JPH09318200A - 冷凍システム - Google Patents

冷凍システム

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JPH09318200A
JPH09318200A JP8133898A JP13389896A JPH09318200A JP H09318200 A JPH09318200 A JP H09318200A JP 8133898 A JP8133898 A JP 8133898A JP 13389896 A JP13389896 A JP 13389896A JP H09318200 A JPH09318200 A JP H09318200A
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JP
Japan
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refrigerant
metal
refrigeration system
chemical adsorption
adsorption film
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Application number
JP8133898A
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English (en)
Inventor
Keizo Nakajima
啓造 中島
Narihiro Sato
成広 佐藤
Katsuya Wakita
克也 脇田
Yusuke Ozaki
祐介 尾崎
Tetsuji Kawakami
哲司 川上
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 代替冷媒を用いた冷凍システムでは、代替冷
媒対応冷凍機油自身の加水分解による酸の生成が引き起
こす配管金属の腐食や、システム内汚染物質のキャピラ
リーチューブへの詰まりによって、冷凍能力の低下を招
く可能性があった。 【解決手段】 圧縮部1、凝縮部2、膨張部3、蒸発部
4とからなる密閉された冷凍サイクルを有する冷凍シス
テムにおいて、冷媒と冷凍機油がシステム内を循環する
ことによって接触する金属配管の内面のすべてあるいは
一部を、化学吸着膜によって表面処理をすることによっ
て、冷媒、冷凍機油、加工油及びその他システム内に含
有する有機物と配管金属との反応性を抑えることができ
る。また、膨張部3の内面を、化学吸着膜によって表面
処理をすることによって、金属との反応性を抑えると共
に、堆積物の蓄積を防ぐことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気冷蔵庫、エア
コンなどに使用される冷凍システムに関するもので、特
にシステムの配管内の表面処理、さらにキャピラリーチ
ューブなどの膨張部分の配管内表面処理によって、金属
との反応性を抑え、堆積物の蓄積を防ぐことができる冷
凍システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から使用されている冷凍サイクルに
ついて、概略図を参照しながら説明する。図1は電気冷
蔵庫やエアコンなど一般的な冷凍サイクルの基本構成を
示す図である。冷凍サイクルは、圧縮機1、凝縮器2、
キャピラリーチューブ3、蒸発器4を、順に閉ループに
接続して構成される。この冷凍サイクルにおいて、封入
されている冷媒Aは、圧縮機1にて高温高圧状態に圧縮
され、凝縮器2で液化し、キャピラリーチューブ3を通
って蒸発器4に至り、この蒸発器4では周囲から熱を奪
って気化し、再び圧縮機1へと戻る、という循環を行う
ことで冷却を行っている。
【0003】ところで従来より、冷凍機、冷蔵庫、空調
機などの冷凍サイクルにおいては、冷媒としてフッ素と
塩素を含むフロン、例えばクロロフルオロカーボン(C
FC)であるR11(トリクロロモノフルオロメタン)
やR12(ジクロロジフルオロメタン)、ハイドロクロ
ロフルオロカーボン(HCFC)であるR22(モノク
