JPH09317581A - 自動車の吸気システム用消音器およびその成形方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 単一の消音器で広範な周波，数領域の騒音を
消音する。 【解決手段】 ダクト管２の両側び複数のチャンバー
３，４を平行に配置し、各チャンバー３，４に空気を導
入し、消音させる。チャンバー３，４を異なる周波数領
域の騒音の低減を行う構造とし、広範な周波数領域の騒
音を消音させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、自動車のエンジンに
供給される燃焼用空気の吸気騒音を低減するための消音
器、およびこの消音器をプラスチックによってブロー成
形する成形方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近の自動車においては、エンジンの出
力の増大に伴ってエンジンに供給される空気量が増大し
ており、空気を吸気する際に発生する不快な騒音が大き
くなる傾向にある。そこで、エンジンへの空気の吸気管
路に消音器を取り付けて騒音の低減を図っている。

【０００３】図９はこのような消音器を設けた従来の吸
気システムを示している。この吸気システムは、エンジ
ンの一部を構成するシンリンダーヘッド１００に連結さ
れたブーツダクト１１０と、このブーツダクト１１０の
上流側に連結されたエアクリーナ１２０とを備えてお
り、２種類の消音器２００，３００が配設されている。
消音器２００は、挿入管付き空洞型消音器であり、エア
クリーナ１２０の上流側に配置されている。消音器３０
０は、分岐管型消音器であり、ブーツダクト１１０に配
置されている。これらの消音器２００，３００は、異な
る周波数領域の騒音に対応する特性を有しており、これ
によって空気の吸気時に生じる不快な騒音を広い周波数
領域にわたって低減することができるようになってい
る。

【０００４】図１０および図１１は挿入管付き空洞型消
音器２００を示し、内部が空洞のチャンバー２１０と、
Ｕ字形状に成形されたダクト管２２０とを備えている。
チャンバー２１０は、ボックス状の本体部２１１と、こ
の本体部２１１の開口端を閉じる蓋部２１２とから構成
されている。ダクト管２２０は、空気が導入される入口
管部２２２と、この入口管部２２２にＵ字状の屈曲部２
２１を介して連結され、空気をエアクリーナ１２０に排
出する出口管部２２３とを備えており、屈曲部２２１が
本体部２１１と蓋部２１２とによって挟持固定されてい
る。

【０００５】ダクト管２２０の屈曲部２２１には、スリ
ット２２４が形成されており、入口管部２２２から導入
された空気の一部がスリット２２４を通ってチャンバー
２１０内に拡散する。これによって、吸気時の騒音が低
減されるようになっている。

【０００６】挿入管付き空洞型消音器２００を組み立て
る場合には、図１２に示すように、チャンバー２１０の
本体部２１１および蓋部２１２と、ダクト管２２０とを
別個に成形し、ダクト管２２０を挟み込むようにチャン
バー２１０の本体部２１１と蓋部２１２とを突き合わせ
ることにより組み立てられる。この場合、ダクト管２２
０の屈曲部２２１にはブラケット２２５が一体的に形成
され、このブラケット２２５に対しチャンバー２１０の
蓋部２１２の外側からボルト２１９（図１１参照）を螺
合させることにより、ダクト管２２０のチャンバー２１
０への固定が行われる。また、チャンバー２１０の本体
部２１１と蓋部２１２はこれらの突き合わせ面に沿っ
て、複数のクリップ２１７を配置し、組となるクリップ
２１７を相互に係合させることにより、その組み付けが
行われる（図１１参照）。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】従来の吸気システムに
おいては、複数の消音器をエンジンの吸気管路に別個に
取り付けているため、吸気管路に配置する部品が多くな
り、構造が複雑で、吸気管路の組み立てが面倒であると
いう問題があった。また、挿入管付き空洞型消音器２０
０は、本体部２１１、蓋部２１２、ダクト管２２０の３
部品を別個に作製し、その後、これらを組み付けて消音
器とすることから、組み立て作業が面倒で長時間を要す
るという問題があった。

