JPH11217359A - L−アスパラギン酸の晶析方法 - Google Patents

L−アスパラギン酸の晶析方法

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JPH11217359A
JPH11217359A JP33230798A JP33230798A JPH11217359A JP H11217359 A JPH11217359 A JP H11217359A JP 33230798 A JP33230798 A JP 33230798A JP 33230798 A JP33230798 A JP 33230798A JP H11217359 A JPH11217359 A JP H11217359A
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acid
aspartic acid
ammonium
aspartate
crystallization
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JP33230798A
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Yoshiaki Mori
義昭 森
Naoki Kato
尚樹 加藤
Junko Eiraku
純子 永楽
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンモニウム等の不純物の取りこみの少ない
L−アスパラギン酸の晶析法を提供する。 【解決手段】 L−アスパラギン酸塩水溶液から酸析剤
存在下にL−アスパラギン酸を晶析する方法において、
L−アスパラギン酸析出時の過飽和度の指標ΔpHを
0.4以下にて行なうことを特徴とするL−アスパラギ
ン酸の晶析方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、L−アスパラギン
酸塩水溶液から酸析剤存在下にL−アスパラギン酸を晶
析する方法において、高純度のL−アスパラギン酸を効
率的に晶析すると共に、再現性よく得る方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】L−アスパラギン酸は医薬、食品添加物
として需要が増加しているばかりか、各種キレート剤、
各種ポリマー、界面活性剤等の機能化学品および医農薬
中間体の原料としても有用である。従来、L−アスパラ
ギン酸アンモニウム水溶液からL−アスパラギン酸を晶
析、単離する方法としては、硫酸、塩酸、硝酸など無機
の強酸をアンモニウムイオンに対して当量加えて晶析、
単離する方法が知られている。
【0003】また酸素処理後のL−アスパラギン酸アン
モニウムをフマル酸により晶析するとともに副生するフ
マル酸アンモニウムを反応原料として再使用する方法
(特開平8−33492、同8−33493、同6−2
34713各号公報)、L−アスパラギン酸アンモニウ
ム水溶液をマレイン酸により晶析するとともに副生する
マレイン酸アンモニウムを異性化した後、反応原料とし
て再使用する方法(US4560653、特開平8−3
3491公報)が提案されている。
【0004】しかしこれらの方法は、いずれも得られる
L−アスパラギン酸製品中には酸析剤として用いた酸の
塩を多く含み、高純度のL−アスパラギン酸製品を得る
ためには、晶析操作に引き続いて大量のリンスや再結晶
等の操作が必要であった。またL−アスパラギン酸製品
品質は、晶析時のL−アスパラギン酸、酸析剤の量論だ
けでなく、撹拌条件等により影響を受け、高純度のL−
アスパラギン酸製品を再現性よく得ること、特にスケー
ルアップ等をする場合に異なる装置間で一定の品質を保
持することは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、L−アスパ
ラギン酸塩水溶液から酸析剤存在下に高純度のL−アス
パラギン酸を効率よく晶析する方法を提供すると共に、
高純度のL−アスパラギン酸製品を再現性よく得ること
ができる簡便な晶析方法を提供しようとするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、L−アスパラギン酸塩水溶液から酸析剤存在下にL
−アスパラギン酸を晶析する方法において、L−アスパ
ラギン酸析出時の過飽和度の指標ΔpHを0.4以下と
することを特徴とするL−アスパラギン酸の晶析方法に
関するものである。本発明の方法によれば、効率的に高
純度のL−アスパラギン酸製品を得ることができる。ま
たスケールアップ等において異なる装置を用いた場合で
も高純度のL−アスパラギン酸製品を再現性よく得るこ
とができる。
【0007】
【発明の実施の形態】(L−アスパラギン酸塩水溶液)
本発明に用いるL−アスパラギン酸塩としては、通常L
−アスパラギン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム
塩であり、好ましくは、アンモニウム塩である。アルカ
リ金属としては、Na、K等である。
【0008】L−アスパラギン酸塩水溶液は、フマル酸
アンモニウム水溶液またはマレイン酸アンモニウム水溶
液から酵素反応により得られたL−アスパラギン酸アン
モニウム水溶液をそのまま用いても、また得られたL−
アスパラギン酸アンモニウム水溶液にアルカリ金属水酸
化物を加え、アンモニアを除去して得られるL−アスパ
ラギン酸アルカリ金属塩水溶液を用いてもよいが、その
製法は特に限定されるものではない。
【0009】フマル酸アンモニウム水溶液からL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液を酵素反応により得る方
法としては、アスパルターゼあるいはアスパルターゼを
産生する微生物で酵素処理する方法が広く知られている
が、種々の処理方法のうち特に限定されるものではな
い。フマル酸アンモニウム水溶液は、化学合成で得られ
たフマル酸にアンモニア水を加えて調整したものを用い
てもよいし、またL−アスパラギン酸アンモニウム水溶
液からフマル酸を添加することによりL−アスパラギン
酸を晶析、回収する際、副生するフマル酸アンモニウム
水溶液を用いてもよい。
【0010】一方マレイン酸アンモニウム水溶液からL
−アスパラギン酸アンモニウム水溶液を酵素反応により
得る方法としては、二種類の酵素すなわちマレイン酸イ
ソメラーゼとアスパルターゼもしくはそれらを産生する
微生物で酵素処理する方法があるが、種々の処理のうち
特に限定されるものではない。マレイン酸アンモニウム
水溶液は、化学合成で得られたマレイン酸にアンモニア
水を加えて調整したものを用いてもよいし、またL−ア
スパラギン酸アンモニウム水溶液からマレイン酸を添加
することによりL−アスパラギン酸を晶析、回収する際
副生するマレイン酸アンモニウム水溶液を用いてもよ
い。
【0011】本発明に用いるL−アスパラギン酸塩水溶
液は、その調整方法により異なるが、通常L−アスパラ
ギン酸、L−アスパラギン酸モノ塩及びL−アスパラギ
ン酸ジ塩の混合物からなり、例えばアンモニウム塩の場
合は、アンモニウムイオンとL−アスパラギン酸塩のモ
ル比は、通常0.5〜2.0の範囲で、好ましくは1.