ロロジフルオロメタン)などが使用されていた。分子中
に含まれる塩素は、冷凍機システム内では摺動面の金属
と反応して摩耗を防止するという好ましい効果を持って
いるが、この種のフロン化合物は、大気中に放出された
場合に、そのほとんどが分解されず、成層圏のオゾン層
を破壊し、生体系に悪影響を及ぼすとして国際的に使用
が規制されつつある。そのため、これら塩素を含まない
代替フロン物質の検討が広くなされており、この種の冷
凍サイクルの冷媒としても、従来のフロンに代えて,R
134a等のいわゆる代替フロンを使用することが考え
られている。
【0004】さらに、これら新規な代替フロンを冷凍シ
ステム用冷媒として用いた場合には、冷凍機油として従
来から使用してきた鉱油との相溶性が良くないため、相
溶性が良好な油として、多価アルコールの脂肪酸エステ
ル系油がその第1候補として提案され、検討が進められ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】R134a等の代替フ
ロンに対して、相溶性を有し、潤滑油として有望視され
ているエステル系油は従来の鉱油などと比べると、極性
や、吸水性が高いことが問題として上げられる。極性が
高いと、冷凍システム内材料として従来の塩素系冷媒−
鉱油の組み合わせでにおいて用いられてきた、ガスケッ
トなどに用いられているゴム材自身または、それに添加
されている有機物などを溶解したり、膨潤させたりする
可能性がある。また、システム内の各部材の組立や製造
に用いられている工程油などもエステル系油は溶解して
しまう。冷凍機油自身のそれら有機物に対する溶解能力
が充分大きいものであれば、問題はないようにも思われ
るが、システム内に均一に有機物、冷凍機油が分散され
ているわけではなく、かつ温度分布も存在することか
ら、これら一度溶解した物質は析出してくる可能性が極
めて高い。このように発生した析出物は一般にコンタミ
ネーションと呼ばれるが、この発生したコンタミネーシ
ョンはキャピラリーチューブ内などで堆積することによ
って冷媒の流れを阻害し、冷凍システムの冷凍能力を低
下させてしまう。
【0006】また、吸水性が高いとエステル系油では、
油自身の加水分解反応が容易に起こり、酸を生成するこ
とが考えられ、生成した酸と金属が反応して得られる金
属塩などが析出する可能性もある。
【0007】さらにまた、通常冷凍サイクルの配管とし
て用いられる鉄、銅などの内表面は、自然被膜にて保護
されているが、冷媒の流れや加水分解により生成した酸
によって破壊され、その破壊された部分の表面が活性と
なり腐食(イオンとして溶解、鉄、銅、鉄酸化物または
銅酸化物など)が進行する。
【0008】システム内残留水分量の管理、各構成部品
の予備洗浄、耐エステル系材料の選択などでキャピラリ
ーチューブの閉塞現象や配管腐食などは極力抑えること
は可能であるが、実際上完全になくすることは極めて困
難である。またエステル油自身についても、耐加水分解
性を向上させることはある程度できるが、油の材料変更
のみで充分な特性を得ることは難しい。つまり、エステ
ル系油を用いる場合には上記で述べたような原因によっ
て、冷凍能力の低下を招く可能性がある。
【0009】本発明は上記従来の冷凍サイクルの課題に
鑑みてなされたもので、どのような組み合わせの冷媒、
冷凍機油を選んでも、冷媒の流路がコンタミネーション
によって詰まってしまったり、配管が酸などとの反応に
よって腐食してしまうことを防止することができる冷凍
システムを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の問題点に
鑑みて、本発明者らは、フロンR134a等の代替冷
媒、冷凍機油としてエステル油を用いた場合にでも、キ
ャピラリーチューブでの詰まりや配管内腐食の防止がで
きるべく鋭意研究を重ねた。その結果、冷凍システム内
の金属配管の内表面をある種の表面処理をすることによ
って、前記目的を達することを見い出し、本発明を完成
するに至った。
【0011】すなわち本発明は、冷媒を圧縮する圧縮部
と、前記圧縮された冷媒を凝縮する凝縮部と、前記凝縮
された冷媒を膨張させる膨張部と、前記膨張した冷媒を
