JPH09305929A - 薄膜磁気ヘッド - Google Patents
薄膜磁気ヘッドInfo
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- JPH09305929A JPH09305929A JP33697996A JP33697996A JPH09305929A JP H09305929 A JPH09305929 A JP H09305929A JP 33697996 A JP33697996 A JP 33697996A JP 33697996 A JP33697996 A JP 33697996A JP H09305929 A JPH09305929 A JP H09305929A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 薄膜磁気ヘッドについて、磁気抵抗効果膜1
3の磁気的安定性を向上させて再生出力をより安定なも
のとする。 【解決手段】 本発明の薄膜磁気ヘッドは、硬磁性膜及
び軟磁性膜を有する磁気抵抗効果安定化層11と、非磁
性層12と、磁気抵抗効果膜を有する磁気抵抗効果層1
3とを備えた薄膜磁気ヘッドであって、磁気抵抗効果安
定化層11が、硬磁性膜11bと軟磁性膜11dとの間
の少なくとも一部に非磁性体からなる非磁性膜11cを
有している。この薄膜磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果安
定化層11と磁気抵抗効果層13との間で安定的に静磁
結合作用が生じ、これにより、感磁部である磁気抵抗効
果層13の磁気的安定性が高まる。
3の磁気的安定性を向上させて再生出力をより安定なも
のとする。 【解決手段】 本発明の薄膜磁気ヘッドは、硬磁性膜及
び軟磁性膜を有する磁気抵抗効果安定化層11と、非磁
性層12と、磁気抵抗効果膜を有する磁気抵抗効果層1
3とを備えた薄膜磁気ヘッドであって、磁気抵抗効果安
定化層11が、硬磁性膜11bと軟磁性膜11dとの間
の少なくとも一部に非磁性体からなる非磁性膜11cを
有している。この薄膜磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果安
定化層11と磁気抵抗効果層13との間で安定的に静磁
結合作用が生じ、これにより、感磁部である磁気抵抗効
果層13の磁気的安定性が高まる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードディスク装
置等に好適な、磁気抵抗効果によって再生信号を検出す
る磁気抵抗効果型の薄膜磁気ヘッドに関する。
置等に好適な、磁気抵抗効果によって再生信号を検出す
る磁気抵抗効果型の薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】ハードディスク装置等のような磁気記録
装置においては、大容量化を図るために、更なる高密度
記録が求められている。そこで、近年、高密度記録を進
めるために、挟トラック化に適した磁気ヘッドである磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド(以下、「MRヘッド」と
いう。)が採用されるようになってきている。
装置においては、大容量化を図るために、更なる高密度
記録が求められている。そこで、近年、高密度記録を進
めるために、挟トラック化に適した磁気ヘッドである磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド(以下、「MRヘッド」と
いう。)が採用されるようになってきている。
【0003】このMRヘッドは、基本的には、図9に示
すように、磁界の大きさによって抵抗率が変化する磁気
抵抗効果膜を有する磁気抵抗効果素子101の両端に電
極102が取り付けられて構成される。そして、この磁
気抵抗効果素子101に対して両端の電極102からセ
ンス電流を供給することにより、磁気記録媒体からの信
号磁界による磁気抵抗効果素子101の抵抗変化を検出
し、この抵抗変化に基づいて再生出力を得る。このよう
なMRヘッドは、再生出力が媒体速度に依存せず、媒体
速度が遅くても高再生出力が得られるという特徴を有し
ている。
すように、磁界の大きさによって抵抗率が変化する磁気
抵抗効果膜を有する磁気抵抗効果素子101の両端に電
極102が取り付けられて構成される。そして、この磁
気抵抗効果素子101に対して両端の電極102からセ
ンス電流を供給することにより、磁気記録媒体からの信
号磁界による磁気抵抗効果素子101の抵抗変化を検出
し、この抵抗変化に基づいて再生出力を得る。このよう
なMRヘッドは、再生出力が媒体速度に依存せず、媒体
速度が遅くても高再生出力が得られるという特徴を有し
ている。
【0004】ところで、通常、磁気抵抗効果膜は磁気的
に不安定であり、外部磁界によって磁気抵抗効果膜内の
磁壁が移動してしまう。したがって、MRヘッドでは、
磁気抵抗効果素子内の磁気抵抗効果膜の磁壁の移動に起
因して、バルクハウゼンノイズが生じてしまうという問
題がある。そこで、MRヘッドでは、磁気抵抗効果素子
内の磁気抵抗効果膜の磁気的安定性を確保して、バルク
ハウゼンノイズを低減することが大きな課題となってい
る。
に不安定であり、外部磁界によって磁気抵抗効果膜内の
磁壁が移動してしまう。したがって、MRヘッドでは、
磁気抵抗効果素子内の磁気抵抗効果膜の磁壁の移動に起
因して、バルクハウゼンノイズが生じてしまうという問
題がある。そこで、MRヘッドでは、磁気抵抗効果素子
内の磁気抵抗効果膜の磁気的安定性を確保して、バルク
ハウゼンノイズを低減することが大きな課題となってい
る。
【0005】そこで、上述した課題を解決するために、
図10に示すように、磁気抵抗効果膜の磁気的安定性を
高めるように作用する磁気抵抗効果安定化層203を有
する磁気抵抗効果素子200が提案されている。この磁
気抵抗効果素子200は、磁気抵抗効果を有する磁気抵
抗効果膜201と、非磁性絶縁膜202と、磁気抵抗効
果安定化層203とが積層されて構成されている。ここ
で、磁気抵抗効果安定化層203は、磁気抵抗効果層2
01を磁気的に安定化するためのものであり、保磁力の
大きい硬磁性膜204と、保磁力が小さく透磁率が大き
い軟磁性膜205とが積層されて構成されている。
図10に示すように、磁気抵抗効果膜の磁気的安定性を
高めるように作用する磁気抵抗効果安定化層203を有
する磁気抵抗効果素子200が提案されている。この磁
気抵抗効果素子200は、磁気抵抗効果を有する磁気抵
抗効果膜201と、非磁性絶縁膜202と、磁気抵抗効
果安定化層203とが積層されて構成されている。ここ
で、磁気抵抗効果安定化層203は、磁気抵抗効果層2
01を磁気的に安定化するためのものであり、保磁力の
大きい硬磁性膜204と、保磁力が小さく透磁率が大き
い軟磁性膜205とが積層されて構成されている。
【0006】ここで、磁気抵抗効果安定化層203は、
軟磁性膜205が硬磁性膜204上に成膜されているの
で、磁気抵抗効果安定化層203を構成する硬磁性膜2
04と軟磁性膜205との間には、交換相互作用が生じ
る。この交換相互作用は、隣合う2層においてそれぞれ
の層の部分磁化が同じ方向に向く作用である。
軟磁性膜205が硬磁性膜204上に成膜されているの
で、磁気抵抗効果安定化層203を構成する硬磁性膜2
04と軟磁性膜205との間には、交換相互作用が生じ
る。この交換相互作用は、隣合う2層においてそれぞれ
の層の部分磁化が同じ方向に向く作用である。
【0007】このような磁気抵抗効果安定化層203を
備えた磁気抵抗効果素子200では、磁気抵抗効果安定
化層203と磁気抵抗効果膜201との間に静磁結合作
用が生じ、これにより、磁気抵抗効果膜201が磁気的
に安定化される。なお、このような磁気抵抗効果安定化
層203では、主に軟磁性膜205の磁気特性が、磁気
