JPH09309860A - カルコン化合物及び抗腫瘍剤 - Google Patents

カルコン化合物及び抗腫瘍剤

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JPH09309860A
JPH09309860A JP12703696A JP12703696A JPH09309860A JP H09309860 A JPH09309860 A JP H09309860A JP 12703696 A JP12703696 A JP 12703696A JP 12703696 A JP12703696 A JP 12703696A JP H09309860 A JPH09309860 A JP H09309860A
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JP
Japan
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chalcone
hydroxy
represented
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JP12703696A
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English (en)
Inventor
Shoji Shibata
承二 柴田
Houyoku Nishino
輔翼 西野
Nobuyuki Nagata
信幸 永田
Susumu Iwata
進 岩田
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Minophagen Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Minophagen Pharmaceutical Co Ltd
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発ガンプロモーター抑制作用及び腫瘍細胞増
殖抑制作用を有するシス型カルコン化合物及びそれを有
効成分とする抗腫瘍剤を提供することを課題とする。 【解決手段】 下記一般式(I)で表されるカルコン化
合物、好ましくはシス型3−ハイドロキシ−3’−メチ
ルカルコン又はシス型3−ハイドロキシ−4’−メチル
カルコンを有効成分として含有させ、抗腫瘍剤を得る。 【化1】 [式(I)中、Rは3’位又は4’位に結合するアルキ
ル基を表す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なカルコン化合物
に関する。詳しくは、本発明は、発ガンプロモーター抑
制作用及び腫瘍細胞増殖抑制作用を有する新規なシス型
カルコン化合物及びそれを有効成分として含有する抗腫
瘍剤に関する。
【0002】
【従来の技術】生薬中には、フラボノイド類等の発ガン
プロモーター抑制作用及び腫瘍細胞増殖抑制作用を有す
る化合物が含まれていることが知られている。
【0003】本発明者は先に、生薬中に存在し抗腫瘍活
性を有する化合物を探索する過程において、新彊甘草抽
出物に含有されるリコカルコンAが有効であることを見
出し、更にそれを基礎として、種々のカルコン化合物を
合成してその抗腫瘍効果を検討し、その結果、いくつか
の化合物においてリコカルコンAよりも強力な活性をも
つ化合物を認め、特開平6−122623号公報におい
て報告した。
【0004】これらの合成したカルコン化合物中、特に
活性の強かった3−ハイドロキシ−3’−メチルカルコ
ン及び3−ハイドロキシ−4’−メチルカルコン等の3
−ハイドロキシ−アルキルカルコン化合物は、合成の過
程においてはトランス型で得られる。一方、一般にトラ
ンス型のカルコン化合物が光によりシス型へと異性化す
ること(下記式化4参照)は従来から知られていたが、
光異性化によりシス型の3−ハイドロキシ−アルキルカ
ルコン化合物を得ること及びその薬理効果についての報
告はない。
【0005】
【化4】
【0006】[式化4中、Xは水素原子又は任意の有機
基を表す。]
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光異性化に
よってトランス型からシス型へと変化した特定のカルコ
ン化合物の薬理活性を明らかにし、発ガンプロモーター
抑制作用及び腫瘍細胞増殖抑制作用を有するシス型カル
コン化合物及びそれを有効成分とする抗腫瘍剤を提供す
ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、トランス型において非常に強い抗腫瘍
効果を示した3−ハイドロキシ−3’−メチルカルコン
及び3−ハイドロキシ−4’−メチルカルコン等の3−
ハイドロキシ−アルキルカルコン化合物を光異性化さ
せ、得られるシス型カルコン化合物をそれぞれ単離精製