蒸発させる蒸発部とからなる密閉された冷凍サイクルを
有する冷凍システムにおいて、冷媒と冷凍機油がシステ
ム内を循環することによって接触する金属配管の内面の
すべてあるいは一部を、化学吸着膜によって表面処理を
することによって、冷媒、冷凍機油、加工油及びその他
システム内に含有する有機物と配管金属との反応性を抑
えることを特徴とするものである。
【0012】また前記膨張部の内面を化学吸着膜によっ
て表面処理をすることによって、金属との反応性を抑え
ると共に、堆積物の蓄積を防ぐことを特徴とする冷凍シ
ステムである。
【0013】さらに本発明は、前記配管金属の内面及び
/または前記膨張部の内面を、加熱処理法、クロム酸塩
処理法、リン酸塩処理法、オゾン酸化法、酸素を含むプ
ラズマ処理法、コロナ処理法、あるいは紫外線照射法よ
り選ばれる少なくとも一種の方法によって、酸化、親水
性化した金属材料に、前記化学吸着膜による表面処理を
行うことを特徴とする冷凍システムである。また前記化
学吸着膜が、シロキサン結合を介したフッ化アルキル基
を含有することを特徴とする冷凍システムである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。本発明の冷凍システムの実
施の形態は、冷媒を圧縮する圧縮部1と、圧縮された冷
媒を凝縮する凝縮部2と、凝縮された冷媒を膨張させる
膨張部3と、膨張した冷媒を蒸発させる蒸発部4とから
なる密閉された冷凍サイクルを有する冷凍システムにお
いて、冷媒と冷凍機油がシステム内を循環することによ
って接触する金属配管の内面のすべてあるいは一部を、
化学吸着膜によって表面処理をすることによって、冷
媒、冷凍機油、加工油及びその他システム内に含有する
有機物と金属配管との反応性を抑えることを特徴とする
システムである。つまり、圧縮部1、凝縮部2、膨張部
3、及び蒸発部4のそれぞれの部及び各部間の金属配管
の内面に表面処理を施してあるため、冷凍システム内に
存在する有機物と金属との直接的な接触や反応を防ぐこ
とができる。また、一般の物理吸着膜とは異なり、金属
表面と化学吸着された膜を用いているために、冷媒の流
れで金属被膜が破壊されたり、加水分解により生じた酸
との反応で腐食が生じるようなことはない。また本発明
で用いる化学吸着膜は、ナノメータないしオングストロ
ーム単位の極薄い膜であるので、基材の熱力学的特性、
機械特性を損ねることがない。
【0015】本発明の実施の形態の表面処理に用いる化
学吸着膜の化学組成としては、オルガノシロキサン結合
鎖およびクロロシリル基を少なくとも1個含む構造であ
るが好ましい。また、それらを基体表面に加工するため
の媒体として、それらを1〜30wt%含む粘性液体ま
たは固形状媒体を介すればよく、化学吸着膜の組成物に
対して不活性な非水系の有機物であれば何でも使用でき
る。例えば、石油系の溶剤や、低分子のシリコーン、パ
ラフィン系ワックスなどが使用できる。具体的には、石
油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベン
ジン、リグロイン、ジメチルシリコーン、フェニルシリ
コーン、アルキル変性シリコーン、パラフィンワック
ス、ポリエチレンワックスなどを挙げることができる。
これらは1種類単独で用いても良いし、2種類以上を組
み合わせても良い。
【0016】この化学吸着膜の反応過程の様子を示した
ものを図2に示す。作成方法としては例えば、親水性基
を表面に含む基体に対して、少なくともクロロシリル基
を1個含む化学吸着剤と非水系の粘性液体または固形状
媒体を含有する表面処理剤を塗布し、その後室温(10
0℃程度までなら加熱しても良い)で、基体表面と少な
くともクロロシリル基を1個含む物質とを反応させると
共に乾燥させる。このとき基体表面に活性水素が含まれ
ていると前記クロロシリル基と活性水素で脱塩酸反応が
生じ、共有結合で固定される。その後、未反応の表面処
理剤をふき取るか洗剤と水で洗い流す。このとき、少な
くともクロロシリル基を1個含む化学吸着分子は空気中
の水分とも反応するが、非水系の粘性液体または固形状
媒体は、基体表面の活性水素とクロロシリル基との脱塩
