JPH09316246A - 給紙部材用ゴム組成物、給紙部材及び給紙装置 - Google Patents

給紙部材用ゴム組成物、給紙部材及び給紙装置

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JPH09316246A
JPH09316246A JP8156091A JP15609196A JPH09316246A JP H09316246 A JPH09316246 A JP H09316246A JP 8156091 A JP8156091 A JP 8156091A JP 15609196 A JP15609196 A JP 15609196A JP H09316246 A JPH09316246 A JP H09316246A
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JP
Japan
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rubber
molecular weight
low molecular
oil
paper
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JP8156091A
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English (en)
Inventor
Hirotaka Yamazaki
博貴 山崎
Tsutomu Yamada
力 山田
Shinichi Toyosawa
真一 豊澤
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Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 油展ゴム又は油展ゴムと非油展ゴムとの
混合ゴムを主成分とするゴム組成物又は非油展ゴムを主
成分とし、これに軟化材を配合したゴム組成物に、低分
子材及び媒体材からなり、この低分子材が100℃にお
いて5×105センチポイズ以下の粘度を有し、低分子
材と媒体材との溶解度パラメータ値の差が3.0以下、
低分子材と上記ゴム組成物のゴム成分との溶解度パラメ
ータ値の差が4.0以下であると共に、低分子材と媒体
材との重量比が1.0以上である低分子保持媒体材複合
物を上記ゴム組成物のゴム成分100重量部に対して1
0〜200重量部配合してなることを特徴とする給紙部
材用ゴム組成物。 【効果】 本発明によれば、オイルブリードが低減さ
れ、特に高温時はもとより、低温時におけるオイルブリ
ードが防止され、給紙、紙送り性が安定的に優れ、ロー
ラ間に挟まれる紙等の相手材への汚染の少ない給紙部材
を提供することができる。従って、本発明の給紙部材
は、複写機、プリンター等のOA機器をはじめ、給紙機
構を有する装置に有効に使用し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、給紙(紙以外の薄
葉体状物を含む)ローラ等の給紙部材用のゴム組成物、
このゴム組成物のゴム層が表面に形成された給紙部材及
びこの給紙部材を搭載した給紙装置に係り、更に詳しく
は、特に複写機やファクシミリ、プリンター等のOA機
器、あるいは現金自動取引装置(ATM)、両替機、計
数機、自動販売機、キャッシュディスペンサー(CD)
等の各種給紙機構を有する装置において、該装置により
用紙を給紙する際、用紙の汚染のない耐汚染性、給紙特
性及び耐久性に優れた給紙ローラ等の給紙部材の表面層
を与えるゴム組成物、表面にこのゴム組成物のゴム層が
形成された給紙部材及びこの給紙部材が搭載された給紙
装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、給紙機構を有する装置には給紙ローラ等の給紙部材
が搭載されている。例えば、複写機の給紙装置に搭載さ
れる紙送り機構の中で用いられる給紙ローラや摩擦分離
材については、優れた紙送り特性を有し、しかもローラ
間に挟まれる紙等の相手材に対する汚染がないもの及び
耐久性の優れたものとするためにその形状や材質に様々
なものが提案されている。この場合、給紙ローラ用に使
用される材料としては、紙との摩擦力の大きさを要求さ
れるため、ゴム硬度がJIS−A硬度20〜40程度の
低硬度であること、繰り返しの紙送りに対して摩耗が少
ないことが不可欠の条件となっている。
【0003】しかし、ゴム材料でJIS−A硬度が40
以下のものを得ようとすると、多量のオイルを軟化材と
して配合しなければならず、ゴム製造面での加工性を極
度に悪くさせるだけでなく、ゴムとしての弾力性、機械
的強度、耐摩耗性等の諸特性をも著しく低下させ、更に
は配合した多量の軟化材がローラ表面にブリードして紙
を汚染したり、すべって紙を送れなくなるといった問題
が引き起こされている。
【0004】そのために、特にゴムの加工性を改善する
目的でゴムポリマー合成製造時にオイルを伸展油として
添加した油展ゴムやオイルを吸収させたオイル吸収ゴム
が開発されているが、このゴム材料でJIS−A硬度が
40以下のものを得ようとすると、多量のオイルを伸展
油として添加しておかなければならず、ここで伸展油と
して多量に添加吸収されたオイルが加工後のゴムローラ
表面にブリードするので、紙を汚染したり、すべって紙
を送れなくなるといった問題の改善には至っておらず、
優れた紙送り特性を有し、しかもローラ間に挟まれる紙
等の相手材に対する汚染がなく、かつ耐久性の優れた給
紙ローラ等の給紙部材は提供されていない。
【0005】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、給
紙ローラ等の給紙部材の表面に、ゴムとしての弾力性、
機械的強度、耐摩耗性等の諸特性に優れ、長期使用にお
いても高い摩擦係数を有すると共に、従来の多量のオイ
ルを用いて低硬度ゴム材料を得る場合における物性、加
工性及び作業性での欠点が大幅に改良され、ローラ間に
挟まれる紙等の相手材に対する汚染を可及的に防止する
ことができるゴム層を形成し得る給紙部材用ゴム組成
