JPH0931543A - オ−ステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents

オ−ステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法

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JPH0931543A
JPH0931543A JP18259695A JP18259695A JPH0931543A JP H0931543 A JPH0931543 A JP H0931543A JP 18259695 A JP18259695 A JP 18259695A JP 18259695 A JP18259695 A JP 18259695A JP H0931543 A JPH0931543 A JP H0931543A
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stainless steel
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austenitic stainless
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JP18259695A
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Shigeru Kitani
滋 木谷
Yoshio Hayashi
美生 林
Toshio Kojima
寿男 小島
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】鏡面研磨に要する工数の削減、特にバフ研磨の
所要時間を削減し、製品の表面光沢を高めることができ
るオ−ステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
を提供する。 【構成】(1)焼鈍後酸洗前のオ−ステナイト系ステン
レス鋼板であって、酸素を除く金属元素についてのat
%で、焼鈍中に生成したスケ−ル中に濃化したSi濃度
のピ−ク値が30%以下もしくはMn濃度の第2ピ−ク
値が15%以下またはその両方を満たすことを特徴とす
るオ−ステナイトステンレス鋼板、および(2)重量%
で、Si:0.40%以下もしくはMn:1.40%以
下またはその両方を満たす組成を有するオ−ステナイト
系ステンレス鋼板の焼鈍において、400℃から900
℃までの温度範囲での平均加熱速度を30℃/s以上と
し、かつ、1000℃以上での加熱時間を5〜90秒間
とすることを特徴とするオ−ステナイト系ステンレス鋼
板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少ない研磨量で光沢が
向上するオ−ステナイト系ステンレス鋼板の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】オ−ステナイト系ステンレス鋼板は耐食
性や加工性の優れた金属材料として多くの用途に使用さ
れるが、近年はその特有の金属光沢を活かして、意匠性
の要求される用途、例えば、器物または化粧板等にも用
途を広げている。これらの用途には表面は鏡面研磨され
ることが多く、そのためにバフ研磨等が行われる。バフ
研磨は、バフ布と研磨油により研磨して滑らかな表面に
仕上げる方法であり、多くの労力と時間を要する。
【0003】図1はオ−ステナイト系ステンレス鋼板の
冷間圧延後バフ研磨までの製造工程を示す図面である。
オ−ステナイト系ステンレス鋼板は、通常、冷間圧延1
の後鋼帯の焼鈍2を行い、その際に生じたスケ−ルを除
去するために中性塩電解処理3を施した後、酸洗4を行
う。オ−ステナイト系ステンレス鋼板はNiを含有しな
いフェライト系ステンレス鋼板に比べて表面が粗く、光
沢に乏しい。これはスケ−ル除去方法の差に起因するも
のである。フェライト系ステンレス鋼は中性塩電解後に
硝酸電解法で脱スケ−ルするのに対して、オ−ステナイ
ト系ステンレス鋼では、図1に示すように中性塩電解し
た後に硝ふっ酸(硝酸とふっ化水素酸の混酸)に浸漬し
てスケ−ルを除去する。硝酸電解法は比較的緩やかな脱
スケ−ル方法であり、ステンレス鋼の結晶粒界が選択的
に腐食される深さは浅いのに対して、硝ふっ酸による酸
洗4は結晶粒界を選択的に腐食して、その腐食深さを深
くする。したがって、オ−ステナイト系ステンレス鋼の
表面粗度は大きくなり、光沢は低下する。オ−ステナイ
ト系ステンレス鋼はNi濃度が高いためにスケ−ルの鋼
表面への粘着力が強く、硝ふっ酸により酸洗せざるをえ
ない。このため、オ−ステナイト系ステンレス鋼板をバ
フ研磨して鏡面仕上げにするには、多くの研磨時間を要
する。
【0004】オ−ステナイト系ステンレス鋼SUS30
4の2B仕上げ材(JIS G 4305「冷間圧延ス
テンレス鋼板及び鋼帯」:酸洗後、調質圧延したもの)
のバフ研磨性に及ぼす粒界侵食の影響については、研究
結果(荒木ら:材料とプロセス,7(1994),p.
