JPH09322789A - L−アスパラギン酸の製造方法 - Google Patents

L−アスパラギン酸の製造方法

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JPH09322789A
JPH09322789A JP8142841A JP14284196A JPH09322789A JP H09322789 A JPH09322789 A JP H09322789A JP 8142841 A JP8142841 A JP 8142841A JP 14284196 A JP14284196 A JP 14284196A JP H09322789 A JPH09322789 A JP H09322789A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マレイン酸および/または無水マレイン酸
を、イソメラーゼまたはこれを産生する微生物により異
性化し、アスパルターゼまたはこれを産生する微生物、
およびアンモニアの存在下酵素反応させてL−アスパラ
ギン酸アンモニウムを得て、これをマレイン酸および/
または無水マレイン酸により酸析しL−アスパラギン酸
結晶を回収し、マレイン酸アンモニウムを含む母液を異
性化反応工程にリサイクルするL−アスパラギン酸の製
造方法において、バランスのとれた安定した連続操作が
可能な製造プロセスと、かつ酵素反応におけるイソメラ
ーゼまたはこれを産生する微生物の酵素作用を低下する
ことなく継続的に維持する方法を提供する。 【解決手段】 イソメラーゼまたはこれを産生する微生
物を用い、マレイン酸を異性化するに際し、水溶媒中の
溶存酸素濃度を4ppm以下に維持して反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、L−アスパラギン
酸の製造方法に関するものである。詳しくは、マレイン
酸及び/又は無水マレイン酸を原料とし、酵素作用によ
りL−アスパラギン酸を製造するための工業的に有利な
プロセスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】L−アスパラギン酸は医薬、食品添加物
として需要が増加している。また、新たな用途開発も検
討されているが、現在のところ製造コストが高く経済的
に優れた工業的プロセスは確立されていない。L−アス
パラギン酸の製造法としては、フマル酸とアンモニアを
アスパルターゼ又はこれを産生する微生物の存在下、酵
素反応により得る方法が知られている。
【0003】また、マレイン酸とアンモニアをイソメラ
ーゼ又はこれを産生する微生物の存在下異性化しフマル
酸を得た後、上記と同様な酵素反応によりL−アスパラ
ギン酸を得る方法も知られている。[Y.Takamu
ra et al.Agric.Biol.Chem.
30,No.4,345〜350(1966)]しかし
ながら、従来法は、酵素反応後のL−アスパラギン酸ア
ンモニウムを硫酸又は塩酸により酸析するため、経済的
価値の低い無機酸アンモニウム塩を大量に副生し、結果
的にL−アスパラギン酸の製造コストを高めることとな
っていた。
【0004】この欠点を改良する方法として、酵素反応
後のL−アスパラギン酸アンモニウムをマレイン酸又は
無水マレイン酸により酸析し、L−アスパラギン酸結晶
を回収した後のマレイン酸アンモニウムを含む母液を原
料として利用する方法が提案されている(米国特許第4
560653号明細書、特開平8−33491号公
報)。これらの方法は、原料として大量に入手が容易
で、しかも安価な無水マレイン酸を用いるので、工業的
に非常に望ましい方法となり得る。
【0005】しかしながら、上記提案の方法は、マレイ
ン酸アンモニウムの異性化反応に、従来より知られてい
る化学反応又は酵素反応を適応させたものであるので、
工業的に安定した連続操作を継続的に行ない、L−アス
パラギン酸を安価にかつ効率的に製造することは未だ困
難であった。
【0006】特に、酵素反応を用いるケースでは、マレ
イン酸をフマル酸に異性化する反応とフマル酸をアスパ
ラギン酸に変換する二つの反応を多段にあるいは同時に
実施することが必要となり、この場合にイソメラーゼ又
はこれを産生する微生物の酵素作用を工業的に満足のい
く長時間の連続運転を継続的に維持すると、イソメラー
ゼ又はこれを産生する微生物の酵素活性が低下する問題
のあることが判明した。
【0007】また、L−アスパラギン酸アンモニウムの
晶析に当たり、大量のマレイン酸を添加しないとL−ア
スパラギン酸結晶の回収率を高めることができず、晶析
工程で添加するマレイン酸の量が、晶析すべきL−アス
パラギン酸の量を超える条件となっている。そのため、
晶析後のマレイン酸アンモニウムを含む母液を反応系に
リサイクル使用すると、次第に、系内のL−アスパラギ