【０００８】本発明はこれらの事情を考慮してなされた
ものであり、単一の構造で異なる周波数領域の騒音を低
減できる消音器を提供することにより、エンジンの吸気
管路の部品数を低減して、その簡素化をおこなうことを
目的とする。また本発明は、上述した特性を有した消音
器をプラスチックのブロー成形により一体的に作製でき
る製造方法を提供することにより、消音器の組み立て作
業を不要とすることを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１に係る発明は、自動車のエンジンに空気を
供給する吸気管路に設けられ、吸気管路内を通過する空
気の騒音を低減させる消音器において、前記吸気管路に
連結されるダクト管と、このダクト管の周囲にダクト管
とそれぞれ連通して配置され、異なる周波数領域の騒音
を低減させる第１および第２のチャンバーとを備えてい
ることを特徴としている。この場合、上記第１および第
２のチャンバーを、上記ダクト管の周囲の互いに逆側の
位置にそれぞれ配置するのが望ましい。また、上記第１
および第２のチャンバーを、上記ダクト管の軸線と平行
に配置するのが望ましい。また、請求項４に係る発明
は、請求項３に記載の消音器をブロー成形する方法であ
って、上記ダクト管を成形するための第１キャビティ部
と、この第１のキャビティ部にそれぞれ連通し、上記第
１および第２チャンバーをそれぞれ成形するための第
２、第３キャビティ部とをパーテング面間に有する一対
の金型を用い、上記パーティング面を上記第１キャビテ
ィの軸線を含み、かつ上記第１、第２および第３をほぼ
２等分するように形成したことを特徴としている。

【００１０】

【作用】請求項１に係る発明において、ダクト管に流入
した空気の一部はダクト管の周囲に配置された複数のチ
ャンバーに流入する。各チャンバーは、互いに異なる所
定の周波数領域の騒音を低減する。このような作用は、
請求項２または３に係る発明においても同様である。請
求項４に係る発明において、一対の金型を型締めしてブ
ロー成形すると、第１、第２および第３キャビティによ
ってダクト管および第１、第２チャンバーが一体に成形
される。つまり、ダクト管および第１、第２のチャンバ
ーを有する消音器全体が一体に成形される。また、各キ
ャビティがパーティング面によってほぼ２等分されてい
るので、一対の金型を型開きすると、成形された消音器
を各キャビティから容易に離型させることができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図１〜図８を参照するとともに、図９を援用して説明
する。図１〜図６は本発明の消音器の一実施の形態を示
す。これらの図に示すように、消音器１は、ダクト管２
と、第１および第２チャンバー３，４との３つ部分を備
えている。ダクト管２は、燃焼用の空気をエンジンに供
給する吸気管路に連結されるものである。この場合、吸
気管路に対するダクト管２の連結位置は任意であり、エ
アクリーナの上流側、エアクリーナとブーツダクトとの
間、ブーツダクトの途中のいずれであっても良い（図９
参照）。

【００１２】ダクト管２は、上述した吸気管路に配置さ
れることにより、空気を導入してエンジン側に導き出
す。空気の導入側端部が導入口２１として開口し、空気
の排出側端部が排出口２２として開口している。導入口
２１は通路２３と同軸上に配置されているが、排出口２
２は通路２３の軸線に対し約９０度で曲がった軸線上に
配置されている。勿論、排出口２２を通路２３の軸線と
同一軸線上に配置してもよい。なお、排出口２２を有す
る９０度で曲がった部分は、第１および第２チャンバー
３，４から側方に突出している。

【００１３】第１および第２チャンバー３，４は、上記
ダクト管２を挟んだ両側に配置されている。これらのチ
ャンバー３，４はダクト管２の通路２３に連結された連
結管部３１，４１（図５参照）を介して、ダクト管２の
通路２３と連通しており、通路２３に導入された空気が
各チャンバー３，４内に流入して消音される。

【００１４】第１チャンバー３は、両端が閉じた円筒状
をなしており、その軸線をダクト管２の軸線（９０度で
曲がった部分を除く）と平行にして配置されている。そ
して、第１チャンバー３は、通路２３から連結管部３１
を介して流入した空気をその内部で膨張させることによ
り、騒音を低減させる。この場合、第１チャンバー３は
分岐管型あるいは共鳴型の消音器と同様に作用し、これ
らの消音器と同様な周波数領域の騒音を低減させる。

