JPH09309783A - 改良された土中崩壊型被覆粒状肥料 - Google Patents

改良された土中崩壊型被覆粒状肥料

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JPH09309783A
JPH09309783A JP8149980A JP14998096A JPH09309783A JP H09309783 A JPH09309783 A JP H09309783A JP 8149980 A JP8149980 A JP 8149980A JP 14998096 A JP14998096 A JP 14998096A JP H09309783 A JPH09309783 A JP H09309783A
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JP
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granular fertilizer
coated granular
copolymer
oxidative decomposition
water
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JP8149980A
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English (en)
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Michiyuki Ashihara
通之 芦原
Yoshihiro Chikami
世始裕 千頭
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JNC Corp
Original Assignee
Chisso Corp
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C05FERTILISERS; MANUFACTURE THEREOF
    • C05GMIXTURES OF FERTILISERS COVERED INDIVIDUALLY BY DIFFERENT SUBCLASSES OF CLASS C05; MIXTURES OF ONE OR MORE FERTILISERS WITH MATERIALS NOT HAVING A SPECIFIC FERTILISING ACTIVITY, e.g. PESTICIDES, SOIL-CONDITIONERS, WETTING AGENTS; FERTILISERS CHARACTERISED BY THEIR FORM
    • C05G5/00Fertilisers characterised by their form
    • C05G5/30Layered or coated, e.g. dust-preventing coatings
    • C05G5/37Layered or coated, e.g. dust-preventing coatings layered or coated with a polymer

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光の届かぬ土壌中での安定した分解性とその
製造、保管、流通、使用時の負荷に耐える被膜強度と安
定した溶出特性を有する被覆粒状肥料の提供。 【解決手段】 熱可塑性樹脂に高分子の酸化分解反応を
促進する物質と水溶性かつ非昇華性の微粉体を含有せし
めた組成物の被膜で粒状肥料の表面を被覆した該肥料。 【効果】 溶出変動率が少なく、土中崩壊度の良好被覆
粒状肥料が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は被覆粒状肥料に関す
る。更に詳しくは分解性被膜により被覆された被覆粒状
肥料に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】崩壊性若しくは分解性の被
膜材料で被覆された被覆粒状肥料としては、これまでに
エチレン・一酸化炭素共重合体(特公平2−23516
号)、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体(特
公平2−23515号)、等の光分解性の共重合体を主
要な被覆材とし、カプセルに分解性を付与する技術が公
開されている。この技術による被覆肥料は土壌中に光が
届かない暗黒状態では分解が遅く、表層に露出した機会