0〜1.6の範囲である。またL−アスパラギン酸塩濃
度は50〜800g/L、好ましくは100〜500g
/Lである。濃度が低すぎると晶析時のL−アスパラギ
ン酸回収率が低く、また逆に高すぎると晶析時のスラリ
ー濃度が上がり操作に支障をきたす。
【0012】(酸析剤)本発明の晶析では、L−アスパ
ラギン酸塩と酸析剤から、L−アスパラギン酸と酸析剤
の酸強度の差を利用し、塩の交換を行い、生成したL−
アスパラギン酸を固体として、また副生する酸析剤の塩
を水溶液として回収する。本発明で用いる酸析剤として
は、L−アスパラギン酸より酸強度の強い酸であれば、
硫酸、塩酸、硝酸などの無機酸でも、有機酸でも良く、
特に限定されない。効率的に晶析を行なうためには、酸
強度が強い方が好ましい。
【0013】酸析剤の使用量は、原料となるL−アスパ
ラギン酸塩の種類、酸析剤の種類にもよるが、L−アス
パラギン酸塩に対して2倍当量以下で、かつ添加した酸
析剤およびその塩の濃度が飽和溶解度以下となる範囲が
適当である。例えば酸析剤が硫酸、塩酸のような強酸で
あり、酸析剤およびその塩の飽和溶解度が大きい場合
は、添加する酸析剤の量はL−アスパラギン酸塩中のカ
ルボン酸塩部分に対し当量でよい。この様なケースで
は、塩の交換は、ほぼ当量で進行するため、当量以下の
酸析剤を加えても無意味である。また、アンモニア損失
を低減するために晶析スラリーのろ液をリサイクル使用
するのは無機酸塩が蓄積するため困難で、廃液として処
理する必要がある。一方、酸析剤としてマレイン酸また
はフマル酸を用いると、塩交換で生じるそれぞれのアン
モニウム塩がL−アスパラギン酸の製造原料としてリサ
イクル使用できるので工業的には好ましい。
【0014】酸析剤がマレイン酸の場合は、マレイン酸
及びそのアンモニウム塩の飽和溶解度が大きいので、添
加する酸析剤の量に特に制限はなく、晶析の効率から考
えると、L−アスパラギン酸アンモニウム塩のカルボン
酸塩部分に対して当量以上添加するのが好ましい。この
マレイン酸の使用量が少なすぎると、L−アスパラギン
酸収率が低すぎ、また多すぎても、L−アスパラギン酸
収率に差が見られず無意味である。リサイクルプロセス
の場合には、塩交換で生じるマレイン酸アンモニウム塩
の反応系内の濃度がリサイクル回数が増えるに従い高く
なり、安定に運転できなくなるため、L−アスパラギン
酸アンモニウム塩に対し、0.5〜1.0倍モル、望ま
しくは、0.7〜0.9倍モルが好ましい。
【0015】フマル酸の様に酸析剤およびそのアンモニ
ウム塩の飽和溶解度が小さい場合は、添加した酸析剤お
よびそのアンモニウム塩の濃度が飽和溶解度以下となる
範囲、例えばフマル酸においては、フマル酸の全使用量
はL−アスパラギン酸アンモニウム塩に対し0.1倍モ
ル以上0.85倍モル未満、好ましくは0.1倍モル以
上0.8倍モル未満、更に好ましくは0.2倍モル以上
0.8倍モル未満、特に好ましくは0.4倍モル以上
0.8倍モル未満となる。フマル酸の使用量が少なすぎ
ると、L−アスパラギン酸回収率が低すぎ、また使用量
が多すぎると、フマル酸およびそのアンモニウム塩の飽
和溶解度が低いため、飽和溶解度以上のフマル酸および
そのアンモニウム塩はL−アスパラギン酸と共に沈澱
し、得られるL−アスパラギン酸の純度を低下させる。
また、フマル酸は、フマル酸およびそのアンモニウム塩
の飽和溶解度が小さいものの、酸強度がマレイン酸より
も大きく、リサイクルプロセスの構築においては、より
好ましい酸析剤である。フマル酸は、熱安定性の点から
もマレイン酸より好ましい。
【0016】酸析剤を添加する温度は、0〜90℃、好
ましくは20〜80℃で行なう。低温下でL−アスパラ
ギン酸の晶析を行なうと、得られる結晶が細かくなりす
ぎ固液分離時の残液率が高く、リンスで充分な効果が得
られず、母液が固体に付着残留し、L−アスパラギン酸
純度の低下を招く。一方あまり高温下で晶析を行っても
得られるL−アスパラギン酸結晶形状、サイズに大差が
なく意味がない。
【0017】(晶析操作)L−アスパラギン酸塩水溶液
のpHは、組成によって異なるが、中性またはアルカリ
性であり、酸析剤を添加していくと、pHは下がってい
く。ところでL−アスパラギン酸の飽和溶解度は、等電
点(pI=2.8(25℃))で極小値をもち、pH>
pIの場合には、pHの低下に伴い低下する。従って酸
析剤の添加により、pHが下がるに従い、水溶液中のL
−アスパラギン酸はやがて飽和状態に達する。
【0018】しかしL−アスパラギン酸が析出を始める
のは、一般に水溶液中のL−アスパラギン酸濃度が飽和
溶解度に達した時点ではなく、それよりもさらに低いp
Hの時点、すなわち過飽和状態からである。本発明で
は、晶析操作において、pHを指標に、L−アスパラギ
ン酸析出時の過飽和度(ΔpH)を所定値以下とするこ
とにより、高純度のL−アスパラギン酸を効率的に得る
ものである。
【0019】本発明におけるΔpHとは、過飽和度の指
標であり、酸析剤の添加により、L−アスパラギン酸の
析出が開始又は進行している状態のpHとその後平衡状
態に至り安定した状態のpHとの差を表すものである。
ΔpHはL−アスパラギン酸の析出が開始又は進行して
いる状態のL−アスパラギン酸濃度とその後平衡状態に
至り安定したときのL−アスパラギン酸濃度の差ΔCと
相関関係がある。ΔCとΔpHの関係は、L−アスパラ
ギン酸塩組成、酸析剤種とその濃度、温度等晶析条件に
より異なるが、ΔpHを0.4以下としたとき、ΔCは
通常50g/L以下である。しかしΔCを指標にするた
めには、L−アスパラギン酸濃度の液体のクロマトグラ
フィー等による測定が必要でありpHの測定に比べ操作
