JPH0648979A - クエン酸の精製方法 - Google Patents

クエン酸の精製方法

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JPH0648979A
JPH0648979A JP20262392A JP20262392A JPH0648979A JP H0648979 A JPH0648979 A JP H0648979A JP 20262392 A JP20262392 A JP 20262392A JP 20262392 A JP20262392 A JP 20262392A JP H0648979 A JPH0648979 A JP H0648979A
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citric acid
citrate
reaction
calcium
calcium monohydrogen
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JP20262392A
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Akihiro Shishikura
昭弘 宍倉
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 (i) 添加試薬を実質的に皆無化できる、(ii)
硫酸カルシウムのような産業廃棄物を完全に皆無化でき
る、(iii)操作を単一の反応器で行なうことができ、プ
ロセスの簡略化、連続化が可能であるなどの利点を有す
るクエン酸の精製方法を提供する。 【構成】 本発明のクエン酸の精製方法は、粗クエン酸
をクエン酸トリカルシウムと反応させてクエン酸一水素
カルシウム沈殿を得る工程と、前工程で得られたクエン
酸一水素カルシウムを分解して遊離クエン酸とクエン酸
トリカルシウムを得る工程と、クエン酸とクエン酸トリ
カルシウムとを分離する工程とを含むことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクエン酸の精製方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】クエン酸の精製方法として、いわゆるカ
ルシウム沈殿法が知られている。このカルシウム沈殿法
は、粗クエン酸を水酸化カルシウムと反応させてクエン
酸トリカルシウム沈殿を得、得られたクエン酸トリカル
シウム沈殿を水洗して不純物を除去した後、濃硫酸によ
り再度クエン酸を遊離させることにより精製クエン酸を
得るものである。
【0003】またクエン酸の他の精製方法として、クエ
ン酸一水素カルシウムを経由する方法がある。この方法
は、粗クエン酸をクエン酸トリカルシウムと反応させて
クエン酸一水素カルシウム沈殿を得、得られたクエン酸
一水素カルシウム沈殿を水洗して不純物を除去した後、
濃硫酸により再度遊離クエン酸を得るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者のカルシ
ウム沈殿法は以下のような欠点がある。 (a)クエン酸の精製のためめの添加試薬として水酸化
カルシウムおよび濃硫酸をその都度使用する必要があ
り、コスト高となる。 (b)クエン酸トリカルシウムに濃硫酸を反応させて遊
離クエン酸を得る際に、建築資材等の限られた用途しか
なく、殆んど産業破棄物として処理されている硫酸カル
シウムが副生し、その処理に多大な費用を要する。 (c)粗クエン酸と水酸化カルシウムとの反応によるク
エン酸トリカルシウムの生成およびクエン酸トリカルシ
ウムと硫酸との反応による遊離クエン酸の生成をバッチ
処理しなければならず連続処理できないため、プロセス
が複雑であるだけでなく、それぞれの反応完結に長時間
を必要とする。
【0005】また後者のクエン酸一水素カルシウム経由
法は、前者のカルシウム沈殿法の改良法に相当するもの
