JPH09316050A - アシルチオ基を有するエチレン性化合物およびその共重合体 - Google Patents

アシルチオ基を有するエチレン性化合物およびその共重合体

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JPH09316050A
JPH09316050A JP13247196A JP13247196A JPH09316050A JP H09316050 A JPH09316050 A JP H09316050A JP 13247196 A JP13247196 A JP 13247196A JP 13247196 A JP13247196 A JP 13247196A JP H09316050 A JPH09316050 A JP H09316050A
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vinyl
group
meth
copolymer
acrylate
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JP13247196A
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Ryotaro Kuribayashi
亮太郎 栗林
Yukiatsu Furumiya
行淳 古宮
Tsutomu Kawai
勉 河合
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メルカプト基が分子鎖から分岐した構造を有
する高分子を製造するための原料として有用なエチレン
性化合物を提供する。その高分子に容易に変換可能な高
分子を提供する。 【解決手段】 本発明は、下記一般式(I)、(II)ま
たは(III)で示されるアシルチオ基を有する化合物、
ならびに、その化合物から誘導される共重合体である。 【化1】 (R1:水素原子またはメチル基;R2、R3、R4:アル
キル基;X1、X2、X3:2価の炭化水素基)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子中にアシルチ
オ基および重合可能なエチレン性二重結合を含有する新
規な化合物、および該化合物と他のエチレン性単量体か
ら製造される新規な共重合体に関する。本発明の化合物
と他のエチレン性単量体から製造される共重合体は、分
子鎖から分岐したアシルチオ基を有することから、これ
を脱保護反応に付することにより、分子鎖から分岐した
遊離のメルカプト基を有する共重合体に変換される。該
遊離のメルカプト基を有する共重合体は、反応性高分子
として、グラフト重合体やポリマーアロイ/ブレンドの
製造に有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、高分子のアロイ/ブレンド化技術
が急速に進歩し、それにともなって、多くの工業部品、
自動車部品、電気電子部品にも、高分子をアロイ化ある
いはブレンドした材料が用いられている。アロイ化また
はブレンドの技術では、高分子に反応性の官能基を導入
して、本来非相溶な高分子同士を相溶に近い状態で分散
させる手法が開発されている(反応性ブレンド)。ま
た、非相溶な高分子をアロイ化またはブレンドする際
に、グラフト共重合体を相溶化剤として用いる方法も開
発されている。このグラフト共重合体を製造する際に
も、官能基を高分子に導入することが重要な手法の一つ
となっている(井上隆、市原祥次著「高分子新素材On
e Point−12 ポリマーアロイ」(1988年
6月20日 共立出版発行)参照)。
【0003】官能基が導入された高分子としては、分子
鎖の末端部に官能基を含有する高分子と分子鎖から分岐
した官能基を含有する高分子とが挙げられる。分子鎖か
ら分岐した官能基を含有する高分子は、一般に、エポキ
シ基、水酸基、カルボキシル基等の官能基を有するエチ
レン性単量体と他のエチレン性単量体との共重合によっ
て製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】分子鎖から分岐した官
能基を含有する高分子を製造するための上記方法では、
使用するエチレン性単量体に含有される官能基が共重合
反応を阻害しないことが必要であるため、適応範囲に制
限がある。例えば、メルカプト基を有するエチレン性単
量体を共重合しようとすると、アニオン重合、カチオン
重合、ラジカル重合のいずれの重合法においても、メル
カプト基の連鎖移動定数が大きいため、メルカプト基が
エチレン性二重結合部分を攻撃してチオエーテル構造が
形成されることが知られている(ポリマー・ブレテン
(Polymer Bulletin)、第2巻、第2
1〜24頁(1980年)参照)。したがって、この方
法では、メルカプト基が分子鎖から分岐した構造を有す
る高分子を製造することは不可能である。
【0005】しかして、本発明の第一の目的は、メルカ
プト基が分子鎖から分岐した構造を有する高分子を製造
するため原料として有用である、重合可能な新規なエチ
レン性化合物を提供することにある。本発明の第二の目
的は、メルカプト基が分子鎖から分岐した構造を有する
高分子に容易に変換可能な新規な高分子を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を解決するために鋭意検討した結果、(1)特定のア
シルチオ基を有する(メタ)アクリル酸エステル系、ビ
ニルケトン系またはビニルエステル系の化合物が他のエ
チレン性単量体と共重合可能であること、(2)得られ
た共重合体をアルコリシス分解反応に付することによっ
てアシルチオ基が容易にメルカプト基に変換され、その
結果、メルカプト基が分子鎖から分岐した構造を有する
共重合体が得られること、および(3)該メルカプト基
が分子鎖から分岐した構造を有する共重合体は、エチレ
ン性単量体をラジカル重合させることによって、メルカ
プト基の部位に他の高分子鎖が連結した形のグラフト重
合体を与えることを見出し、さらに検討を重ねた結果、
本発明を完成するに至った。
【0007】本発明によれば、上記の第一の目的は、
【0008】(1)一般式
【0009】
【化10】
【0010】(式中、R1は水素原子またはメチル基を
示し、R2はアルキル基を示し、X1は2価の炭化水素基
を示す。)
【0011】で示される、アシルチオ基を有するメタク
リル酸またはアクリル酸のエステル;
【0012】(2)一般式
【0013】
【化11】
【0014】(式中、R3はアルキル基を示し、X2は2
価の炭化水素基を示す。)
【0015】で示される、アシルチオ基を有するビニル
ケトン;または
【0016】(3)一般式
【0017】
【化12】
【0018】(式中、R4はアルキル基を示し、X3は2
価の炭化水素基を示す。)
【0019】で示される、アシルチオ基を有するビニル
エステル;を提供することによって達成される。
【0020】また、本発明によれば、上記の第二の目的
は、主として、a)一般式
【0021】
【化13】
【0022】(式中、R5は水素原子またはメチル基を
示し、R6はアルキル基を示し、X4は2価の炭化水素基
を示す。)
【0023】で示される繰り返し単位、一般式
【0024】
【化14】
【0025】(式中、R7はアルキル基を示し、X5は2
価の炭化水素基を示す。)
【0026】で示される繰り返し単位および一般式
【0027】
【化15】
【0028】(式中、R8はアルキル基を示し、X6は2
価の炭化水素基を示す。)
【0029】で示される繰り返し単位からなる群から選
ばれる少なくとも1種の繰り返し単位と、b)一般式
【0030】
【化16】
【0031】(式中、R9は水素原子またはメチル基を
示し、R10は1価の炭化水素基を示す。)
【0032】で示される繰り返し単位、一般式
【0033】
【化17】
【0034】(式中、R11は水素原子またはメチル基を
示し、R12は1価の芳香族炭化水素基を示す。)
【0035】で示される繰り返し単位および一般式
【0036】
【化18】
【0037】(式中、R13は1価の炭化水素基を示
す。)
【0038】で示される繰り返し単位からなる群から選
ばれる少なくとも1種の繰り返し単位とからなる共重合
体を提供することによって達成される。
【0039】
【発明の実施の形態】本発明のアシルチオ基を有するメ
タクリル酸またはアクリル酸のエステル(以下、「アシ
ルチオ基含有(メタ)アクリル酸エステル(I)」とい
う)を示す上記一般式(I)において、R1は水素原子
またはメチル基を表す。R2は、メチル基、エチル基、
プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル
基、sec−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基を
表す。X1は2価の炭化水素基、好ましくは炭素数が2
〜8の2価の飽和脂肪族炭化水素基または炭素数が6〜
12の2価の芳香族炭化水素基、を表す。
【0040】アシルチオ基含有(メタ)アクリル酸エス
テル(I)としては、具体的には、(メタ)アクリル酸
2−アセチルチオエチル、(メタ)アクリル酸2−プロ
ピオニルチオエチル、(メタ)アクリル酸2−ブチリル
チオエチル、(メタ)アクリル酸2−イソブチリルチオ
エチル、(メタ)アクリル酸2−バレリルチオエチル、
(メタ)アクリル酸2−ピバロイルチオエチル、(メ
タ)アクリル酸2−(2−メチルブチリルチオ)エチ
ル、(メタ)アクリル酸2−(3−メチルブチリルチ
オ)エチル、(メタ)アクリル酸3−アセチルチオプロ
ピル、(メタ)アクリル酸4−アセチルチオブチル、
(メタ)アクリル酸3−アセチルチオ−1−メチルプロ
ピル、(メタ)アクリル酸2−アセチルチオ−1,1−
ジメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−アセチルチオ
フェニル、(メタ)アクリル酸3−アセチルチオフェニ
ル、(メタ)アクリル酸4−アセチルチオフェニル、
(メタ)アクリル酸4−プロピオニルチオフェニル、
(メタ)アクリル酸4−ブチリルチオフェニル、(メ
タ)アクリル酸4−イソブチリルチオフェニル、(メ
タ)アクリル酸4−バレリルチオフェニル、(メタ)ア
クリル酸4−ピバロイルチオフェニル、(メタ)アクリ
ル酸4−(2−メチルブチリルチオ)フェニル、(メ
タ)アクリル酸4−(3−メチルブチリルチオ)フェニ
ル、(メタ)アクリル酸4−アセチルチオ−2−メチル
フェニル、(メタ)アクリル酸4−アセチルチオ−3−
メチルフェニル、(メタ)アクリル酸4−アセチルチオ
−2−エチルフェニル、(メタ)アクリル酸4−アセチ
ルチオ−3−エチルフェニル、(メタ)アクリル酸1−
(2−アセチルチオナフチル)、(メタ)アクリル酸1
−(3−アセチルチオナフチル)、(メタ)アクリル酸
1−(4−アセチルチオナフチル)、(メタ)アクリル
酸1−(5−アセチルチオナフチル)、(メタ)アクリ
ル酸1−(6−アセチルチオナフチル)、(メタ)アク
リル酸1−(7−アセチルチオナフチル)、(メタ)ア
クリル酸1−(8−アセチルチオナフチル)、(メタ)
アクリル酸2−(1−アセチルチオナフチル)、(メ
タ)アクリル酸2−(3−アセチルチオナフチル)、
(メタ)アクリル酸2−(4−アセチルチオナフチ
ル)、(メタ)アクリル酸2−(5−アセチルチオナフ
チル)、(メタ)アクリル酸2−(6−アセチルチオナ
フチル)、(メタ)アクリル酸2−(7−アセチルチオ
ナフチル)、(メタ)アクリル酸2−(8−アセチルチ
オナフチル)等を例示することができる。中でも、合成
の容易さ、または合成原料の工業的利便性等の観点か
ら、(メタ)アクリル酸2−アセチルチオエチル、(メ
タ)アクリル酸3−アセチルチオフェニル、(メタ)ア
クリル酸4−アセチルチオフェニル等が好ましい。な
お、本明細書では、「(メタ)アクリル酸」の用語は、
「メタクリル酸」および「アクリル酸」の総称を意味す
る。
【0041】アシルチオ基含有(メタ)アクリル酸エス
テル(I)は、一般式
【0042】
【化19】
【0043】(式中、R2およびX1は前記定義のとおり
である。)
【0044】で示されるアシルチオ基を有するアルコー
ルまたはフェノールと、(メタ)アクリル酸またはその
誘導体とを反応させることにより容易に合成できる。例
えば、日本化学会編、「第4版実験化学講座 有機合成
IV」(1992年 丸善発行)、第43〜54頁に記載
されている方法に従って、アシルチオ基を有するアルコ
ールまたはフェノールを、カルボン酸との脱水エステル
化反応、カルボン酸無水物との脱アシル基化反応、カル
ボン酸クロリドとの脱塩酸エステル化反応またはカルボ
ン酸エステルとのエステル交換反応に付することによっ
て、対応する化学構造のアシルチオ基含有(メタ)アク
リル酸エステル(I)が得られる。上記の脱塩酸エステ
ル化反応においては、副生する塩化水素が脱水反応や二
重結合に対する反応等の副反応を誘発することを抑制す
るために、ピリジン、ジメチルアニリン、トリエチルア
ミン、テトラメチル尿素などの塩基を反応系に共存させ
ることが望ましい。なお、上記のアシルチオ基を有する
アルコールまたはフェノールは、対応するメルカプト基
を有するアルコールまたはフェノールを、対応するカル
ボン酸との脱水エステル化、対応するカルボン酸無水物
との脱アシル基化、対応するカルボン酸クロリドとの脱
塩酸エステル化、対応するカルボン酸エステルとのエス
テル交換などの反応に付することによって合成すること
ができる。これらの中でも、カルボン酸クロリドとの脱
塩酸エステル化で合成するのが好ましい(例えば、エス
・パタイ(S.Patai)編、「ザ・ケミストリー・
オブ・カルボキシリック・アシッズ・アンド・エステル
ズ(The Chemistry of Carbox
ylic Acids and Esters)」(1
969年、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(Joh
n Wiley & Sons)発行)、第724〜7
25頁参照)。脱塩酸エステル化反応においては、副生
する塩化水素による副反応の誘発を抑制するために、ピ
リジン、ジメチルアニリン、トリエチルアミン、テトラ
メチル尿素などの塩基を反応系に共存させるのが望まし
い。
【0045】本発明のアシルチオ基を有するビニルケト
ン(以下、「アシルチオ基含有ビニルケトン(II)」と
いう)を示す上記一般式(II)において、R3が表すア
ルキル基の具体例としては、上記R2について例示した
ものを挙げることができる。また、X2は2価の炭化水
素基、好ましくは炭素数が2〜6の2価の飽和脂肪族炭
化水素基または炭素数が6〜12の2価の芳香族炭化水
素基、を表す。アシルチオ基含有ビニルケトン(II)の
具体例としては、2−アセチルチオエチル ビニル ケ
トン、2−プロピオニルチオエチル ビニル ケトン、
2−ブチリルチオエチル ビニル ケトン、2−イソブ
チリルチオエチル ビニル ケトン、2−バレリルチオ
エチル ビニル ケトン、2−ピバロイルチオエチル
ビニルケトン、2−(2−メチルブチリルチオ)エチル
ビニル ケトン、2−(3−メチルブチリルチオ)エ
チル ビニル ケトン、3−アセチルチオプロピル ビ
ニル ケトン、4−アセチルチオブチル ビニル ケト
ン、3−アセチルチオ−1−メチルプロピル ビニル
ケトン、2−アセチルチオ−1,1−ジメチルエチル
ビニル ケトン、2−アセチルチオフェニル ビニル
ケトン、3−アセチルチオフェニル ビニル ケトン、
4−アセチルチオフェニル ビニル ケトン、4−プロ
ピオニルチオフェニル ビニル ケトン、4−n−ブチ
リルチオフェニル ビニル ケトン、4−イソブチリル
チオフェニル ビニル ケトン、4−n−バレリルチオ
フェニル ビニル ケトン、4−ピバロイルチオフェニ
ルビニル ケトン、4−(2−メチルブチリルチオ)フ
ェニル ビニル ケトン、4−(3−メチルブチリルチ
オ)フェニル ビニル ケトン、4−アセチルチオ−2
−メチルフェニル ビニル ケトン、4−アセチルチオ
−3−メチルフェニル ビニル ケトン、4−アセチル
チオ−2−エチルフェニル ビニル ケトン、4−アセ
チルチオ−3−エチルフェニル ビニル ケトン、1−
(2−アセチルチオナフチル) ビニル ケトン、1−
(3−アセチルチオナフチル) ビニル ケトン、1−
(4−アセチルチオナフチル) ビニル ケトン、1−
(5−アセチルチオナフチル) ビニル ケトン、1−
(6−アセチルチオナフチル)ビニル ケトン、1−
(7−アセチルチオナフチル) ビニル ケトン、1−
(8−アセチルチオナフチル) ビニル ケトン、2−
(1−アセチルチオナフチル) ビニル ケトン、2−
(3−アセチルチオナフチル) ビニル ケトン、2−
(4−アセチルチオナフチル) ビニル ケトン、2−
(5−アセチルチオナフチル) ビニル ケトン、2−
(6−アセチルチオナフチル) ビニルケトン、2−
(7−アセチルチオナフチル) ビニル ケトン、2−
(8−アセチルチオナフチル) ビニル ケトンなどが
挙げられる。
【0046】アシルチオ基含有ビニルケトン(II)は、
例えば、一般式
【0047】
【化20】
【0048】(式中、X2は前記定義のとおりであ
る。)
