JPH09308317A - 蘚苔類植物育苗用ブロックおよびそれを用いた蘚苔類植物の播種・育苗方法 - Google Patents

蘚苔類植物育苗用ブロックおよびそれを用いた蘚苔類植物の播種・育苗方法

Info

Publication number
JPH09308317A
JPH09308317A JP8128543A JP12854396A JPH09308317A JP H09308317 A JPH09308317 A JP H09308317A JP 8128543 A JP8128543 A JP 8128543A JP 12854396 A JP12854396 A JP 12854396A JP H09308317 A JPH09308317 A JP H09308317A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
moss
block
plant
raising
bryophyte
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8128543A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisakazu Komine
久和 小峯
Kenji Otani
憲司 大谷
Kazuo Nate
和男 名手
Tadao Kaneko
忠男 金子
Shozaburo Hiraoka
正三郎 平岡
Mitsuo Tanabe
光夫 田邊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HIRAOKA KANKYO KAGAKU KENKYUSH
HIRAOKA KANKYO KAGAKU KENKYUSHO
Maxell Sliontec Ltd
Original Assignee
HIRAOKA KANKYO KAGAKU KENKYUSH
HIRAOKA KANKYO KAGAKU KENKYUSHO
Maxell Sliontec Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by HIRAOKA KANKYO KAGAKU KENKYUSH, HIRAOKA KANKYO KAGAKU KENKYUSHO, Maxell Sliontec Ltd filed Critical HIRAOKA KANKYO KAGAKU KENKYUSH
Priority to JP8128543A priority Critical patent/JPH09308317A/ja
Publication of JPH09308317A publication Critical patent/JPH09308317A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Pretreatment Of Seeds And Plants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】蘚苔類植物の播種と育苗用培土の施工の省力化
をはかり、かつ蘚苔類植物の育成に適した環境を提供す
る。 【解決手段】蘚苔類植物の育苗用培土をバインダで固め
て構成した育苗用ブロック上に、蘚苔類植物を粘着剤で
固定した水溶性シート状体を、粘着剤または接着剤、も
しくは両面粘着テープにより固定して蘚苔類植物育苗用
ブロックとする。この蘚苔類植物育苗用ブロックを緑化
したい場所に載置し、散水するだけで蘚苔類植物の播種
と蘚苔類植物用の培土の施工ができ、さらに蘚苔類植物
の成育に適した環境を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蘚苔類植物を用い
た緑化資材である蘚苔類植物育苗用ブロックおよびそれ
を用いた蘚苔類植物の播種、育苗方法に係り、さらに詳
しくは、粘着剤、接着剤あるいは両面テープを蘚苔類植
物と育苗用ブロックの固定手段として用い、簡易に作製
できる蘚苔類植物育苗用ブロックを使用して、培土の施
工と蘚苔類植物の播種作業が省力化でき、かつ蘚苔類植
物が成育するのに最適な環境を作ることを可能とした蘚
苔類植物育苗用ブロックおよびそれを用いた蘚苔類植物
の播種、育苗方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、蘚苔類植物は自然界に広く分布、
成育しており、日本庭園や盆栽などに利用されてきた。
