JPH09317281A - 家具における扉のロック装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 装置全体が小さくでき、扉の施錠状態での扉
のがたつきが発生しにくく、また扉の施錠状態で扉をこ
じあけようとする力が働いても各部品に変形や破損が起
きることがない家具における扉のロック装置を提供する
こと。 【解決手段】 電磁ソレノイド９が、キー操作により摺
動する摺動板１７に設けられているので、前記電磁ソレ
ノイド９及びその軸９ａがキー操作による施解錠時にリ
ンクの一部となり、構造が簡易化されるため、装置６全
体を小型化出来る。また、電磁ソレノイド９の軸９ａの
伸長及び摺動板１７の摺動力を係止杆１９に無駄なく、
かつスムーズに伝達させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ロッカーやキャビ
ネット等の回動式扉の施解錠を電気を使用して容易に行
うことができる家具における扉のロック装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のロック装置としては実公
平３−１２１３１号公報に開示されている。この装置で
は、電磁ソレノイドによって、扉の施解錠が電気的に行
われるため、錠前による施解錠と比較して施解錠作業が
楽に行える。特に多くのロッカーやキャビネットの施解
錠を行う場合には、錠前の場合には、各ロッカーやキャ
ビネット毎のキー操作が必要であるのに対して、この装
置を備えたロッカーやキャビネットの場合には、集中制
御部に各ロッカーやキャビネットの電磁ソレノイドの制
御作業が非常に楽に行え、退社時の全ロッカーやキャビ
ネットの同時施錠、出社時の全ロッカーやキャビネット
の同時解錠が可能となり、文書等の盗難防止に有効であ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな装置では、電磁ソレノイドと該電磁ソレノイドと連
係するロック体、および電気的に施錠された状態で停電
や電気装置の故障が起こった場合に使用する扉の施錠を
解くためのシリンダ錠が、扉の表面に設けたレバーに対
してラッチ棒と反対側のレバー側部に設けられているた
め、装置全体が大きくなってしまうといった欠点があっ
た。

【０００４】また、電磁ソレノイドと連係するロック体
と係脱するラッチ棒側の係止体が、ラッチ棒からロック
体に向って長く延設され、さらにロック体側の係合部
も、上下回動によるストロークが長い部分で、係止体と
の係脱がより確実に行われるようにロック体の回動中心
からラッチ棒に向って長く延設されているので、部品間
や組立の精度が悪いと扉の施錠状態での扉のがたつきが
発生しやすく、また扉の施錠状態で扉をこじあけようと
する力が働くと係止体及びロック体に変形や破損が起き
やすいという問題点があった。

【０００５】本発明はこのような問題点を解決するた
め、装置全体が小さくでき、扉の施錠状態での扉のがた
つきが発生しにくく、また扉の施錠状態で扉をこじあけ
ようとする力が働いても各部品に変形や破損が起きるこ
とがない家具における扉のロック装置を提供することを
目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の家具における扉のロック装置は、両端部に
家具本体の係合部と係合し得るラッチ爪を有するラッチ
棒を、家具本体に開閉自在に枢着された扉の裏面に前記
係合方向に回動付勢させて軸支し、前記扉の表面に設け
たレバーの操作に連係して前記ラッチ棒を回動させ、前
記ラッチ爪と係合部との係合を解除しうる家具における
扉のラッチ装置において、扉の表面のレバーの上下いず
れかにキー操作により摺動する摺動板を有するシリンダ
錠を設け、該摺動板に施解錠スイッチからの信号により
軸が伸縮する電磁ソレノイドを固着するとともに、前記
シリンダ錠の上下いずれかに設けたリンクを介して前記
電磁ソレノイドの軸と連係し、前記ラッチ棒の係合部と
係脱して該ラッチ棒を回動可能状態または停止状態のい
ずれかにしうる係止杆を設けたことを特徴としている。
この特徴によれば、電磁ソレノイドが、キー操作により
摺動する摺動板に設けられているので、前記電磁ソレノ
イド及びその軸がキー操作による施解錠時にリンクの一
部となり、構造が簡易化されるため、装置全体を小型化
出来る。また、電磁ソレノイドの軸の伸長及び摺動板の
摺動力を係止杆に無駄なく、かつスムーズに伝達させる
ことができる。

