JPH093001A - ナフタレンジカルボン酸の製造法及び反応装置 - Google Patents

ナフタレンジカルボン酸の製造法及び反応装置

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JPH093001A
JPH093001A JP15174695A JP15174695A JPH093001A JP H093001 A JPH093001 A JP H093001A JP 15174695 A JP15174695 A JP 15174695A JP 15174695 A JP15174695 A JP 15174695A JP H093001 A JPH093001 A JP H093001A
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JP
Japan
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oxidation
liquid
catalyst
ndca
reaction
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JP15174695A
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English (en)
Inventor
Mitsutatsu Yasuhara
充樹 安原
Tomoyoshi Yamamoto
友義 山本
Nobuhiro Takei
信広 武井
Takayuki Kato
貴行 加藤
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ジイソプロピルナフタレンを液相酸化してナ
フタレンジカルボン酸を製造する際に、酸化反応槽内で
の酸化反応率を高めてポストオキシデーションを不要に
し、高収率で高品質のナフタレンジカルボン酸を連続的
に製造できる方法を提供する。 【構成】 ジイソプロピルナフタレンを液相酸化してナ
フタレンジカルボン酸を製造する際に、分子状酸素含有
ガスを、亜硫酸ナトリウム水溶液を用いて測定した酸素
移動容量係数(hr-1)がナフタレンジカルボン酸の空
時収量(kg/m3・hr)の13.8倍以上になるよ
うに供給する。この手段として、上段には反応液を半径
方向に吐出する攪拌翼をそして下段には下方向に吐出す
る攪拌翼を有する攪拌機が反応槽内に設けられ、該反応
槽の内側壁には反応液の周方向の流れを邪魔するバッフ
ルが設けられ、かつ分子状酸素含有ガス吹出口が前記下
段の攪拌翼の下方に設けられている酸化反応槽を使用す
る方法がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジイソプロピルナフタ
レン(以後、「DIPN」と云うこともある。)を分子
状酸素により液相酸化して、ナフタレンジカルボン酸
(以後、「NDCA」と云うこともある。)を製造する
方法に関する。NDCAは耐熱性や耐薬品性そして強度
が高く、またガスバリヤー性が良好で酸素や二酸化炭素
の通過量が低いなどエンジニアリングプラスチックとし
て優れた特性を有するポリエチレンナフタレート(PE
N)などのポリエステル及びポリアミドを製造するため
の原料である。
【0002】
【従来の技術】DIPNをコバルト、マンガンなどの重
金属と臭素化合物からなる触媒の存在下、分子状酸素に
より液相酸化してNDCAを製造する方法は公知であ
り、各種の提案がなされている(特開平1−12124
0号公報、特開昭63−250344号公報、特開平1
−160943号公報、特開昭60−89445号公
報、特開昭60−89446号公報など)。
【0003】例えば、特開昭60−89445号公報に
は、2,6−DIPNを酢酸及び/又はプロピオン酸を
少なくとも50重量%含む溶媒中で、コバルト及び/又
はマンガンよりなる重金属と臭素からなる触媒の存在下
に、該重金属を2,6−DIPN1モル当たり、少なく
とも0.2モル使用する液相空気酸化法が開示され、特
開昭60−89446号公報には該重金属を溶媒に対し
て少なくとも1重量%存在させる液相空気酸化法が開示
されている。これらの方法に代表されるように、従来の
方法に共通する点は、2,6−DIPNに対してコバル
トとマンガンの重金属触媒及び臭素化合物を多量に用
い、コバルト、マンガン、及び臭素化合物からなる触媒
溶液中にDIPNと空気を一定時間で供給し、酸化を完
結させる為に引き続き空気のみを供給し(ポストオキシ
デーション)、生成するNDCAを酸化槽に保持した
儘、抜き出さないバッチ方式を採用している点にある。
【0004】従来の方法に共通するもう一つの点は、反
応温度と反応圧力が高いという点にある。例えば、特開
昭60−89445号公報、特開昭60−89446号
公報記載の実施例では、反応温度は160〜200℃、
反応圧力は20〜30kg/cm2 Gであり、特開平1
−121240号公報記載の実施例では、180〜20
0℃、反応圧力は15〜30kg/cm2 Gであり、特
開昭63−250344号公報記載の実施例では、18
0〜200℃、反応圧力は15kg/cm2 Gであり、