しかし、任意の蘚苔類植物を任意の場所に育種すること
については、ほとんど行われていない。蘚苔類植物は、
発芽、成育に時間がかかり、大量に均一な蘚苔類植物を
得ることは困難である。しかし近年、組織培養による増
殖技術も開発され、均一な蘚苔類植物を大量に生産する
ことが可能となり、蘚苔類植物の利用範囲は拡大されつ
つある。アメリカおよびヨーロッパでは、蘚苔類植物は
農薬や肥料をほとんど必要としないために、外来種イネ
草本目類に代わって利用され始めている。しかし、蘚苔
類植物の播種および育苗には手間と時間がかかり、広い
面積を蘚苔類植物で覆うことは現状の技術では困難であ
る。従来の蘚苔類植物を育種する方法は、蘚苔類植物の
育苗用培土を施工し、蘚苔類植物を播種後、上記育苗用
培土で覆土している。播種作業は手作業で行っているの
で、蘚苔類植物を均一に播種することは難しい。また、
播種密度のコントロールが蘚苔類植物の成育に大変重要
な要素であるため播種作業の改善が必要であるとされて
いる。最近、蘚苔類植物の播種作業は、蘚苔類植物播種
育苗用シートを使用することで改善された。この蘚苔類
植物播種育苗用シートは、育苗床上に置き、散水するだ
けで簡単、かつ均一に播種できる製品である。しかし、
この製品は蘚苔類植物の播種作業の効率化は実現できる
が、育苗用の培土の施工作業の効率化はできず、播種と
育苗用の培土の施工を両立できる製品の開発が望まれて
いた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、蘚苔類植物を環
境改善に利用することが考えられている。従来、グラウ
ンドカバーには芝などの利用が一般的であったが、芝の
維持には多量の農薬や肥料が必要であり、環境問題への
関心の高まりとあいまって、芝の代用品の検討がなされ
ている。この点、蘚苔類植物の成育には農薬および肥料
等はほとんど必要がないため、芝等での緑化ができない
場所(コンクリート面など)への適応も可能である。し
かし、蘚苔類植物は発芽までに時間がかかり、水分量の
管理も難しいため、現在の技術ではすべての場所に適用
することができないという問題がある。蘚苔類植物の利
用範囲は、現状では、ある程度管理できる庭園や屋上等
に限定されている。任意の蘚苔類植物を庭園や屋上等に
緑化目的で育苗することは、いまだ一般に浸透していな
いのが現状である。その理由として、蘚苔類植物や、そ
の育苗方法自体が知られていないことが挙げられる。そ
こで、育苗方法を省力化することで、より多くの人々に
蘚苔類植物を認知してもらえるものと考えられる。 従
来技術では播種作業の省力化は実現されているが培養土
の施工の省力化までには至っていない。また、蘚苔類植
物の育苗には成育に適した専用の培土を使用することが
多い。したがって、蘚苔類植物と培養土とを組み合わせ
た製品の開発により、播種と培養土の施工の省力化がで
き、かつ、蘚苔類植物の成育に最適な環境が作り出せる
ものと考えられる。このように、蘚苔類植物の育苗を省
力化することで蘚苔類植物を緑化目的に利用されるもの
と推測される。
【0004】本発明の目的は、上記従来の蘚苔類植物の
育苗の問題点を解消し、蘚苔類植物の播種作業の省力化
と、蘚苔類植物の育苗に必要な培養土の施工の省力化の
両方の課題を同時に達成することができる蘚苔類植物育
苗用ブロックおよびそれを用いた蘚苔類植物の播種・育
苗方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するために、本発明は特許請求の範囲に記載のような構
成とするものである。すなわち、本発明は請求項1に記
載のように、蘚苔類植物の育苗用培土をバインダで固め
て構成した育苗用ブロック上に、蘚苔類植物を粘着剤で
固定した水溶性シート状体を、粘着剤または接着剤、も
しくは両面粘着テープにより固定した構造の蘚苔類植物
育苗用ブロックとするものである。また、本発明は請求
項2に記載のように、請求項1において、バインダは水
溶性のものを用いた蘚苔類植物育苗用ブロックとするも
のである。また、本発明は請求項3に記載のように、請
求項1または請求項2に記載の蘚苔類植物育苗用ブロッ
クにおいて、蘚苔類植物上に保護シートを積層した構造
の蘚苔類植物育苗用ブロックとするものである。また、
本発明は請求項4に記載のように、請求項3において、
保護シートは網状のシート、または不織布、水溶紙、水
溶性フィルム、生分解性フィルムのうちから選ばれる1
種類または2種類以上の複合体、もしくは網状のシート