【0049】で示されるメチルケトンのメルカプト基
を、例えば、神原周編、「高分子実験学単量体I」(1
976年 共立出版発行)、第277〜289頁に記載
された方法に準じて、カルボン酸クロリドで保護した
後、そのマンニッヒ塩基を合成し、次いで該マンニッヒ
塩基を熱分解することによって製造できる。上記のメチ
ルケトンのメルカプト基のカルボン酸クロリドによる保
護は、メルカプト基を有するアルコールまたはフェノー
ルとカルボン酸クロリドとの脱塩酸エステル化として上
記した方法に準じて行うことができる。上記のマンニッ
ヒ塩基を経由するメチレン化は、例えば、保護されたメ
ルカプト基を含有するメチルケトンを、ジエチルアミン
塩酸塩の存在下に反応系のpHを1以下に保ちながら、
ホルムアルデヒドと100〜120℃で反応させてマン
ニッヒ塩基を合成し、次いで、減圧下に、150〜21
0℃でマンニッヒ塩基を分解する方法により行われる。
本発明のアシルチオ基を有するビニルエステル(以下、
「アシルチオ基含有ビニルエステル(III)」という)
を示す上記一般式(III)において、R4が表すアルキル
基の具体例としては、上記R2について例示したものを
挙げることができる。また、X3は2価の炭化水素基、
好ましくは炭素数が1〜6の2価の飽和脂肪族炭化水素
基または炭素数が6〜12の2価の芳香族炭化水素基、
を表す。アシルチオ基含有ビニルエステル(III)の具
体例としては、(アセチルチオ)酢酸ビニル、(プロピ
オニルチオ)酢酸ビニル、(ブチリルチオ)酢酸ビニ
ル、(イソブチリルチオ)酢酸ビニル、(バレリルチ
オ)酢酸ビニル、(ピバロイルチオ)酢酸ビニル、(2
−メチルブチリルチオ)酢酸ビニル、(3−メチルブチ
リルチオ)酢酸ビニル、3−(アセチルチオ)プロピオ
ン酸ビニル、4−(アセチルチオ)酪酸ビニル、2−
(アセチルチオ)イソ酪酸ビニル、2−(アセチルチ
オ)安息香酸ビニル、3−(アセチルチオ)安息香酸ビ
ニル、4−(アセチルチオ)安息香酸ビニル、4−(プ
ロピオニルチオ)安息香酸ビニル、4−(n−ブチリル
チオ)安息香酸ビニル、4−(イソブチリルチオ)安息
香酸ビニル、4−(n−バレリルチオ)安息香酸ビニ
ル、4−(ピバロイルチオ)安息香酸ビニル、4−(2
−メチルブチリルチオ)安息香酸ビニル、4−(3−メ
チルブチリルチオ)安息香酸ビニル、4−アセチルチオ
−2−メチル安息香酸ビニル、4−アセチルチオ−3−
メチル安息香酸ビニル、4−アセチルチオ−2−エチル
安息香酸ビニル、4−アセチルチオ−3−エチル安息香
酸ビニル、2−アセチルチオ−1−ナフトエ酸ビニル、
3−アセチルチオ−1−ナフトエ酸ビニル、4−アセチ
ルチオ−1−ナフトエ酸ビニル、5−アセチルチオ−1
−ナフトエ酸ビニル、6−アセチルチオ−1−ナフトエ
酸ビニル、7−アセチルチオ−1−ナフトエ酸ビニル、
8−アセチルチオ−1−ナフトエ酸ビニル、1−アセチ
ルチオ−2−ナフトエ酸ビニル、3−アセチルチオ−2
−ナフトエ酸ビニル、4−アセチルチオ−2−ナフトエ
酸ビニル、5−アセチルチオ−2−ナフトエ酸ビニル、
6−アセチルチオ−2−ナフトエ酸ビニル、7−アセチ
ルチオ−2−ナフトエ酸ビニル、8−アセチルチオ−2
−ナフトエ酸ビニルなどが挙げられる。これらの中で
も、合成の容易さ、合成原料の工業的利便性等の観点か
ら、(アセチルチオ)酢酸ビニル、4−(アセチルチ
オ)安息香酸ビニル等が好ましい。
【0050】アシルチオ基含有ビニルエステル(III)
は、例えば、一般式
【0051】
【化21】
【0052】(式中、X3は前記定義のとおりであ
る。)
【0053】で示されるカルボン酸のメルカプト基をカ
ルボン酸クロリド等で保護し、得られたアシルチオ基を
有するカルボン酸を、アセチレンによるビニル化反応、
酢酸ビニルとのエステル交換反応または水銀ジアセトア
ルデヒドとの反応に供することによって合成することが
できる。上記のカルボン酸のメルカプト基のカルボン酸
クロリドによる保護は、メルカプト基を有するアルコー
ルまたはフェノールとカルボン酸クロリドとの脱塩酸エ
ステル化として上記した方法に準じて行うことができ
る。上記のアシルチオ基を有するカルボン酸のアセチレ
ンによるビニル化反応は、例えば、神原周編、「高分子
実験学 単量体I」(1976年 共立出版発行)、第
100〜106頁に記載された方法に準じて、ヒドロキ
ノンおよび黄色酸化水銀の存在下、40〜50℃で行う
ことができる。
【0054】上記のアシルチオ基含有(メタ)アクリル
酸エステル(I)、アシルチオ基含有ビニルケトン(I
I)およびアシルチオ基含有ビニルエステル(III)は、
いずれも、アシルチオ基以外に、重合性を有するエチレ
ン性二重結合を分子中に含む化合物であるため、単独重
合体または共重合体の単量体として利用することができ
る。製造可能な共重合体の好適な態様として、上記の本
発明の共重合体を挙げることができる。
【0055】本発明の共重合体は、上記のとおり、主と
して、a)上記一般式(IV)で示される繰り返し単位、
上記一般式(V)で示される繰り返し単位および上記一
般式(VI)で示される繰り返し単位からなる群から選ば
れる少なくとも1種の繰り返し単位と、b)上記一般式
(VII)で示される繰り返し単位、下記一般式(VIII)
で示される繰り返し単位および下記一般式(IX)で示さ
れる繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1
種の繰り返し単位とからなる共重合体である。一般式
(IV)で示される繰り返し単位、一般式(V)で示され
る繰り返し単位および一般式(VI)で示される繰り返し
単位は、それぞれ、上記のアシルチオ基含有(メタ)ア
クリル酸エステル(I)、アシルチオ基含有ビニルケト
ン(II)およびアシルチオ基含有ビニルエステル(II
I)から誘導可能である。
【0056】一般式(IV)中のR6、一般式(V)中の
7および一般式(VI)中のR8がそれぞれ表すアルキル
基の具体例としては、上記R2について例示したものを
挙げることができる。一般式(IV)中のX4が表す2価
の炭化水素基としては、上記X1と同様に、炭素数が2
〜8の2価の飽和脂肪族炭化水素基または炭素数が6〜
12の2価の芳香族炭化水素基が好ましい。一般式
(V)中のX5が表す2価の炭化水素基としては、上記
2と同様に、炭素数が2〜6の2価の飽和脂肪族炭化
水素基または炭素数が6〜12の2価の芳香族炭化水素
基が好ましい。また、一般式(VI)中のX6が表す2価
の炭化水素基としては、上記X3と同様に、炭素数が1
〜6の2価の飽和脂肪族炭化水素基または炭素数が6〜
12の2価の芳香族炭化水素基が好ましい。
【0057】一般式(VII)で示される繰り返し単位
は、一般式
【0058】
【化22】
【0059】(式中、R9およびR10は前記定義のとお
りである。)
【0060】で示される(メタ)アクリル酸エステルか
ら誘導可能である。該(メタ)アクリル酸エステルの具
体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、
(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸
n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)
アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチ
ル、(メタ)アクリル酸2−ペンチル、(メタ)アクリ
ル酸3−ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、
(メタ)アクリル酸2−メチル−1−ブチル、(メタ)
アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸t−アミ
ル、(メタ)アクリル酸3−メチル−2−ブチル、(メ
タ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−
ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)
アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n
−ノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)ア
クリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ウンデシ
ル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸
n−トリデシル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシ
ル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ス
テアリル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フ
ェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリ
ル酸1−ナフチル、(メタ)アクリル酸2−ナフチル、
(メタ)アクリル酸イソボルニルなどを挙げることがで
きる。
【0061】一般式(VIII)で示される繰り返し単位
は、一般式
【0062】
【化23】
【0063】(式中、R11およびR12は前記定義のとお
りである。)
【0064】で示される芳香族ビニル化合物から誘導可
能である。なお、該一般式(XI)中および上記一般式
(VIII)中のR12が表す1価の芳香族炭化水素基は、炭
素数が6〜20のアリール基であることが好ましい。該
芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、2−
メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチ
レン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、2−メチル−α−メチルスチ
レン、3−メチル−α−メチルスチレン、4−メチル−
α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニ
ルナフタレン、1−ビニルアントラセン、2−ビニルフ
ェナントレン、3−ビニルフェナントレンなどを挙げる
ことができる。
【0065】一般式(IX)で示される繰り返し単位は、
一般式
【0066】
【化24】
【0067】(式中、R13は前記定義のとおりであ
る。)
【0068】で示されるビニルエステルから誘導可能で
ある。なお、該一般式(XII)中および上記一般式(I
X)中のR13が表す1価の炭化水素基としては、炭素数
が1〜20のものが好ましい。該ビニルエステルの具体
例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビ
ニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、イソ吉草酸ビニ
ル、ピバル酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、イソヘキサン
酸ビニル、2−エチル酪酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、
イソヘプタン酸ビニル、オクタン酸ビニル、2−エチル
ヘキサン酸ビニル、3,5,5−トリメチルヘキサン酸
ビニル、ノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、ウンデカン
酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パ
ルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ジフェニル酢
酸ビニル、トリフェニル酢酸ビニル、フェニルステアリ
ン酸ビニル、安息香酸ビニル、o−トルイル酸ビニル、
m−トルイル酸ビニル、p−トルイル酸ビニル、1−ナ
フトエ酸ビニル、2−ナフトエ酸ビニルなどを挙げるこ
とができる。
【0069】本発明の共重合体では、上記の一般式(I
V)で示される繰り返し単位、一般式(V)で示される
繰り返し単位および一般式(VI)で示される繰り返し単
位の1種または2種以上が含有され、また、上記の一般
式(VII)で示される繰り返し単位、一般式(VIII)で
示される繰り返し単位および一般式(IX)で示される繰
り返し単位の1種または2種以上が含有される。
【0070】本発明の共重合体において、一般式(IV)
で示される繰り返し単位、一般式(V)で示される繰り
返し単位および一般式(VI)で示される繰り返し単位の
含有率(全繰り返し単位基準)の和は、用途、使用形態
等を考慮して適宜任意に選択することができるが、一般
に、0.1〜60モル%の範囲内であるのが好ましい。
0.1モル%以上であると、アシルチオ基を含有する共
重合体分子の含有率が高く、脱保護後のグラフト化にお
けるグラフト重合体分子の生成割合を高めることができ
る。また、60モル%以下であると、脱保護後、形成さ
れるメルカプト基の密度が高くなりすぎないため、酸化
による架橋が起こりにくく、不溶・不融性の架橋構造物
の生成を防止することができる。
【0071】本発明の共重合体の分子量は、とくに限定
されるものではないが、重量平均分子量において100
0〜2000000の範囲内が好ましい。1000以上
であると、製造や取り扱いが容易であり、しかも、アシ
ルチオ基を含有する共重合体分子の含有率が高く、脱保
護後のグラフト化におけるグラフト重合体分子の生成割
合を高めることができる。また、2000000以下で
あると、成形加工性が良好である。
【0072】本発明の共重合体は、例えば、上記のアシ
ルチオ基含有(メタ)アクリル酸エステル(I)、アシ
ルチオ基含有ビニルケトン(II)およびアシルチオ基含
有ビニルエステル(III)からなる群から選ばれる少な
くとも1種のエチレン性化合物と、上記の一般式(X)
で示される(メタ)アクリル酸エステル、一般式(XI)
で示される芳香族ビニル化合物および一般式(XII)で
示されるビニルエステルからなる群から選ばれる少なく
とも1種のエチレン性化合物とを、所定割合でラジカル
重合することにより製造可能である。
【0073】上記のラジカル重合では、塊状重合法、溶
液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法を採
用することができる。これらの中でも、経済性の観点か
らは塊状重合法あるいは懸濁重合法が好ましく、共重合
体を精度良く得る目的においては溶液重合法が好まし
い。溶液重合に用いることのできる溶媒としては、使用
する原料化合物および生成する共重合体に不活性でかつ
反応に悪影響を及ぼさない有機溶媒であればどのような
ものでも採用でき、適切な溶媒としては、トルエン、ベ
ンゼン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、n−オクタ
ン、イソオクタン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチ
ルケトン等の有機溶媒の単独または2種以上の混合物を
例示することができる。特に好ましい溶媒は、トルエ
ン、ベンゼン等である。ラジカル重合は、光、電子線等
の電磁放射線によっても開始することができるが、通常
は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス2,4−ジ
メチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボ
ニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ系開始剤;
過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル
等の有機過酸化物系開始剤などのラジカル重合触媒が用
いられる。また、レドックス系の重合開始剤(例えば、
有機過酸化物とアミン類の組み合わせ)も用いることが
できる。
【0074】ラジカル重合では、連鎖移動剤として、ブ
チルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、ラウリルメ
ルカプタン、t−ブチルメルカプタン、イソブチルメル
カプタンなどが用いられる。得られる共重合体の平均分
子量は、連鎖移動剤の添加量などの重合条件の設定によ
り任意に制御できる。本発明の共重合体を製造するため
の重合温度は、重合法、開始剤の種類等に応じて適宜選
択すればよいが、一般に、10〜260℃の範囲内であ
る。
【0075】重合終了後、重合系から本発明の共重合体
を分離取得する。溶液重合の場合は、溶液をメタノー
ル、ヘキサンなどの共重合体の貧溶媒に注ぎ、次いでデ
カンテーション、遠心分離等の処理に付するか、または
溶液を加熱して溶媒および未反応単量体を除去すること
によって、本発明の共重合体を取得することができる。
また、懸濁重合および乳化重合の場合には、塩析、凍結
凝固、スプレードライ法等により本発明の共重合体を取
得することができる。
