JP3608056B2 - 崩壊膜被覆粒状肥料 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は分解性被膜で粒状肥料を被覆して溶出コントロールする肥効調節型肥料に関する。更に詳しくは酸化分解性を有する高分子組成物を重要な構成材料とし、これに昇華性微粒子を分散させた被覆材料により被覆された粒状肥料である。本発明品を施用すると溶出後に昇華性微粒子が昇華して被膜内に空隙を生成し、空気との接触面積を著しく増加して急激に酸化分解を受け、土壌残留性が改善(解決)される。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
近年、省力化による低コスト栽培や施肥窒素による環境汚染対策が肥料の技術的な重要課題とされている。作物の吸収に合わせて肥料を溶出させることにより1回の施肥で済むと云った施肥の省力化、及び施用肥料の高利用率による環境への影響の軽減を可能にする肥効調節型肥料が実用化され、注目されている。
これら肥料の素晴らしい機能はぜひ必要であるが、出来れば被膜は欲しくないと指摘されているように、第1に溶出速度を任意にコントロール出来る材料、第2に被膜が施肥目的達成後速やかに土壌中に分解還元される機能が望まれている。第1の課題については種々の公知の技術が開示されているが、本発明者らはポリオレフィン系樹脂を主成分とする肥料の被覆技術(特公昭54−3104号)、ポリオレフィン系樹脂とエチレン・酢酸ビニル共重合体を被覆材料で被覆する溶出コントロール技術(特公昭60−21952号、特公昭60−37074号)、更に該被膜にタルクを分解させて溶出速度の温度依存性をコントロールする技術(特公昭60−3040号)を開示し、希望する任意の肥効コントロールが可能であることを示した。
第2の課題について本発明者らは前記第1の課題に連係した技術開発を行ない、エチレン・一酸化炭素共重合体、(特公平2−23516号)、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体(特公平2−23515号)、等の光分解性の共重合体を主要な被覆材とし、任意に溶出がコントロールできる技術を開発した。この技術による被覆肥料は土壌中に光が届かない暗黒状態では分解が遅く、表層に露出した機会に分解・崩壊化が起こるため、連用して行く場合常時数年または十数年分の被膜が残留する可能性があった。
従って第2の課題の解決には光の届かない土壌中でも分解する被膜が望まれていた。本発明者らは生分解性樹脂であるポリエステル類により被覆し、溶出コントロールと被膜の土壌分解性ともに付与された被覆技術(特公平2−23517号)を開示した。この種のものは被膜が土壌分解を受けるため土壌中における安定した溶出コントロ−ルを確保することが困難であり、また現在は材料費が高価で肥料へ適用するには経済性の範囲外で実用化までには課題が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
公知技術の上記問題点に鑑み、本発明者らは光の作用を受けない土壌中で、生分解性の無い被膜でも比較的短期間に視覚で認められなくなる程度まで酸化分解を受ける被膜で被覆された粒状肥料の研究開発を進めた。
オレフィン及び他の単量体よりなる高分子化合物の酸化劣化は大気中の酸素分子が関与するラジカル反応としてよく知られているが、そのままでは希望するまでに長期間を要し実用的ではない。そこで分解を促進するための分子構造、例えば非晶部、分岐及び分子量の選択、ラジカル発生の連鎖反応開始剤、例えば金属、活性酸素種、二重結合を有する分子等の添加により分解速度の促進は可能であるが、これらの処理だけでは被覆肥料に望まれる分解速度には至らない。
しかし乍ら、前記の酸化分解能を有する高分子組成物の被膜内に、無数の微細な空隙を分布させることにより酸素との接触面積を著しく増大させ、微細な空隙群を囲む極薄壁網で構成される被膜にすることにより、酸化分解を期待通り促進することが出来ることを認めて本発明に到達した。以上の記述から明らかなように、本発明の目的は、土壌中でも比較的短期間に完全に分解可能な被膜で被覆された被覆粒状肥料を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の基本構成は、酸化分解性を有する高分子組成物を主要な構成材料とし、これに昇華性の微粒子群を分散させてなる被膜で被覆された崩壊膜被覆粒状肥料である。