に分解・崩壊化が起るため、連用して行く場合常時数年
または十数年分の被膜が残留する可能性があった。更
に、光が届かない場合でも充分な分解性を得るために、
生分解性樹脂であるポリエステル類により被覆する技術
(特公平2−23517号)も開示されている。しか
し、この種のものは被膜が土壌分解を受けるため土壌中
における安定した溶出コントロールを確保することが困
難であり、且つポリエステル類による被膜は透湿性が大
きく溶出の極めて早いものしかできなかった。更には材
料費が高価で肥料へ適用するには経済性の範囲外で実用
化までには課題が多い。長期間の溶出制御技術として
は、特開平7−61884号に開示の様な、生分解性ポ
リエステルと水蒸気透過性の小さい樹脂とのブレンド法
が挙げられる。しかしながら特開平7−61884号開
示のように、生分解性ポリエステルと水蒸気透過性の小
さい樹脂を共に溶剤に溶解させ完全にブレンドした被膜
は、膜としての強度が小さく、製造、保管、流通、使用
の各場面で被膜にかかる負荷に耐えられるものではなか
った。これに対し熱可塑性樹脂に硫黄を分散させた被膜
(特公平1−39995号)が開示されている。これは
被膜中の硫黄が施用後昇華・揮散することで被膜がポー
ラス状となり、これによって被膜強度の低下と酸化分解
の促進を招き、膜を分解させる技術である。この技術は
コスト的にも比較的安価に達成することが出来、上記2
つのタイプの欠点を克服する技術として注目される。し
かしながら、硫黄の昇華・揮散は製造直後から始まるた
めに、保存期間や保存条件によって溶出速度や溶出パタ
ーンなどの溶出機能が変動する実用上の欠点を有してい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上の記述から明らか
なように、被覆肥料の被膜には光の届かない土壌中に
おける良好な分解性、長期間保存の後にも溶出変動し
ない安定した溶出特性、製造、保管、流通、使用の各
場面での負荷に耐え得る被膜強度が求められているが、
これら条件を満足する被膜組成は未だ開示されていな
い。本発明者らはかかる従来技術が抱えた技術課題に鋭
意取り組んだ。本発明者らはまず上記従来技術の可能性
について検討した。課題の解決に最も近いのは特公平1
−39995号に開示の被膜であると判断したが、この
被膜は長期保存後の溶出変動と云った、商品化上の決定
的な欠陥を有している。本発明者らは特公平1−399
95号の発明における被膜の崩壊の仕組みが、被膜に分
散された粒子硫黄が昇華・飛散によって被膜がポーラス
化することによって起こることから、長期保存後の溶出
変動も同じ仕組みによって起こると推測した。この推測
から特公平1−39995号の欠点の解決には、保存中
には被膜中において安定で、土壌若しくは水田中に施用
後被膜中から抜け出してゆけるようにすれば良いと考え
た。本発明者らはこの概念に基づいて最適な被膜材料の
検討を進めたところ、驚くべきことに高分子の酸化分解
反応を促進する物質を含有せしめた熱可塑性樹脂と、水
溶性且つ非昇華性の微粉体を有効成分とする被膜で、粒
状肥料の表面を被覆したことを特徴とする酸化分解型被
覆粒状肥料に、極めて優れた性質を認めて本発明を完成
した。以上の記述から明らかなように、本発明の目的は
被膜のポーラス化と酸化分解による崩壊膜であって、保
存後も溶出が変動することのない被覆粒状肥料を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は下記1から12
に記載の構成を有する。 (1)高分子の酸化分解反応を促進する物質を含有せし
めた熱可塑性樹脂と水溶性且つ非昇華性の微粉体を有効
成分とする組成物の被膜で、粒状肥料の表面を被覆して
なる土中崩壊型被覆粒状肥料。 (2)熱可塑性樹脂がポリオレフィン及びその共重合体
とポリ塩化ビニリデン及びその共重合体から選ばれた一
種以上である前記(1)に記載の酸化分解型被覆粒状肥
料。 (3)ポリオレフィン及びその共重合体がポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、
エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・一酸化炭素
共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合
体、エチレン・アクリレート共重合体、エチレン・メタ
クリル酸共重合体、ゴム系樹脂、ポリスチレン、ポリメ
チルメタアクリレート等から選ばれた一種以上である前
記(2)に記載の酸化分解型被覆粒状肥料。 (4)ポリ塩化ビニリデン及びその共重合体がポリ塩化
