JPH09305313A - タッチパネル - Google Patents

タッチパネル

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JPH09305313A
JPH09305313A JP11501696A JP11501696A JPH09305313A JP H09305313 A JPH09305313 A JP H09305313A JP 11501696 A JP11501696 A JP 11501696A JP 11501696 A JP11501696 A JP 11501696A JP H09305313 A JPH09305313 A JP H09305313A
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JP
Japan
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film
transparent
substrate
touch panel
time
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JP11501696A
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English (en)
Inventor
Nobuyasu Shiba
信康 柴
Kenzo Kitazaki
健三 北崎
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Taiyo Yuden Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Yuden Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 座標検出を正確且つ安定して行えるタッチパ
ネルを提供する。 【解決手段】 透明抵抗膜の結晶粒径を平均値+標準偏
差の3倍で評価して28nm以下とすることにより、透
明抵抗膜におけるシート抵抗値の経時変化を抑制して、
座標検出を正確に且つ安定して行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、指先やペン等によ
る押圧変位を利用して座標検出を行うタッチパネルに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来この種のタッチパネルは、透明フィ
ルムと、透明フィルムの下面に付設された透明抵抗膜
と、透明基板と、透明基板の上面に付設された透明抵抗
膜とを備え、透明抵抗膜相互をドットスペーサを介して
絶縁状態で対向配置して構成されている。
【0003】このタッチパネルでは、透明フィルムの上
面所望箇所を指先やペン等で押圧することにより、該透
明フィルムを下方に撓ませて透明抵抗膜相互を接触さ
せ、該接触による導通によって押圧点の座標信号を得る
ことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】タッチパネルに使用さ
れる透明抵抗膜には酸化インジウムスズ(ITO)が一
般に用いられており、該ITO膜は通常スパッタ法によ
って成膜されている。
【0005】ところで、タッチパネルに使用される透明
抵抗膜のシート抵抗値は経時的に安定であることが重要
であり、正確な座標検出を安定に行うにはその経時変化
率が±10%以内であることが望まれている。
【0006】しかし、透明抵抗膜として用いられている
従来のITO膜では、図1に示すように放置日数が経過
するに従って最小許容変化率(−10%)を下回る難点
がある。この経時変化は透明基板に樹脂を用いた場合に
特に顕著で、このような経時変化を生じた後は所期の座
標検出を正確に行うことが難しくなる。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、座標検出を正確且つ安定
して行えるタッチパネルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、透明フィルムに付設された透明抵抗膜と
透明基板に付設された透明抵抗膜とを絶縁状態で対向配
置して成るタッチパネルにおいて、透明抵抗膜の結晶粒
径が平均値+標準偏差の3倍で評価して28nm以下で
ある、ことをその主たる特徴としている。
【0009】本発明に係るタッチパネルでは、透明抵抗
膜の結晶粒径を平均値+標準偏差の3倍で評価して28
nm以下とすることにより、該透明抵抗膜に生じ得るシ
ート抵抗値の経時変化を抑制して、所期の座標検出を正
確且つ安定に行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】図2(a)(b)には本発明の実
施に好適なタッチパネルの構造例をそれぞれ示してあ
る。
【0011】同図(a)に示したタッチパネルはドット
スペーサを透明基板と一体に形成したもので、図中、1
は透明フィルム、2はフィルム側の透明抵抗膜、3は透