【０００７】本発明の家具における扉のロック装置は、
電磁ソレノイドの軸の伸長方向を、摺動板と同方向とな
るように設けられたことが好ましい。このようにするこ
とで、キー操作による摺動板の摺動で、電磁ソレノイド
の軸の伸長と同様の動きをリンクに伝達できるようにな
るため、リンク構造をより簡易化できる。

【０００８】本発明の家具における扉のロック装置は、
電磁ソレノイドの軸をリンクに摺動可能に取付け、かつ
係止杆側に弾性付勢したことが好ましい。このようにす
ることで、電磁ソレノイドの軸の摺動距離とシリンダ錠
のキー操作による摺動板の摺動距離の差を確実に吸収す
ることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明すると、まず図１には本発明の適用されるロ
ッカー１が複数列設された状態が示されており、２は該
ロッカー１の前面に開閉可能に枢着された扉、３は該扉
２を前面に開口するために設けられた引手孔である。

【００１０】前記扉２は特に図３、４に示されるように
肉薄の板材により中空状に形成されており、この中空部
内の開放端側には、上下端にロッカー１の本体部所定箇
所に設けられる係合部と係合し得るラッチ爪４、４’を
有するラッチ棒５、５’が上下一対に配設されていると
ともに、前記引手孔３近傍には後述する本発明のロック
装置６が配設されている。

【００１１】このロック装置６内には、鍵孔７ａを扉２
の前面の引手孔３下方位置に開口したシリンダ錠７及び
電磁ソレノイド９が内設されている。そして個々のロッ
カー１に設けられる電磁ソレノイド９は全てロッカー１
外部適所に設けられる１つのスイッチ部８に連結されて
いる（図１）。

【００１２】前記上下一対のラッチ棒５、５’のそれぞ
れの一端は、図２に示すようにロック装置６を構成する
基板１３の上、下板１３ａ、１３ｂに軸支され、他端は
それぞれ扉２の上下端に固着された軸受け１０、１０’
により軸支されている。そしてこれらラッチ棒５、５’
は前記基板１３の上、下板１３ａ、１３ｂ間に枢支され
る引手部材１４に連結され、該引手部材１４と伴に回動
するようになっている。

【００１３】そして図３に示されるように、前記ラッチ
棒５、５’のそれぞれの上下端にはラッチ爪４、４’が
扉２の孔部１１より後方に突出するように固着されてい
る。さらにこのラッチ爪４は、ラッチ棒の回動によりロ
ッカー１の係合部としての係合孔１２に係脱するように
なっている。また、このラッチ棒５は、適宜付勢手段
（図示略）により常に前記ラッチ爪４ほの係合方向に回
動付勢されているので、扉２を閉じるとラッチ爪４は自
動的に前記係合孔１２に係合されるようになっている。

【００１４】図２における１５は前記引手部材１４の上
部に固着されたレバーであり、その先端部が引手孔３に
臨むような形状をないしている。また、引手部材１４の
下部には、後述する係止杆との係合により引手部材１４
の回動を規制する係合部材１６が固着されている。

【００１５】基板１３における引手孔３の下方位置に固
設されたシリンダ錠７裏面には、鍵孔７ａに差込まれる
キーの操作により左右方向に摺動する摺動板１７が、引
手部材１４の反対側に設けられている。そして前記摺動
板１７の先端には、電磁ソレノイド９が、その先端に伸
縮自在に嵌挿された軸９ａがシリンダ錠７方向を向くよ
うに固着されている。

【００１６】基板１３の下板１３ｂ下面には、逆Ｌ字型
の固定部材１８が取付けられており、この先端には係止
杆１９が枢支されている。この係止杆１９の上端は前記
下板１３ｂに形成された貫通口２０を介して係合部材１
６と同高さ位置まで延設されており、この上端部には、
特に図４に示されるＬ字形の係合部材１６との係脱が可
能なブロック体２１が固着されている。