と、不織布、水溶紙、水溶性フィルム、生分解性フィル
ムのうちから選ばれる1種類または2種類以上の複合体
からなり、該保護シートは粘着剤、接着剤または両面テ
ープで固定した構造の蘚苔類植物育苗用ブロックとする
ものである。また、本発明は請求項5に記載のように、
請求項2に記載の蘚苔類植物育苗用ブロックの蘚苔類植
物上に、水溶性ポリマの水溶液と蘚苔類植物用の培土を
含むスラリを積載し、乾燥した構造の蘚苔類植物育苗用
ブロックとするものである。また、本発明は請求項6に
記載のように、請求項2に記載の蘚苔類植物育苗用ブロ
ックに、蘚苔類植物を搭載した網状の粘着シートを蘚苔
類植物面が下になるように載置し、該網状の粘着シート
上に、水溶性ポリマの水溶液と蘚苔類植物用の培土を含
むスラリを積載し、乾燥した構造の蘚苔類植物育苗用ブ
ロックとするものである。また、本発明は請求項7に記
載のように、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に
記載の蘚苔類植物育苗用ブロックを用いて、蘚苔類植物
を播種・育苗する方法であって、上記蘚苔類植物育苗用
ブロックを緑化する部材上に載置した後、散水して、蘚
苔類植物育苗用ブロック中の蘚苔類植物の播種・育苗方
法とするものである。
【0006】本発明は蘚苔類植物の播種と、培土の施工
方法の省力化を可能とするために、請求項1ないし請求
項6のいずれか1項に記載の蘚苔類植物育苗用ブロック
を提案した。すなわち、蘚苔類植物育苗用の培土(川砂
等)に、水溶性ポリマを添加し均一になるまで撹拌して
スラリを調製する。このスラリを、使用用途に合わせた
型に流し込んで乾燥し、育苗用ブロックを作製する。上
記水溶性ポリマーとしては、アルギン酸ナトリウム、デ
ンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアル
コール、ポリエチレングリコール等が挙げられるが、蘚
苔類植物の成育に悪影響を与えないものなら使用する用
途に応じて適宜選択でき、これらに限定されるものでは
ない。また、蘚苔類植物育苗用の培土は、川砂、玉石、
ゼオライト、バーミュキュライト、ピートモスト等が挙
げられるが、使用用途に応じて選択することが可能であ
り、これらに限定されるものではない。請求項1から請
求項6のいずれか1項に記載の蘚苔類植物育苗用ブロッ
クを構成している培土は単一な物に限定されるものでは
ない。すなわち、蘚苔類植物を育種するのに最適な条件
を作り出すために培土を種類ごとに層状に施工する方法
がある。しかし、培土を種類ごとに均一に積層するのは
大変な労力と時間を必要とするので、作業の省力化を実
現するための製品を考案する。すなわち、種類が異なる
培土とバインダを含むスラリを適量、所望する積層順に
型に流し込み乾燥させることで、数種類の培土が層状と
なった育苗用ブロックを作製する。この育苗用ブロック
を使用することで容易に蘚苔類植物に適した育苗環境を
作り出すことができる。この育苗用ブロックへの蘚苔類
植物の搭載は、蘚苔類播種育苗用シートを利用する。よ
り詳しくは、水溶紙のような水溶性シート状支持体に水
溶性の粘着剤を筋状または点状に塗工し、この粘着剤に
蘚苔類植物を圧着して蘚苔類植物播種育苗用シートを作
製する。育苗用ブロックに、上記の蘚苔類植物播種育苗
用シートを粘着剤または両面テープで固定し、蘚苔類植
物育苗用ブロックを作製する。この蘚苔類植物育苗用ブ
ロックを緑化したい場所に置き、灌水するだけで水溶性
ポリマが溶出し均一な厚さの蘚苔類植物育苗用の培土を
容易に施工でき、かつ同時に蘚苔類植物を播種すること
ができる。なお、水溶性ポリマの溶解時間のコントロー
ルは、該ポリマの重合度を変えるか、あるいは培土に添
加する量を調整することで行える。また、変性デンプン
等の生分解性のポリマを使用することで溶解時間の延長
をはかることも可能である。請求項3または請求項4に
記載のように、蘚苔類植物育苗用ブロック上に、保護シ
ートであるシート状体を積層することにより蘚苔類植物
の脱落を防止すると同時に、保水性を確保することがで
きる。理想的には発芽までその効果が維持できることが
望ましい。より詳しくは、水溶紙に水溶性粘着剤を筋
状、あるいは点状に塗工し、蘚苔類植物育苗用ブロック
上の蘚苔類植物搭載面に貼り付けて作製する。また、水
溶紙を厚くすることで保水性を向上させることもでき
る。しかし、水溶紙は散水時に徐々に溶解してしまい、
蘚苔類植物の脱落防止効果は持続しない。網状体粘着シ
