JPH09314989A

JPH09314989A - インクジェット記録用シート

Info

Publication number: JPH09314989A
Application number: JP8174062A
Authority: JP
Inventors: Kazuhiro Tone; 一宏戸根; Hideto Yamada; 秀人山田
Original assignee: Seiko Kagaku Kogyo Co Ltd
Current assignee: Seiko Kagaku Kogyo Co Ltd
Priority date: 1996-05-29
Filing date: 1996-05-29
Publication date: 1997-12-09

Abstract

(57)【要約】【課題】インクジェット印字画像に優れた耐水性を付
与したインクジェット記録用シートの提供。【構成】多塩基酸又はそのアルキルエステルとポリア
ルキレンポリアミンとを反応せしめたポリアミドポリア
ミン類及び２〜３価金属塩シート基材に塗工する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録
用シート類に関するものであり、特に耐水性に優れたイ
ンクジェット記録用シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知の通り、インクジェット記録方式
は、インクの微小液滴を発生・飛翔させて紙等の記録シ
ートに付着させ、画像や文字などの記録を行うものであ
り、低騒音で高速記録が可能、多色化が容易等々の優れ
た特性を持っているので、近時、急速に普及してきた。

【０００３】インクジェット記録用インクには主として
水溶性の染料が用いられ、一部には顔料の水性分散液が
用いられている。又、これら水性インクには多価アルコ
ール類等の水溶性溶媒類が水と共に用いられるのが一般
的である。

【０００４】これらのインクジェット記録用インクを用
いて画像形成を行う記録用シートとしては、形成画像の
にじみが無く、鮮明であり、色むらや濃度むらが無く均
一な画像を形成できるものであることが要求されてお
り、該要求を満たすにはシート基材に何らかの表面処理
を施す必要があり、各種の表面処理物質が提案されてい
る。

【０００５】又、水溶性染料等を使用したインクを使用
するため、形成された画像や文字は本質的に耐水性に乏
しいことが欠点であり、この点の改善が急務とされ、シ
ート表面にカチオン物質を塗工する等の提案がなされて
いるが、サイズ性の低下等望ましくない副作用を来す場
合が多く、いまだ十分な問題解決には至っていないのが
現状である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】かかる現状に鑑み、本
発明者等はインクジェット記録方式により形成された文
字や画像に十分な耐水性を付与すべく、鋭意研究の結
果、本発明をなすに至ったものである。すなわち、本発
明は、記録後、水や湿気等にさらされても、文字や画像
の鮮明性を失うことの無い、耐水性に優れたインクジェ
ット用記録シートを提供することを技術的課題するもの
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題
を解決する為、鋭意研究した結果、シートに特定のポリ
アミドポリアミン化合物及び２〜３価金属塩を塗工する
ことにより、目的を達成できる事を見いだし、本発明を
なすに至ったものである。

【０００８】本発明に用いるポリアミドポリアミンとし
ては、多塩基酸又はそのアルキルエステルとポリアルキ
レンポリアミンとの反応生成物であるポリアミドポリア
ミン類がこれに該当する。

【０００９】本発明に用いるポリアミドポリアミン類を
得るための手段としては、多塩基酸とポリアルキレンポ
リアミンを反応せしめる方法及び多塩基酸の低級アルキ
ルエステルとポリアルキレンポリアミンを反応せしめて
アルキルエステルのアミド置換によりポリアミドポリア
ミンを得る方法の二つの手段が便利である。

【００１０】使用できる多塩基酸としては、しゆう酸、
マロン酸、こはく酸、グルタール酸アジピン酸、ピメリ
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の飽和
２塩基酸類、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ア
ルケニルこはく酸等の不飽和多塩基酸類、リンゴ酸、ク
エン酸等のヒドロキシ多塩基酸類、ダイマー酸、重合ひ
まし油脂肪酸などの重合脂肪酸類、トリメリット酸等の
３塩基酸等が単独もしくは混合して使用できる。多塩基
酸の低級アルキルエステルとしては上記多塩基酸類のメ
チルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブ
チルエステル等を使用することができる。

【００１１】上記多塩基酸類又はその低級アルキルエス
テル類と反応せしめるポリアルキレンポリアミンとして
は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン
等が挙げられる。

【００１２】本発明に用いるポリアミドポリアミン類
は、上記多塩基酸類又は上記多塩基酸の低級アルキルエ
ステル類と上記ポリアルキレンポリアミン類とを加熱反
応せしめ、脱水もしくは脱アルコール縮合せしめる事に
より得ることができる。縮合反応に使用する上記多塩基
酸又は多塩基酸エステルとポリアルキレンポリアミンの
モル比は目的とするポリアミドポリアミンの分子量、粘
度等に応じて適宜選択できるが０．８：１〜１：０．８
の範囲で選択するのが普通である。

