JPH09313761A - 椅子における表皮一体型クッションの構造並びに製造方法 - Google Patents

椅子における表皮一体型クッションの構造並びに製造方法

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JPH09313761A
JPH09313761A JP8138526A JP13852696A JPH09313761A JP H09313761 A JPH09313761 A JP H09313761A JP 8138526 A JP8138526 A JP 8138526A JP 13852696 A JP13852696 A JP 13852696A JP H09313761 A JPH09313761 A JP H09313761A
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敦志 福原
Masataka Fujimoto
昌孝 藤本
Hiroichi Matsumoto
博一 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表皮材一体型のクッションを、手触り・風合い
を損なうことなく安価に製造する。 【手段】織布製の表皮材3の裏面に、フィルム4を、散
点状に塗布した接着剤5にて接着する。一対の成形型1
1,12で表皮材3を挟み固定し、その状態でキャビテ
ィに溶融合成樹脂を注入して発泡させることにより、フ
ィルム4に対して本体2を一体成形する。接着剤5が散
点状であることにより、表皮材3は自然な状態で変形す
るため、ゴワゴワした感じにならず、風合いは損なわれ
ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の椅子類にお
ける座や背もたれ或いは肘当てのクッションの構造並び
に製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】椅子にお
ける座席及び背もたれのクッションとして、発泡性樹脂
から成るスポンジ状の本体の表面に、織布等の表皮材を
一体的に張設した構造のものがある。この表皮一体型の
クッションは、密着・離反自在な一対の成形型を使用し
て、両成形型の接合面に形成されたキャビティ内に溶融
した合成樹脂を注入して発泡させるRIM法(注型発
泡)によって本体を成形するに際して、キャビティに表
皮材をインサートし、その状態でキャビティに溶融した
合成樹脂を注入して発泡させると言う方法で製造されて
いる。
【0003】他方、表皮材としては質感や手触り・デザ
イン等の点から天然繊維又は合成繊維製の織布が多用さ
れており、このため、表皮材として織布を使用する場合
は、溶融した樹脂が成形型内で表皮材を透過しないよう
に、図11(A)に示すように、表皮材21の裏面にウ
レタン樹脂製の薄いフィルム22を予め貼着(ラミネー
ト)しておき、この表皮材21を成形型にインサートし
た状態で本体23を一体成形するようにしている。その
場合、従来は、フィルム22と表皮材21とを、接着剤
(一般にホットメルト接着剤)24によって全面にわた
って接着している。
【0004】しかし、このようにフィルム22と表皮材
21とを全面にわたって接着すると、表皮材21に皺が
よりやすいと共に、ゴワゴワした手触りになって風合い
が悪くなると言う問題があった。この問題に対しては、
図11(B)に示すように、表皮材21の裏面に1〜3
mm程度の厚さのウレタン板25を重ね合わせ、フィル
ム22を接着剤24によってウレタン板25の全面にわ
たって貼着することで対処しているが、かくすると素材
コスト及び製造の手間が増大するため、それだけ製造コ
ストが嵩むと言う問題があった。
【0005】本発明は、この問題を解消することを目的
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の表皮材一体型ク
ッションは、「弾性を有する樹脂製の本体と、織布等の
表皮材と、本体と表皮材との間に介在したフィルムとを
備え、前記フィルムと表皮材とは、散点状(ドット状)
の状態で飛び飛びに接着されている一方、前記フィルム
と本体とは、フィルムに対する本体の一体成形によって
貼り合わされている」の構造になっている。
【0007】また、本発明は、弾性を有する発泡性樹脂
製の本体と、織布等の表皮材とを備えたクッションの製
造方法を含んでおり、この製法は、「前記表皮材の片
面に、溶融状態の発泡性樹脂が透過しないフィルムを、