【0076】本発明の共重合体は、分子鎖から分岐した
アシルチオ基を有する。該アシルチオ基は脱保護により
容易にメルカプト基に変換される。該脱保護は、例え
ば、共重合体を溶媒中に溶解または膨潤させた後、アシ
ルチオ基をメルカプト基に変換する公知の方法に準じ
て、アルカリまたは酸からなる触媒の存在下に、アルコ
リシス分解することによって行うことができる。アルカ
リとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金
属水酸化物;アンモニア;ジメチルアミン、ジエチルア
ミン等のアミン類を使用でき、また、酸としては、塩
酸、硫酸、酢酸等を使用できる。ただし、使用するアル
カリまたは酸として、共重合体のアシルチオ基以外の部
分に悪影響を及ぼさないものを適宜選択すべきであるこ
とはいうまでもない。例えば、共重合体がアクリル酸エ
ステル系の繰り返し単位を有する場合には、水酸化ナト
リウム等の強アルカリを用いるとアクリル酸エステル系
繰り返し単位中のエステル部分も分解を受けやすいた
め、アンモニア等の弱アルカリを使用するのが好ましい
(例えば、ティー・ダブリュ・グリーン(T.W.Gr
eene)著、「プロテクティブ・グループス・イン・
オーガニック・シンセシス(Protective G
roups in Organic Synthesi
s)」(1981年 ジョン・ウィリー・アンド・サン
ズ(John Wiley & Sons)発行)、第
209〜210頁参照)。
【0077】共重合体が主としてメタクリル酸エステル
系の繰り返し単位からなるものである場合について、例
えば、以下のようにして脱保護を行うことができる。共
重合体をトルエン/メタノール混合溶媒中、窒素雰囲気
下、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド等のアル
カリの存在下において、40〜80℃の範囲内の温度で
脱保護反応に付する。脱保護反応の進行は、反応混合液
を適宜サンプリングして、メルカプト基の生成の程度を
確認することにより行われる。反応終了後、混合液を酢
酸などの酸で中和し、溶液をメタノール、ヘキサンなど
の貧溶媒に注ぎ、次いでデカンテーション、遠心分離な
どの処理を行うことにより、分子鎖から分岐したメルカ
プト基を有する共重合体を得ることができる。脱保護の
確認のためのメルカプト基の定量は、例えば、アーカイ
ブス・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィ
ジックス(Archives ofBiochemis
try and Biophysics)、第119
巻、第41〜49頁(1967年)に記載されている方
法に従って、UVを用いた分光学的手法により行うこと
ができる。通常、2,2’−ジチオジピリジン(以下、
「2−PDS」と略す)、4,4’−ジチオジピリジン
などの発色剤とメルカプト基との反応によりチオピリド
ンが生成することを利用して、該チオピリドンのUV吸
収により定量することができる。具体的なメルカプト基
の定量方法としては、脱保護反応系の反応混合液から採
取したサンプルを酢酸などで中和した後、ジメチルホル
ムアミド(以下、「DMF」と略す)で希釈した溶液、
または測定対象の共重合体のトルエン/DMF混合溶媒
中の溶液に、発色剤として2−PDSを添加し、375
nmの吸光度に基づいて定量する方法が挙げられる。
【0078】なお、本発明の共重合体の脱保護において
は、アシルチオ基のメルカプト基への変換率は任意であ
り、分子中のアシルチオ基の実質的にすべてをメルカプ
ト基に変換してもよく、また一部のアシルチオ基のみを
メルカプト基に変換してもよい。
【0079】本発明の共重合体を脱保護反応に付して得
られた分子鎖から分岐したメルカプト基を有する共重合
体は、ラジカル開始剤の存在下にラジカル重合可能な単
量体とラジカル重合させることによって、容易にグラフ
ト重合体に変換される。
【0080】グラフト重合体の製造に用いられるラジカ
ル重合可能な単量体は、特に限定されず、例えば、一般
式(X)で示される(メタ)アクリル酸エステル、一般
式(XI)で示される芳香族ビニル化合物または一般式
(XII)で示されるビニルエステルの具体例として上記
したようなエチレン性化合物を挙げることができる。グ
ラフト重合体の製造のために採用されるラジカル重合法
としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化
重合法等の公知の方法を挙げることができるが、経済性
が要求される場合には、塊状重合法あるいは懸濁重合法
が好ましく、グラフト重合体を精度よく取得することが
要求される場合には溶液重合法が好ましい。例えば、溶
液重合の場合における単量体の添加方法としては、一括
添加、分割添加、連続添加等の種々の方法を採用でき
る。溶液重合に用いることのできる溶媒としては、単量
体およびメルカプト基を有する共重合体に対して不活性
で、かつラジカル重合反応に悪影響を及ぼさない有機溶
媒であればどのようなものでも採用できる。適切な溶媒
の具体例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、ヘ
キサン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、エチ
ルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン等の有機
溶媒の単独または2種以上の混合物が挙げられる。特に
好ましい溶媒は、トルエン、ベンゼン等である。溶媒の
使用量は、単量体および共重合体の溶解性、粘度などに
応じて適宜決めることができるが、通常、単量体の濃度
と共重合体の濃度との和が10〜90重量%の範囲内と
なるような量である。
【0081】グラフト重合体製造のためのラジカル重合
は、光、電子線等の電磁放射線によっても開始すること
ができるが、通常は、アゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシク
ロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等
のアゾ系開始剤;過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、
過酸化ラウロイル等の有機過酸化物系開始剤などのラジ
カル重合触媒が用いられる。また、レドックス系の重合
開始剤(例えば、有機過酸化物とアミン類の組み合わ
せ)も用いることができる。グラフト重合体製造のため
のラジカル重合の温度は、重合法、開始剤の種類等に応
じて適宜選択すればよいが、一般に、10〜260℃の
範囲内である。
【0082】重合終了後、重合系から、目的とするグラ
フト重合体を分離取得する。溶液重合の場合は、溶液を
メタノール、ヘキサンなどのグラフト重合体の貧溶媒に
注ぎ、次いでデカンテーション、遠心分離等の処理に付
するか、または溶液を加熱して溶媒および未反応単量体
を除去することによって、グラフト重合体を取得するこ
とができる。また、懸濁重合および乳化重合の場合に
は、塩析、凍結凝固、スプレードライ法等によりグラフ
ト重合体を取得することができる。
【0083】このようにして得られたグラフト重合体
は、エラストマーまたは熱可塑性樹脂として成形用途に
使用することができる。また、グラフト重合体は、ポリ
マーアロイ/ブレンド用相溶化剤や樹脂改質剤として使
用することも可能である。
【0084】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより限定されるもので
はない。
【0085】なお、実施例における測定法としては、次
の(1)、(2)の方法を採用した。
【0086】(1)NMR 試料を重水素化クロロホルムに溶解し、TMS(テトラ
メチルシラン)基準で測定した。
【0087】(2)GPC(ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー) 以下の条件を採用して測定した。 ・カラム:SHIMADZU GPC806、SHIM
ADZU HSG−40H、SHIMADZU HSG
−20H(いずれも、島津製作所製)の3本直列; ・温度:55℃; ・流量:1.0ml/分; ・溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
【0088】なお、数平均分子量(以下、「Mn」と略
す)および重量平均分子量(以下、「Mw」と略す)
は、ポリスチレン換算で示す。
【0089】実施例1[メタクリル酸4−アセチルチオ