【００１３】本発明に用いるポリアミドポリアミン類は
分子中に存在する２級アミン基が無機又は有機の酸の塩
の形となっていることが望ましく、又、その一部が３級
アミノ基または４級アンモニウム塩の形になっていても
良いが、その変換率はできるだけ少ないことが望まし
い。分子中の２級アミノ基が３級、または４級アンモニ
ウム塩に変換されているときは、シートに適用した場合
にインクジェット画像の十分な耐水性が得られない。

【００１４】本発明のインクジェット記録用シートに適
用するもう一方の成分である２〜３価価金属塩としては
カルシウム、マグネシウム、亜鉛、バリウム、銅、チタ
ン、鉄、アルミニウム等の無機又は有機酸塩類がこれに
該当する。具体的には塩化カルシウム、酢酸カルシウ
ム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネ
シウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化バリウ
ム、硫酸銅、塩化チタン、硫酸鉄、硫酸アルミニウム、
塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム等を挙げる事が出
来る。又、ポリアミドポリアミン：多価金属塩の比率は
８：２〜２：８が適当である。

【００１５】本発明のインクジェト記録用シートは、シ
ート基材に前記のポリアミドポリアミン類及び２〜３価
金属塩類を塗工することによって得られるが、使用でき
るシート基材としては上質紙、中質紙、コート紙、新聞
用紙、各種情報用紙、ジェット記録を必要とする各種特
殊紙、板紙類等の各種紙類、合成紙、ＯＨＰシート等の
プラスチック材等を挙げることができる。

【００１６】本発明のインクジェット記録用シートは、
前記各種シート基材に前記ポリアミドポリアミン類及び
前記２〜３価金属塩類を公知の方法で塗工することによ
って得られるが、この両者と共に各種の塗工用薬品を併
用することはなんら差し支えなく、また望ましいケース
も多い。これら塗工用薬品の例としては、クレー、酸化
チタン、炭酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔
料類、カチオン澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱
粉類、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド類、
ポリビニルピロリドン等の水溶性ポリマー類、ポリアク
リル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ＳＢＲ等のポリ
マーエマルジョン類、他の無機塩類、界面活性剤類、防
腐剤、消泡剤等を挙げることができる。

【００１７】

【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態を挙
げれば次の通りである。なお以下において、特に断らな
い限り、％とあるのは重量％、部とあるのは重量部を表
す。

【００１８】＜ポリアミドポリアミンの調製＞窒素ガス
吹き込み管、溜出管を付した反応容器にジエチレントリ
アミン７０部及び水４０部を仕込み、攪拌しつつ、アジ
ピン酸１００部を添加、加温し、水を溜去せしめつつ、
８時間を要して、内温１２０℃から１８０℃に昇温して
縮合を行った後冷却、水を加えて希釈、塩酸でＰＨを５
に調整し、固形分５０％、粘度５５０ｃｐｓのポリアミ
ドポリアミン水溶液を得た。

【００１９】（ａ）テスト用塗工紙の調製：ここに得た
ポリアミドポリアミン水溶液を用いて、ポリアミドポリ
アミン及び塩化カルシウムを含有する塗工液（塗工液濃
度：ポリアミドポリアミン固形分３％，塩化カルシウム
３％）を調製し、試験用サイズプレスを用いて、米坪量
７６ｇ／ｍ^２の未塗工中性紙にポリアミドポリアミン及
び塩化カルシウム付着量が各々固形分０．９ｇ／ｍ^２と
なるよう塗工した後、回転ドライヤーを用い１１０℃１
分間の乾燥を行い、試験用塗工紙を得た。

【００２０】（ｂ）塗工紙のインクジェット印字の耐水
性テスト：バブルジェットプリンター（キャノン社製ワ
ープロＪ７）を使用し塗工テスト紙上に印字を行った。
乾燥後、印字像上にイオン交換水を１滴落とし、印字像
のにじみを観察した。印字像の水によるにじみ（ぼや
け）の程度を次の５等級で評価した。４：印字のにじみ
なし。３：わずかににじむ。２：ややにじむ（ぼやけ
る）。１：印字がかなりにじみ判別しにくい。０：印字
が溶けて流失してしまう。

【００２１】評価結果は、等級４であり、本発明の塗工
処理を施したシートはインクジェット印字画像の優れた
耐水性を示す。

【００２２】

【作用】本発明のインクジェット記録用シートは、イン
クジェット記録像に優れた耐水性を与えるものであり、
その作用機構に関しては必ずしも解明されていないが、
ポリアミドポリアミン分子中に繰り返されるカチオン性
第２級アミン単位と２〜３価金属塩中のカチオンとの相
乗効果により、インクジェットインキ中のアニオン性水
溶性染料が定着、不溶化作用を受け、染料の水による溶
出を防止するものと考えられる。