がより煩雑であるので、ΔpHを指標とする。本晶析方
法では、回分晶析操作、連続晶析操作に関わらず、L−
アスパラギン酸析出時の過飽和度の指標ΔpHを0.4
以下とすることにより、アンモニウム塩等の不純物の取
込が少ない高純度のL−アスパラギン酸を晶析、回収す
ることができる。
【0020】ΔpHが大きすぎるとL−アスパラギン酸
析出過程において多量の不純物を取り込み、L−アスパ
ラギン酸製品の純度低下を招くので好ましくない。ここ
でいう不純物としては、添加する酸析剤とそのアンモニ
ウム塩が主であり、L−アスパラギン酸を各種キレート
剤、各種ポリマー、界面活性剤等の機能化学品および医
農薬中間体の原料として使用する際に、これら不純物、
特にアンモニウム塩含量がより少ない方が好ましい。ア
ンモニウム塩含量として好ましいのは、L−アスパラギ
ン酸に対してアンモニウム塩のアンモニウムイオン換算
量が600ppm以下、より好ましくは、500ppm
以下、さらに好ましくは400ppm以下、特に好まし
くは200ppm以下である。晶析操作は、一般に、回
分晶析操作と連続晶析操作があるが、特に限定するもの
ではない。以下両操作方法について述べる。回分晶析操
作では、通常、L−アスパラギン酸塩水溶液に酸析剤の
全量を一括添加するのではなく、間欠的または連続的に
加えていく。
【0021】L−アスパラギン酸塩水溶液に酸析剤を添
加すると、L−アスパラギン酸塩水溶液のpHは下が
り、やがてL−アスパラギン酸は過飽和状態に至る。過
飽和状態からL−アスパラギン酸の析出が始まるが、酸
析剤の添加を停止すると、L−アスパラギン酸の析出進
行に伴いpHは逆に上昇し、やがて平衡状態に達する。
同様に既にL−アスパラギン酸が析出したL−アスパラ
ギン酸スラリーに酸析剤を添加した場合でも、時間の経
過と共に水溶液中に溶解しているL−アスパラギン酸の
析出が進行し、酸析剤の添加を止めればL−アスパラギ
ン酸の析出とともにpHは徐々に上昇し、やがて平衡状
態に至り安定する。
【0022】回分晶析における本発明の方法では、L−
アスパラギン酸の結晶の析出開始時のみならず、析出が
進行している状態で、常にΔpHを0.4以下となる様
に行なう。特に酸析剤がフマル酸の場合はΔpH0.2
以下が好ましく、酸析剤がマレイン酸の場合はΔpH
0.3以下が好ましい。ただし結晶の析出開始時のΔp
Hが特に重要である。特に好ましいΔpHとしては、Δ
pH0.08以下である。
【0023】析出開始時および析出が進行している中で
常にΔpHを0.4以下の範囲で行なうには、L−アス
パラギン酸の析出開始時のpHを正確にコントロールす
ることが重要である。さらにL−アスパラギン酸の析出
が進行している状態では、酸析剤を間欠的または連続的
に添加するのが好ましい。通常、酸析剤の添加は30分
以上かけて少量ずつ添加するのが好ましい。酸析剤を一
括添加した場合には、L−アスパラギン酸析出時のΔp
Hが大きくなってしまい好ましくない。
【0024】L−アスパラギン酸の析出開始時のΔpH
を小さく保つには、析出を始めさせたいpHにおいて、
L−アスパラギン酸結晶を種晶として添加する方法が望
ましい。種晶として添加するL−アスパラギン酸結晶
は、どのような製法によるL−アスパラギン酸結晶でも
よい。また添加する種晶の量は、晶析回収されるL−ア
スパラギン酸結晶に対して0.01〜30重量%、好ま
しくは0.1〜5重量%である。種晶が少なすぎると、
L−アスパラギン酸の晶析速度が遅く、種晶の効果が充
分でなく、過飽和度のコントロールが難しくなる。逆に
多すぎても晶析速度には大差が見られず無意味である。
【0025】連続晶析操作では、通常アスパラギン酸塩
水溶液と酸析剤を晶析槽に連続供給し、塩交換を連続的
に行い、L−アスパラギン酸結晶と、副生する酸析剤の
塩を含む水溶液からなるスラリーを連続的に得るため、
反応器内のpHはほぼ一定に保たれている。しかしなが
ら、この場合でも、晶析槽内から抜き出したスラリーを
温度一定下で十分時間を経過させると、L−アスパラギ
ン酸析出が進行すると共にpHは徐々に上昇して、やが
て平衡状態に達する。すなわち、反応器内のpHとこの
平衡状態でのpHとの差がΔpHである。
【0026】連続晶析操作では、滞留時間等の操作条件
にもよるが、一般に回分晶析に比べると小さい過飽和度
で晶析操作が可能であり、効率よく、高純度のL−アス
パラギン酸を得ることができ、より望ましい操作であ
る。上記晶析槽での滞留時間は、通常、0.1〜10時
間、好ましくは0.5〜5時間である。平均滞留時間が
短すぎるとL−アスパラギン酸の析出が十分でなく、収
率が低くなり、逆に長すぎると収率・品質等に差は見ら
れず、無意味に晶析槽が大きくなるだけである。
【0027】また、連続晶析操作でも、晶析槽を複数用
い、酸析剤の添加を多段に分けて行なうことにより、よ
り過飽和度の小さい操作となり望ましい。尚、晶析中の
pHの測定方法としては、特に制限はなく、pHメータ
ーの電極を晶析槽に設置して経時変化を測定することが
挙げられる。上記晶析方法において、従来の方法とは異
なる高純度のL−アスパラギン酸結晶が得られる理由
は、L−アスパラギン酸析出過程における過飽和度の制
御により、L−アスパラギン酸の析出速度が適当に制御
され、結晶析出過程における不純物の取込の小さいL−
アスパラギン酸結晶を得ることが可能となるためと考え
られる。
【0028】酸析剤をすべて添加し、スラリーが平衡状
態に達し、pHが安定したところで、必要に応じてスラ
リーをさらに冷却することにより、L−アスパラギン酸
回収率を上げることもできる。その際の冷却温度は0〜
60℃、好ましくは10〜50℃である。