フェニルの合成] 撹拌翼、2本の滴下ロートおよび塩化カルシウム管を備
えたフラスコを窒素置換した後、4−メルカプトフェノ
ール126.18gおよびジエチルエーテル2リットル
を加え、氷水浴中で冷却した。次に、撹拌下で、これに
トリエチルアミン139.4mlを約10分間を要して
滴下し、さらに、塩化アセチル71.1mlを約30分
間を要して滴下した。滴下終了後、さらにジエチルエー
テル0.5リットルを加えて、氷水浴中で2時間撹拌し
た。次に、トリエチルアミン139.4mlを約10分
間を要して滴下し、さらにメタクリロイルクロリド9
7.7mlを約30分間を要して滴下した後、氷水浴中
で2時間撹拌した。反応終了後、反応混合液を、水1リ
ットル、1%希硫酸1リットル、20%食塩水1リット
ルの順序で洗浄した。洗浄後の有機溶液に、フェノチア
ジンおよびイルガノックス1010(チバ・ガイギー製
酸化防止剤)の各1gを加え、無水硫酸マグネシウムで
乾燥した後、乾燥剤をろ別した。ろ液にフェノチアジン
2gを加え、22℃の温度下でエバポレーターにより濃
縮した後、n−ヘキサンを加えて再結晶することによ
り、白色結晶状のメタクリル酸4−アセチルチオフェニ
ルを106g得た。
【0090】以下に、得られたメタクリル酸4−アセチ
ルチオフェニルのNMRスペクトルの分析結果を示す。
【0091】・NMRスペクトル(TMS,δ/pp
m) 2.05(3H,s,=CCH3)、2.40(3H,
s,SCO−CH3)、5.78〜6.38(2H,d,
CH2=)、7.18〜7.48(4H,m,芳香族H)
【0092】実施例2[メタクリル酸2−アセチルチオ
エチルの合成] 撹拌翼、2本の滴下ロートおよび塩化カルシウム管を備
えたフラスコを窒素置換した後、2−メルカプトエタノ
ール78.1gおよびジエチルエーテル2リットルを加
え、氷水浴中で冷却した。次に、撹拌下で、これにトリ
エチルアミン139.4mlを約10分間を要して滴下
し、さらに、塩化アセチル71.1mlを約30分間を
要して滴下した。滴下終了後、さらにジエチルエーテル
0.5リットルを加えて、氷水浴中で2時間撹拌した。
次に、トリエチルアミン139.4mlを約10分間を
要して滴下し、さらにメタクリロイルクロリド97.7
mlを約30分間を要して滴下した後、氷水浴中で2時
間撹拌した。反応終了後、反応混合液を、水1リット
ル、1%希硫酸1リットル、20%食塩水1リットルの
順序で洗浄した。洗浄後の有機溶液に、フェノチアジン
およびイルガノックス1010(チバ・ガイギー製酸化
防止剤)の各1gを加え、無水硫酸マグネシウムで乾燥
した後、乾燥剤をろ別した。ろ液にフェノチアジン2g
を加え、22℃の温度下でエバポレーターにより濃縮し
た後、蒸留精製することによって、液状のメタクリル酸
2−アセチルチオエチルを132g得た。
【0093】以下に、得られたメタクリル酸2−アセチ
ルチオエチルのNMRスペクトルの分析結果を示す。
【0094】・NMRスペクトル(TMS,δ/pp
m) 1.94(3H,s,=CCH3)、2.31(3H,
s,SCO−CH3)、3.69〜4.42(4H,
m,OCH2CH2S)、5.55〜6.10(2H,d,
CH2=)
【0095】実施例3[アクリル酸4−アセチルチオフ
ェニルの合成] メタクリロイルクロリド97.7mlの代わりにアクリ
ロイルクロリド81mlを用いた以外は、実施例1と同
様に反応操作および後処理操作を行った結果、白色結晶
状のアクリル酸4−アセチルチオフェニルを98g得
た。
【0096】以下に、得られたアクリル酸4−アセチル
チオフェニルのNMRスペクトルの分析結果を示す。
【0097】・NMRスペクトル(TMS,δ/pp
m) 2.42(3H,s,SCO−CH3)、5.78〜6.4
4(3H,m,CH2=CH)、7.20〜7.45(4
H,m,芳香族H)
【0098】実施例4[4−アセチルチオフェニル ビ
ニル ケトンの合成] 撹拌翼、2本の滴下ロートおよび塩化カルシウム管を備
えたフラスコを窒素置換した後、p−メルカプトアセト
フェノン152.1gおよびジエチルエーテル2リット
ルを加え、氷水浴中で冷却した。次に、撹拌下で、これ
にトリエチルアミン139.4mlを約10分間を要し
て滴下し、さらに、塩化アセチル71.1mlを約30
分間を要して滴下した。滴下終了後、さらにジエチルエ
ーテル0.5リットルを加えて、氷水浴中で2時間撹拌
した。反応終了後、反応混合液を、水1リットル、1%
希硫酸1リットル、20%食塩水1リットルの順序で洗
浄した。洗浄後の有機溶液を無水硫酸マグネシウムで乾
燥した後、乾燥剤をろ別した。ろ液にフェノチアジン2
gを加えた後、40℃の温度下でエバポレーターにより
濃縮し、濃縮物にn−ヘキサンを加えて再結晶すること
により、白色結晶を155.3g得た。
【0099】オートクレーブに、ジエチルアミン塩酸塩
86.7g、ホルムアルデヒドを23.8g含有する3
5重量%水溶液、濃塩酸2.6mlおよび上記で得られ
た白色結晶150.0gを仕込み、100℃で1.5時
間反応させた。得られた反応混合物を、40mmHgの
減圧下で揮発分を留去させながら、120℃に加熱し、
次いで150〜200℃に昇温することによって熱処理
し、白色結晶状の4−アセチルチオフェニル ビニル
ケトンを148.1g得た。
【0100】以下に、得られた4−アセチルチオフェニ
ル ビニル ケトンのNMRスペクトルの分析結果を示
す。
【0101】・NMRスペクトル(TMS,δ/pp
m) 2.31(3H,s,SCO−CH3)、6.23〜6.3
4(2H,m,CH2=)、7.20〜7.46(5H,
m,芳香族H,=CH)
【0102】実施例5[4−(アセチルチオ)安息香酸
ビニルの合成] 撹拌翼、2本の滴下ロートおよび塩化カルシウム管を備
えたフラスコを窒素置換した後、4−メルカプト安息香
酸154.1gおよびジエチルエーテル2リットルを加
え、氷水浴中で冷却した。次に、撹拌下で、これにトリ
エチルアミン139.4mlを約10分間を要して滴下
し、さらに、塩化アセチル71.1mlを約30分間を
要して滴下した。滴下終了後、さらにジエチルエーテル
0.5リットルを加えて、氷水浴中で2時間撹拌した。
反応終了後、反応混合液を、水1リットル、1%希硫酸
1リットル、20%食塩水1リットルの順序で洗浄し
た。洗浄後の有機溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た後、乾燥剤をろ別した。ろ液を40℃の温度下でエバ
ポレーターにより濃縮し、濃縮物にn−ヘキサンを加え
て再結晶することにより、白色結晶を156.9g得
た。
【0103】撹拌翼、温度計、ガス導入管および冷却器
を備えたフラスコに、得られた白色結晶156g、ヒド
ロキノン0.08gおよび黄色酸化水銀7.6gを入れ
た。この混合物を、ドライアイス−アセトン冷却蛇管ト
ラップ、水銀安全弁、空トラップ、硫酸洗びんおよびソ
ーダ石灰を通したアセチレンを導入しながら、撹拌し
た。この間、初期は反応混合物を溶融させるために温水
浴で加熱し、溶融後は、反応温度を40〜50℃に下げ
た。3時間後、アセチレンの導入を止めた。得られた反
応混合物をろ過し、ろ液を減圧蒸留することによって、
4−(アセチルチオ)安息香酸ビニルを73.0g得
た。
【0104】以下に、得られた4−(アセチルチオ)安
息香酸ビニルのNMRスペクトルの分析結果を示す。
【0105】・NMRスペクトル(TMS,δ/pp
m) 2.31(3H,s,SCO−CH3)、4.61〜5.0
8(3H,m,CH2=CH)、6.37〜6.67(4
H,m,芳香族H)
【0106】実施例6[メタクリル酸メチル/メタクリ
ル酸4−アセチルチオフェニル共重合体の合成] メタクリル酸メチル586g、実施例1で得られた化合
物(メタクリル酸4−アセチルチオフェニル)14g、
アゾビスイソブチロニトリル0.62gおよびラウリル
メルカプタン7.53gをトルエン860mlに溶解
し、この溶液を窒素の吹き込み処理に付した後、窒素下
で60℃に加熱することによって、15時間重合を行っ
た。得られた反応混合液をメタノール中に注ぎ、析出物
を遠心分離し、THF/メタノール混合溶媒で再沈精製
した後、室温で減圧乾燥することによって、メタクリル
酸メチル/メタクリル酸4−アセチルチオフェニル共重
合体を305g得た。
【0107】次に、得られた共重合体の分析結果を示
す。
【0108】・GPC Mn:18400、Mw:35800、Mw/Mn:
2.0 ・NMRスペクトル(TMS,δ/ppm) 0.80〜1.26(m,CH3)、1.83〜1.98
(m,CH2)、2.43(s,SCO−CH3)、3.
