JPH09322793A - L−アスパラギン酸の製造方法 - Google Patents

L−アスパラギン酸の製造方法

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JPH09322793A
JPH09322793A JP14419296A JP14419296A JPH09322793A JP H09322793 A JPH09322793 A JP H09322793A JP 14419296 A JP14419296 A JP 14419296A JP 14419296 A JP14419296 A JP 14419296A JP H09322793 A JPH09322793 A JP H09322793A
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aspartic acid
acid
ammonium
solution
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JP14419296A
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Naoki Kato
尚樹 加藤
Yoshiaki Mori
義昭 森
Naoyuki Watanabe
尚之 渡辺
Miyuki Miura
深雪 三浦
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マレイン酸を原料とし、酵素反応によりL−
アスパラギン酸を製造する方法において、安定した連続
運転可能な、工業的に有利な方法の提供。 【解決手段】 下記工程と工程との間で反応液の一
部をブリードすることを特徴とするL−アスパラギン酸
の製造方法。 工程:マレイン酸等を酵素の存在下異性化する反応
と、異性化反応物の少なくとも一部及びアンモニアを酵
素の存在下水溶媒中で反応させてL−アスパラギン酸ア
ンモニウムを生成する反応を一段又は多段で実施する工
程、 工程:工程で得た溶液にマレイン酸等を添加してL
−アスパラギン酸を析出させる工程、 工程:工程で得たL−アスパラギン酸を回収し、母
液を工程へリサイクルする工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、L−アスパラギン
酸の製造方法に関するものである。詳しくは、マレイン
酸及び/又は無水マレイン酸を原料とし、酵素作用によ
りL−アスパラギン酸を製造するための工業的に有利な
プロセスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】L−アスパラギン酸は医薬、食品添加物
として需要が増加している。また、新たな用途開発も検
討されているが、現在のところ、製造コストが高く、経
済的に優れた工業的プロセスは確立されていない。
【0003】L−アスパラギン酸の製造法としては、フ
マル酸アンモニウムをアスパルターゼ又はこれを産生す
る微生物の存在下、酵素反応により得る方法が知られて
いる。また、マレイン酸とアンモニアをイソメラーゼ又
はこれを産生する微生物の存在下異性化しフマル酸を得
た後、上記同様な酵素反応により、L−アスパラギン酸
を得る方法も知られている〔Y.Takamura e
t al.,Agric.Biol.Chem.,3
0,No.4,345〜350(1966)〕。しかし
ながら、従来法は、酵素反応後のL−アスパラギン酸ア
ンモニウムを硫酸又は塩酸により酸析するため、経済的
価値の低い無機酸アンモニウム塩を大量に副生し、結果
的にL−アスパラギン酸の製造コストを高めることとな
っていた。
【0004】この欠点を改良する方法として、酵素反応
後のL−アスパラギン酸アンモニウムをマレイン酸及び
/又は無水マレイン酸により酸析し、L−アスパラギン
酸結晶を回収した後のマレイン酸アンモニウムを含む母
液を原料として再利用する方法が提案されている(米国
特許第4560653号明細書、特開平8−33491
号公報)。これらの方法は、原料として大量に入手が容
易で、しかも安価な無水マレイン酸を用いるので、工業
的に非常に望ましい方法となり得る。
【0005】しかしながら、上記提案では、マレイン酸
アンモニウムの異性化反応を、従来より知られている化
学反応又は酵素反応を適応さたもので、工業的に安定し
た連続操作を継続的に行ない、L−アスパラギン酸を安
価にかつ効率的に製造することは未だ困難であった。上
記提案の方法の場合、L−アスパラギン酸アンモニウム
の晶析に当たり、大量のマレイン酸を添加しないとL−
アスパラギン酸結晶の回収率を高めることができず、晶
析工程で添加するマレイン酸の量が、晶析すべきL−ア
スパラギン酸の量を超える条件となっている。そのた
め、晶析後のマレイン酸アンモニウムを含む母液を反応
系にリサイクル使用すると、次第に、系内のL−アスパ
ラギン酸濃度が上昇する問題が生じ、連続運転が困難と
なり、効率的な工業的製法とは言い難い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、マレイン酸