1705)が発表されている。これによれば、酸洗によ
って生じる粒界侵食の深さが深いほどバフ研磨の効果を
減殺する。しかし、この研究結果にはオ−ステナイト系
ステンレス鋼の組成の影響および改善の方法は示されて
いない。
【0005】特開平5−306413号公報には焼鈍時
に急速加熱した後、750℃以上の温度で所定時間以上
加熱することによって、脱スケ−ルの容易なスケ−ルと
する方法が開示されている。しかし、説明は、スケ−ル
中のCr濃度が高いほど中性塩電解法によって脱スケ−
ルしやすいことにのみ終始しており、粒界の選択腐食に
関する記述はなされていない。すなわち、地金の組成あ
るいは酸洗による粒界腐食等に関しては記述がない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、鏡面
研磨に要する工数の削減、特にバフ研磨の所要時間を削
減し、製品の表面光沢を高めることができる研磨前のオ
−ステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは硝ふっ酸に
よる酸洗によっておきる粒界侵食を少なくする方法を検
討し、下記するスケ−ル組成およびそのスケ−ル組成を
決定する鋼の組成および焼鈍方法を用いれば脱スケ−ル
に要する硝ふっ酸酸洗時間を短縮でき、粒界侵食を軽減
できることを確認した。ここに、本発明は以下のオ−ス
テナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法を要旨と
する。
【0008】(1)焼鈍後脱スケ−ル前のオ−ステナイ
ト系ステンレス鋼板であって、酸素を除く元素について
のat%で、焼鈍中に生成したスケ−ル中に濃化したS
i濃度のピ−ク値が30%以下、もしくはMn濃度の第
2ピ−ク値が15%以下、またはSi濃度のピ−ク値お
よびMn濃度の第2ピ−ク値が同時にそれぞれ30%以
下および15%以下であることを特徴とするオ−ステナ
イト系ステンレス鋼板。
【0009】(2)重量%で、Si:0.40%以下、
もしくはMn:1.40%以下、またはSi:0.40
%以下およびMn:1.40%以下を同時に満たす組成
を有するオ−ステナイト系ステンレス鋼板の焼鈍におい
て、400℃から900℃までの温度範囲での平均加熱
速度を30℃/s以上とし、かつ、1000℃以上での
加熱時間を5〜90秒間とすることを特徴とするオ−ス
テナイト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0010】
【作用】オ−ステナイト系ステンレス鋼板の製造中、冷
間圧延後焼鈍時に表面に発生する酸化スケ−ルの構造や
組成は、そのステンレス鋼板の組成や焼鈍条件の影響を
強くうける。代表的なオ−ステナイト系ステンレス鋼の
SUS304はJISG4305等に規定されているよ
うに、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、C
r:18〜20%、Ni:8.0〜10.5%を含有す
る。
【0011】図2は、SUS304冷延鋼板の焼鈍後の
スケ−ル付着ままの表面を二次イオン質量分析法(SI
MS)で分析した場合のスケ−ル中のFe、Cr、O、
Si、NiおよびMnの濃度分布を表す。横軸のスパッ
タリング時間はスパッタリングに要した時間であり、表
面からの距離に対応する。縦軸は、酸素以外の金属元素
は、金属元素のみについてのat%を表示する。酸素は
測定におけるカウント数を示す。同図より、スケ−ル外
層にはCrやMnが濃化し、そのスケ−ル内層にはSi
が濃化することが分かる。Cr、Mn、Si等の濃化層
は焼鈍時にこれら元素が地金の内部から表面へ拡散し、
表面から入ってくる酸素と反応してスケ−ルをつくる際
に形成される。これら濃化層を形成するCrやMnの酸
化物(CrO3 およびMn3 4(スヒ゜ネル型))は中性塩電
解の過程で、下記の反応によって容易に溶解する。