物、給紙部材及び給紙装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った
結果、伸展油が添加された、もしくは、低分子量ポリマ
ーが含まれた油展ゴムを主成分とするゴム組成物、伸展
油が添加されていない非油展ゴムを主成分とし、この非
油展ゴムに軟化材を配合したゴム組成物、あるいは上記
油展ゴムと非油展ゴムとの混合ゴムを主成分とするゴム
組成物に対し、低分子材及び媒体材からなる低分子保持
媒体材複合物を上記ゴム組成物のゴム成分100重量部
に対して10〜200重量部の範囲で配合すること、こ
の場合、上記低分子材として100℃において5×10
5センチポイズ以下の粘度を有し、この低分子材と上記
媒体材の各々の溶解度パラメータ値の差が3.0以下で
あり、かつ低分子材と油展ゴムの各々の溶解度パラメー
タ値の差4.0以下であるものを使用すると共に、低分
子材と媒体材の重量比を1.0以上とすることにより、
給紙ローラ等の給紙部材に適した低硬度ゴム材料が得ら
れると共に、この場合、上記ゴム組成物が伸展油、低分
子量シロキサン、あるいは可塑剤を従来の給紙部材と同
様多量に含んでいても、多量のオイルを用いる際の物性
及び加工性、作業性における従来技術の欠点が解消さ
れ、長期使用してもオイルブリードが可及的に防止され
ると共に、低温下でのオイルブリードが顕著に防止され
て、用紙汚染が防止され、耐汚染性、更には給紙特性、
耐久性に優れ、弾力性、機械的強度、耐摩耗性等の諸特
性に優れたゴム層を与えるゴム組成物が得られることを
知見し、本発明をなすに至った。
【0007】なお、本発明において、低分子保持媒体材
複合物(固体状)を添加配合することによって、オイル
のブリードが抑制されるメカニズムについては、この低
分子保持媒体材複合物(固体状)がゴム材料との混合時
にこの中に均一分散する統一的なメカニズムと共に必ず
しも明らかではないが、この複合物の多くは微小粒に分
断した状態でゴム中に保持されると考えられることか
ら、この分断した状態でゴム中に保持された低分子保持
媒体材複合物がまわりに分散していた伸展油としてのオ
イルをも吸収もしくは吸着のようなメカニズムで保持す
るものと考えられる。
【0008】従って、本発明は、(1)油展ゴム又は油
展ゴムと非油展ゴムとの混合ゴムを主成分とするゴム組
成物に、低分子材及び媒体材からなり、この低分子材が
100℃において5×105センチポイズ以下の粘度を
有し、低分子材と媒体材との溶解度パラメータ値の差が
3.0以下、低分子材と上記ゴム組成物のゴム成分との
溶解度パラメータ値の差が4.0以下であると共に、低
分子材と媒体材との重量比が1.0以上である低分子保
持媒体材複合物を上記ゴム組成物のゴム成分100重量
部に対して10〜200重量部配合してなることを特徴
とする給紙部材用ゴム組成物、(2)非油展ゴムを主成
分とし、これに軟化材を配合したゴム組成物に、低分子
材及び媒体材からなり、この低分子材が100℃におい
て5×105センチポイズ以下の粘度を有し、低分子材
と媒体材との溶解度パラメータ値の差が3.0以下、低
分子材と上記ゴム組成物のゴム成分との溶解度パラメー
タ値の差が4.0以下であると共に、低分子材と媒体材
との重量比が1.0以上である低分子保持媒体材複合物
を上記ゴム組成物のゴム成分100重量部に対して10
〜200重量部配合してなることを特徴とする給紙部材
用ゴム組成物、(3)給紙機構を有する装置に搭載され
る給紙部材において、この給紙部材の少なくとも一部に
(1)又は(2)の給紙部材用ゴム組成物を用いたこと
を特徴とする給紙部材、(4)給紙方向に回転するフィ
ードローラと、用紙の通路を挟んで備えられる反給紙方
向に回転するリバースローラと、積載された用紙の最上
部の用紙を送り出すピックアップローラとを有する給紙
装置において、該給紙装置に搭載される各給紙ローラの
少なくとも1つ以上のローラが(3)の給紙部材からな
ることを特徴とする給紙装置、(5)用紙を送るための
給紙ローラとこの給紙ローラに近接して設けられた摩擦
分離部材とを有する給紙装置において、この給紙装置に
搭載される給紙ローラ又は摩擦分離部材が(3)の給紙
部材からなることを特徴とする給紙装置を提供する。
【0009】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0010】本発明のゴム組成物に用いるゴム材料は、
給紙部材として給紙装置に搭載されて使用される環境条
件や要求性能の点から、エチレンプロピレンゴム、エチ
レンプロピレンジエン三元共重合体ゴム、天然ゴム、イ
ソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリノルボル
ネンゴム、シリコーンゴムが好ましく、これらを単独で
あるいは2種以上ブレンドして用いることができる。
【0011】この場合、本発明にかかるゴム材料として
給紙部材の耐候性の観点で選択すれば、エチレンプロピ
レン系ゴム(EP系ゴム)、即ちエチレンプロピレンゴ
ム、エチレンプロピレンジエン三元共重合体ゴムなどが
好ましく、耐摩耗性を考慮する場合には、その中でも、
ムーニー粘度ML1+4(100℃)が70以上となる分
子量の高いエチレン・プロピレン共重合ゴム(EPD
M,EPR)であって、かつ、そのエチレン含有率が5
0〜75重量%の範囲のものがゴム材料として好まし
い。
【0012】上記ゴム材料としては、伸展油が添加され
たもしくは低分子量ポリマーが含まれた油展ゴムを用い
ても、伸展油が添加されていない非油展ゴムを用いて
も、これら油展ゴムと非油展ゴムとを混合して使用して
もよい。
【0013】ここで、伸展油、低分子量ポリマーとして
は、本発明にかかるゴム材料との相溶性を勘案すれば、
エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエン三
元共重合体ゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン
ブタジエンゴム、ポリノルボルネンゴムを用いる場合に
は、鉱物系のオイルが好ましく、更には、芳香族系成分
を含まないパラフィン系、ナフテン系のオイルが最も好