【0029】(固液分離)晶析で得られたスラリーは、
固液分離してL−アスパラギン酸ウエットケーキおよび
濾液を回収する。分離操作は、ヌッチェ、遠心分離等の
常法により行なう。操作は通常、0〜80℃、好ましく
は10〜50℃で行なう。温度が高すぎるとL−アスパ
ラギン酸の飽和溶解度が高くなるため、L−アスパラギ
ン酸回収率が低下してしまう。一方低すぎると、スラリ
ーの粘性が高く、取扱が困難なだけでなく、酸析剤およ
び/またはその塩がL−アスパラギン酸とともに回収さ
れる可能性があり、好ましくない。
【0030】さらに高純度のL−アスパラギン酸製品を
得るには固液分離で得られたウエットケーキを水でリン
スするのが好ましい。リンスに用いる水の量は、特に限
定はしないが、ウエットケーキに対して10重量倍以下
であり、好ましくは、5重量倍以下である。リンス量が
少ないと洗浄効果が充分でなく、逆に多すぎても洗浄効
果に差が見られないばかりか、L−アスパラギン酸ロス
につながる。リンス水の温度についても特に限定するも
のではない。
【0031】(乾燥)固液分離で得られたL−アスパラ
ギン酸ウエットケーキは、乾燥し、L−アスパラギン酸
製品を得ることができる。乾燥方法は、特に限定される
ものではなく、温風乾燥、流動乾燥等の常法により行な
う。また乾燥は常圧で行っても、減圧で行っても良く、
その温度は、通常20〜150℃で行なう。
【0032】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明する。尚、L−アスパラギン酸、マレイン酸およびフ
マル酸の分析は、高速液体クロマトグラフィーにより分
析した。製品中のアンモニウム塩含量は、アンモニウム
イオン(以下NH4 + と略記する。)として、硫酸塩含
量は硫酸イオンとして、イオンクロマトグラフィーによ
り定量した。またpHは、堀場製作所製pH一本電極お
よびpHメーターを用い測定した。
【0033】[参考例1] (L−アスパラギン酸アンモニウム水溶液の調整)通常
の培養方法により得たアスパルターゼ活性を有するブレ
ビバクテリウム・フラバム MJ−233−AB−41
(FERM BP−1498)の限外濾過膜(旭化成社
製−ACV−3050)による濃縮菌体40kg(湿菌
体50重量%)を、原料(フマル酸35kgおよび25
%アンモニア水47kgに、水を加えて全量を200L
とした水溶液;pH9)に添加して、45℃で24時間
反応させた。反応終了後、限界濾過膜により菌体を除去
し、得られた濾液を分析したところ、L−アスパラギン
酸(以下、ASPと略す)が200g/L、フマル酸が
0.5g/L、NH4 + が35.2g/L(NH4 +
ASPモル比は1.30)、pHは9(25℃)であっ
た。
【0034】[実施例1]参考例1で調整したL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液200mLを、邪魔板、
攪拌機、温度計、pH電極を予め設置した容量300m
Lの外部ジャケット付きセパラブルフラスコ内に仕込
み、ジャケットに温水を流し、攪拌下、内温を60℃に
保温した。温度が60℃でL−アスパラギン酸アンモニ
ウム水溶液のpHは8.48であった。
【0035】L−アスパラギン酸アンモニウム水溶液に
試薬特級フマル酸の粉末を徐々に添加していくとpHは
下がっていき、フマル酸10.5g(フマル酸/L−ア
スパラギン酸アンモニウムのASP換算値=0.30倍
モル)を添加したところでpHが4.65となった。こ
こで、食品添加物用ASP0.5gを種晶として添加
し、ASPの晶析を開始した。
【0036】ここでASPは徐々に析出し、それに伴
い、pHが徐々に増加した。約30分間放置すると、p
Hは4.75で安定した(ΔpH=0.10)。さらに
フマル酸を、ΔpH≦0.10となるように徐々に添加
していき、最終的にトータルとしてフマル酸20.9g
(フマル酸/L−アスパラギン酸アンモニウムのASP
換算値=0.6倍モル)を添加した。その後約30分間
放置したところpHは4.60で安定した。
【0037】スラリーはさらに一時間かけ30℃まで冷
却し、さらに30分間30℃で保温した。最終的に得ら
れたスラリーは、ヌッチェで固液分離し、さらに蒸留水
100mLでリンス、減圧下、約60℃で乾燥したとこ
ろ、24.0gの白色固体を得た。得られた固体は、A
SPが99.7重量%、フマル酸0.26重量%、NH
4 +0.04重量%を含んでいた。L−アスパラギン酸回
収率は、60%であった。
【0038】[実施例2]参考例1で調整したL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液200mLを、邪魔板、
撹拌機、温度計、pH電極を予め設置した容量300m
Lの外部ジャケット付きセパラブルフラスコ内に仕込
み、ジャケットに温水を流し、撹拌下、内温を60℃に
保温した。
【0039】温度が60℃でL−アスパラギン酸アンモ
ニウム水溶液のpHは8.48であった。L−アスパラ
ギン酸アンモニウム水溶液に試薬特級フマル酸の粉末を
徐々に添加していくとpHは下がっていき、フマル酸1
4.0g(フマル酸/L−アスパラギン酸アンモニウム
のASP換算値=0.40倍モル)を添加したところで
pHが4.45となった。ここで、食品添加物用ASP
0.5gを種晶として添加し、ASPの晶析を開始し
た。
【0040】ここでASPは徐々に析出し、それに伴
い、pHが徐々に増加した。約30分間放置すると、p
Hは4.70で安定した(ΔpH=0.25)。さらに
フマル酸を、ΔpH≦0.25となるように徐々に添加