して薬理活性を比較した結果、シス型のカルコン化合物
が格段に強い効果を示すことを見出し、本発明に到達し
た。
【0009】すなわち、本発明は、下記一般式(I)で
表されるカルコン化合物、及びそれを有効成分として含
有する抗腫瘍剤に関するものである。
【0010】
【化5】
【0011】[式(I)中、Rは3’位又は4’位に結
合するアルキル基を表す。]
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】<1>本発明のカルコン化合物 本発明のカルコン化合物は、上記一般式(I)で表され
るものである。ここで、式中Rは3’位又は4’位に結
合するアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜6の直
鎖又は分岐のアルキル基を表す。アルキル基の具体例と
しては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso
−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、te
rt−ブチル基等が挙げられる。これらのうち特に好ま
しいのはメチル基である。
【0014】このようなカルコン化合物として、好まし
くは、下記式(II)で表されるシス型3−ハイドロキ
シ−3’−メチルカルコン、又は下記式(III)で表
されるシス型3−ハイドロキシ−4’−メチルカルコン
が挙げられる。
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
【0017】また、本発明のカルコン化合物は、必要に
応じてその塩として提供することも可能である。このよ
うな塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等
が例示できる。
【0018】尚、シス型3−ハイドロキシ−3’−メチ
ルカルコン及び3−ハイドロキシ−4’−メチルカルコ
ンは、新規化合物である。以下に、これらの化合物の物
性を示す
【0019】(1)シス−3−ハイドロキシ−3’−メ
チルカルコン (i)融点:65〜66℃ (ii)質量スペクトル(%Int.) m/z 238(M+) (base) m/z 237 (65.1) m/z 147 (24.7) m/z 119 (34.1) (iii)高分解能質量スペクトル 計算値:238.0994 測定値:238.0993 (iv)1H−NMRスペクトル(DMSO−d6)、δpp
m(TMS) 2.35(s,3H,−CH3)、6.72(d,J=
12.9,1H,−Hα)、6.92(d,J=12.
9,1H,−Hβ)、9.42(s,1H,−OH)
【0020】(2)シス−3−ハイドロキシ−4’−メ
チルカルコン (i)融点:84〜85℃ (ii)質量スペクトル(%Int.) m/z 238(M+) (base) m/z 237 (74.9) m/z 147 (18.5) m/z 119 (41.0) (iii)高分解能質量スペクトル 計算値:238.0994 測定値:238.1002 (iv)1H−NMRスペクトル(DMSO−d6)、δpp
m(TMS) 2.35(s,3H,−CH3)、6.69(d,J=
13.1,1H,−Hα)、6.90(d,J=13.
1,1H,−Hβ)、9.42(s,1H,−OH)
【0021】本発明のカルコン化合物は、発ガンプロモ
ーター抑制作用及び腫瘍細胞増殖抑制作用を有するもの
であり、これを有効成分とすることにより、優れた抗腫
瘍剤を得ることができる。
【0022】<2>本発明の抗腫瘍剤 本発明の抗腫瘍剤は、上記カルコン化合物を有効成分と
して含有するものであり、剤型、製法は特に問わず、常
法により製造される。
【0023】例えば、製剤上許容される無害の1種或い
は数種の賦形剤、例えば、乳糖、バレイショデンプン、
炭酸カルシウム、又はアルギン酸ナトリウム等を配剤し
た散財、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等とすることができ
る。また、注射剤とする場合は、溶剤は注射用蒸留水、
又はポリエチレングリコール等が使用され、或いはこれ
に分散剤を添加してもよい。
【0024】投与方法としては、経口、非経口のいずれ
も選択できる。投与量は、患者の年齢、症状等により異
なるが、一般には経口投与では成人1人1日当たり、カ
ルコン化合物の量として、0.01〜100mg程度の
範囲で用いることにより、所期の効果が期待できる。ま
た、非経口の場合の投与量は、成人1人1日当たり上記
経口投与の場合の60%程度の量が適当である。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明のシス型カルコン化合物
は、トランス型カルコン化合物を光異性化することによ
り得られるが、本発明のシス型カルコン化合物の製造に