明基板、4は基板側の透明抵抗膜、5はドットスペー
サ、6はスペーサである。
【0012】同図(b)に示したタッチパネルはドット
スペーサを透明基板と別体に形成したもので、図中、1
1は透明フィルム、12はフィルム側の透明抵抗膜、1
3は透明基板、14は基板側の透明抵抗膜、15はドッ
トスペーサ、16はスペーサである。
【0013】透明フィルム1,11はPET(ポリエチ
レンテレフタレート)等の樹脂フィルムから成り、厚み
が75〜150μmで、指先やペン等による押圧で容易
に変形し且つ復元可能な可撓性を有している。
【0014】フィルム側の透明抵抗膜2,12はITO
(酸化インジウムスズ)膜やIZO(酸化亜鉛を含有し
た酸化インジウム)膜等から成り、透明フィルム1,1
1の下面に均一な厚みで付設されている。
【0015】透明基板3,13はPC(ポリカーボネイ
ト),PMMA(アクリル),PET,PAR(ポリア
リレート),PES(ポリエーテルサルホン)等の樹脂
基板、またはソーダライムガラス等のガラス基板から成
り、厚みが800μm〜3mmで、押圧操作時でも撓み
難い剛性を有している。
【0016】基板側の透明抵抗膜4,14は上記透明抵
抗膜と同様のITO膜やIZO膜等から成り、透明基板
3,13の上面(図1のものではドットス部分を除く上
面)に均一な厚みで付設されている。ちなみに、同図
(a)のものでは、ドットスペーサ形成後の透明基板3
の上面全体に透明抵抗膜4を成膜してからドット部分の
膜を研磨によって取り除くか、或いはドットスペーサに
レジストを塗布してから成膜する方法が採用される。
【0017】ドットスペーサ5,15は透明抵抗膜相互
の絶縁状態を確保するためのもので、半球状,円柱状,
角柱状等の形状を成している。ドットスペーサ1個の寸
法は直径が30〜50μmで高さが3〜10μmであ
り、同図(a)のものでは成形やエッチング等の手法に
よって透明基板3の上面に所定配列で一体に形成され、
同図(b)のものでは印刷手法によって透明抵抗膜14
の上面に所定配列で設けられている。
【0018】スペーサ6,16は透明抵抗膜間の隙間を
管理するためのもので、断面形状が矩形,半円等の連続
リブまたは不連続リブを透明基板周囲に配して構成され
ている。スペーサ6,16の高さ寸法はドットスペーサ
5,15よりも大きく、これにより透明抵抗膜間には僅
かな隙間が形成される。
【0019】上記の透明抵抗膜2,12,4,14は何
れもスパッタ法によって成膜されるが、そのシート抵抗
値の経時変化を抑制するためには結晶粒径と成膜時のス
パッタ圧力を適切に選定する必要がある。
【0020】図3には透明抵抗膜として使用されるIT
O膜の結晶粒径[平均値+3σ]とシート抵抗値経時変化
率の絶対値との関係を示してある。ITO膜は、RFマ
グネトロンスパッタ装置を使用しITO焼結体(Sn=
10wt%)をターゲットとして、PC基板に成膜した
ものであって、ITO膜の膜厚は15nm、初期シート
抵抗値は1200Ω/□である。
【0021】また、ITO膜の結晶粒径は、AFM(A
tomic Force Microscopy)=原
子間力顕微鏡を用いて測定し、測定粒径の平均値に標準
偏差の3倍を加算した値、つまり平均値+3σで評価し
た。つまり、結晶粒径が正規分布している場合にはその
99.7%が平均値±3σに入ることから、ここではそ
の最大値を平均値+3σで規定して評価してある。
【0022】同図から分かるように、ITO膜の結晶粒
径[平均値+3σ]とシート抵抗値の経時変化率との間に
は関連性があり、結晶粒径[平均値+3σ]が小さくなる
ほどシート抵抗値の経時変化量が小さくなる傾向があ
る。タッチパネルに求められるシート抵抗値の経時変化
率(±10%)を考慮すれば、実用的なITO膜の結晶
粒径[平均値+3σ]は28nm以下、好ましくは25n
m以下となる。
【0023】図4にはITO膜成膜時のスパッタ圧力と
シート抵抗値経時変化率との関係を示してある。ITO
膜は、RFマグネトロンスパッタ装置を使用しITO焼
結体(Sn=10wt%)をターゲットとして、PC基
板に成膜したものであって、成膜温度は40℃、ガス組
成はO2 /(Ar+O2 )=0.7vol%とした。ま
た、ITO膜の膜厚は15nm、初期シート抵抗値は1
000〜1200Ω/□で、放置条件は常温常湿で21
日とした。
【0024】同図から分かるように、ITO膜成膜時の
スパッタ圧力とシート抵抗値との間には関連性があり、
スパッタ圧力が所定値を越えるとシート抵抗値の経時変
化量が大きくなる傾向がある。タッチパネルに求められ
るシート抵抗値の経時変化率(±10%)を考慮すれ
ば、実用的なITO膜を得るときのスパッタ圧力の範囲
は1〜3.8Pa、好ましくは1〜3.5Paとなる。
【0025】図5にはITO膜成膜時のスパッタ圧力を
2paとした場合における結晶粒径区間と度数との関係
を示してある。ITO膜は、RFマグネトロンスパッタ
装置を使用しITO焼結体(Sn=10wt%)をター
ゲットとして、PC基板に成膜したものであって、成膜
温度は40℃、ガス組成はO2 /(Ar+O2 )=0.