ン酸濃度が上昇する問題が生じ、連続運転が困難となる
場合が生じ効率的な工業的製法とは言い難かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、マレイン酸
及び/又は無水マレイン酸を原料とし、イソメラーゼ又
はこれを産生する微生物により水溶媒中でこれを異性化
し、次いでアスパルターゼ又はこれを産生する微生物、
及びアンモニアの存在下、水溶媒中で酵素反応させてL
−アスパラギン酸アンモニウムを得て、酵素反応後のL
−アスパラギン酸アンモニウムをマレイン酸及び/又は
無水マレイン酸により酸析し、L−アスパラギン酸結晶
を回収した後のマレイン酸アンモニウムを含む母液を異
性化反応工程にリサイクルするL−アスパラギン酸の製
造方法において、バランスのとれた安定した連続操作が
可能なL−アスパラギン酸の製造プロセスを提供し、か
つ、酵素反応におけるイソメラーゼ又はこれを産生する
微生物の酵素作用を低下することなく継続的に維持する
新規な方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記実情に
鑑み鋭意検討した結果、酵素反応を効率的に行うために
は、イソメラーゼ又はこれを産生する微生物を用い、マ
レイン酸を異性化するに際し、水溶媒中の溶存酸素濃度
を4ppm以下に維持して反応することにより、イソメ
ラーゼの活性の低下を抑制し安定的に酵素反応を進行さ
せることが可能なことを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0010】すなわち、本発明の要旨は、マレイン酸及
び/又は無水マレイン酸をイソメラーゼ又はこれを産生
する微生物の存在下異性化させる反応、及び、前記異性
化反応物の少なくとも一部及びアンモニアをアスパルタ
ーゼ又はこれを産生する微生物の存在下水溶媒中で反応
させてL−アスパラギン酸アンモニウムを生成させる反
応、を順次又は同時に実施してL−アスパラギン酸を製
造する方法において、少なくとも異性化反応における水
溶液中の溶存酸素濃度を4ppm以下に維持して実施す
ることを特徴とするL−アスパラギン酸の製造方法に存
する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。 (工程)本発明では、マレイン酸及び/又は無水マレ
イン酸をイソメラーゼ又はこれを産生する微生物の存在
下、異性化させたのち、異性化反応物の少なくとも一部
及びアンモニアをアスパルターゼ又はこれを産生する微
生物の存在下、水溶媒中で反応させてL−アスパラギン
酸アンモニウムを生成させる。反応は、マレイン酸アン
モニウムをフマル酸アンモニウムに異性化した後、これ
を酵素としてアスパルターゼ又はこれを産生する微生物
の存在下、反応処理してアスパラギン酸アンモニウムを
生成させる二段反応法、又は、マレイン酸アンモニウム
の異性化とアスパラギン酸アンモニウムの生成とを同時
に行なう一段反応法のいずれでもよい。
【0012】マレイン酸アンモニウムをフマル酸アンモ
ニウムに異性化する反応及びフマル酸アンモニウムをア
スパラギン酸アンモニウムに変換する反応は公知であ
り、本発明はこれらの反応自体は公知法に準じて実施す
ることができる。
【0013】本発明に用いられるマレイン酸イソメラー
ゼ活性を有する微生物としては、本活性を有する微生物
であれば特に限定されるものではないが、アルカリゲネ
ス属、シュードモナス属、キサントモナス属、バチルス
属に属する微生物が好適に用いられる。特にアルカリゲ
ネス フェカリス(Alcaligenes faec
alis)IFO 12669、同IFO 1311
1、同IAM 1473、アルカリゲネス ユウトロフ
ス(Alcaligenes eutrophus)、
シュウドモナス フルオレッセンス(Pseudomo
nas fluolescens)ATCC 2372
8、キサントモナス マルトモナス(Xanthomo
nas marutomonasu)ATCC 132
70、バチルス ステアロサーモフィラス(Bacil
lus stearothermophilus)MI
−101(FERM P−14801)、バチルス ブ
レビス(Bacillus brevis)MI−10
3(FERM P−14803)等が好適に用いられ
る。さらに、上記、遺伝子を組換えた遺伝子改変微生物
を用いても何等差し支えない。
【0014】培養した各菌体は、予め、リン酸緩衝液等
の緩衝液(pH7)等で洗浄した後用いることも出来
る。洗浄用のリン酸緩衝液の濃度は0.05M〜0.2
M程度が好適に用いられる。菌体はそのまま使用するこ
とができるし、必要により、該菌体を超音波破砕等で処
理をした菌体破砕物や該破砕物を遠心分離した無細胞抽
出液、該無細胞抽出液を硫安分画法、イオン交換カラ
