JPH09312409A - カルコパイライト構造半導体薄膜の製造方法及び太陽電池 - Google Patents

カルコパイライト構造半導体薄膜の製造方法及び太陽電池

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JPH09312409A
JPH09312409A JP8127521A JP12752196A JPH09312409A JP H09312409 A JPH09312409 A JP H09312409A JP 8127521 A JP8127521 A JP 8127521A JP 12752196 A JP12752196 A JP 12752196A JP H09312409 A JPH09312409 A JP H09312409A
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thin film
vapor deposition
semiconductor thin
chalcopyrite structure
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JP8127521A
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Inventor
Naoki Obara
直樹 小原
Takayuki Negami
卓之 根上
Mikihiko Nishitani
幹彦 西谷
Takahiro Wada
隆博 和田
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Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】I族、III族及びVI族元素よりなるカルコパイラ
イト構造半導体薄膜の製造方法において、少なくとも2
種類以上からなるVI族元素に対しそれぞれI族及びIII族
元素の蒸着速度を実質的に一定としたまま、蒸着時間を
異ならせ、前記元素の固溶率を制御することにより、均
一性、再現性よく多成分のVI族元素の組成制御を行い、
高品質なカルコパイライト構造半導体薄膜の製造方法及
び高性能な太陽電池を提供する。 【解決手段】蒸着源からの蒸着速度を一定にしたまま、
蒸着源9〜12と基板4と間に設けたシャッター13ま
たはバルブの開閉間隔を変えることによって任意の組成
を有するI族、III族、VI族元素よりなるカルコパイライ
ト構造半導体薄膜6を高精度かつ再現性よく作製するこ
とが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、I族、III族、VI族
元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜の製造方
法及び太陽電池に関する。
【従来の技術】太陽電池の光吸収層として用いられるI
族、III族、VI族元素からなるI-III-VI 2 型カルコパイ
ライト構造半導体薄膜は光吸収係数が大きく、薄膜化が
可能な太陽電池材料として注目を集めている。このI-II
I-VI2 型カルコパイライト構造半導体薄膜を用いて作製
した太陽電池の構成の一例として、基板としてソーダラ
イムガラス、その上に下部電極のMo、光吸収層のI-II
I-VI2 型カルコパイライト構造半導体薄膜、その上にP
N接合形成用のCdS、透明電極のITO/ZnOが形
成され、サブストレート型I族、III族、VI族元素よりな
るカルコパイライト構造半導体薄膜太陽電池のセルとな
る。このI-III-VI2 型カルコパイライト構造半導体薄膜
を用いて太陽電池を作製した場合、光吸収層となるI-II
I-VI2 型カルコパイライト構造半導体薄膜の品質が太陽
電池特性を大きく左右する。特にI族、III族、VI族元素
よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜の組成はI-II
I-VI2型カルコパイライト構造半導体薄膜太陽電池特性
を決定する重要な要因となり、I族、III族、VI族元素よ
りなるカルコパイライト構造半導体薄膜の組成を精密に
制御することにより高性能なI-III-VI2 型カルコパイラ
イト構造半導体薄膜太陽電池を作製することが可能とな
る。
【発明が解決しようとする課題】上記I-III-VI2 型カル
コパイライト構造半導体薄膜太陽電池を作製する場合、
太陽光を効率よく吸収するためには、光吸収層であるI-
III-VI2 型カルコパイライト構造半導体薄膜のバンドギ