ビニリデン、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体であ
る前記(3)に記載の酸化分解型被覆粒状肥料。 (5)水溶性且つ非昇華性の微粉体がポリオール、ポリ
エーテル類から選ばれた一種以上である前記(1)に記
載の土中崩壊型被覆粒状肥料。 (6)水溶性且つ非昇華性の微粉体がイソブチレン系重
合体、アクリル酸・ビニルアルコール共重合体、ポリエ
チレンオキサイド及びその変成樹脂、アクリル酸ナトリ
ウム系重合体の微粉体から選ばれた一種以上である前記
(1)に記載の土中崩壊型被覆粒状肥料。 (7)水溶性且つ非昇華性の微粉体が塩類から選ばれた
一種以上である前記(1)に記載の土中崩壊型被覆粒状
肥料。 (8)水溶性且つ非昇華性の微粉体が糖類及びその誘導
体から選ばれた一種以上である前記(1)に記載の土中
崩壊型被覆粒状肥料。 (9)水溶性且つ非昇華性の微粉体の粒径が0.5〜1
00μmの範囲である前記(1)及び(5)から(8)
に記載の酸化分解型被覆粒状肥料。 (10)水溶性且つ非昇華性の微粉体の粒径が0.5〜
20μmの範囲である前記(1)及び(5)から(8)
に記載の酸化分解型被覆粒状肥料。 (11)高分子の酸化分解反応を促進する物質が、−C
=C−不飽和結合を有するジエン系重合体から選ばれた
一種以上である前記(1)に記載の酸化分解型被覆粒状
肥料。 (12)酸化分解反応を促進する物質が遷移金属、及び
遷移金属化合物から選ばれた一種以上である前記(1)
に記載の酸化分解型被覆粒状肥料。
【0005】以下に本発明の構成と効果を詳細に記述す
る。本発明に必須の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフ
ィン及びその共重合体とポリ塩化ビニリデン及びその共
重合体が挙げられるがこれに限定するものではない。本
発明に好ましいポリオレフィン及びその共重合体として
はポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレ
ン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン
・一酸化炭素共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化
炭素共重合体、エチレン・アクリレート共重合体、エチ
レン・メタクリル酸共重合体、ゴム系樹脂、ポリスチレ
ン、ポリメチルメタアクリレート等が挙げられるが、水
蒸気の透過性が小さい樹脂であれば何れのものであって
も使用することが出来る。本発明に好ましいポリ塩化ビ
ニリデン及びその共重合体としては、ポリ塩化ビニリデ
ン、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体等が挙げられ
る。これらもポリオレフィン系樹脂と同様に水蒸気の透
過性が小さい樹脂であれば何れのものを用いても差し支
えない。
【0006】水溶性且つ非昇華性の物質の微粉体は、常
温で水に可溶で昇華性の無いもので有れば如何なる材料
も使用することが出来る。よって該微粒子が高分子材料
で有れば、常温で可溶な分子量を選択するべきであり、
モノマーの組成や化学修飾の程度なども常温可溶な範囲
を選択すべきである。本発明においては該微粉体がポー
ラス化の役割を担う。該粉体は常温では昇華・飛散しな
いことから、従来技術のように長期の保存を経ても溶出
が変動することはない。また、該微粉体は常温で水に可
溶なため、畑や水田に施用後初めて溶解し被膜内におい
て液状化、若しくは被膜中から溶出を開始し被膜がポー
ラス状となる。
【0007】該粉体の吸水速度及び溶解度は上記のよう
に、被膜のポーラス化の速さに影響し、ひいては被膜の
分解速度にも影響を及ぼす。つまり、該粉体の吸水速度
及び溶解度が小さい場合には、ポーラス化するのに時間
がかかり膜の崩壊も遅くなり、大きい場合には、短時間
にポーラス化するため崩壊も速くなる。崩壊の速度は溶
出機能との関わりもあり、一概に速ければ良いというわ
けではなく、吸水速度及び溶解度(該粉体材料)の選択
は、本発明の実施者自身が求める溶出機能と崩壊速度と
の関連において決定すべきものである。該微粉体として
は例えば、ポリエーテル・ポリオール類であるエチレン
オキサイド重合体、プロピレンオキサイド重合体、エチ
レンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合体が挙げ
られ、その他の微粉体としてはイソブチレン系重合体、
アクリル酸・ビニルアルコール共重合体、ポリエチレン