散点状に塗布した接着剤によって接着する、前記表皮
材を、密着・離反自在で且つ合わせ面には本体成形用の
キャビティが形成された一対の成形型間に、前記フィル
ムが樹脂注入穴に面するようにして配置する、その状
態で、溶融した発泡性樹脂をキャビティ内に注入して発
泡させることにより、本体をフィルムに対して一体成形
する」と言う工程になっている。
【0008】なお、本発明者達の実験によると、フィル
ムの厚さは30〜40μm程度、接着剤の塗布密度は5
0〜90ドット/cm2 程度が好適であった。
【0009】
【発明の奏する効果】本発明によると、フィルムと表皮
材とが散点状に貼り合わされていることに起因して、表
皮材の剛性が高くなることが防止されるから、単に表皮
材の裏面にフィルムを貼着してこれに本体を一体成形し
ただけの単純な構造でありながら、ゴワゴワとした状態
にはならず、表皮材の持つ自然な手触り・風合いを得る
ことができる。また、表皮材とフィルムとが共に変形し
やすい状態にあるため、製造時及び使用に際して表皮材
に皺がよることもない。
【0010】そして、従来のように表皮材とフィルムと
の間にウレタン板を介在させる必要がないから、製造コ
ストがアップすることもない。従って本発明によると、
表皮一体型クッションを、手触り・風合いを損なったり
皺を発生させたりすることなく安価に製造できる効果を
有する。
【0011】
【発明の実施形態】次に、本発明の実施形態を図面に基
づいて説明する。図1〜図7は第1実施形態を示してお
り、このうち図6でクッション1の断面図を示してい
る。すなわち図6に示すように、クッション1は、ウレ
タンゴムのような発泡性樹脂から成る多孔性の本体2
と、その表面に張設された表皮材3とを備えており、表
皮材3は、天然繊維又は化学繊維を平織り等に織成した
織布から成っている。
【0012】表皮材3の裏面には、ウレタン樹脂のよう
に伸縮性に富むと共に溶融合成樹脂が透過しないガスバ
リアー性を備えたフィルム4が、散点状に塗布したホッ
トメルト接着剤5によって接着されている。図6の符号
6は座又は背もたれの基板である。このクッション1は
図1〜図5で示す工程を経て製造される。
【0013】図1は表皮材3に接着剤5を散点状に塗布
する一例を示す斜視図、図2は図1のII−II視断面図で
あり、フィルム4の原反をテーブル7(又はローラ)で
支持した状態で長手方向に送る途次、フィルム4の原反
の上面に中空ドラム8を回転させながら押し当てて、中
空ドラム8内に溜められたホットメルト接着剤5を多数
の小穴9からフィルム4の原反に転移させることによ
り、フィルム4の原反の片面に接着剤5を散点状に塗布
する。
【0014】中空ドラム8内の接着剤5は加熱して液状
になっており、フィルム4の原反に押し付けられた箇所
の小穴9のみから接着剤5が毛細管現象によって流れ出
る。また、中空ドラム8の多数の小穴9は千鳥状に交互
に並んでいる。従って、図3に示すように、フィルム4
の原反には千鳥状に並んだ状態で無数の接着剤5が散点
状に塗布される。
【0015】次いで、図4に示すように、一対のローラ
10等にて、フィルム4と表皮材3とを貼り合わせる。
それから、原反を各フィルム4の大きさに切断して、図
5に示すように、表皮材3を、フィルム4が図示しない
スプルー(樹脂注入穴)と面するようにして一対の成形
型11,12で挟み固定し、その状態で、両成形型1
1,12の合わせ面に形成されたキャビティ13に溶融
した発泡性合成樹脂をスプルーから注入して発泡させる
ことにより、本体2の成形と本体2へのフィルム4の貼
着とを同時に行う。
【0016】以上のようにして製造されたクッション1
における表皮材3と接着剤5とフィルム4との三者の関
係を、図7(A)(B)で模式的に示している。すなわ
ち、図7では表皮材3の織目を誇張して示しており、本
発明では、接着剤5は表皮材3の経糸と緯糸とに点在し
て付着しているに過ぎないため、(C)(D)に示すよ
うに、表皮材3は、平面方向及び厚さ方向に自由に変形
し得る状態になっている。このため、ゴワゴワした感じ
がなくて自然な手触り・風合いを得ることができる。ま
た、表皮材3とフィルム4とは共に変形し易い状態にな
っているため、製造工程途次及び椅子に使用時に表皮材
3を引き延ばした状態に保持され、従って、皺の発生が
防止又は著しく抑制されるのである。
【0017】これに対して、図8(A)(B)に示すよ
うに表皮材3とフィルム4とを接着剤5によって全面に
わたって貼着すると、表皮材3と接着剤5の層とフィル