【００２３】

【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
をより詳しく説明する。

【００２４】実施例１〜７及び比較例１〜５

【００２５】＜ポリアミドポリアミンの調製＞

【００２６】調製例１：窒素ガス吹き込み管、溜出管を
付した反応容器にアジピン酸ジメチルエステル１００
部、２０％硫酸水溶液１．５部、ジエチレントリアミン
５６部を仕込み、撹拌しつつ加温、メタノールを溜去せ
しめつつ、３時間を要して内温９５℃から１２０℃に昇
温して縮合反応を行わせた後、冷却、水で希釈、硫酸で
ＰＨを５に調整し、固形分５０％、粘度６００ｃｐｓの
ポリアミドポリアミン水溶液を得た。

【００２７】調製例２：調製例１と同様の反応容器にグ
ルタール酸ジメチルエステル１００部、２０％硫酸水溶
液１．５部、ペンタエチレンヘキサミン９６部を仕込
み、調製例２と同様に縮合反応を行わせた後、冷却、水
で希釈、酢酸でＰＨを５に調整し、固形分５０％、粘度
８００ｃｐｓのポリアミドポリアミン水溶液を得た。

【００２８】調製例３：調製例１のポリアミドポリアミ
ン水溶液を水で固形分５％に希釈し、ポリアミドポリア
ミン中の２級アミン基１００当量に対して２０当量に相
当するエピクロロヒドリンを添加し、７０℃で１時間反
応した後、硫酸を添加してＰＨを５とし、水で希釈し
て、２級アミンの約２０％を３級化したポリアミドポリ
アミンの固形分５％液を得た。

【００２９】比較のための調製例１：２級アミン基１０
０当量に対して５０当量のエピルロロヒドリンを反応さ
せる以外は調製例４と同様にして、２級アミンの約５０
％を３級化したポリアミドポリアミンの固形分５％液を
得た。

【００３０】比較のための調製例２：２級アミン基１０
０当量に対して１５０当量のエピクロロヒドリンを反応
させる以外は調製例４と同様にして、２級アミン基の殆
ど全てを３級又は４級化したポリアミドポリアミンの固
形分５％液を得た。

【００３１】（ａ）テスト用塗工紙の調製：調製例１〜
３及び比較のための調製例１〜２で得たポリアミドポリ
アミン水溶液を用いて、ポリアミドポリアミン及び表１
に示す各金属塩を、それぞれ表１に示す塗工液組成の組
み合せにて含有する水溶液を調製して塗工液（塗工液濃
度：ポリアミドポリアミン固形分３％，金属塩３％）と
し、各塗工液を試験用サイズプレスを用いて、米坪量７
６ｇ／ｍ^２の未塗工中性紙に、ポリアミドポリアミン及
び金属塩付着量が各々固形分０．９ｇ／ｍ^２となるよう
塗工した後、回転ドライヤーを用い１１０℃１分間の乾
燥を行い、塗工試験紙を得た。

【００３２】（ｂ）塗工紙のインクジェット印字の耐水
性テスト：バブルジェットプリンター（キャノン社製ワ
ープロＪ７）を使用し塗工テスト紙上に印字を行った。
乾燥後、印字像上にイオン交換水を１滴落とし、印字像
のにじみを観察した。印字像の水によるにじみ（ぼや
け）の程度を次の５等級で評価した。４：印字のにじみ
なし。３：わずかににじむ。２：ややにじむ（ぼやけ
る）。１：印字がかなりにじみ判別しにくい。０：印字
が溶けて流失してしまう。

【００３３】評価結果を表１に示す。

【００３４】

【表１】

【００３５】テスト結果より明らかな様に、本発明に係
るシートはインクジェット印字像の優れた耐水性を示
す。

【００３６】

【発明の効果】本発明のインクジェット記録用シート
は、インクジェット記録方式により形成された文字や画
像に優れた耐水性を付与するものであり、インキジェッ
ト記録のこれまでの欠点を補うものとして、情報産業に
とって極めて有用なものである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シート基材に多塩基酸又はそのアルキルエ
ステルとポリアルキレンポリアミンとを反応せしめたポ
リアミドポリアミン類及び２〜３価金属塩が塗工されて
いることを特徴とするインクジェット記録用シート。
【請求項２】ポリアミドポリアミン類が無機酸または有
機酸の塩の形である請求項１記載のインクジェット記録
用シート。