必要なトランス型3−ハイドロキシ−3’−メチルカル
コン及びトランス型3−ハイドロキシ−4’−メチルカ
ルコン等のトランス型3−ハイドロキシ−アルキルカル
コン化合物は、特開平6−122623号公報に記載さ
れた方法に準じて製造することができる。
【0026】すなわち、下記反応式化8に示すように、
目的化合物に必要な官能基を有するアセトフェノンとm
−ハイドロキシベンズアルデヒドとをクライゼン−シュ
ミット縮合させることにより、前記トランス型カルコン
化合物が得られる。尚、官能基の種類に応じて、必要に
応じてその官能基に保護を行い、縮合させた後に脱保護
し、目的化合物を得ることができる。
【0027】
【化8】
【0028】[反応式中、R1はメタ位又はパラ位に結
合するアルキル基を表す。]
【0029】次に、トランス型カルコン化合物の製造法
の一例として、トランス型3−ハイドロキシ−3’−メ
チルカルコンの製造例を示す。m−ハイドロキシベンズ
アルデヒド5gをアセトニトリル150mLに溶解し、
更に18−クラウン−6−エーテル1g及びクロルジメ
チルエーテル5mLを加え、室温でしばらく撹拌した
後、無水炭酸カリウム25gを撹拌しながら加え、一時
間反応を続けた。
【0030】反応液をろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、
ジエチルエーテル−水で分配し、エーテル層を分取し
た。得られたエーテル層を硫酸ナトリウムを用いて6時
間乾燥させた後、硫酸ナトリウムをろ過除去し、溶媒を
40℃以下で留去した。得られた残渣をシリカゲルクロ
マトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=9
/1)により分離し、m−メトキシメトキシベンズアル
デヒド5.5gを得た。
【0031】このようにして得られたm−メトキシメト
キシベンズアルデヒド5.5gとm−メチルアセトフェ
ノン4.5gとをエタノール40mLに溶解し、更に2
5%水酸化カリウム水溶液20mLを加え、室温にて2
4時間撹拌した。
【0032】反応終了後、反応液を1N−HClで中和
し、減圧濃縮した後に、ジエチルエーテル−水で分配
し、エーテル層を硫酸ナトリウムを用いて6時間乾燥さ
せた。乾燥後、硫酸ナトリウムをろ過除去し、溶媒を4
0℃以下で留去した後、得られた残渣をシリカゲルクロ
マトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4
/1)により分離し、3−メトキシメトキシ−3’−メ
チルカルコンを得た。
【0033】得られた3−メトキシメトキシ−3’−メ
チルカルコン3gをメタノール60mLに溶解し、これ
に3N−HClを20mL加え、30分間煮沸還流を行
った。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、ジエチルエー
テル−水で分配し、エーテル層を硫酸ナトリウムで乾燥
させた。
【0034】硫酸ナトリウムをろ過除去し、溶媒を留去
した後、残渣を少量のメタノールに溶解し、オクタデシ
ルシリル(ODS)カラムを用いて高速液体クロマトグ
ラフィー(溶媒:メタノール/水=75/25)により
分取した。カルコン化合物の検出は254nmで吸光度
を測定することにより行った。得られた画分をメタノー
ル:水にて再結晶させることにより、トランス型3−ハ
イドロキシ−3’−メチルカルコン1.5gを得た。
【0035】本発明のシス型カルコン化合物は、このよ
うにして得られるトランス型カルコン化合物を、有機溶
媒(例えばメタノール、エタノール等)に溶かして数日
放置し、溶液中でシス型へと光異性化を起こさせること
により得られる。
【0036】以下に、トランス型3−ハイドロキシ−
3’−メチルカルコン又はトランス型3−ハイドロキシ
−4’−メチルカルコンから、本発明のシス型3−ハイ
ドロキシ−3’−メチルカルコン又はシス型3−ハイド
ロキシ−4’−メチルカルコンを光異性化により製造す
る方法の一例を示す。
【0037】トランス型3−ハイドロキシ−3’−メチ
ルカルコン又はトランス型3−ハイドロキシ−4’−メ
チルカルコン500mgを1000mLのメタノールに
溶解し、1週間、日光を照射させる。このようにして得
られる溶液にはトランス型とシス型のカルコン化合物が
混合して含まれているので、この混合溶液を濃縮し、分
取用の高速液体クロマトグラフィーを用いて、以下に示
す条件にてシス型カルコン化合物のピークを分取する。
【0038】<高速液体クロマトグラフィーの条件> カラム;ODS20mm×200mm 溶媒;CH3OH/H20=7/3 流速;10mL/min 検出器;UV(254nm) 保持時間;シス型3−ハイドロキシ−3’−メチルカル
コン=8.0分、シス型3−ハイドロキシ−4’−メチ
ルカルコン=7.8分
【0039】分取されたシス型3−ハイドロキシ−3’
−メチルカルコン又はシス型3−ハイドロキシ−4’−