特開平1−160943号公報記載の実施例では、20
0℃、30kg/cm2Gである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきた従来の
DIPNを酸化してNDCAを製造する方法は、バッチ
酸化方式を採用しているので、NDCAの生産速度が著
しく低いという問題があった。即ち、ポストオキシデー
ションを行っている間はDIPNが供給されていないこ
と、酸化が完結した後に酸化槽からNDCAを抜き出す
時間が必要であり、その間はNDCAが新たに生産され
ていないことから、単位時間当たりかつ酸化槽の単位容
量当たりに換算したNDCA生成速度(STY)が低い
というバッチ酸化方式ゆえの致命的な欠点があった。そ
の欠点を解決するために、高温高圧の条件で酸化速度を
高める工夫がなされているが、その結果、溶媒である酢
酸及び/又はプロピオン酸の燃焼損失(酸化による二酸
化炭素の発生)を著しく引き起こすという新たな問題を
生起せしめている。さらには、バッチ酸化方式では、酸
化過程で副生する水がその儘、反応液(NDCAをスラ
リー状態で含む触媒溶液)に残るので、NDCAを濾過
分離した後の触媒液を再利用すると、初期のリサイクル
段階では、確かにNDCA収率は高い値が得られるが、
酸化反応で生成し、スラリーとして反応液中に懸濁する
NDCAを濾過器や遠心分離器を用いて固液分離して回
収される触媒(コバルト塩、マンガン塩などの重金属塩
及び臭素化合物を含む酢酸溶液)を酸化槽に循環するに
つれて触媒液中に酸化反応によって生成した水がかなり
蓄積してくる結果、初期の触媒活性を維持することが困
難となり、水の蓄積につれて経時的にNDCA収率が低
下し、同時に不純物副生量が増加し、製品NDCAの収
率低下のみならず、純度低下や色相悪化を引き起こすな
ど工業生産する上に好ましくない事実が起きてくる。
【0006】DIPNの酸化は、このように容易ではな
く、酸化が不完全な場合にはナフタレンジカルボン酸の
純度低下や着色を引き起こし、そして反応器壁面や生成
物の出口配管に付着して閉塞を引き起こす原因となる反
応中間体や副生物を多量に生成することになる。特に、
原料DIPN、酢酸やプロピオン酸などの溶媒及び触媒
を反応器に張り込みつつ、酸化生成物の抜き出しを連続
的に行う、いわゆる連続方式は単位時間及び反応器あた
りのナフタレンジカルボン酸収率が高くなる利点を有す
るが、その反面、DIPNや酸化中間体が不完全に酸化
された儘で反応器外へ抜け出る割合が、バッチ方式や半
連続方式の場合よりも増加し、それだけ生成ナフタレン
ジカルボン酸の品質が低下する欠点があった。
【0007】このような不十分な酸化反応を完結させ
て、ナフタレンジカルボン酸の品質を高める方法とし
て、一旦得られた反応生成物を反応器から抜きだした
後、更に高温下に再酸化する方法、また、得られた酸化
生成物を少しずつ抜き出しながら、続く結晶槽で再酸化
する方法など、酸化反応器以降で酸化反応の完結を実施
する方法が挙げられている。これらの方法は、それぞれ
に効果があるが酸化反応の完結を反応器以降で行うの
で、計器やプロセスが煩雑となり、工業的には不利であ
る。また、これらの方法は、粗ナフタレンジカルボン酸
を反応器外に出し、さらに再酸化するのであるが、一旦
反応を停止した反応液を再度反応させるには、不完全に
酸化された反応中間体がナフタレンジカルボン酸の固体
の中に取り込まれているので、完全に酸化を進めるに
は、より過酷な条件を要する結果、逆にナフタレンジカ
ルボン酸の品質を低下させる熱分解物質が発生したり、
著しく着色するなどの問題がある。
【0008】本発明は、上記の問題点を解決し、高収率
でしかも高品質のナフタレンジカルボン酸をバッチや半
連続方式ではなく、連続的に製造できる方法を提供する
ことを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決するべく鋭意検討の結果、DIPNを液相酸化
してNDCAを生成させる酸化反応槽への分子状酸素含
有ガスの供給量、酸化反応槽内の攪拌方法等を工夫して
槽内の酸素移動容量係数がNDCAの空時収量の一定倍
率以上になるように維持することによって酸化反応槽内
で酸化反応をポストオキシデーションが不要になるまで
高めうることを見出し、この方法が前記問題点をことご
とく解決できるものであることを見出して本発明を完成
するに到った。
【0010】すなわち、本発明は、ジイソプロピルナフ
タレンを液相酸化してナフタレンジカルボン酸を製造す
る際に、分子状酸素含有ガスを、亜硫酸ナトリウム水溶
液を用いて測定した酸素移動容量係数(hr-1)がナフ
タレンジカルボン酸の空時収量(kg/m3・hr)の
13.8倍以上になるように供給することを特徴とする
ナフタレンジカルボン酸の製造方法と、上段には反応液
を半径方向に吐出する攪拌翼をそして下段には下方向に
吐出する攪拌翼を有する攪拌機が反応槽内に設けられ、
該反応槽の内側壁には反応液の周方向の流れを邪魔する
バッフルが設けられ、かつ分子状酸素含有ガス吹出口が
前記下段の攪拌翼の下方に設けられていることを特徴と
する、ジイソプロピルナフタレンを液相酸化してナフタ
レンジカルボン酸を製造する際に使用される酸化反応槽