ム、ゲルろ過カラム等で精製した部分精製酵素、または
該菌体や菌体破砕物をアクリルアミドモノマー、アルギ
ン酸等の担体を用いて固定化した固定化物を用いること
もできる。菌体を用いる場合、予め菌体を凍結したり、
上記緩衝液中にTriton X−100、Tween
20等の界面活性剤を0.01〜0.2重量%添加し
た液中で、15〜40℃の温度で、10〜120分菌体
を処理することにより菌体の透過性を高めてから使用す
る事もできる。
【0015】本発明では、マレイン酸イソメラーゼ活性
を有する微生物またはその処理物をマレイン酸を含有す
る水溶液中で酵素反応させるに際し、マレイン酸を含有
する水溶液中の溶存酸素濃度(以下、DOと略記するこ
とがある)を4ppm以下、好ましくは1ppm以下、
さらに好ましくは0.5ppm以下に維持して反応させ
ることに特徴を有する。
【0016】溶存酸素濃度が高いと、異性化反応を長時
間実施すると酵素イソメラーゼの活性が低下し、異性化
反応を安定的に継続することが困難となり、イソメラー
ゼ又はこれを産生する微生物を反応終了後に回収する等
により、繰り返しバッチ運転を実施したり、長時間の連
続運転を実施することは難しくなる。
【0017】本発明において前記水溶液中の酸素濃度を
調節する方法としては、通常、前記水溶液中に不活性な
ガスを流通させる方法、又は、脱酸素剤である亜硫酸塩
を前記水溶液に添加する方法などが挙げられる。これら
の処理は反応に供する原料水溶液を対象として通常実施
されるが、反応系にて実施してもよい。
【0018】本発明に用いる反応に不活性なガスとは、
酸素を含むガスでなければ特に限定されるものではな
い。Ar、Heのようないわゆる希ガス、窒素ガス、炭
酸ガス等から選択されるガスでよく、一種のガスか、2
種以上のガスを組み合わせてもよい。これらのガスによ
り処理する方法としては、例えば、マレイン酸水溶液中
に上記ガスを連続的又は間歇的に吹き込みながら攪拌す
る方法が一般的である。また、処理後は引き続きマレイ
ン酸含有水溶液槽内を前記ガスでシールしておくことが
好ましい。
【0019】本発明に用いる亜硫酸塩とは、亜硫酸の塩
であれば良く、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜
硫酸カルシウム等の無機亜硫酸塩が好ましいが、マレイ
ン酸イソメラーゼ活性を阻害することが知られる水銀、
銅との塩は用いられない。亜硫酸塩を添加する場合の濃
度としては、1ppm〜1000ppm、好ましくは1
0ppm〜500ppmが用いられる。亜硫酸塩の添加
位置としては、特に限定されるものではなく、どの工程
でも、またどの工程の間へでも構わない。数カ所に分割
して添加してもよい。
【0020】本発明において、フマル酸アンモニウムを
L−アスパラギン酸アンモニウムに変換するには、アス
パルターゼあるいはアスパルターゼを産生する微生物の
存在下に実施されるが、この方法は公知の方法により行
なうことが出来る。アスパルターゼを産生する微生物と
しては、フマル酸とアンモニアからL−アスパラギン酸
を生成しうる能力を有する微生物であれば特に制限がな
く、例えば、ブレビバクテリウム属、エシェリヒア属、
シュードモナス属、バチルス属等の微生物が挙げられ
る。具体的には、ブレビバクテリウム・フラバム(Br
evibacterium flavum)MJ−23
3(FERM BP−1497)、同MJ−233−A
B−41(FERM BP−1498)、ブレビバクテ
リウム・アンモニアゲネス ATCC 6872、エシ
ェリヒア・コリ(Escherichia coli)
ATCC 11303、同ATCC 27325等を例
示することが出来る。
【0021】異性化反応及びL−アスパラギン酸を生成
させる反応の原料水溶液濃度は、通常、後述する工程
から回収されるマレイン酸モノアンモニウム水溶液の濃
度により決定される。本発明においては、工程におけ
る原料水溶液の濃度は、通常、マレイン酸モノアンモニ
ウム換算で、45〜700g/l、好ましくは90〜4
50g/lである。
【0022】本発明における工程の異性化反応及びL
−アスパラギン酸を生成させる反応は、アンモニア以外
のアルカリ剤を併用したpH調整下で実施することもで
きる。この際の前記反応系内のpHはそれぞれ通常、
7.5〜10が好ましく、両反応を同時に同一反応槽で
実施しても差し支えない。同時に行なう場合には、各々
の性質を持つ菌を併用し、両反応に適した条件を選定し
て行なうことができる。また、両方の性質を有するもの
であれば併用の必要は必ずしもない。
【0023】アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウムなど特に限定されるものではないが、L
−アスパラギン酸を生成させる反応の原料であるアンモ
ニアを使用することが、本発明においては好ましく、異