66(s,COOCH3)、7.12〜7.47(m,芳
香族H) ・NMRに基づく共重合比 メタクリル酸メチル/メタクリル酸4−アセチルチオフ
ェニル=98.3/1.7(モル比) ・NMRに基づくf値:3.1
【0109】実施例7[スチレン/メタクリル酸4−ア
セチルチオフェニル共重合体の合成] スチレン500g、実施例1で得られた化合物(メタク
リル酸4−アセチルチオフェニル)100g、アゾビス
イソブチロニトリル1.88g、ラウリルメルカプタン
50.7gおよびトルエン3900mlからなる溶液を
使用した以外は実施例6と同様に反応操作および後処理
操作を行うことによって、スチレン/メタクリル酸4−
アセチルチオフェニル共重合体を298g得た。
【0110】次に、得られた共重合体の分析結果を示
す。
【0111】・GPC Mn:2100、Mw:5500、Mw/Mn:2.6 ・NMRスペクトル(TMS,δ/ppm) 0.80〜1.26(m,CH3C)、1.43〜2.25
(m,CH2CH,CH2C)、2.43(s,SCO−
CH3)、6.22〜7.47(m,芳香族H) ・NMRに基づく共重合比 スチレン/メタクリル酸4−アセチルチオフェニル=9
0.3/9.7(モル比) ・NMRに基づくf値:1.7
【0112】実施例8[アクリル酸メチル/アクリル酸
4−アセチルチオフェニル共重合体の合成] アクリル酸メチル388g、実施例3で得られた化合物
(アクリル酸2−アセチルチオフェニル)212g、ア
ゾビスイソブチロニトリル0.45g、ラウリルメルカ
プタン5.5gおよびトルエン460mlからなる溶液
を使用した以外は実施例6と同様に反応操作および後処
理操作を行うことによって、アクリル酸メチル/アクリ
ル酸4−アセチルチオフェニル共重合体を301g得
た。
【0113】次に、得られた共重合体の分析結果を示
す。
【0114】・GPC Mn:21000、Mw:42000、Mw/Mn:
2.0 ・NMRスペクトル(TMS,δ/ppm) 1.66〜2.52(m,CH3C,CH2CH,CH
2C)、2.43(s,SCO−CH3)、3.78
(s,COOCH3)、7.18〜7.47(m,芳香族
H) ・NMRに基づく共重合比 アクリル酸メチル/メタクリル酸2−アセチルチオフェ
ニル=80.3/19.7(モル比) ・NMRに基づくf値:37.1
【0115】実施例9[メタクリル酸メチル/メタクリ
ル酸2−アセチルチオエチル共重合体の合成] メタクリル酸メチル289g、実施例2で得られた化合
物(メタクリル酸2−アセチルチオエチル)301g、
アゾビスイソブチロニトリル0.05gおよびラウリル
メルカプタン0.1gからなる混合液(トルエンは不使
用)を使用した以外は実施例6と同様に反応操作および
後処理操作を行うことによって、メタクリル酸メチル/
メタクリル酸2−アセチルチオエチル共重合体を299
g得た。
【0116】次に、得られた共重合体の分析結果を示
す。
【0117】・GPC Mn:484300、Mw:1001100、Mw/M
n:2.1 ・NMRスペクトル(TMS,δ/ppm) 0.80〜1.26(m,CH3C)、1.83〜1.98
(m,CH2)、2.34(s,SCO−CH3)、3.
70(s,COOCH3)、3.69〜4.33(m,O
CH2CH2S) ・NMRに基づく共重合比 メタクリル酸メチル/メタクリル酸2−アセチルチオエ
チル=65.2/34.8(モル比) ・NMRに基づくf値:1328
【0118】実施例10[アクリル酸ブチル/メタクリ
ル酸2−アセチルチオエチル共重合体の合成] アクリル酸ブチル557g、実施例2で得られた化合物
(メタクリル酸2−アセチルチオエチル)43g、アゾ
ビスイソブチロニトリル0.46gおよびラウリルメル
カプタン2.97gを、トルエン460mlに溶解し、
この溶液を窒素の吹き込み処理に付した後、窒素下で6
0℃に加熱することによって、15時間重合を行った。
得られた反応混合液を50℃の熱風乾燥機で乾燥した
後、室温で減圧乾燥することによって、アクリル酸ブチ
ル/メタクリル酸2−アセチルチオエチル共重合体を3
03g得た。
【0119】次に、得られた共重合体の分析結果を示
す。
【0120】・GPC Mn:39700、Mw:99400、Mw/Mn:
2.5 ・NMRスペクトル(TMS,δ/ppm) 0.80〜2.52(m,CH3,CH3C,CH2CH,
CH2C,CH2CH2)、2.34(s,SCO−C
3)、3.69〜4.33(m,OCH2CH2S,CO
OCH2) ・NMRに基づく共重合比 アクリル酸ブチル/メタクリル酸2−アセチルチオエチ
ル=95.1/4.9(モル比) ・NMRに基づくf値:14.9
【0121】実施例11[スチレン/4−アセチルチオ
フェニル ビニル ケトン共重合体の合成] スチレン201g、実施例4で得られた化合物(4−ア
セチルチオフェニルビニル ケトン)399g、アゾビ
スイソブチロニトリル0.46g、ラウリルメルカプタ
ン9.5gおよびトルエン460mlからなる溶液を使
用した以外は実施例6と同様に反応操作および後処理操
作を行うことによって、スチレン/4−アセチルチオフ
ェニル ビニル ケトン共重合体を301g得た。
【0122】次に、得られた共重合体の分析結果を示
す。
【0123】・GPC Mn:10100、Mw:25200、Mw/Mn:
2.5 ・NMRスペクトル(TMS,δ/ppm) 1.18〜2.88(m,CH2CH)、2.43(s,S
CO−CH3)、6.22〜7.46(m,芳香族H) ・NMRに基づく共重合比 スチレン/4−アセチルチオフェニル ビニル ケトン
=99.1/0.9(モル比) ・NMRに基づくf値:1.7
【0124】実施例12[酢酸ビニル/4−アセチルチ
オフェニル ビニル ケトン共重合体の合成] 酢酸ビニル403g、実施例4で得られた化合物(4−
アセチルチオフェニルビニル ケトン)197g、アゾ
ビスイソブチロニトリル0.31g、ラウリルメルカプ
タン0.3gおよびトルエン120mlからなる溶液を
使用した以外は実施例6と同様に反応操作および後処理
操作を行うことによって、酢酸ビニル/4−アセチルチ
オフェニル ビニル ケトン共重合体を298g得た。
【0125】次に、得られた共重合体の分析結果を示
す。
【0126】・GPC Mn:99600、Mw:254200、Mw/Mn:
2.6 ・NMRスペクトル(TMS,δ/ppm) 1.66〜2.88(m,CH2CH)、1.94(s,O
CO−CH3)、2.43(s,SCO−CH3)、3.6
0〜4.34(m,CHOCO)、6.45〜6.75
(m,芳香族H) ・NMRに基づく共重合比 酢酸ビニル/4−アセチルチオフェニルビニルケトン=
98.1/1.9(モル比) ・NMRに基づくf値:8.6
【0127】実施例13[スチレン/4−(アセチルチ
オ)安息香酸ビニル共重合体の合成] スチレン539g、実施例5で得られた化合物(4−
(アセチルチオ)安息香酸ビニル)61g、アゾビスイ
ソブチロニトリル0.46g、ラウリルメルカプタン
9.6gおよびトルエン460mlからなる溶液を使用
した以外は実施例6と同様に反応操作および後処理操作
を行うことによって、スチレン/4−(アセチルチオ)
安息香酸ビニル共重合体を303g得た。
【0128】次に、得られた共重合体の分析結果を示
す。
【0129】・GPC Mn:9900、Mw:24800、Mw/Mn:2.