を提供するものである。
【0011】酸素移動容量係数は次のようにして求める
ことができる。すなわち、酸素移動速度(OTR)と酸
素移動容量係数(KLa)の間には次の関係がある。
【0012】OTR=KL×a×(C*−CL) ただし、OTR:酸素移動速度(mmol/l・hr) KL :液境膜の酸素移動速度係数(cm/hr) a :単位体積当たりの気液界面積(cm2/cm3) C* :設定条件での水への飽和溶存酸素濃度(mmol
/l) CL :溶液中の溶存酸素濃度(mmol/l)
【0013】本発明ではOTRは亜硫酸ナトリウム水溶
液を用いて測定する。
【0014】この系では、酸素は直ちに亜硫酸の酸化に
消費されるので亜硫酸の酸化速度とOTRは等しい。こ
の系では亜硫酸ナトリウム水溶液の溶存酸素濃度はOで
あるからKLaは下式で表される。 OTR=KLa・C*
【0015】そこで、OTRを測定で求めればC* はヘ
ンリーの定数を用いて算出できるから(化工便覧(第5
版)p58〜)KLaを上記式から算出できる。このO
TRは酸素の供給速度及び攪拌等の装置特性すなわち、
酸化反応槽内の形状(攪拌翼の形状、配置、バッフルの
形状、配置等を含む。)と攪拌速度、に応じて定まる。
そこで、予め設定予定の酸素供給速度と攪拌速度につい
て当該酸化反応槽の亜硫酸ナトリウム水溶液を用いた場
合のOTRを求めておく。この測定は、例えば触媒とし
て10-3モル/lのCu2+を含む0.5モル/lの亜硫
酸ナトリウム水溶液を当該酸化反応槽に張り込んで所定
の速度で攪拌しながら分子状酸素含有ガス(例えば空気)
を所定の速度で吹き込んで亜硫酸ナトリウムの消費速度
を求める。
【0016】DIPNは下記の反応式に従って酸化され
る。 DIPN+9O2 → NDCA+4CO2+6H2
【0017】そこで、上記反応の収率が100%とする
と、 反応に必要なO2:酸素要求量は、STY/216×9 一方、系内への酸素供給量は、KLaC* 反応中は酸素要求量≦酸素供給量 STY/216×9≦KLaC* これを解いて KLa/STY≧13.8 空時収量:流通系で触媒反応を行わせるとき、単位時間
に単位触媒容積によって生産される目的物質の量
【0018】本発明の方法においては、上記の酸素移動
容量係数(KLa)がNDCAの空時収量(STY)の1
3.8倍以上になるように運転する。これは分子状酸素
含有ガスの供給速度や攪拌速度を調節することによって
行うことができる。KLaはガス量、攪拌数を変化さ
せ、あらかじめ測定して求めておくことができ、STY
は生成物の量から必然的にわかるのでKLa/STYを
トレースして13.8以上に維持することができる。
【0019】本発明の方法の実施に適する酸化反応槽の
攪拌機には上段に反応液を半径方向に吐出する攪拌翼を
そして下段には下方向に吐出する攪拌翼を装着したもの
を用いる。半径方向に吐出する攪拌翼は羽根が回転軸方
向と平行に取り付けられている平羽根や湾曲羽根よりな
るものである。羽根はディスクタービン形、ファンター
ビン形、湾曲羽根ファンタービン形、矢羽根タービン
形、ブルマージン形等いずれであってもよい。下方向に
吐出する攪拌翼は羽根が流体を下方向に吐出するよう角
度をもって取り付けられているものであり、傾斜パドル
翼、プロペラ翼等よりなる。攪拌翼は従って少なくとも
2段必要であり、好ましくは3段以上である。上限は酸
化反応槽の形状等によるが通常10段程度までである。
下方向に吐出する攪拌翼は下段側に取り付けられ、通常
は最下段の1段であるが必要により2段にわたって設け
ることもできる。
【0020】酸化反応槽の内側壁に設けられるバッフル
は平板、山形板、等よりなる。平板は少なくとも2個所
に設けるのがよく、反応槽径により異なるが、通常は2
〜8個所程度が適当である。内側壁全体をぎざぎざ状に
形成してもよい。
【0021】分子状酸素含有ガス吹出口は前記下段の下
方向に吐出する攪拌翼より下方に設ける。この吹出口は
1個所に限らず複数個所であってもよい。
【0022】本発明における原料であるジイソプロピル
ナフタレン(DIPN)としては、2,6−体、2,7
−体の他、全ての異性体、及びこれらの混合物を使用す
ることが出来る。ホルミルナフトエ酸、アセチルナフト
エ酸、イソプロピルナフトエ酸などのその酸化誘導体を
原料に用いてもよい。DIPN供給量は、使用する溶媒
に対して、1〜40重量%であってよい。
【0023】本発明において使用する溶媒としては、酢
酸および/又はプロピオン酸あるいは、酢酸および/又
はプロピオン酸と他の溶媒との混合物を用いても差し支
えない。酢酸および/又はプロピオン酸と他の溶媒との
混合物を酸化溶媒として使用する場合には、酢酸および
/又はプロピオン酸が溶媒中に占める割合を少なくとも
50重量%以上、特に60重量%以上に保つことが好ま
しい。50重量%未満では、酸化速度が抑えられ、ND
CA収率が低下するので好ましくない。他の溶媒として
は、ベンゼン、モノクロロベンゼン、モノブロモベンゼ
ンなどに例示される、酸化に対して安定な溶媒を用い
る。最も好ましい溶媒は酢酸である。
【0024】水の存在はある程度は許容されるが、多量
に存在すると酸化を阻害するので好ましくない。水含量