ましい。
【0014】伸展油、低分子量ポリマーの含有量は、ブ
リード性の点からゴム成分100重量部に対して10〜
200重量部、特に10〜100重量部であることが好
ましい。
【0015】また、非油展ゴムを用いる場合、可塑剤を
配合する必要があるが、可塑剤としては、非油展ゴムと
の相溶性を鑑みて、パラフィン系オイル、ナフテン系オ
イル、フタル酸エステル、ステアリン酸エステル、リン
酸エステル等が好ましく用いられる。その配合量に特に
制限はなく、目的とするゴム材料硬度によって調整され
るが、ブリード性のほか、一般ゴム特性の点から多量に
配合することは好ましくない。
【0016】なお、油展ゴムと非油展ゴムとを混合して
用いる場合、その混合割合は制限されない。この場合に
も、上記可塑剤を配合する場合には、油展ゴムに含有さ
れる伸展油あるいは低分子量ポリマーの重量部と合わせ
て10〜200重量部、特に10〜100重量部の範囲
で配合することが好ましい。
【0017】本発明の給紙部材用ゴム組成物は、低分子
材及び媒体材からなる低分子保持媒体材複合物を配合す
るが、本発明にかかる低分子材としては100℃におい
て5×105センチポイズ以下、好ましくは1×105
ンチポイズ以下の粘度を有する材料であり、分子量の観
点からすれば、低分子材の数平均分子量は20,000
以下、好ましくは10,000以下、より好ましくは
5,000以下のものである。なお、粘度の下限、数平
均分子量の下限に特に制限はないが、粘度は通常100
℃において5センチポイズ以上、数平均分子量は通常4
00以上のものが好適に用いられる。
【0018】低分子材としては前記の条件を満たすもの
であればすべて使用でき、特に制限されないが、例示す
れば次のような材料を挙げることができる。
【0019】軟化材:鉱物油系、植物油系、合成系な
どの各種ゴム用又は樹脂用軟化材。鉱物油系としては、
アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系などのプ
ロセス油などが挙げられる。植物油系としては、ひまし
油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、
やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油
などが挙げられる。
【0020】可塑剤:フタル酸エステル、フタル酸混
基エステル、脂肪族二塩基酸エステル、グリコールエス
テル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、ステアリン酸
エステルなどの各種エステル系可塑剤、エポキシ系可塑
剤、その他プラスチック用可塑剤又はフタレート系、ア
ジペート系、セバケート系、フォスフェート系、ポリエ
ーテル系、ポリエステル系などのNBR用可塑剤。
【0021】粘着付与剤:クマロン樹脂、クマロン−
インデン樹脂、フェノールテルペン樹脂、石油系炭化水
素、ロジン誘導体などの各種粘着付与剤(タッキファイ
ヤ−)。
【0022】オリゴマー:クラウンエーテル、含フッ
素オリゴマー、ポリイソブチレン、キシレン樹脂、塩化
ゴム、ポリエチレンワックス、石油樹脂、ロジンエステ
ルゴム、ポリアルキレングリコールジアクリレート、液
状ゴム(ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、
ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン
など)、シリコン系オリゴマー、ポリ−α−オレフィン
などの各種オリゴマー。
【0023】滑剤:パラフィン、ワックスなどの炭化
水素系滑剤、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸などの脂肪酸系
滑剤、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミドなど
の脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸低級アルコールエステ
ル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコ
ールエステルなどのエステル系滑剤、脂肪アルコール、
多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセリンなど
のアルコール系滑剤、金属石鹸、混合系滑剤の各種滑
剤。
【0024】その他、ラテックス、エマルジョン、液
晶、歴青組成物、粘土、天然のデンプン、糖、更に無機
系のシリコーンオイル、フォスファゼンなども低分子材
として適している。更に、牛油、豚油、馬油等の動物
油、鳥油又は魚油:はちみつ、果汁、又はチョコレー
ト、ヨーグルトなどの乳製品系、炭化水素系、ハロゲン
化炭化水素系、アルコール系、フェノール系、エーテル
系、アセタール系、ケトン系、脂肪酸系、エステル系、
窒素化合物系、硫黄化合物系などの有機溶剤:あるい
は、種々の薬効成分、土壌改質剤、肥料類、石油類、
水、水溶液が適している。これらの成分は1種を単独で
用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】低分子材はゴム組成物の要求特性、用途、
また本発明にかかる他の成分である媒体材、EP系ゴム
等のゴム材料との相溶性などを勘案して、最適なものが
選択され、最適な量で使用されるが、給紙部材に接触す
る部材への汚染性の観点から鉱物油が好ましく、特に媒
体材及びEP系ゴム等のゴム材料との相溶性との観点か
ら芳香族系成分を含まないパラフィン系又はナフテン系
のプロセスオイルが好ましい。
【0026】本発明における媒体材とは、低分子材とE
P系ゴム等のゴム材料との媒体としての機能を有する材
料であり、本発明の目的達成に重要な成分である。詳し
くは、多量の低分子材とEP系ゴム等のゴム材料との均
一な組成物を可能とするため、多量の低分子材と媒体材
を用いて、多量の低分子材を保持した低分子保持媒体材
複合物を先ず得て、これとEP系ゴム等のゴム材料との