であり、添加試薬として水酸化カルシウムの代りに、ク
エン酸として回収可能なクエン酸トリカルシウムを用い
ているので、添加試薬の使用量の削減が可能であり、ま
た産業廃棄物である硫酸カルシウムを約30%程削減す
ることができるが、このクエン酸一水素カルシウム経由
法も、添加試薬は依然として必要であり、また多量の産
業廃棄物が副生するという点では、カルシウム沈殿法と
大差がない。またこのクエン酸一水素カルシウム経由法
もクエン酸一水素カルシウム生成反応と遊離クエン酸生
成反応をバッチ処理で行なう必要がある。
【0006】従って本発明の目的は、従来のカルシウム
沈殿法およびクエン酸一水素カルシウム経由法の上記欠
点を解消し、(i) 添加試薬を実質的に皆無化できる、(i
i)硫酸カルシウムのような産業廃棄物を完全に皆無化で
きる、(iii)操作を単一の反応器で行なうことができ、
プロセスの簡略化、連続化が可能であるなどの利点を有
するクエン酸の精製方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のクエン酸の精製方法は、粗クエン酸をクエン酸トリ
カルシウムと反応させてクエン酸一水素カルシウム沈殿
を得る工程と、前工程で得られたクエン酸一水素カルシ
ウムを分解して遊離クエン酸とクエン酸トリカルシウム
を得る工程と、クエン酸とクエン酸トリカルシウムとを
分離する工程とを含むことを特徴とする。
【0008】上述のように本発明のクエン酸の精製方法
はクエン酸一水素カルシウムの生成工程、クエン酸一水
素カルシウムの分解による遊離クエン酸とクエン酸トリ
カルシウムとの生成工程およびクエン酸とクエン酸トリ
カルシウムとの分離工程を必須工程として含むものであ
る。以下、これらの工程を順次説明する。
【0009】(1)クエン酸一水素カルシウムの生成工
程 原料として用いる粗クエン酸は、従来の合成法又は発酵
法で調製されたもののいずれでも良い。粗クエン酸は水
溶液の状態であるのが好ましいが、水溶液中のクエン酸
濃度は制限がなく、任意である。粗クエン酸はクエン酸
以外の他のカルボン酸を出来るだけ含まないのが好まし
く、他のカルボン酸を含む場合には、pH調整等の操作
を行なうことにより、これらのカルボン酸を除去するの
が望ましい。
【0010】この粗クエン酸をクエン酸トリカルシウム
と反応させてクエン酸一水素カルシウム沈殿を得ること
は、それ自体公知であり、例えば米国特許第28107
55号明細書および特公昭60−54940号公報に開
示されている。以下にその好ましい反応条件を示す。
【0011】混合比率…水溶液中のクエン酸1重量部に
対し、クエン酸トリカルシウムを0.8〜1.1重量部
混合し、撹拌する。反応に伴ってクエン酸一水素カルシ
ウムの沈殿が生じ、撹拌効率が低下するため、さらに水
を水溶液中のクエン酸1重量部に対し、0.5〜10重
量部程度添加するのが好ましい。水の添加方法は予め加
えても良く、反応中に徐々に加えても良い。 反応温度…15〜100℃ 反応時間…15〜120分程度 反応は低温ほど長時間を必要とし、90℃程度の温度下
では3〜5分で反応が終了するのが、更にそのまま30
分程度撹拌を行なう方が好ましく、再現性のある反応率
が得られる。 撹拌…撹拌方法は既知の如何なる方法も採用できる。撹
拌速度に制限はないが、反応終了前に低速で数分間撹拌
することによりクエン酸一水素カルシウムの粒子が凝集
し後続のクエン酸一水素カルシウムの回収が容易とな
る。
【0012】上記の条件下に生成したクエン酸一水素カ
ルシウム沈殿物は濾過、膜分離等の手段によって容易に
回収される。クエン酸一水素カルシウムの生成に用いた
反応器の底部にフィルターを設けておけば、クエン酸一
水素カルシウム沈殿の回収は、同一の反応器で行なわれ
得る。
【0013】なお回収されたクエン酸一水素カルシウム
沈殿の表面に付着した不純物を除去するために、所望に
より水洗操作を行なっても良い。この水洗操作はクエン
酸一水素カルシウム沈殿1重量部に対して、1回当り3