【0012】 CrO3 +4H2 O→Cr2 7 2-+8H+ +6e (1) Mn3 4 +8H2 O→ 3MnO4 - +16H+ +13e (2) 一方、スケ−ル内層で濃化層を形成するSiの酸化物は
中性塩電解3で全く溶解せず、硝ふっ酸浸漬法による酸
洗4で溶解する。Siの濃化した層(以後、Si濃化層
という)は、その層が厚い場合、これを除去するのに要
する硝ふっ酸の酸洗時間は長くなり、結晶粒界が選択的
に溝状に腐食される程度が強くなる。ここで、硝ふっ酸
酸洗に要する時間とは、外観観察によりスケ−ルが認め
られなくまでの酸洗時間をいう。このように粒界が侵食
される原因は、結晶粒界が粒内に比べて耐食性が劣るた
めと推測される。結晶粒界が侵食される程度が強くなれ
ば表面粗度が大きくなり、鏡面研磨に要する研磨工数が
増大する。一定の研磨時間で比較した場合、粒界侵食深
さが深いほど光沢は低下する。
【0013】Si濃化層の厚さを薄くすることによっ
て、スケ−ルを除去するのに要する硝ふっ酸による酸洗
時間は減少する。その結果、粒界侵食深さは浅くなり、
鏡面仕上げに要する研磨時間が減少し、研磨厚さ一定の
場合、得られる表面光沢は向上する。Si濃化層の厚さ
は、スケ−ル中のSiのピ−ク濃度に正相関の関係にあ
るので、ピ−ク濃度を減少させれば厚さは減少する。実
験の結果、Siのピ−ク濃度を、酸素を除くFe、C
r、Ni、Si、Mn、MoおよびCu等金属元素につ
いてのat%で30%以下にすれば硝ふっ酸酸洗に要す
る時間を短縮でき、その結果、粒界侵食深さは浅くなる
ことが判明した。このピ−ク濃度を20%以下にする
と、その効果はさらに高くなり硝ふっ酸酸洗に要する時
間は大きく減少し粒界侵食は浅くなるので、さらに研磨
時間を短縮したい場合には20%以下にすることが好ま
しい。
【0014】また、理由は不明であるが、Siの濃度ピ
−クの如何によらず、スケ−ル内層中にできるMnのな
だらかなピ−ク濃度を低くすることによっても目的を達
成できる。このピ−ク濃度を酸素を除くFe、Cr、N
i、Si、Mn、MoおよびCu等の金属元素について
のat%で15%以下に低くすることによって、脱スケ
−ルに要する酸洗時間を短縮でき、粒界侵食を浅くする
ことができた。この効果は同ピ−ク濃度を10%以下に
することによりさらに効果的になるので、より短い研磨
時間で高い光沢を得るには10%以下にすることが望ま
しい。上記したようにMnはスケ−ル外層にスピネル型
の酸化物Mn3 4 として濃化すると同時に、前記のS
i濃化層よりさらに内側にも濃度は低いがMnOとして
濃化し、これが硝ふっ酸の酸洗を困難にするためと考え
られる。以後、スケ−ル外層のMnのピ−クを第1ピ−
ク、内層のなだらかなピ−クを第2ピ−クと呼ぶ。
【0015】Mnの第2ピ−ク濃度を15%以下、ある
いは望ましくは10%以下とすることにより、スケ−ル
内層におけるMn濃化を軽減することを通じて脱スケ−
ル所要時間の短縮をもたらすのである。
【0016】Siの濃度ピ−クが30%以下であればM
nの第2ピ−ク濃度は15%より高くてもよく、またM
nの第2ピ−ク濃度が15%以下であればSiのピ−ク
濃度は30%を超えてもかまわない。Siのピ−ク濃度
およびMnの第2ピ−ク濃度が共にそれぞれ30%以下
および15%以下である場合も当然含まれる。
【0017】焼鈍後脱スケ−ル前のスケ−ル中のSiま
たはMnのピ−ク濃度を上記した範囲にすることは、ス
テンレス鋼自体の組成を制限すると同時に焼鈍時の加熱
方法を工夫することによって可能となる。
【0018】ステンレス鋼のSi含有量を重量%で0.
40%以下にして後述する焼鈍時の加熱方法を制御する
と、Si濃化層の厚さを顕著に薄く、したがってSiピ
−ク濃度を低くできる。その結果、脱スケ−ルに要する
硝ふっ酸の酸洗時間を短縮でき、粒界侵食を軽減するこ
とができる。これにより、バフ研磨工数が減少して、表
面光沢は向上する。鋼のSi含有量は低いほど好まし
い。0.40%を超えるとスケ−ル中のSi濃化層の厚
さは、通常の焼鈍炉で制御できる加熱方法の範囲内でど
のように制御しても薄くできない。
【0019】ステンレス鋼のMn含有量を重量%で1.
