JPH0931863A - 合成皮革及びその製造方法 - Google Patents

合成皮革及びその製造方法

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JPH0931863A
JPH0931863A JP19698395A JP19698395A JPH0931863A JP H0931863 A JPH0931863 A JP H0931863A JP 19698395 A JP19698395 A JP 19698395A JP 19698395 A JP19698395 A JP 19698395A JP H0931863 A JPH0931863 A JP H0931863A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 合成皮革を構成する最表皮層とならないポリ
ウレタン樹脂層に特定の化合物を含有させ、かつ合成皮
革に貫通孔を設けることにより、各種の悪臭を効果的に
消臭するとともに、任意に着色可能な合成皮革及びその
製造方法を提供する。 【構成】 繊維基材表面にポリウレタン樹脂接着層を介
して単一層又は複数層のポリウレタン樹脂皮膜層が積層
され、最表皮層とならないポリウレタン樹脂皮膜層及び
ポリウレタン接着層から選ばれる少なくとも一つの層
が、消臭剤あるいはマンガン(II)イオンに対しアスコ
ルビン酸及びオキシ多塩基酸から選ばれた少なくとも1
種の酸又はその塩を結合させてなる化合物を含有させる
とともに、合成皮革を貫通する複数の開孔が設けられた
合成皮革。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、悪臭を除去できる消臭
性に優れた合成皮革に関するものであり、特に悪臭の主
成分であるアンモニア、トリメチルアミン、メチルメル
カプタン、及び硫化水素等に対して、優れた消臭効果を
示す合成皮革及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリウレタン樹脂皮膜層を有
する合成皮革は、風合い、外観、物性等に優れているた
め、衣料、手袋、鞄、袋物、靴、家具、車輌用等の材料
として多方面で使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の合成
皮革から得られる各種製品は、悪臭が蓄積したり、発生
したりしている場所で使用されることもあるが、合成皮
革は消臭効果を有するものではなく、悪臭を除去するこ
とができないものであった。また、ポリウレタン合成皮
革に消臭効果を付与するために、合成皮革の最表皮層に
活性炭や硫酸第一鉄等の消臭剤を含有させることが考え
られるが、活性炭は黒色であるために、得られる合成皮
革が黒色または濃色のものに限られ、また、硫酸第一鉄
は空気中の酸素によって褐色に変色し易く、ポリウレタ
ン合成皮革の色調を損なうため、活性炭を用いたポリウ
レタン合成皮革と同様に黒色または濃色に限られ、いず
れのものも種々の美麗な着色が要求される製品の材料と
しては不適であった。
【0004】従って、ポリウレタン合成皮革が消臭剤を
含有していても合成皮革を着色せず、任意の色調に容易
に着色できて、かつ合成皮革が周囲から悪臭を長時間吸
収して悪臭を除去できる消臭性を有するポリウレタン合
成皮革が要望されていた。
【0005】本発明は、上記の従来技術の要望を解決す
るためになされたものであって、任意の色調に着色する
ことが可能で、しかも消臭性に優れるポリウレタン合成
皮革及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の合成皮革は、繊
維基材表面にポリウレタン樹脂接着層を介して単一層又
は複数層のポリウレタン樹脂皮膜層を積層してなる合成
皮革において、最表皮層とならないポリウレタン樹脂皮
膜層及びポリウレタン樹脂接着層から選ばれる少なくと
も一つの層が消臭剤を含有してなるとともに、合成皮革