ャップEgを太陽光とのスペクトルにマッチングさせた
Eg=1.4〜1.5eV程度になるようセッティング
することが理想である。ところが、例えばCuInSe
2 ではEg=1.0eVと、太陽光スペクトルとの整合
性よりバンドギャップが小さいため、CuInSe2
バンドギャップを広げる目的でInサイトにGaを固溶
したり、またはSeサイトにSを固溶することによりバ
ンドギャップを拡大する試みがなされている。しかし膜
形成時において多成分の元素を同時に蒸着する場合、成
膜時における制御性が困難となり、均一で再現性に優れ
た薄膜形成が難しくなる。特にVI族元素に関しては蒸気
圧が高く蒸着レートの精密なコントロールが難しく、固
溶体を形成する場合の組成制御が困難となる。従って多
成分の元素からなる薄膜形成を行う場合、いかに均一
性、再現性よく多成分元素の組成制御を行うかが高品質
なI-III-VI2 型カルコパイライト構造半導体薄膜の作
製、さらには高性能なI-III-VI2 型カルコパイライト構
造半導体薄膜太陽電池を得るための課題となる。本発明
は、上記問題を解決するため、均一性、再現性よく多成
分のVI族元素の組成制御を行い、高品質なカルコパイラ
イト構造半導体薄膜の製造方法及び高性能な太陽電池を
提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明のカルコパイライト構造半導体薄膜の製造方
法は、I族、III族及びVI族元素よりなるカルコパイライ
ト構造半導体薄膜の製造方法において、少なくとも2種
類以上からなるVI族元素に対しそれぞれI族及びIII族元
素の蒸着速度を実質的に一定としたまま、互いに異なる
VI族元素の蒸着時間を異ならせることにより前記元素の
固溶率を制御することを特徴とする。前記製造方法にお
いては、互いに異なるVI族元素の蒸着時間を異ならせる
手段が、各々独立した蒸着源と基板間に設けた各々のシ
ャッターまたはバルブの開閉による手段であることが好
ましい。また前記製造方法においては、蒸着源が単一元
素であることが好ましい。また前記製造方法において
は、蒸着源がVI族元素を含む化合物元素であることが好
ましい。また前記製造方法においては、VI族元素の蒸着
源に対し、各々独立した蒸着源と基板間に設けた各々の
シャッターまたはバルブを蒸着時間内で少なくとも2通
りの間隔で開閉して蒸着することが好ましい。例えば、
2種類の異なるVI族元素をA,Bと定義すると、蒸着開
始時にはAが60%、Bが40%になるようにAを30
秒間、Bを20秒間シャッターまたはバルブを開き、こ
れを繰り返し、次に蒸着途中から終了にかけては、Aが
40%、Bが60%になるようにAを20秒間、Bを3
0秒間シャッターまたはバルブを開き、これを繰り返す
ことにより膜の厚さ方向に2通りの固溶率を有する薄膜
を作成することができる。このようにして膜厚方向に任
意の組成を有する薄膜形成が可能となる。また前記製造
方法においては、基板上にVI族元素を含むI族元素とIII
族元素からなる薄膜を堆積した後に、VI族元素雰囲気中
で熱処理する工程を含むことが好ましい。また前記製造
方法においては、I族元素の蒸着源としてCu単体、A
g単体、Cu含有化合物、Ag含有化合物から選ばれる
少なくとも一つの物質を用いることが好ましい。また前
記製造方法においては、III族元素の蒸着源としてIn
単体、Ga単体、Al単体、In含有化合物、Ga含有
化合物、及びAl含有化合物から選ばれる少なくとも一
つの物質を用いることが好ましい。また前記製造方法に
おいては、VI族元素の蒸着源としてS単体、Se単体、
Te単体、S含有化合物、Se含有化合物、Te含有化
合物から選ばれる少なくとも一つの物質を用いることが
好ましい。次に本発明のカルコパイライト構造半導体薄
膜太陽電池は、前記の製造方法により作製したI族、III
族、VI族元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜
を光吸収層に用いて太陽電池を作製したものである。前
記において、少なくとも2種類以上からなるVI族元素の
固溶率を蒸着時間の違いにより制御するために、蒸着時
間を各々独立した蒸着源と基板間に設けた各々のシャッ
ターまたはバルブの開閉により制御することが好まし
い。このとき、VI族蒸着源がVI族単一元素またはVI族元
素を含む化合物元素であることが好ましい。また、VI族
元素の蒸着源に対し各々独立した蒸着源と基板間に設け
た各々のシャッターまたはバルブの開閉を蒸着時間内に
少なくとも2通りの間隔で蒸着することが好ましい。さ