は、コバルトとマンガンなど重金属の合計モル量に対し
て7倍モル以下、特に5倍モル以下が適当である。7倍
モルを越えると触媒活性の低下が著しく、NDCA収率
が低下する。さらには、生成したナフタレンジカルボン
酸(固体スラリー)の粘着性が増加し、酸化槽や配管の
壁に厚く付着し、閉塞の原因となることが見いだされ
た。7倍モル以下で運転すれば、流動性の優れたさらさ
らとしたNDCAが得られ、閉塞の心配がない。
【0025】従って、酸化反応溶液中のコバルトやマン
ガン等の重金属の合計モル量に対して水のモル量が7倍
以下になるように、酸化反応液に供給するクロルベンゼ
ンやベンゼンの量及び凝縮液の内、クロルベンゼンある
いはベンゼンに富む相の循環量を定める必要がある。
【0026】酸化触媒としては、少なくともコバルト、
マンガンよりなる重金属塩と臭素化合物を併用して用い
る。これらの重金属は酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機
酸塩、ハロゲン化物などが挙げられるが、これらのうち
有機酸塩、特に酢酸塩が好ましい。臭素化合物として
は、臭素(Br2)、臭化水素、臭化水素塩などの無機臭
素化合物、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭
化エチレンなどの臭化アルキルが挙げられる。これらの
中で臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ア
ンモニウム、臭化コバルト、臭化マンガンが特に好まし
い。
【0027】コバルトとマンガンの2成分触媒系を例に
上げれば、コバルトとマンガンを併用することにより、
コバルトまたはマンガンを単独で使用した場合と較べて
高い触媒作用が認められる。触媒として使用する各重金
属の比は、原子比で0.1≦Co/(Co+Mn)≦
0.9、好ましくは、0.2≦Co/(Co+Mn)≦
0.7である。この範囲を外れると、NDCA収率が低
下する。
【0028】反応器に連続的に供給されるDIPNに対
する、コバルト、マンガンを合計した重金属の供給量
は、モル比で表現して、0.5≦(Co+Mn)/DI
PN≦2.0である。この範囲以下では、NDCA収率
が低下し、トリメリット酸の副生量が著しく増加するだ
けでなく、トリメリット酸がコバルトやマンガンなどの
重金属と錯体を形成し、触媒損失量を増加させてしま
う。この範囲以上では、多量の触媒を使用することにな
るので、生成し析出したNDCAに重金属が同伴し、N
DCAの純度低下をもたらすだけでなく、触媒損失につ
ながる。また、反応槽が大きくなり、NDCA生産性が
低下する、分子状酸素含有ガスの吹き込み管に触媒が析
出し閉塞する等、工業的に好ましくない事態が起きる。
上記範囲は、連続酸化反応を行う場合に特徴的であり、
その理由は定かではないが、バッチ酸化(予め、酸化槽
に仕込んだ触媒溶液中に原料ジイソプロピルナフタレン
と空気を供給して、酸化反応を進めるが、ナフタレンジ
カルボン酸は酸化槽から抜き出さず、酸化槽に貯める方
式)では、円滑に酸化を進めるには、1.0≦(Co+
Mn)/DIPN≦4.0もの、多量の触媒が必要とさ
れるのに対し、特徴的である。
【0029】酸化反応を円滑に行わせる上に、酢酸及び
/又はプロピオン酸溶液中に於けるコバルト及びマンガ
ン触媒の最適範囲が存在する。その理由は定かではない
が、酸化槽内部に存在する反応液中のコバルト及びマン
ガン金属濃度の合計が5〜10重量%の範囲になるよう
に、酸化を行わねばならない。即ち、5%未満になると
コバルト及びマンガン触媒がジアルキルナフタレンを効
率的に酸化することが出来ない為に、ナフタレンジカル
ボン酸収率が低下する。10%を越えるとコバルト及び
マンガン触媒濃度が溶解度を越えるようになり、酸化槽
内部で触媒が析出したり、酸化槽の出口で触媒が閉塞す
るようになり、酸化操作が困難となる。
【0030】酸化反応で使用した触媒の一部は、酸化反
応の副生物であるトリメリット酸と酢酸及び又はプロピ
オン酸に不要な錯体を形成して、NDCAと共に析出す
る。その為、溶媒中に溶解した酸化反応に有効な触媒量
が不足してくる。それを補うために、フレッシュな触媒
を補充する必要がある。NDCAに同伴したコバルト及
びマンガン重金属は、硫酸など酸成分を含む水溶液で洗
浄することにより、ほぼ定量的に回収することが出来、
その水溶液に炭酸塩を加えてアルカリ性にすることによ
り、ほぼ定量的に、炭酸コバルト及びマンガンとして回
収出来る。この炭酸塩は、そのまま、酢酸及び又はプロ
ピオン酸溶液に溶解させて、酸化槽にリサイクルが可能
であり、触媒活性もフレッシュ品と較べて遜色ない。
【0031】酸化反応促進剤である臭素化合物のコバル
トおよびマンガンなど重金属の合計量に対する使用量は
好適な範囲が存在する。モル比で表現して、1/8≦B
r/(Co+Mn)≦1/2。この範囲以下では、酸化反
応が円滑に進まず、NDCA収率が低下する。この範囲
以上では、臭素のナフタレン環への付加反応が起き、N
DCA収率の低下、NDCA純度の低下や品質悪化をも
たらし、さらには排出ガス中に同伴する臭化メチル量が
増加するので、大気汚染の問題が生ずる等、好ましくな
い。