ートを蘚苔類植物育苗用ブロックに使用すると、蘚苔類
植物の発芽に影響なく脱落を防止できるが保水性はな
い。シート状体を固定するための粘着剤は水溶紙や水溶
性のシートの場合は水溶性のものがあり、網状体では非
水溶性のものが適している。すなわち、非水溶性粘着剤
を水溶紙に塗工すると、水溶紙自体も水に不溶性とな
り、蘚苔類植物の発芽に悪影響を及ぼしてしまう。しか
し、網状体は非水溶性粘着剤を使用しても蘚苔類植物は
網の目から発芽する。発芽の性能から言えば、非水溶性
粘着剤が塗工してある網状体と、水溶性粘着剤が塗工し
てある水溶紙との組み合わせが理想的である。すなわ
ち、脱落防止は網状体に、保水性は水溶紙に役割を分担
させることで、両方の効果の持続時間を伸ばすことがで
きる。蘚苔類植物が播種された状態では、外観および蘚
苔類植物の育種環境の点からも蘚苔類植物の覆土は川砂
が適しているが、請求項3または請求項4では実現でき
なかった。そこで、請求項5または請求項6記載の製品
を考案した。すなわち、型枠に入った育苗用ブロック上
に、蘚苔類植物を適量ばらまき、水溶性ポリマと培土を
含むスラリを流し込み乾燥させ蘚苔類植物育苗用ブロッ
クを作製する。この蘚苔類植物育苗用ブロックを緑化し
たい場所に配置し散水することで、上記蘚苔類植物の覆
土の問題は解決できる。屋上等を蘚苔類植物で緑化する
のに本発明の蘚苔類植物育苗用ブロックは最適である。
すなわち、蘚苔類植物育苗用ブロックを使用すると、蘚
苔類植物の播種と育苗用の培土の施工を容易に行えるの
はもちろんのこと、ブロック状であるためタイルとタイ
ルの間に嵌めるだけで緑化を実現することができる。
【0007】次に、本発明の蘚苔類植物育苗用ブロック
に用いられる蘚苔類植物を以下に挙げるが、これは一例
であり、これにより本発明の利用範囲が限定的に解釈さ
れるものではない。セン類としては、スナゴケ、エゾス
ナゴケ、ハイスナゴケ、シモフリゴケ、クロカワキゴ
ケ、キスナゴケ、ヒメスナゴケ、ミヤマスナゴケ、ナガ
エノスナゴケ、チョウセンスナゴケ、マルバナスナゴケ
等のシモフリゴケ属(Racomitrium Bird.),カモジゴ
ケ、シッポゴケ、オオシッポゴケ、チャシッポゴケ、チ
シマシッポゴケ、アオシッポゴケ、ナミシッポゴケ、ナ
ガシッポゴケ、ヒメカモジゴケ、コカモジゴケ、タカネ
カモジゴケ、フジシッポゴケ、カギカモジゴケ、ナスシ
ッポゴケ等のシッポゴケ属(Dicranum Hedw.),ハイゴ
ケ、オオベニハイゴケ、ヒメハイゴケ、チチブハイゴ
ケ、フジハイゴケ、ハイヒバゴケ、イトハイゴケ、キノ
ウエノコハイゴケ、キノウエノハイゴケ、ミヤマチリメ
ンゴケ、ハイサワラゴケモドキ、タチヒラゴケモドキ、
エゾハイゴケ等のハイゴケ属(Hypnum Hedw.),トヤマ
シノブゴケ、ヒメシノブゴケ、オオシノブゴケ、コバノ
エゾシノブゴケ、エゾシノブゴケ、アオシノブゴケ、チ
ャボシノブゴケ等のシノブゴケ属(Thuidium B.S.G),
コウヤノマンネングサ、フロウソウ等のコウヤマンネン
グサ属(Climacium Web, et Nohr),ヒノキゴケ、ヒロ
ハヒノキゴケ、ハリヒノキゴケ等のヒノキゴケ属(Rhiz
ogonium Brid.)等が用いられる。タイ類としては、シ
クシウロコゴケ、ウロコゴケ、オオウロコゴケ、トサカ
ゴケモドキ、マルバソコマメゴケ、アマノウロコゴケ等
のウロコゴケ属(Heteroscyphus Schiffn.),ヤマトム
チゴケ、ヨシナガムチゴケ、フォウリィムチゴケ、エゾ
ムチゴケ、タマゴバムチゴケ、フタバムチゴケ、サケバ
ムチゴケ、ヤマムチゴケ、ムチゴケ、コムチゴケ、マエ
バラムチゴケ等のムチゴケ属(Bazzania S. Gray),ク
ラマゴケモドキ、カハルクラマゴケモドキ、トサクラマ
ゴケモドキ、ヒメクラマゴケモドキ、ヤマトクラマゴケ
モドキ、ナガバクラマゴケモドキ、オオクラマゴケモド
キ、ニスビキカヤゴケ、ケクラマゴケモドキ、ホソクラ
マゴケモドキ等のクラマゴケモドキ属(Porella. L)等
に属する蘚苔類植物を蘚苔類植物育苗用ブロックに用い
ることが望ましい。上記の中でもセン類は視覚的に美し
く、かつ、乾燥にも強いので本発明の蘚苔類植物育苗用
ブロックに使用するのに適している。次に、粘着剤につ
いて説明する。市販の粘着剤は非水溶性のものが多く、
ゴム系、アクリル系、シリコーン系の各粘着剤が主体を
なしているが、本発明の蘚苔類植物育苗用ブロックに用
いられる非水溶性粘着剤としては、これらのいずれも使
