報記載の方法の場合、高価なアルコール
を使用すること、また使用したアルコールを回収するた
めの設備が必要なことから経済的に不利である。要する
に、公知の方法では、晶析母液をリサイクル利用して工
業的に安定した連続操作が行え、全体プロセスとして反
応、晶析効率が良く、且つ晶析にて高純度なL−アスパ
ラギン酸を得ることは未だ不充分なものであった。
びアンモニアを原料とした酵素反応の場合に、生成した
L−アスパラギン酸アンモニウム水溶液をフマル酸を用
いて晶析し、晶析後のフマル酸アンモニウムを含む母液
を反応系にリサイクルしても、バランスのとれた安定し
た連続操作が可能なL−アスパラギン酸の製造プロセス
を提供することにある。
鑑み鋭意検討した結果、原料として用いるフマル酸につ
いて、晶析時に添加するフマル酸量を存在するアスパラ
ギン酸アンモニウムに対しモル比0.1以上0.85未
満(通常、晶析条件におけるフマル酸溶解度以下)と
し、連続運転に必要な全体バランスとして不足するフマ
ル酸は少なくとも反応工程あるいはリサイクル工程に添
加するという、フマル酸の分割添加方法を採用すること
によって、晶析効率を最大限に発揮でき、全体プロセス
として効率よく、安定して連続操作が行え、かつ高純度
なL−アスパラギン酸の製造が可能となるということを
見いだし本発明を完成するに至った。
る。下記工程〜を実施してL−アスパラギン酸を製
造する方法において、工程に供給する原料フマル酸水
溶液の濃度を10〜30wt%とし、且つ、原料フマル
酸を下記工程及び少なくとも工程あるいは工程の
いずれかの工程から各々、系内に供給し、更に、工程
で添加するフマル酸を工程に存在するアスパラギン酸
アンモニウムに対して(フマル酸/アスパラギン酸アン
モニウム)モル比0.1以上0.85未満に調節するこ
とを特徴とするL−アスパラギン酸の製造方法。
ルターゼ又はこれを産生する微生物の存在下、反応させ
てL−アスパラギン酸アンモニウムを生成する工程 工程:工程で得た溶液にフマル酸を添加してL−ア
スパラギン酸結晶を析出させる工程 工程:工程で得たL−アスパラギン酸結晶を回収
し、母液を工程にリサイクルする工程
詳細に説明するが、本発明はかかる実施態様のみに限定
されるものではない。 (工程;酵素反応工程)本発明ではフマル酸及びアン
モニアを原料として使用するが、長期間の連続運転を実
施する際には後述する工程で得られるL−アスパラギ
ン酸分離後の母液であるフマル酸アンモニウムを含む水
溶液を工程にリサイクルして酵素反応に供することに
よりL−アスパラギン酸アンモニウムを製造する。
をL−アスパラギン酸アンモニウムに変換するアスパル
ターゼあるいはアスパルターゼを産生する微生物は、公
知のものが使用される。アスパルターゼを産生する微生
物としては、フマル酸とアンモニアからL−アスパラギ
ン酸を生成しうる能力を有する微生物であれば特に制限
がなく、例えば、ブレビバクテリウム属、エシェリヒア
属、シュードモナス属、バチルス属等の微生物が挙げら
れる。具体的には、ブレビバクテリウム・フラバム(B
revibacterium flavum)MJ−2
33(FERMBP−1497)、同MJ−233−A
B−41(FERM BP−1498)、ブレビバクテ
リウム・アンモニアゲネス ATCC 6872、エシ
ェリヒア・コリ(Escherichia coli)
ATCC 11303、同ATCC 27325等を例
示することが出来る。
通常、後述する工程から回収されるフマル酸モノアン
モニウム水溶液の濃度により決定される。本発明におい
ては、工程における原料水溶液の濃度は、通常、フマ
ル酸モノアンモニウム換算で、45〜700g/l、好
ましくは90〜450g/l、更に好ましくは150〜
250g/lである。
施される。この際の反応系内のpHは、通常、7.5〜
10が好ましく、特にアンモニアを単独で使用する場合
の使用量は、原料フマル酸モノアンモニウムに対して、
1.05〜2.0モル倍、好ましくは1.1〜1.6モ
ル倍である。なお、この際、pH調整のため、例えば、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ剤を