組み合わせで目的とするゴム組成物を得ようとするもの
である。低分子材と媒体材とEP系ゴム等のゴム材料と
を同時に混合しても均一な低硬度のゴム組成物とはなり
得ない。また、多量の低分子材とEP系ゴム等のゴム材
料を直接混合し、多量の低分子材を含むEP系ゴム等の
ゴム材料を得ようとしても、低分子材が均一に混合し得
ず、またブリードしやすいことがしばしば起こり、目的
とする低硬度のゴム組成物は得られない。ここで、前記
した低分子材を「保持する」とは低分子材が媒体材及び
EP系ゴム等のゴム材料に均一に分散し、ブリードしな
いか、ブリードが抑制されることを意味するものであ
る。勿論、ゴム組成物の目的によってはブリードの程度
をコントロールすることも容易に行うことができる。最
終的に、この低分子保持媒体材複合物がEP系ゴム等の
ゴム材料混合時に、この中に均一に分散する統一的なメ
カニズムは必ずしも明確ではないが、この複合物の多く
は微小粒に分断した状態でEP系ゴム等のゴム材料中に
保持されるものと考えられる。
【0027】本発明にかかる媒体材は、前記したような
機能を有する多量の低分子材を保持する複合物を形成す
る材料であれば、いずれのものも使用することができる
が、通常、熱可塑性の高分子材料又はこの高分子材料を
構成要素とする各種材料が用いられる。
【0028】媒体材としては、例えば、スチレン系(ブ
タジエンスチレン系、イソプレンスチレン系等)、塩化
ビニル系、オレフィン系(ブタジエン系、イソプレン
系、エチレンプロピレン系等)、エステル系、アミド
系、ウレタン系等の各種熱可塑性エラストマー、並びに
それらの水添、その他による変性物、スチレン系、AB
S系、オレフィン系(エチレン系、プロピレン系、エチ
レンプロピレン系、エチレンスチレン系、プロピレンス
チレン系等)、塩化ビニル系、アクリル酸エステル系
(アクリル酸メチル系等)、メタクリル酸エステル系
(メタクリル酸メチル系等)、カーボネート系、アセタ
ール系、ナイロン系、ハロゲン化ポリエーテル系(塩化
ポリエーテル系等)、ハロゲン化オレフィン系(四フッ
化エチレン系、フッ化−塩化エチレン系、フッ化エチレ
ンプロピレン系等)、セルロース系(アセチルセルロー
ス系、エチルセルロース系等)、ビニリデン系、ビニル
ブチラール系、アルキレンオキサイド系(プロピレンオ
キサイド系等)等の熱可塑性樹脂、及びこれらの樹脂の
ゴム変性物等が挙げられる。
【0029】具体的な熱可塑性高分子材料としては、こ
のうちで結晶構造、凝集構造などの硬質ブロックを形成
しやすい部分と、アモルファス構造などの軟質ブロック
とを一緒に持ち合わせているものが特に好ましく、具体
的には、下記〜が挙げられる。
【0030】ポリブタジエンとブタジエン−スチレン
ランダム共重合体とのブロック共重合体を水添して得ら
れる結晶性ポリエチレンとエチレン/ブチレン−スチレ
ンランダム共重合体とのブロック共重合体。 ポリブタジエンとポリスチレンとのブロック共重合
体、あるいは、ポリブタジエン又はエチレン−ブタジエ
ンランダム共重合体とポリスチレンとのブロック共重合
体を水添して得られる、例えば、結晶性ポリエチレン/
ブチレンとポリスチレンとのブロック共重合体。 エチレン/ブチレン共重合体の片末端又は両末端に結
晶性ポリエチレンが連結したブロック共重合体。 エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエン
三元共重合体ゴム。
【0031】このうち特にのブロック共重合体が好ま
しい。
【0032】なお、熱可塑性ブロック共重合体の重合度
は、数平均分子量が5,000〜700,000、好ま
しくは80,000〜500,000の範囲のものが望
ましい。
【0033】また、熱可塑性ブロック共重合体中におけ
る結晶性エチレンブロックの含有量は、5〜70重量%
の範囲が好ましく、更に好ましくは7〜65重量%、最
も好ましくは10〜60重量%の範囲である。更に、エ
チレンのブロック性を表わす結晶性エチレンブロック部
の融点(Tm)は、示差走査熱量測定法(DSC)で4
0℃以上、好ましくは60℃以上、更に好ましくは70
℃以上とすることが望ましい。
【0034】本発明にかかる低分子材、媒体材及び低分
子保持媒体材複合物に関して、一部、特開平5−239
256号公報及び特開平5−194763号公報に記載
されている。媒体材としてはこの公報に開示された三次
元連続の網状骨格構造を有するものが、本発明において
も代表的なものとして好適に使用される。
【0035】本発明にかかる媒体材は特に制限されない
が、通常のバルク状、粒状、ゲル状、フォーム状、不織
布状等の使用形態を取ることができる。また、低分子材
を包含するカプセルを内蔵した形態でも用いることがで
きる。
【0036】また、多量の低分子材と媒体材を含む低分
子保持媒体材複合物を得るにあたっては、用いる低分子
材と媒体材の各々の溶解度パラメータ値の差が3.0以
下、好ましくは2.5以下となるよう、両材料が選択さ
れる。この差が3.0を超えると相溶性の点から低分子
材が多量に保持されにくく、ゴム組成物の低硬度化に障
害となり、また、低分子材のブリードが発生し易くなる
ので好ましくない。
【0037】更に、低分子材と媒体材の重量比は1.0
以上であり、2.0以上が好ましく、更に好ましくは
3.0以上である。この重量比が1.0未満では低硬度
のゴム組成物を得ることが困難となり、本発明を達成す
ることができない。なお、その上限値は通常20であ
る。
【0038】低分子材と媒体材を含む複合物の生成方法
は低分子材及び媒体材の種類、特性、混合割合等によ
り、公知の方法を含む最適な方法を用いればよく、特に
制限されない。前出の特開平5−239256号公報に
記載の方法も1つの方法である。
【0039】本発明においては低分子材とEP系ゴム等
のゴム材料の各々の溶解度パラメータ値の差が4.0以
下、好ましくは3.0以下となるように、両材料が選択
される。低分子材は低分子保持媒体材複合物の形でEP
系ゴム等のゴム材料と混合されるが、この場合も低分子
材とEP系ゴム等のゴム材料との相溶性が問題となる。
この溶解度パラメータ値の差が4.0を超えると相溶性
の点から前記複合物中に多量に保持された低分子材はE