していき、最終的にトータルとしてフマル酸20.9g
(フマル酸/L−アスパラギン酸アンモニウムのASP
換算値=0.6倍モル)を添加した。その後約30分間
放置したところ、pHは4.60で安定した。
【0041】スラリーはさらに一時間かけ30℃まで冷
却し、さらに30分間30℃で保温した。最終的に得ら
れたスラリーは、ヌッチェで固液分離し、さらに蒸留水
100mLでリンス、減圧下、約60℃で乾燥したとこ
ろ、23.5gの白色固体を得た。得られた固体は、A
SPが99.6重量%、フマル酸0.34重量%、NH
4 + 0.05重量%を含んでいた。ASP回収率は、5
9%であった。
【0042】[実施例3]参考例1で調整したASPア
ンモニウム水溶液200mLを、邪魔板、撹拌機、温度
計、pH電極を予め設置した容量300mLの外部ジャ
ケット付きセパラブルフラスコ内に仕込み、ジャケット
に温水を流し、撹拌下、内温を60℃に保温した。温度
が60℃でL−アスパラギン酸アンモニウム水溶液のp
Hは8.48であった。
【0043】L−アスパラギン酸アンモニウム水溶液に
試薬特級フマル酸の粉末を徐々に添加していくとpHは
下がっていき、フマル酸15.7g(フマル酸/L−ア
スパラギン酸アンモニウムのASP換算値=0.45倍
モル)を添加したところでpHが4.30となった。こ
こで、食品添加物用ASP0.5gを種晶として添加
し、ASPの晶析を開始した。
【0044】ここでASPは徐々に析出し、それに伴
い、pHが徐々に増加した。約30分間放置すると、p
Hは4.65で安定した(ΔpH=0.35)。さらに
フマル酸を、ΔpH≦0.35となるように徐々に添加
していき、最終的にトータルとしてフマル酸20.9g
(フマル酸/L−アスパラギン酸アンモニウムのASP
換算値=0.6倍モル)を添加した。その後約30分間
放置したところ、pHは4.60で安定した。
【0045】スラリーはさらに一時間かけ30℃まで冷
却し、さらに30分間30℃で保温した。最終的に得ら
れたスラリーは、ヌッチェで固液分離し、さらに蒸留水
100mLでリンス、減圧下、約60℃で乾燥したとこ
ろ、23.9gの白色固体を得た。得られた固体は、A
SPが99.5重量%、フマル酸0.38重量%、NH
4 + 0.06重量%を含んでいた。ASP回収率は、6
0%であった。
【0046】[比較例1]参考例1で調整したL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液200mLを、邪魔板、
撹拌機、温度計、pH電極を予め設置した容量300m
Lの外部ジャケット付きセパラブルフラスコ内に仕込
み、ジャケットに温水を流し、撹拌下、内温を60℃に
保温した。
【0047】温度が60℃でL−アスパラギン酸アンモ
ニウム水溶液のpHは8.48であった。L−アスパラ
ギン酸アンモニウム水溶液に試薬特級フマル酸の粉末を
徐々に添加していくとpHは下がっていき、フマル酸1
7.5g(フマル酸/L−アスパラギン酸アンモニウム
のASP換算値=0.50倍モル)を添加したところで
pHが4.20となった。
【0048】ここで、食品添加物用ASP0.5gを種
晶として添加し、ASPの晶析を開始した。ここでAS
Pは徐々に析出し、それに伴い、pHが徐々に増加し
た。約30分間放置すると、pHは4.65で安定した
(ΔpH=0.45)。さらにフマル酸を、ΔpH≦
0.45となるように徐々に添加していき、最終的にト
ータルとしてフマル酸20.9g(フマル酸/L−アス
パラギン酸アンモニウムのASP換算値=0.6倍モ
ル)を添加した。その後約30分間放置したところ、p
Hは4.60で安定した。
【0049】スラリーはさらに一時間かけ30℃まで冷
却し、さらに30分間30℃で保温した。最終的に得ら
れたスラリーは、ヌッチェで固液分離し、さらに蒸留水
100mLでリンス、減圧下、約60℃で乾燥したとこ
ろ、24.5gの白色固体を得た。得られた固体は、A
SPが99.2重量%、フマル酸0.65重量%、NH
4 + 0.10重量%を含んでいた。ASP回収率は、6
1%であった。
【0050】[実施例4]参考例1で調整したL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液30Lを、邪魔板、撹拌
機、温度計、pH電極を予め設置した容量40Lの外部
ジャケット付きセパラブルフラスコ内に仕込み、ジャケ
ットに温水を流し、撹拌下、内温を60℃に保温した。
温度が60℃でL−アスパラギン酸アンモニウム水溶液
のpHは8.48であった。
【0051】L−アスパラギン酸アンモニウム水溶液に
食品添加物用フマル酸の粉末を徐々に添加していくとp
Hは下がっていき、フマル酸2.09kg(フマル酸/
L−アスパラギン酸アンモニウムのASP換算値=0.
40倍モル)を添加したところでpHが4.45となっ
た。ここで、食品添加物用ASP75gを種晶として添
加し、ASPの晶析を開始した。
【0052】ここでASPは徐々に析出し、それに伴
い、pHが徐々に増加した。約30分間放置すると、p
Hは4.70で安定した(ΔpH=0.25)。さらに
フマル酸を、ΔpH≦0.25となるように徐々に添加
していき、最終的にトータルとしてフマル酸3.14k
g(フマル酸/L−アスパラギン酸アンモニウムのAS
P換算値=0.6倍モル)を添加した。その後約30分
間放置したところ、pHは4.60で安定した。
【0053】スラリーはさらに一時間かけ30℃まで冷
却し、さらに30分間30℃で保温した。最終的に得ら
れたスラリーは、遠心分離器で固液分離し、さらに蒸留
水15Lでリンス、流動乾燥機で乾燥したところ、3.