【００１５】一方、第２チャンバー４は内部が空洞とな
った椅子形状に成形されており、その幅方向をダクト管
２の軸線（９０度で曲がった部分を除く）と平行にして
配置されている。この第２チャンバー４の内部には、多
数のスリット（図示せず）が形成されている。そして、
第２チャンバー４は、通路２３から連結管部４１を介し
て内部に流入した空気がスリットを通過する際の摩擦を
利用して消音するものであり、挿入型付き空洞型消音器
と同様な周波数領域の騒音を低減させることができる。

【００１６】上記構成の消音器１においては、異なる周
波数領域の騒音を低減させるチャンバー３，４を備えて
いるので、単一の消音器で広範囲の周波数領域の騒音を
低減することができる。したがって、この消音器は単一
で従来の消音器の複数に相当する消音作用を有し、エン
ジンへの吸気管路に対する消音器の配置数を減らすこと
ができる。このため吸気管路の部品数が減って、簡素化
できると共に、吸気管路の組み立ても容易となる。加え
て、本実施の形態では、チャンバー３，４がダクト管２
を挟んでその両側に配置されているので、通路２３から
各チャンバー３，４に流入する抵抗をほぼ同一にするこ
とができる。したがって、空気は通路２３から各チャン
バー３，４にほぼ均等流入し、各チャンバー３，４にお
ける消音を確実に行うことができる。さらに、各チャン
バーをダクト管２の両側に、かつ平行に配置することに
より、後述するようにして全体を一体に成形することが
できる。

【００１７】次に、上記構成の消音器の成形方法につい
て説明する。この成形方法は、樹脂のブロー成形を利用
して、ダクト管２、チャンバー３，４を一体的に有する
消音器１を成形するものである。図７はブロー成形を行
う一対の金型６，７を示し、一対の金型６，７を型締め
して突き合わせることにより、消音器１全体を成形する
キャビティが形成される。

【００１８】すなわち、金型６，７は、パーティング面
６Ａ，７Ｂをそれぞれ有している。パーティング面６Ａ
は、金型６の上面から垂直下方へ延びる上垂直面６ａ、
この上垂直面６ａの下端縁から金型７側へ水平に延びる
水平面６ｂ、この水平面６ｂの先端縁から金型６の下端
面まで垂直下方に延びる下垂直面６ｃ、上垂直面６ａの
右端縁から金型７側へ延びる横垂直面６ｄ、およびこの
横垂直面６ｄの先端縁から金型６の右端面まで延びる右
垂直面６ｅを有している。パーティング面７Ａは、パー
ティング面６Ａに対応した形状をなしており、上垂直面
７ａ、水平面７ｂ、下垂直面７ｃ、横垂直面７ｄおよび
右垂直面７ｅを有している。

【００１９】パーティング面６Ａの上垂直面６ａ、横垂
直面６ｄおよび右垂直面６ｅには、凹部６１が形成され
ている。型締め時に凹部６１と対向するパーティング面
７Ａ、つまりパーティング面７Ａの上垂直面７ａ、横垂
直面７ｄおよび右垂直面７ｅには、凹部７１が形成され
ている。これらの凹部６１，７１は、型締め時にダクト
管２２を成形するための第１キャビティ部を構成するも
のであり、ダクト管２２を２等分した形状を有してい
る。

【００２０】同様に、上垂直面６ａ，７ａには、凹部６
１，７１の上側に凹部６２，７２がそれぞれ形成されて
いる。この凹部６２，７２は、第１チャンバー３を成形
するための第２キャビティ部を構成するものであり、第
１チャンバー３を２等分した形状を有している。また、
上垂直面６ａ，７ａ、水平面６ｂ，７ｂおよび下垂直面
６ｃ，７ｃには、凹部６３，７３がそれぞれ形成されて
いる。この凹部６３，７３は、第２チャンバー４を成形
するための第３キャビティを構成するものであり、第２
チャンバー４をほぼ２等分した形状を有している。

【００２１】凹部６２，７２は、凹部６１，７２に連結
凹部６４，７４を介してそれぞれ連通しており、連結凹
部６４，７４によって連結管部３１を成形するキャビテ
ィが構成される。また、凹部６３，７３は、凹部６１，
７１に連結凹部６５，７５を介してそれぞれ連通してお
り、連結凹部６５，７５によって連結管部４１を成形す
るキャビティが構成される。勿論、連結凹部６４，７４
は、連結管部３１を２等分した形状を有しており、連結
凹部６５，７５は、連結管部４１を２等分した形状を有
している。