及び/又は無水マレイン酸を原料とし、イソメラーゼ又
はこれを産生する微生物により水溶媒中でこれを異性化
し、次いでアスパルターゼ又はこれを産生する微生物、
及びアンモニアの存在下、水溶媒中で酵素反応させてL
−アスパラギン酸アンモニウムを得て、酵素反応後のL
−アスパラギン酸アンモニウムをマレイン酸及び/又は
無水マレイン酸により酸析し、L−アスパラギン酸結晶
を回収した後のマレイン酸アンモニウムを含む母液を酵
素反応工程にリサイクルするL−アスパラギン酸の製造
方法において、バランスのとれた安定した連続操作が可
能なL−アスパラギン酸の新規な製造プロセスを提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記実情に
鑑み鋭意検討し、L−アスパラギン酸アンモニウムの晶
析に当たり、大量のマレイン酸を添加するとL−アスパ
ラギン酸結晶の回収率が高まる一方、晶析工程で添加す
るマレイン酸の量が、晶析すべきL−アスパラギン酸の
量を超える条件となるため、晶析後のマレイン酸アンモ
ニウムを含む母液を反応系にリサイクル使用すると、次
第に、系内のL−アスパラギン酸濃度が上昇する問題が
生じ、連続運転が困難となり、効率的な工業的製造とな
らないことから、本リサイクルプロセスにおける該工程
後の特定の箇所よりL−アスパラギン酸とアンモニアを
含む液をブリードし、長期間に亘り安定したL−アスパ
ラギン酸の連続製造が可能となることを見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、下記工程〜
を実地してL−アスパラギン酸を製造する方法におい
て、工程と工程との間で反応液の一部をブリードす
ることを特徴とするL−アスパラギン酸の製造方法に存
する。 工程:マレイン酸及び/又は無水マレイン酸をイソメ
ラーゼ又はこれを産生する微生物の存在下異性化させる
反応、及び、前記異性化反応物の少なくとも一部及びア
ンモニアをアスパルターゼ又はこれを産生する微生物の
存在下水溶媒中で反応させてL−アスパラギン酸アンモ
ニウムを生成させる反応、を順次又は同時に実施する工
程 工程:工程で得た溶液にマレイン酸及び/又は無水
マレイン酸を添加してL−アスパラギン酸結晶を析出さ
せる工程 工程:工程で得たL−アスパラギン酸結晶を回収
し、母液を工程にリサイクルする工程
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。 (工程)本発明では、マレイン酸及び/又は無水マレ
イン酸をイソメラーゼ又はこれを産生する微生物の存在
下、異性化させたのち、異性化反応物の少なくとも一部
及びアンモニアをアスパルターゼ又はこれを産生する微
生物の存在下、水溶媒中で反応させてL−アスパラギン
酸アンモニウムを生成させる。反応は、マレイン酸アン
モニウムをフマル酸アンモニウムに異性化した後、これ
を酵素としてアスパルターゼ又はこれを産生する微生物
の存在下、反応してアスパラギン酸アンモニウムを生成
させる二段反応法、又は、マレイン酸アンモニウムの異
性化とアスパラギン酸アンモニウムの生成とを同時に行
なう一段反応法のいずれでもよい。
【0010】マレイン酸アンモニウムをフマル酸アンモ
ニウムに異性化する反応及びフマル酸アンモニウムをア
スパラギン酸アンモニウムに変換する反応は公知であ
り、本発明はこれらの反応自体は公知法に準じて実施す
ることができる。
【0011】本発明に用いられるマレイン酸イソメラー
ゼ活性を有する微生物としては、本活性を有する微生物
であれば特に限定されるものではないが、アルカリゲネ
ス属、シュードモナス属、キサントモナス属、バチルス
属に属する微生物が好適に用いられる。特にアルカリゲ
ネス フェカリス(Alcaligenes faec
alis)IFO 12669、同IFO 1311
1、同IAM 1473、アルカリゲネス ユウトロフ
ス(Alcaligenes eutrophus)、
シュウドモナス フルオレッセンス(Pseudomo
nas fluolescens)ATCC 2372
8、キサントモナス マルトモナス(Xanthomo
nas marutomonasu)ATCC 132
70、バチルス ステアロサーモフィラス(Bacil
lus stearothermophilus)MI
−101(FERM P−14801)、バチルス ブ
レビス(Bacillus brevis)MI−10
3(FERM P−14803)等が好適に用いられ
る。さらに、上記、遺伝子を組換えた遺伝子改変微生物
を用いても何等差し支えない。
【0012】培養した各菌体は、予め、リン酸緩衝液等
の緩衝液(pH7)等で洗浄した後用いることも出来
る。洗浄用のリン酸緩衝液の濃度は0.05M〜0.2
M程度が好適に用いられる。菌体はそのまま使用するこ
とができるし、必要により、該菌体を超音波破砕等で処
理をした菌体破砕物や該破砕物を遠心分離した無細胞抽
出液、該無細胞抽出液を硫安分画法、イオン交換カラ
ム、ゲルろ過カラム等で精製した部分精製酵素、または