抵抗効果膜201の磁気特性及び磁気安定性に影響を与
えることとなる。
備えた磁気抵抗効果素子200では、磁気抵抗効果安定
化層203と磁気抵抗効果膜201との間に静磁結合作
用が生じ、これにより、磁気抵抗効果膜201が磁気的
に安定化される。なお、このような磁気抵抗効果安定化
層203では、主に軟磁性膜205の磁気特性が、磁気
抵抗効果膜201の磁気特性及び磁気安定性に影響を与
えることとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従
来、磁気抵抗効果安定化層203を備えた磁気抵抗効果
素子200において、磁気抵抗効果安定化層203は、
硬磁性膜204と軟磁性膜205とを積層して形成して
いた。そして、このような磁気抵抗効果素子200にお
いて、磁気抵抗効果膜201の磁気特性及び磁気安定性
は、硬磁性膜204及び軟磁性膜205に大きく影響を
受ける。
来、磁気抵抗効果安定化層203を備えた磁気抵抗効果
素子200において、磁気抵抗効果安定化層203は、
硬磁性膜204と軟磁性膜205とを積層して形成して
いた。そして、このような磁気抵抗効果素子200にお
いて、磁気抵抗効果膜201の磁気特性及び磁気安定性
は、硬磁性膜204及び軟磁性膜205に大きく影響を
受ける。
【0009】したがって、磁気抵抗効果安定化層203
を構成する硬磁性膜204及び軟磁性膜205は、材
料、膜厚及び成膜条件等について、厳密な制御のもとで
成膜する必要がある。特に、硬磁性膜204と軟磁性膜
205とが積層された磁気抵抗効果安定化層203で
は、主に軟磁性膜205の磁気特性が、磁気抵抗効果膜
201の磁気特性及び磁気安定性に大きく影響を及ぼす
ため、軟磁性膜205には、非常に厳密な制御が必要で
あった。
を構成する硬磁性膜204及び軟磁性膜205は、材
料、膜厚及び成膜条件等について、厳密な制御のもとで
成膜する必要がある。特に、硬磁性膜204と軟磁性膜
205とが積層された磁気抵抗効果安定化層203で
は、主に軟磁性膜205の磁気特性が、磁気抵抗効果膜
201の磁気特性及び磁気安定性に大きく影響を及ぼす
ため、軟磁性膜205には、非常に厳密な制御が必要で
あった。
【0010】しかしながら、磁気抵抗効果安定化層20
3を構成する硬磁性膜204及び軟磁性膜205の磁気
特性を十分に厳密に制御することは非常に難しい。その
ため、従来は、磁気抵抗効果安定化層203の磁気特性
の制御が不十分で、磁気抵抗効果膜201を確実に単磁
区化することができずに、磁気抵抗効果膜201に磁壁
が生じてしまうことがあった。そして、磁気抵抗効果膜
201に磁壁が生じてしまうと、磁壁が磁気抵抗効果膜
201において不連続的に移動して、上述したように、
バルクハウゼンノイズが生じてしまう。
3を構成する硬磁性膜204及び軟磁性膜205の磁気
特性を十分に厳密に制御することは非常に難しい。その
ため、従来は、磁気抵抗効果安定化層203の磁気特性
の制御が不十分で、磁気抵抗効果膜201を確実に単磁
区化することができずに、磁気抵抗効果膜201に磁壁
が生じてしまうことがあった。そして、磁気抵抗効果膜
201に磁壁が生じてしまうと、磁壁が磁気抵抗効果膜
201において不連続的に移動して、上述したように、
バルクハウゼンノイズが生じてしまう。
【0011】本発明は、以上のような従来の実情に鑑み
て提案されたものであり、磁気抵抗効果膜を用いた磁気
抵抗効果型の薄膜磁気ヘッドについて、磁気抵抗効果膜
の磁気的安定性を向上して再生出力をより安定なものと
することを目的とする。
て提案されたものであり、磁気抵抗効果膜を用いた磁気
抵抗効果型の薄膜磁気ヘッドについて、磁気抵抗効果膜
の磁気的安定性を向上して再生出力をより安定なものと
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに完成された本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、硬磁性
膜及び軟磁性膜を有する磁気抵抗効果安定化層と、非磁
性層と、磁気抵抗効果膜を有する磁気抵抗効果層とを備
えた薄膜磁気ヘッドであり、磁気抵抗効果安定化層が、
硬磁性膜と軟磁性膜との間の少なくとも一部に非磁性体
からなる非磁性膜を有していることを特徴としている。
めに完成された本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、硬磁性
膜及び軟磁性膜を有する磁気抵抗効果安定化層と、非磁
性層と、磁気抵抗効果膜を有する磁気抵抗効果層とを備
えた薄膜磁気ヘッドであり、磁気抵抗効果安定化層が、
硬磁性膜と軟磁性膜との間の少なくとも一部に非磁性体
からなる非磁性膜を有していることを特徴としている。
【0013】以上のように構成された本発明に係る薄膜
磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果安定化層を構成する硬磁
性膜と軟磁性膜との間に非磁性膜を設けているので、こ
れらの硬磁性膜と軟磁性膜とが強磁性結合する。これに
より、磁気抵抗効果安定化層を構成する軟磁性膜は、磁
気的に非常に安定した状態となる。すなわち、この薄膜
磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果安定化層が非常に安定な
ものとなる。
磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果安定化層を構成する硬磁
性膜と軟磁性膜との間に非磁性膜を設けているので、こ
れらの硬磁性膜と軟磁性膜とが強磁性結合する。これに
より、磁気抵抗効果安定化層を構成する軟磁性膜は、磁
気的に非常に安定した状態となる。すなわち、この薄膜
磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果安定化層が非常に安定な
ものとなる。
【0014】そして、このように硬磁性膜と強磁性結合
した軟磁性膜は、磁気抵抗効果層と静磁結合し、磁気抵
抗効果層を単磁区化させるように作用する。ここで、軟
磁性膜は、硬磁性膜と強磁性結合しているので非常に安
定な状態となっている。したがって、軟磁性膜と磁気抵
抗効果層との静磁結合も非常に安定なものとなる。すな
わち、この薄膜磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果安定化層
と磁気抵抗効果層との間で非常に安定な静磁結合作用が
生じる。この結果、この薄膜磁気ヘッドでは、感磁部と
して機能する磁気抵抗効果層の磁気的安定性が非常に高
いものとなる。
した軟磁性膜は、磁気抵抗効果層と静磁結合し、磁気抵
抗効果層を単磁区化させるように作用する。ここで、軟
磁性膜は、硬磁性膜と強磁性結合しているので非常に安
定な状態となっている。したがって、軟磁性膜と磁気抵
抗効果層との静磁結合も非常に安定なものとなる。すな
わち、この薄膜磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果安定化層
と磁気抵抗効果層との間で非常に安定な静磁結合作用が
生じる。この結果、この薄膜磁気ヘッドでは、感磁部と
して機能する磁気抵抗効果層の磁気的安定性が非常に高
いものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した具体的な
実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。なお、本発明は以下の例に限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、形状、材質等を
任意に変更することが可能であることは言うまでもな
い。
実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。なお、本発明は以下の例に限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、形状、材質等を