30kgの白色固体を得た。得られた固体は、ASPが
99.5重量%、フマル酸0.36重量%、NH
4 + 0.06重量%を含んでいた。ASP回収率は、5
5%であった。
【0054】[実施例5]参考例1で調整したL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液を、撹拌機、邪魔板およ
びドラフトチューブを持つ5Lジャケット付きセパラブ
ルフラスコ(フラスコ1)に3L仕込み、ジャケットに
温水を流し、撹拌下、内温を80℃に保温した。
【0055】液がフラスコ1内を循環するように撹拌し
ながら、L−アスパラギン酸アンモニウム水溶液を30
00mL/hrで、また粉末フマル酸を314g/hr
で連続添加するとともに、フラスコ1内液量が3Lとな
るよう、フラスコ1からスラリーポンプを用い、連続的
にスラリーを抜き出した。抜き出したスラリーは、予め
3Lの水を仕込み、30℃で保温された邪魔板およびド
ラフトチューブをもつ5Lセパラブルフラスコ(フラス
コ2)に連続添加した。フラスコ2は、冷水を流すこと
により30℃で保温し、また内液量が3L一定となるよ
う、スラリーポンプを用い連続的にスラリーを抜き出し
た。
【0056】約7時間連続運転を続けた後、フラスコ1
からサンプリングしたスラリーを、撹拌下80℃で保温
したまま約30分放置したところ、pHが4.35から
4.40まで上昇し、安定した(ΔpH=0.05)。
同様にフラスコ2から抜き出したスラリーを、撹拌下3
0℃で保温したまま、約30分放置したところ、pHが
4.70から4.72まで上昇し、安定した(ΔpH=
0.02)。
【0057】さらにフラスコ2から連続的に抜き出した
スラリーを約15分サンプリングし、ヌッチェで固液分
離し、さらに400mLでリンスした。スラリーはヌッ
チェで固液分離し、さらに400mLでリンスした。得
られたウエットケーキは、減圧下、約60℃で乾燥した
ところ、90.0gの白色固体を得た。得られた固体
は、ASPが99.7重量%、フマル酸0.24重量
%、NH4 + 0.04重量%を含んでいた。ASP回収
率は、61%であった。
【0058】[実施例6]参考例1で調整したL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液を、撹拌機、邪魔板およ
びドラフトチューブを持つ5Lジャケット付きセパラブ
ルフラスコ(フラスコ1)に3L仕込み、ジャケットに
温水を流し、撹拌下、内温を60℃に保温した。
【0059】液がフラスコ1内を循環するように撹拌し
ながら、L−アスパラギン酸アンモニウム水溶液を30
00mL/hrで、また粉末フマル酸を314g/hr
で連続添加するとともに、フラスコ1内液量が3Lとな
るよう、フラスコ1からスラリーポンプを用い、連続的
にスラリーを抜き出した。抜き出したスラリーは、予め
3Lの水を仕込み、30℃で保温された邪魔板およびド
ラフトチューブをもつ5Lセパラブルフラスコ(フラス
コ2)に連続添加した。フラスコ2は、冷水を流すこと
により30℃で保温し、また内液量が3L一定となるよ
う、スラリーポンプを用い連続的にスラリーを抜き出し
た。
【0060】約7時間連続運転を続けた後、フラスコ1
からサンプリングしたスラリーを、撹拌下60℃で保温
したまま、約30分放置したところ、pHが4.53か
ら4.60まで上昇し、安定した(ΔpH=0.0
7)。同様にフラスコ2から抜き出したスラリーを、撹
拌下30℃で保温したまま、約30分放置したところ、
pHが4.70から4.72まで上昇し、安定した(Δ
pH=0.02)。
【0061】さらにフラスコ2から連続的に抜き出した
スラリーを約15分サンプリングし、ヌッチェで固液分
離し、さらに400mLでリンスした。得られたウエッ
トケーキは、減圧下、約60℃で乾燥したところ、9
1.0gの白色固体を得た。得られた固体は、ASPが
99.7重量%、フマル酸0.25重量%、NH
4 + 0.04重量%を含んでいた。ASP回収率は、6
1%であった。
【0062】[実施例7]参考例1で調整したL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液を、撹拌機、邪魔板およ
びドラフトチューブを持つ5Lジャケット付きセパラブ
ルフラスコ(フラスコ1)に3L仕込み、ジャケットに
温水を流し、撹拌下、内温を30℃に保温した。
【0063】液がフラスコ1内を循環するように撹拌し
ながら、L−アスパラギン酸アンモニウム水溶液を30
00mL/hrで、また粉末フマル酸を314g/hr
で連続添加するとともに、フラスコ1内液量が3Lとな
るよう、フラスコ1からスラリーポンプを用い、連続的
にスラリーを抜き出した。約7時間連続運転を続けた
後、フラスコ1からサンプリングしたスラリーを、撹拌
下30℃で保温したまま、約30分放置したところ、p
Hが4.62から4.72まで上昇し、安定した(Δp
H=0.10)。
【0064】さらにフラスコから連続的に抜き出したス
ラリーを約15分サンプリングした。スラリーはヌッチ
ェで固液分離し、さらに400mLでリンスした。得ら
れたウエットケーキは、減圧下、約60℃で乾燥したと
ころ、92.0gの白色固体を得た。得られた固体は、
ASPが99.6重量%、フマル酸0.31重量%、N
4 + 0.05重量%を含んでいた。ASP回収率は、
61%であった。
【0065】[実施例8]参考例1で調整したL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液200mLを、邪魔板、
撹拌機、温度計、pH電極を予め設置した容量300m
Lの外部ジャケット付きセパラブルフラスコ内に仕込
み、ジャケットに温水を流し、撹拌下、内温を60℃に
保温した。
【0066】温度が60℃でL−アスパラギン酸アンモ
ニウム水溶液のpHは8.48であった。L−アスパラ
ギン酸アンモニウム水溶液に試薬特級マレイン酸の粉末
を徐々に添加していくとpHは下がっていき、マレイン
酸17.4g(マレイン酸/L−アスパラギン酸アンモ
ニウムのASP換算値=0.5倍モル)を添加したとこ
ろでpHが4.38となった。
【0067】ここで、食品添加物用ASP0.5gを種
晶として添加し、ASPの晶析を開始した。ここでAS
Pは徐々に析出し、それに伴い、pHが徐々に増加し
た。約30分間放置すると、pHは4.68で安定した
(ΔpH=0.30)。さらにマレイン酸を、ΔpH≦
0.30となるように徐々に添加していき、最終的にト
ータルとしてマレイン酸26.2g(マレイン酸/L−
アスパラギン酸アンモニウムのASP換算値=0.75
倍モル)を添加した。その後約30分間放置したとこ
ろ、pHは4.57で安定した。
【0068】スラリーはさらに一時間かけ30℃まで冷