併用してもよい。
なわれる温度が選定され、通常、10〜80℃、好まし
くは15〜60℃であり、工程の酵素反応の反応方式
としては、通常、菌体を固定化した充填層に原料水溶液
を通液する方法、又は、菌体自体又は固定化した菌体を
懸濁した反応器中に原料水溶液を供給する一方、反応液
を抜き出し、これを分離膜や遠心分離機を用いて菌体を
分離し反応器に戻す方法等が挙げられる。また、この工
程で得られる反応液中には未反応のフマル酸アンモニ
ウムを含む場合もあるが、この場合、この含有量は5g
/l以下、好ましくは2g/l以下、特に1g/l以下
に制御することが望ましい。
れた液、もしくは後記工程を経て得られた液にフマル
酸を添加して、L−アスパラギン酸を晶析させる。添加
するフマル酸は粉末でも、水溶液でも、またスラリーで
あってもよいが、フマル酸が水に対する溶解度が小さい
ことを考慮すると、粉末或いはスラリー状態で添加する
ことが好ましい。
ル酸/L−アスパラギン酸アンモニウムのモル比が、
0.1以上0.85未満、好ましくは0.1以上0.8
未満、更に好ましくは0.2以上0.8未満、特に好ま
しくは0.4以上0.8未満である。このモル比が小さ
すぎると、晶析回収でのL−アスパラギン酸の回収率が
十分でなく、リサイクル系内のアスパラギン酸濃度が高
くなるため、全体として効率の悪いプロセスとなる。ま
た大きすぎると、フマル酸の水に対する溶解度が低いた
めに、溶解度以上のフマル酸はL−アスパラギン酸と共
に沈殿し、得られるL−アスパラギン酸の純度を低下さ
せるばかりか、添加したフマル酸のモル数が、晶析回収
されるL−アスパラギン酸のモル数を上回る場合、晶析
回収で得られる母液をリサイクルする際、このモル数の
差に相当するL−アスパラギン酸が濃縮され、リサイク
ル系のプロセスを安定して維持することができなくな
る。
程あるいは工程に分割して添加するが、工程での
添加量は全添加量の40%以上100%未満、好ましく
は50〜90%である。この工程での添加量が小さす
ぎると、晶析回収でのL−アスパラギン酸の回収率が不
十分で晶析効率が悪いばかりか、L−アスパラギン酸が
濃縮され、リサイクル系のプロセスを安定して維持する
ことができなくなる。また、この晶析においては、母液
のpHは、通常、3〜6となる。
は20〜80℃である。あまり低温の場合、得られる結
晶が細かくなりすぎ固液分離操作が面倒となる上、フマ
ル酸アンモニウムが析出するため、得られるL−アスパ
ラギン酸の純度が低くなる。すなわち、固液分離で得ら
れる湿ケーキの母液保持量(含水液量)が多く、さらに
充分なリンス効果が得られないため、結晶純度が低下す
るか、リンス量を増やしてL−アスパラギン酸の回収率
を低下させるかの状況になる。一方、あまり高温では、
L−アスパラギン酸の回収率が低いばかりか、フマル酸
の熱劣化が生ずる恐れがあり、好ましくない。
時間程度である。晶析は通常、攪拌槽タイプの晶析槽を
用いて実施される。フマル酸の添加位置は、晶析槽又は
工程から工程に通じる移送配管中のいずれでもよ
い。また、晶析は、前記の酵素反応工程で得られた水溶
液もしくは後記の工程を経て得られた水溶液と、フマ
ル酸を連続的に供給する一方で、生成スラリーを連続的
に抜き出す連続式が好ましいが、一部、間歇的操作で行
なってもよい。
リーを固液分離し、必要に応じて得られた結晶を水でリ
ンスすることにより、L−アスパラギン酸結晶を回収す
る。得られた結晶は、常法により乾燥し、純度99%以
上の製品として回収することができる。
ではないが、0〜80℃の温度範囲、好ましくは10〜
50℃で行なう。低温下ではスラリーの粘性が高く取扱
いが困難になり、高温下ではL−アスパラギン酸の溶解
度が高くなり、回収率が低下してしまう。必要に応じて
行なうリンス操作に用いる水の量は、特に限定するもの
ではないが、湿ケーキに対して5重量倍以下、好ましく
は3重量倍以下で行なう。リンス量が少なすぎるとリン
ス効果が充分でなく、多すぎるとL−アスパラギン酸の
回収率が低下する。リンス水の温度についても特に限定
されるものではない。
ヌッチェ、遠心分離等の常法により行なうことができ