【0032】分子状酸素含有ガスとしては、空気をその
まま使用することが出来る。また、酸素や空気を不活性
ガスで希釈したものを用いることが出来る。
【0033】分子状酸素含有ガスとしては、空気をその
まま使用することが出来る。また、酸素や空気を不活性
ガスで希釈したものを用いることが出来る。酸素分圧と
しては、0.2〜2kg/cm2が好ましい。
【0034】反応温度は、160〜180℃の範囲で実
施することが好ましい。この範囲以下では、DIPNか
ら酸化中間体への酸化は速やかに進むが、酸化中間体か
らNDCAへの酸化が円滑に進まず、NDCA収率が低
下する。この範囲を越えると溶媒である酢酸の燃焼損失
が増加し、経済的に好ましくない。
【0035】使用する圧力は、反応器中に液相が維持で
きるような圧力以上であれば良いが、10kg/cm2
G以上になると、溶媒を構成する酢酸及び/又はプロピ
オン酸の燃焼損失が増加するので、好ましくない。空気
を用いた場合の反応圧力は、10kg/cm2G未満で
十分である。
【0036】
【作用】本発明により、亜硫酸ナトリウム水溶液中での
酸素移動容量係数(KLa)に換算したKLaの値を、ナ
フタレンジカルボン酸の空時収量(STY)に13.8
を掛け合わせた値以上に保っている。この酸素移動容量
係数(KLa)が、ナフタレンジカルボン酸の空時収量
(STY)に13.8を掛け合わせた値未満の条件で
は、STY(1時間あたり、1m3の反応器から生産され
るナフタレンジカルボン酸のkg数)を達成するに必要
な酸素の溶液中の拡散速度が確保出来ないことから、D
IPNが完全酸化されないことになる。酸化が不完全な
場合にはナフタレンジカルボン酸の純度低下や着色を引
き起こし、そして反応器壁面や生成物の出口配管に付着
して閉塞を引き起こす原因となる反応中間体や副生物を
多量に生成することになる。
【0037】下段の攪拌翼が下方向に吐出する攪拌翼、
例えば45°傾斜パドル翼である場合には、ナフタレン
ジカルボン酸スラリーを下方(攪拌軸に平行方向)にた
たきつけ、上昇する酸素濃度の高い酸素含有ガスとの激
しい向流接触が可能となり、不完全に酸化された儘の中
間体の完全酸化反応が非常に効果的に行われる。従っ
て、下段が円盤付き6枚平板タービン翼や円盤付き6枚
湾曲タービン翼のような半径方向に吐出する翼の場合に
は、攪拌軸に垂直方向にナフタレンジカルボン酸スラリ
ーをたたきつける為、酸素含有ガスとの向流接触が効率
的でないので、酸化中間体が未反応の儘、反応器から抜
き出されることになる。さらに、下段が下方向に吐出す
る翼の場合には、ナフタレンジカルボン酸スラリーを激
しく、生成物排出口に向かってたたきつける為に、ナフ
タレンジカルボン酸スラリーの沈降によるライン閉塞が
起こらない操業上の大きな利点がある。
【0038】上段には半径方向に吐出する翼、例えば円
盤付き6枚湾曲タービン翼又は円盤付き6枚平板タービ
ン翼を用いることによって気(酸素含有ガス)液(触媒
液)固(ナフタレンジカルボン酸スラリー)の3相の接
触を効果的に高めることが出来、反応槽内部を完全混合
状態に保つことが可能となる。
【0039】反応槽の壁に取り付けたバッフルは、反応
槽内部の気(酸素含有ガス)液(触媒液)固(ナフタレ
ンジカルボン酸スラリー)の3相の接触を効果的に高
め、上述した攪拌翼の組み合わせ効果を最大限にまで高
めることが出来る。バッフルがないと攪拌翼の効果は、
半減する。
【0040】
【実施例】
実施例1 図1に示す酸化反応槽1を用いた。この反応槽1は容積
13.7lのチタンライニング製で円筒形をしており、
その内側壁の真中やや上から底面近傍に達する4枚の平
板状バッフル2が図2に示すように等間隔に設けられて
いる。この反応槽1の上面中央には攪拌機の回転軸3が
反応槽の底面やや上にまで挿入されている。図3に示す
ように、この回転軸3の下部には攪拌翼4,5が3段に
取り付けられている。上部2段の攪拌翼4は図3及び図
4に示すように6枚の平羽根を有するディスクタービン
翼であり、最下部1段の攪拌翼5は図3及び図5に示す
ように6枚の傾斜パドル翼(傾斜角度:45°)からな
っている。酸化反応槽1の上面にはDIPN供給管6、
分子状酸素含有ガス吹込管7、触媒含有溶媒(触媒液)
供給管8、ガス排出管9及び凝縮液還流管10が接続さ
れている。DIPN供給管6の下端は生成したNDCA
スラリーによる管閉塞を防ぐために反応液面より上に位
置している。分子状酸素含有ガス吹込管7の下端は垂下
して酸化反応槽1の底面近傍に達しそこから折り曲がっ
て底面中心部近傍に達している。触媒液供給管8の下端
は、多量に供給する触媒液の反応槽1内部での分散・混
合を効率よく行わせるために、攪拌翼の最下段と2段目
の中間位置に位置している。酸化反応槽1の底面には生
成物排出管11が接続されている。
【0041】上記の酸化反応槽1の亜硫酸ナトリウム水
溶液における酸素移動容量係数(KLa)をまず測定し
た。この反応槽1に10-3モル/lのCuSO4を含む
0.5モル/lの亜硫酸ナトリウム水溶液8.5lを張
り込んだ。液温は18℃であった。攪拌機を500rp
mで回転させながら空気を0.44Nm3/hrの流量で
連続供給して一定時間ごとにサンプリングし液中の亜硫