用可能である。市販品の具体例としては、SKダイン1
604{綜研化学(株)製}、アロンタックS−155
1{東亜合成化学工業(株)製}、ポリエマールH65
0{旭化学合成(株)製}などを挙げることができる。
また、水溶性粘着剤としては、アロンタックS−450
1{東亜合成化学工業(株)製}、SKダイン117
0、SKダイン1181{綜研化学(株)製}などが挙
げられる。水溶性もしくは水分散性のシート状体として
は、水溶紙が好適であり、繊維状水溶性樹脂(例えば繊
維状カルボキシメチルセルロース)と繊維状セルロース
との混合物を素材とするディゾルボ{三島製紙(株)
製}、繊維状セルロースで構成されているキノクロス
{本州製紙(株)製}等が挙げられる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を挙
げ、図面を用いて詳細に説明するが本発明の実施の形態
により本発明の技術的範囲が制限的に解釈されるもので
はない。 〈実施の形態1〉本実施の形態においては、主に請求項
1ないし請求項4のいずれか1項に記載の蘚苔類植物育
苗用ブロックについて説明する。なお、図1は、以下に
示す方法で作製した蘚苔類植物育苗用ブロックの断面構
成を示す模式図である。図において、川砂(粒径約1m
m)に1〜4%アルギン酸ナトリウム溶液を、川砂の重
量に対して10〜50%添加し、均一になるまで撹拌し
てスラリを得る。このスラリを約300mm×約300
mm×約30mmの金属の型枠の上面にまで流し込み、
上から平滑なものでプレスする。約100℃で2時間乾
燥して、育苗用ブロック1(約300mm×約300m
m×約30mm)を作製する。剥離紙に、水溶性粘着
剤:SKダイン1170{綜研化学(株)製}の乾燥後
の塗工厚が20μmとなるように、粘着剤塗工部約30
mm、非塗工部分約5mmの周期で筋状に塗工し、約1
00℃で乾燥させた後、水溶紙3:キノクロス{本州製
紙(株)製}を貼り合わせる。上記の工程を2回行い、
筋状粘着剤(水溶性)2を、水溶紙3の両面に転写し
た。エゾスナゴケ4を片面に搭載し、圧着することでエ
ゾスナゴケ播種育苗用シートを作製した。上記粘着剤の
塗工幅と非塗工幅を変えることにより、単位面積当たり
のエゾスナゴケの搭載量を調整することができる。単位
面積あたりの搭載量は、発芽、育苗に重要なため、種々
実験の結果、エゾスナゴケでは約90g/m2が適量で
あることが分かった。したがって、上記搭載量を可能と
するための上記粘着剤の塗工幅と非塗工幅を実験により
決定した。しかし、エゾスナゴケ以外の蘚苔類植物を搭
載する場合には、その都度、最適な条件を検討する必要
がある。また、粘着剤を筋状にすることで、エゾスナゴ
ケ播種育苗用シートの溶解性が上がる利点もある。育苗
用ブロック1に、約300mm×約300mmに切断し
たエゾスナゴケ播種育苗用シートを貼り付けて、蘚苔類
植物育苗用ブロックを作製した。蘚苔類植物育苗用ブロ
ックのエゾスナゴケ4上に、脱落防止のための網状体5
(ガラス繊維で構成されているもの)を固定した。固定
方法は、網状体5:ベンリーゼ{旭化成工業(株)製}
に非水溶性のアクリル系粘着剤6:SKダイン1604
{綜研化学(株)製}を塗工し約100℃で乾燥したも
のを使用し、その粘着力で、エゾスナゴケ育苗用ブロッ
クのエゾスナゴケ4と網状体5を貼り付けた。さらに、
網状体5上に、エゾスナゴケ4の保水のため水溶性粘着
剤7が塗工してある水溶紙8を貼り付け、エゾスナゴケ
育苗用ブロックを製作した。エゾスナゴケ育苗用ブロッ
クの屋上への設置は4月上旬に行い、自然の環境で放置
した。散水は、3日に1回程度行い、5月上旬には、上
記育苗用ブロック上より、再生芽が表われた。発芽が終
った5月下旬には、水溶紙は崩壊した。また、その時期
に散水を止め、自然降雨のみを利用し、人為的に水は与
えなかった。6月下旬には、ブロック一面に黄緑色のエ
ゾスナゴケが成育し、8月下旬には、5mmまで成長
し、網状体5は覆い隠され群生体が形成された。また、
網状体5が群生形成の補助材として機能しており、エゾ
スナゴケ4の仮根が育苗用ブロック1に活着するのを助
けていることが分かった。また、網状体5により土壌の
流出が防止されていることも確認できた。この間、人為
的に肥料は与えなかった。
【0009】〈実施の形態2〜9〉実施の形態1と同様
にして、表1に示す材料で蘚苔類植物育苗用ブロックを
作製した。
【0010】
【表1】
【0011】表1に示した材料を使用して作製した蘚苔