〜20重量部の水を用いて1〜3回程度行なうのが好ま
しい。クエン酸一水素カルシウムの水への溶解度は一般
に低いため、水洗によるクエン酸一水素カルシウム収量
の低下はわずかであるが、温度が低いとクエン酸一水素
カルシウムの水への溶解度が高くなり、収量が低下する
ため、水洗時の温度は15〜60℃程度が好ましく、操
作上常温付近が最も好ましい。
【0014】原料の粗クエン酸として発酵法により得ら
れた粗クエン酸を用いた場合には、得られたクエン酸一
水素カルシウム沈殿を長期間水中に放置すると、系中に
存在する微生物によるカビの発生や腐敗などの問題を生
ずることがあるので、水洗操作を短時間に行なうのが好
ましい。このクエン酸一水素カルシウム沈殿からの不純
物の水洗除去工程もクエン酸一水素カルシウムの生成に
用いたと同一の反応器で行なうことができる。
【0015】(2)クエン酸一水素カルシウムの分解に
よる遊離クエン酸とクエン酸トリカルシウム沈殿との生
成工程 この工程は、上記工程で得られたクエン酸一水素カルシ
ウムを水に懸濁して水スラリーを調製し、温度及び圧力
条件を選ぶことによって再び遊離クエン酸とクエン酸ト
リカルシウムとに分解し、遊離クエン酸水溶液とクエン
酸トリカルシウムの沈殿とを得る工程である。
【0016】この反応は下式により示される。
【0017】
【化1】 (式中CAはクエン酸の3個の水素原子を除いた残基を
意味し、従ってCaHCAはクエン酸一水素カルシウ
ム、H3 CAはクエン酸、Ca3 CA2 はクエン酸トリ
カルシウムをそれぞれ示す)上述のようにこの反応は平
衡反応であり、一旦生成したクエン酸トリカルシウム
(Ca3 CA2 )の一部が遊離のクエン酸(H3 CA)
と反応してクエン酸一水素カルシウム(CaHCA)が
再び生成することが容易に推測されるため、これまでに
この反応に着目したクエン酸の精製例はなかった。
【0018】しかし本発明者の検討によれば、反応条
件、特に反応温度と圧力を制御することにより不均化反
応が起こり、上記反応式における平衡を右方向に進める
ことができ、クエン酸一水素カルシウムが効果的にクエ
ン酸とクエン酸トリカルシウムとに分解することが明ら
かとなった。
【0019】以下にクエン酸一水素カルシウムの、クエ
ン酸とクエン酸トリカルシウムへの分解を効果的に行な
うための条件を詳説する。
【0020】混合比率…水を用いてクエン酸一水素カル
シウム塩のスラリーを調製する際、クエン酸一水素カル
シウム1重量部に対し、水を5〜100重量を添加す
る。好ましくはクエン酸一水素カルシウム1重量部に対
し、水を10〜50重量部とする。
【0021】また、反応効率を上昇させるために、遊離
のクエン酸を、添加することも効果的である。これは、
クエン酸一水素カルシウムを溶解させ、不均化反応の効
率を上昇させるためである。この場合のクエン酸の混合
量はクエン酸一水素カルシウムに対し、2倍量以内が好
ましい。
【0022】反応温度及び圧力…反応温度としては、5
〜350℃の温度が採用されるが、好ましくは25〜2
50℃である。350℃を越える条件では脱水等の副反
応の比率が極端に増加するため350℃を越える温度は
避けるべきである。反応圧力は通常0〜350kg/c
2 G程度である。反応温度が150℃より高い場合に
は高圧条件で反応速度(分解率)がわずかに上昇し、反
応温度が150℃以下の場合には低圧下でも十分な反応
速度(分解率)が得られる。
【0023】所望の反応速度(分解率)を得るために
は、反応温度が150℃以下の場合、圧力を0〜40k
g/cm2 Gとするのが好ましく、さらに反応温度が1
50℃を越える場合、圧力を0〜350kg/cm2
とするのが好ましい。
【0024】反応方式…反応方式はバッチ式でも連続式
ででも可能であるが、連続式の方がメリットが大きく、
反応終了後の処理が容易になる。
【0025】反応時間…反応は低温ほど、低圧ほど遅
く、一方150℃とを超える高温度では大気圧下におい