酸ナトリウムの減少速度をチオ硫酸ナトリウムで適定し
て求めた。その結果、下表のような結果が得られた。
【0042】 サンプリング時間(分) Na2SO3濃度(mol/l) 5 0.474 10 0.447 15 0.419 20 0.395
【0043】上記のデータからNa2SO3の減少速度は
5.24×10-3mol/l・minであった。酸素移
動速度(OTR)は酸素吸収速度であり、これは前記の
反応式から明らかなようにNa2SO3の減少速度の1/
2であるから、 OTR=5.24×10-3×1/2=2.62mol/l・min =157mmol/l・hr C* =0.57×10-2ml(O2gas)/ml(H2O液体)at25℃ (化学便覧p770) =0.255mmol/l 従って、 KLa=157/0.254=620l/hr
【0044】この反応槽1に、酢酸コバルト(無水塩換
算)436g、酢酸マンガン(無水塩換算)422g、
臭化ナトリウム124g及び酢酸8370gよりなる
8.5lの触媒液をを張り込んだ。攪拌機を500rp
mで回転させながら溶融2,6−DIPNをDIPN供
給管6から400g/hrの速度で供給し、加圧空気を
分子状酸素含有ガス吹込管7から2.42Nm3/hrの
速度で吹き込んで、170℃、8kg/cm2 Gで酸化
反応を行った。生成物は液面を一定に保つよう連続的に
生成物排出管11から抜き出した。反応槽出口における
オフガスの酸素濃度は爆発限界値8%より低かった。こ
のオフガスを冷却して酢酸を主成分とする留分は凝縮液
還流管10から反応槽1に戻した。触媒は生成物排出管
11から1部が生成物とともに抜き出されるので抜き出
したスラリーを固液分離して触媒液供給管8から酸化反
応槽1にリサイクルした。酸化に使用した触媒の一部
は、酸化副生物であるトリメリット酸と錯体を形成して
NDCAと共に析出するので、循環触媒中の酢酸コバル
ト(無水塩換算)、酢酸マンガン(無水塩換算)量が常
に一定になるように、触媒を補充しながら、連続運転し
た。この条件でのNDCAの空時収量(STY)は40
kg/m2・hrである。触媒循環による連続運転開始
時から10hr後のNDCA収率(DIPN基準)は8
5%であったが、触媒循環を連続的に続けると収率は向
上し始め、20hr後は、NDCA収率は90%で安定
した。トリメリット酸収率は5%であった。粗NDCA
は、さらさらとした淡黄色粉末であり、純度も95%と
高く、触媒との固液分離性は良好であった。
【0045】実施例2 図1に示す装置において攪拌機を図6及び図7に示すも
のに代えてNDCAの製造を行った。この攪拌機は上部
2段の攪拌翼4が湾曲翼である点を除いて実施例1と同
じである。
【0046】この酸化反応槽1の亜硫酸ナトリウム水溶
液における酸素移動容量係数を実施例1と同様にして測
定したところ720l/hrであった。
【0047】この反応槽1に、触媒液として酢酸コバル
ト(無水塩換算)436g、酢酸マンガン(無水塩換
算)422g、臭化ナトリウム124g及び酢酸837
0gを張り込んだ。攪拌機を500rpmで回転させな
がら溶融2,6−DIPNをDIPN供給管6から40
0g/hrの速度で供給し、加圧空気を分子状酸素含有
ガス吹込管7から2.42Nm3/hrの速度で吹き込ん
で、170℃、8kg/cm2 Gで酸化反応を行った。
生成物は液面を一定に保つよう連続的に生成物排出管1
1から抜き出した。反応槽出口におけるオフガスの酸素
濃度は爆発限界値8%より低かった。このオフガスを冷
却して酢酸を主成分とする留分は凝縮液還流管10から
反応槽1に戻した。触媒は生成物排出管11から1部が
生成物とともに抜き出されるので抜き出したスラリーを
固液分離して触媒液供給管8から酸化反応槽1にリサイ
クルした。酸化に使用した触媒の一部は、酸化副生物で
あるトリメリット酸と錯体を形成してNDCAと共に析
出するので、循環触媒中の酢酸コバルト(無水塩換算)、
酢酸マンガン(無水塩換算)量が常に一定になるよう
に、触媒を補充しながら、連続運転した。この条件での
NDCAの空時収量(STY)は40kg/m2・hrで
ある。触媒循環による連続運転開始時から10hr後の
NDCA収率(DIPN基準)は86%であったが、触
媒循環を連続的に続けると収率は向上し始め、20hr
後は、NDCA収率は91%で安定した。トリメリット
酸収率は4%であった。粗NDCAは、さらさらとした
淡黄色粉末であり、純度も96%と高く、触媒との固液
分離性は良好であった。
【0048】実施例3 図1に示す装置を用い、NDCAの空時収量を30kg
/m3・hrに想定して攪拌機の回転速度を600rp
mに上げ空気の吹込量を0.35Nm3/hrにしてこの
酸化反応槽1の亜硫酸ナトリウム水溶液における酸素移
動容量係数を実施例1と同様にして測定したところ48
0l/hrであった。
【0049】この反応槽1に、触媒液として酢酸コバル
ト(無水塩換算)436g、酢酸マンガン(無水塩換算)
422g、臭化ナトリウム124g及び酢酸8370g
を張り込んだ。攪拌機を600rpmで回転させながら
溶融2,6−DIPNをDIPN供給管6から275g
の速度で供給し、加圧空気を分子状酸素含有ガス吹込管