7vol%とし、ITO膜の膜厚は15nmとした。ま
た、ITO膜の結晶粒径は、AFMを用いて測定した。
【0026】同図から分かるように、スパッタ圧力を2
PaとしてITO膜を成膜した場合には、結晶粒径を
6.9〜20.7nmの範囲に納めることが可能であ
り、しかもその分布を10〜15nmと15〜20nm
の区間で集中させることができる。比較例を図6に示す
ように、スパッタ圧力を5Paとして同様にITO膜を
成膜した場合は、結晶粒径は15.5〜39.7nmの
範囲に及び、25〜30nmの区間でもかなりの度数が
現れてしまう結果が得られた。
【0027】このように、透明抵抗膜におけるシート抵
抗値の経時変化を効果的に抑制するには、結晶粒径を平
均値+3σで評価して28nm以下とすること、またス
パッタ圧力を1〜3.8Paに設定することが肝要であ
り、少なくとも一方を満足すれば透明抵抗膜におけるシ
ート抵抗値の経時変化を±10%以内に止めて、座標検
出を正確に且つ安定して行うことが可能となる。
【0028】以下に、透明抵抗膜の具体的な成膜方法
(実施例1〜5)を比較例を交えて詳細に説明する。
尚、実施例1〜5には基板側の透明抵抗膜の成膜手順の
みを説明してあるが、フィルム側の透明抵抗膜も同様の
手順で成膜できることは言うまでもない。
【0029】[実施例1]まず、厚みが1mmで大きさ
が100mm□のポリカーボネイト基板(以下PC基板
と言う)を用意し、これを中性洗剤,メタノール,純水
で各々5分間超音波洗浄しさらに純水で濯いだ後、超高
純度窒素を吹き付けて乾燥させ、60℃のクリーンオー
ブンの中に1時間入れて乾燥度を高める。
【0030】次に、前処理を施したPC基板に下記のよ
うにして酸化インジウムスズ膜(以下ITO膜と言う)
を形成する。このITO膜の形成には、RFマグネトロ
ンスパッタ装置を使用し、そのターゲットには酸化イン
ジウムにスズを10wt%含有させた酸化物を用いた。
【0031】つまり、PC基板を装着した基板ホルダを
成膜室に入れ、該成膜室を真空度が2×10-4Paにな
るまで排気する。その後、純度99.9999%のAr
と純度99.9999%のO2 をマスフローコントロー
ラを通して成膜室に導入し、成膜室の真空度を2Paと
する。このときのArとO2 の流量は各々99.3sc
cmと0.7sccmであり、ガス組成はO2 /(Ar
+O2 )=0.7vol%であった。また、ここでは基
板温度を40℃に設定した。
【0032】真空度、即ちスパッタ圧力が2Paで安定
したところで、PC基板とターゲットとの間にシャッタ
ーを挿入し、ターゲットの表面とクリーンにするため
に、13.56MHzの高周波電源を入れ、出力を2k
Wに設定して、プレスパッタを3分間行う。このときの
スパッタ圧力は、成膜室の排気孔に設けられているオー
トプレッシャーコントローラを用いて、排気孔の開度調
整により行った。
【0033】プレスパッタ完了後はシャッターを開けて
成膜を開始する。ここではITO膜の膜厚が5〜30n
mとなるように、好ましくは15nmとなるように成膜
時間を20秒程度に設定する。
【0034】つまり、膜厚が5nm未満だと、指先やペ
ン等による入力時押圧に耐え得る強度を確保することが
困難である。また、膜厚が30nmを越えると、ITO
膜の透過率が低下し、タッチパネル下に配置される液晶
表示素子等の表示が見難くなる。これがITO膜の膜厚
を5〜30nmとする理由である。
【0035】上記手順によって成膜されたITO膜の膜
厚は15nmでシート抵抗値は1100Ω/□であり、
その結晶粒径をAFMを用いて測定し、平均値+3σで