る。固液分離で得られる母液の主成分は、フマル酸アン
モニウムであり、溶解度分のL−アスパラギン酸アンモ
ニウムも含まれている。なお、この母液のpHは3〜6
程度の酸性水溶液である。この母液は上記工程にリサ
イクルされ、酵素反応に供される。
じて濃縮工程により水を除去し、及び/又はアンモニア
を加えて、pHを工程の至適pH、即ち、好ましくは
pH7.5〜10、に合わせることができ、全体バラン
スとして反応に不足しているフマル酸を添加して供給す
ることもできる。なお、不足分フマル酸の添加は本工程
にて添加してもよいが、工程で行ってもよい。
り、工程と工程の間に以下の脱アンモニア工程を実
施してもよい。脱アンモニア工程、即ち、工程は、工
程で得た反応液を工程の実施の前に蒸留又はストリ
ッピングしてアンモニアの一部を除去することにより、
酵素反応におけるpHを調整するために余剰に加えられ
ていたアンモニアの内、モノアンモニウム塩として存在
する以外のアンモニアを除去する工程である。工程を
実施することにより、L−アスパラギン酸アンモニウム
の実質的全て、すなわち、全体のL−アスパラギン酸ア
ンモニウム塩に対して90%モル以上、好ましくは95
モル%以上、更に好ましくは98モル%以上、をL−ア
スパラギン酸モノアンモニウム塩とすることができる。
そして、工程を実施することにより工程において添
加するフマル酸を削減することができ、晶析以降の工程
を縮小でき、更に効率的なバランスのとれた工業的プロ
セスが実現可能となる。
アンモニア除去操作ということがある)は、常圧下でも
減圧下でもよく、30〜100℃の範囲で、好ましくは
40〜80℃で行なう。低温下でアンモニア除去操作を
行なうには、減圧度を高めなくてはならず操作上の制約
が大きくなる。一方、高温下では、液組成の熱劣化を招
くので好ましくない。アンモニア蒸留塔の形式は通常の
棚段塔又は充填塔が使用できる。
パラギン酸アンモニウム水溶液を、上記の方法でアンモ
ニア除去操作することにより、蒸留釜にはL−アスパラ
ギン酸に対するアンモニアのモル比が約1.0の、即
ち、L−アスパラギン酸モノアンモニウム、を含む残液
を得ることができる。アンモニア除去操作で蒸気として
分離されるのは、アンモニアおよび水のみであり、冷却
管等を用いてこの蒸気を液として回収すれば、アンモニ
ア水が得られる。この得られるアンモニア水の濃度は、
アンモニア除去操作の温度、圧力および蒸気回収温度等
に影響される。
)に送りL−アスパラギン酸結晶を回収するが、晶析
工程に供給する水溶液中のL−アスパラギン酸アンモニ
ウム濃度は、通常、50〜800g/l、好ましくは1
00〜500g/lである。この濃度があまり低いと結
晶回収率が低くなり、逆にあまり高いと回収スラリーの
濃度が高くなりすぎ、操作上好ましくない。
収)脱アンモニア工程を実施する場合、除去したアンモ
ニア水は、以下の方法によって回収、再利用することが
できる。工程のアンモニア除去操作で蒸気として分離
し、冷却管等で回収されたアンモニア水は、上記の工程
あるいは工程に必要に応じて加えられる。供給温度
は、特に限定されないが、それぞれの反応温度を考慮し
て5〜80℃、好ましくは10〜50℃がよい。高温下
では、アンモニアの蒸気圧が高くなり好ましくない。ま
た、反応温度より低温で供給しても何ら問題ない。リサ
イクルするアンモニアを供給する方法は、特に限定する
ものではないが、工程の固液分離後及び工程の酵素
反応に供給しても何ら問題にならない。
の製造方法では、リサイクルの工程を含むため不純物や
反応副生成物の蓄積を考慮して、必要に応じてブリード
を行なうことが望ましい。ブリードする位置としては、
特に限定するものではないが、ブリード液からL−アス
パラギン酸を結晶として回収することが容易であるた
め、工程と工程の間、又は工程と工程の間で行
なうのが好ましい。
くは5〜20%である。ブリード率が低いとその効果が
小さく意味がなく、高ければ主工程と同じ程度の機器容
積をブリード系がもつことになり、経済的に不利なプロ
セスを与える。ブリードする方法は、このブリード率を
満足する範囲において連続的であっても、また、間歇的