該菌体や菌体破砕物をアクリルアミドモノマー、アルギ
ン酸等の担体を用いて固定化した固定化物を用いること
もできる。菌体を用いる場合、予め菌体を凍結したり、
上記緩衝液中にTriton X−100、Tween
20等の界面活性剤を0.01〜0.2重量%添加し
た液中で、15〜40℃の温度で、10〜120分菌体
を処理することにより菌体の透過性を高めてから使用す
る事もできる。
【0013】本発明では、マレイン酸イソメラーゼ活性
を有する微生物またはその処理物をマレイン酸を含有す
る水溶液中で酵素反応させるに際し、マレイン酸を含有
する水溶液中の溶存酸素濃度(以下、DOと略記するこ
とがある)を4ppm以下、好ましくは1ppm以下、
さらに好ましくは0.5ppm以上に維持して反応させ
ることが好ましい。
【0014】ただし、溶存酸素濃度レベルは瞬時前記範
囲を越えることがあっても、実質的に前記範囲以下を異
性化反応の間、例えば異性化反応の時間の90%以上、
好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、の
間維持すれば良い。例えば、攪拌を開始した直後や、マ
レイン酸含有水溶液を調製した直後に一時的に前記範囲
を越えた場合も、その後前記範囲以下に維持されれば良
い。また、途中、攪拌数を上げたりしてごく短時間前記
範囲を越えた場合でも、全体の反応時間の大部分の時間
前記範囲に維持されていれば良い。
【0015】工程の反応液中の溶存酸素濃度が高い
と、酵素イソメラーゼの安定性が低下し、異性化反応を
安定的に継続することが困難となる。特に、酵素反応後
のL−アスパラギン酸アンモニウムをマレイン酸及び/
又は無水マレイン酸により酸析し、L−アスパラギン酸
結晶を回収した後のマレイン酸アンモニウムを含む母液
を原料として再利用する方法では、長期のリサイクル運
転を実施するとイソメラーゼ又はこれを産生する微生物
の酵素作用が次第に低下してしまい、継続的に運転を維
持させることは非常に困難である。
【0016】本発明では、反応に不活性ガスを用い、マ
レイン酸含有水溶液槽内をシールしてもよい。反応に不
活性なガスとは、酸素を含むガスでなければ特に限定さ
れるものではない。Ar、Heのようないわゆる希ガ
ス、窒素ガス、炭酸ガス等から選択されるガスでよく、
一種のガスか、二種以上のガスを組み合わせてもよい。
これらのガスによりマレイン酸含有水溶液槽内をシール
する方法としては、例えば、マレイン酸水溶液中に上記
ガスを吹き込みながら攪拌する、マレイン酸含有水溶液
を脱気した後上記ガスを導入する等の方法が採用でき
る、本発明の方法では、マレイン酸含有水溶液槽内が上
記ガスでシール化されていることが好ましい方法であっ
て、必ずしもマレイン酸含有水溶液槽内に上記ガスを連
続的に吹き込むことが必須ではない。また、反応槽内を
上記ガスによりシールする方法としては、反応槽内に上
記ガスを連続的に吹き込む、反応槽内の反応液中に上記
ガスを吹き込んだ後密閉する等が行われる。
【0017】本発明では、反応液中に反応に不活性な脱
酸素剤を添加することでDOを低下させてもよい。脱酸
素剤として、アスコルビン酸、プロトカテク酸、亜硫酸
塩等を例示することができる。脱酸素剤を添加する場合
の濃度としては、1ppm〜1000ppm、好ましく
は10ppm〜500ppmが用いられる、添加位置と
しては、工程に特に限定されるものではなく、どの工
程でも、またどの工程の間へでも構わない。数カ所に分
割して添加してもよい。
【0018】また、本工程で用いるマレイン酸アンモ
ニウムを含有する反応液を脱気して、溶存酸素濃度を低
下させた後、酵素反応させてもよい。特に、酵素反応後
のL−アスパラギン酸アンモニウムをマレイン酸及び/
又は無水マレイン酸により酸析し、L−アスパラギン酸
結晶を回収した後のマレイン酸アンモニウムを含む母液
を原料として再利用する方法においては、このリサイク
ル母液を予め脱気して、DOを低下させた後、酵素反応
させることが好ましい。
【0019】本発明において、フマル酸アンモニウムを
L−アスパラギン酸アンモニウムに変換するには、アス
パルターゼあるいはアスパルターゼを産生する微生物の
存在下に実施させるが、この方法は公知の方法により行
なうことが出来る。アスパルターゼを産生する微生物と
しては、フマル酸とアンモニウムからL−アスパラギン
酸を生成しうる能力を有する微生物であれば特に制限が
なく、例えば、プレビバクテリウム属、エシェリヒア
属、シュードミナス属、バチルス属等の微生物が挙げら
れる。具体的には、ブレビバクテリウム・フラバム(B
revibacterium flavum)MJ−2
33(FERM BP−1497)、同MJ−233−
AB−41(FERM BP−1498)、ブレビバク
テリウム・アンモニアゲネス ATCC 6872、エ
シェリヒア・コリ(Escherichia col
i)ATCC 11303、同ATCC 27325等
を例示することが出来る。
【0020】異性化反応及びL−アスパラギン酸を生成
させる反応の原料水溶液濃度は、通常、後述する工程