【００１７】前記係止杆１９の略中央位置には、摺動板
１７に対して略水平をなすように水平に設けられる水平
リンク２２が枢支されている。そしてこの水平リンク２
２の略中央には調整バネ２３の一端が取付けられ、この
調整バネ２３の他端は、電磁ソレノイド９の軸９ａの先
端部に、該軸９ａと直交状態で取付けられる上下方向に
延びるリンク２４の他端に連結されている。

【００１８】また、前記水平リンク２２の先端には、電
磁ソレノイド９の軸９ａと摺動軸１７の摺動ストローク
とのストローク長さ調整用の長孔２２ａが形成されてお
り、この長孔２２ａ内にはリンク２４の下端に形成され
た突部２４ａが摺動自在に嵌挿され、水平リンク２２を
水平に保持している。

【００１９】以下、本発明の実施の形態の作用を図１〜
図６に基づいて説明していくと、まずスイッチ部８をＯ
ＦＦにしている時、各ロッカー１の電磁ソレノイド９の
軸９ａは図５に示されるように限度いっぱい収縮状態に
ある。そして調整バネ２３は水平リンク２２を軸９ａと
同時に移動させるべく、引張力を有するため、係止杆１
９がリンク２４及び水平リンク２２により後退させら
れ、係止杆１９のブロック体２１と引手部材１４の係合
部材１６との係合が解除されており、よって引手部材１
５及び上下のラッチ棒５、５’の回動が許容され、扉２
の開放が自在となっている。

【００２０】次に各扉２を閉めた状態で、スイッチ部８
をＯＮにして、各電磁ソレノイド９の軸９ａが伸長され
ると、図２に示されるように、リンク２４、水平リンク
２２を介して係止杆１９が反時計回りに回動され、図４
に示すようにブロック体２１と係合部材１６とが係合さ
れ、引手部材１４の時計回りの回動、即ち図３に示され
るラッチ爪４、４’の係合孔１２、１２’からの離脱方
向への回動が阻止される。よって扉２の閉じた状態でロ
ックされ、開放が不能になる。

【００２１】さらに、前述のように一斉にロックされた
状態において、任意のロッカー１におけるシリンダ錠７
を適宜キーにより施錠操作すると、図６に示されるよう
に摺動板１７及び電磁ソレノイド９自体が図中右方向へ
移動される。この移動に伴い前述の電磁ソレノイド９の
軸９ａの収縮時と同様に、リンク２４、水平リンク２２
により係止杆１９が時計回りに回動され、係合部材１６
とブロック体２１とが離脱される。

【００２２】よってロッカー１が電磁ソレノイド９によ
りロック状態となっている場合において、各ロッカー１
の扉２をキー操作して個別に開放することが出来る。

【００２３】また、本実施例の形態においては、係止杆
１９のブロック体２１と係合部材１６との係脱のための
ストロークよりも、キー操作による摺動板１７の摺動ス
トロークの方が長くなっているが、係止杆１９の離脱方
向への回動が限界に達してからもリンク２４の突部２４
が長孔２２ａ内を移動することで摺動板１７の移動が許
容されるようになっている。また、この時調整バネ２３
により係止杆１９は、常時時計回り方向に付勢されるの
で、係止杆１９が妄りに係合方向に回動することがな
い。

【００２４】尚、言うまでもなく、ブロック体２１と係
合部材１６との係脱のためのストロークと摺動板１７の
ストロークとが同長さである時は、このような長孔２２
ａ及び調整バネ２３等を用いずに、水平リンク２２にリ
ンク２４を枢着すればよい。

【００２５】以上説明してきたように本発明の家具等に
おける扉のロック装置にあっては、扉２の表面のレバー
１５の上下いずれかに、キー操作により摺動する摺動板
１７を有するシリンダ錠７を設け、該摺動板１７に施解
錠のスイッチ部８からの信号により軸９ａが伸縮する電
磁ソレノイド９を固着するとともに、前記シリンダ７錠
の上下いずれかに設けたリンクを介して前記電磁ソレノ
イド９の軸９ａと連係し、係合部材１６と係脱してラッ
チ棒５を回動可能状態または停止状態のいずれかの状態
に切換える係止杆を設けたことにより、キー操作による
施解錠時において、電磁ソレノイド９及びその軸９ａと
がリンクの一部となるため、構造が簡易化され、装置全
体が小型化できる。