を貫通する複数の開孔が設けられていることを特徴とす
るものである。また本発明の合成皮革の製造方法は、編
布、織布、不織布等の繊維基材表面にポリウレタン樹脂
接着層を介して単一層又は複数層のポリウレタン樹脂皮
膜層を順次積層して合成皮革を形成させた後、該合成皮
革の裏面側より加熱された金属性の針を挿入し、合成皮
革表面に複数の貫通開孔を設ける合成皮革の製造方法で
あって、前記最表皮層とならないポリウレタン樹脂皮膜
層及びポリウレタン樹脂接着層から選ばれる少なくとも
いずれか一層が消臭剤を含有していることを特徴とする
ものである。
【0007】本発明の合成皮革に使用される繊維基材と
しては、単糸繊度が5デニール以下の繊維からなる編
布、織布、不織布等が挙げられるが、片面又は両面が起
毛又は立毛されているものが好ましい。なお、不織布は
ニードルパンチや高速流体流により絡合処理された不織
布であり、この不織布には予めポリウレタン樹脂や合成
ゴム等の弾性重合体が付与されているもの、或いは付与
されていないもの、いずれであっても使用できる。
【0008】繊維基材を構成する繊維としては、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレ
フィン、ポリビニルアルコール等の合成繊維、綿、麻等
の天然繊維、レーヨン、スフ、アセテート等の再生繊維
の単独又はこれらの混紡繊維、或いは少なくとも一成分
を溶解除去したり、二成分繊維を分割したりすることに
より極細繊維に変性された多成分繊維等を用いることが
できる。
【0009】本発明に使用されるポリウレタン樹脂は、
平均分子量500〜4000のポリマージオール、例え
ば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポ
リエステル・エーテルジオール、ポリカプロラクトンジ
オール、ポリメチルバレロラクトンジオール、ポリカー
ボネートジオール等の中から選ばれる少なくとも一種の
ジオールと、有機ポリイソシアネート、例えば、芳香族
ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジ
イソシアネート、環状基を有する脂肪族ジイソシアネー
ト等の群から選ばれる少なくとも一種の有機ポリイソシ
アネートと、活性水素原子を少なくとも2個有する低分
子化合物を鎖伸長剤、例えば、脂肪族ジオール、脂環族
ジオール、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、ヒドラジ
ン誘導体等の群から選ばれる少なくとも一種の鎖伸長剤
とを反応させて得たポリウレタン樹脂である。これらの
ポリウレタン樹脂は、アミノ酸、シリコーン、フッ素等
を反応させて得た変性ポリウレタン樹脂であってもよ
い。
【0010】上記のポリウレタン樹脂の組成は得られる
合成皮革の指向する用途目的に応じて、風合い、耐加水
分解性、耐光劣化性、耐変色性等の各種性能を満足する
ものの中から適宜選ぶことができる。尚、接着層に使用
するポリウレタン樹脂としては、二成分系ポリウレタン
樹脂を、又、皮膜層に使用するポリウレタン樹脂として
は、一成分系ポリウレタン樹脂を用いるのが好ましい。
【0011】上記接着層及び皮膜層を形成するポリウレ
タン樹脂は、必要に応じて添加される各種の添加剤、例
えば、着色剤、架橋剤、安定剤、天然粉末、充填剤等の
如く公知の添加剤とともに適宜の溶剤に溶解されポリウ
レタン樹脂溶液とされる。
【0012】上記のポリウレタン樹脂を溶解する有機溶
剤として好ましくは、例えば、メチルエチルケトン、メ
チル−n−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、
ジエチルケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等であるが、