40%以下に制限し、同時に焼鈍の加熱方法を制御する
ことによっても、硝ふっ酸による酸洗時間を短縮でき、
粒界侵食を少なくすることができる。鋼のMn含有量は
低いほど好ましい。1.40%を超えると、焼鈍の加熱
方法の制御によっては硝ふっ酸による酸洗時間を短縮す
ることができない。
【0020】SiおよびMn含有量を同時に前記範囲内
に制限する組成は、本発明範囲内に含まれることは云う
までもない。
【0021】SiおよびMnの含有量を前記範囲内にし
た上で、焼鈍時に、鋼板表面温度が400℃から900
℃までの温度範囲での平均加熱速度を30℃/s以上と
することにより、この温度範囲で起こるスケ−ルへのS
iやMnの濃化を抑制し、その結果中性塩電解3による
脱スケ−ルを容易にすることができる。30℃/sより
遅い加熱速度ではSi濃化層の厚さを薄くすることがで
きない。この温度範囲での平均加熱速度は大きいほどよ
い。
【0022】本発明法における焼鈍温度(最高到達温
度)はとくに限定しないが、通常の条件、1080〜1
150℃である。しかし、1000℃以上での加熱中、
スケ−ルへは地金からCrやMnが拡散濃化するため、
900℃以下の低温域で濃化したSiやFeの濃度は薄
まり、図1に示す中性塩電解法3により溶解しやすいC
r濃度の高いスケ−ル組成に変化する。したがって、4
00℃から900℃までに達する加熱時間を短くすれ
ば、スケ−ル中に濃化するSiやFeの量を少なくする
ことができ、比較的短時間の1000℃以上での加熱に
よってCr濃度の高いスケ−ルとすることができ、中性
塩電解3による脱スケ−ルが容易になる。
【0023】1000℃以上での加熱時間が長過ぎる
と、スケ−ル外層にCrは濃化するが、内層ではSi濃
化層およびMn濃化層が厚く成長するので、硝ふっ酸に
よる酸洗4に長時間を要し粒界侵食が深くなってしま
う。Si:0.40%以下、もしくはMn:1.40%
以下、またはSi:0.40%以下およびMn:1.4
0%以下を同時に満足する組成を有するオ−ステナイト
系ステンレス冷延鋼板を加熱するとき、400℃から9
00℃に達するまでの加熱速度を30℃/s以上とした
場合には、1000℃以上での加熱時間は5〜90秒間
とすることによって、中性塩電解法3による脱スケ−ル
が容易になると同時に、次の工程の硝ふっ酸酸洗時間も
短縮でき、その結果、粒界侵食も浅くできる。1000
℃以上の加熱時間が5秒未満では冷延により加工硬化し
た鋼板の軟化という目的を達成できないし、90秒を超
えると内層スケ−ル中にSiやMnが濃化して長時間の
硝ふっ酸による酸洗4が必要となり粒界侵食が深くな
る。
【0024】焼鈍雰囲気は、通常のガス雰囲気、例え
ば、CO2 :10%、H2 O:12%、O2 :3.5
%、N2 :Bal.を使用することができる。
【0025】本発明の対象となるオ−ステナイト系ステ
ンレス鋼の組成は、SiおよびMn以外はとくに制約は
ない。オ−ステナイト系ステンレス鋼として高い頻度で
使用される、Cr:16.0〜20.0%、Ni:8.