【００２６】また、扉２の施錠状態でのがたつきが発生
しにくく、また扉２の施錠状態で扉２をこじあけようと
する力が働いても、各部品に変形や破損が起きることが
ない。

【００２７】さらに、電磁ソレノイドの軸と摺動板とを
同方向を向くように設ければ、キー操作による摺動板の
摺動で、電磁ソレノイドの軸の伸長と同様の動きをリン
クに伝えることができるため、リンク構造がより簡易化
される。

【００２８】以上、本発明の実施例を図面により説明し
てきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更
や追加があっても本発明に含まれる。

【００２９】

【発明の効果】本発明は次の効果を奏する。

【００３０】（ａ）請求項１の発明によれば、電磁ソレ
ノイドが、キー操作により摺動する摺動板に設けられて
いるので、前記電磁ソレノイド及びその軸がキー操作に
よる施解錠時にリンクの一部となり、構造が簡易化され
るため、装置全体を小型化出来る。また電磁ソレノイド
の軸の伸長及び摺動板の摺動力を係止杆に無駄なく、か
つスムーズに伝達させることができる。

【００３１】（ｂ）請求項２の発明によれば、キー操作
による摺動板の摺動で、電磁ソレノイドの軸の伸長と同
様の動きをリンクに伝達できるようになるため、リンク
構造をより簡易化できる。

【００３２】（ｃ）請求項３の発明によれば、電磁ソレ
ノイドの軸の摺動距離とシリンダ錠のキー操作による摺
動板の摺動距離の差を確実に吸収することができる。

【００３３】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の適用されるロッカーを示す斜視図であ
る。

【図２】ロック装置の施錠状態を示す図である。

【図３】図２のＡ−Ａ断面図である。

【図４】図２のＢ−Ｂ断面図である。

【図５】ロック装置の解錠状態を示す図である。

【図６】ロック装置のキー操作による解錠状態を示す図
である。

【符号の説明】

１ ロッカー ２ 扉 ３ 引手孔 ４、４’ ラッチ爪 ５、５’ ラッチ棒 ６ ロック装置 ７ シリンダ錠 ７ａ 錠孔 ８ スイッチ部 ９ 電磁ソレノイド ９ａ 軸 １０、１０’ 軸受 １１ 孔部 １２ 係合孔（係合部） １３ 基板 １３ａ 上板 １３ｂ 下板 １４ 引手部材 １５ レバー １６ 係合部材 １７ 摺動板 １８ 固定部材 １９ 係止杆 ２０ 貫通口 ２１ ブロック体 ２２ 水平リンク ２２ａ 長孔 ２３ 調整バネ ２４ リンク ２４ａ 突部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 両端部に家具本体の係合部と係合し得る
   ラッチ爪を有するラッチ棒を、家具本体に開閉自在に枢
   着された扉の裏面に前記係合方向に回動付勢させて軸支
   し、前記扉の表面に設けたレバーの操作に連係して前記
   ラッチ棒を回動させ、前記ラッチ爪と係合部との係合を
   解除しうる家具における扉のラッチ装置において、扉の
   表面のレバーの上下いずれかにキー操作により摺動する
   摺動板を有するシリンダ錠を設け、該摺動板に施解錠ス
   イッチからの信号により軸が伸縮する電磁ソレノイドを
   固着するとともに、前記シリンダ錠の上下いずれかに設
   けたリンクを介して前記電磁ソレノイドの軸と連係し、
   前記ラッチ棒の係合部と係脱して該ラッチ棒を回動可能
   状態または停止状態のいずれかにしうる係止杆を設けた
   ことを特徴としてなる家具における扉のロック装置。
2. 【請求項２】 電磁ソレノイドの軸の伸長方向を、摺動
   板と同方向となるように設けられた請求項１に記載の家
   具における扉のロック装置。
3. 【請求項３】 電磁ソレノイドの軸をリンクに摺動可能
   に取付け、かつ係止杆側に弾性付勢した請求項１に記載
   の家具における扉のロック装置。