アセトン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、ブタノール、トルエン、キシレン、メチルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルス
ルホキシド、N−メチルピロリドン等やこれらの任意の
比率の混合物等も使用することができる。
【0013】本発明の合成皮革において、上記したポリ
ウレタン樹脂に含有される消臭剤としては、活性炭や硫
酸第一鉄など有色のものも使用できるが、より好ましく
は白色又は実質的に無色の消臭剤である。しかも、ポリ
ウレタン樹脂の品質を低下させるものであってはなら
ず、一般家屋内等で生じるアンモニア臭、アミン臭、メ
ルカプタン臭、硫化水素臭等の悪臭を効果的に吸収して
くれるものであることが好ましい。
【0014】本発明の合成皮革に使用される消臭剤とし
て特に好ましくは、マンガン(II)イオンに対しアスコ
ルビン酸及びオキシ多塩基酸から選ばれた少なくとも一
種の酸又はその塩を結合させてなる化合物(以下、単に
「マンガン(II)−有機酸化合物」と記すことがある)
が挙げられる。
【0015】上記のマンガン(II)−有機酸化合物にお
いて、マンガン(II)イオンを形成する化合物の具体例
としては、硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガ
ン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン等のマンガン(II)
無機塩、または酢酸マンガン、没食子酸マンガン、リン
ゴ酸マンガン、フマル酸マンガン等のマンガン(II)有
機塩が挙げられるが、特に、硫酸マンガン、塩化マンガ
ンが好適である。
【0016】マンガン(II)イオンと結合させるアスコ
ルビン酸としては、ビタミンCとして知られているL−
アスコルビン酸であっても、D−アラボアスコルビン酸
又はD−エリソルビン酸ともいわれ、ビタミンCのよう
な生理活性は乏しいが、合成が容易のためよく利用され
るD−アスコルビン酸であっても使用できるが、特に好
ましくは、L−アスコルビン酸である。また、アスコル
ビン酸に代えて、アスコルビン酸のナトリウム、カリウ
ム等のアルカリ金属塩或いはアンモニウム塩を使用する
こともできる。
【0017】オキシ多塩基酸は、水に可溶であれば特に
制限はなく、例えば、クエン酸、イソクエン酸、乳酸、
酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、グルコン酸、オキシ
安息香酸、サリチル酸又はこれらのアルカリ金属塩やア
ンモニウム塩等が挙げられるが、コストなど実用性から
みてクエン酸が好適である。これらのアスコルビン酸並
びにオキシ多塩基酸は、マンガン(II)イオンに配位結
合もしくはキレート結合して、水溶液で安定な化合物を
生成する。
【0018】上記のマンガン(II)−有機酸化合物は、
2価のマンガンイオンを形成する一種以上の化合物の水
溶液に、アスコルビン酸およびオキシ多塩基酸から選ば
れる一種以上の有機酸を適当量添加して、両成分を結合
させた後、噴霧乾燥、凍結乾燥等の手段によって粉末化
することによって得られる。このとき、有機酸としてア
スコルビン酸とオキシ多塩基酸を併用することにより、
悪臭の主成分の一つであるアンモニアおよび硫化水素に
対する消臭効果がより優れた合成皮革を得ることができ
る。また、粉末化したマンガン(II)−有機酸化合物を
さらに公知の手段にて微粉末化したものであってもよ
い。
【0019】マンガン(II)−有機酸化合物において、
マンガン(II)イオンと有機酸の成分比率は特に限定さ
れるものではないが、アスコルビン酸を単独で用いる場
合にあっては、モル比でマンガン(II)イオン1に対
し、アスコルビン酸0.1〜1.0の範囲が好ましく、
より好ましくはマンガン(II)イオン1に対し、アスコ
ルビン酸0.25〜0.75の範囲である。また、酸成
分がオキシ多塩基酸単独である場合は、モル比でマンガ
ン(II)イオン1に対し、オキシ多塩基酸0.5〜1.