P系ゴム等のゴム材料中に保持されにくく、ゴム組成物
の硬度の低下に支障を来し、また低分子材のブリードが
発生し易くなるので好ましくない。
【0040】本発明にかかる低分子保持媒体材複合物と
EP系ゴム等のゴム材料との混合方法は制限されない
が、両者の特性、混合割合等により、公知の方法を含む
最適な方法を採用すれば良く、これにより本発明にかか
るゴム組成物が容易に得られる。
【0041】本発明にかかるゴム組成物において、低分
子保持媒体材複合物のゴム材料への配合量は、給紙部材
製造時の加工性及び給紙部材としての弾力性、機械的強
度、耐摩耗性の点からゴム材料100重量部に対して1
0〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、よ
り好ましくは20〜100重量部である。伸展油を含ま
ない非油展ゴムへ可塑剤として添加される低分子材(オ
イル)と共に配合する場合及び油展ゴムへ配合する場合
には、油展オイル量によるが、10重量部未満では油展
オイルのブリードを抑制する効果が不十分となり、紙等
の相手材への汚染を妨げなくなる。
【0042】なお、本発明のゴム組成物には、加硫剤
(硫黄、ペルオキシド等)、加硫促進剤(テトラメチル
チウラムモノサルファイド(ノクセラーTS)、メルカ
プトベンゾチアゾール(ノクセラーM)、N−シクロヘ
キシル−2−ベンゾチアジルサルフェンアミド(ノクセ
ラーCZ)、ジフェニルグアニジン(ノクセラーG)
等)、加硫助剤(エチレングリコールジメタクリレート
(EDMA)、トリアリルイソシアヌレート(TAI
C)、N,N’−m−フェニレンジマレイミド(バルノ
ックPM)等)、各種充填剤(カーボンブラック、ホワ
イトカーボン、白蝋華CC等)、老化防止剤(スチレン
化フェノール(アンテージSP−P)、2,6ジ−ター
シャルブチル−4−メチルフェノール(ノクラック20
0)、ジブチルハイドロゲンホスファイト(DBP)
等)などの一般的な配合剤及び帯電防止剤(導電性カー
ボン(ケッチェンブラックEC)、白色導電粉等)を含
有して加硫することにより、本発明の給紙装置に搭載さ
れる給紙ローラを得ることができる。
【0043】ここで、ゴム加硫剤として硫黄を用いる場
合、その硫黄単体の配合量は、ゴム組成物に対して0.
2〜1重量%の範囲が好ましく、0.2重量%未満では
十分に架橋ができずに耐摩耗性が著しく悪くなり、1重
量%を超えると架橋に使われなかった未反応の硫黄がゴ
ム表面にブリードしてきて摩擦係数を低下させるため給
紙性能が悪くなる。
【0044】ゴム組成物には、必要に応じて、更に次の
ような充填材、即ち、クレー、珪藻土、タルク、硫酸バ
リウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化
物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム等の鱗
片状無機充填材、各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラ
ミック粉、粒状ないし粉末ポリマー等の粒状ないし粉末
固体充填材、その他各種の天然又は人工の短繊維、長繊
維(例えば、ワラ、毛、ガラスファイバー、金属ファイ
バー、その他各種のポリマーファイバー等)などを配合
することができる。
【0045】本発明は、上記給紙部材用ゴム組成物を、
給紙機構を有する装置に搭載される各種の給紙部材に用
いることができる。この場合、かかる給紙部材は少なく
ともその表面に上記ゴム組成物のゴム層を形成すること
が有利である。また、本発明は、給紙方向に回転するフ
ィードローラと、用紙の通路を挟んで備えられる反給紙
方向に回転するリバースローラ及び積載された用紙の最
上部の用紙を送り出すピックアップローラとを有する給
紙装置において、この給紙装置に搭載される各給紙ロー
ラの少なくとも1つ以上のローラを上記給紙部材とした
給紙装置、及び、用紙を送るための給紙ローラとこの給
紙ローラに近接して設けられた摩擦分離部材とを有する
給紙装置において、この給紙装置に搭載される給紙ロー
ラ又は摩擦分離部材を上記給紙部材とした給紙装置を提
供する。
【0046】本発明にかかる給紙部材の構成には、特に
制限はなく、上述のゴム組成物のみで構成されるもので
あってもよく、また既存のゴム材料や金属材等と積層構
造とするなどして組み合わせて用いてもよいが、上記ゴ
ム組成物のゴム層が表面に形成されていることが必要で
ある。
【0047】例えば、図1で示すように、給紙ローラ1
の場合には、シャフト2上に本発明にかかるゴム組成物
のゴム層3を形成して給紙ローラとした後、図3に示す
給紙装置に装着することができ、本発明にかかるゴム組
成物を図4に示す摩擦分離部材12に使用することもで
きる。なお、図中4はボルト、5は普通紙、6はチャッ
ク、7はテフロン板、8はピックアップローラ、9はフ
ィードローラ、10はリバースローラ、11は用紙、1
2は摩擦分離部材、13はロードセルである。
【0048】本発明にかかる給紙部材は、表面に研削研
磨によるアブレージョンパターンを与えたり、又は、予
め金型表面に特殊なパターンを彫り込み、これをローラ
表面に転写することによってローラ表面にパターンを作
る等により優れた給紙特性を付与することができる。
【0049】本発明の給紙ローラ等の給紙部材は、給紙
特性が安定的に優れ、ローラ間に挟まれる紙等の相手材
を汚すことが少ない給紙ローラが提供される。しかも低
分子保持媒体材複合物とEP系ゴム等のゴム材料の混合
は容易に短時間に行えるため、生産性にも優れた給紙ロ
ーラが提供される。
【0050】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限され
るものではない。
【0051】〔実施例1〕エチレンプロピレン共重合体
(EPDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP57C」,
溶解度パラメータ=8.0)100重量部に、パラフィ
ンオイル(出光興産製「PW−32」,100℃におけ
る粘度:4.9センチポイズ,溶解度パラメータ=6.