酸反応を妨げる空気中の水分から、表面処理剤と基体と
の界面部、即ち基体表面での反応が妨げられないように
保護する機能がある。また、沸点が200℃プラスマイ
ナス50℃程度の溶媒を含む媒体であれば、溶媒の蒸発
は適度であり、クロロシリル基と水との反応即ちHCl
の発生を穏やかにすることが可能である。
【0017】従ってこの処理により、少なくともクロロ
シリル基を1個有する物質が、Si原子を介して基体表
面に共有結合で固定されたオルガノシロキサン系の超薄
膜を基体表面に形成することができる。
【0018】さらに、膨張部3として用いられるキャピ
ラリーチューブの内面にこの表面処理を行うことによっ
て、冷媒の流速、流量変化による金属被膜の破壊を防ぐ
と共に、撥油性の効果のために堆積物が蓄積することな
く、キャピラリーチューブの閉塞現象が見られなくな
る。
【0019】一般に、金属はその表面に多くの水酸基を
含んでいるが、水酸基が僅かしかない場合には加熱処理
法、クロム酸塩処理法、リン酸塩処理法、オゾン酸化
法、酸素を含むプラズマ処理法、コロナ処理法、あるい
は紫外線照射法などの方法によって、酸化、親水性にす
ることができる。
【0020】本発明に用いられる化学吸着膜のさらに好
ましい構成によれば、シロキサン結合を介したフッ化ア
ルキル基を含有するものであり、それらの膜はフッ化ア
ルキル基を有するクロロシラン系界面活性剤を用いるこ
とによって作成することが可能である。
【0021】例えばフッ化アルキル基を有するクロロシ
ラン系界面活性剤としては、CF3(CF27(CH2
2SiCl3,CF3CH2O(CH215SiCl3,CF
3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3,F
(CF24(CH2 2Si(CH32(CH29SiC
3,F(CF23(CH22Si(CH32(CH2
9SiCl3,CF3COO(CH215SiCl3,CF3
(CF25(CH22SiCl3などのようなトリクロ
ロシラン系界面活性剤をはじめ、例えば、CF3(C
27(CH22SiCln(CH33-n,CF3(CF
27(CH22SiCln(C253-n,CF3(C
215SiCln(CH33-n,CF3(CH215Si
CLn(C253-n,CF3(CH22Si(CH32
(CH215SiCln(CH33-n,F(CF24(C
22Si(CH32(CH29SiCln(C25
3-n,F(CF23(CH22Si(CH32(CH2
9SiCln(CH33-n,CF3COO(CH215Si
Cln(CH33-n,CF3(CF25(CH22SiC
n(CH33-n(但し式中のnは何れも1または2)
などのような低級アルキル基置換のモノクロロシラン系
あるいはジクロロシラン系界面活性剤が挙げられる。こ
れらの中でも特にトリクロロシラン系界面活性剤の親水
性基と結合したクロロシリル結合以外のクロロシリル結
合が、隣り合うクロロシラン基とシロキサン結合で分子
間結合を形成するため、より強固な化学吸着膜となるこ
とから好ましい。また、CF3(CF2nCH2CH2
iCl3(但し式中のnは整数であり、3〜25程度が
最も扱いやすい)が、溶剤溶解性、化学吸着性と撥水・
防汚性などの機能性との釣り合いが取れているため好ま
しい。さらにまた、フッ化アルキル鎖部分にエチレン基
やアセチレン基を組み込んでおけば、化学吸着膜形成
後、電子線照射で架橋できるので、さらに化学吸着膜自
体の硬度を向上させることも可能である。
【0022】本発明に使用できるクロロシラン系界面活
性剤は、上述に例示したように直鎖だけでなく、フッ化
アルキル基または炭化水素基が分岐した形状でも、また
は末端のケイ素にフッ化アルキル基もしくは炭化水素基
が置換した形状(即ち R,R1,R2,R3をフッ化アル
キル基または炭化水素基として一般式R2SiCl2,R
3SiCl,R12SiCl2,もしくはR123Si
Clなど)であってもよいが、吸着密度を高めるために
は一般には直鎖状が好ましい。
【0023】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。 (実施例1)石油系溶剤として、n−パラフィン(b