0が好ましく、より好ましくはマンガン(II)イオン1
に対し、オキシ多塩基酸0.75〜1.0である。
【0020】更に、有機酸として、アスコルビン酸と多
塩基酸を併用して用いる場合は、モル比でマンガン(I
I)イオン1に対し、アスコルビン酸とオキシ多塩基酸
のトータルを0.5〜1.5とするのが好ましく、より
好ましくはアスコルビン酸とオキシ多塩基酸のトータル
が0.75〜1.25である。
【0021】本発明に使用する消臭剤の添加量は、添加
する消臭剤の種類、添加しようとするポリウレタン樹脂
層の位置などによって適宜選定される。例えば、マンガ
ン(II)−有機酸化合物を使用するときの添加量として
好ましくは、ポリウレタン樹脂等の樹脂固形分100重
量部に対して0.5〜50重量部である。マンガン(I
I)−有機酸化合物の添加量が少なすぎると、本発明の
主目的である消臭効果が充分に発揮されず、多すぎる
と、それなりに消臭効果は向上するが、得られる合成皮
革の強度低下が著しく、風合いが硬くなる。また、活性
炭や硫酸第一鉄などの消臭剤を使用する場合は、ポリウ
レタン樹脂等の樹脂固形分100重量部に対して1〜5
0重量部程度添加するのが好ましい。
【0022】本発明の合成皮革においては、繊維基材と
ポリウレタン樹脂皮膜層との間に発泡層あるいは非発泡
層を設けることもできる。この発泡層はポリウレタン樹
脂の湿式多孔質層、乾式多孔質層又は乾式発泡層のいず
れでもよい。これらの発泡層は、繊維基材に直接に発泡
層を形成する方法、繊維基材に接着剤を介して発泡層を
形成する方法等の公知の方法によって形成される。
【0023】本発明に使用される消臭剤の粒子径は、使
用する消臭剤の種類によって適宜選定される。例えば、
マンガン(II)−有機酸化合物を使用する場合では、該
マンガン(II)−有機酸化合物の平均粒子径を50μm
以下、好ましくは30μm 以下とする。マンガン(II)
−有機酸化合物の平均粒子径が大きすぎると、ポリウレ
タン樹脂層を形成する際にスジ発生の原因になる。
【0024】次に、本発明の合成皮革の製造方法につい
て説明する。なお、本発明の合成皮革の製造方法とし
て、ここでは、ペーパー・キャスティング法による製造
方法を例にとって説明する。
【0025】先ず、表面に凹凸紋様のある離型紙の表面
上に、一成分系ポリウレタン樹脂溶液をナイフコーター
等の手段により塗布し、乾燥してポリウレタン樹脂をゲ
ル化させて皮膜層を形成させ、更に該皮膜層上にマンガ
ン(II)−有機酸化合物と架橋剤と促進剤を含有した二
成分系ポリウレタン樹脂溶液からなる接着剤をナイフコ
ーター等の手段により塗布する。次いで、この接着剤上
に繊維基材を載置圧着し、乾燥して巻き取った後、数日
間反応熟成のため保温して、ポリウレタン樹脂接着剤の
反応を完結させるとともに、繊維基材と接着層、接着層
と皮膜層との密着性を完全なものとする。この後、離型
紙を剥離することによって、離型紙の表面の凹凸紋様が
ポリウレタン樹脂皮膜層に転写されて、天然皮革の表面
に酷似した外観を有する合成皮革が得られる。尚、ポリ
ウレタン樹脂溶液にマンガン(II)−有機酸化合物を混
合する際には、マンガン(II)−有機酸化合物は有機溶
剤に不溶であるため、ポリウレタン樹脂の希釈に使用す
る溶剤に均一に分散させた後ポリウレタン樹脂溶液の組
成物と混合される。その後、該合成皮革の裏面側より加
熱された金属性の針を挿入して合成皮革表面に合成皮革
を貫通する複数の開孔を設ける。
【0026】上記の合成皮革の製造方法において、各層
を得るための塗布量は、その目的用途に応じて広い範囲
で変化させることができ、約10〜1500g/m2(配
合液)の範囲で適宜選定される。また、各ポリウレタン
樹脂層を得るためのゲル化及び乾燥は、いずれも従来技
術同様でよいものであり、例えば、50〜150℃程度
の温度で数分間〜数時間(但し、二成分系ポリウレタン
樹脂の場合は更に数十時間の反応硬化)の乾燥で優れた