ム4との3層が一体化することによって表皮材3の剛性
が著しく高くなるため、ゴワゴワした感じになって手触
り・風合いが悪化する。また、表皮材3とフィルム4と
は自然な状態に引き延ばしにくくなるため、製造工程で
皺がよったまま本体2が一体成形されてしまったり、椅
子に使用しているうちに発生した皺が戻らなくなるなど
の不具合がある。
【0018】また、図8(B)に示すように、フィルム
4と表皮材3とを網目状に塗布した接着剤5で接着する
ことも考えられるが、この場合も、表皮材3とフィルム
4とが過度に一体化して表皮材3が変形しにくくなるた
め、皺の発生や手触り・風合いの低下は避けることがで
きない。図9〜図10は、接着剤5をフィルム4に散点
状に塗布する手段の別例であり、このうち(A)は正面
図、図10は図9のX−X視平面図である。この実施形
態では、外周面に接着剤漕15を密着させた転移ローラ
16から、多数の突起17を備えた塗布ローラ18に接
着剤5を転移させ、塗布ローラ18における多数の突起
17の先端からフィルム4に接着剤5を散点状に塗布
し、これをフィルム4の原反に貼着するようにしたもの
である。
【0019】この実施形態では、接着剤5は縦横に整列
し並べた状態に塗布している。上記の両実施形態は、先
に接着剤をフィルムに塗布した場合であったが、先に表
皮材(原反)に接着剤を塗布しておいても良い。また、
接着剤をフィルム又は表皮材に散点状に塗布する手段と
しては、フィルム又は表皮材を移送しつつ、その片面に
スプレーガンで接着剤を間欠的に噴射したり、インクジ
ェット装置に類した噴射装置で間欠的に噴射すなどして
も良い。
【0020】また、フィルムと表皮材とを貼り合わせる
手段は接着剤を使用することには限らず、表皮材の素材
として化繊製の織布や化繊を混紡した天然繊維を使用
し、両者を熱盤や高周波、超音波等を使用して散点状に
溶着するなどしても良い。更に、表皮材は織布製には限
らず、不織布など他の構造の素材製でも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の工程の一部を示す斜視図であ
る。
【図2】図1のII−II視平面図である。
【図3】フィルムと表皮材との接着工程を示す表皮材の
破断斜視図である。
【図4】フィルムを接着した表皮材の一部破断斜視図で
ある。
【図5】本体の成形状態を示す断面図である。
【図6】クッションの断面図である。
【図7】作用を示す図である。
【図8】本発明の比較例を示す図である。
【図9】他の実施形態を示す側面図である。
【図10】フィルムを貼着した表皮材の一部破断平面図
である。
【図11】従来例を示す図である。
【符号の説明】 1 クッション 2 本体 3 表皮材 4 フィルム 5 接着剤 11,12 成形型 13 キャビティ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弾性を有する樹脂製の本体と、織布等の表
    皮材と、本体と表皮材との間に介在したフィルムとを備
    え、前記フィルムと表皮材とは、散点状(ドット状)の
    状態で飛び飛びに接着されている一方、前記フィルムと
    本体とは、フィルムに対する本体の一体成形によって貼
    り合わされていることを特徴とする椅子における表皮一
    体型クッションの構造。
  2. 【請求項2】弾性を有する発泡性樹脂製の本体と、織布
    等の表皮材とを備えたクッションの製造方法であって、 前記表皮材の片面に、溶融状態の発泡性樹脂が透過しな
    いフィルムを、散点状に塗布した接着剤によって接着し
    てから、 前記表皮材を、密着・離反自在で且つ合わせ面には本体
    成形用のキャビティが形成された一対の成形型間に、前
    記フィルムが樹脂注入穴に面するようにして配置し、そ
    の状態で、溶融した発泡性樹脂をキャビティ内に注入し
    て発泡させることにより、本体をフィルムに対して一体
    成形すること、を特徴とする椅子における表皮一体型ク
    ッションの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006082512A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Nitto Boseki Co Ltd 車両用シートパッド製品及びその製造方法
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