性化反応に対しても何ら悪影響を与えない。アンモニア
を単独で使用する場合アンモニアの使用量は原料マレイ
ン酸モノアンモニウムに対して、1.05〜2.0モル
倍であり、好ましくは1.1〜1.6モル倍である。ま
た、上記アルカリ剤をアンモニアと併する場合は、前記
反応系内のpH範囲になる量に、アンモニア及びアルカ
リ剤の量が調節される。
【0024】異性化反応及びL−アスパラギン酸を生成
させる反応の温度は、酵素反応が効率的に行なわれる温
度が選定され、通常10〜80℃、好ましくは50〜6
0℃である。
【0025】酵素反応の反応操作としては、限定される
ものではないが、バッチ操作に比べて連続操作がより好
ましい。通常、反応方式として菌体を固定化した充填層
に原料水溶液を通液する方法、又は、菌体自体又は固定
化した菌体を懸濁した反応器中に原料水溶液を供給する
一方、反応液を抜き出し、これを分離膜や遠心分離機を
用いて菌体を分離し反応器に戻す方法が挙げられる。
【0026】L−アスパラギン酸を生成させる反応で得
られる反応液はL−アスパラギン酸アンモニウムを主体
として含むが、このアンモニウム塩はモノアンモニウム
塩とジアンモニウム塩の混合物である。ジアンモニウム
塩の割合は通常、10〜60%モルである。また、この
反応液中には未反応のフマル酸アンモニウム及びマレイ
ン酸アンモニウムを含む場合もあるが、この含有量は5
g/l以下、好ましくは2g/l以下、特に1g/l以
下に制御することが望ましい。
【0027】工程の酵素反応した反応液は、常法によ
り菌体を分離した後、次工程に送られる。通常、分離膜
や遠心分離機を用いて菌体を分離する。
【0028】(工程)上記工程で得られた溶液にマ
レイン酸及び/又は無水マレイン酸を添加して、L−ア
スパラギン酸を晶析させる。添加するマレイン酸、無水
マレイン酸は、粉末でも、溶融液でも、水溶液でも、ま
たスラリーであってもよい。この二種類の酸を任意の比
で混合することも何ら制限をうけるものでない。
【0029】工程で添加されるマレイン酸及び/又は
無水マレイン酸の量は、(マレイン酸+無水マレイン
酸)/L−アスパラギン酸アンモニウムのモル比が、
0.5〜1.4、好ましくは0.6〜1.3となる様に
添加される。このモル比が小さすぎると、晶析回収での
L−アスパラギン酸の回収率が充分でなく、リサイクル
系内のアスパラギン酸濃度が高くなり、また大きすぎる
と、添加したマレイン酸および無水マレイン酸が効率的
に晶析に利用されない。
【0030】晶析温度は通常、0〜90℃、好ましく
は、10〜80℃である。あまり低温の場合、得られる
結晶が細かくなりすぎ、固液分離操作が面倒となる上、
リンス効率も悪化する。すなわち、固液分離で得られる
湿ケーキの母液保持量(含水液量)が多くなり、さらに
充分なリンス効果が得られないため、結晶純度が低下す
るか、リンス量を増やしてL−アスパラギン酸の回収率
を低下させるかの状況になる。一方、あまり高温では、
L−アスパラギン酸の回収率が低いばかりか、マレイン
酸の熱劣化が生ずる恐れがあり、好ましくない。
【0031】また晶析工程の処理時間は通常0.5〜5
時間程度である。晶析は通常、攪拌槽タイプの晶析槽を
用いて実施される。マレイン酸及び/又は無水マレイン
酸の添加位置は晶析槽又はこれに通じる工程からの移
送配管中のいずれでもよい。また、晶析は、工程で得
られた溶液、又は必要により後述する工程で得られた
溶液の脱アンモニア後の水溶液と、マレイン酸及び/又
は無水マレイン酸とを連続的に供給する一方で、生成ス
ラリーを連続的に抜き出す連続式が望ましいが、一部、
間歇的操作もしくは回分式で行なってもよい。
【0032】(工程)上記工程で得られたスラリー
を固液分離し、必要に応じて得られた結晶を水でリンス
することによりL−アスパラギン酸結晶を回収する。得
られた結晶は、常法により乾燥し純度99%以上の製品
として回収することができる。
【0033】固液分離で得られる母液には、マレイン酸
モノアンモニウムが含まれ、さらに溶解度分のL−アス
パラギン酸アンモニウムも含まれている。この母液は上
記工程にリサイクルされ、工程の原料として再使用
される。
【0034】スラリーの固液分離は、特に限定するもの
ではないが、0〜80℃の温度範囲、好ましくは、10
〜50℃で行なう。低温下ではスラリーの粘性が高く取
扱いが困難になり、高温下では、L−アスパラギン酸の
溶解度が高くなり、回収率が低下してしまう。必要に応
じて行なうリンス操作に用いる水の量は、特に限定する
ものではないが、湿ケーキに対して5重量倍以下、好ま
しくは、3重量倍以下で行なう。リンス量が少なすぎる
とリンス効果が充分でなく、多すぎるとL−アスパラギ
ン酸の回収率が低下する。リンス水の温度についても特
に限定されるものではない。
【0035】分離操作は、限定されるものではないが、