0〜15.0%、Mo:3.0%以下、Cu:5.0%
以下(いずれも重量%)のものが好適である。
【0026】
【実施例】表1は、本発明の範囲内にある組成を有する
オ−ステナイト系ステンレス鋼6鋼種および比較鋼2鋼
種の組成を示す一覧表である。同表に示す組成のステン
レス冷延鋼板(板厚0.6mm)を、電気炉中で、炭化
水素ガス燃焼炉と類似の混合ガス(CO2 :10%,H
2 O:12%,O2 :3.5%,N2 :Bal)を流し
ながら加熱した。表2は、実験に用いた加熱速度、10
00℃以上での加熱時間およびそれらを適用した結果の
スケ−ル中のSiピ−ク濃度およびMn第2ピ−ク濃度
等をあらわした一覧表である。同表の中欄にある試験番
号によって、本発明の適用例か否かを識別する。同表に
示す加熱条件で1120±20℃にて焼鈍後、中性塩電
解および硝ふっ酸酸洗によって脱スケ−ルした。表3
は、これら脱スケ−ルの条件をしめす一覧表である。脱
スケ−ル時間はそれぞれの試験片につき、脱スケ−ルが
終了するまでの時間とした。脱スケ−ル終了の判定は、
脱スケ−ル後の表面を光学顕微鏡を用いて観察して、ス
ケ−ルの残存が認められない状態を脱スケ−ル終了とし
た。このとき1次脱スケ−ルの時間と2次脱スケ−ルの
時間を2:1に揃えた。例えば、1次脱スケ−ルの中性
塩電解法の電解パタ−ンを陽極電解2秒間および陰極電
解1秒間を10回繰り返すと1次脱スケ−ルの時間は3
0秒間となる。この後の2次脱スケ−ルの硝ふっ酸浸漬
時間は15秒間とし、脱スケ−ル時間全体では45秒間
とする。表2の脱スケ−ル所要時間欄は、このような中
性塩電解および硝ふっ酸酸洗浸漬の合計時間、前記した
場合は45秒間を表示する。脱スケ−ルの終了した各鋼
板の表面を400番および600番バフを用いて、表面
から0.4±0.02μmの深さまで研磨した後、JI
S Z 8741(鏡面光沢度測定方法)にしたがって
鏡面光沢(入射角=反射角=20゜)を測定した。結果
を、同じく、表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】表2から分かるように、Si:0.40%
以下もしくはMn:1.40%以下またはSi:0.4
0%以下およびMn:1.40%以下を同時に満たすオ
−ステナイト系ステンレス鋼を焼鈍する際に、本発明範
囲内としたものの鏡面光沢度は、いずれも1000以上
である。脱スケ−ル所要時間も36〜58.5秒と短
い。これに対して、組成および加熱条件の点で本発明範
囲外のものの鏡面光沢度は、いずれも1000未満であ
って、脱スケ−ル所要時間も100秒以上ときわめて長
い。
【0031】
【発明の効果】本発明によって得られるオ−ステナイト
系ステンレス鋼板は、従来のものに比較して短時間の研
磨で光沢に富んだ鏡面仕上げとすることができる。品質
面のみならず、製造中の脱スケ−ル時間も短くて済むの
で製造コストの低減に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、オ−ステネイト系ステンレス鋼板の冷
延後バフ研磨までの製造工程を示す図面である。
【図2】図2は、SUS304冷延鋼板の焼鈍後のスケ
−ル付着ままの表面を二次イオン質量分析法(SIM
S)によって分析したときのスケ−ル中のCr、O、F
e、Si、NiおよびMnの濃度分布をあらわす図面で
ある。
【符号の説明】
1…冷間圧延、2…焼鈍、3…中性塩電解法、4…酸洗
(硝ふっ酸浸漬法)、5…研磨

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼鈍後脱スケ−ル前のオ−ステナイト系ス
    テンレス鋼板であって、酸素を除く元素についてのat
    %で、焼鈍中に生成したスケ−ル中に濃化したSi濃度
    のピ−ク値が30%以下、もしくはMn濃度の第2ピ−
    ク値が15%以下、またはSi濃度のピ−ク値およびM
    n濃度の第2ピ−ク値が同時にそれぞれ30%以下およ
    び15%以下であることを特徴とするオ−ステナイト系
    ステンレス鋼板。
  2. 【請求項2】重量%で、Si:0.40%以下、もしく
    はMn:1.40%以下、またはSi:0.40%以下
    およびMn:1.40%以下を同時に満たす組成を有す
    るオ−ステナイト系ステンレス鋼板の焼鈍において、4
    00℃から900℃までの温度範囲での平均加熱速度を
    30℃/s以上とし、かつ、1000℃以上での加熱時
    間を5〜90秒間とすることを特徴とするオ−ステナイ
    ト系ステンレス鋼板の製造方法。
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