特性を有する合成皮革が得られる。
【0027】上記の合成皮革の製造方法において、該合
成皮革表面に設けられる開孔の形状は、必ずしも限定さ
れず、穿孔突起の形状により決定される形状であっても
よく、特に、円形が好ましい。開孔の大きさは、有効開
孔面積として、0.03〜7mm2 程度の大きさがよく、
また開孔率は、合成皮革面積に対し1〜40%程度に設
けられているのがよい。有効開孔面積が0.03mm2
下では開孔が小さすぎて消臭性が得られず、7mm2 を越
えると合成皮革の外観を損なう。また開孔率が1%以下
では開孔の数が少なすぎて消臭性が得られず、40%を
越えると合成皮革の強度が低下する。合成皮革表面に開
孔を設けるための装置としては、金属性の針が多数配列
された熱ロール及びその受けロール等が使用できる。金
属性の針は、予め80〜200℃の温度に加熱されてい
ることが好ましい。
【0028】本発明の合成皮革表面には、上記の有効開
孔面積及び開孔率の範囲内であれば、必要に応じて従来
より行われているグラビアロールコーター等にて表面処
理層を設けることもできる。合成皮革表面に表面処理層
を設ける工程は、合成皮革に開孔を設ける前であっても
よく、また開孔を設けた後であってもよい。上記表面処
理層を形成する合成樹脂溶液としては、上記したポリウ
レタン樹脂溶液の他、ポリアミド樹脂溶液、アクリル系
樹脂溶液、ポリアミノ酸樹脂溶液、シリコーン樹脂溶液
等が使用できる。また、これらの表面処理層を形成する
合成樹脂溶液にも必要に応じて各種の添加剤、例えば、
着色剤、架橋剤、安定剤、天然粉末、充填剤等の如く公
知の添加剤を適宜配合することができる。
【0029】
【作用】本発明の合成皮革は、ポリウレタン樹脂層に消
臭剤を含有させ、かつ合成皮革を貫通する開孔を設ける
ことにより、任意に着色可能でありながら、優れた消臭
性を付与させることができ、例えば、悪臭や異臭が発生
したり、蓄積する場所で使用される靴、手袋、鞄、袋
物、家具、車両用等の素材として有用である。
【0030】
【実施例】以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更
に詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定
されるものではない。なお、文中、部又は%とあるのは
特に断りのない限り重量基準である。
【0031】実施例1 絞付き離型紙上に、ポリカーボネート系ポリウレタン樹
脂100部(固形分25%)、着色剤15部、及び希釈
溶剤としてジメチルホルムアミド15部を配合して得ら
れるポリウレタン樹脂配合液をナイフコーターで100
g/m2・Wetの量で塗布し、110℃で2分間加熱乾燥
させポリウレタン樹脂皮膜層を形成し、これを表皮層と
した。
【0032】次に、前記表皮層表面に、硫酸マンガン1
モルとLーアスコルビン酸0.5モルとクエン酸0.5
モルとから得られたマンガン(II)−有機酸化合物5部
とポリエーテル系ポリウレタン樹脂100部(固形分3
0%)、着色剤20部、及び希釈溶剤としてジメチルホ
ルムアミド20部とメチルエチルケトン20部とを配合
して得られるポリウレタン樹脂配合液をナイフコーター
で110g/m2・Wetの量で塗布し、110℃で2分間
加熱乾燥させポリウレタン樹脂皮膜層を形成し、これを
中皮層とした。
【0033】更に、前記中皮層表面に、二成分系ポリエ
ーテル系ポリウレタン樹脂100部(固形分65%)、
架橋剤13部、促進剤5部、及び希釈溶剤としてジメチ
ルホルムアミド10部とトルエン10部とを配合して得
られるポリウレタン樹脂配合液をナイフコーターで13
0g/m2・Wetの量で塗布し、100℃で30秒間予備
乾燥し、この表面に基材としてポリエステルトリコット
粗起毛布の起毛面を貼り合わせて120℃で3分間加熱
乾燥し、巻き取り後50℃で48時間熟成して接着剤を
硬化する。その後離型紙を剥離して家具用素材として好