任意に変更することが可能であることは言うまでもな
い。
【0016】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、磁
気抵抗効果安定化層を有する磁気抵抗効果素子を備えた
MRヘッドであり、図1に示すように、下層シールド1
と、下層シールド1上に形成された下部ギャップ層2
と、下部ギャップ層2上に形成された磁気抵抗効果素子
3及び非磁性絶縁層4と、磁気抵抗効果素子3上の先端
部3a及び後端部3b以外の部分に形成された保護層5
と、磁気抵抗効果素子3と後端部3bにおいて接続する
ように、磁気抵抗効果素子3の後端部3b上から非磁性
絶縁層4上にわたって形成されたセンス電流用導体層6
と、磁気抵抗効果素子3及びセンス電流用導体層6上に
形成された非磁性絶縁層7と、磁気抵抗効果素子3の上
部を横切るように非磁性絶縁層7内に形成されたバイア
ス電流用導体層8と、磁気抵抗効果素子3と先端部3a
において接続するように、磁気抵抗効果素子3の先端部
3a上から非磁性絶縁層7上にわたって形成された上部
ギャップ層9と、上部ギャップ層9上に形成された上層
シールド10とから構成される。
気抵抗効果安定化層を有する磁気抵抗効果素子を備えた
MRヘッドであり、図1に示すように、下層シールド1
と、下層シールド1上に形成された下部ギャップ層2
と、下部ギャップ層2上に形成された磁気抵抗効果素子
3及び非磁性絶縁層4と、磁気抵抗効果素子3上の先端
部3a及び後端部3b以外の部分に形成された保護層5
と、磁気抵抗効果素子3と後端部3bにおいて接続する
ように、磁気抵抗効果素子3の後端部3b上から非磁性
絶縁層4上にわたって形成されたセンス電流用導体層6
と、磁気抵抗効果素子3及びセンス電流用導体層6上に
形成された非磁性絶縁層7と、磁気抵抗効果素子3の上
部を横切るように非磁性絶縁層7内に形成されたバイア
ス電流用導体層8と、磁気抵抗効果素子3と先端部3a
において接続するように、磁気抵抗効果素子3の先端部
3a上から非磁性絶縁層7上にわたって形成された上部
ギャップ層9と、上部ギャップ層9上に形成された上層
シールド10とから構成される。
【0017】上記MRヘッドにおいて、下層シールド1
と上層シールド10は磁性材料からなり、下部ギャップ
層2は非磁性絶縁材料からなり、上部ギャップ層9は電
気的に良導体である非磁性材料からなる。そして、下層
シールド1、上層シールド10、下部ギャップ層2及び
上部ギャップ層9は、磁気記録媒体からの信号磁界のう
ち、再生対象外の磁界が磁気抵抗効果素子3に引き込ま
れないように機能する。すなわち、下層シールド1及び
上層シールド10が、磁気抵抗効果素子3の上下に下部
ギャップ層2及び上部ギャップ層9を介して配されてい
るため、磁気記録媒体からの信号磁界のうち、再生対象
以外の磁界は下層シールド1及び上層シールド10に導
かれ、再生対象の磁界だけが磁気抵抗効果素子3に引き
込まれる。
と上層シールド10は磁性材料からなり、下部ギャップ
層2は非磁性絶縁材料からなり、上部ギャップ層9は電
気的に良導体である非磁性材料からなる。そして、下層
シールド1、上層シールド10、下部ギャップ層2及び
上部ギャップ層9は、磁気記録媒体からの信号磁界のう
ち、再生対象外の磁界が磁気抵抗効果素子3に引き込ま
れないように機能する。すなわち、下層シールド1及び
上層シールド10が、磁気抵抗効果素子3の上下に下部
ギャップ層2及び上部ギャップ層9を介して配されてい
るため、磁気記録媒体からの信号磁界のうち、再生対象
以外の磁界は下層シールド1及び上層シールド10に導
かれ、再生対象の磁界だけが磁気抵抗効果素子3に引き
込まれる。
【0018】一方、センス電流用導体層6及び上部ギャ
ップ層9は、磁気抵抗効果素子3の両端にそれぞれ接続
された一対の電極となり、磁気抵抗効果素子3にセンス
電流を供給するように機能する。すなわち、磁気抵抗効
果素子3は、後端部3bにおいてセンス電流用導体層6
と電気的に接続されており、先端部3aにおいて上部ギ
ャップ層9と電気的に接続されている。そして、磁気記
録媒体から信号磁界を検出する際に、これらを介して磁
気抵抗効果素子3にセンス電流が供給される。ここで、
磁気抵抗効果素子3は、後述するように、磁気抵抗効果
安定化層と、非磁性絶縁層と、磁気抵抗効果層とが積層
されてなり、センス電流は磁気抵抗効果層にだけ供給さ
れる。
ップ層9は、磁気抵抗効果素子3の両端にそれぞれ接続
された一対の電極となり、磁気抵抗効果素子3にセンス
電流を供給するように機能する。すなわち、磁気抵抗効
果素子3は、後端部3bにおいてセンス電流用導体層6
と電気的に接続されており、先端部3aにおいて上部ギ
ャップ層9と電気的に接続されている。そして、磁気記
録媒体から信号磁界を検出する際に、これらを介して磁
気抵抗効果素子3にセンス電流が供給される。ここで、
磁気抵抗効果素子3は、後述するように、磁気抵抗効果
安定化層と、非磁性絶縁層と、磁気抵抗効果層とが積層
されてなり、センス電流は磁気抵抗効果層にだけ供給さ
れる。
【0019】また、磁気抵抗効果素子3上を横切るよう
に非磁性絶縁層7内に形成されたバイアス電流用導体層
8は、磁気抵抗効果素子3にバイアス磁界を印加するた
めものである。すなわち、磁気記録媒体から信号磁界を
検出する際に、このバイアス電流用導体層8に電流を流
すことにより、より高い磁気抵抗効果が得られるよう
に、磁気抵抗効果素子3にバイアス磁界が印加される。
に非磁性絶縁層7内に形成されたバイアス電流用導体層
8は、磁気抵抗効果素子3にバイアス磁界を印加するた
めものである。すなわち、磁気記録媒体から信号磁界を
検出する際に、このバイアス電流用導体層8に電流を流
すことにより、より高い磁気抵抗効果が得られるよう
に、磁気抵抗効果素子3にバイアス磁界が印加される。
【0020】このようなMRヘッドを図1中矢印Aで示
すように媒体摺動面側から見た図を図2に示す。この図
2に示すように、磁気抵抗効果素子3は、磁気抵抗効果
安定化層11と、非磁性絶縁層12と、磁気抵抗効果層
13とが積層されてなる。ここで、磁気抵抗効果層13
は、上述したように、センス電流が供給されて、記録媒
体からの信号を検出する感磁部として機能する。一方、
磁気抵抗効果安定化層11は、磁気抵抗効果層13と静
磁結合し、磁気抵抗効果層13の磁気的安定性の向上に
寄与する。
すように媒体摺動面側から見た図を図2に示す。この図
2に示すように、磁気抵抗効果素子3は、磁気抵抗効果
安定化層11と、非磁性絶縁層12と、磁気抵抗効果層
13とが積層されてなる。ここで、磁気抵抗効果層13
は、上述したように、センス電流が供給されて、記録媒
体からの信号を検出する感磁部として機能する。一方、
磁気抵抗効果安定化層11は、磁気抵抗効果層13と静
磁結合し、磁気抵抗効果層13の磁気的安定性の向上に
寄与する。
【0021】この磁気抵抗効果素子3は、両側面に非磁
性絶縁層4が配されており、磁気抵抗効果素子3は、こ
の非磁性絶縁層4に埋め込まれたような状態となってい
る。ここで、非磁性絶縁層4は、媒体摺動面に露出する
ため、摺動特性に優れた材料からなることが好ましく、
例えば、Al2O3、SiO2、SiNx(Si3N4等)の
ような材料が好適である。
性絶縁層4が配されており、磁気抵抗効果素子3は、こ
の非磁性絶縁層4に埋め込まれたような状態となってい
る。ここで、非磁性絶縁層4は、媒体摺動面に露出する
ため、摺動特性に優れた材料からなることが好ましく、
例えば、Al2O3、SiO2、SiNx(Si3N4等)の
ような材料が好適である。
【0022】そして、この磁気抵抗効果素子3の上面の
両端部において、磁気抵抗効果層13と電極とが接続さ
れている。すなわち、図1に示すように、磁気抵抗効果
素子3の先端部3aにおいて、磁気抵抗効果層13の上
面と上部ギャップ層9とが電気的に接続されるととも