類植物育苗用ブロックの発芽、成育試験を、実施の形態
1と同様にして行ったところ、発芽、成育が良好である
ことが分かった。
【0012】〈実施の形態10〉本発明の請求項5また
は請求項6に関連する実施の形態について説明する。な
お、図2は、下記の方法で作製した本実施の形態で例示
する蘚苔類植物育苗用ブロックの断面構成を示す模式図
である。玉石に1〜4%アルギン酸ナトリウム水溶液
を、玉石の重量に対し15〜50%添加し、撹拌してス
ラリを得る。このスラリを型枠(約300mm×約30
0mm×約30mm)の高さ約10mmまで流入する。
1〜4%アルギン酸ナトリウム水溶液を、川砂の重量に
対し10〜50%添加し撹拌してスラリを得る。この型
枠内の玉石のスラリ上に、川砂のスラリを高さ約30m
mまで流し込み、乾燥して、育苗用ブロック(玉石)9
と育苗用ブロック(川砂)10からなる2層の育苗用ブ
ロック(約300mm×約300mm×約30mm)を
作製する。この育苗用ブロック(川砂)10の川砂上
に、エゾスナゴケ4を約9g均一にばらまく。エゾスナ
ゴケ4の上に、エゾスナゴケ4が隠れる程度(厚さ約3
〜5mm)に、スラリ(育苗用ブロックを製作時に使用
した川砂のスラリ)を流し込み、プレスして、温度約2
5℃で12時間程度乾燥することで、エゾスナゴケ4上
に覆土用育苗用ブロック11を設けることができた。エ
ゾスナゴケ4を、育苗用ブロック(川砂)10と覆土用
育苗用ブロック11で挾むことで、エゾスナゴケ4の脱
離が防止でき、かつ保水性も確保できるエゾスナゴケ育
苗用ブロックを作製した。上記実施の形態1のエゾスナ
ゴケ育苗用ブロックと比較すると構成が簡単で製作が容
易である点が本実施の形態の特徴である。このエゾスナ
ゴケ育苗用ブロックを、屋上にタイルとタイルの間に設
置すると、外観上はエゾスナゴケ上に川砂を覆土した状
態と同樣になり、仕上がりが良好であった。また、散水
するとエゾスナゴケ上の育苗用ブロックも速やかに溶解
し、手作業で行った状態を簡単、かつ迅速に実現するこ
とができた。エゾスナゴケ育苗用ブロックの設置は、4
月上旬に行い、自然の環境に放置した。散水は、1日に
1回行い、5月上旬には、上記エゾスナゴケ育苗用ブロ
ック上より、再生芽が表われた。発芽が終った5月下旬
に散水を止め、自然降雨のみを使用し人為的に水は与え
なかった。6月下旬には、育苗用ブロックの一面に黄緑
色のエゾスナゴケが成育し、8月下旬には、5mmまで
成長し群生体が形成された。発芽前の自然の降雨時に、
エゾスナゴケ育苗用ブロックの土壌が流出した。この解
決策として、発芽まで寒冷紗などでエゾスナゴケ育苗用
ブロックの施工面を覆った。
【0013】〈実施の形態11〜12〉表2に示す材料
で蘚苔類植物育苗用ブロックを作製した。
【0014】
【表2】
【0015】表2に示した材料を使用して作製した蘚苔
類植物育苗用ブロックの発芽、成育試験を、実施の形態
10と同様にして行ったところ、同様の良好な結果が得
られた。
【0016】〈実施の形態13〉実施の形態10におけ
る土壌の流出を解決するために、請求項5または請求項
6に記載の製品を作製した。なお、図3は本実施の形態
で作製した蘚苔類植物育苗用ブロックの断面構成を示す
模式図である。図に示すごとく、粘着剤6が塗工してあ
る網状体5に、エゾスナゴケ4を圧着し、エゾスナゴケ
播種育苗用シートを作製する。蘚苔類植物の搭載量の調
整は、網状体5のメッシュサイズを変えることにより行
った。この蘚苔類植物の搭載量の調整は、蘚苔類の種類
に応じて最適なメッシュサイズを選定する必要がある。
エゾスナゴケ4は、約2〜3mm角の物が最適である。
上記実施の形態1の方法で作製した育苗用ブロック1
に、上記エゾスナゴケ播種育苗用シートをエゾスナゴケ
4の面が下になるように配置し、エゾスナゴケが隠れる
程度(約3〜5mm)にスラリ(育苗用ブロックを製作
時に使用したもの)を流し込み、プレスして、25℃の
温度で約12時間乾燥し、エゾスナゴケ4上に、上記播
種育苗用シートを設けてエゾスナゴケ育苗用ブロックを
作製した。このエゾスナゴケ育苗用ブロックを使用する
ことで、自然の降雨時の土壌の流出が防止でき、かつエ
ゾスナゴケの播種量を容易にコントロールできるように
なった。なお、発芽や成育結果は、上記実施の形態と同
様に良好であった。
【0017】
【発明の効果】本発明の蘚苔類植物育苗用ブロックは、
緑化したい場所に載置し、散水するだけで、蘚苔類植物
の播種と蘚苔類植物用の培土の施工とを同時に行うこと