ても5分程度で反応は終了する。このように反応時間は
反応温度および圧力に大きく依存するが、通常0.1秒
〜8時間程度である。
【0026】(3)クエン酸とクエン酸トリカルシウム
との分離工程 前工程で得られた反応混合物は遊離クエン酸水溶液とク
エン酸トリカルシウムの沈殿からなる。これらを、反応
終了後、分離せずに放置すると、最終的に平衡状態(反
応率27%)に至るため、速やかに分離を行い、クエン
酸水溶液を回収する必要がある。分離の方法としては、
反応条件下でフィルター等の公知の方法で行うことが好
ましい。高温下で反応を行った場合は、速やかに冷却
し、静置分離やフィルター等で分離を行う。分離方式は
バッチ式でも連続式でも可能である。分離時の温度条件
に特に制限はないが、30〜90℃の範囲で行うことが
好ましい。
【0027】また、沈殿として回収されたクエン酸トリ
カルシウムは、再度、次の粗クエン酸との反応工程にリ
サイクルされる。
【0028】さらに、回収されたクエン酸水溶液中にカ
ルシウムが含有されている場合には、溶液を90℃程度
に加熱するか、濃縮して1〜10時間程度放置(撹拌な
し)することによりカルシウム含有量を低下させること
ができる。
【0029】得られたクエン酸水溶液に濃縮、晶析等の
公知の処理を施すことにより、クエン酸を結晶として回
収することもできる。濃縮方法としては、過熱濃縮や真
空濃縮法が挙げられ、晶析方法としては、冷却晶析や圧
力晶析法、及び高圧ガスを用いた貧溶媒化晶析法などが
挙げられる。
【0030】また、上記の方法で調製されたクエン酸結
晶は、必要に応じて残存水や結晶水を除去するために、
乾燥空気による乾燥処理を施すこともできる。
【0031】実施例1 市販のクエン酸(純度99.8%)192g(1mol
e)に不純物として64gのグルコースを混合したもの
をモデル粗クエン酸とした。このモデル粗クエン酸とク
エン酸トリカルシウム498g(1mole)を200
0mlの水に溶解又は懸濁し、90℃で撹拌しながら、
1時間反応を行った。反応終了後、得られた沈殿を濾過
して回収した後、乾燥処理(真空乾燥)を施し、組成を
分析した。得られた沈殿のカルシウム/クエン酸のモル
比が1.04であることから、クエン酸一水素カルシウ
ムであることを確認した。クエン酸一水素カルシウムの
回収率は98.9%であった。
【0032】得られたクエン酸一水素カルシウムの50
gに水250mlを添加し、スラリー溶液を調製し、こ
れを温度40℃、大気圧下で23時間反応を行い、得ら
れた反応物についてHPLC及び110℃と900℃に
おける重量の変化から組成を算出した。その結果、2
6.9%のクエン酸一水素カルシウムが分解し、遊離の
クエン酸3.59g、クエン酸二水素カルシウム0.1
7gが水溶液で、クエン酸トリカルシウム9.69gが
沈殿として回収された。クエン酸二水素カルシウムは水
溶液の状態で一昼夜放置しておくと、遊離のクエン酸と
クエン酸トリカルシウムに分解した。最終的に遊離のク
エン酸は理論量の25.8%の回収率で回収された。回
収されたクエン酸トリカルシウムは再び次の粗クエン酸
との反応工程にリサイクルされた。
【0033】実施例2 実施例1と同様にクエン酸一水素カルシウムを調製し、
その中の50gを用いて水250mlと混合し、スラリ
ー溶液を調製した。このスラリー溶液を原料とし、温度
40℃、大気圧下で70時間半連続式に反応を行った。
すなわち、5時間反応を行った後に上澄み液を回収し、
溶質をエバポレーターで分離、水のみを再度、反応器に
戻すという方法で繰り返し反応をおこなった。その結
果、最終的に7.78gの遊離クエン酸と41.9gの
クエン酸トリカルシウム沈殿が回収され、反応率は56
%に達した。この時点で、上澄み液から回収された遊離
クエン酸の純度は96.8%であり、残りはカルシウム
であった。さらに回収された遊離クエン酸を水に溶解
し、15時間、室温で放置すると僅かなクエン酸トリカ
ルシウムが沈殿し、上澄み液中のクエン酸純度は99.