から回収されるマレイン酸モノアンモニウム水溶液の濃
度により決定される。本発明における工程における原
料水溶液の濃度は、通常、マレイン酸モノアンモニウム
換算で、45〜700g/l、好ましくは90〜450
g/lである。
【0021】本発明における工程の異性化反応及びL
−アスパラギン酸を生成させる反応は、アンモニア以外
のアルカリ剤によるpH調整下で実施することができ
る。この際の前記反応系内のpHはそれぞれに通常、
7.5〜10が好ましく、両反応を同時に同一反応槽で
実施しても差し支えない。同時に行なう場合には、各々
の性質を持つ菌を併用し、両反応に適した条件を選定し
て行なうことができる。また、両方の性質を有するもの
であれば併用の必要は必ずしもない。
【0022】アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウムなど特に限定されるものではないが、L
−アスパラギン酸を生成させる反応の原料であるアンモ
ニアを少なくとも併用することが、本発明においては好
ましく、異性化反応に対しても何ら悪影響を与えない。
アンモニアを単独で使用する場合のアンモニアの使用量
は、原料マレイン酸モノアンモニウムに対して、1.0
5〜2.0モル倍であり、好ましくは1.1〜1.6モ
ル倍である。
【0023】また、上記アルカリ剤をアンモニアと併用
する場合には、前記反応系内のpH範囲になる量にアン
モニアおよびアルカリ剤の量が調整される。異性化反応
及びL−アスパラギン酸を生成させる反応の温度は、酵
素反応が効率的に行なわれる温度を選定し、通常、10
〜80℃、好ましくは15〜60℃である。
【0024】酵素反応の反応操作としては、限定される
ものではないが、バッチ操作に比べて連続操作がより好
ましい。通常、反応方式として菌体を固定化した充填層
に原料水溶液を通液する方法、又は、菌体自体又は固定
化した菌体を懸濁した反応器中に原料水溶液を供給する
一方、反応液を抜き出し、これを分離膜や遠心分離機を
用いて菌体を分離し反応器に戻す方法が挙げられる。
【0025】L−アスパラギン酸を生成させる反応で得
られる反応液はL−アスパラギン酸アンモニウムを主体
として含むが、このアンモニウム塩はモノアンモニウム
塩とジアンモニウム塩の混合物である。ジアンモニウム
塩の割合は通常、10〜60%モルである。また、この
反応液中には未反応のフマル酸アンモニウム及びマレイ
ン酸アンモニウムを含む場合もあるが、この場合の含有
量は5g/l以下、好ましくは2g/l以下、特には1
g/l以下に制御することが望ましい。
【0026】工程の酵素反応した反応液は、常法によ
り菌体を分離した後、次工程に送られる。通常、分離膜
や遠心分離機を用いて菌体を分離する。 (工程)上記工程で得られた溶液にマレイン酸及び
/又は無水マレイン酸を添加して、L−アスパラギン酸
を晶析させる。添加するマレイン酸、無水マレイン酸
は、粉末でも、溶融液でも、水溶液でも、またスラリー
であってもよい。この二種類の酸を任意の比で混合する
ことも何ら制限をうけるものでない。
【0027】工程で添加されるマレイン酸及び/又は
無水マレイン酸の量は、(マレイン酸+無水マレイン
酸)/L−アスパラギン酸アンモニウムのモル比が、
0.5〜1.4、好ましくは0.6〜1.3となるよう
に添加される。このモル比が小さすぎると、晶析回収で
のL−アスパラギン酸の回収率が充分でなく、リサイク
ル系内のアスパラギン酸濃度が高くなり、また大きすぎ
ると、添加したマレイン酸及び/又は無水マレイン酸が
効率的に晶析に利用されない。
【0028】晶析温度は通常、0〜90℃、好ましく
は、10〜80℃である。あまり低温の場合、得られる
結晶が細かくなりすぎ、固液分離操作が面倒となる上、
リンス効率も悪化する。すなわち、固液分離で得られる
湿ケーキの母液保持量(含水液量)が多くなり、さらに
充分なリンス効果が得られないため、結晶純度が低下す
るか、リンス量を増やしてL−アスパラギン酸の回収率
を低下させるかの状況になる。一方、あまり高温では、
L−アスパラギン酸の回収率が低いばかりか、マレイン
酸の熱劣化が生ずる恐れがあり、好ましくない。
【0029】また晶析工程の処理時間は通常0.5〜5
時間程度である。晶析は通常、攪拌槽タイプの晶析槽を
用いて実施される。マレイン酸及び/又は無水マレイン
酸の添加位置は晶析槽又はこれに通じる工程からの移
送配管中のいずれでもよい。また、晶析は、工程で得
られた溶液、又は必要により後述する工程で得られた
溶液と、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸とを連続
的に供給する一方で、生成スラリーを連続的に抜き出す
連続式が望ましいが、一部、間歇的操作もしくは回分式
で行なってもよい。 (工程)上記工程で得られたスラリーを固液分離
し、必要に応じて、得られた結晶を水でリンスすること
によりL−アスパラギン酸結晶を回収する。得られた結
晶は常法により乾燥し純度99%以上の製品として回収
することができる。
【0030】固液分離で得られる母液には、マレイン酸