例えばヌッチェ、遠心分離等の常法により行なうことが
できる。固液分離で得られる母液は、主にマレイン酸モ
ノアンモニウムが含まれ、pHが3〜6程度の酸性水溶
液である。必要に応じて濃縮工程により水を除去し、更
にアンモニアを加えて工程にリサイクルすることがで
きる。
【0036】(工程)本発明の方法においては、工程
で得た反応液を工程の実施の前に蒸留又はストリッ
ピングしてアンモニアの一部を除去することにより、L
−アスパラギン酸アンモニウムを実質的に、L−アスパ
ラギン酸モノアンモニウム塩とすることができ、さらに
有利なプロセスとなる。工程を実施した場合に得られ
るL−アスパラギン酸モノアンモニウム塩の割合は、全
体のL−アスパラギン酸アンモニウム塩に対して90モ
ル%以上、好ましくは95モル%以上、更に好ましくは
98モル%以上、である。
【0037】この脱アンモニア処理により、工程で用
いるマレイン酸又は無水マレイン酸の使用量が抑制で
き、バランスのとれた一層長期間の連続運転可能な工業
的プロセスが実現するのである。
【0038】好ましい態様として工程を実施する場合
のプロセスにおいて、工程で得られた液は、工程に
送られ酸析に供されるが、その場合のマレイン酸及び/
又は無水マレイン酸の添加量は、(マレイン酸+無水マ
レイン酸)/L−アスパラギン酸モノアンモニウムのモ
ル比で、0.5〜1.1、好ましくは0.6〜1.0で
ある。このモル比が小さすぎると、晶析回収でのL−ア
スパラギン酸の回収率が充分でなく、リサイクル系内の
アスパラギン酸濃度が高くなり効率的でなく、また大き
すぎると、添加したマレイン酸および無水マレイン酸が
効率的に晶析に利用されない。
【0039】工程を実施する場合のプロセスにおける
工程の他の晶析条件については、前記工程に記載し
た方法によればよい。蒸留操作又はストリッピング操作
(以下、アンモニア除去操作ということがある)は、常
圧下でも減圧下でもよく、30〜100℃の範囲で、好
ましくは、40〜80℃で行なうことができる。低温下
でアンモニア除去操作を行なうには、減圧度を高めなく
てはならず操作上の制約が大きくなる。
【0040】一方、高温下では、液組成の熱劣化を招く
ので好ましくない。本発明の方法における全工程のう
ち、最も高温で処理することにもなり得る本工程の温度
条件、特に上限温度については、この観点から上記の様
に規定されるべきである。アンモニア蒸留塔の形式は通
常の棚段塔又は充填塔が使用できる。
【0041】工程の酵素反応により得られたL−アス
パラギン酸アンモニウム水溶液を、上記の方法でアンモ
ニア除去操作することにより、蒸留釜にはL−アスパラ
ギン酸に対するアンモニアのモル比が約1.0の、即
ち、L−アスパラギン酸モノアンモニウム、を含む残液
を得ることができる。
【0042】アンモニア除去操作で蒸気として分離され
るのは、アンモニアおよび水のみであり、冷却管等を用
いてこの蒸気を液として回収すれば、アンモニア水が得
られる。この得られるアンモニア水の濃度は、アンモニ
ア除去操作の温度、圧力および蒸気回収温度等に影響さ
れる。
【0043】上記操作後の水溶液は工程に送り、L−
アスパラギン酸結晶を回収するが、晶析工程に供給する
水溶液中のL−アスパラギン酸アンモニウム濃度は通
常、50〜800g/l、好ましくは100〜500g
/lである。この濃度があまり低いと結晶回収率が低く
なり、逆にあまり高いと回収スラリーの濃度が高くなり
すぎ操作上好ましくない。
【0044】工程のアンモニア除去操作で蒸気として
分離し、冷却管等で回収されたアンモニア水は、上記の
工程あるいは工程に必要に応じて再使用される。こ
の場合の供給温度は、特に限定されないが、それぞれの
工程の反応又は操作温度を考慮して5〜80℃、好まし
くは、10〜50℃が採用できる。高温下では、アンモ
ニアの蒸気圧が高くなり好ましくない。また、反応温度
より低温で供給しても何ら問題ない。
【0045】リサイクルするアンモニアを供給する方法
は、特に限定するものではないが、工程の異性化反応
及びL−アスパラギン酸を生成する酵素反応の二つの反
応に適当に分配しても、またいずれかの反応に一括して
供給しても何ら問題にならない。また、異性化反応とL
−アスパラギン酸を生成する酵素反応を同一反応器内で
行なう場合、工程で分離された母液に供給してもよ
い。
【0046】(ブリード)本発明のL−アスパラギン酸
の製造方法では、リサイクルの工程を含むため不純物や
反応副生成物の蓄積を考慮して、必要に応じてブリード
を行なうことが可能である。
【0047】ブリードする位置としては、特に限定する
ものではなく各工程後のいずれの位置からブリードして
もよい。また、複数の箇所においてブリードすることも
可能である。中でも工程で得た釜残水溶液から、即
ち、工程と工程の間、又は工程と工程の間か
