JPH09297198A - X線フィルタ - Google Patents

X線フィルタ

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JPH09297198A
JPH09297198A JP8113911A JP11391196A JPH09297198A JP H09297198 A JPH09297198 A JP H09297198A JP 8113911 A JP8113911 A JP 8113911A JP 11391196 A JP11391196 A JP 11391196A JP H09297198 A JPH09297198 A JP H09297198A
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rays
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ray transmission
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JP8113911A
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Hisao Fujisaki
久雄 藤崎
Shinichi Takahashi
進一 高橋
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Nikon Corp
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 集光X線が照射されるX線透過窓を備えた部
材の該X線透過窓の破壊を防止することができるX線フ
ィルタを提供すること。 【解決手段】 集光X線が照射されるX線透過窓を備え
た部材32のX線照射側に該部材32から隔離して配置
されてなるX線フィルタであり、前記部材32のX線透
過窓と同一材料のX線透過膜を備えるか、或いは前記部
材32のX線透過窓と同一または近似のX線吸収特性を
有するX線透過膜を備え、かつ、前記部材32のX線透
過窓に照射されるX線よりも低い集光度にてX線が照射
される位置に配置されてなるX線フィルタ31。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばX線顕微鏡
等に用いて好適なX線フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の生物工学技術の発展は、光学顕微
鏡や電子顕微鏡などの観察手段に負うところが大きい。
ところが、光学顕微鏡は、液体中の生きた生体試料を観
察できるものの、可視光の波長に空間分解能が制限さ
れ、また電子顕微鏡は、空間分解能は高いが真空中に試
料容器を配置する必要性があり、しかも、試料容器を構
成する窓材として電子線が透過するものが存在しないた
め、試料容器内(非真空雰囲気)に収容された生きたま
まの生体試料を観察できなかった。
【0003】そこで、生きたままの生体試料が高分解能
で観察できる可能性のあるX線顕微鏡が注目され、その
開発がなされてきている。そして、微細精密工学の発展
によりX線顕微鏡用のX線光学素子の性能が向上し、X
線顕微鏡の試験機が作られるまでになっている。X線顕
微鏡においては、試料容器内に収容された、生体試料と
周囲の水とのX線吸収の差によるコントラストが最も良
好に得られる「水の窓」と呼ばれる波長領域(2.33〜4.
37nm)のX線が利用されている。
【0004】ここで、2.33nmは水の重量比主成分であ
る酸素の吸収端であり、4.37nmはほとんどの生体物質
の重量比主成分である炭素の吸収端である。「水の窓」
波長領域(2.33〜4.37nm)では、水によるX線の吸収
が小さく、生体物質による吸収が大きいために、水に対
する生体試料の良いコントラストが得られる。
【0005】X線顕微鏡のX線源としては、従来の電子
衝撃式に代わって、レーザプラズマX線源やZピンチプ
ラズマX線源などが開発され、実験室サイズの高輝度X
線源が使用できるようになっている。なお、実質的なX
線源となるプラズマ自体の大きさは100μmφ程度で
ある。一般に、X線顕微鏡用の照明光学系素子及び結像
光学系素子としてゾーンプレートが用いられている。ゾ
ーンプレートは、それ自体が分光機能を有するので、
「水の窓」領域のX線を試料観察に用いる場合に、各光
学系素子への入射X線のスペクトルに関して特に注意を