より、詳細には、本発明は、下記(1)〜(6)の各構成を有する。
(1)粒状肥料の表面を高分子の酸化分解反応を促進する物質を含有せしめたポリオレフィン系樹脂を主要な構成材料とし、これに昇華性物質の微粒子群を分散させた被膜で被覆されてなる崩壊膜被覆粒状肥料。
(2)ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体等のポリオレフィン類、及びエチレン・一酸化炭素共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体のオレフィンと他の単量体との共重合体から選ばれた一種以上の樹脂である前記第1項に記載の崩壊膜被覆粒状肥料。
(3)酸化分解反応を促進する物質が、−C=C−不飽和結合を有する不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、油脂類、ジエン系重合体、及び遷移金属、遷移金属化合物から選ばれた一種以上である前記第1項に記載の崩壊膜被覆粒状肥料。
(4)昇華性物質の微粒子群がナフタリン、樟脳、硫黄から選ばれた一種以上である前記第1項に記載の崩壊膜被覆粒状肥料。
(5)被膜中に水難溶性若しくは水不溶性の充填材を混合してなる前記第1項に記載の崩壊膜被覆粒状肥料。
(6)充填材がタルク、クレイ、ケイソウ土、シリカ、炭酸ナトリウム、ゼオライトから選ばれた一種以上である前記第5項に記載の崩壊膜被覆粒状肥料。
【0005】
本発明の酸化分解性を有する高分子組成物とはポリオレフィン系樹脂、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体等のポリオレフィン類、エチレン・一酸化炭素共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体等のオレフィンと他の単量体との共重合体の一種以上より選択される高分子と、酸化分解反応を促進するための添加物(以下酸化促進剤と称す)より構成されたものである。
【0006】
酸化促進剤として有効なものは−C=C−の不飽和結合を有する有機化合物または高分子で、該有機化合物としては不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸、パルミトール酸、リシノール酸、エレオステアリン酸等、不飽和脂肪酸エステル、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸、パルミトール酸、リシノール酸、エレオステアリン酸等のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソブチルエステル等、油脂類、例えば乾性油であるアマニ油、大豆油、桐油、半乾性油である玉蜀黍油、菜種油、綿実油、不乾性油であるオリーブ油、椿油、ヒマシ油等の植物油、及び鯨油、牛脂、魚油、肝油等の動物油が挙げられる。
【0007】
また該高分子としては、ジエン系重合体例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体、アクニロニトリル・ブタジエン共重合体等が挙げられるがこれ等に限定するものではない。
【0008】
また、この他の酸化促進剤としては遷移金属或は遷移金属化合物があり、Cu、Ag、Zn、Cd、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Niなどの微細粉末状金属、金属酸化物、金属ハロゲン化物、無機酸金属塩、有機酸金属塩等が挙げられる。