却し、さらに30分間30℃で保温した。最終的に得ら
れたスラリーは、ヌッチェで固液分離し、さらに蒸留水
100mLでリンス、減圧下、約60℃で乾燥したとこ
ろ、25.2gの白色固体を得た。得られた固体は、A
SPが99.8重量%、マレイン酸0.06重量%、N
4 + 0.02重量%を含んでいた。ASP回収率は、
63%であった。
【0069】[比較例2]参考例1で調整したL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液200mLを、邪魔板、
撹拌機、温度計、pH電極を予め設置した容量300m
Lの外部ジャケット付きセパラブルフラスコ内に仕込
み、ジャケットに温水を流し、撹拌下、内温を60℃に
保温した。
【0070】温度が60℃でL−アスパラギン酸アンモ
ニウム水溶液のpHは8.48であった。L−アスパラ
ギン酸アンモニウム水溶液に試薬特級マレイン酸の粉末
を徐々に添加していくとpHは下がっていき、マレイン
酸20.9g(マレイン酸/L−アスパラギン酸アンモ
ニウムのASP換算値=0.6倍モル)を添加したとこ
ろでpHが4.00となった。
【0071】ここで、食品添加物用ASP0.5gを種
晶として添加し、ASPの晶析を開始した。ここでAS
Pは徐々に析出し、それに伴い、pHが徐々に増加し
た。約30分間放置すると、pHは4.60で安定した
(ΔpH=0.60)。さらにマレイン酸を、ΔpH≦
0.60となるように徐々に添加していき、最終的にト
ータルとしてマレイン酸26.2g(マレイン酸/L−
アスパラギン酸アンモニウムのASP換算値=0.75
倍モル)を添加した。その後約30分間放置したとこ
ろ、pHは4.57で安定した。
【0072】スラリーはさらに一時間かけ30℃まで冷
却し、さらに30分間30℃で保温した。最終的に得ら
れたスラリーは、ヌッチェで固液分離し、さらに蒸留水
100mLでリンス、減圧下、約60℃で乾燥したとこ
ろ、25.2gの白色固体を得た。得られた固体は、A
SPが99.5重量%、マレイン酸0.29重量%、N
4 + 0.09重量%を含んでいた。ASP回収率は、
63%であった。
【0073】[実施例9]参考例1で調整したL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液200mLを、邪魔板、
撹拌機、温度計、pH電極を予め設置した容量300m
Lの外部ジャケット付きセパラブルフラスコ内に仕込
み、ジャケットに温水を流し、撹拌下、内温を60℃に
保温した。温度が60℃でL−アスパラギン酸アンモニ
ウム水溶液のpHは8.48であった。
【0074】L−アスパラギン酸アンモニウム水溶液に
98%硫酸を徐々に添加していくとpHは下がってい
き、硫酸7.5g(硫酸/L−アスパラギン酸アンモニ
ウムのASP換算値=0.25倍モル)を添加したとこ
ろでpHが4.40となった。ここで、食品添加物用A
SP0.5gを種晶として添加し、ASPの晶析を開始
した。ここでASPは徐々に析出し、それに伴い、pH
が徐々に増加した。約30分間放置すると、pHは4.
60で安定した(ΔpH=0.20)。
【0075】さらに硫酸を、ΔpH≦0.20となるよ
うに徐々に添加していき、最終的に硫酸13.5g(硫
酸/L−アスパラギン酸アンモニウムのASP換算値=
0.45倍モル)を添加した。その後約30分間放置し
たところ、pHは4.60で安定した。スラリーはさら
に一時間かけ30℃まで冷却し、さらに30分間30℃
で保温した。
【0076】最終的に得られたスラリーは、ヌッチェで
固液分離し、さらに蒸留水100mLでリンス、減圧
下、約60℃で乾燥したところ、24.0gの白色固体
を得た。得られた固体は、ASPが99.8重量%、硫
酸塩0.05重量%、NH4 +0.02重量%を含んで
いた。ASP回収率は、60%であった。
【0077】[実施例10]参考例1で調整したL−ア
スパラギン酸アンモニウム水溶液200mLを、邪魔
板、攪拌機、温度計、pH電極を予め設置した容量30
0mLの外部ジャケット付きセパラブルフラスコ内に仕
込み、ジャケットに温水を流し、攪拌下、内温を60℃
に保温した。温度が60℃でL−アスパラギン酸アンモ
ニウム水溶液のpHは8.48であった。L−アスパラ
ギン酸アンモニウム水溶液に試薬特級マレイン酸の粉末
を徐々に添加していくとpHは下がっていき、マレイン
酸18.8g(マレイン酸/L−アスパラギン酸アンモ
ニウムのASP換算値=0.54倍モル)を添加したと
ころでpHが4.28となった。
【0078】ここで、食品添加物用ASP0.5gを種
晶として添加し、ASPの晶析を開始した。ここでAS
Pは徐々に析出し、それに伴い、pHが徐々に増加し
た。約30分間放置すると、pHは4.65で安定した
(ΔpH=0.37)。さらにマレイン酸を、ΔpH≦
0.37となるように徐々に添加していき、最終的にマ
レイン酸26.2g(マレイン酸/L−アスパラギン酸
アンモニウムのASP換算値=0.75倍モル)を添加
した。その後約30分間放置したところ、pHは4.5
7で安定した。スラリーはさらに一時間かけ30℃まで
冷却し、さらに30分間30℃で保温した。最終的に得
られたスラリーは、ヌッチェで固液分離し、さらに蒸留
水100mLでリンス、減圧下、約60℃で乾燥したと
ころ、25.2gの白色固体を得た。得られた固体は、
ASPが99.8重量%、マレイン酸0.08重量%、
NH 4 + 0.03重量%を含んでいた。ASP回収率
は、63%であった。
【0079】[比較例3]参考例1で調整したL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液200mLを、邪魔板、
攪拌機、温度計、pH電極を予め設置した容量300m
Lの外部ジャケット付きセパラブルフラスコ内に仕込
み、ジャケットに温水を流し、攪拌下、内温を60℃に
保温した。温度が60℃でL−アスパラギン酸アンモニ
ウム水溶液のpHは8.48であった。L−アスパラギ
ン酸アンモニウム水溶液に試薬特級マレイン酸の粉末を
徐々に添加していくとpHは下がっていき、マレイン酸
19.9g(マレイン酸/L−アスパラギン酸アンモニ
ウムのASPの換算値=0.57倍モル)を添加したと
ころでpHが4.12となった。
【0080】ここで、食品添加物用ASP0.5gを種
晶として添加し、ASPの晶析を開始した。ここでAS
Pは徐々に析出し、それに伴い、pHが徐々に増加し
た。約30分間放置すると、pHは4.62で安定した
(ΔpH=0.50)。 さらにマレイン酸を、ΔpH
≦0.50となるように徐々に添加していき、最終的に
マレイン酸26.2g(マレイン酸/L−アスパラギン
酸アンモニウムのASP換算値=0.75倍モル)を添
加した。その後約30分間放置したところ、pHは4.