に、磁気抵抗効果素子3の後端部3bにおいて、磁気抵
抗効果層13の上面とセンス電流用導体層6とが電気的
に接続されている。ここで、磁気抵抗効果安定化層11
は、図2に示すように、側面が非磁性絶縁層4によって
絶縁され、上面が非磁性絶縁層12によって絶縁されて
いるので、センス電流が流れるようなことはない。
両端部において、磁気抵抗効果層13と電極とが接続さ
れている。すなわち、図1に示すように、磁気抵抗効果
素子3の先端部3aにおいて、磁気抵抗効果層13の上
面と上部ギャップ層9とが電気的に接続されるととも
に、磁気抵抗効果素子3の後端部3bにおいて、磁気抵
抗効果層13の上面とセンス電流用導体層6とが電気的
に接続されている。ここで、磁気抵抗効果安定化層11
は、図2に示すように、側面が非磁性絶縁層4によって
絶縁され、上面が非磁性絶縁層12によって絶縁されて
いるので、センス電流が流れるようなことはない。
【0023】このような磁気抵抗効果素子3を用いたM
Rヘッドでは、磁気抵抗効果層13と磁気抵抗効果安定
化層11との間に静磁結合作用が生じるので、磁気抵抗
効果層13の磁気的安定性が高まり、バルクハウゼンノ
イズが低減される。
Rヘッドでは、磁気抵抗効果層13と磁気抵抗効果安定
化層11との間に静磁結合作用が生じるので、磁気抵抗
効果層13の磁気的安定性が高まり、バルクハウゼンノ
イズが低減される。
【0024】しかも、このMRヘッドでは、磁気抵抗効
果層13だけにセンス電流が供給され、この磁気抵抗効
果層13だけが感磁部として作用する。したがって、こ
のMRヘッドにおいて、再生出力に寄与する部分の厚さ
は、磁気抵抗効果層13の厚さだけとなる。そのため、
このMRヘッドでは、磁気抵抗効果安定化層11にもセ
ンス電流が流れるようなMRヘッドに比べて、再生出力
に寄与する部分の厚さを半減することができる。そし
て、再生出力に寄与する磁気抵抗効果層13の厚さを薄
くすることにより、センス電流の電流密度を上げること
ができるので、このMRヘッドでは高い再生出力を得る
ことが可能である。
果層13だけにセンス電流が供給され、この磁気抵抗効
果層13だけが感磁部として作用する。したがって、こ
のMRヘッドにおいて、再生出力に寄与する部分の厚さ
は、磁気抵抗効果層13の厚さだけとなる。そのため、
このMRヘッドでは、磁気抵抗効果安定化層11にもセ
ンス電流が流れるようなMRヘッドに比べて、再生出力
に寄与する部分の厚さを半減することができる。そし
て、再生出力に寄与する磁気抵抗効果層13の厚さを薄
くすることにより、センス電流の電流密度を上げること
ができるので、このMRヘッドでは高い再生出力を得る
ことが可能である。
【0025】つぎに、以上のようなMRヘッドに使用さ
れる磁気抵抗効果素子3について、より詳細に説明す
る。
れる磁気抵抗効果素子3について、より詳細に説明す
る。
【0026】この磁気抵抗効果素子3は、上述したよう
に、磁気抵抗効果安定化層11と、非磁性絶縁層12
と、感磁部となる磁気抵抗効果層13とが積層されて構
成される。
に、磁気抵抗効果安定化層11と、非磁性絶縁層12
と、感磁部となる磁気抵抗効果層13とが積層されて構
成される。
【0027】ここで、磁気抵抗効果安定化層11と磁気
抵抗効果層13の間に配される非磁性絶縁層12は、A
l2O3等のような電気的な絶縁性を有する非磁性材料か
らなるものであればよい。そして、この非磁性絶縁層1
2の膜厚は、挟ギャップ化を図るためにはより薄い方が
好ましいが、磁気抵抗効果安定化層11と磁気抵抗効果
層13との絶縁を保つ必要があるため、例えば、Al2
O3を用いるときには約10nm以上の膜厚とする必要
がある。
抵抗効果層13の間に配される非磁性絶縁層12は、A
l2O3等のような電気的な絶縁性を有する非磁性材料か
らなるものであればよい。そして、この非磁性絶縁層1
2の膜厚は、挟ギャップ化を図るためにはより薄い方が
好ましいが、磁気抵抗効果安定化層11と磁気抵抗効果
層13との絶縁を保つ必要があるため、例えば、Al2
O3を用いるときには約10nm以上の膜厚とする必要
がある。
【0028】また、上記磁気抵抗効果層13は、磁気抵
抗効果を有する磁気抵抗効果膜を含んでいればよく、例
えば、NiFe等からなる磁気抵抗効果膜だけからなる
ものであっても、あるいは、Ta等からなる下地層上に
NiFe等からなる磁気抵抗効果膜が成膜されたもので
あってもよい。
抗効果を有する磁気抵抗効果膜を含んでいればよく、例
えば、NiFe等からなる磁気抵抗効果膜だけからなる
ものであっても、あるいは、Ta等からなる下地層上に
NiFe等からなる磁気抵抗効果膜が成膜されたもので
あってもよい。
【0029】ここで、Ta等からなる下地層上にNiF
e等からなる磁気抵抗効果膜を成膜した場合には、磁気
抵抗効果膜を(111)配向させることができ、これに
より磁気抵抗効果膜の比抵抗を下げることができる。そ
して、磁気抵抗効果膜の比抵抗の低下は、磁気抵抗効果
膜のインピーダンスの低下となるため、このように下地
層を設けることにより、MRヘッドの再生出力を向上す
ることができる。
e等からなる磁気抵抗効果膜を成膜した場合には、磁気
抵抗効果膜を(111)配向させることができ、これに
より磁気抵抗効果膜の比抵抗を下げることができる。そ
して、磁気抵抗効果膜の比抵抗の低下は、磁気抵抗効果
膜のインピーダンスの低下となるため、このように下地
層を設けることにより、MRヘッドの再生出力を向上す
ることができる。
【0030】そして、上記磁気抵抗効果安定化層11
は、図3に示すように、下地層11aと、下地層11a
の上に形成された硬磁性膜11bと、硬磁性膜11bの
上に形成された非磁性膜11cと、非磁性膜11cの上
に形成された軟磁性膜11dとから構成される。この磁
気抵抗効果安定化層11は、磁気抵抗効果層13との間
に静磁結合作用が生じることによって、磁気抵抗効果層
13の磁気的安定性を向上させる。
は、図3に示すように、下地層11aと、下地層11a
の上に形成された硬磁性膜11bと、硬磁性膜11bの
上に形成された非磁性膜11cと、非磁性膜11cの上
に形成された軟磁性膜11dとから構成される。この磁
気抵抗効果安定化層11は、磁気抵抗効果層13との間
に静磁結合作用が生じることによって、磁気抵抗効果層
13の磁気的安定性を向上させる。
【0031】この磁気抵抗効果安定化層11において、
下地層11aは、例えばCrからなり、硬磁性膜11b
の保磁力(Hc)を増加させるように作用する。ここ
で、下地層11aの膜厚は、10nm程度とされること
が好ましい。この下地層11aは、硬磁性膜11bの保
磁力を向上させるように働くとともに、硬磁性膜11b
の磁化の垂直成分を小さくするように働く。すなわち、
下地層11aは、硬磁性膜11bの磁気特性の向上に寄
与し、その結果として、磁気抵抗効果層13の磁気的安
定性の向上に寄与する。
下地層11aは、例えばCrからなり、硬磁性膜11b
の保磁力(Hc)を増加させるように作用する。ここ
で、下地層11aの膜厚は、10nm程度とされること
が好ましい。この下地層11aは、硬磁性膜11bの保
磁力を向上させるように働くとともに、硬磁性膜11b
の磁化の垂直成分を小さくするように働く。すなわち、
下地層11aは、硬磁性膜11bの磁気特性の向上に寄
与し、その結果として、磁気抵抗効果層13の磁気的安
定性の向上に寄与する。
【0032】硬磁性膜11bは、例えば、CoPt、C
oPtCr又はCoNi等の硬磁性体からなり、図3中
矢印Jbで示される方向に磁化されている。すなわち、
硬磁性膜11bは、その磁化方向Jbが図3中矢印Bで
示すトラック幅方向に対して平行となるように磁化され
ている。
oPtCr又はCoNi等の硬磁性体からなり、図3中
矢印Jbで示される方向に磁化されている。すなわち、
硬磁性膜11bは、その磁化方向Jbが図3中矢印Bで
示すトラック幅方向に対して平行となるように磁化され
ている。