適な合成皮革を得た。
【0034】上記の如くして得られた合成皮革を針の直
径1mm、針のピッチ2mm、及び針の温度120℃にて加
熱針入れ装置にかけて基材面側より針入れを行ない、表
面層まで貫通する開孔率が約19%の開孔(有効開孔面
積0.79mm2 )を設けた。また、この得られた合成皮
革について下記の方法で消臭効果を測定した。結果を表
1に示す。
【0035】〔消臭試験方法〕 (1)アンモニア 3リットル容のポリエステルフイルム製の臭い袋に、試
料(サイズ180×250mm,1枚)を入れ、試料の入
っている臭い袋に清浄空気3リットルを入れて密封す
る。臭い袋中のアンモニアの初期濃度を500ppm とす
るのに必要な28%水溶液3.8マイクロリットルをマ
イクロシリンジに採取し、臭い袋中に注入して密封す
る。完全にガス化させた後、25℃に保存し、30分
後、60分後のアンモニア濃度を北川式ガス検知管にて
測定する。
【0036】(2)硫化水素 3リットル容のポリエステルフイルム製の臭い袋に、試
料(サイズ180×250mm,1枚)を入れ、試料の入
っている臭い袋に清浄空気3リットルを入れて密封す
る。臭い袋中の硫化水素の初期濃度を300ppm とする
のに必要な9.4%濃度の硫化水素ガス9.6ミリリッ
トルをガスタイトシリンジに採取し、臭い袋中に注入し
て密封する。25℃に保存し、30分後、60分後の硫
化水素濃度を北川式ガス検知管にて測定する。
【0037】(3)トリメチルアミン 3リットル容のポリエステルフイルム製の臭い袋に、試
料(サイズ180×250mm,1枚)を入れ、試料の入
っている臭い袋に清浄空気3リットルを入れて密封す
る。臭い袋中のトリメチルアミンの初期濃度を50ppm
とするのに必要な30%トリメチルアミン水溶液1.2
マイクロリットルをマイクロシリンジに採取し、臭い袋
中に注入して密封する。25℃に保存し、30分後、6
0分後のトリメチルアミン濃度をガステック式ガス検知
管にて測定する。
【0038】(4)メチルメルカプタン 3リットル容のポリエステルフイルム製の臭い袋に、試
料(サイズ180×250mm,1枚)を入れ、試料の入
っている臭い袋に清浄空気3リットルを入れて密封す
る。臭い袋中のメチルメルカプタンの初期濃度を100
ppm とするのに必要なメチルメルカプタンガス0.3ミ
リリットルをガスタイトシリンジに採取し、臭い袋中に
注入して密封する。25℃に保存し、30分後、60分
後のメチルメルカプタン濃度を北川式ガス検知管にて測
定する。
【0039】実施例2 絞付き離型紙上に、ポリエステル系ポリウレタン樹脂1
00部(固形分30%)、着色剤20部、及び希釈溶剤
としてジメチルホルムアミド20部とメチルエチルケト
ン20部とを配合して得られるポリウレタン樹脂配合液
をナイフコーターで120g/m2・Wetの量で塗布し、
110℃で3分間加熱乾燥させポリウレタン樹脂皮膜層
を形成し、これを表皮層とした。
【0040】次に、前記表皮層表面に、硫酸マンガン1
モルとLーアスコルビン酸0.5モルとクエン酸0.7
5モルとから得られたマンガン(II)−有機酸化合物1
0部と二成分系ポリエステル系ポリウレタン樹脂100
部(固形分70%)、架橋剤15部、促進剤5部、及び
希釈溶剤としてジメチルホルムアミド10部とトルエン
10部とを配合して得られるポリウレタン樹脂配合液を
ナイフコーターで120g/m2・Wetの量で塗布し、1
00℃で30秒間予備乾燥し、この表面に基材としてポ
リエステル/ポリアミド不織布を貼り合わせて120℃
で3分間加熱乾燥し、巻き取り後50℃で48時間熟成
して接着剤を硬化する。その後離型紙を剥離して靴裏用
素材として好適な合成皮革を得た。
【0041】上記の如くして得られた合成皮革を針の直
径0.5mm、針のピッチ1.5mm、及び針の温度130
℃にて加熱針入れ装置にかけて基材面側より針入れを行
ない、表面層まで貫通する開孔率が約9%の開孔(有効