8,数平均分子量=400)51重量部を低分子材とし
て、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体
ポリマー(日本合成ゴム社製「ダイナロンE6100
P」,溶解度パラメータ=7.9,数平均分子量28
0,000)9重量部を媒体材として作成した低分子保
持媒体材複合物(計60重量部)を可塑剤としてのパラ
フィンオイル(出光興産製「PW−32」)20重量部
と共にその他一般的な充填材と混合し、加硫剤として硫
黄を0.3重量%添加して得たゴム組成物を加硫成型し
てゴムローラを作成した。
【0052】なお、この例及び以下の例で配合したその
他一般的な充填材は、酸化亜鉛5重量部、炭酸カルシウ
ム10重量部、ステアリン酸1重量部のほか、加硫促進
剤が数部である。
【0053】〔実施例2〕油展エチレンプロピレン共重
合体(EPDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP98
A」,溶解度パラメータ=8.0)175重量部に、パ
ラフィンオイル(出光興産製「PW−32」)51重量
部を低分子材として、エチレン−エチレン・ブチレン−
エチレン共重合体ポリマー(日本合成ゴム社製「ダイナ
ロンE6100P」)9重量部を媒体材として作成した
低分子保持媒体材複合物(計60重量部)をその他一般
的な充填材と共に混合し、加硫剤として硫黄を0.3重
量%添加して得たゴム組成物を加硫成型してゴムローラ
を作成した。
【0054】〔実施例3〕油展エチレンプロピレン共重
合体(EPDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP9
6」,溶解度パラメータ=8.0)150重量部に、パ
ラフィンオイル(出光興産製「PW−32」)51重量
部を低分子材として、エチレン−エチレン・ブチレン−
エチレン共重合体ポリマー(日本合成ゴム社製「ダイナ
ロンE6100P」)9重量部を媒体材として作成した
低分子保持媒体材複合物(計60重量部)をその他一般
的な充填材と共に混合し、加硫剤として硫黄を0.3重
量%添加して得たゴム組成物を加硫成型してゴムローラ
を作成した。
【0055】〔実施例4〕油展エチレンプロピレン共重
合体(EPDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP98
A」)80重量部に、エチレンプロピレン共重合体(E
PDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP33」,溶解度
パラメータ=8.0)20重量部を混合したものに、パ
ラフィンオイル(出光興産製「PW−32」)51重量
部を低分子材として、エチレン−エチレン・ブチレン−
エチレン共重合体ポリマー(日本合成ゴム社製「ダイナ
ロンE6100P」)9重量部を媒体材として作成した
低分子保持媒体材複合物(計60重量部)をその他一般
的な充填材と共に混合し、加硫剤として硫黄を0.3重
量%添加して得たゴム組成物を加硫成型してゴムローラ
を作成した。
【0056】〔実施例5〕油展エチレンプロピレン共重
合体(EPDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP98
A」)80重量部に、エチレンプロピレン共重合体(E
PDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP57C」)20
重量部を混合したものに、パラフィンオイル(出光興産
製「PW−32」)51重量部を低分子材として、エチ
レン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体ポリマー
(日本合成ゴム社製「ダイナロンE6100P」)9重
量部を媒体材として作成した低分子保持媒体材複合物
(計60重量部)をその他一般的な充填材と共に混合
し、加硫剤として硫黄を0.3重量%添加して得たゴム
組成物を加硫成型してゴムローラを作成した。
【0057】〔実施例6〕油展エチレンプロピレン共重
合体(EPDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP98
A」)175重量部に、パラフィンオイル(出光興産製
「PW−32」)8.5重量部を低分子材として、エチ
レン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体ポリマー
(日本合成ゴム社製「ダイナロンE6100P」)1.
5重量部を媒体材として作成した低分子保持媒体材複合
物(計10重量部)をその他一般的な充填材と共に混合
し、加硫剤として硫黄を0.3重量%添加して得たゴム
組成物を加硫成型してゴムローラを作成した。
【0058】〔実施例7〕油展ポリノルボルネンゴム
(日本ゼオン社製「NSX15NA」,溶解度パラメー
タ=8.0)250重量部に、パラフィンオイル(出光
興産製「PW−32」)8.5重量部を低分子材とし
て、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体
ポリマー(日本合成ゴム社製「ダイナロンE6100
P」)1.5重量部を媒体材として作成した低分子保持
媒体材複合物(計10重量部)をその他一般的な充填材
と共に混合し、加硫剤として硫黄を0.3重量%添加し
て得たゴム組成物を加硫成型してゴムローラを作成し
た。
【0059】〔比較例1〕エチレンプロピレン共重合体
(EPDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP57C」)
100重量部に、パラフィンオイル(出光興産製「PW
−32」)51重量部を低分子材(軟化材)として、そ
の他一般的な充填材と共に混合し、加硫剤として硫黄を
0.3重量%添加して得たゴム組成物を加硫成型してゴ
ムローラを作成した。
【0060】〔比較例2〕油展エチレンプロピレン共重
合体(EPDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP98
A」)175重量部に、低分子材(軟化材)は加えない
で、その他一般的な充填材を混合し、加硫剤として硫黄
を0.3重量%添加して得たゴム組成物を加硫成型して
ゴムローラを作成した。
【0061】〔比較例3〕油展エチレンプロピレン共重
合体(EPDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP98
A」)175重量部に、パラフィンオイル(出光興産製
「PW−32」)0.9重量部を低分子材として、エチ
レン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体ポリマー
(日本合成ゴム社製「ダイナロンE6100P」)5.