【0033】非磁性膜11cは、例えばAl2O3等の非
磁性体からなり、硬磁性膜11b上に形成される。ここ
で、非磁性膜11cの膜厚は、1分子程度に相当する厚
み寸法以上あればよい。しかしながら、非磁性膜11c
の膜厚は、厚すぎるのも問題であり、10nm程度以下
とすることが好ましい。なお、この非磁性膜11cの膜
厚については、後ほど詳細に説明する。
磁性体からなり、硬磁性膜11b上に形成される。ここ
で、非磁性膜11cの膜厚は、1分子程度に相当する厚
み寸法以上あればよい。しかしながら、非磁性膜11c
の膜厚は、厚すぎるのも問題であり、10nm程度以下
とすることが好ましい。なお、この非磁性膜11cの膜
厚については、後ほど詳細に説明する。
【0034】軟磁性膜11dは、例えば、NiFe又は
NiFe−X(ここでXはTa,Cr,Nb等であ
る。)等のような軟磁性体からなり、図3中矢印Jdで
示される方向に磁化されている。すなわち、軟磁性膜1
1dは、その磁化方向Jdが図3中矢印Bで示すトラッ
ク幅方向に対して平行となるように磁化されている。
NiFe−X(ここでXはTa,Cr,Nb等であ
る。)等のような軟磁性体からなり、図3中矢印Jdで
示される方向に磁化されている。すなわち、軟磁性膜1
1dは、その磁化方向Jdが図3中矢印Bで示すトラッ
ク幅方向に対して平行となるように磁化されている。
【0035】以上のように、磁気抵抗効果安定化層11
を、下地層11a上に硬磁性膜11bと非磁性膜11c
と軟磁性膜11dとを積層して形成する際は、硬磁性膜
11b及び軟磁性膜11dによってMRヘッドのトラッ
ク幅方向Bに磁界が発生するように、磁化方向Jbがト
ラック幅方向Bとなるように着磁された硬磁性膜11b
を用いる。このとき、軟磁性膜11dの磁化方向Jd
は、強磁性結合によって、硬磁性膜11bの磁化方向J
bと同じ向きとなる。
を、下地層11a上に硬磁性膜11bと非磁性膜11c
と軟磁性膜11dとを積層して形成する際は、硬磁性膜
11b及び軟磁性膜11dによってMRヘッドのトラッ
ク幅方向Bに磁界が発生するように、磁化方向Jbがト
ラック幅方向Bとなるように着磁された硬磁性膜11b
を用いる。このとき、軟磁性膜11dの磁化方向Jd
は、強磁性結合によって、硬磁性膜11bの磁化方向J
bと同じ向きとなる。
【0036】そして、このような磁気抵抗効果安定化層
11は、磁気抵抗効果層13と静磁結合する。これによ
り、磁気抵抗効果層13の磁化方向Jは、トラック幅方
向Bに揃うこととなり、磁気抵抗効果層13は単磁区化
する。その結果、磁気抵抗効果層13は、磁壁の移動等
によるノイズが生じることなく、安定に動作することと
なる。
11は、磁気抵抗効果層13と静磁結合する。これによ
り、磁気抵抗効果層13の磁化方向Jは、トラック幅方
向Bに揃うこととなり、磁気抵抗効果層13は単磁区化
する。その結果、磁気抵抗効果層13は、磁壁の移動等
によるノイズが生じることなく、安定に動作することと
なる。
【0037】ところで、一般に硬磁性膜は、膜の面内方
向に着磁しても、磁化方向を完全に面内方向に向けるこ
とは難しく、通常は、面内方向を向いていない磁化成分
が残ってしまう。したがって、通常、硬磁性膜11bの
磁化成分には、膜に対して垂直方向の成分が含まれてい
る。そして、このような磁化の垂直成分を磁気抵抗効果
安定化層11が有していると、磁気抵抗効果層13の磁
気的安定性を損なう要因となる。
向に着磁しても、磁化方向を完全に面内方向に向けるこ
とは難しく、通常は、面内方向を向いていない磁化成分
が残ってしまう。したがって、通常、硬磁性膜11bの
磁化成分には、膜に対して垂直方向の成分が含まれてい
る。そして、このような磁化の垂直成分を磁気抵抗効果
安定化層11が有していると、磁気抵抗効果層13の磁
気的安定性を損なう要因となる。
【0038】しかし、上述のように、硬磁性膜11bと
軟磁性膜11dとを非磁性膜11cを介して積層するこ
とによって磁気抵抗効果安定化層11を形成した場合
は、硬磁性膜11bの磁化成分のうち、垂直成分は軟磁
性膜11dによって遮断される。すなわち、磁気抵抗効
果安定化層11において、硬磁性膜11bと強磁性結合
した軟磁性膜11dには、磁化の垂直成分が生じるよう
なことがない。そして、磁気抵抗効果安定化層11にお
いて、磁気抵抗効果層13の磁化状態に対して影響を与
えるのは、主に軟磁性膜11dである。したがって、上
記磁気抵抗効果安定化層11では、硬磁性膜11bの磁
化の垂直成分が、磁気抵抗効果層13に大きな影響を及
ぼすようなことはない。このように、この磁気抵抗効果
安定化層11では、硬磁性膜11bの磁化の垂直成分
は、軟磁性膜11cによって遮断されるので、上記MR
ヘッドでは、磁気抵抗効果安定化層11を構成する硬磁
性膜11bの磁化の垂直成分に起因する、磁気抵抗効果
層13を磁気的に不安定化させる要因は排除される。
軟磁性膜11dとを非磁性膜11cを介して積層するこ
とによって磁気抵抗効果安定化層11を形成した場合
は、硬磁性膜11bの磁化成分のうち、垂直成分は軟磁
性膜11dによって遮断される。すなわち、磁気抵抗効
果安定化層11において、硬磁性膜11bと強磁性結合
した軟磁性膜11dには、磁化の垂直成分が生じるよう
なことがない。そして、磁気抵抗効果安定化層11にお
いて、磁気抵抗効果層13の磁化状態に対して影響を与
えるのは、主に軟磁性膜11dである。したがって、上
記磁気抵抗効果安定化層11では、硬磁性膜11bの磁
化の垂直成分が、磁気抵抗効果層13に大きな影響を及
ぼすようなことはない。このように、この磁気抵抗効果
安定化層11では、硬磁性膜11bの磁化の垂直成分
は、軟磁性膜11cによって遮断されるので、上記MR
ヘッドでは、磁気抵抗効果安定化層11を構成する硬磁
性膜11bの磁化の垂直成分に起因する、磁気抵抗効果
層13を磁気的に不安定化させる要因は排除される。
【0039】以上のような磁気抵抗効果安定化層11で
は、上述したように、硬磁性膜11bと軟磁性膜11d
とが非磁性膜11cを介して強磁性結合している。そし
て、上記磁気抵抗効果安定化層11では、この強磁性結
合の状態を適切に制御し、磁気抵抗効果安定化層11の
磁化曲線が、図4に示すような形状となるようにする。
は、上述したように、硬磁性膜11bと軟磁性膜11d
とが非磁性膜11cを介して強磁性結合している。そし
て、上記磁気抵抗効果安定化層11では、この強磁性結
合の状態を適切に制御し、磁気抵抗効果安定化層11の
磁化曲線が、図4に示すような形状となるようにする。
【0040】この磁化曲線は、単独の材料からなる磁性
体の磁化曲線とは異なる形状であり、外部磁界が小さい
ときには軟磁性的な磁気特性を示しており、外部磁界が
大きいときには硬磁性的な磁気特性を示している。
体の磁化曲線とは異なる形状であり、外部磁界が小さい
ときには軟磁性的な磁気特性を示しており、外部磁界が
大きいときには硬磁性的な磁気特性を示している。
【0041】このような磁気特性は、外部から磁界が印
加されたときに、硬磁性膜11bに生じるスピン回転
と、軟磁性膜11dに生じるスピン回転とが同時には始
まらないようにすることにより実現できる。すなわち、
磁気抵抗効果安定化層11は、外部から磁界が印加され
たときに、先ず、軟磁性膜11dにスピン回転が生じ始
め、その後、更に磁界が印加されると、硬磁性膜11b
にスピン回転が生じ始めるようにする。
加されたときに、硬磁性膜11bに生じるスピン回転
と、軟磁性膜11dに生じるスピン回転とが同時には始
まらないようにすることにより実現できる。すなわち、
磁気抵抗効果安定化層11は、外部から磁界が印加され
たときに、先ず、軟磁性膜11dにスピン回転が生じ始
め、その後、更に磁界が印加されると、硬磁性膜11b
にスピン回転が生じ始めるようにする。
【0042】そして、このような状態は、硬磁性膜11
bと軟磁性膜11dとの磁気的結合状態を制御すること
によって、実現することができる。具体的には、後述す