評価したところ22.5nmであった。
【0036】また、ITO膜を周囲温度25℃、相対湿
度55%RH、放置時間21日(約500時間)の条件
で放置してそのシート抵抗値の経時変化を次式 [|(初期シート抵抗値)-(放置後シート抵抗値)|/(初期シ
ート抵抗値)×100]% で算出したところ0.5%となり、±10%以内に十分
に収まることが確認できた。
【0037】[実施例2]まず、厚みが1mmで大きさ
が100mm□のPC基板を用意し、実施例1と同様の
手順で洗浄,乾燥処理を施す。
【0038】次に、前処理を施したPC基板に下記のよ
うにして無反射コーティングを施す。この無反射コーテ
ィングにはRFスパッタ装置を使用し、そのターゲット
には純度99.99%のSiO2 を用いた。
【0039】つまり、PC基板を装着した基板ホルダを
成膜室に入れ、該成膜室を真空度が2×10-4Paにな
るまで排気する。その後、純度99.9999%のAr
と純度99.9999%のO2 をマスフローコントロー
ラを通して成膜室に導入し、成膜室の真空度を3.5P
aとする。このときのArとO2 の流量は各々38sc
cmと2sccmであり、ガス組成はO2 /(Ar+O
2 )=5vol%であった。また、ここでは基板温度を
50℃に設定した。
【0040】真空度、即ちスパッタ圧力が3.5Paで
安定したところで、PC基板とターゲットとの間にシャ
ッターを挿入し、ターゲットの表面とクリーンにするた
めに、13.56MHzの高周波電源を入れ、出力を1
kWに設定して、プレスパッタを3分間行う。このとき
のスパッタ圧力は、成膜室の排気孔に設けられているオ
ートプレッシャーコントローラを用いて、排気孔の開度
調整により行った。
【0041】プレスパッタ完了後はシャッターを開けて
コーティングを開始する。ここでは無反射コーティング
の膜厚(SiO2 の膜厚)が約120nmとなるように
コーティング時間を30min程度に設定する。
【0042】次に、無反射コーティングを施したPC基
板に実施例1と同様の手順でITO膜を成膜する。
【0043】上記手順によって成膜されたITO膜の膜
厚は15nmでシート抵抗値は1100Ω/□であり、
その結晶粒径をAFMを用いて測定し、平均値+3σで
評価したところ22.5nmであった。
【0044】また、ITO膜を実施例1と同じ条件で放
置してそのシート抵抗値の経時変化を実施例1と同様に
算出したところ0.5%となり、±10%以内に十分に
収まることが確認できた。
【0045】さらに、ITO膜成膜後のPC基板の透過
率を波長λ=550nmで測定したところ、コーティン
グ無しの実施例1のもので88%であった透過率を91
%まで向上させることができ、無反射コーティングが透
過率を高める上で効果的にあることが確認できた。
【0046】[実施例3]まず、厚みが1mmで大きさ
が100mm□のアクリル基板(以下PMMA基板と言
う)を用意し、実施例1と同様の手順で洗浄,乾燥処理
を施す。PMMA基板はPC基板に比べて吸湿性が高い
ため、クリーンオーブンによる乾燥は4時間とした。
【0047】次に、前処理を施したPMMA基板に下記
のようにしてITO膜を形成する。このITO膜の形成
には、RFマグネトロンスパッタ装置を使用し、そのタ
ーゲットには酸化インジウムにスズを10wt%含有さ
せた酸化物を用いた。
【0048】つまり、PMMA基板を装着した基板ホル
ダを成膜室に入れ、該成膜室を真空度が2×10-4Pa
になるまで排気する。その後、純度99.9999%の
Arと純度99.9999%のO2 をマスフローコント
ローラを通して成膜室に導入し、成膜室の真空度を3.