払う必要がない。
【0006】ところが、ゾーンプレートは、開口数が小
さく、また分光機能を有するので、入射X線の利用能率
が良くない。そのため、研究が進むにつれて、ゾーンプ
レートを光学素子に用いたX線顕微鏡では、生体試料の
撮像に時間を要する、しかもその間に動く試料の場合に
は像がぼけて鮮明な撮像ができない、という問題点の存
在が明らかになってきた。
【0007】そこで、開口数が大きく、また反射に波長
依存性がほとんどないため、入射X線の利用効率が高
く、短時間での撮像が可能なウォルタ鏡(または斜入射
鏡)が注目されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】入射X線の利用効率が
高い、即ちX線集光効率の高いウォルタ鏡(または斜入
射鏡)を前記プラズマX線源と組み合わせて用いた場
合、プラズマX線源がパルス的にX線を発生するので、
結像させるのに十分な量のX線を1ショットで生体試料
に集光照射することができる。
【0009】しかしながら、十分な量の(強い)X線が
集光されて生体試料を収容している試料容器のX線透過
窓を通過するときに、このX線透過窓がしばしば破壊さ
れるという問題点がある。本発明は、かかる問題点に鑑
みてなされたものであり、集光X線が照射されるX線透
過窓を備えた部材の該X線透過窓の破壊を防止すること
ができるX線フィルタを提供することを目的とする。
【0010】また、本発明は、X線集光効率の高いウォ
ルタ鏡(または斜入射鏡)をプラズマX線源と組み合わ
せて用いたX線顕微鏡における、X線照射による試料容
器のX線透過窓の破壊を防止することができるX線顕微
鏡用のX線フィルタを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は第一
に「集光X線が照射されるX線透過窓を備えた部材のX
線照射側に該部材から隔離して配置されてなるX線フィ
ルタであり、前記部材のX線透過窓と同一材料のX線透
過膜を備えるか、或いは前記部材のX線透過窓と同一ま
たは近似のX線吸収特性を有するX線透過膜を備え、か
つ、前記部材のX線透過窓に照射されるX線よりも低い
集光度にてX線が照射される位置に配置されてなるX線
フィルタ(請求項1)」を提供する。
【0012】また、本発明は第二に「少なくとも、プラ
ズマX線源と、該X線源からの不要な可視光、紫外光、
長波長X線及び短波長X線を除去するためのフィルタ
と、該フィルタを透過したX線を試料に照射するための
ウォルタ鏡または斜入射鏡を用いた照明光学系と、試料
を保持する試料容器と、試料を透過したX線を所定位置
に結像させる結像光学系と、該所定位置に配置されてな
るX線検出系と、を有するX線顕微鏡に用いられるX線
フィルタであり、前記試料容器のX線透過窓と同一材料
のX線透過膜を備えるか、或いは前記部材のX線透過窓
と同一または近似のX線吸収特性を有するX線透過膜を
備え、かつ、前記X線源と前記試料容器の間で、前記試
料容器のX線透過窓に照射されるX線よりも低い集光度
にてX線が照射される位置に配置されてなるX線フィル
タ(請求項2)」を提供する。
【0013】また、本発明は第三に「前記X線透過膜
は、窒素の吸収端と呼ばれる波長以下の該波長近傍のX
線を除去する機能を有することを特徴とする請求項1ま
たは2記載のX線フィルタ(請求項3)」を提供する。
また、本発明は第四に「前記X線透過膜は、開口部を有
する支持部材の該開口部に設けられたメンブレンである
ことを特徴とする請求項1〜3記載のX線フィルタ(請
求項4)」を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明者らは、集光X線が照射さ
れるX線透過窓を備えた部材に照射されるX線のうち、
該X線透過窓の破壊原因となるX線を除去しつつ、試料
観察に有効なX線を透過させるX線フィルタを、X線透
過窓と同一材料のX線透過膜を備えるか、或いはX線透
過窓と同一または近似のX線吸収特性を有するX線透過
膜を備え、かつ、前記部材のX線透過窓に照射されるX
線よりも低い集光度にてX線が照射される位置に配置さ
れてなるX線フィルタにより実現できることを見出して
本発明をなすに至った。
【0015】また、本発明者らは、プラズマX線源から
の不要な可視光、紫外光、長波長X線及び短波長X線を
除去するためのフィルタでは除去されていないX線、即
ち窒素の吸収端と呼ばれる波長(3nm近傍)以下の該
波長近傍X線の集光照射(高エネルギー密度の集光照