るように、非磁性膜11cの膜厚を適切に設定すること
によって、実現することができる。
bと軟磁性膜11dとの磁気的結合状態を制御すること
によって、実現することができる。具体的には、後述す
るように、非磁性膜11cの膜厚を適切に設定すること
によって、実現することができる。
【0043】ここで、硬磁性膜11bと軟磁性膜11d
との磁気的結合状態について説明するために、磁気抵抗
効果安定化層11を構成する硬磁性膜11bと軟磁性膜
11dとの間の交換相互作用定数Aexと、磁気抵抗効
果安定化層11の保磁力Hcとの関係を、シミュレーシ
ョンによって求めた結果を図5に示す。なお、このシミ
ュレーションにおいて、磁気抵抗効果安定化層11を構
成する硬磁性膜11bはCoPtからなり、軟磁性膜1
1dは、NiFeからなるものとした。
との磁気的結合状態について説明するために、磁気抵抗
効果安定化層11を構成する硬磁性膜11bと軟磁性膜
11dとの間の交換相互作用定数Aexと、磁気抵抗効
果安定化層11の保磁力Hcとの関係を、シミュレーシ
ョンによって求めた結果を図5に示す。なお、このシミ
ュレーションにおいて、磁気抵抗効果安定化層11を構
成する硬磁性膜11bはCoPtからなり、軟磁性膜1
1dは、NiFeからなるものとした。
【0044】この図5から分かるように、交換相互作用
定数Aexが大きくなると、磁気抵抗効果安定化層11
の保磁力Hcは大きくなり、交換相互作用定数Aexが
一定の値以上となると、磁気抵抗効果安定化層11の保
磁力Hcは、硬磁性膜11bの保磁力Hcのレベルに達
して一定となる。すなわち、硬磁性膜11bと軟磁性膜
11dとを積層して磁気抵抗効果安定化層11を構成し
ても、交換相互作用定数Aexが大きくなりすぎると、
硬磁性膜11bと軟磁性膜11dとを積層した効果が失
われ、単に硬磁性膜だけからなる場合と同じとなってし
まう。
定数Aexが大きくなると、磁気抵抗効果安定化層11
の保磁力Hcは大きくなり、交換相互作用定数Aexが
一定の値以上となると、磁気抵抗効果安定化層11の保
磁力Hcは、硬磁性膜11bの保磁力Hcのレベルに達
して一定となる。すなわち、硬磁性膜11bと軟磁性膜
11dとを積層して磁気抵抗効果安定化層11を構成し
ても、交換相互作用定数Aexが大きくなりすぎると、
硬磁性膜11bと軟磁性膜11dとを積層した効果が失
われ、単に硬磁性膜だけからなる場合と同じとなってし
まう。
【0045】したがって、硬磁性膜11bと軟磁性膜1
1dとを積層して磁気抵抗効果安定化層11を形成する
場合は、硬磁性膜11bと軟磁性膜11dとの間に配さ
れる非磁性膜11cの膜厚を適切に設定し、硬磁性膜1
1bと軟磁性膜11dとの磁気的な結合状態が適切なも
のとなるようにする必要がある。
1dとを積層して磁気抵抗効果安定化層11を形成する
場合は、硬磁性膜11bと軟磁性膜11dとの間に配さ
れる非磁性膜11cの膜厚を適切に設定し、硬磁性膜1
1bと軟磁性膜11dとの磁気的な結合状態が適切なも
のとなるようにする必要がある。
【0046】そこで、硬磁性膜11bと軟磁性膜11d
との間に配される非磁性膜11cの膜厚と、硬磁性膜1
1b、非磁性膜11c及び軟磁性膜11dからなる磁気
抵抗効果安定化層11の磁気特性との関係を実験によっ
て調べた。
との間に配される非磁性膜11cの膜厚と、硬磁性膜1
1b、非磁性膜11c及び軟磁性膜11dからなる磁気
抵抗効果安定化層11の磁気特性との関係を実験によっ
て調べた。
【0047】なお、本実験において、磁気抵抗効果安定
化層11を構成する硬磁性膜11bはCoPtによって
形成し、非磁性膜11cはCrによって形成し、軟磁性
膜11dはNiFeによって形成した。また、硬磁性膜
11b、非磁性膜11c及び軟磁性膜11dは、スパッ
タリングによって成膜し、非磁性膜11cの膜厚は、ス
パッタリング時の成膜レートや成膜時間を調整すること
により制御した。
化層11を構成する硬磁性膜11bはCoPtによって
形成し、非磁性膜11cはCrによって形成し、軟磁性
膜11dはNiFeによって形成した。また、硬磁性膜
11b、非磁性膜11c及び軟磁性膜11dは、スパッ
タリングによって成膜し、非磁性膜11cの膜厚は、ス
パッタリング時の成膜レートや成膜時間を調整すること
により制御した。
【0048】図6に、磁気抵抗効果安定化層11の保磁
力Hcと、磁気抵抗効果安定化層11を構成する硬磁性
膜11bと軟磁性膜11dの間の交換結合磁界Heと、
上記保磁力Hcと上記交換結合磁界Heとの合計Hc+
Heとを測定した結果を示す。
力Hcと、磁気抵抗効果安定化層11を構成する硬磁性
膜11bと軟磁性膜11dの間の交換結合磁界Heと、
上記保磁力Hcと上記交換結合磁界Heとの合計Hc+
Heとを測定した結果を示す。
【0049】図6には示していないが、非磁性膜11c
の膜厚が約0.3nmよりも薄くなると、交換結合磁界
Heが急激に減少してしまう。これは、非磁性膜11c
の膜厚が薄すぎて、硬磁性膜11bと軟磁性膜11dの
交換結合が非常に強くなり、硬磁性膜11bのスピン回
転と、軟磁性膜11dのスピン回転とが同時に起こるよ
うになってしまうからである。そして、このような状態
だと、軟磁性膜11bの軟磁気特性が失われるため、磁
気抵抗効果安定化層11は、磁気抵抗効果層11の磁区
を安定化するという役割を果たさなくなってしまう。
の膜厚が約0.3nmよりも薄くなると、交換結合磁界
Heが急激に減少してしまう。これは、非磁性膜11c
の膜厚が薄すぎて、硬磁性膜11bと軟磁性膜11dの
交換結合が非常に強くなり、硬磁性膜11bのスピン回
転と、軟磁性膜11dのスピン回転とが同時に起こるよ
うになってしまうからである。そして、このような状態
だと、軟磁性膜11bの軟磁気特性が失われるため、磁
気抵抗効果安定化層11は、磁気抵抗効果層11の磁区
を安定化するという役割を果たさなくなってしまう。
【0050】そして、図6から分かるように、非磁性膜
11cの膜厚を約0.3nm以上としたときには、保磁
力Hcと交換結合磁界Heの両方が十分に大きくなる。
そして、この状態では、硬磁性膜11bと軟磁性膜11
dの交換結合が適度なものとなり、硬磁性膜11bのス
ピン回転と、軟磁性膜11dのスピン回転とが別々に起
こるようになる。そして、このような状態だと、軟磁性
膜11bの軟磁気特性が発揮され、磁気抵抗効果安定化
層11は、磁気抵抗効果層11の磁区を安定化するとい
う役割を果たすようになる。
11cの膜厚を約0.3nm以上としたときには、保磁
力Hcと交換結合磁界Heの両方が十分に大きくなる。
そして、この状態では、硬磁性膜11bと軟磁性膜11
dの交換結合が適度なものとなり、硬磁性膜11bのス
ピン回転と、軟磁性膜11dのスピン回転とが別々に起
こるようになる。そして、このような状態だと、軟磁性
膜11bの軟磁気特性が発揮され、磁気抵抗効果安定化
層11は、磁気抵抗効果層11の磁区を安定化するとい
う役割を果たすようになる。
【0051】ただし、非磁性膜11cの膜厚が厚くなる
に従って、保磁力Hc及び交換結合磁界Heは徐々に小
さくなっていく。そして、非磁性膜11cの膜厚が約
3.0nmを越えるような場合には、硬磁性膜11bと
軟磁性膜11dの交換結合は殆ど無くなってしまい、磁
気抵抗効果層11の磁区を安定化することができなくな
ってしまう。
に従って、保磁力Hc及び交換結合磁界Heは徐々に小
さくなっていく。そして、非磁性膜11cの膜厚が約
3.0nmを越えるような場合には、硬磁性膜11bと
軟磁性膜11dの交換結合は殆ど無くなってしまい、磁
気抵抗効果層11の磁区を安定化することができなくな
ってしまう。
【0052】以上のことから分かるように、非磁性膜1
1cの膜厚によって、磁気抵抗効果安定化層11を構成
する硬磁性膜11bと軟磁性膜11dの磁気的結合状態
を制御することができる。そして、非磁性膜11cの膜
厚を0.3〜3.0nm程度とすることにより、硬磁性