5 ・NMRスペクトル(TMS,δ/ppm) 1.18〜2.25(m,CH2CH)、2.44(s,S
CO−CH3)、3.60〜4.34(m,CHOC
O)、6.22〜7.46(m,芳香族H) ・NMRに基づく共重合比 スチレン/4−(アセチルチオ)安息香酸ビニル=9
5.2/4.8(モル比) ・NMRに基づくf値:3.4
【0130】実施例14[酢酸ビニル/4−(アセチル
チオ)安息香酸ビニル共重合体の合成] 酢酸ビニル365g、実施例5で得られた化合物(4−
(アセチルチオ)安息香酸ビニル)235g、アゾビス
イソブチロニトリル1.40g、ラウリルメルカプタン
10.5gおよびトルエン2760mlからなる溶液を
使用した以外は実施例6と同様に反応操作および後処理
操作を行うことによって、酢酸ビニル/4−(アセチル
チオ)安息香酸ビニル共重合体を302g得た。
【0131】次に、得られた共重合体の分析結果を示
す。
【0132】・GPC Mn:5000、Mw:10600、Mw/Mn:2.
1 ・NMRスペクトル(TMS,δ/ppm) 1.66〜2.18(m,CH2)、1.94(s,OCO
CH3)、2.42(s,SCO−CH3)、3.60〜
4.34(m,CHOCO)、6.37〜6.67(m,
芳香族H) ・NMRに基づく共重合比 酢酸ビニル/4−(アセチルチオ)安息香酸ビニル=8
0.4/19.6(モル比) ・NMRに基づくf値:2.4
【0133】参考例1[メタクリル酸メチル/メタクリ
ル酸4−アセチルチオフェニル共重合体の脱保護による
メルカプト基含有共重合体の合成] 実施例6で得られた共重合体(メタクリル酸メチル/メ
タクリル酸4−アセチルチオフェニル共重合体)60g
をメタノール60mlおよびトルエン180mlの混合
溶媒に溶解し、溶液を、窒素バブリング下に70℃で1
時間撹拌した。これに、ナトリウムメトキシドを6重量
%含有するメタノール溶液を0.55ml添加し、70
℃で6時間撹拌した。得られた反応混合液を、酢酸を6
重量%含有するメタノール溶液0.88mlで中和し、
溶液をメタノール中に注ぎ、次いで遠心分離することに
よって、対応するメルカプト基含有共重合体(メタクリ
ル酸メチル/メタクリル酸4−メルカプトフェニル/メ
タクリル酸4−アセチルチオフェニル共重合体)を46
g得た。UV分析の結果、該メルカプト基含有共重合体
のf値は1.3であった。
【0134】参考例2〜8[共重合体の脱保護によるメ
ルカプト基含有共重合体の合成] 下記表1に示すように、実施例6で得られた共重合体6
0gの代わりに他の実施例で得られた共重合体60gを
使用し、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液0.5
5mlの代わりに所定のアルカリのメタノール溶液の所
定量を使用し、かつ反応時間および酢酸のメタノール溶
液の使用量をそれぞれ表1に示すように変更した以外は
参考例1と同様にして、反応操作および後処理操作を行
うことによって、対応するメルカプト基含有共重合体を
得た。得られたメルカプト基含有共重合体について、U
V分析をした結果に基づくf値を表1に示す。
【0135】
【表1】
【0136】なお、上記表1中、「アルカリのメタノー
ル溶液」の欄における種類「A」は、「ナトリウムメト
キシドを6重量%含有するメタノール溶液」を意味し、
種類「B」は、「アンモニアを4重量%含有するメタノ
ール溶液」を意味する。
【0137】参考例9[スチレン/メタクリル酸4−メ
ルカプトフェニル/メタクリル酸4−アセチルチオフェ
ニル共重合体とスチレンとの反応によるグラフト重合体
の合成] 参考例2で得られたメルカプト基含有共重合体(スチレ
ン/メタクリル酸4−メルカプトフェニル/メタクリル
酸4−アセチルチオフェニル共重合体)9.1g、スチ
レン5.2gおよびAIBN(アゾビスイソブチロニト
リル)0.15gをトルエン44mlに溶解し、窒素置
換した後、減圧下に、60℃で15時間反応させた。得
られた反応混合液をメタノール中に注ぎ、次いで遠心分
離することにより、対応するグラフト重合体を得た。
【0138】次に、得られたグラフト重合体の分析結果
を示す。
【0139】・GPC(溶媒:THF) Mn:29200、Mw:62500、Mw/Mn:
2.1 ・NMRスペクトル(TMS,δ/ppm) 0.52〜2.36(m,CH3,CH2,CH)、3.5
8(s,COOCH3)、6.26〜7.46(m,芳香
族H) ・NMRに基づく主鎖/側鎖比 主鎖の繰り返し単位(スチレン単位およびメタクリル酸
エステル単位)/側鎖の繰り返し単位(スチレン単位)
=81.3/18.7(モル比)
【0140】参考例10〜21[グラフト重合体の合
成] 参考例2で得られたメルカプト基含有共重合体9.1g
およびスチレン5.2gの代わりに、それぞれ表2に示
す種類および量のメルカプト基含有共重合体およびエチ
レン性単量体を使用し、かつ、AIBNおよびトルエン
の使用量を表2に示す量に変更した以外は参考例9と同
様にして、反応操作および後処理操作を行うことによっ
て、対応するグラフト重合体を得た。得られたグラフト
重合体について、GPCに基づくMn、Mw等の値を表
2に示す。
【0141】
【表2】
【0142】
【発明の効果】上記一般式(I)、(II)または(II
I)で示されるアシルチオ基を有する本発明の化合物
は、他のエチレン性単量体と共重合させることができ、
その結果、分子鎖から分岐したアシルチオ基を有する共
重合体を与える。該共重合体は、分子鎖から分岐したメ
ルカプト基を有する共重合体に容易に変換できるので、
グラフト重合体の前駆体として有用である。しかも、該
グラフト重合体に変換するためのグラフト重合は、工業
的に汎用性の高いラジカル重合法を採用できる点、操作
が簡便である点等から、工業的に有利に行うことができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 220/38 MMU C08F 220/38 MMU

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2はア
    ルキル基を示し、X1は2価の炭化水素基を示す。)で
    示される、アシルチオ基を有するメタクリル酸またはア
    クリル酸のエステル。
  2. 【請求項2】 一般式 【化2】 (式中、R3はアルキル基を示し、X2は2価の炭化水素
    基を示す。)で示される、アシルチオ基を有するビニル
    ケトン。
  3. 【請求項3】 一般式 【化3】 (式中、R4はアルキル基を示し、X3は2価の炭化水素
    基を示す。)で示される、アシルチオ基を有するビニル
    エステル。
  4. 【請求項4】 主として、a)一般式 【化4】 (式中、R5は水素原子またはメチル基を示し、R6はア
    ルキル基を示し、X4は2価の炭化水素基を示す。)で
    示される繰り返し単位、一般式 【化5】 (式中、R7はアルキル基を示し、X5は2価の炭化水素
    基を示す。)で示される繰り返し単位および一般式 【化6】 (式中、R8はアルキル基を示し、X6は2価の炭化水素
    基を示す。)で示される繰り返し単位からなる群から選
    ばれる少なくとも1種の繰り返し単位と、b)一般式 【化7】 (式中、R9は水素原子またはメチル基を示し、R10
    1価の炭化水素基を示す。)で示される繰り返し単位、
    一般式 【化8】 (式中、R11は水素原子またはメチル基を示し、R12
    1価の芳香族炭化水素基を示す。)で示される繰り返し
    単位および一般式 【化9】 (式中、R13は1価の炭化水素基を示す。)で示される
    繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の
    繰り返し単位とからなる共重合体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008019234A (ja) * 2006-06-14 2008-01-31 Hitachi Chem Co Ltd 側鎖に硫黄原子を有するグラフトポリマー及びその製造方法

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