ができ、さらに、蘚苔類植物の成育に適した環境を提供
できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1で例示した蘚苔類植物育
苗用ブロックの断面構成を示す模式図。
【図2】本発明の実施の形態10で例示した蘚苔類植物
育苗用ブロックの断面構成を示す模式図。
【図3】本発明の実施の形態13で例示した蘚苔類植物
育苗用ブロックの断面構成を示す模式図。
【符号の説明】
1…育苗用ブロック 2…筋状粘着剤(水溶性) 3…水溶紙 4…エゾスナゴケ 5…網状体 6…粘着剤 7…水溶性粘着剤 8…水溶紙 9…育苗用ブロック(玉石) 10…育苗用ブロック(川砂) 11…覆土用育苗用ブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 名手 和男 神奈川県川崎市多摩区登戸3819番地 株式 会社スリオンテック内 (72)発明者 金子 忠男 神奈川県川崎市多摩区登戸3819番地 株式 会社スリオンテック内 (72)発明者 平岡 正三郎 神奈川県川崎市麻生区細山8丁目8番 財 団法人 平岡環境科学研究所内 (72)発明者 田邊 光夫 神奈川県川崎市麻生区細山8丁目8番 財 団法人 平岡環境科学研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蘚苔類植物の育苗用培土をバインダで固め
    て構成した育苗用ブロック上に、蘚苔類植物を粘着剤で
    固定した水溶性シート状体を、粘着剤または接着剤、も
    しくは両面粘着テープにより固定してなることを特徴と
    する蘚苔類植物育苗用ブロック。
  2. 【請求項2】請求項1において、バインダは水溶性であ
    ることを特徴とする蘚苔類植物育苗用ブロック。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の蘚苔類植
    物育苗用ブロックにおいて、蘚苔類植物上に保護シート
    を積層してなることを特徴とする蘚苔類植物育苗用ブロ
    ック。
  4. 【請求項4】請求項3において、保護シートは網状のシ
    ート、または不織布、水溶紙、水溶性フィルム、生分解
    性フィルムのうちから選ばれる1種類または2種類以上
    の複合体、もしくは網状のシートと、不織布、水溶紙、
    水溶性フィルム、生分解性フィルムのうちから選ばれる
    1種類または2種類以上の複合体からなり、該保護シー
    トは粘着剤、接着剤または両面テープで固定してなるこ
    とを特徴とする蘚苔類植物育苗用ブロック。
  5. 【請求項5】請求項2に記載の蘚苔類植物育苗用ブロッ
    クの蘚苔類植物上に、水溶性ポリマの水溶液と蘚苔類植
    物用の培土を含むスラリを積載し、乾燥してなることを
    特徴とする蘚苔類植物育苗用ブロック。
  6. 【請求項6】請求項2に記載の蘚苔類植物育苗用ブロッ
    クに、蘚苔類植物を搭載した網状の粘着シートを蘚苔類
    植物面が下になるように載置し、該網状の粘着シート上
    に、水溶性ポリマの水溶液と蘚苔類植物用の培土を含む
    スラリを積載し、乾燥してなることを特徴とする蘚苔類
    植物育苗用ブロック。
  7. 【請求項7】請求項1ないし請求項6のいずれか1項に
    記載の蘚苔類植物育苗用ブロックを用いて、蘚苔類植物
    を播種・育苗する方法であって、 上記蘚苔類植物育苗用ブロックを緑化する部材上に載置
    した後、散水して、蘚苔類植物育苗用ブロック中の蘚苔
    類植物を播種、育苗することを特徴とする蘚苔類植物の
    播種・育苗方法。
JP8128543A 1996-05-23 1996-05-23 蘚苔類植物育苗用ブロックおよびそれを用いた蘚苔類植物の播種・育苗方法 Pending JPH09308317A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8128543A JPH09308317A (ja) 1996-05-23 1996-05-23 蘚苔類植物育苗用ブロックおよびそれを用いた蘚苔類植物の播種・育苗方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8128543A JPH09308317A (ja) 1996-05-23 1996-05-23 蘚苔類植物育苗用ブロックおよびそれを用いた蘚苔類植物の播種・育苗方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09308317A true JPH09308317A (ja) 1997-12-02