オキサイド及びその変成樹脂、アクリル酸ナトリウム系
重合体などが挙げられる。
【0008】また、有効な該微粉体としては塩類が挙げ
られる。塩類は特に限定されるものではなく、常温で水
に可溶であって昇華性の無いもので有れば何れのもので
あっても使用することが出来る。塩類としては例えば無
機肥料成分である硫酸アンモニア、塩化アンモニア、硝
酸アンモニア、重炭酸アンモニウム、塩化加里、硝酸加
里、硝酸ナトリウム、燐酸アンモニア、燐酸加里、燐酸
石灰、キレート鉄、酸化鉄、塩化鉄、ホウ酸、ホウ砂、
硫酸マンガン、塩化マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅、モリ
ブデン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウム等が挙
げられる。無機肥料成分以外の塩類としては、硫酸ナト
リウム、チオ硫酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウム、
硝酸カルシウム、酸化銅、スルファミン酸ニッケル、硫
酸ニッケル、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、酸化マ
グネシウム、硝酸マグネシウム、硫化マグネシウム、燐
酸ナトリウム、次亜燐酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリ
ウム、トリポリ燐酸ナトリウム等が挙げられるがこれら
に限定するものではない。
【0009】更に、該粉体としては糖類及びその誘導体
が挙げられる。糖類とはグルコース、フルクトース、キ
シロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース等
の単量体、及びその重合体が挙げられる。重合体として
は具体的には水溶性澱粉や水溶性セルロース等が挙げら
れ、更にその誘導体としてはメチルセルロース、エチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、カルボキシメチル澱粉、ジアルデヒ
ド澱粉等が挙げられるがこれらに限定するものではな
い。上記以外に水溶性の物質としては、尿素等の低分子
量有機物を用いることもできる。
【0010】本発明の該微粒子の粒径は特に限定するも
のではないが、被膜の厚さ以上の粒径であると溶出が早
すぎ溶出の制御が困難になるため、該微粒子の粒径は被
膜の厚さ以下であることが好ましい。また、ポーラス化
し分解性を促進するためには、微粒であることが好まし
く、該微粒子の粒径は0.5から100μmの範囲であ
ることが好ましい。更に好ましくは0.5から20μm
の範囲である。
【0011】本発明において被膜の分解性を促進するに
は、該微粒子の分散量を増やし形成されるポーラス(孔
隙)の量を増やせばよい。該微粒子の分散量は特に限定
されるものではないが、該微粒子の分散量が70重量%
(以下%)を越える場合、特にポリエチレンのように極
性の小さい樹脂に分散する場合には、該微粒子同士凝集
し易いため局部的に透湿性が大きくなり、膜の溶出制御
が困難になったり、被膜強度が極端に低下する場合があ
るので、該微粒子の分散量は85%以下、好ましくは7
5%以下であることが望ましい。
【0012】更に、本発明においては被膜の崩壊を促進
する方法として、高分子の酸化反応を促進する物質を本
発明必須の熱可塑性樹脂に分散させる方法が推奨され
る。本発明の酸化分解反応を促進する物質(以下酸化促
進剤と表記)として有効なものは−C=C−の不飽和結
合を有する高分子で、この様な高分子としては、ジエン
系重合体例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、スチ
レン・ブタジエン共重合体、スチレン・イソプレン共重
合体、アクニロニトリル・ブタジエン共重合体等が挙げ
られるがこれ等に限定するものではない。
【0013】また、この他の酸化促進剤としては遷移金
属或は遷移金属化合物があり、Cu、Ag、Zn、C
d、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Niなどの微細粉
末状金属、金属酸化物、金属ハロゲン化物、無機酸遷移
金属塩、有機酸遷移金属塩等が挙げられる。遷移金属酸
化物とは例えば、チタニア(特にアナターゼ型)、酸化
クロームグリーン、コバルトブルー等の無機顔料であ
り、遷移金属ハロゲン化物とは例えば、NiCl2 、N
iBr2 、CoBr3 、FeCl2 、FeCl3 、Cr
Cl2 、CrCl4 、MnCl2 、MnCl3 、TiC