5Paとする。このときのArとO2 の流量は各々17
3.8sccmと1.2sccmであり、ガス組成はO
2 /(Ar+O2 )=0.7vol%であった。また、
ここでは基板温度を40℃に設定した。
【0049】真空度、即ちスパッタ圧力が3.5Paで
安定したところで、PC基板とターゲットとの間にシャ
ッターを挿入し、ターゲットの表面とクリーンにするた
めに、13.56MHzの高周波電源を入れ、出力を2
kWに設定して、プレスパッタを3分間行う。このとき
のスパッタ圧力は、成膜室の排気孔に設けられているオ
ートプレッシャーコントローラを用いて、排気孔の開度
調整により行った。
【0050】プレスパッタ完了後はシャッターを開けて
成膜を開始する。ここではITO膜の膜厚が30nmと
なるように成膜時間を40秒程度に設定する。
【0051】上記手順によって成膜されたITO膜の膜
厚は30nmでシート抵抗値は920Ω/□であり、そ
の結晶粒径をAFMを用いて測定し、平均値+3σで評
価したところ25nmであった。
【0052】また、ITO膜を実施例1と同じ条件で放
置してそのシート抵抗値の経時変化を実施例1と同様に
算出したところ7.5%となり、±10%以内に十分に
収まることが確認できた。
【0053】本例で使用したアクリル樹脂はポリカーボ
ネイト樹脂よりも透過率が高いため、アクリル樹脂を基
板材料とした場合には、ポリカーボネイト樹脂を基板材
料とした実施例1のものよりもITO膜の膜厚を厚くす
ることができる。ちなみに、厚さ1mmのアクリル基板
の透過率は測定波長λ=550nmで93%であるのに
対し、厚さ1mmのポリカーボネイト基板の透過率は8
7%である。
【0054】[実施例4]まず、厚みが1.1mmで大
きさが100mm□のシリカコート付きソーダライムガ
ラス基板(以下ガラス基板と言う)を用意し、実施例1
と同様の手順で洗浄,乾燥処理を施す。
【0055】次に、前処理を施したガラス基板に下記の
ようにしてITO膜を形成する。このITO膜の形成に
は、RFパッタ装置を使用し、そのターゲットには酸化
インジウムにスズを10wt%含有させた酸化物を用い
た。
【0056】つまり、ガラス基板を装着した基板ホルダ
を成膜室に入れ、該成膜室を真空度が2×10-4Paに
なるまで排気する。その後、純度99.9999%のA
rと純度99.9999%のO2 をマスフローコントロ
ーラを通して成膜室に導入し、成膜室の真空度を1Pa
とする。このときのArとO2 の流量は各々49.65
sccmと0.35sccmであり、ガス組成はO2
(Ar+O2 )=0.7vol%であった。また、ここ
では基板温度を200℃に設定した。
【0057】真空度、即ちスパッタ圧力が1Paで安定
したところで、PC基板とターゲットとの間にシャッタ
ーを挿入し、ターゲットの表面とクリーンにするため
に、13.56MHzの高周波電源を入れ、出力を2k
Wに設定して、プレスパッタを3分間行う。このときの
スパッタ圧力は、成膜室の排気孔に設けられているオー
トプレッシャーコントローラを用いて、排気孔の開度調
整により行った。
【0058】プレスパッタ完了後はシャッターを開けて
成膜を開始する。ここではITO膜の膜厚が5nmとな
るように成膜時間を15秒程度に設定する。
【0059】上記手順によって成膜されたITO膜の膜
厚は5nmでシート抵抗値は1350Ω/□であり、そ
の結晶粒径をAFMを用いて測定し、平均値+3σで評
価したところ10nmであった。
【0060】また、ITO膜を実施例1と同じ条件で放
置してそのシート抵抗値の経時変化を実施例1と同様に
算出したところ0.2%となり、±10%以内に十分に
収まることが確認できた。
【0061】本例のようなガラスを基板材料とした場合
には、樹脂を基板材料とした実施例1〜3のものよりも
基板剛性(強度)を高めることができるので、ITO膜
の膜厚をより薄くして透過率を高めるときに有利であ
る。
【0062】[実施例5]まず、厚みが1mmで大きさ
が100mm□のPC基板を用意し、実施例1と同様の
手順で洗浄,乾燥処理を施す。
【0063】次に、前処理を施したガラス基板に下記の
ようにして酸化亜鉛を含有した酸化インジウム膜(以下
IZO膜と言う)を形成する。このIZO膜の形成に
は、RFマグネトロンスパッタ装置を使用し、そのター
ゲットには酸化インジウムに亜鉛を10wt%含有させ
た酸化物を用いた。
【0064】つまり、ガラス基板を装着した基板ホルダ
を成膜室に入れ、該成膜室を真空度が2×10-4Paに
なるまで排気する。その後、純度99.9999%のA
rと純度99.9999%のO2 をマスフローコントロ
ーラを通して成膜室に導入し、成膜室の真空度を2Pa
とする。このときのArとO2 の流量は各々99.3s
ccmと0.7sccmであり、ガス組成はO2 /(A
r+O2 )=0.7vol%であった。また、ここでは
基板温度を40℃に設定した。
【0065】真空度、即ちスパッタ圧力が2Paで安定