7%までに上昇した。回収されたクエン酸トリカルシウ
ムは再び次の粗クエン酸との反応工程にリサイクルされ
た。
【0034】実施例3 実施例1と同様にクエン酸一水素カルシウムを調製し、
その中の50gを用いて水250mlと混合し、スラリ
ー溶液を調製した。このスラリー溶液を原料とし、1〜
16ml/minの範囲で溶液供給量を変化させなが
ら、温度200℃、150kg/cm2 Gの条件下で反
応を行った。反応方式は流通式とし、反応管内における
滞留時間(上記の条件に達してからの時間)は約4分〜
65分であった。反応終了後、反応物を速やかに冷却
し、0.45μmのフィルターを用いて固液分離を行
い、クエン酸溶液とクエン酸トリカルシウム沈殿を分離
した。
【0035】その結果、滞留時間が20分以上で、水溶
液中の遊離クエン酸の純度は、96.3〜97.1%の
範囲で、安定したクエン酸水溶液を回収することが出来
た。その時、クエン酸一水素カルシウムの分解率は約5
3%で一定していた。さらにその溶液を2時間、90℃
で加熱し、徐々に冷却することによってクエン酸純度を
低下させていたカルシウム塩を沈殿として除去した。加
熱前のカルシウム塩はクエン酸二水素カルシウムであ
り、加熱後のカルシウム塩はクエン酸トリカルシウムで
あった。最終的に、上澄み液を濃縮することによって純
度99.5〜99.8%の遊離クエン酸を得た。また、
遊離クエン酸の回収量は8.51〜8.94gであり、
これは理論値の61.2〜64.3%に達していた。回
収されたクエン酸トリカルシウムは再び次の粗クエン酸
との反応工程にリサイクルされた。
【0036】実施例4 公知の液体培養法により調製したクエン酸発酵液147
7g(遊離クエン酸を192g含む)と市販のクエン酸
トリカルシウム498g(1mole)を60℃で撹拌
しながら1.5時間反応させた。反応終了後、生成した
沈殿を濾過により回収、500mlの蒸留水で3回洗浄
し、真空乾燥器で乾燥を行った。得られたクエン酸一水
素カルシウムは684gであり、この時点でのクエン酸
純度及び回収率はそれぞれ98.9%、99.1%であ
り、不純物はクエン酸トリカシウムであった。
【0037】上記の方法で調製されたクエン酸一水素カ
ルシウムの50gに、水250mlを添加し、スラリー
溶液を調製した。これを温度30℃、大気圧下で反応さ
せ、反応物を回収した。反応方式は実施例3と同じで、
溶液供給量は2ml/minとした。反応終了後、濾過
によりクエン酸トリカルシウム沈殿を除去した。回収さ
れた上澄み液のうち、100gをエバポレーターで濃縮
し、さらに真空乾燥して固形分を回収し、組成を分析し
た。回収された固形分は98.3%の遊離クエン酸、
1.7%のクエン酸二水素カルシウム及び0.02%の
クエン酸トリカルシウムであった。
【0038】また、残りの上澄み液のうち、100gを
0.5時間、90℃に加熱し、さらに徐冷しながら5時
間静置した後、0.45μmのフィルターを用いて沈殿
を除去し、上澄み液をエバポレーターで濃縮し、さらに
真空乾燥により固形分を乾燥して組成を分析した。
【0039】回収された固形分の組成は、遊離クエン酸
99.8%、クエン酸トリカルシウム0.01%であっ
た。この遊離クエン酸の結晶は市販のクエン酸と同等で
あった。発酵液からの最終的なクエン酸回収率は97.