らに、基板上にVI族元素を含むI族元素とIII族元素から
なる薄膜を堆積した後に、VI族元素雰囲気中で熱処理す
ることによりI族、III族、VI族元素よりなるカルコパイ
ライト構造半導体薄膜を作製することが可能である。さ
らに、I族元素の蒸着源としてCu、Agの単体、また
はCu、Ag含有化合物のうち少なくとも1つを、III
族元素の蒸着源としてIn、Ga、Alの単体またはI
n、Ga、Al含有化合物のうち少なくとも1つを、VI
族元素の蒸着源としてS、Se、Teの単体またはS、
Se、Te含有化合物のうち少なくとも1つを用いるこ
とが好ましい。前記した本発明法によれば、I族、III
族、VI族元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜
において、少なくとも2種類以上からなるVI族の元素に
対し、蒸着速度を一定としたまま蒸着時間の違いにより
VI族元素の固溶率を制御することにより、組成制御が容
易かつ成膜の再現性に優れたI族、III族、VI族元素より
なるカルコパイライト構造半導体薄膜を製造することが
できる。蒸着時間の違いにより、少なくとも2種類以上
からなるVI族元素の固溶率を制御するために、蒸着時間
を各々独立した蒸着源と基板間に設けた各々のシャッタ
ーまたはバルブの開閉により制御することにより容易か
つ任意の組成を再現性よくかつ精密に制御することがで
きる。このとき、VI族蒸着源がVI族単一元素またはVI族
元素を含む化合物元素にすることにより、任意の構成元
素からなるI族、III族、VI族元素よりなるカルコパイラ
イト構造半導体薄膜を製造することができる。また、VI
族元素の蒸着源に対し各々独立した蒸着源と基板間に設
けた各々のシャッターまたはバルブを蒸着時間内で少な
くとも2通りの間隔で開閉して蒸着することにより膜厚
方向に異なった組成勾配を有するカルコパイライト構造
半導体薄膜を形成することができ、任意のバンドギャッ
プダイアグラムの設計が可能となる。さらに、基板上に
VI族元素を含むI族元素とIII族元素からなる薄膜を堆積
した後に、VI族元素雰囲気中で熱処理することによりI
族、III族、VI族元素よりなるカルコパイライト構造半
導体薄膜を作製することにより、大面積かつ均一に組成
制御が容易かつ成膜の再現性に優れたI族、III族、VI族
元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜を製造す
ることができる。さらに、I族元素の蒸着源としてC
u、Agの単体、またはCu、Ag含有化合物のうち少
なくとも1つを、III族元素の蒸着源としてIn、G
a、Alの単体またはIn、Ga、Al含有化合物のう
ち少なくとも1つを、VI族元素の蒸着源としてS、S
e、Teの単体またはS、Se、Te含有化合物のうち
少なくとも1つを用いることにより高品質かつ任意のバ
ンドギャップを有するI族、III族、VI族元素よりなるカ
ルコパイライト構造半導体薄膜を製造することができ
る。
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【実施例1】本実施例におけるI族、III族、VI族元素よ
りなるカルコパイライト構造半導体薄膜の製造方法を説
明する。図1に真空容器の概略図を示した。図1の排気
口7を備えた真空容器1の内部に、基板ホルダー2と基
板を加熱するタンタルヒーター3を設け、1μm厚のモ
リブデン(Mo)5をコートした厚さ1mmのソーダラ
イムガラス基板4上にCuIn(S,Se)2薄膜6を
約2μm形成した。CuIn(S,Se)2薄膜6の堆
積に際し、CuIn(S,Se)2薄膜6の主成分であ
るCuの蒸着源9と、Inの蒸着源10、Sの蒸着源1
1、Seの蒸着源12を用意し、それぞれの蒸着源が入
ったルツボの温度を1220℃、900℃、100℃、
200℃で一定とした。それぞれの蒸着源はなくならな
い限り一定の蒸着レートで熱拡散した。例えばこの設定
温度でCu、In、Sのみの蒸着を行うと、化学量論比
組成を有するCuInS2薄膜が得られる蒸着速度とな
っている。同様にCu、In、Seでは化学量論比組成
を有するCuInSe2薄膜が得られる蒸着速度となっ
ている。この条件下でSとSeの組成比(原子数比)が
S/(S+Se)=0.4となるCuIn(S,Se)
2薄膜6の作製を試みた。ここで基板の加熱は裏側から
電源15を用いてタンタルヒータ3により加熱され、基
板温度は500℃一定とし、基板裏側から熱電対8によ
り計測した。14は制御回路である。図2にCuIn
(S,Se)2薄膜形成時の成膜プロセスを示す。ここ