したところで、PC基板とターゲットとの間にシャッタ
ーを挿入し、ターゲットの表面とクリーンにするため
に、13.56MHzの高周波電源を入れ、出力を2k
Wに設定して、プレスパッタを3分間行う。このときの
スパッタ圧力は、成膜室の排気孔に設けられているオー
トプレッシャーコントローラを用いて、排気孔の開度調
整により行った。
【0066】プレスパッタ完了後はシャッターを開けて
成膜を開始する。ここではIZO膜の膜厚が5〜30n
mとなるように、好ましくは15nmとなるように成膜
時間を30秒程度に設定する。
【0067】上記手順によって成膜されたIZO膜の膜
厚は15nmでシート抵抗値は1500Ω/□であり、
その結晶粒径をAFMを用いて測定し、平均値+3σで
評価したところ24nmであった。
【0068】また、ITO膜を実施例1と同じ条件で放
置してそのシート抵抗値の経時変化を実施例1と同様に
算出したところ3.5%となり、±10%以内に十分に
収まることが確認できた。
【0069】[比較例1]比較のために、スパッタ圧力
を5Paとし、ITO膜の膜厚が5〜30nmとなるよ
うに成膜時間を設定した以外は実施例1と同じ条件及び
手順でPC基板上にITO膜を成膜した。
【0070】上記手順によって成膜されたITO膜の膜
厚20nmでシート抵抗値は1400Ω/□であり、そ
の結晶粒径をAFMを用いて測定し、平均値+3σで評
価したところ40nmであった。
【0071】また、ITO膜を実施例1と同じ条件で放
置してそのシート抵抗値の経時変化を実施例1と同様に
算出したところ−78%となり、±10%以内から大き
く外れることが確認できた。
【0072】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
透明抵抗膜におけるシート抵抗値の経時変化を抑制し
て、座標検出を正確に且つ安定して行うことを可能とし
た信頼性の高いタッチパネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のITO膜におけるシート抵抗値経時変化
率を示す図
【図2】タッチパネルの構造例を示す図
【図3】ITO膜の結晶粒径[平均値+3σ]とシート抵
抗値経時変化率の絶対値との関係を示す図
【図4】ITO膜成膜時のスパッタ圧力とシート抵抗値
経時変化率との関係を示す図
【図5】ITO膜成膜時のスパッタ圧力を2paとした
場合における結晶粒径区間と度数との関係を示す図
【図6】ITO膜成膜時のスパッタ圧力を5paとした
場合における結晶粒径区間と度数との関係を示す図
【符号の説明】
1,11…透明フィルム、2,12…フィルム側の透明
抵抗膜、3,13…透明基板、4,14…基板側の透明
抵抗膜、5,15…ドットスペーサ、6,16…スペー
サ。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明フィルムに付設された透明抵抗膜と
    透明基板に付設された透明抵抗膜とを絶縁状態で対向配
    置して成るタッチパネルにおいて、 透明抵抗膜の結晶粒径が平均値+標準偏差の3倍で評価
    して28nm以下である、 ことを特徴とするタッチパネル。
  2. 【請求項2】 透明抵抗膜が酸化インジウムスズ膜また
    は酸化亜鉛を含有した酸化インジウム膜から成る、 ことを特徴とする請求項1記載のタッチパネル。
  3. 【請求項3】 透明抵抗膜がスパッタ法により1〜3.
    8Paの圧力下で成膜された被膜である、 ことを特徴とする請求項1または2記載のタッチパネ
    ル。
  4. 【請求項4】 透明抵抗膜の膜厚が5〜30nmであ
    る、 ことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載のタッ
    チパネル。
  5. 【請求項5】 透明基板として樹脂基板を用いた、 ことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載のタッ
    チパネル。
  6. 【請求項6】 樹脂基板がポリカーボネイト基板または
    アクリル基板である、 ことを特徴とする請求項5記載のタッチパネル。
  7. 【請求項7】 樹脂基板に無反射コーティング処理が施
    されている、 ことを特徴とする請求項6記載のタッチパネル。
  8. 【請求項8】 無反射コーティングが酸化ケイ素を主成
    分とする、 ことを特徴とする請求項7記載のタッチパネル。
  9. 【請求項9】 透明基板としてガラス基板を用いた、 ことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載のタッ
    チパネル。
  10. 【請求項10】 ガラス基板がソーダライムガラス基板
    である、 ことを特徴とする請求項9記載のタッチパネル。
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