7から1.92Nm3/hrの速度で吹き込んで、17
0℃、8kg/cm2Gで酸化反応を行った。生成物は
液面を一定に保つよう連続的に生成物排出管11から抜
き出した。反応槽出口におけるオフガスの酸素濃度は爆
発限界値8%より低かった。このオフガスを冷却して酢
酸を主成分とする留分は凝縮液還流管10から反応槽1
に戻した。触媒は生成物排出管11から1部が生成物と
ともに抜き出されるので抜き出したスラリーを固液分離
して触媒液供給管8から酸化反応槽1にリサイクルし
た。酸化に使用した触媒の一部は、酸化副生物であるト
リメリット酸と錯体を形成してNDCAと共に析出する
ので、循環触媒中の酢酸コバルト(無水塩換算)、酢酸
マンガン(無水塩換算)量が常に一定になるように、触
媒を補充しながら、連続運転した。この条件でのNDC
Aの空時収量(STY)は30kg/m2・hrであ
る。触媒循環による連続運転開始時から10hr後のN
DCA収率(DIPN基準)は87%であったが、触媒
循環を連続的に続けると収率は向上し始め、20hr後
は、NDCA収率は91%で安定した。トリメリット酸
収率は5%であった。粗NDCAは、さらさらとした淡
黄色粉末であり、純度も96%と高く、触媒との固液分
離性は良好であった。
【0050】実施例4 図1に示す装置を用い、NDCAの空時収量を50kg
/m3・hrに想定して攪拌機の回転速度を500rp
mで空気の吹込量を0.64Nm3/hrにしてこの酸化
反応槽1の亜硫酸ナトリウム水溶液における酸素移動容
量係数を実施例1と同様にして測定したところ760l
/hrであった。
【0051】この反応槽1に、触媒液として酢酸コバル
ト(無水塩換算)436g、酢酸マンガン(無水塩換
算)422g、臭化ナトリウム124g及び酢酸837
0gを張り込んだ。攪拌機を500rpmで回転させな
がら溶融2,6−DIPNをDIPN供給管6から47
4g/hrの速度で供給し、加圧空気を分子状酸素含有
ガス吹込管7から3.31Nm3/hrの速度で吹き込ん
で、170℃、8kg/cm2Gで酸化反応を行った。
生成物は液面を一定に保つよう連続的に生成物排出管1
1から抜き出した。反応槽出口におけるオフガスの酸素
濃度は爆発限界値8%より低かった。このオフガスを冷
却して酢酸を主成分とする留分は凝縮液還流管10から
反応槽1に戻した。触媒は生成物排出管11から1部が
生成物とともに抜き出されるので抜き出したスラリーを
固液分離して触媒液供給管8から酸化反応槽1にリサイ
クルした。酸化に使用した触媒の一部は、酸化副生物で
あるトリメリット酸と錯体を形成してNDCAと共に析
出するので、循環触媒中の酢酸コバルト(無水塩換算)、
酢酸マンガン(無水塩換算)量が常に一定になるよう
に、触媒を補充しながら、連続運転した。この条件での
NDCAの空時収量(STY)は50kg/m2・hrで
ある。触媒循環による連続運転開始時から10hr後の
NDCA収率(DIPN基準)は82%であったが、触
媒循環を連続的に続けると収率は向上し始め、20hr
後は、NDCA収率は88%で安定した。トリメリット
酸収率は7%であった。粗NDCAは、さらさらとした
淡黄色粉末であり、純度も93%と高く、触媒との固液
分離性は良好であった。
【0052】比較例1 バッフルを取り外し、図6,7に示す攪拌翼を使用した
ほかは実施例1と同じ装置を用いた。この酸化反応槽の
亜硫酸ナトリウム水溶液における、酸素移動容量係数
(KLa)を実施例1と同様にして求めたところ、380
(1/hr)であった。この反応槽を用いて、ナフタレ
ンジカルボン酸の生産速度が、STY=40になるよう
に、DIPN供給管6から2,6−DIPNを供給し、
実施例1と回数に連続運転した。その結果、触媒循環に
よる連続運転開始時から10hr後のNDCA収率(D
IPN基準)は79%であったが、触媒循環を連続的に
続けると収率は低下し始め、20hr後は、NDCA収
率は62%で安定した。トリメリット酸収率は12%で
あった。粗NDCAは、粘着性のある茶褐色固体であ
り、純度も80%と低く、触媒との固液分離性は不良で
あった。
【0053】比較例2 攪拌機を攪拌翼がいずれも45°傾斜パドル翼であるも
のに代えたほかは実施例1と同じ装置を用いた。この酸
化反応槽の亜硫酸ナトリウム水溶液における酸素移動容
量係数(KLa)を実施例1と同様にして求めたところ、
450(1/h)であった。この反応槽を用いて、ナフ
タレンジカルボン酸の生産速度がSTY=40になるよ
うに、DIPN供給管6から2,6−DIPNを供給
し、実施例1と同様に連続運転した。その結果、触媒循
環による連続運転開始時から10hr後のNDCA収率
(DIPN基準)は82%であったが、触媒循環を連続
的に続けると収率は低下し始め、20hr後は、NDC
A収率は79%で安定した。トリメリット酸収率は9%
であった。粗NDCAは、粘着性のある茶褐色固体であ
り、純度も85%と低く、触媒との固液分離性は僅かに
不良であった。
【0054】比較例3 攪拌機の中段の攪拌翼を取り除いたほかは実施例1と同
じ装置を用いた。この酸化反応槽の亜硫酸ナトリウム水
溶液における酸素移動容量係数(KLa)を実施例1と同
様にして求めたところ、400(1/h)であった。この