2%であった。回収されたクエン酸トリカルシウムは再
び次の粗クエン酸の反応工程にリサイクルされた。
【0040】比較例1(カルシウム沈殿法) 公知の液体培養法により調製したクエン酸発酵液147
7g(遊離クエン酸を192g含む)と市販の水酸化カ
ルシウム111g(1.5mole)を60℃で撹拌し
ながら3時間反応させ、クエン酸トリカルシウムの沈殿
を生成、濾過して回収した。回収した沈殿は500ml
の蒸留水で3回洗浄し、真空乾燥器で乾燥を行った。得
られたクエン酸トリカルシウムは247gであり、その
純度は99.7%であった。
【0041】このクエン酸トリカルシウム247gに水
600gを添加し、pHが2.0になるまで濃硫酸を撹
拌しながら60℃で滴下し、そのまま60℃で3時間撹
拌してクエン酸と硫酸カルシウムを生成させた。その結
果、189.6gの遊離クエン酸が水溶液の状態で回収
され、回収率は98.8%であった。またクエン酸の純
度は99.7%であった。また、256gの硫酸カルシ
ウムが沈殿の状態で回収された。
【0042】比較例2(クエン酸一水素カルシウム経由
法) 比較例1と同様に、公知の液体培養法により調製したク
エン酸発酵液1478g(遊離クエン酸を192g含
む)と市販の水酸化カルシウム111g(1.5mol
e)を反応させ、クエン酸トリカルシウムの沈殿を回
収、洗浄し、純度99.7%のクエン酸トリカルシウム
を248g得た。
【0043】このように得られたクエン酸トリカルシウ
ム(全量)と上記の液体培養液870gを再度60℃で
2時間、混合、撹拌しながら反応させ、クエン酸一水素
カルシウムの白色沈殿を濾過して回収した。この得られ
たクエン酸一水素カルシウムを1000gの水で3回洗
浄し、真空乾燥した結果、純度は99.6%であり、回
収量は341g(回収率98.8%)であった。
【0044】さらに、このクエン酸一水素カルシウム3
41gに水1500gを添加し、pHが2.0に達する
まで濃硫酸を撹拌しながら60℃で滴下し、そのまま6
0℃で3時間撹拌しながら、クエン酸を遊離させた。そ
の結果、277gの遊離クエン酸(純度99.7%)が
水溶液の状態で回収され、回収率は96.1%であっ
た。またこのとき205gの硫酸カルシウムが沈殿とし
て回収された。
【0045】上記実施例1〜4の結果から明らかなよう
に、本発明のクエン酸の精製方法は、高純度のクエン酸
を高回収率で回収できるだけでなく、回収されたクエン
酸トリカルシウムをリサイクルできることから、添加試
薬を実質的に皆無化でき、また産業廃棄物も皆無化でき
るという点で優れている。
【0046】これに対して、従来のカルシウム沈殿法お
よびクエン酸一水素カルシウム経由法の結果を示す比較
例1および2では、クエン酸の回収率がそれぞれ98.
8%、96.1%であり、同一の粗クエン酸クエン酸発
酵液を用いた実施例4の回収率97.2%とほぼ同等で
あるが、比較例1では添加試薬として水酸化カルシウム
と濃硫酸を必要とし、また産業廃棄物である硫酸カルシ
ウムがクエン酸の生産量の1.35倍も副生した。また
比較例2でも添加試薬として濃硫酸を必要とし、また産
業廃棄物も比較例1より少量であるが副生した。また比
較例1、2では全ての処理がバッチ処理で行なわなけれ
ばならないというデメリットもある。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、(i)
添加試薬を実質的に皆無化できる、(ii)産業廃棄物を
皆無化できる、(ii)操作を単一の反応器で行なうこと
ができ、プロセスの簡略化、連続化が可能であるなどの
利点を有するクエン酸の精製方法が提供された。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗クエン酸をクエン酸トリカルシウムと
    反応させてクエン酸一水素カルシウム沈殿を得る工程
    と、前工程で得られたクエン酸一水素カルシウムを分解
    して遊離クエン酸とクエン酸トリカルシウムを得る工程
    と、クエン酸とクエン酸トリカルシウムとを分離する工
    程とを含むことを特徴とするクエン酸の精製方法。
JP20262392A 1992-07-29 1992-07-29 クエン酸の精製方法 Withdrawn JPH0648979A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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