射)が試料容器のX線透過窓の破壊の主原因であること
を見出した。以下、これについて説明する。
【0016】図6は、ウォルタ鏡65、66を光学素子
として用いた従来のX線顕微鏡(一例)の概略構成図で
ある。このX線顕微鏡は、プラズマX線源63、チタン
箔フィルタ64、集光(照明)用ウォルタ鏡65、試料
容器62、対物(結像)用ウォルタ鏡66、およびX線
撮像器67から構成される。
【0017】プラズマX線源63から放射され、チタン
箔フィルタ64を透過してウォルタ鏡65により集光さ
れるX線1のスペクトルS1と、試料容器62中の試料
に入射するX線3のスペクトルS2を図4に示す。試料
容器62中の試料に入射するX線3は、試料容器62の
X線透過窓(0.1μm厚の窒化珪素膜)を通過するた
め、そのスペクトルS2はスペクトルS1よりも強度が
全体的に減少し、特に波長3nm(窒素の吸収端)以下
の領域で大きく強度が減少する。
【0018】図5にスペクトルS1、S2の差、すなわ
ち試料容器62のX線透過窓に吸収されるX線のエネル
ギスペクトルをA2で示す。本発明者らは、このスペク
トルにおいて、X線透過窓によるX線吸収は、波長3n
m以下の該波長近傍において著しいことに注目した。そ
して、「この波長域のX線をあらかじめ除去しておけ
ば、X線透過窓のX線吸収を低減させてX線透過窓の破
壊を防ぐことができること」を見出し、また「波長3n
m以下の該波長近傍のX線を除去して、しかも試料観察
に有効なX線を透過させるにはX線透過窓の材質(例え
ば、窒化珪素薄膜)をフィルタとして用いること、即ち
X線透過窓と同一材料のX線透過膜を、或いはX線透過
窓と同一または近似のX線吸収特性を有するX線透過膜
をフィルタとして用いることが効果的であること」さら
に「X線透過窓に照射されるX線よりも低い集光度にて
X線が照射される位置にフィルタを配置すれば、フィル
タのX線照射による破壊を防止できること」を見出し
た。
【0019】そこで、本発明のX線フィルタは、集光X
線が照射されるX線透過窓を備えた部材のX線照射側に
該部材から隔離して配置されてなるX線フィルタであ
り、前記部材のX線透過窓と同一材料のX線透過膜を備
えるか、或いは前記部材のX線透過窓と同一または近似
のX線吸収特性を有するX線透過膜を備え、かつ、前記
部材のX線透過窓に照射されるX線よりも低い集光度に
てX線が照射される位置に配置されてなるフィルタとし
た(請求項1)。
【0020】また、本発明のX線フィルタを構成するX
線透過膜は窒素の吸収端と呼ばれる波長以下の該波長近
傍のX線を除去する機能を有することとした(請求項
3)。本発明のX線フィルタの一例を図1に示す。X線
用フィルタ11は、シリコン基板(支持部材の一例)1
2の両面に窒化珪素薄膜13、13’が形成されてお
り、片面から窒化珪素薄膜13’及びシリコン基板12
が四角錐台状に除去されて開口部が形成され、もう片面
の窒化珪素薄膜13の一部14が開口部において自立膜
(メンブレン、厚さ0.1 μm)となっている。
【0021】例えば、厚さ0.1 μmの窒化珪素からなる
X線透過窓を備えた試料容器(集光X線が照射されるX
線透過窓を備えた部材の一例)32のX線照射側に該試
料容器32から隔離して、即ち前記試料容器32のX線
透過窓に照射されるX線よりも低い集光度にてX線が照
射される位置にX線フィルタ31を配置すると、フィル
タ31に入射するX線のスペクトルがS1、フィルタ3
1を通過し試料容器62のX線透過窓に入射するX線の
スペクトルがS2、X線透過窓を通過し試料に入射する
X線のスペクトルがS3となる(図4参照)。
【0022】このとき、X線フィルタ31及びX線透過
窓が吸収するX線のエネルギのスペクトルは、それぞれ
A2及びA3となる(図5参照)。X線フィルタ31の
X線透過膜(窒化珪素薄膜)の厚さをO.2 μmにした場
合には、フィルタ31を通過し試料容器32のX線透過
窓に入射するX線のスペクトルがS3、X線透過窓を通
過し試料に入射するX線のスペクトルがS4となり、X
線透過窓が吸収するX線のエネルギのスペクトルはA4
となる。
【0023】スペクトルA3及びA4をスペクトルA2
と比べると、3nm以下の吸収が大きく減少しているこ
とが分かる。また、スペクトルA3及びA4において、
3nm以下の吸収と3nm以上の吸収が大きく異ならな
いことから、X線フィルタ31のX線透過膜(窒化珪素
薄膜)の厚さは0.1 μm程度で十分であることも分か
る。
【0024】このように、本発明のX線フィルタによれ