1重量部を媒体材として作成した低分子保持媒体材複合
物(計6重量部)をその他一般的な充填材と共に混合
し、加硫剤として硫黄を0.3重量%添加して得たゴム
組成物を加硫成型してゴムローラを作成した。
【0062】〔比較例4〕油展エチレンプロピレン共重
合体(EPDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP98
A」)175重量部に、パラフィンオイル(出光興産製
「PW−32」)8.5重量部を低分子材(軟化材)と
して、その他一般的な充填材と共に混合し、加硫剤とし
て硫黄を0.3重量%添加して得たゴム組成物を加硫成
型してゴムローラを作成した。
【0063】〔比較例5〕油展エチレンプロピレン共重
合体(EPDM)ゴム(日本合成ゴム社製「EP9
6」)150重量部に、低分子材(軟化材)は加えない
で、その他一般的な充填材を混合し、加硫剤として硫黄
を0.3重量%添加して得たゴム組成物を加硫成型して
ゴムローラを作成した。
【0064】上記例で得た給紙部材(給紙ローラ)につ
いて以下の特性試験を行った。
【0065】(1)硬度:各給紙ローラと同一条件で作
製した25×25×15mmブロックサンプルにつき、
JIS K6301規定の硬さ試験(A形)にて測定し
た。
【0066】(2)汚染性:各給紙ローラを複写機用
普通紙の上に負荷1kgfで押し付けた状態で、−5℃
の雰囲気に24時間放置し、普通紙表面の汚染及び各給
紙ローラの外観汚染を目視にて確認した。更に、図2に
示すように、各給紙ローラを摩擦力測定装置に装着し
て、一方の端をロードセルに固定された普通紙上に負荷
300gfで押し当てた状態で線速300mm/sec
の周速で回転させながら紙が引張られる力、即ち発生す
る摩擦力をロードセルで測定した。各給紙ローラを前述
した汚染性評価後に再び摩擦力測定装置に装着して試験
後の摩擦力を測定して、試験後摩擦力/負荷、初期摩擦
力/負荷をそれぞれ試験前後の摩擦係数として評価し
た。
【0067】(3)汚染性:各給紙ローラを複写機用
普通紙の上に負荷1kgfで押し付けた状態で、50℃
の雰囲気に24時間放置し、普通紙表面の汚染及び各給
紙ローラの外観汚染を目視にて確認した。更に、図2に
示すように、各給紙ローラを摩擦力測定装置に装着し
て、一方の端をロードセルに固定された普通紙上に負荷
300gfで押し当てた状態で線速300mm/sec
の周速で回転させながら紙が引張られる力、即ち発生す
る摩擦力をロードセルで測定した。各給紙ローラを前述
した汚染性評価後に再び摩擦力測定装置に装着して試験
後の摩擦力を測定して、試験後摩擦力/負荷、初期摩擦
力/負荷をそれぞれ試験前後の摩擦係数として評価し
た。
【0068】(4)耐摩耗性:図3に示した複写機給紙
装置に搭載して、普通紙(A4横送り)100,000
枚通紙後の各給紙ローラの外径変化量を摩耗量とした。
【0069】(5)通紙状況:図3に示した複写機給紙
装置に搭載して、普通紙(A4横送り)100,000
枚通紙中の紙送りの状況を紙詰まりの回数で評価した。
【0070】表1に示した加工性・作業性の評価は、ロ
ーラ作成用のゴム組成物をブラベンダーを用いて混合
(50℃,50rpm)して得る際の状況を、加工性、
作業性に優れるもの(○)、劣るもの(×)として評価
した。また、汚染性は、前述の試験を行った後の試料の
外観汚染及び紙等相手材への汚染のないもの(○)、あ
るもの(×)と評価した。
【0071】表1の結果より明らかなように、比較例1
のように非油展エチレンプロピレン共重合体(EPD
M)ゴムに低分子保持媒体材複合物を用いずに低分子材
(軟化材)のみを配合した場合には、ゴムとの混合の際
にブラベンダーのローターが滑ってなかなか混合するこ
とができないほど加工性、作業性が悪かったばかりか、
ゴム中に低分子材(オイル)がそのまま分散していると
考えられるため低分子材(オイル)がブリードしやす
く、汚染性にも劣る結果となった。しかも、汚染性試験
後の摩擦係数の低下も大きく、ブリードが発生している
と考えられる。
【0072】また、比較例2のように低分子材(軟化
材)を配合せず、油展エチレンプロピレン共重合体(E
PDM)ゴムを用いてゴム組成物を作成すると、加工
性、作業性は改善されるものの、ゴム中に低分子材(オ
イル)がそのまま分散していると考えられるため、低分
子材(オイル)がブリードしやすく、汚染性にも劣る結
果となった。しかも、汚染性試験後の摩擦係数の低下も
大きく、ブリードが発生していると考えられる。
【0073】更に、比較例3のように低分子保持媒体材
複合物の配合量を10重量部未満に押さえて配合する
と、低分子保持媒体材複合物によるオイルブリード抑制
効果が不十分となるためにゴム中に分散しているオイル
がブリードしやすく、汚染性に劣る結果となった。更
に、汚染性試験後の摩擦係数の低下も大きく、ブリード
が発生していると考えられる。
【0074】また、比較例4のように油展エチレンプロ
ピレン共重合体(EPDM)ゴムに、低分子保持媒体材
複合物を用いずに低分子材(軟化材)のみを配合した場
合には、ゴムとの混合の際にブラベンダーのローターが
滑って混合しづらかったが、非油展エチレンプロピレン
共重合体(EPDM)ゴムに低分子材(軟化材)のみを
配合する場合ほど、加工性、作業性は悪くなかったもの
の、ゴム中に低分子材(オイル)がそのまま分散してい
ると考えられるため低分子材(オイル)がブリードしや
すく、汚染性に劣る結果となった。しかも、汚染性試験
後の摩擦係数の低下も大きく、ブリードが発生している
と考えられる。
【0075】更に、比較例2に比べて油展オイル量の少