遷移金属酸化物とは例えば、チタニア(特にアナターゼ型)、酸化クロムグリーン、コバルトブルー等の無機顔料であり、遷移金属ハロゲン化物とは例えば、NiCl 、NiBr 、CoBr 、FeCl 、FeCl 、CrCl 、CrCl 、MnCl 、MnCl 、TiCl 、CuCl、ZnCl 等の微粉末化物であり、無機酸遷移金属塩とは例えば、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、炭酸、燐酸、亜燐酸とZn、Cd、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Cuなどの微粉末化塩であり、有機酸遷移金属塩とは例えば、炭素数1ないし22の有機酸、即ち飽和、不飽和、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸の遷移金属塩のことであるがこれ等に限定するものではない。
【0009】
−C=C−の不飽和結合を有する物質のうち、脂肪酸、脂肪酸エステル、油脂のように比較的低分子量の有機化合物は、高分子組成物重量の0.5〜40%、好ましくは1〜30%添加するのが望ましい。この範囲以下であると高分子の酸化分解促進効果が不十分であり、またこの範囲以上では被膜の分解がより促進されるものの、被膜の強度低下を招き実用的な被膜にならない。
また、−C=C−の不飽和結合を有する物質のうち、ジエン系重合体のように高分子量のものは、高分子組成物重量の0.5〜80%、好ましくは1〜70%添加するのが望ましい。低分子の有機化合物と同様にこの範囲以下では酸化促進効果が不十分である。また、ジエン系重合体のように不飽和結合を有する高分子は被膜の溶出を促進する機能もあるため、この範囲を越えると溶出が速くなり過ぎ希望する溶出コントロールが得られなくなる。
【0010】
遷移金属及び遷移金属化合物は、高分子組成物重量の0.05〜20%、好ましくは0.1〜15%添加するのが望ましい。この範囲以下では酸化促進効果が不十分である。また、添加量は上記範囲以内で充分であり、範囲以上に増やしても効果の向上は望めない。のみならず、その多すぎる添加は製造中の過熱によって被膜の劣化を招く場合もあるので適当ではない。
これらの酸化促進剤は、−C=C−基のように酸化分解を受け易い感応基を高分子被膜に導入してやる方法、また、遷移金属のように酸化分解の触媒作用を有する物質を導入する方法の何れであっても本発明の目的は達成される。
【0011】
本発明に必須の昇華性微粒子とは常温に於て固体で、且つ水に不溶または難溶性で粒径が0.01〜30μm、好ましくは0.1〜20μmのもので、被膜重量の5〜90%、好ましくは10〜80%分散される。好ましい昇華性微粒子の材料としてはナフタレン、樟脳、硫黄の単独または混合物が挙げられる。
【0012】
本発明の効果は酸化分解性を有する高分子組成物中に分散された昇華性微粒子が、施肥後徐々に昇華した結果被膜内に微細な空隙が生成し、空気との接触面積を著しく増加し、また酸化分解性高分子組成物の隔壁が極薄化して急激に酸化分解を受けて崩壊し易くなることにより得られる。従って微粒子の昇華性の程度は、施肥後空隙が完成するまでの期間に影響を与える。
高分子組成物の酸化分解性と、空隙の界面(空隙、高分子間)は比例し、空隙界面は昇華性微粒子の割合に比例し、粒径に反比例する。即ち、添加割合が多いほど、また微粒子径が小さいほど酸化分解は進行し、被膜設計に際してはこれらの組合せを充分に検討し計画される。
本発明品は被覆することにより溶出速度(肥効)コントロールすることが必要であり、被膜分解性付与と引き換えに溶出速度コントロール機能が損なわれてはならない。被膜内に多数の空隙が生成すると溶出が速くなり目的とした溶出コントロールが得られない。
【0013】
酸化分解性膜の被覆によりなる本発明の肥料を得る製造法については公知の方法を適用することが出来る。例えば本発明者が開示した前述の特公昭54−3104号、特公昭60−21952号、特公昭60−37074号或は特公昭60−3040号等の溶液法に於て、昇華性微粒子を分散または溶解させて被覆操作を進め、結果として被膜内に分散し得ることが出来れば方法自体は限定されない。
更に本発明者らの開示による特公昭63−23160号の方法、即ち被覆用の樹脂溶液を用いる噴流被覆法に於て、乾燥熱風中に昇華性微粒子を分散させて被覆を進行させることにより、被膜中に該微粒子を分散させる方法も極めて有効な方法として推賞できる。この場合は当該昇華性微粒子は危険物であり充分な安全対策が必要である。
【0014】