ば、集光X線が照射されるX線透過窓を備えた部材の該
X線透過窓の破壊原因となるX線を効果的に除去するこ
とができる。本発明のX線フィルタは、例えばX線顕微
鏡に用いて好適であり、かかるX線フィルタは、少なく
とも、プラズマX線源と、該X線源からの不要な可視
光、紫外光、長波長X線及び短波長X線を除去するため
のフィルタと、該フィルタを透過したX線を試料に照射
するためのウォルタ鏡または斜入射鏡を用いた照明光学
系と、試料を保持する試料容器と、試料を透過したX線
を所定位置に結像させる結像光学系と、該所定位置に配
置されてなるX線検出系と、を有するX線顕微鏡に用い
られるX線フィルタであり、前記試料容器のX線透過窓
と同一材料のX線透過膜を備えるか、或いは前記試料容
器のX線透過窓と同一または近似のX線吸収特性を有す
るX線透過膜を備え、かつ、前記X線源と前記試料容器
の間で、前記試料容器のX線透過窓に照射されるX線よ
りも低い集光度にてX線が照射される位置に配置されて
なる(請求項2)。
【0025】本発明のX線フィルタを前記X線顕微鏡用
のフィルタとして用いることにより試料容器のX線透過
窓の破壊原因となるX線を効果的に除去することができ
る。そして、その結果、プラズマX線源の強度を増大さ
せて、ひいては試料容器中の試料に入射するX線強度を
増大させて試料観察をしやすくすることができる。ま
た、本発明のX線フィルタを構成するX線透過膜は、開
口部を有する支持部材の該開口部に設けられたメンブレ
ンであることが好ましい(請求項4)。
【0026】かかる構成にすることにより、試料観察に
有効なX線を透過させつつ、試料容器のX線透過窓の破
壊原因となる不要なX線を除去するフィルタ効果を向上
させることができる。また、フィルタの作製が容易とな
る。以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0027】
【実施例】図1は本実施例の軟X線用フィルタ(X線フ
ィルタの一例)の構造を示す概略平面図(上)及び概略
断面図(下)である。軟X線用フィルタ11は、両面に
窒化珪素薄膜13、13’が形成されたシリコン基板
(支持部材の一例)12の片面から窒化珪素薄膜13’
及びシリコン基板12が四角錐台状に除去されて開口部
が形成され、もう片面の窒化珪素薄膜13の一部(開口
部に位置する)14が自立膜(メンブレン)となってい
る。
【0028】図2に本実施例の軟X線用フィルタを製造
する方法の工程を示す。まず、厚さが0.4 mm程度のシ
リコン基板22の両面に低圧化学気相成長法(LP−C
VD)により厚さ0.1 μmの窒化珪素薄膜23、23’
を形成する(a)。次に、フォトレジスト25を片面に
塗布する(b)。
【0029】そして、フォトリソグラフィの手法で四角
形のパターニングを行うことによりフォトレジスト25
の四角形部分を除去し、このフォトレジストをマスクに
してドライエッチングにより窒化珪素薄膜23’の四角
形部分を除去する(c)。最後に、窒化珪素薄膜23’
をマスクにして、水酸化カリウム溶液を用いる異方性ウ
エットエッチングにより、シリコン基板22の一部を四
角錘台状に除去して開口部及びメンブレン24を形成す
る(d)。
【0030】窒化珪素薄膜23の自立膜になったメンブ
レン部分24が、フィルタとして働く。図3にウォルタ
鏡を光学素子とするX線顕微鏡に本実施例の軟X線用フ
ィルタを適用したX線顕微鏡(一例)の概略構成を示
す。このX線顕微鏡は、プラズマX線源33、チタン箔
フィルタ(X線源33からの不要な可視光、紫外光、長
波長X線及び短波長X線を除去するためのフィルタの一
例)34、集光(照明)用ウォルタ鏡35、軟X線用フ
ィルタ31、試料容器(窒化珪素薄膜からなるX線透過
窓を有する)32、対物(結像)用ウォルタ鏡36、お
よびX線撮像器(X線検出系の一例)37により構成さ
れる。
【0031】軟X線用フィルタ31は、試料容器32の
X線透過窓と同一材料(窒化珪素薄膜)のX線透過膜を
備え、かつ、X線源33と試料容器32の間で、試料容
器32のX線透過窓に照射されるX線よりも低い集光度
にてX線が照射される位置に配置されている。プラズマ
X線源33から放射されてチタン箔フィルタ34を透過
し、ウォルタ鏡35により集光されるX線1のスペクト
ルS1、軟X線用フィルタ31を通過するX線2のスペ
クトルS2、試料容器32中の試料に入射するX線3の
スペクトルS3を図4に示す。
【0032】また、軟X線用フィルタ31が吸収するX