でCuとInは蒸着中において続けて蒸着を行い、Sと
Seに関してはSの蒸着時間は1秒、Seの蒸着時間は
1.5秒と交互に蒸着を行いながらこれを繰り返し、合
計1時間蒸着を行った。このときSとSeの交互蒸着の
方法として、それぞれの蒸着源11、12上方に設けた
シャッター13を開閉を制御回路14により行った。表
1に図2の成膜プロセスにより作製した膜のエネルギー
分散型X線測定による組成比を示す。
【表1】 前記表1から、VI族元素におけるSの比率は仕込んだ値
をほぼ満足していることがわかる。すなわち前記作製法
を用いることにより目的とする組成を有するCuIn
(S,Se)2薄膜を形成することができた。次に作製
した膜が均質なものであるかどうか評価するために、X
線回折を用いて結晶性の評価を行った。図3に前記作製
法により得られたCuIn(S,Se)2薄膜のX線回
折パターンを示す。この図3において、得られた回折ピ
ークはすべてCuIn(S,Se)2の結晶学的データ
に基づき指数づけをすることができ、異相のない単一相
のCuIn(S,Se)2が得られていることを示して
いる。また、膜厚方向に分布が存在しないことを確証す
るため、2次イオン質量分析法(SIMS)を用いて膜
厚方向に対する各元素の分布の評価を行った。図4にS
IMSによる深さ方向元素分析の結果を示す。この図4
からも明らかなように、膜中深さ方向に対してS18と
Se19が均一に分布している様子がわかる。すなわ
ち、SIMSによる分析結果からも得られたCuIn
(S,Se)2が均質であることがわかる。従って、本
発明のI族、III族、VI族元素よりなるカルコパイライト
構造半導体薄膜の製造方法を用いることによりVI族元素
の任意の組成を有するI族、III族、VI族元素よりなるカ
ルコパイライト構造半導体薄膜を制御性、再現性よく作
製することが確認できた。
【実施例2】次に、第2の実施例におけるI族、III族、
VI族元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜の製
造方法を説明する。実験の条件は第1の実施例とほぼ同
様であるが、Sの蒸着源11の代わりにIn23、Se
の蒸着源12の代わりにIn 2Se3を用いている。この
場合もIn23とIn2Se3の交互蒸着によりCuIn
(S,Se)2薄膜を形成したところ、実施例1とほぼ
同等の組成を示し、X線回折からも同じ結晶性を示すX
線回折パターンが得られた。また、SIMSからも膜中
深さ方向に対して均質であることがわかった。すなわ
ち、蒸着源に複数元素化合物を用いても本発明の製造方
法の適用が可能である。
【実施例3】次に、第3の実施例におけるI族、III族、
VI族元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜の製
造方法を説明する。図5にCuIn(S,Se)2薄膜
形成時の成膜プロセスを示す。実験の条件は第1の実施
例において、SとSeの蒸着時間をそれぞれ1秒、4秒
で30分間蒸着を行い、引き続きをInとGaの蒸着時
間をそれぞれ2秒、3秒で30分間蒸着を行った。表2
に図5の成膜プロセスで作製した膜のエネルギー分散型
X線測定による組成比を示す。
【表2】 表2から、VI族元素におけるSの比率は、仕込んだ値を
ほぼ満足していることがわかる。次に図6にオージェ電
子分光分析(AES)法による膜厚方向に対する各元素
分布の結果を示す。この図6からも明らかなように、膜
中深さ方向に対して膜表面と裏面で仕込んだ比率でS1
8とSe19量が分布している様子がわかる。横軸中程
で組成勾配があるのは、熱によるそれぞれの元素の相互
拡散である。しかし、比較的急峻な組成勾配を有してい
ることがわかる。従って、AESによる分析結果からも
得られたCuIn(S,Se)2が任意の組成勾配を有
する膜であることがわかり、この成膜法により任意の組
成勾配を有するI族、III族、VI族元素よりなるカルコパ
イライト構造半導体薄膜の形成が可能であることがわか
る。
【実施例4】次に、第4の実施例におけるI族、III族、
VI族元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜の製
造方法を説明する。図7に本実施例の薄膜形成プロセス
を示す。実験の条件は第1の実施例でSを除いて基板温
度を300℃とし、薄膜形成後基板温度を500℃まで
100℃/min.の割合で昇温しながらSeの蒸着を
行い、500℃になった状態でSeに替えてSの蒸着を
行いながら30分間これを保持した。得られた膜をエネ
ルギー分散型X線測定、X線回折、SIMSを用いて評