本発明品を大気中に曝すと昇華が進行し溶出自体が変わるため、保存中は昇華が進行しない処置が重要不可欠である。保存中は出来るだけ高温は避け、且つ完全な密閉状態が望ましく、包装材料も昇華が進行しない透過性の極めて小さいものを吟味する必要があることは云うまでもない。また被覆の多層化例えば最上層に昇華防止の保護膜を掛けておくことは有効であり、施肥後の昇華期間の制御手段としても有効である。この場合の保護膜は生分解性、水溶性及びこれらと非分解性樹脂との組合せ等を目的に応じて検討し選択される。
本発明では前記必須の酸化分解性を有する高分子組成物を昇華性微粒子群の他に本発明効果が損なわれない範囲で増量材やフィラーや浸水性付与のための界面活性材添加等の公知技術を組み合わせることが出来る。高分子やワックス例えばポリスチレン、アルキルセルロース類、パラフィンワックス、石油樹脂等、フィラー類例えばタルク、炭酸カルシウム、シリカ、クレイ、ゼオライト、ケイソウ土等、難溶性の肥料例えばCDU、微量要素等は有効に利用される。
【0015】
本発明に供用される肥料は粒状品であるが、その種類は限定されない。即ち、公知の化学肥料、例えば硫安、塩安、硝安、尿素、塩化加里、硝酸加里、硝酸ソーダ、燐酸アンモニア、燐酸加里、燐酸石灰等の単肥やこれら2種類以上を複合した化成肥料が供用される。
以下実施例によって本発明を説明する。
【0016】
【実施例】
1.本発明肥料の製造例−I
図1は本発明において用いた噴流カプセル化装置を示す。1は噴流塔で塔径250mm、高さ2000mm、N ガス噴出口径50mm、円錐角50度で肥料投入口2、排ガス出口3及び本発明の必須の構成要素である昇華性微粒子投入用のマイクロフィーダー12を有する。
【0017】
【図1】
【0018】
図2は図1のマイクロフィーダー設置部の拡大図であり、12bはシリンダー径0.8cmのテフロン製(自製)のミニスクリューフィダーで、スクリュー部の回転は1から60rpmの範囲で回転数が制御できるようになっている。熱風導入管部(本管と略称する)との接合部12cは二重構造になっていて、先端からN ガス(室温)が本管部に吹き出すようになっており、昇華性微粒子が主熱風に分散するのを助けている。昇華性微粒子が危険物の場合は、安全対策として粉体ホッパー12aをN ガスでシールする必要がある。
噴流用N ガスはブロアー10から送られ、オリフィス流量計9、熱交換器8を経て噴流塔に至るが、流量は流量計、温度は熱交換機で管理され、排気は排ガス出口3から塔外に導き出される。
【0019】
【図2】
【0020】
カプセル化処理に使用される粒状肥料は肥料投入口から所定の熱風を(N ガス)を通し乍ら投入し噴流を形成させる。熱風温度はT 、カプセル化中の粒子温度はT 、排気温度はT の温度計により検出される。
が所定の温度になったら、カプセル化液を一流体ノズル4を通して噴霧状で噴流に向かって吹き付ける、と同時にマイクロフィーダーを通して昇華性微粒子を噴流用熱風に分散させカプセル化液と共に粒状肥料表面にカプセルを形成させる。
【0021】
昇華性微粒子の供給はカプセル化液供給と同時に行なわれるよう、液供給と連動するようにしている。従って供試昇華性微粒子は被覆液が供給されている間は一様に少量ずつ供給される。
【0022】
本実施例では何れも下記の基本条件を維持しつつカプセル化した。
一流体ノズル:開口0.8mmフルコン型
熱風量:4m /min
熱風温度:100±2℃
肥料の種類:6〜7meshの粒状尿素
肥料投入量:10kg
カプセル化液濃度:固形分5.0重量%(供試溶剤:トルエン)
カプセル化液供給量:0.3kg/min
カプセル化時間:67分
カプセル化率(対肥料):10%
マイクロフィーダーによる粉体供給時間:80分
マイクロフィーダー部のN 注入速度:0.21/min
【0023】
2.本発明肥料の製造例−II
図3は本実施例において用いた噴流カプセル化装置を示す。図3は図1に示した噴流塔下部の昇華性微粒子供給のためのマイクロフィーダー12を除いたものである。