ら、ブリードするのが好ましい。
【0048】ブリード量は、通常、釜残水溶液の容量ベ
ースで1〜20%、好ましくは3〜17%である。ブリ
ード率が低いとその効果が小さく意味がなく、高ければ
主工程と同じ程度の機器容積をブリード系がもつことに
なり、経済的に不利なプロセスを与える。ブリードする
方法は、このブリード率を満足する範囲において連続的
であっても、また、間歇的であっても良い。
【0049】ブリード液からL−アスパラギン酸を結晶
として回収するのが好ましく、その方法としては、通
常、硫酸又は塩酸等の無機酸を添加して行なうのが好ま
しい。無機酸の添加量はアスパラギン酸アンモニウムに
対して当量以上である。すなわち、L−アスパラギン酸
の等電点2.8になるようにブリード液に無機酸を加え
るのが回収率を向上させるために望ましい。
【0050】上述のブリード液の処理により、含有され
るL−アスパラギン酸アンモニウムは損失することなく
回収でき、しかも、系内に蓄積する不純物はブリードに
よりパージされるので好ましい結果を与える。本発明
は、工程〜のメインライン及び好ましくは工程の
脱アンモニウム工程からのアンモニア回収、また好まし
くはブリード液処理工程、の各工程を連結することによ
り、バランスのとれた安定して連続運転可能な工業的に
有利なプロセスを提供することができ、かつ高純度のL
−アスパラギン酸の製造を可能とするものである。
【0051】また、本発明は上記〜の各工程の処理
操作を逐次実施するが、〜の各工程は回分法でも、
連続法でもよい。例えば、全工程を回分法で実施する場
合でも、本発明によれば、繰り返し反応を行なっても、
各工程とも同一処理量で同一条件にて操作することが可
能である。もちろん、全工程を連続法で実施する場合に
は、バランスのとれた安定したプロセスとなるのであ
る。
【0052】
【実施例】本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記述に
限定されるものではない。尚、L−アスパラギン酸(以
下、ASPと略記する)、マレイン酸(以下、MAと略
記する)およびフマル酸(以下、FAと略記する)の分
析は高速液体クロマトグラフィーにより、ASP結晶中
のアンモニア(以下、NH3 と略記する)含量の分析は
イオンクロマトグラフィーにより定量した。
【0053】[参考例]酵素の調整 (1)マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物の培
養 肉エキス:10g、ペプトン:10g、NaCl:5
g、マレイン酸10g及び蒸留水:1000ml(苛性
ソーダでpH7.0に調整)の培地100mlを容量5
00mlの三角フラスコに分注し、120℃、20分間
滅菌処理したものに、アルカリゲネス フェカリス I
FO 12669菌株を植菌し、30℃にて24時間振
とう培養した。
【0054】また、上記と同様の培地1000mlを容
量3Lのジャーファーメンターに入れ、120℃、20
分間滅菌処理したものに、上記振とう培養液30mlを
接種し、これを30℃にて24時間培養した。得られた
培養液を遠心分離(8000rpm、15分、4℃)し
て集菌した菌体を、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
0)で1回洗浄し、以下の反応に供試した。
【0055】(2)フマル酸よりアスパラギン酸生成能
を有する微生物の培養 尿素:4g、(NH4 2 SO4 :14g、KH2 PO
4 :0.5g、K2 HPO4 :0.5g、MgSO4
7H2 O:0.5g、FeSO4 ・7H2 O:20m
g、MnSO4 ・nH2 O:20mg、D−ビオチン:
200μg、塩酸チアミン:100μg、酵母エキス1
g、カザミノ酸1g及び蒸留水:1000ml(pH
6.6)の培地100mlを容量500mlの三角フラ
スコに分注し、120℃、15分間滅菌処理したものに
滅菌済み50%グルコース水溶液4mlを加え、ブレビ
バクテリウム フラバム AB−41菌株(FERM
BP−1498)を植菌し、33℃にて24時間振とう
培養した。
【0056】また、上記と同様の培地1000mlを容
量2Lのジャーファーメンターに入れ、120℃、20
分間滅菌処理したものに、上記振とう培養液20mlと
滅菌済み50%グルコース水溶液200mlを加え、こ
れを33℃にて24時間培養した。得られた培養液を遠
心分離(8000rpm、15分、4℃)して集菌し
た。本菌体は、夾雑するリンゴ酸副生活性を以下の方法
で除いた。すなわち、アスパラギン酸:100g、アン
モニア:180ml、塩化カルシウム:2.2g、Tw
een20:0.8g(水で全量1Lとする)よりなる
組成液に集菌体を懸濁し、45℃、3時間振とうし、遠
心分離(8000rpm、15分、4℃)して菌体を回