反応槽を用いて、ナフタレンジカルボン酸の生産速度が
STY=40になるように、DIPN供給管6から2,
6−DIPNを供給し、実施例1と同様に連続運転し
た。その結果、触媒循環による連続運転開始時から10
hr後のNDCA収率(DIPN基準)は77%であっ
たが、触媒循環を連続的に続けても収率は向上せず、2
0hr後は、NDCA収率は75%で安定した。トリメ
リット酸収率は10%であった。粗NDCAは、粘着性
のある茶褐色固体であり、純度も82%と低かった。
【0055】以上の結果をまとめて下表に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】原料DIPN、酢酸やプロピオン酸など
の溶媒及び触媒を反応器に張り込みつつ、酸化生成物の
抜き出しを連続的に行う、いわゆる連続方式では、DI
PNや酸化中間体が不完全に酸化された儘で反応器外へ
抜け出る割合が、バッチ方式や半連続方式の場合よりも
増加し、それだけ生成ナフタレンジカルボン酸の品質が
低下する欠点があった。本発明方法の採用により、反応
器内部での気(酸素含有ガス)液(触媒液)固(ナフタ
レンジカルボン酸スラリー)の3相の接触を効果的に高
めることが出来、反応器内部を完全混合状態に保つこと
が可能となり、DIPNの酸化に必要な酸素移動容量係
数(KLa)を確保出来る結果、連続方式を実施した場
合、単位時間及び反応器あたりのナフタレンジカルボン
酸収率が高くなり、しかも高品質のナフタレンジカルボ
ン酸が高収率で製造可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例で使用した酸化反応槽の構造
を示す縦断面図である。
【図2】 上記酸化反応槽の上部から下方を見た横断面
図である。
【図3】 上記酸化反応槽の攪拌機の側面図である。
【図4】 上記酸化反応槽の攪拌機の上2段の攪拌翼の
平面図である。
【図5】 上記酸化反応槽の攪拌機の最下段の攪拌翼の
平面図である。
【図6】 実施例2で使用した攪拌機の側面図である。
【図7】 実施例2で使用した攪拌機の上2段の攪拌翼
の平面図である。
【符号の説明】
1…酸化反応槽 2…バッフル 3…回転軸 4…半径方向に吐出する攪拌翼 5…下方向に吐出する攪拌翼 6…DIPN供給管 7…分子状酸素含有ガス吹込管 8…触媒含有溶媒供給管 9…ガス排出管 10…凝縮液還流管 11…生成物排出管
フロントページの続き (72)発明者 加藤 貴行 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジイソプロピルナフタレンを液相酸化し
    てナフタレンジカルボン酸を製造する際に、分子状酸素
    含有ガスを、亜硫酸ナトリウム水溶液を用いて測定した
    酸素移動容量係数(hr-1)がナフタレンジカルボン酸
    の空時収量(kg/m3・hr)の13.8倍以上になる
    ように供給することを特徴とするナフタレンジカルボン
    酸の製造方法
  2. 【請求項2】 上段には反応液を半径方向に吐出する攪
    拌翼をそして下段には下方向に吐出する攪拌翼を有する
    攪拌機が反応槽内に設けられ、該反応槽の内側壁には反
    応液の周方向の流れを邪魔するバッフルが設けられ、か
    つ分子状酸素含有ガス吹出口が前記下段の攪拌翼の下方
    に設けられていることを特徴とする、ジイソプロピルナ
    フタレンを液相酸化してナフタレンジカルボン酸を製造
    する際に使用される酸化反応槽
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008500946A (ja) * 2003-06-13 2008-01-17 テレフタラトス メキシカノス エス.エー. デ シー.ヴイ. アルキル芳香族化合物の効率的酸化のための方法および装置
DE102007059426A1 (de) 2007-05-08 2008-11-20 Mitsubishi Electric Corporation Millimeterbandschaltglied
JP2010248090A (ja) * 2009-04-10 2010-11-04 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 酸化反応器および芳香族ポリカルボン酸の製造法
WO2015102273A1 (ko) * 2014-01-02 2015-07-09 한화케미칼 주식회사 배플을 구비한 회분식 반응기

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JP4780566B2 (ja) * 2003-06-13 2011-09-28 テレフタラトス メキシカノス エス.エー. デ シー.ヴイ. アルキル芳香族化合物の効率的酸化のための方法および装置
DE102007059426A1 (de) 2007-05-08 2008-11-20 Mitsubishi Electric Corporation Millimeterbandschaltglied
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