メチルカルコンは、濃縮乾固し、室温にてn−ペンタン
に溶解して−20℃に冷却することにより再結晶を行
う。
【0040】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。
【0041】
【実施例1】以下に示す実験は、本発明のカルコン化合
物の発ガンプロモーター抑制効果を評価するため行った
ものである。発ガンプロモーターには種々の物質が知ら
れており、その中でも12−O−テトラデカノイルフォ
ルボール−13−アセテート(TPA)は最も強力なも
のの一つである。TPAの作用機序の全貌は現在でもな
お不明であるが、TPAによる細胞のリン脂質代謝の亢
進は、発ガンプロモーションにつながる重要な要因の一
つであると考えられており、TPAの作用を抑制する化
合物の多くのものが、TPAによる発ガンプロモーショ
ンを阻止し、腫瘍の発生を効率よく低下させることが明
確になっている。
【0042】そこで、本発明のシス型カルコン化合物の
抗発ガンプロモーター作用の指標として、TPAによる
細胞のリン脂質代謝亢進を抑制する効力を測定した。す
なわち、TPAによって引き起こされる細胞のリン脂質
合成亢進をシス型カルコン化合物が抑制する作用につい
て、培養細胞を用いたイン・ビトロの系で、以下に示す
方法により評価した。
【0043】被験化合物として表1に示すカルコン化合
物を、溶媒:DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解
し、これをHeLa細胞培養液中に、カルコン化合物と
して3μg/mL又は5μg/mLの濃度になるように
添加した。尚、対照として、同量の溶媒のみを添加した
ものを用意した。添加から1時間後に、TPA(50n
M)及び放射性無機リン酸32Piを加え、更に4時間培
養を続けた。その後、細胞のリン脂質を抽出し、放射活
性の取り込みがどれほど抑制されたかを算出した。結果
を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】いずれのカルコン化合物も、トランス型よ
りシス型の方が、TPAによって亢進する32Piの取り
込みを抑制する効果が高いことが明らかとなった。
【0046】
【実施例2】本発明のカルコン化合物であるシス型3−
ハイドロキシ−3’−メチルカルコンが、イン・ビトロ
におけるヒト胃ガン細胞の増殖を抑制するか否かを指標
として、腫瘍細胞腫瘍抑制作用の評価を行った。
【0047】ヒト胃ガンHGC−27細胞を直径3.5
cmのディシュに播いて培養を行い、培養1日後にこの
培養液中にトランス型又はシス型3−ハイドロキシ−
3’−メチルカルコンを0.5μL/mLの濃度になる
ように添加した。3日間培養を続けた後、細胞数を測定
し、増殖抑制率を算出した。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】トランス型に比べてシス型の方が、強い増
殖抑制効果を示すことが明らかとなった。
【0050】
【発明の効果】トランス型からシス型へと光異性化を起
こして得られた本発明のカルコン化合物は、発ガンプロ
モーター抑制効果及び腫瘍細胞増殖抑制効果において、
トランス型と比べて格段に強い効力を有している。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるカルコン化
    合物。 【化1】 [式(I)中、Rは3’位又は4’位に結合するアルキ
    ル基を表す。]
  2. 【請求項2】 下記式(II)で表されるシス型3−ハ
    イドロキシ−3’−メチルカルコンである、請求項1記
    載のカルコン化合物。 【化2】
  3. 【請求項3】 下記式(III)で表されるシス型3−
    ハイドロキシ−4’−メチルカルコンである、請求項1
    記載のカルコン化合物。 【化3】
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のカルコ
    ン化合物を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
JP12703696A 1996-05-22 1996-05-22 カルコン化合物及び抗腫瘍剤 Pending JPH09309860A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0947494A1 (en) * 1998-03-30 1999-10-06 F. Hoffmann-La Roche Ag Derivatives of phenoxy acetic acid and phenoxymethyltetrazole having antitumor activity

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