収した。
【0057】[実施例1]酵素反応 (1)予め窒素ガスを30分吹き込みながら攪拌し、窒
素置換した反応液〈マレイン酸150g、25%アンモ
ニア水220ml(水で全量を1000mlにする)〉
を容量3Lのジャーファーメンターに移し、上記で回収
した両菌体(イソメラーゼ菌20g、アスパルターゼ菌
120g)を添加し、窒素ガスを0.02vvmの速度
で供給して槽内を窒素ガスでシールし、反応中、溶存酸
素濃度を0.5ppm以下に維持した。30℃で48時
間反応させたところ、反応液中にL−アスパラギン酸
は、169g/l得られた。
【0058】(2)予め窒素ガスを30分吹き込みなが
ら攪拌し、窒素置換した反応液〈マレイン酸150g、
25%アンモニア水220ml(水で全量を1000m
lにする)〉を密閉された容量3Lのジャーファーメン
ターに移し、溶存酸素濃度が安定になったところで上記
で回収した菌体(イソメラーゼ菌20g、アスパルター
ゼ菌120g)を添加した。反応中、溶存酸素濃度はお
よそ3ppm以下に維持された。30℃で48時間反応
させたところ、反応液中にL−アスパラギン酸は、13
6g/l得られた。
【0059】(3)反応液〈マレイン酸150g、25
%アンモニア水220ml(水で全量を1000mlに
する)〉に0.2g/lの亜硫酸ソーダを加え、密閉さ
れた容量3Lのジャーファーメンターに移し、溶存酸素
濃度が安定になったところで上記で回収した菌体(イソ
メラーゼ菌20g、アスパルターゼ菌120g)を添加
した。反応中、溶存酸素濃度はおよそ3ppm以下に維
持された。30℃で48時間反応させたところ、反応液
中にL−アスパラギン酸は、133g/l得られた。
【0060】[比較例1]酵素反応 溶存酸素低下処理を行わなかった反応液〈マレイン酸1
50g、25%アンモニア水220ml(水で全量を1
000mlにする)〉を容量3Lのジャーファーメンタ
ーに移し、上記で回収した菌体(イソメラーゼ菌20
g、アスパルターゼ菌120g)を添加し、反応中も特
に溶存酸素低下処理を行わなかった。反応中、溶存酸素
濃度はおよそ7ppmであった。30℃で48時間反応
させたところ、反応液中にL−アスパラギン酸は、10
1g/l得られた。
【0061】[実施例2]リサイクル操作 (A)実施例1(1)と同様にして得られた酵素反応液
を溶存酸素濃度の上昇がないように窒素ガスでシールし
たまま、限外ろ過膜(旭化成社製−ACV−3050)
を用い、菌体を除去した。菌体の濃縮液は、窒素ガスシ
ールの容器に移し、4℃で冷蔵保存した。
【0062】一方、得られた反応濾液1Lを容量2Lの
ナス型フラスコに仕込み、ラボ用エバポレーターを用い
て、80℃、380mmHgの条件下、アンモニアを蒸
留分離した。得られる蒸気の回収を目的に、50wt%
エチレングリコールの冷却水が0℃で循環する冷却管を
とりつけた。15分後、常圧に戻して、アンモニア除去
操作を終了した。
【0063】蒸留釜の残液は、ASPが207g/l、
NH3 が26.5g/lの組成で、825mlの容量で
あった。この残液に蒸留水を加えて、ASPが200g
/l、NH3 が25.9g/lの組成(NH3 /ASP
モル比は1.0、すなわち、全てがASPモノアンモニ
ウム塩)で850mlの釜残液を作成した。冷却管で得
られた回収液は、NH3 が27g/lのアンモニア水1
85mlであった。
【0064】(B)上記(A)で得られたASPモノア
ンモニウム水溶液 850mlを容量1000mlのジ
ャケット付きセパラブルフラスコ内でジャケットに温水
を流すことで60℃に保温し、攪拌しながらMA119
g(MA/ASPモル比は0.80)を添加し、晶析し
た。MAの添加後、攪拌を続けながら30分間60℃で
保温した後、1時間かけ、20℃まで冷却し、さらに3
0分間保温した。
【0065】(C)得られたスラリーは、ヌッチェで固
液分離し、さらに蒸留水 400gでリンスし、減圧
下、約60℃で乾燥したところ、138.5gの白色固
体を得た。得られた固体は、ASPが99.3重量%
で、MAアンモニウム 0.6重量%、FAアンモニウ
ム 0.1重量%を含んでいた。ASPの回収率は、8
0.9%であった。一方、固液分離で得られた母液は、
ASP 27.1g/l、MA 98.6g/l、NH
3 18.6g/lの組成であり、pHは約4.5、容
量1.2Lであった。なお、ここで得られたMAアンモ
ニウムはそのNH3 バランスから見て実質的全てがモノ
アンモニウム塩であった。
【0066】(D)上記(C)で得られた母液 1.2
Lは、80℃、減圧(300〜400mmHg)下、水
を飛ばし濃縮した。得られた濃縮液に25%アンモニア
水、上記(A)で回収したアンモニア水185ml、お
よび蒸留水を添加して、pH9.0、容量約1Lの液を
作成したところ、ASP 32.9g/l、FA 0.