であっても良い。
回収)ブリード液からL−アスパラギン酸を結晶として
回収することができ、それは好ましいことであるが、そ
の方法としては、通常、硫酸又は塩酸等の無機酸を添加
して行なうのが好ましい。無機酸の添加量は、アスパラ
ギン酸アンモニウムに対して当量以上である。すなわ
ち、L−アスパラギン酸の等電点2.8になるようにブ
リード液に無機酸を加えるのが回収率を向上させるため
に望ましい。
のメインラインの晶析と同様に実施でき、例えば晶析温
度は10〜100℃、好ましくは20〜80℃である。
ブリード液を晶析して得たスラリーもメインラインと同
様に固液分離し、次いで、得られた結晶を水でリンスし
た後乾燥し、製品とすることができる。従って、固液分
離後の結晶は、リンスした後、メインラインの結晶と混
合し一緒に乾燥処理してもよい。
液中に含有されるL−アスパラギン酸アンモニウムは損
失することなく回収でき、しかも、系内に蓄積する不純
物はブリードによりパージされるので好ましい結果を与
える。本発明は、工程〜のメインライン及び好まし
くは工程の脱アンモニア工程及びそこからのアンモニ
ア回収、また好ましくはブリード液処理工程、の各工程
を連結することにより、バランスのとれた安定して連続
運転可能な工業的に有利なプロセスを提供することがで
き、且つ高純度のL−アスパラギン酸の製造を可能とす
るものである。
工程他、の各工程の処理操作を逐次実施するが、各工
程は回分法でも、連続法でもよい。例えば、全工程を回
分法で実施する場合でも、本発明によれば、繰り返し反
応を行なっても、各工程とも同一処理量で同一条件にて
操作することが可能である。もちろん、全工程を連続法
で実施する場合には、バランスのとれた安定したプロセ
スとなるのである。
が、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記述に
限定されるものではない。尚、L−アスパラギン酸(以
下、ASPと略記する)、およびフマル酸(以下、FA
と略記する)の分析は高速液体クロマトグラフィーによ
り、ASP結晶中のアンモニア(以下、NH3 と略記す
る)含量の分析はイオンクロマトグラフィーにより定量
した。
整) 通常の培養方法により得たアスパルターゼ活性を有する
ブレビバクテリウム・フラバム MJ−233−AB−
41(FERM BP−1498)の限外濾過膜(旭化
成社製−ACV−3050)による濃縮菌体2000g
(湿菌体約50重量%)、原料液(FA 2000gお
よび25%NH3 水 2950mlに水を加えて全量を
10リットルとした水溶液、pH9)に添加して、45
℃で24時間反応させた。反応終了後、限界濾過膜によ
り菌体を除去し、得られたろ液を分析したところ、AS
Pが228g/l(理論収量の99%以上)、FA
1.0g/l、NH3 36.8g/l、NH3 /ASP
モル比は1.26(すなわち、ASPアンモニウムに対
するASPジアンモニウムの割合は26%)、pHは9
であった。
しておいた2リットルジャケット付きセパラブルフラス
コ内に、参考例1の方法で得られた酵素反応液(ASP
アンモニウム水溶液)を1000ml/時間、40重量
%FAスラリーを300g/時間(FA 120.0g
/時間、H2 O 180.0g/時間)で連続的にフィ
ードし、攪拌しながら、レベルを1000mlラインの
ところで保持しながら、晶析させた。この時添加するフ
マル酸は酵素反応液中のL−アスパラギン酸アンモニウ
ムに対し(フマル酸/L−アスパラギン酸)モル比0.
6になるよう添加した。晶析させた液は、予めジャケッ
トに水を流すことで20℃に保温しておいた2リットル
ジャケット付きセパラブルフラスコへ連続的に抜き出
し、ASPスラリーを回収した。この作業を10時間行
った。
液分離し、さらに蒸留水5400gでリンスし、減圧
下、約60℃で乾燥したところ、1830gの白色固体
を得た。得られた固体は、ASPが99.3重量%で、
FAアンモニウム0.7重量%を含んでいた。ASPの
回収率は、79.7%であった。一方、固液分離で得ら
れた母液は、ASP 29.53g/l、FA 75.