4 、CuCl、ZnCl2 等の微粉末化物であり、無
機酸遷移金属塩とは例えば、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝
酸、炭酸、燐酸、亜燐酸とZn、Cd、Cr、Mo、M
n、Fe、Co、Ni、Cuなどの微粉末化塩であり、
有機酸遷移金属塩とは例えば、炭素数1ないし22の有
機酸、即ち飽和、不飽和、脂肪族カルボン酸、芳香族カ
ルボン酸の遷移金属塩のことであるがこれ等に限定する
ものではない。更に、本発明においては触媒作用のある
遷移金属錯体を使用しても良い。
【0014】ジエン系重合体は樹脂組成物重量の0.5
〜80%、好ましくは1〜70%添加するのが望まし
い。低分子の有機化合物と同様にこの範囲以下では酸化
促進効果が不十分である。また、ジエン系重合体のよう
に不飽和結合を有する高分子は被膜の溶出を促進する機
能もあるため、この範囲を越えると溶出が速くなり過ぎ
希望する溶出コントロールが得られなくなる。
【0015】遷移金属及び遷移金属化合物は、高分子組
成物重量の0.001〜20%、好ましくは0.05〜
15%添加するのが望ましい。この範囲以下では酸化促
進効果が不十分である。また、添加量は上記範囲以内で
充分であり、範囲以上に増やしても効果の向上は望めな
い。のみならず、その多すぎる添加は製造中の加熱によ
って被膜の劣化を招く場合もあるので適当ではない。
【0016】−C=C−の不飽和結合を有する物質とし
ては、上記ジエン系重合体以外に脂肪酸、脂肪酸エステ
ル、油脂のような有機化合物も考えられるが、これらは
比較的低分子であり常温で液体若しくは融点が低いた
め、条件によっては保存中若しくは使用中に被膜内から
ブリードして被膜外に出てしまうことがある。これによ
って保存後若しくは使用中に溶出が変動する原因となる
ため、本発明に用いることは出来ない。
【0017】これら酸化促進剤は、−C=C−基のよう
に酸化分解を受け易い感応基を高分子被膜に導入する方
法、また、遷移金属のように酸化分解の触媒作用を有す
る物質を導入する方法の何れであっても本発明の目的は
達成される。
【0018】更に本発明では被膜強度や溶出制御機能が
損なわれない範囲で界面活性剤を添加することが出来
る。本発明に使用し得る界面活性剤は陽イオン性のも
の、陰イオン性のもの、両性のもの、非イオン性のもの
何れも使用し得るが、界面活性剤の親水性疎水性のバラ
ンスが重要であり、被膜のブレンド状況に適合したもの
を添加すべきである。
【0019】本発明はあらゆる肥料成分を含む粒状物に
適用できる。例えば硫安、塩安、硝安、尿素、塩化加
里、硝酸加里、硝酸ナトリウム、燐酸アンモニア、燐酸
加里、燐酸石灰等の水溶性肥料、及びキレート鉄、酸化
鉄、塩化鉄、ホウ酸、ホウ砂、硫酸マンガン、塩化マン
ガン、硫酸亜鉛、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、モ
リブデン酸アンモニウム等の水溶性微量要素の単体また
は2種以上の成分を含む肥料に対しては特に有効であ
る。また、OMUP(クロチリデンジウレア)、IBD
U(イソブチリデンジウレア)やオキザマイド等の難水
溶性肥料に適用すると、これらの肥料の有効期間を延ば
すことが出来る。
【0020】また、本発明の被膜に溶出制御や被膜のコ
スト削減の目的で、水難溶性もしくは水不溶性の充填材
を添加しても構わない。但し、充填材の添加は被膜強度
に影響をもたらすことも念頭に置いて被膜組成を決定す
べきであり、本発明の効果を損なわない範囲で用いるべ
きである。被膜組成にもよるが充填材の添加は被膜重量
の80%以下で行うことを推奨する。
【0021】無機充填剤としてはタルク、クレイ、ケイ
ソウ土、シリカ、炭酸カルシウム、ゼオライト、金属酸
化物若しくは硫黄の粉末が挙げられ、有機充填材として
は糖重合体及びその誘導体、若しくはクロチリデンジウ
レア、イソブチリデンジウレア、オキザマイド等の粉末
を用いることが出来る。
【0022】本発明の酸化分解型被覆粒状肥料の被覆法
は、特に限定されるものではない。上記被覆材を有機溶
剤に溶解、若しくは分散させた溶液を、転動状態若しく
は流動状態にある肥料粒子に噴霧状で高速熱風流と共に
吹き付け、溶剤を瞬時に乾燥する事によって本発明の被
覆粒状肥料を得ることが出来る。以下実施例をもって本
発明の効果を説明する。
【0023】
【実施例】
1.本発明肥料の製造例 図1は製造例において用いた噴流カプセル化装置を示
す。1は噴流塔で塔径250mm、高さ2000mm、
窒素ガス噴出口径50mm、円錐角50度で肥料投入口