p.180〜210℃)を30g,シリコーンとして、
シリコーンオイル(信越化学工業製KF−96,100
0cps)を18g,パラフィン系ワックスとしてパラ
フィン(和光純薬製、mp95℃)を20g、それぞれ
を混合し100℃に加熱しながら撹拌し、表面処理剤の
溶液を作成した。その後、クロロシリル基を含む化学吸
着剤として(CH33SiO−(Si(CH32O)3-
SiCl3を6g、表面処理剤の溶液に加え、室温まで
冷却した。
【0024】銅製のパイプ(内径3.2mm、長さ1
m)を充分乾燥させた後、前記のように調整した表面処
理剤の中を通す。その後20〜30分室温にて放置して
おくと、n−パラフィンが蒸発して塗膜が形成された。
このとき、銅パイプの内表面には親水性の水酸基が含ま
れているので、化学吸着剤のクロロシリル(−SiC
l)基と前記水酸基が反応し、脱塩酸反応が生じ銅パイ
プ内表面全面に亘り、下記式(化1)で表される共有結
合が生成される。
【0025】
【化1】
【0026】その後、余分の表面処理剤を充分洗い流
し、残りのクロロシリル基は空気中の水分と反応し、多
数の化学吸着分子がSiOのネットワーク結合を介して
銅パイプの内表面に下記式(化2)で示される共有結合
で固定されたシロキサン系被膜を形成することができ
た。なお被膜の生成はFT−irで確認された。
【0027】
【化2】
【0028】以上のように作成した銅パイプを圧縮機と
凝縮器の配管として使用した冷凍システムを組み立て、
冷媒としてR134a、冷凍機油としてエステル油(粘
度約25)を封入する。さらに水10ml、及び酸素1
000mlを添加して加速試験を行った。加速試験の条
件は、冷凍システムを23時間連続運転および1時間停
止を1サイクルとする断続運転を行い、運転時間が10
00時間となるまで試験を行った。試験終了後、銅パイ
プを取り外し、その内表面の微視的観察を行ったが、付
着生成物は全くなく、また冷凍システム内の他の箇所に
も銅由来の析出物や、銅とシステム内有機物との反応に
よるコンタミ生成物の発生は見られなかった。 (実施例2)実施例1で使用した化学吸着剤入り表面処
理剤の溶液を用いて、キャピラリーチューブとして用い
る銅製のパイプ(内径1mm、長さ1m)を同様に表面
処理した。
【0029】このとき、以下のような方法でキャピラリ
ーチューブの試験前後での流量変化を測定することによ
ってその詰まり具合、劣化の様子を評価した。
【0030】圧力ボンベ内に冷媒R134aを充填し、
空気にて加圧(2Kg/cm2)することにより、冷媒
R134aをキャピラリーチューブに流し、一定温度で
一定時間(5分)に流れた量を測定した。
【0031】次にこのキャピラリーチューブを使用した
冷凍システムを組み立て、冷媒としてR134a、冷凍
機油としてエステル油(粘度約25)を封入する。さら
に水10ml、及び酸素1000mlを添加して加速試
験を行った。加速試験の条件は、冷凍システムを23時
間連続運転および1時間停止を1サイクルとする断続運
転を行い、運転時間が1000時間となるまで試験を行
った。試験終了後、キャピラリーチューブを取り外し、
再び上記と同じ条件にてチューブ内の流量測定を行い、
運転前の値との差を運転前の値に対する流量変化量
(%)とした。その結果流量変化量は、組み立て前のそ
の値に比べ、2.3%減少していたが、キャピラリーチ
ューブ内には析出物は全く見られなかった。 (比較例1)表面処理の施していない銅製のパイプ(内
径1mm、長さ1m)をキャピラリーチューブ用材料と
して準備した。組み立て前の測定及び、冷凍システムの
組立と加速実験、試験終了後の評価を実施例2と同様に
行った。流量変化量は15.8%であり、化学吸着膜で
処理したキャピラリーチューブに比べ、大幅に流量が落
ちていることがわかった。さらに、キャピラリーチュー
ブ内にかなりの析出物が見られた。 (実施例3)石油系溶剤として、n−パラフィン(b
p.180〜210℃)を30g,シリコーンとして、
シリコーンオイル(信越化学工業製KF−96,100
0cps)を18g,パラフィン系ワックスとしてパラ