6g/l、NH3 23.5g/lの組成であり、pH
は約4.5、容量約15.6リットルであった。なお、
ここで得られたFAアンモニウムはそのNH3 バランス
からモノアンモニウム塩とジアンモニウム塩の混合物で
あった。
5.6リットルを、20リットルのナス型フラスコに仕
込み、ラボ用エバポレーターを用いて、80℃、減圧
(300〜400mmHg)下、水を飛ばし濃縮した。
ここで得られる蒸気は、50wt%エチレングリコール
の冷却水が0℃で循環する冷却管を取り付け、回収し
た。また、得られた濃縮液は、次の酵素反応原料として
リサイクル使用するため、反応必要分に対し不足してい
るフマル酸を添加するが、初期原料中のフマル酸モル数
に対し、濃縮液中の未回収L−アスパラギン酸とフマル
酸の合計モル数が等しくなるよう、不足分フマル酸を添
加する。ここでは得られた濃縮液に不足分の粉末FA
400g、25%NH3 水を1285ml、および蒸留
水を添加して、pH9.0、容量約10リットルの液を
作成した。フマル酸の添加は、晶析工程及びリサイクル
母液への分割添加方法で行ったが、分割比(晶析工程で
のフマル酸添加量/フマル酸全添加量)は、ここでは
0.75であった。この作成した液の組成は、ASP
44.5g/l、FA 158.3g/l、NH3 6
5.7g/lのであった。
例1と同様の方法にてアスパルターゼにて酵素反応させ
たところ、ASP 226g/l(理論収量の99%以
上)、FA 1.3g/l、NH3 36.7g/l、
NH3 /ASPモル比は1.27(すなわち、ASPア
ンモニウムに対するASPジアンモニウムの割合は27
%)、pHは9であった。
えずに3回繰り返した。結果を第1表に示す。
するL−アスパラギン酸に対する添加フマル酸のモル比
一定(実施例1ではモル比0.6)の条件では、晶析回
収率、分割添加フマル酸の分割比、及び得られるL−ア
スパラギン酸の結晶純度はほぼ一定となり、本プロセス
はリサイクル運転を行っても、全体プロセスとして効率
よく、安定して連続操作が行え、且つ高純度なL−アス
パラギン酸を得られることが確認できた。
析での添加FA量の影響) 実施例1と同様の操作(繰り返しなし)を下記NH3 除
去操作の有無(NH3除去操作有;実験No.1、2、
NH3 除去操作無;実験No.3、4)、晶析で添加す
るFAの量を変えて実施した。結果を第2表に示す。
様の操作で得られた酵素反応液10リットルを、20リ
ットルのナス型フラスコに仕込み、ラボ用エバポレータ
ーを用いて、80℃、380mmHgの条件下、アンモ
ニアを蒸留分離した。15分後、常圧に戻して、アンモ
ニア除去操作を終了した。得られた蒸留釜の残液は、A
SPが275g/l、NH3 が35.4g/lの組成
で、8250mlの容量であった。この残液に蒸留水を
加えて、ASPが230g/l、NH3 が29.2g/
lの組成(NH 3 /ASPモル比は1.0、すなわち、
全てがASPモノアンモニウム塩)で8500mlの釜
残液を作成した。これを晶析原料として用いた。
操作を行うことにより、L−アスパラギン酸の晶析回収
率が向上することが確認された。
ニウムを含む母液を反応系にリサイクルしても、バラン
スのとれた安定した連続操作で、L−アスパラギン酸を
製造することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 下記工程〜を実施してL−アスパラ
ギン酸を製造する方法において、工程に供給する原料
フマル酸水溶液の濃度を10〜30wt%とし、且つ、
原料フマル酸を下記工程及び少なくとも工程あるい
は工程のいずれかの工程から各々、系内に供給し、更
に、工程で添加するフマル酸を工程に存在するアス
パラギン酸アンモニウムに対して(フマル酸/アスパラ
ギン酸アンモニウム)モル比0.1以上0.85未満に
調節することを特徴とするL−アスパラギン酸の製造方
法。 工程:フマル酸とアンモニアを、アスパルターゼ又は
これを産生する微生物の存在下、反応させてL−アスパ
ラギン酸アンモニウムを生成する工程 工程:工程で得た溶液にフマル酸を添加してL−ア
スパラギン酸結晶を析出させる工程 工程:工程で得たL−アスパラギン酸結晶を回収
し、母液を工程にリサイクルする工程 - 【請求項2】 工程でのフマル酸添加量が、系内に供
給するフマル酸全添加量の40%以上100%未満であ
る請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 工程と工程との間に下記工程を実
施することを特徴とする請求項1または2記載の方法。 工程:工程で得た溶液から、アンモニアを除去し
て、実質的にL−アスパラギン酸モノアンモニウムを含
有する溶液とする工程 - 【請求項4】 工程〜、工程〜又はこれらの工
程の間のいずれかにおいてL−アスパラギン酸とアンモ
ニアを含む液をブリードし、且つその量が全量の0.1
〜30wt%であることを特徴とする請求項1〜3いず
れか1項記載の方法。 - 【請求項5】 工程において、フマル酸の添加が連続
的に行われるものである請求項1〜4のいずれか1項記
載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14418996A JP3735943B2 (ja) | 1996-06-06 | 1996-06-06 | L−アスパラギン酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14418996A JP3735943B2 (ja) | 1996-06-06 | 1996-06-06 | L−アスパラギン酸の製造方法 |
Publications (2)
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