価を行ったところ、実施例1と同様の結果が得られた。
従って本薄膜形成法によっても任意の組成を有するI
族、III族、VI族元素よりなるカルコパイライト構造半
導体薄膜形成が可能である。
【実施例5】次に、第5の実施例におけるI族、III族、
VI族元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜の製
造方法を説明する。第5の実施例としてI族元素として
CuまたはAgのうち少なくとも一つを、III族元素と
してInまたはGa、Alのうち少なくとも一つを、VI
族元素としてSまたはSe、Teのうち少なくとも一つ
を用いても同様の効果を示した。すなわち、実施例1の
CuIn(S,Se) 2薄膜5は他のI族、III族、VI族
元素よりなる構成元素でも可能であることがわかった。
従って、本I族、III族、VI族元素よりなるカルコパイラ
イト構造半導体薄膜の製造方法を用いることにより、膜
厚方向の任意の箇所に任意のVI族元素組成を有する多元
素成分I族、III族、VI族元素よりなるカルコパイライト
構造半導体薄膜の作製が可能である。
【実施例6】第1の実施例で作製したI族、III族、VI族
元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜を用いて
太陽電池を作製した。図8に太陽電池の構成を示す。以
下にそれぞれの作製法について説明する。CuIn
(S,Se)2薄膜6の上に溶液析出法によりCdS薄
膜21を約50nmの厚さで形成し、この上にスパッタ
法によりZnO薄膜22を0.5μm、ITO薄膜23
を1μmの厚さで形成した。さらに、この上とMo薄膜
5の上に取り出し電極として真空蒸着法によりAu電極
24を0.5μmの厚さで形成した。表3は本発明のI
族、III族、VI族元素よりなるカルコパイライト構造半
導体薄膜を用いて作製した太陽電池の特性を示したもの
である。太陽電池特性の測定はA.M.1.5、100m
W/cm2の条件下で行った。
【表3】 表3からわかるように、本発明のI族、III族、VI族元素
よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜は太陽電池と
しての機能を果たすことが確認できた。以上のように、
上記に示した本発明のI族、III族、VI族元素よりなるカ
ルコパイライト構造半導体薄膜を用いて太陽電池を作製
することが可能である。
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明のカルコパ
イライト構造半導体薄膜の製造方法によれば、I族、III
族及びVI族元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄
膜の製造方法において、少なくとも2種類以上からなる
VI族元素に対しそれぞれI族及びIII族元素の蒸着速度を
実質的に一定としたまま、蒸着時間を異ならせることに
より前記元素の固溶率を制御する。この結果、均一性、
再現性よく多成分元素の組成制御を行い、高品質なカル
コパイライト構造半導体薄膜の製造方法及び高性能な太
陽電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例におけるI族、III族、VI族
元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜形成装置
の断面を示す図。
【図2】 本発明の一実施例におけるI族、III族、VI族
元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜形成過程
を示す図。
【図3】 本発明の一実施例におけるI族、III族、VI族
元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜の結晶性
を示す図。
【図4】 本発明の一実施例におけるI族、III族、VI族
元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜の膜厚深
さ方向に対する各元素の分布を示す図。
【図5】 本発明の一実施例におけるI族、III族、VI族
元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜形成過程
を示す図。
【図6】 本発明の一実施例におけるI族、III族、VI族
元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜の膜厚深