フィン(和光純薬製、mp95℃)を20g、それぞれ
を混合し100℃に加熱しながら撹拌し、表面処理剤の
溶液を作成した。その後クロロシリル基を含む化学吸着
剤として、CF3(CF25(CH22SiCl3を8
g、表面処理剤の溶液に加え、室温まで冷却した。
【0032】銅製のパイプ(内径1mm、長さ1m)を
充分乾燥させた後、前記のように調整した表面処理剤の
中を通す。その後20〜30分室温にて放置しておく
と、n−パラフィンが蒸発して塗膜が形成された。この
とき、銅パイプの内表面には親水性の水酸基が多く含ま
れているので、化学吸着剤のクロロシリル(−SiC
l)基と前記水酸基が反応し、脱塩酸反応が生じ銅パイ
プ内表面全面に亘り、下記式(化3)で表される共有結
合が生成される。
【0033】
【化3】
【0034】その後、余分の表面処理剤充分洗い流す
と、残りのクロロシリル基は空気中の水分と反応し、多
数の化学吸着分子がSiOのネットワーク結合を介して
銅パイプの内表面に下記式(化4)で示される共有結合
で固定されたシロキサン系被膜を形成することができ
た。なお被膜の生成はFT−irで確認された。
【0035】
【化4】
【0036】次にこのキャピラリーチューブを使用した
冷凍システムを組み立て、冷媒としてR134a、冷凍
機油としてエステル油(粘度約25)を封入する。さら
に水10ml、及び酸素1000mlを添加して加速試
験を行った。加速試験の条件は、冷凍システムを23時
間連続運転および1時間停止を1サイクルとする断続運
転を行い、運転時間が1000時間となるまで試験を行
った。試験終了後、キャピラリーチューブを取り外し、
実施例1と同じ条件にてチューブ内の流量測定を行い、
運転前の値との差を運転前の値に対する流量変化量
(%)とした。その結果流量変化量は、組み立て前のそ
の値に比べ、0.8%の減少で、元の値とほとんど変わ
りなく、またキャピラリーチューブ内には析出物は全く
見られなかった。 (実施例4)キャピラリーチューブとしてアルミニウム
製のパイプを用意し、これの前処理として次のような操
作を行った。つまり、アルミニウム製のキャピラリーチ
ューブを酸素雰囲気中の恒温槽中で150℃で1時間加
熱処理を行い、アルミニウムパイプの内表面を酸化処理
した。その後、実施例3と同様の化学吸着膜をその表面
上に作成した。このキャピラリーチューブを用いて、実
施例3と同様の実験を行い、流量変化の測定を行った。
その結果、流量減少は0.1%にとどまり、元の値とほ
ぼ同じレベルであることがわかった。またキャピラリー
チューブ内にも析出物は全く見られないことがわかっ
た。 (実施例5)アルミニウム製のパイプをキャピラリーチ
ューブ用として用意する。このチューブの前処理とし
て、このパイプを反応促進剤としてK3Fe(CN)6
添加した、CrO3−HF系浴(PH<2)に入れ、5
0℃にて3分間処理を行うことにより、Cr23・nH
2O(n=1or2)の皮膜をアルミニウム表面に形成
することで、キャピラリーチューブの前処理とした。
【0037】その後、実施例3と同様の化学吸着膜をパ
イプ表面上に作成した。このキャピラリーチューブを用
いて、実施例3と同様の実験を行い、流量変化の測定を
行った。その結果、流量減少は0.1%にとどまり、元
の値とほぼ同じレベルであることがわかった。またキャ
ピラリーチューブ内にも析出物は全く見られないことが
わかった。 (実施例6)キャピラリーチューブとして銅製のパイプ
を用い、その表面の前処理として、銅パイプを酸素雰囲
気中の恒温槽中で150℃で1時間加熱処理を行うこと
で、銅パイプの内表面を酸化処理した。その後、実施例
3と同様の化学吸着膜をパイプ表面上に作成した。この
キャピラリーチューブを用いて、実施例3と同様の実験
を行い、流量変化の測定を行った。その結果、流量減少
は0.1%にとどまり、元の値とほぼ同じレベルである
ことがわかった。またキャピラリーチューブ内にも析出
物は全く見られないことがわかった。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、冷凍シ
ステムに用いる金属配管の内表面に化学吸着膜による表