9g/l、MA 119.6g/l、NH3 44.6
g/lの組成であった。
【0067】(E)上記(D)で得られた反応液を、上
記(A)で冷蔵保存した菌体を用い、実施例1(1)と
同様に30℃、48時間酵素反応したところ、得られた
酵素反応液はASP 168g/l、FA 1.1g/
l、MA 0.7g/l、NH 3 27.5g/l、N
3 /ASPモル比は1.27、pHは9であった。
【0068】(F)さらに上記(B)〜(E)と同様の
操作を条件を変えずに3回繰り返した。結果を第1表に
示す。
【0069】
【表1】
【0070】[比較例2]リサイクル操作 (A)比較例1と同様に酵素反応を行い、72時間後に
反応が終了したことを確認した。反応中、溶存酸素濃度
はおよそ7ppmを維持していた。酵素反応液は、限外
ろ過膜(旭化成社製−ACV−3050)を用い、菌体
を除去し、菌体の濃縮液は、容器に移し、4℃で冷蔵保
存した。
【0071】一方、得られた反応濾液1Lを容量2Lの
ナス型フラスコに仕込み、ラボ用エバポレーターを用い
て、80℃、380mmHgの条件下、アンモニアを蒸
留分離した。得られる蒸気の回収を目的に、50wt%
エチレングリコールの冷却水が0℃で循環する冷却管を
とりつけた。15分後、常圧に戻して、アンモニア除去
操作を終了した。
【0072】蒸留釜の残液は、ASPが205g/l、
NH3 が26.3g/lの組成で、820mlの容量で
あった。この残液に蒸留水を加えて、ASPが200g
/l、NH3 が25.9g/lの組成(NH3 /ASP
モル比は1.0、すなわち、全てがASPモノアンモニ
ウム塩)で850mlの釜残液を作成した。冷却管で得
られた回収液は、NH3 が27g/lのアンモニア水1
85mlであった。
【0073】(B)上記(A)で得られたASPモノア
ンモニウム水溶液 850mlを容量1000mlのジ
ャケット付きセパラブルフラスコ内でジャケットに温水
を流すことで60℃に保温し、攪拌しながらMA119
g(MA/ASPモル比は0.80)を添加し、晶析し
た。MAの添加後、攪拌を続けながら30分間60℃で
保温した後、1時間かけ、20℃まで冷却し、さらに3
0分間保温した。
【0074】(C)得られたスラリーは、ヌッチェで固
液分離し、さらに蒸留水 400gでリンスし、減圧
下、約60℃で乾燥したところ、138.5gの白色固
体を得た。得られた固体は、ASPが99.3重量%
で、MAアンモニウム 0.6重量%、FAアンモニウ
ム 0.1重量%を含んでいた。ASPの回収率は、8
0.9%であった。一方、固液分離で得られた母液は、
ASP 27.1g/l、MA 98.6g/l、NH
3 18.6g/lの組成であり、pHは約4.5、容
量1.2Lであった。なお、ここで得られたMAアンモ
ニウムはそのNH3 バランスから見て実質的全てがモノ
アンモニウム塩であった。
【0075】(D)上記(C)で得られた母液 1.2
Lは、80℃、減圧(300〜400mmHg)下、水
を飛ばし濃縮した。得られた濃縮液に25%アンモニア
水、上記(A)で回収したアンモニア水185ml、お
よび蒸留水を添加して、pH9.0、容量約1Lの液を
作成したところ、ASP 32.9g/l、FA 0.
9g/l、MA 119.6g/l、NH3 44.6
g/lの組成であった。
【0076】(E)上記(D)で得られた反応液を、上
記(A)で冷蔵保存した菌体を用い、比較例1と同様に
30℃、72時間酵素反応したところ、得られた酵素反
応液には、ASPが101g/l(反応回収率59%)
含まれていたが、それ以上反応が進行しなかった。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、異性化反応における水
溶液中の溶存酸素量を特定量以下に低減させることによ
り、長期間安定した反応を行なうことができる。
フロントページの続き (72)発明者 三浦 深雪 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マレイン酸及び/又は無水マレイン酸を
    イソメラーゼ又はこれを産生する微生物の存在下異性化
    させる反応、及び、前記異性化反応物の少なくとも一部
    及びアンモニアをアスパルターゼ又はこれを産生する微
    生物の存在下水溶媒中で反応させてL−アスパラギン酸
    アンモニウムを生成させる反応、を順次又は同時に実施
    してL−アスパラギン酸を製造する方法において、少な
    くとも異性化反応における水溶液中の溶存酸素濃度を4
    ppm以下に維持して実施することを特徴とするL−ア
    スパラギン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記水溶液中の溶存酸素濃度を反応に不
    活性なガスと接触させることにより調節することを特徴
    とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記水溶液中の溶存酸素濃度を亜硫酸塩
    を添加することにより調節することを特徴とする請求項
    1記載の方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも異性化反応の水溶液中の溶存
    酸素濃度を0.5ppm以下に維持して実施することを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
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