モノアンモニウムが含まれ、さらに溶解度分のL−アス
パラギン酸アンモニウムも含まれている。この母液は上
記工程にリサイクルされ、工程の原料として再使用
される。スラリーの固液分離は、特に限定するものでは
ないが、0〜80℃の温度範囲、好ましくは、10〜5
0℃で行なう。低温下ではスラリーの粘性が高く取扱い
が困難になり、高温下では、L−アスパラギン酸の溶解
度が高くなり、回収率が低下してしまう。必要に応じて
行なうリンス操作に用いる水の量は、特に限定するもの
ではないが、湿ケーキに対して5重量倍以下、好ましく
は、3重量倍以下で行なう。リンス量が少なすぎるとリ
ンス効果が充分でなく、多すぎるとL−アスパラギン酸
の回収率が低下する。リンス水の温度についても特に限
定されるものではない。
【0031】分離操作は、限定されるものではないが、
例えば、ヌッチェ、遠心分離等の常法により行なうこと
ができる。固液分離で得られる母液は、主にマレイン酸
モノアンモニウムが含まれ、pHが3〜6程度の酸性水
溶液である。必要に応じて濃縮工程により水を除去し、
更にアンモニアを加えて工程にリサイクルすることが
できる。
【0032】本発明では、工程にリサイクルするマレ
イン酸を含有する水溶液を予め脱気して、溶存酸素濃度
を低下させてから用いることが望ましい。溶存酸素の濃
度レベルとしては4ppm以下、さらに好ましくは0.
5ppm以下に脱気した液をリサイクルする。脱気と
は、リサイクル液中の溶存酸素を追い出す等により、D
Oを低下させることができる操作であれば、特に限定さ
れるものではない。
【0033】溶存酸素を追い出す方法を例示すれば、リ
サイクル液を減圧下加熱する方法、超音波により振動を
与える方法などが挙げられる。また、脱気操作におい
て、酵素反応に不活性なガスを供給しながら操作を実施
してもよい。不活性なガスとは、酸素を含むガスでなけ
れば特に限定されるものではない。Ar、Heのような
いわゆる希ガス、窒素ガス、炭酸ガス等から選択される
ガスでよく、一種のガスか、2種以上のガスを組み合わ
せてもよい。これらのガスは、脱気しているリサイクル
液中に供給するのが好ましい。一方、リサイクル液を蓄
える槽内に上記不活性ガスを供給することにより、DO
を低下させてもよい。好ましくは、不活性ガスを連続的
に供給し、酸素を含むガスを連続的に排出する。例え
ば、リサイクル液中に上記ガスを吹き込みながら攪拌す
る、槽内を上記ガスでシールする事の方法が行われる。
【0034】また、飽和蒸気を用いた自然循環型、強制
循環型、薄膜遠心型等の一般的な蒸発器(濃縮器)を用
いる方法、あるいは蒸留操作によりボトムから脱気液を
得る方法でも構わない。これら脱気操作は、常圧下でも
減圧下でもよく、10〜100℃の範囲で、好ましく
は、20〜70℃で行なう。低温下で脱気操作を行なう
には、減圧度を高めなくてはその効果が得られず、また
操作上の制約も大きくなる。高温下では、液組成の熱劣
化を招くので好ましくない。
【0035】(工程)本発明の方法においては、工程
で得た反応液を工程の実施の前に蒸留又はストリッ
ピングしてアンモニアの一部を除去することにより、L
−アスパラギン酸アンモニウムを実質的に,L−アスパ
ラギン酸モノアンモニウム塩とすることができ、さらに
有利なプロセスを提供しうる。本工程で得られるL−ア
スパラギン酸モノアンモニウム塩の割合は、全体のL−
アスパラギン酸アンモニウム塩に対して90モル%以
上、好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは98
モル%以上である。
【0036】この脱アンモニア処理により、工程で用
いるマレイン酸及び/又は無水マレイン酸の使用量が抑
制でき、バランスのとれた一層長期間の連続運転可能な
工業的プロセスを実現することができる。好ましい態様
として工程を実施する場合のプロセスにおいて、工程
で得られた液は、工程に送られ酸析に供されるが、
その場合のマレイン酸及び/又は無水マレイン酸の添加
量は、(マレイン酸+無水マレイン酸)/L−アスパラ
ギン酸モノアンモニウムのモル比で、0.5〜1.1、
好ましくは0.6〜1.0である。このモル比が小さす
ぎると、晶析回収でのL−アスパラギン酸の回収率が充
分でなく、リサイクル系内のアスパラギン酸濃度が高く
なり効率的でなく、また大きすぎると、添加したマレイ
ン酸及び/又は無水マレイン酸が効率的に晶析に利用さ
れない。
【0037】工程を実施する場合のプロセスにおける
工程の他の晶析条件については、前記工程に記載し
た方法によればよい。蒸留操作又はストリッピング操作
(以下、アンモニア除去操作ということがある)は、常
圧下でも減圧下でもよく、30〜100℃の範囲で、好
ましくは、40〜80℃で行なうことができる。低温下
でアンモニア除去操作を行なうには、減圧度を高めなく
てはならず操作上の制約が大きくなる。
【0038】一方、高温下では、液組成の熱劣化を招く
ので好ましくない。本発明の方法における全工程のう
ち、最も高温で処理することにもなり得る本工程の温度
条件、特に上限温度については、この観点から上記の様