製造例−Iとの相違は本発明に必須の構成要素である昇華性微粒子を被膜に分散するに際し、製造例−Iでは昇華性微粒子を噴流用熱風に分散させるのに対し、本製造例−IIでは溶解槽11に於て昇華性微粒子を予めカプセル化液に分散させ、カプセル化液と共に一流体ノズル4を通して噴流させてある粒状肥料表面に吹き付けカプセル化させるところである。
本実施例では何れも下記の基本条件を維持しつつカプセル化した。
一流体ノズル:開口0.8mmフルコン型
熱風量:4m /min
熱風温度:100±2℃
肥料の種類:6〜7meshの粒状尿素
肥料投入量:10kg
カプセル化液濃度:固形分5.0重量%(供試溶剤:トルエン)
カプセル化液供給量:0.3kg/min
カプセル化時間:67分
カプセル化率(対肥料):10%
【0024】
【図3】
【0025】
3.本発明肥料の溶出率測定例
製造例I及びIIで製造した本発明肥料をそれぞれ10gを200ml水中に浸漬して25℃に静置する。所定期間後肥料と水に分け、水中に溶出した尿素を定量分析により求める。肥料には新水を200ml入れて再び25℃に静置、所定期間後同様な分析を行なう。この様な操作を反復して水中に溶出した尿素の溶出累計と日数の関係をグラフ化して溶出速度曲線を作成し、80%溶出率に至る日数を知ることが出来る。
表1〜3の溶出項の24時間溶出とは、上記溶出測定に於て25℃、24時間経過後の水中溶出率であり、80%溶出日数とは上記溶出率測定に於て溶出速度曲線を作成して求めた。
【0026】
4.本発明肥料のカプセル崩壊度測定
本発明のサンプル5gを一粒ずつ先の鋭い針を用いてピンホールを作り、30℃水中にて2週間静置して中の尿素を溶出させて空カプセルを作る。溶出液から分離した空カプセルを樹脂製ネットに入れ畑(北九州市若松区、砂壌土)に埋設。2年間放置後カプセルの状態を観察し、明かにカプセルの原型を止めているサンプルについて、カプセルの全量を回転羽付きV型混合機に入れて30分間撹拌混合する。その後10mesh篩を通し、通過したカプセルの供試カプセルに対する百分率を求めて崩壊度として表1〜3に表示した。原型をとどめず痕跡のみ、或は痕跡も認められないものについては上記操作を行なわず崩壊度100%とした。
【0027】
【表1】
Figure 0003608056
【0028】
【表2】
Figure 0003608056
【0029】
【表3】
Figure 0003608056

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造例Iに使用した噴流カプセル化装置。
【図2】図1のマイクロフィーダー部の部分拡大図。
【図3】本発明の製造例IIに使用した噴流カプセル化装置。

Claims (6)

  1. 粒状肥料の表面を高分子の酸化分解反応を促進する物質を含有せしめたポリオレフィン系樹脂を主要な構成材料とし、これに粒径が 0.01 30 μ である昇華性物質の微粒子を被膜重量の 90 %の割合で分散させた被膜で被覆されてなる崩壊型被覆粒状肥料。
  2. ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブ点共重合体等のポリオレフィン類、及びエチレン・一酸化炭素共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体のオレフィンと他の単量体との共重合体から選ばれた一種以上の樹脂である請求項第1項に記載の崩壊型被覆粒状肥料。
  3. 酸化分解反応を促進する物質が、−C=C−不飽和結合を有する不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、油脂類、ジエン系重合体、及び遷移金属、遷移金属化合物から選ばれた一種以上である請求項第1項に記載の崩壊型被覆粒状肥料。
  4. 昇華性物質がナフタリン、樟脳、硫黄から選ばれた一種以上である請求項第1項に記載の崩壊型被覆粒状肥料。
  5. 被膜中に水難溶性若しくは水不溶性の充填剤を混合してなる請求項第1項に記載の崩壊型被覆粒状肥料。
  6. 充填剤がタルク、クレイ、ケイソウ土、シリカ、炭酸ナトリウム、ゼオライトから選ばれた一種以上である請求項第5項に記載の崩壊型被覆粒状肥料。
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