2、排ガス出口3を有する。噴流用窒素ガスはブロアー
10から送られ、オリフィス流量計9、熱交換器8を経
て噴流塔に至るが、流量は流量計、温度は熱交換機で管
理され、排気は排ガス出口3から塔外に導き出される。
カプセル化処理に使用される粒状肥料は肥料投入口2か
ら所定の熱風を(N2 ガス)を通し乍ら投入し噴流を形
成させる。熱風温度はT1 、カプセル化中の粒子温度は
2 、排気温度はT3 の温度計により検出される。T2
が所定の温度になったら、カプセル化液を一流体ノズル
4を通して噴霧状で噴流に向かって吹き付ける。被覆液
は液タンク11もしくは13で攪拌しておき、ポンプ5
もしくは12から液配管6を経てノズル4に至らしめる
粉体使用の場合は粉体が被覆液中に均一に分散されてい
るように攪拌しておく。所定の被覆率に達したらブロア
ーを止め、被覆された肥料を抜き出し口7より排出す
る。試作サンプルの組成を表−1に示す。本製造例では
下記の基本条件を維持しつつサンプルの試作を行なっ
た。 一流体ノズル:開口0.8mmフルコン型 熱風量:4m3 /min 熱風温度:100±2℃ 肥料の種類:6〜7meshの粒状尿素 肥料投入量:10kg 供試溶剤:パークロルエチレン 被覆液濃度:固形分5.0重量% 被覆液供給量:0.3kg/min 被覆率:12% *被覆液はポンプ5より送られてノズルに至るが、10
0℃以下に温度が低下しないように蒸気で加熱してお
く。
【0024】
【表1】
【0025】2.本発明肥料保存後の溶出速度変動の測
定 製造直後の本発明のサンプルと2年間屋外放置した本発
明のサンプルについて50%溶出日数を求め、溶出変動
率を下記式により求めた。結果を表−1に示す。 *A:製造直後サンプルの50%溶出日数 B:2年間屋外放置後サンプルの50%溶出日数 屋外放置方法:本発明のサンプル3kgを厚さ200μ
mのLDPE製の樹脂袋に入れ直射日光のあたる屋外に
放置した。 50%溶出日数測定方法:本発明のサンプル10gを2
00ml水中に浸漬して25℃に静置し、所定期間後肥
料と水に分け、水中に溶出した尿素を定量分析により求
める。肥料には新水を200ml入れて再び25℃に静
置、所定期間後同様な分析を行なう。この様な操作を反
復して水中に溶出した尿素の溶出累計と日数の関係をグ
ラフ化して溶出速度曲線を作成し、50%溶出率に至る
日数を求める。
【0026】3.土中崩壊性測定試験 本発明のサンプル5gを一粒ずつ先の鋭い針を用いてピ
ンホールを作り、30℃水中にて2週間静置して中の尿
素を溶出させて空カプセルを作る。溶出液から分離した
空カプセルを樹脂製ネットに入れ土壌中(熊本県水俣市
袋、第三紀土壌)に埋設。3年間放置後カプセルの状態
を観察し、明かにカプセルの原型を止めているサンプル
について、カプセルの全量を回転羽付きV型混合機に入
れて30分間攪拌混合する。その後10mesh篩を通
し、通過したカプセルの供試カプセルに対する百分率を
求めて崩壊度として表−1に示す。原型をとどめず痕跡
のみ、或は痕跡も認められないものについては上記操作
を行なわず崩壊度100%とした。
【0027】4.被膜破損試験 試作した被覆粒状肥料被膜の耐衝撃性を比較するための
装置を図−2に示した。別途圧縮機で加圧された圧縮空
気23は弁14で調節され、オリフィス流量計15を経
て配管18に供給される配管の内径は100mm、長さ
Lは5mで、配管内の風速は50m/secである。試
作被覆粒状肥料はホッパー16に投入され、ロータリー
バルブ17を経て配管内に供給される。試作被覆粒状肥
料は風に乗って運ばれその一部は配管内に設けられた衝
突板19(図−3に示す)に衝突し、受器20に貯ま
り、残りの試作被覆粒状肥料は捕集器21で除かれ空気
は排出口22より大気中に放出される。受器に貯まった
試作被覆粒状肥料を取り出し破損処理サンプルとした。
破損処理前及び破損処理後のサンプルをそれぞれ10g
を200ml水中に浸漬して25℃に静置し、破損処理
後のサンプルは24時間経過後の水中溶出率のみ測定し
た。
【0028】
【発明の効果】以上の記述から明らかなように、本発明
において開示の被覆粒状肥料は光の届かない土壌中に
おける良好な分解性、長期間保存の後にも溶出変動し
ない安定した溶出特性、製造、保管、流通、使用の各
場面での負荷に耐え得る被膜強度と云った、被覆肥料に
求められているこれら条件を満足したものであり、優れ
た溶出機能を維持しつつ、農業環境の保全にも役立つ肥
料として、極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に使用する噴流カプセル化装置
【図2】本発明の被覆粒状肥料の耐衝撃性試験装置