に規定されるべきである。アンモニア蒸留塔の形式は通
常の棚段塔又は充填塔が使用できる。工程の酵素反応
により得られたL−アスパラギン酸アンモニウム水溶液
を、上記の方法でアンモニア除去操作することにより、
蒸留釜にはL−アスパラギン酸に対するアンモニアのモ
ル比が約1.0、すなわち、L−アスパラギン酸モノア
ンモニウムを含む残液を得ることができる。
【0039】アンモニア除去操作で蒸気として分離され
るのは、アンモニアおよび水のみであり、冷却管等を用
いてこの蒸気を液として回収すれば、アンモニア水が得
られる。この得られるアンモニウム水の濃度は、アンモ
ニア除去操作の温度、圧力および蒸気回収温度等に影響
される。上記操作後の水溶液は工程に送り、L−アス
パラギン酸結晶を回収するが、晶析工程に供給する水溶
液中のL−アスパラギン酸アンモニウム濃度は通常、5
0〜800g/l、好ましくは100〜500g/lで
ある。この濃度があまり低いと結晶回収率が低くなり、
逆にあまり高いと回収スラリーの濃度が高くなりすぎ操
作上好ましくない。
【0040】工程のアンモニア除去操作で蒸気として
分離し、冷却管等で回収されたアンモニア水は、上記の
工程あるいは工程に必要に応じて再使用されるが、
好ましくは工程に加えられ、工程のリサイクル液と
共に好ましくは脱気された後、工程へリサイクルされ
る。この場合の供給温度は、特に限定されないが、それ
ぞれの工程の反応又は操作温度を考慮して5〜80℃、
好ましくは、10〜50℃が採用できる。高温下では、
アンモニアの蒸気圧が高くなり好ましくない。また、反
応温度より低温で供給しても何ら問題ない。
【0041】(ブリード)本発明では、長期間に亘り安
定した連続運転が可能であり、効率的な新規なL−アス
パラギン酸の工業的製法を提供するために、本リサイク
ルプロセスにおける特定の箇所よりL−アスパラギン酸
アンモニウムを含む液をブリードすることに特徴を有す
る。ブリードする位置としては、工程と工程の間、
又は工程と工程の間からブリードするのが好まし
い。要するに、反応後の反応液自身、又は該反応液を脱
アンモニア処理した後の反応液が対象となる。
【0042】ブリード量は、通常、ブリード位置におけ
る反応液の容量ベースで1〜20%、好ましくは3〜1
7%である。ブリード率が低いとその効果が小さく意味
がなく、高ければ主工程と同じ程度の機器容積をブリー
ド系がもつことになり、経済的に不利なプロセスを与え
る。ブリードする方法は、このブリード率を満足する範
囲において連続的であっても、また、間歇的であっても
良い。
【0043】ブリード液からL−アスパラギン酸を結晶
として回収するのが好ましく、その方法としては、通
常、硫酸又は塩酸等の無機酸を添加して行なうのが好ま
しい。無機酸の添加量はL−アスパラギン酸アンモニウ
ムに対して当量以上である。すなわち、L−アスパラギ
ン酸の等電点2.8になるようにブリード液に無機酸を
加えるのが回収率を向上させるために望ましい。
【0044】晶析手法及び条件は上述のメインラインの
晶析と同様であり、例えば晶析温度は10〜100℃、
好ましくは、20〜80℃である。ブリード液を晶析し
て得たスラリーもメインラインと同様に固液分離し、次
いで、得られた結晶を水でリンスした後、乾燥し製品と
なる。従って、固液分離後の結晶はリンス後、メインラ
インの結晶と混合し一緒に乾燥処理してもよい。
【0045】本発明では、ブリード液の晶析の際に、晶
析系内にL−リンゴ酸を0.5g/l以上、好ましくは
2.0〜50g/l共存させるのが好ましい。要する
に、無機酸の添加によるL−アスパラギン酸アンモニウ
ムの晶析においては、析出する結晶が細かくなる傾向が
あるが、特定量のL−リンゴ酸が存在することにより、
取り扱い性の良い柱状結晶が得られるのである。
【0046】L−リンゴ酸の供給方法としては、晶析槽
にL−リンゴ酸を添加してもよいが、アスパラギン酸ア
ンモニウム水溶液に必要量添加するのが好ましい。な
お、フマル酸アンモニウムまたはマレイン酸アンモニウ
ム水溶液からアスパラギン酸アンモニウム水溶液を得る
ときに、反応条件によってL−リンゴ酸が副生すること
があるが、通常の晶析法では系内のL−リンゴ酸の共存
量は上記範囲に達することはない。しかし、この副生L
−リンゴ酸量を調節したり、また、副生L−リンゴ酸を
濃縮したりして晶析系内のL−リンゴ酸濃度を調節して
もよい。
【0047】上述のブリード液の処理により、含有され
るL−アスパラギン酸アンモニウムは損失することなく
回収でき、しかも、系内に蓄積する不純物はパージされ
る。本発明は工程〜のメインライン及び好ましくは
脱アンモニウム工程からのアンモニア回収、また好まし
くはブリード液処理工程の各工程を連結することによ
り、バランスのとれた安定した連続運転可能な工業的な
有利なプロセスを提供することができ、かつ、高純度の
L−アスパラギン酸の製造を可能にするものである。
【0048】また、本発明は上記〜の各工程の処理
操作を逐次実施するが、〜の各工程は回分法でも、
連続法でもよい。例えば、全工程を回分法で実施する場