Family

ID=14987366

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8128543A Pending JPH09308317A (ja) 1996-05-23 1996-05-23 蘚苔類植物育苗用ブロックおよびそれを用いた蘚苔類植物の播種・育苗方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09308317A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999039564A1 (fr) * 1998-02-03 1999-08-12 Shimura, Mitsuharu Element de jardinage
JP2009072185A (ja) * 2007-08-28 2009-04-09 Ecolovie Corp コケ植物を用いた緑化用材料とその製造方法並びに緑化工法
CN114793864A (zh) * 2022-05-10 2022-07-29 广东省农业科学院环境园艺研究所 一种藓类植物无土栽培方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999039564A1 (fr) * 1998-02-03 1999-08-12 Shimura, Mitsuharu Element de jardinage
JP2009072185A (ja) * 2007-08-28 2009-04-09 Ecolovie Corp コケ植物を用いた緑化用材料とその製造方法並びに緑化工法
CN114793864A (zh) * 2022-05-10 2022-07-29 广东省农业科学院环境园艺研究所 一种藓类植物无土栽培方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101063784B1 (ko) 씨앗 스티커 및 그 제조방법
CN104919942A (zh) 农作物大田膜播栽培方法以及薄膜载种卷及其制备方法
CN110832965A (zh) 一种破损山体生态修复施工工法
CN115735685A (zh) 一种三相共生技术的生态修复方法
JPH09308317A (ja) 蘚苔類植物育苗用ブロックおよびそれを用いた蘚苔類植物の播種・育苗方法
JP2011041519A (ja) 播種済み固形培土及びこれを用いた植物の栽培方法
KR20010095856A (ko) 녹화용 매트 및 그의 제조방법 및 그를 이용한 사면녹화방법
WO1995008259A1 (en) Sheet of mineral wool for sustaining vegetation on roofs
JP2000041418A (ja) 芝の発芽用フィルム及びそれを利用した種子マット
JPH10191774A (ja) 蘚苔類植物を法面上で栽培する方法
JP2009072185A (ja) コケ植物を用いた緑化用材料とその製造方法並びに緑化工法
JP3774281B2 (ja) 蘚苔類増殖体の施工方法
KR20170083388A (ko) 직파용 멀칭재
JP2001234132A (ja) コケ類固定粘着シートおよびこれを用いた立体構造物
JPH0774506B2 (ja) 植栽用コンクリート製品及びその製造方法
JP2004222662A (ja) 緑化用苔植物担持体および緑化用苔植物担持体の製造方法
JP3539699B2 (ja) コケ・シダ類増殖型緑化基盤
JPH0523013A (ja) 播種シート
GB2225693A (en) Seeding system
JPH0549310A (ja) 播種シートを用いる播種育苗方法
JP2008109920A (ja) 種子育苗シート
JP2004305184A (ja) 緑化に用いる粒状緑化体
JPH08228590A (ja) コケ植物を用いた保水性緑化用部材及び当該保水性緑化用部材を用いた緑化方法並びにコケ植物を用いた緑化用物品、当該緑化用物品の作成用キット及び当該緑化用物品の緑化方法
JP2014226078A (ja) コケ緑化用資材及びその製造方法
JPH08508414A (ja) 屋根に植生を施すためのミネラルウール製シート