開孔面積0.20mm2 )を設けた。また、この得られた
合成皮革について実施例1と同様の方法で消臭効果を測
定した。結果を表1に示す。
【0042】実施例3 マンガン(II)−有機酸化合物を硫酸マンガン1モルと
L−アスコルビン酸0.5モルとから得られたマンガン
(II)−有機酸化合物に代える以外は、実施例1と同様
にして合成皮革を得た。また、この得られた合成皮革に
ついて実施例1と同様の方法で消臭効果を測定した。結
果を表1に示す。
【0043】実施例4 マンガン(II)−有機酸化合物を硫酸マンガン1モルと
クエン酸0.75モルとから得られたマンガン(II)−
有機酸化合物に代える以外は、実施例1と同様にして合
成皮革を得た。また、この得られた合成皮革について実
施例1と同様の方法で消臭効果を測定した。結果を表1
に示す。
【0044】実施例5 マンガン(II)−有機酸化合物に代えて、活性炭を添加
する以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。ま
た、この得られた合成皮革について実施例1と同様の方
法で消臭効果を測定した。結果を表1に示す。
【0045】比較例1 マンガン(II)−有機酸化合物を添加しない以外は実施
例1と同様にして合成皮革を得た。また、得られた合成
皮革について実施例1と同様の方法で消臭効果を測定し
た。結果を表1に示す。
【0046】比較例2 マンガン(II)−有機酸化合物を添加しない以外は実施
例2と同様にして合成皮革を得た。また、得られた合成
皮革について実施例1と同様の方法で消臭効果を測定し
た。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明の合成皮革は、特に、アンモニ
ア、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、硫化水素
等の四大悪臭成分を含む数多くの悪臭ガスに対して優れ
た消臭効果が長期間にわたって持続するとともに、任意
に着色可能で、かつ褐色に変色することもなく、衣料、
手袋、鞄、袋物、靴、家具、車両用等の材料として特に
好適に使用することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維基材表面にポリウレタン樹脂接着層
    を介して単一層又は複数層のポリウレタン樹脂皮膜層が
    積層されてなる合成皮革において、最表皮層とならない
    ポリウレタン樹脂皮膜層及びポリウレタン樹脂接着層か
    ら選ばれる少なくとも一つの層が消臭剤を含有してなる
    とともに、合成皮革を貫通する複数の開孔が設けられて
    いることを特徴とする合成皮革。
  2. 【請求項2】 消臭剤がマンガン(II)イオンに対しア
    スコルビン酸及びオキシ多塩基酸から選ばれた少なくと
    も一種の酸又はその塩を結合させてなる化合物である請
    求項1に記載の合成皮革。
  3. 【請求項3】 前記合成皮革において、合成皮革を貫通
    する開孔が、有効開孔面積0.03〜7mm2 であり、開
    孔率が該合成皮革の面積に対して1〜40%である請求
    項1に記載の合成皮革。
  4. 【請求項4】 編布、織布、不織布等の繊維基材表面に
    ポリウレタン樹脂接着層を介して単一層又は複数層のポ
    リウレタン樹脂皮膜層を順次積層して合成皮革を形成さ
    せた後、該合成皮革の裏面側より加熱された金属性の針
    を挿入し、合成皮革表面に複数の貫通開孔を設ける合成
    皮革の製造方法であって、前記最表皮層とならないポリ
    ウレタン樹脂皮膜層及びポリウレタン樹脂接着層から選
    ばれる少なくとも一つの層が消臭剤を含有していること
    を特徴とする合成皮革の製造方法。
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