合でも、本発明によれば、繰り返し反応を行なっても、
各工程とも同一処理量で同一条件にて操作することが可
能である。もちろん、全工程の連続法で実施する場合に
は、バランスのとれた安定したプロセスとなるのであ
る。
【0049】
【実施例】本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記述に
限定されるものではない。尚、L−アスパラギン酸(以
下、ASPと略記する)、マレイン酸(以下、MAと略
記する)およびフマル酸(以下、FAと略記する)の分
析は高速液体クロマトグラフィーにより、ASP結晶中
のアンモニア(以下、NH3 と略記する)含量の分析は
イオンクロマトグラフィーにより定量した。
【0050】[参考例]酵素の調整 (1)マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物の培
養 肉エキス:10g、ペプトン:10g、NaCl:5
g、マレイン酸10g及び蒸留水:1000ml(苛性
ソーダでpH7.0に調整)の培地100mlを500
ml容の三角フラスコに分注し、120℃、20分間滅
菌処理したものに、アルカリゲネス フェカリス IF
O 12669菌株を植菌し、30℃にて24時間振と
う培養した。また、上記と同様の培地1000mlを3
L容のジャーファーメンターに入れ120℃、20分間
滅菌処理したものに、上記振とう培養液30mlを接種
し、これを30℃にて24時間培養した。得られた培養
液を遠心分離(8000rpm、15分、4℃)して集
菌した菌体を、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で
1回洗浄し、以下の反応に供試した。
【0051】(2)フマル酸よりアスパラギン酸生成能
を有する微生物の培養 尿素:4g、(NH4 2 SO4 :14g、KH2 PO
4 :0.5g、K2 HPO4 :0.5g、MgSO4
7H2 O:0.5、FeSO4 ・7H2 O:20mg、
MnSO4 ・nH2 O:20mg、D−ビオチン:20
0μg、塩酸チアミン:100μg、酵母エキス1g、
カザミノ酸1g及び蒸留水:1000ml(pH6.
6)の培地100mlを500ml容の三角フラスコに
分注し、120℃、15分間滅菌処理したものに滅菌済
み50%グルコース水溶液4mlを加え、プレビバクテ
リウム フラバム AB−41菌株(FERM BP−
1498)を植菌し、33℃にて24時間振とう培養し
た。
【0052】また、上記と同様の培地1000mlを2
L容のジャーファーメンターに入れ、120℃、20分
間滅菌処理したものに、上記振とう培養液20mlと滅
菌済み50%グルコース水溶液200mlを加え、これ
を33℃にて24時間培養した。得られた培養液を遠心
分離(8000rpm、15分、4℃)して集菌した。
本菌体は、夾雑するリンゴ酸副生活性を以下の方法で除
いた。すなわち、アスパラギン酸:100g、アンモニ
ア:180ml、塩化カルシウム:2.2g、Twee
n20:0.8g(水で全量1Lとする)よりなる組成
液に集菌体を懸濁し、45℃、3時間振とうし、遠心分
離(8000rpm、15分、4℃)して菌体を回収し
た。
【0053】[実施例1]酵素反応 (1)予め窒素ガスを30分吹き込みながら攪拌し、窒
素置換した反応液<マレイン酸175g、25%アンモ
ニア水257ml(水で全量を1000mlにする)>
を3L容のジャーファーメンターに移し、回収した両菌
体(イソメラーゼ菌20g、アスパルターゼ菌120
g)を添加し、窒素ガスを0.02vvmの速度で供給
して槽内を窒素ガスでシールし、反応中、溶存酸素濃度
を0.5ppm以下に維持した。30℃で48時間反応
させたところ、反応液中にL−アスパラギン酸は、20
0g/l得られた。
【0054】[実施例2]リサイクル操作 (A)実施例1(1)と同様な方法で得られた酵素反応
液をDOの低下がないように窒素ガスでシールしたま
ま、限外ろ過膜(旭化成社製−ACV−3050)を用
い、菌体を除去した。菌体の濃縮液は、窒素ガスシール
の容器に移し、4℃で冷蔵保存した。菌体を除去した酵
素反応液は、996mlで得られ、ASPが198g/
l、NH3 が32.3g/lの組成(NH3 /ASPモ
ル比は1.27)であった。
【0055】(B)上記(A)で得られた酵素反応液よ
り100ml(ブリード率として0.1)をのぞき、残
りを1000mlジャケット付きセパラブルフラスコ内
でジャケットに温水を流すことで60℃に保温し、攪拌
しながらMA140g(MA/ASPモル比は0.9
0)を添加し、晶析した。MAの添加後、攪拌を続けな
がら30分間60℃で保温した後、1時間かけ、20℃
まで冷却し、さらに30分間保温した。 (C)得られたスラリーは、ヌッチェで固液分離し、さ
らに蒸留水400gでリンスし、減圧下、約60℃で乾
燥したところ、139.0gの白色固体を得た。
【0056】得られた固体は、ASPが99.1重量%
で、MAアンモニウム0.5重量%、FAアンモニウム
0.1重量%を含んでいた。ASPの回収率は、77.