ない油展エチレンプロピレン共重合体(EPDM)ゴム
を用いた比較例5でも、比較例2と同様に加工性、作業
性は改善されるものの、ゴム中に低分子材(オイル)が
そのまま分散していると考えられるため低分子材(オイ
ル)がブリードしやすく、汚染性にも劣る結果となっ
た。しかも、汚染性試験後の摩擦係数の低下も大きく、
ブリードが発生していると考えられる。
【0076】これに対して、実施例1〜6に示したよう
に、本発明品の場合には、ムーニー粘度ML1+4(10
0℃)が70以上のエチレンプロピレン共重合体ゴムを
主成分としたゴムに低分子保持媒体材複合物を適正量配
合しているため、いずれもゴム硬度40以下の適性な硬
度を有し、通紙試験における摩耗性に優れ、ローラを作
製する際の加工性、作業性にも優れ、低分子保持媒体材
複合物(固体状)がゴム中に分散していると考えられる
ため低分子材(オイル)がブリードすることがないの
で、汚染性に優れ、汚染性試験後の摩擦係数の低下もな
く、そのため、100,000枚の通紙試験中に1回も
紙詰まりを起こさなかった。
【0077】この結果からも、油展エチレンプロピレン
共重合体(EPDM)ゴムに更に添加配合した本発明に
かかる低分子保持媒体材複合物が、この油展エチレンプ
ロピレン共重合体(EPDM)ゴム中のオイルをも保持
していることが十分に推察される。
【0078】更に、本発明にかかる低分子保持媒体材複
合物によるオイルブリード抑制効果は、実施例7及び比
較例6を比較すれば明らかなように、油展エチレンプロ
ピレン共重合体(EPDM)ゴムに限らず、ポリノルボ
ルネンゴムのように、加工性、作業性を改善する目的で
予めオイル等の可塑剤を添加してあるゴムを用いる場合
にも有効であることが、この結果から確認される。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、オイルブリードが低減
され、特に高温時はもとより、低温時におけるオイルブ
リードが防止され、給紙、紙送り性が安定的に優れ、ロ
ーラ間に挟まれる紙等の相手材への汚染の少ない給紙部
材を提供することができる。従って、本発明の給紙部材
は、複写機、プリンター等のOA機器をはじめ、給紙機
構を有する装置に有効に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における給紙ローラの一例を示す概略断
面図である。
【図2】本発明における給紙ローラの摩擦力測定の概略
図である。
【図3】実施例及び比較例における通紙状態を示した給
紙装置の要部断面図である。
【図4】本発明における給紙ローラ及び摩擦分離部材を
搭載した給紙装置の要部断面図である。
【符号の説明】
1 給紙ローラ 2 シャフト 3 ゴム組成物 4 ボルト 5 普通紙 6 チャック 7 テフロン板 8 給紙ローラ(ピックアップローラ) 9 給紙ローラ(フィードローラ) 10 給紙ローラ(リバースローラ) 11 用紙 12 摩擦分離部材 13 ロードセル

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油展ゴム又は油展ゴムと非油展ゴムとの
    混合ゴムを主成分とするゴム組成物に、低分子材及び媒
    体材からなり、この低分子材が100℃において5×1
    5センチポイズ以下の粘度を有し、低分子材と媒体材
    との溶解度パラメータ値の差が3.0以下、低分子材と
    上記ゴム組成物のゴム成分との溶解度パラメータ値の差
    が4.0以下であると共に、低分子材と媒体材との重量
    比が1.0以上である低分子保持媒体材複合物を上記ゴ
    ム組成物のゴム成分100重量部に対して10〜200
    重量部配合してなることを特徴とする給紙部材用ゴム組
    成物。
  2. 【請求項2】 非油展ゴムを主成分とし、これに軟化材
    を配合したゴム組成物に、低分子材及び媒体材からな
    り、この低分子材が100℃において5×105センチ
    ポイズ以下の粘度を有し、低分子材と媒体材との溶解度
    パラメータ値の差が3.0以下、低分子材と上記ゴム組
    成物のゴム成分との溶解度パラメータ値の差が4.0以
    下であると共に、低分子材と媒体材との重量比が1.0
    以上である低分子保持媒体材複合物を上記ゴム組成物の
    ゴム成分100重量部に対して10〜200重量部配合
    してなることを特徴とする給紙部材用ゴム組成物。
  3. 【請求項3】 給紙機構を有する装置に搭載される給紙
    部材において、この給紙部材の少なくとも一部に請求項
    1又は2記載の給紙部材用ゴム組成物を用いたことを特
    徴とする給紙部材。
  4. 【請求項4】 給紙方向に回転するフィードローラと、
    用紙の通路を挟んで備えられる反給紙方向に回転するリ
    バースローラと、積載された用紙の最上部の用紙を送り
    出すピックアップローラとを有する給紙装置において、
    該給紙装置に搭載される各給紙ローラの少なくとも1つ
    以上のローラが請求項3記載の給紙部材からなることを
    特徴とする給紙装置。
  5. 【請求項5】 用紙を送るための給紙ローラとこの給紙
    ローラに近接して設けられた摩擦分離部材とを有する給
    紙装置において、この給紙装置に搭載される給紙ローラ
    又は摩擦分離部材が請求項3記載の給紙部材からなるこ
    とを特徴とする給紙装置。
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