【図3】本発明の耐衝撃性試験装置に使用する衝突板
【符号の説明】
1:噴流塔 2:肥料投入口 3:排ガス出口 4:一流体ノズル 5:ポンプ 6:液配管 7:肥料抜出し口 8:熱交換器 9:オリフィス流量計 10:ブロアー 11:液タンク 12:ポンプ 13:液タンク 14:弁 15:オリフィス流量計 16:ホッパー 17:ロータリーバルブ 18:配管 19:衝突板 20:受器 21:捕集器 22:排出口 23:圧縮空気 T1 :温度計 T2 :温度計 T3 :温度計

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子の酸化分解反応を促進する物質を
    含有せしめた熱可塑性樹脂と水溶性且つ非昇華性の微粉
    体を有効成分とする組成物の被膜で、粒状肥料の表面を
    被覆してなる土中崩壊型被覆粒状肥料。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂がポリオレフィン及びその
    共重合体とポリ塩化ビニリデン及びその共重合体から選
    ばれた一種以上である請求項1に記載の酸化分解型被覆
    粒状肥料。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン及びその共重合体がポリ
    エチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重
    合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・一酸
    化炭素共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共
    重合体、エチレン・アクリレート共重合体、エチレン・
    メタクリル酸共重合体、ゴム系樹脂、ポリスチレン、ポ
    リメチルメタアクリレート等から選ばれた一種以上であ
    る請求項2に記載の酸化分解型被覆粒状肥料。
  4. 【請求項4】 ポリ塩化ビニリデン及びその共重合体が
    ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重
    合体である請求項3に記載の酸化分解型被覆粒状肥料。
  5. 【請求項5】 水溶性且つ非昇華性の微粉体がポリオー
    ル、ポリエーテル類から選ばれた一種以上である請求項
    1に記載の土中崩壊型被覆粒状肥料。
  6. 【請求項6】 水溶性且つ非昇華性の微粉体がイソブチ
    レン系重合体、アクリル酸・ビニルアルコール共重合
    体、ポリエチレンオキサイド及びその変成樹脂、アクリ
    ル酸ナトリウム系重合体の微粉体から選ばれた一種以上
    である請求項1に記載の土中崩壊型被覆粒状肥料。
  7. 【請求項7】 水溶性且つ非昇華性の微粉体が塩類から
    選ばれた一種以上である請求項1に記載の土中崩壊型被
    覆粒状肥料。
  8. 【請求項8】 水溶性且つ非昇華性の微粉体が糖類及び
    その誘導体から選ばれた一種以上である請求項1に記載
    の土中崩壊型被覆粒状肥料。
  9. 【請求項9】 水溶性且つ非昇華性の微粉体の粒径が
    0.5〜100μmの範囲である請求項1及び5から8
    に記載の酸化分解型被覆粒状肥料。
  10. 【請求項10】 水溶性且つ非昇華性の微粉体の粒径が
    0.5〜20μmの範囲である請求項1及び5から8に
    記載の酸化分解型被覆粒状肥料。
  11. 【請求項11】 高分子の酸化分解反応を促進する物質
    が、−C=C−不飽和結合を有するジエン系重合体から
    選ばれた一種以上である請求項1に記載の酸化分解型被
    覆粒状肥料。
  12. 【請求項12】 酸化分解反応を促進する物質が遷移金
    属、及び遷移金属化合物から選ばれた一種以上である請
    求項1に記載の酸化分解型被覆粒状肥料。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5601839A (en) * 1995-04-26 1997-02-11 Theratech, Inc. Triacetin as a penetration enhancer for transdermal delivery of a basic drug

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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