面処理を施すことによって、冷凍システム内に存在する
有機物と金属との直接接触、反応を防ぐことができ、長
期的に高効率の冷凍システムを提供することができる。
【0039】また、本発明において、化学吸着膜による
表面処理を、キャピラリーチューブの内表面に行うこと
によって、有機物と配管金属との反応性を抑えると共
に、冷凍システム内で発生する可能性のある堆積物の蓄
積を抑えることができる。
【0040】また、これらの配管の内面、及びキャピラ
リーチューブの内面は、あらかじめ加熱処理法、クロム
酸塩処理法、リン酸塩処理法、オゾン酸化法、酸素を含
むプラズマ処理法、コロナ処理法、あるいは紫外線照射
法などの方法によって、酸化、親水性化処理しておくこ
とによって、化学吸着膜の共有結合部位を増加させるこ
とが可能で、より強固な表面処理膜を形成することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例と本発明における冷凍サイクルの構成図
【図2】本発明の実施の形態に用いた化学吸着膜の反応
過程の様子を示す図
【符号の説明】
1 圧縮機 2 凝縮器 3 膨張器(キャピラリーチューブ) 4 蒸発器 A 冷媒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾崎 祐介 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 川上 哲司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷媒を圧縮する圧縮部と、前記圧縮された
    冷媒を凝縮する凝縮部と、前記凝縮された冷媒を膨張さ
    せる膨張部と、前記膨張した冷媒を蒸発させる蒸発部と
    からなる密閉された冷凍サイクルを有する冷凍システム
    において、冷媒と冷凍機油がシステム内を循環すること
    によって接触する金属配管の内面のすべてあるいは一部
    を、化学吸着膜によって表面処理をすることによって、
    冷媒、冷凍機油、加工油及びその他システム内に含有す
    る有機物と前記金属配管との反応性を抑えることを特徴
    とする冷凍システム。
  2. 【請求項2】前記膨張部の内面を化学吸着膜によって表
    面処理することによって、金属との反応性を抑えると共
    に、堆積物の蓄積を防ぐことを特徴とする請求項1記載
    の冷凍システム。
  3. 【請求項3】前記配管金属の内面及び/または前記膨張
    部の内面を、加熱処理法、クロム酸塩処理法、リン酸塩
    処理法、オゾン酸化法、酸素を含むプラズマ処理法、コ
    ロナ処理法、あるいは紫外線照射法より選ばれる少なく
    とも一種の方法によって、酸化、親水性化した金属材料
    に、前記化学吸着膜による表面処理を行うことを特徴と
    する請求項1又は2記載の冷凍システム。
  4. 【請求項4】前記化学吸着膜が、シロキサン結合を介し
    たフッ化アルキル基を含有することを特徴とする請求項
    1、2、又は3記載の冷凍システム。
JP8133898A 1996-05-28 1996-05-28 冷凍システム Pending JPH09318200A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010101530A (ja) * 2008-10-22 2010-05-06 Panasonic Corp 冷却サイクル装置
JP2016095084A (ja) * 2014-11-14 2016-05-26 三菱重工業株式会社 キャピラリーチューブ、冷媒流量調整器、空調装置、及びキャピラリ―チューブの製造方法

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JP2016095084A (ja) * 2014-11-14 2016-05-26 三菱重工業株式会社 キャピラリーチューブ、冷媒流量調整器、空調装置、及びキャピラリ―チューブの製造方法

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