57で安定した。スラリーはさらに一時間かけ30℃ま
で冷却し、さらに30分間30℃で保温した。最終的に
得られたスラリーは、ヌッチェで固液分離し、さらに蒸
留水100mLでリンス、減圧下、約60℃で乾燥した
ところ、25.2gの白色固体を得た。得られた固体
は、ASPが99.7重量%、マレイン酸0.19重量
%、NH 4 + 0.06重量%を含んでいた。ASP回収
率は、63%であった。
【0081】[実施例11]参考例1で調整したL−ア
スパラギン酸アンモニウム水溶液を、攪拌機、邪魔板お
よびドラフトチューブを持つ5Lジャケット付きセパラ
ブルフラスコ(フラスコ1)に3L仕込み、ジャケット
に温水を流し、攪拌下、内温を60℃に保温した。液が
フラスコ1内を循環するように攪拌しながら、L−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液を2300mL/hr
で、また40重量%マレイン酸水溶液を752g/hr
で連続添加するとともに、フラスコ1内液量が3Lとな
るよう、フラスコ1からスラリーポンプを用い、連続的
にスラリーを抜き出した。
【0082】抜き出したスラリーは、予め3Lの水を仕
込み、30℃で保温された邪魔板およびドラフトチュー
ブをもつ5Lセパラブルフラスコ(フラスコ2)に連続
添加した。フラスコ2は、冷水を流すことにより30℃
で保温し、また内液量が3L一定となるよう、スラリー
ポンプを用い連続的にスラリーを抜き出した。約7時間
連続運転を続けた後、フラスコ1からサンプリングした
スラリーを、攪拌下60℃で保温したまま、約30分放
置したところ、pHが4.52から4.57まで上昇
し、安定した(ΔpH=0.05)。同様にフラスコ2
から抜き出したスラリーを、攪拌下30℃で保温したま
ま、約30分放置したところ、pHが4.68から4.
70まで上昇し、安定した(ΔpH=0.02)。
【0083】さらにフラスコ2から連続的に抜き出した
スラリーを約15分サンプリングし、ヌッチェで固液分
離し、さらに400mLでリンスした。得られたウエッ
トケーキは、減圧下、約60℃で乾燥したところ、6
3.3gの白色固体を得た。得られた固体は、ASPが
99.9重量%、マレイン酸0.03重量%、NH 4 +
0.01重量%を含んでいた。ASP回収率は、55%
であった。上記実施例及び比較例の結果を下記第1表に
示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、L−アスパラギン酸ア
ンモニウム水溶液と酸析剤からL−アスパラギン酸を晶
析する方法において、L−アスパラギン酸過飽和度の指
標であるΔpHを0.4以下にて行なうことで、L−ア
スパラギン酸晶析速度をコントロールし、不純物の取込
が小さい高純度のL−アスパラギン酸を効率的に得ると
ともに、高純度のL−アスパラギン酸製品を再現性よく
得ることができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−アスパラギン酸塩水溶液から酸析剤
    存在下にL−アスパラギン酸を晶析する方法において、
    L−アスパラギン酸析出時の過飽和度の指標ΔpHを
    0.4以下とすることを特徴とするL−アスパラギン酸
    の晶析方法。
  2. 【請求項2】 酸析剤がマレイン酸又はフマル酸である
    ことを特徴とする請求項1記載の晶析方法。
  3. 【請求項3】 酸析剤がフマル酸であり、ΔpHが0.
    2以下であることを特徴とする請求項2記載の晶析方
    法。
  4. 【請求項4】 酸析剤がマレイン酸であり、ΔpHが
    0.3以下であることを特徴とする請求項2記載の晶析
    方法。
  5. 【請求項5】 晶析方法が連続法であることを特徴とす
    る請求項1記載の晶析方法。
  6. 【請求項6】 ΔpHが0.08以下であることを特徴
    とする請求項5記載の晶析方法。
  7. 【請求項7】 滞留時間が0.1〜10時間であること
    を特徴とする請求項6記載の晶析方法。
  8. 【請求項8】 L−アスパラギン酸塩がL−アスパラギ
    ン酸アンモニウムを含む塩であることを特徴とする請求
    項1〜7記載の晶析方法。
  9. 【請求項9】 L−アスパラギン酸塩がL−アスパラギ
    ン酸とアンモニウムとの比が0.5〜2.0であるL−
    アスパラギン酸塩であることを特徴とする請求項8記載
    の晶析方法。
  10. 【請求項10】 得られるL−アスパラギン酸結晶中の
    アンモニウム塩のアンモニウムイオン換算量が600p
    pm以下であることを特徴とする請求項8または9記載
    の晶析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105523875A (zh) * 2015-12-15 2016-04-27 新疆于田瑰觅生物科技股份有限公司 从提取精油后的玫瑰花废液中提取玫瑰花氨基酸的方法

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CN105523875A (zh) * 2015-12-15 2016-04-27 新疆于田瑰觅生物科技股份有限公司 从提取精油后的玫瑰花废液中提取玫瑰花氨基酸的方法

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