さ方向に対する各元素の組成分布を示す図。
【図7】 本発明の一実施例におけるI族、III族、VI族
元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜形成過程
を示す図。
【図8】 本発明の一実施例におけるI族、III族、VI族
元素よりなるカルコパイライト構造半導体薄膜太陽電池
の断面を示す図。
【符号の説明】
1 真空容器 2 基板ホルダー 3 タンタルヒーター 4 ガラス基板 5 Mo薄膜 6 Cu(In,Ga)(S,Se)薄膜 7 排気口 8 熱電対 9 Cu源 10 In源 11 S源 12 Se源 13 シャッター 14 制御回路 15 ヒーター用電源 16 Cu 17 In 18 S 19 Se 20 Mo 21 CdS薄膜 22 ZnO薄膜 23 ITO薄膜 24 Au電極
フロントページの続き (72)発明者 和田 隆博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 I族、III族及びVI族元素よりなるカルコ
    パイライト構造半導体薄膜の製造方法において、少なく
    とも2種類以上からなるVI族元素に対しそれぞれI族及
    びIII族元素の蒸着速度を実質的に一定としたまま、互
    いに異なるVI族元素の蒸着時間を異ならせることにより
    前記元素の固溶率を制御することを特徴とするカルコパ
    イライト構造半導体薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 蒸着時間を異ならせる手段が、各々独立
    した互いに異なるVI族元素の蒸着源と基板間に設けた各
    々のシャッターまたはバルブの開閉による手段である請
    求項1に記載のカルコパイライト構造半導体薄膜の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 蒸着源が単一元素である請求項2に記載
    のカルコパイライト構造半導体薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 蒸着源がVI族元素を含む化合物元素であ
    る請求項2に記載のカルコパイライト構造半導体薄膜の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 VI族元素の蒸着源に対し、各々独立した
    蒸着源と基板間に設けた各々のシャッターまたはバルブ
    を蒸着時間内で少なくとも2通りの間隔で開閉して蒸着
    する請求項2に記載のカルコパイライト構造半導体薄膜
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 基板上にVI族元素を含むI族元素とIII族
    元素からなる薄膜を堆積した後に、VI族元素雰囲気中で
    熱処理する工程を含む請求項1〜5のいずれかに記載の
    カルコパイライト構造半導体薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 I族元素の蒸着源としてCu単体、Ag
    単体、Cu含有化合物、Ag含有化合物から選ばれる少
    なくとも一つの物質を用いる請求項1〜6のいずれかに
    記載のカルコパイライト構造半導体薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 III族元素の蒸着源としてIn単体、G
    a単体、Al単体、In含有化合物、Ga含有化合物、
    及びAl含有化合物から選ばれる少なくとも一つの物質
    を用いる請求項1〜6のいずれかに記載のカルコパイラ
    イト構造半導体薄膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 VI族元素の蒸着源としてS単体、Se単
    体、Te単体、S含有化合物、Se含有化合物、Te含
    有化合物から選ばれる少なくとも一つの物質を用いる請
    求項1〜6のいずれかに記載のカルコパイライト構造半
    導体薄膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記請求項1〜9のいずれかかの製造
    方法により作製したI族、III族、VI族元素よりなるカル
    コパイライト構造半導体薄膜を光吸収層に用いて作製し
    たカルコパイライト構造半導体薄膜太陽電池。
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