【００２２】上記の内容から明らかなように、パーティ
ング面６Ａ，７Ａは、９０度で曲がった部分を除くダク
ト管２の軸線を含み、かつダクト管２および第１チャン
バーを２等分し、第２チャンバーをほぼ２等分するよう
に設定されている。この結果、図８に示すように、金型
６，７を型締めした状態で側方からみたとき、パーティ
ング面６Ａ，７Ａは、第１チャンバー３およびダクト管
２の軸線を通り、かつ第２チャンバーをほぼ２等分する
線になる。なお、パーティング面６Ａ，７Ａの、ダクト
管２の９０度まがった部分に対応する部分は、金型６，
７の接近離間方向と平行になる。

【００２３】上記構成の金型６，７によれば、ブロー成
形によって消音器１を成形することができる。すなわ
ち、金型６，７を型締めし、キャビティ内に溶融樹脂を
注入して膨張させ、キャビティの内面に密接させること
により、消音器１全体を一体に成形することができる。

【００２４】

【発明の効果】請求項１に係る発明によれば、１つの消
音器で異なる周波数領域の騒音を低減することができる
ので、吸気管路に配置する消音器の数を減らすことがで
きる。したがって、吸気管路が簡素化でき、その組み立
ても容易となる。また、請求項２に係る発明によれば、
第１、第２チャンバーをダクト管２の両側に配置してい
るので、第１、第２チャンバーをダクト管２の長手方向
のほぼ同一箇所に配置することができ、これによって全
体を小型化することができる。さらに、請求項３に係る
発明によれば、消音器全体を一体に成形するようにする
ことができる。請求項４に係る発明によれば、消音器全
体を一体に成形することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の消音器の一実施の形態を示す斜視図で
ある。

【図２】同実施の形態の側面図である。

【図３】同実施の形態の正面図である。

【図４】同実施の形態の平面図である。

【図５】図４のＢ−Ｂ断面図である。

【図６】図３のＡ−Ａ断面図である。

【図７】本発明の製造方法に用いる一対の金型の斜視図
である。

【図８】一対の金型のパーティション面を示す側面図で
ある。

【図９】従来の吸気システムの斜視図である。

【図１０】従来の消音器の斜視図である。

【図１１】従来の消音器の側面図である。

【図１２】従来の消音器の分解斜視図である。

【符号の説明】

１ 消音器 ２ ダクト管 ３ 第１チャンバー ４ 第２のチャンバー ６ 金型 ６Ａ パーティング面 ７ 金型 ７Ａ パーティング面

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車のエンジンに空気を供給する吸気
   管路に設けられ、吸気管路内を通過する空気の騒音を低
   減させる消音器において、前記吸気管路に連結されるダ
   クト管と、このダクト管の周囲にダクト管とそれぞれ連
   通して配置され、異なる周波数領域の騒音を低減させる
   第１および第２のチャンバーとを備えていることを特徴
   とする自動車の吸気システム用消音器。
2. 【請求項２】 上記第１および第２のチャンバーが、上
   記ダクト管の周囲の互いに逆側の位置にそれぞれ配置さ
   れていることを特徴とする請求項１に記載の自動車の吸
   気システム用消音器。
3. 【請求項３】 上記第１および第２のチャンバーが、上
   記ダクト管の軸線と平行に配置されていることを特徴と
   する請求項２に記載の自動車の吸気システム用消音器。
4. 【請求項４】 請求項３に記載の消音器をブロー成形す
   る方法であって、上記ダクト管を成形するための第１キ
   ャビティ部と、この第１キャビティ部にそれぞれ連通
   し、上記第１および第２チャンバーをそれぞれ成形する
   ための第２、第３キャビティ部とをパーティング面間に
   有する一対の金型を用い、上記パーティング面を、上記
   第１キャビティの軸線を含み、かつ上記第１、第２およ
   び第３をほぼ２等分するように形成したことを特徴とす
   る自動車の吸気システム用消音器の成形方法。