9%であった。一方、固液分離で得られた母液は、AS
P34.6g/l、MA122.8g/l、NH3
5.6g/lの組成であり、pHは約4.5、容量11
23mlであった。なお、ここで得られたMAアンモニ
ウムはそのNH3 バランスから見て実質的全てがモノア
ンモニウム塩であった。
【0057】(D)上記(C)で得られた母液1123
mlを、80℃、減圧(300〜400mmHg)下、
水を飛ばし濃縮した。得られた濃縮液に25%NH3
を128ml、および蒸留水を添加して、容量約1Lの
液をメイクアップしたところ、ASP38.9g/l、
FA1.0g/l、MA139.7g/l、NH3
7.7g/lの組成であった。
【0058】(E)上記(D)で得られた反応液を、上
記(A)で冷蔵保存した菌体を用い、実施例1(1)と
同様の方法にて酵素反応したところ、30℃、48時間
でASP199g/lであった。 (F)さらに上記と同様の操作を条件を変えずに3回繰
り返した。結果を第1表に示す。
【0059】
【表1】
【0060】[実施例3]ブリード回収 実施例2(B)で得られたブリード液を100mlジャ
ケット付きセパラブルフラスコ内でジャケットに温水を
流すことで60℃に保温し、攪拌しながら98%濃硫酸
をpHが約2.8になるまで添加し、晶析した。濃硫酸
の添加後、攪拌を続けながら30分間60℃で保温した
後、1時間かけ、20℃まで冷却し、さらに30分間保
温した。得られたスラリーは、ヌッチェで固液分離し、
さらに蒸留水50gをリンスし、減圧下、約60℃で乾
燥した。実施例2に対応して上記方法にてブリード回収
を行い、第2表の結果を得た。
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、マレイン酸及び/又は
無水マレイン酸を原料とし酵素法によりL−アスパラギ
ン酸を製造するに当たり、原料を有効に利用し、且つ、
特定位置でブリードするプロセスを採用することによ
り、工業的に安定した連続プロセスを組むことができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:13) (C12P 7/46 C12R 1:05) (C12P 39/00 C12R 1:13 1:05) (72)発明者 三浦 深雪 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程〜を実施してL−アスパラ
    ギン酸を製造方法する方法において、工程と工程と
    の間で反応液の一部をブリードすることを特徴とするL
    −アスパラギン酸の製造方法。 工程:マレイン酸及び/又は無水マレイン酸をイソメ
    ラーゼ又はこれを産生する微生物の存在下異性化させる
    反応、及び、前記異性化反応物の少なくとも一部及びア
    ンモニアをアスパルターゼ又はこれを産生する微生物の
    存在下水溶媒中で反応させてL−アスパラギン酸アンモ
    ニウムを生成させる反応、を順次又は同時に実施する工
    程 工程:工程で得た溶液にマレイン酸及び/又は無水
    マレイン酸を添加してL−アスパラギン酸結晶を析出さ
    せる工程 工程:工程で得たL−アスパラギン酸結晶を回収
    し、母液を工程にリサイクルする工程
  2. 【請求項2】 ブリードする量が、1〜20wt%であ
    ることを特徴とする請求項1の記載の方法。
  3. 【請求項3】 ブリードする量が、3〜17wt%であ
    ることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 ブリード液に鉱酸を加えてL−アスパラ
    ギン酸を析出させ回収することを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 工程と工程との間に下記工程を加
    え、工程と工程との間でブリードすることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。 工程:工程で得られた反応液からアンモニアを除去
    して、L−アスパラギン酸モノアンモニウムを実質的に
    含有する溶液とする脱アンモニア工程。
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