膜11bと軟磁性膜11dの磁気的結合状態を適切なも
のとすることができる。すなわち、磁気抵抗効果安定化
層11中の非磁性膜11cの膜厚は、0.3〜3.0n
mの範囲内とすることが好ましい。
1cの膜厚によって、磁気抵抗効果安定化層11を構成
する硬磁性膜11bと軟磁性膜11dの磁気的結合状態
を制御することができる。そして、非磁性膜11cの膜
厚を0.3〜3.0nm程度とすることにより、硬磁性
膜11bと軟磁性膜11dの磁気的結合状態を適切なも
のとすることができる。すなわち、磁気抵抗効果安定化
層11中の非磁性膜11cの膜厚は、0.3〜3.0n
mの範囲内とすることが好ましい。
【0053】なお、本発明を適用した薄膜磁気ヘッド
は、上述したような磁気抵抗効果素子3を有するMRヘ
ッドに限定されるものではなく、例えば、図7に示すよ
うな磁気抵抗効果素子3Aを有するMRヘッドであって
もよい。
は、上述したような磁気抵抗効果素子3を有するMRヘ
ッドに限定されるものではなく、例えば、図7に示すよ
うな磁気抵抗効果素子3Aを有するMRヘッドであって
もよい。
【0054】この磁気抵抗効果素子3Aは、磁気抵抗効
果安定化層11Aが、硬磁性膜11eと、硬磁性膜11
eの上に形成された非磁性膜11fと、非磁性膜11f
の上に形成された軟磁性膜11gとから構成されたもの
である。この磁気抵抗効果安定化層11Aは、磁気抵抗
効果層13に対して上述した磁気抵抗効果安定化層11
と同様に作用し、磁気抵抗効果層13の磁気的安定性を
向上させる。
果安定化層11Aが、硬磁性膜11eと、硬磁性膜11
eの上に形成された非磁性膜11fと、非磁性膜11f
の上に形成された軟磁性膜11gとから構成されたもの
である。この磁気抵抗効果安定化層11Aは、磁気抵抗
効果層13に対して上述した磁気抵抗効果安定化層11
と同様に作用し、磁気抵抗効果層13の磁気的安定性を
向上させる。
【0055】上記磁気抵抗効果安定化層11Aにおい
て、硬磁性膜11eは、例えばCoPt、CoPtCr
あるいはCoNi等の硬磁性体からなり、図7中矢印J
eで示される方向に磁化されている。そして、硬磁性膜
11eは、その磁化方向Jeが図7中矢印Bで示すトラ
ック幅方向に対して平行となるように磁化されている。
て、硬磁性膜11eは、例えばCoPt、CoPtCr
あるいはCoNi等の硬磁性体からなり、図7中矢印J
eで示される方向に磁化されている。そして、硬磁性膜
11eは、その磁化方向Jeが図7中矢印Bで示すトラ
ック幅方向に対して平行となるように磁化されている。
【0056】また、非磁性体11fは、例えばAl2O3
等の非磁性体からなり、上述した硬磁性膜11e上に形
成される。ここで、非磁性膜11fの膜厚は、上述の磁
気抵抗効果安定化層11の非磁性膜11cと同様、10
nm以下とすることが好ましく、更には、0.3〜3.
0nmとすることがより好ましい。
等の非磁性体からなり、上述した硬磁性膜11e上に形
成される。ここで、非磁性膜11fの膜厚は、上述の磁
気抵抗効果安定化層11の非磁性膜11cと同様、10
nm以下とすることが好ましく、更には、0.3〜3.
0nmとすることがより好ましい。
【0057】また、軟磁性膜11gは、例えば、NiF
e又はNiFe−X(ここでXはTa,Cr,Nb等で
ある。)等からなる軟磁性体からなり、図7中矢印Jg
で示される方向に磁化されている。この軟磁性膜11g
は、硬磁性膜11eと強磁性結合しているため、硬磁性
膜11eと同様にその磁化方向Jgが図7中矢印Bで示
すトラック幅方向に対して平行となるように磁化されて
いる。
e又はNiFe−X(ここでXはTa,Cr,Nb等で
ある。)等からなる軟磁性体からなり、図7中矢印Jg
で示される方向に磁化されている。この軟磁性膜11g
は、硬磁性膜11eと強磁性結合しているため、硬磁性
膜11eと同様にその磁化方向Jgが図7中矢印Bで示
すトラック幅方向に対して平行となるように磁化されて
いる。
【0058】更に、本発明を適用した薄膜磁気ヘッド
は、上述したような磁気抵抗効果素子3や磁気抵抗効果
素子3Aを有するMRヘッドに限定されるものではな
く、例えば、図8に示すような磁気抵抗効果素子3Bを
有するMRヘッドであってもよい。
は、上述したような磁気抵抗効果素子3や磁気抵抗効果
素子3Aを有するMRヘッドに限定されるものではな
く、例えば、図8に示すような磁気抵抗効果素子3Bを
有するMRヘッドであってもよい。
【0059】この磁気抵抗効果素子3Bは、磁気抵抗効
果安定化層11Bと、磁気抵抗効果安定化層11Bの上
に形成された非磁性絶縁層12と、非磁性絶縁層12の
上に形成された磁気抵抗効果層13とから構成されてい
る。
果安定化層11Bと、磁気抵抗効果安定化層11Bの上
に形成された非磁性絶縁層12と、非磁性絶縁層12の
上に形成された磁気抵抗効果層13とから構成されてい
る。
【0060】ここで、磁気抵抗効果安定化層11Bは、
下地層11aと、下地層11aの上に形成された硬磁性
膜11bと、硬磁性膜11bの表面の少なくとも一部に
形成された非磁性膜20と、非磁性膜20を介して硬磁
性膜11b上に形成された軟磁性膜11dとから構成さ
れている。なお、図8では、非磁性膜20の成膜状態を
図示するために、硬磁性膜11bと軟磁性膜11dとの
間を離して図示している。
下地層11aと、下地層11aの上に形成された硬磁性
膜11bと、硬磁性膜11bの表面の少なくとも一部に
形成された非磁性膜20と、非磁性膜20を介して硬磁
性膜11b上に形成された軟磁性膜11dとから構成さ
れている。なお、図8では、非磁性膜20の成膜状態を
図示するために、硬磁性膜11bと軟磁性膜11dとの
間を離して図示している。
【0061】この磁気抵抗効果安定化層11Bは、上述
の磁気抵抗効果安定化層11,11Aと同様に、非磁性
絶縁層12を介して磁気抵抗効果層13と積層されるこ
とによって、磁気抵抗効果層13を磁気的に安定化す
る。
の磁気抵抗効果安定化層11,11Aと同様に、非磁性
絶縁層12を介して磁気抵抗効果層13と積層されるこ
とによって、磁気抵抗効果層13を磁気的に安定化す
る。
【0062】この磁気抵抗効果安定化層11Bにおい
て、非磁性膜20は、例えばAl2O3からなり、スパッ
タ装置によりスパッタリングによって成膜される。この
スパッタリングでは、下地層11a上に形成された硬磁
性膜11bを基体として用いる。そして、スパッタ装置
により、成膜レートや成膜時間等から想定される膜厚が
1分子以下の膜厚となるように、硬磁性膜11bの表面
に非磁性膜20を成膜する。その結果、非磁性膜20
は、1分子程度の膜厚からなる非磁性膜20が硬磁性膜
11b上に部分的に形成される。
て、非磁性膜20は、例えばAl2O3からなり、スパッ
タ装置によりスパッタリングによって成膜される。この
スパッタリングでは、下地層11a上に形成された硬磁
性膜11bを基体として用いる。そして、スパッタ装置
により、成膜レートや成膜時間等から想定される膜厚が
1分子以下の膜厚となるように、硬磁性膜11bの表面
に非磁性膜20を成膜する。その結果、非磁性膜20
は、1分子程度の膜厚からなる非磁性膜20が硬磁性膜
11b上に部分的に形成される。
【0063】以上のように形成された磁気抵抗効果安定
化層11Bは、硬磁性膜11bと軟磁性膜11dとの間
に部分的に非磁性層20を介する構造を有することとな
る。この磁気抵抗効果安定化層11Bにおいても、軟磁
性膜11dの磁化に対して硬磁性膜11bの垂直成分が
影響することはなく、磁気抵抗効果層13は磁気的に安
定なものとなる。
化層11Bは、硬磁性膜11bと軟磁性膜11dとの間
に部分的に非磁性層20を介する構造を有することとな
る。この磁気抵抗効果安定化層11Bにおいても、軟磁
性膜11dの磁化に対して硬磁性膜11bの垂直成分が
影響することはなく、磁気抵抗効果層13は磁気的に安
定なものとなる。
【0064】なお、上述した磁気抵抗効果安定化層11
Bでは、下地層11aを有した構成としたが、かかる構
成に限定されるものではない。すなわち、磁気抵抗効果
安定化層11Bは、下地層11aを形成せずに、硬磁性
膜11bと非磁性膜20と軟磁性膜11dとだけを積層
したような構成としてもよい。
Bでは、下地層11aを有した構成としたが、かかる構
成に限定されるものではない。すなわち、磁気抵抗効果
安定化層11Bは、下地層11aを形成せずに、硬磁性
膜11bと非磁性膜20と軟磁性膜11dとだけを積層
したような構成としてもよい。
【0065】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る薄膜磁気ヘッドでは、硬磁性膜と軟磁性膜とが非磁
性膜を介して強磁性結合することにより、磁気的に安定
した状態で磁気抵抗効果安定化層が形成されている。こ
のため、薄膜磁気ヘッドは、磁気的に安定な磁気抵抗効
果安定化層により磁気抵抗効果層が単磁区化されるの
で、磁気抵抗効果層が磁気的に安定化して再生出力がよ
り安定なものとなる。
係る薄膜磁気ヘッドでは、硬磁性膜と軟磁性膜とが非磁
性膜を介して強磁性結合することにより、磁気的に安定
した状態で磁気抵抗効果安定化層が形成されている。こ
のため、薄膜磁気ヘッドは、磁気的に安定な磁気抵抗効
果安定化層により磁気抵抗効果層が単磁区化されるの
で、磁気抵抗効果層が磁気的に安定化して再生出力がよ
り安定なものとなる。
【図1】本発明を適用したMRヘッドの一例を示す要部
横断面図である。
横断面図である。
【図2】図1に示したMRヘッドを媒体摺動面側から見
た要部正面図である。
た要部正面図である。
【図3】図1に示したMRヘッドに用いられる磁気抵抗
効果素子の一例を示す斜視図である。
効果素子の一例を示す斜視図である。
【図4】硬磁性膜と軟磁性膜とが強磁性結合した磁気抵
抗効果安定化層の磁気曲線の一例を示す特性図である。
抗効果安定化層の磁気曲線の一例を示す特性図である。
【図5】硬磁性膜と軟磁性膜との間の交換相互作用定数
Aexと、磁気抵抗効果安定化層の保磁力Hcとの関係
をシミュレーションによって求めた結果を示す図であ
る。
Aexと、磁気抵抗効果安定化層の保磁力Hcとの関係
をシミュレーションによって求めた結果を示す図であ
る。
【図6】硬磁性膜と軟磁性膜との間に配される非磁性膜
の膜厚と、磁気抵抗効果安定化層の磁気特性との関係を
実験によって調べた結果を示す図である。
の膜厚と、磁気抵抗効果安定化層の磁気特性との関係を
実験によって調べた結果を示す図である。
【図7】図1に示したMRヘッドに用いられる磁気抵抗
効果素子の他の例を示す斜視図である。
効果素子の他の例を示す斜視図である。
【図8】図1に示したMRヘッドに用いられる磁気抵抗
効果素子の他の例を示す分解斜視図である。
効果素子の他の例を示す分解斜視図である。
【図9】MRヘッドの基本的な構成を示す模式図であ
る。
る。
【図10】従来のMRヘッドの磁気抵抗効果素子の一例
を示す斜視図である。
を示す斜視図である。
1 下層シールド、 2 下部ギャップ層、 3 磁気
抵抗効果素子、 4非磁性絶縁層、 5 保護層、 6
センス電流用導体層、 7 非磁性絶縁層、 8 バ
イアス電流用導体層、 9 上部ギャップ層、 10
上層シールド、 11 磁気抵抗効果安定化層、 11
a 下地層、 11b 硬磁性膜、11c 非磁性膜、
11d 軟磁性膜、 12 非磁性絶縁層、 13
磁気抵抗効果層
抵抗効果素子、 4非磁性絶縁層、 5 保護層、 6
センス電流用導体層、 7 非磁性絶縁層、 8 バ
イアス電流用導体層、 9 上部ギャップ層、 10
上層シールド、 11 磁気抵抗効果安定化層、 11
a 下地層、 11b 硬磁性膜、11c 非磁性膜、
11d 軟磁性膜、 12 非磁性絶縁層、 13
磁気抵抗効果層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 守晃 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内
Claims (5)
- 【請求項1】 硬磁性膜と軟磁性膜とを有する磁気抵抗
効果安定化層と、磁気抵抗効果を示す軟磁性膜を有する
磁気抵抗効果層とを備えた薄膜磁気ヘッドにおいて、 上記磁気抵抗効果安定化層は、硬磁性膜と軟磁性膜との
間の少なくとも一部に非磁性体からなる非磁性膜を有す
ることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。 - 【請求項2】 上記磁気抵抗効果安定化層は、硬磁性膜
の保磁力を向上させる下地層が硬磁性膜の下層に配され
ていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気ヘッ
ド。 - 【請求項3】 上記磁気抵抗効果安定化層と、上記磁気
抵抗効果層との間に非磁性絶縁層が配されていることを
特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 【請求項4】 上記磁気抵抗効果安定化層は、非磁性膜
の膜厚が10nm以下であることを特徴とする請求項1
に記載の薄膜磁気ヘッド。 - 【請求項5】 上記磁気抵抗効果安定化層は、非磁性膜
の膜厚が0.3〜3.0nmであることを特徴とする請
求項4に記載の薄膜磁気ヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33697996A JPH09305929A (ja) | 1996-03-14 | 1996-12-17 | 薄膜磁気ヘッド |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8-57996 | 1996-03-14 | ||
JP5799696 | 1996-03-14 | ||
JP33697996A JPH09305929A (ja) | 1996-03-14 | 1996-12-17 | 薄膜磁気ヘッド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09305929A true JPH09305929A (ja) | 1997-11-28 |
Family
ID=26399086
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33697996A Withdrawn JPH09305929A (ja) | 1996-03-14 | 1996-12-17 | 薄膜磁気ヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09305929A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006510208A (ja) * | 2002-12-17 | 2006-03-23 | ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング | 磁気抵抗性の多層デバイスおよびセンサエレメント |
-
1996
- 1996-12-17 JP JP33697996A patent/JPH09305929A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006510208A (ja) * | 2002-12-17 | 2006-03-23 | ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング | 磁気抵抗性の多層デバイスおよびセンサエレメント |
JP2010153895A (ja) * | 2002-12-17 | 2010-07-08 | Robert Bosch Gmbh | 磁気抵抗性の多層デバイスおよびセンサエレメント |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20040302 |