線のエネルギースペクトルA2と、試料容器32のX線
透過窓が吸収するX線のエネルギースペクトルA3を図
5に示す。ここで、スペクトルA3をスペクトルA2と
比べると、3nm以下の吸収が大きく減少していること
が分かる。このように、本実施例の軟X線用フィルタ3
1をX線顕微鏡に用いることにより、試料容器32のX
線透過窓の破壊原因となるX線を効果的に除去しつつ、
自らも破壊されることなく、試料観察に有効なX線を透
過させることができる。
【0033】そして、その結果、プラズマX線源33の
強度を増大させて、ひいては試料容器32中の試料に入
射するX線強度を増大させて試料観察をしやすくするこ
とができる。なお、試料容器のX線透過窓も軟X線用フ
ィルタと同様の製造工程により作製できるが、作製する
方法や条件は全く同じである必要はない。
【0034】試料容器のX線透過窓の場合は、容器内に
収容されている水(試料周辺にある)の圧力とX線顕微
鏡内の真空との差圧に耐える機械的な強度や集光度の高
いX線に耐える熱的な強さが必要である。これに対し
て、軟X線フィルタの場合は、自立膜が単体で真空中に
設置され、自立するだけの強度があればよい。また、軟
X線フィルタが試料容器32のX線透過窓に照射される
X線よりも低い集光度にてX線が照射される位置に配置
されており、フィルタに入射するX線も十分に集光する
前で単位面積当たりの熱的な影響も小さいので、X線透
過窓の場合ほど強度や耐熱性が要求されないからであ
る。
【0035】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明のX線フ
ィルタによれば、集光X線が照射されるX線透過窓を備
えた部材の該X線透過窓の破壊原因となるX線を効果的
に除去しつつ、自らも破壊されることなく、試料観察に
有効なX線を透過させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例の軟X線用フィルタ(X線フィルタ
の一例)の構造を示す概略平面図(上)及び概略断面図
(下)である。
【図2】は、実施例の軟X線用フィルタを製造する方法
の工程図である。
【図3】は、実施例の軟X線用フィルタを備えたX線顕
微鏡の概略構成図である。
【図4】は、各フィルタやX線透過窓を通過したX線の
エネルギースペクトルを示すデータ図である。
【図5】は、X線が各フィルタやX線透過窓を通過した
ときに各フィルタやX線透過窓が吸収するX線のエネル
ギースペクトルを示すデータ図である。
【図6】は、従来のX線顕微鏡(一例)の概略構成図で
ある。
【符号の説明】
1 ウォルタ鏡または斜入射鏡により集光されつつある
X線 2 軟X線用フィルタを通過したX線 3 試料容器のX線透過窓を通過し試料に入射するX線 11、31 軟X線用フィルタ(X線フィルタの一例) 12、22 シリコン基板(支持部材の一例) 13、13’、23、23’ 窒化珪素薄膜 14、24 窒化珪素自立膜 25 フォトレジスト 32、62 試料容器 33、63 レーザプラズマX線源 34、64 チタン箔フィルタ 35、65 集光(照明)用ウォルタ鏡 36、66 対物(結像)用ウォルタ鏡 37、67 X線撮像器(X線検出系の一例) 以上

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 集光X線が照射されるX線透過窓を備え
    た部材のX線照射側に該部材から隔離して配置されてな
    るX線フィルタであり、 前記部材のX線透過窓と同一材料のX線透過膜を備える
    か、或いは前記部材のX線透過窓と同一または近似のX
    線吸収特性を有するX線透過膜を備え、かつ、前記部材
    のX線透過窓に照射されるX線よりも低い集光度にてX
    線が照射される位置に配置されてなるX線フィルタ。
  2. 【請求項2】 少なくとも、プラズマX線源と、該X線
    源からの不要な可視光、紫外光、長波長X線及び短波長
    X線を除去するためのフィルタと、該フィルタを透過し
    たX線を試料に照射するためのウォルタ鏡または斜入射
    鏡を用いた照明光学系と、試料を保持する試料容器と、
    試料を透過したX線を所定位置に結像させる結像光学系
    と、該所定位置に配置されてなるX線検出系と、を有す
    るX線顕微鏡に用いられるX線フィルタであり、 前記試料容器のX線透過窓と同一材料のX線透過膜を備
    えるか、或いは、前記部材のX線透過窓と同一または近
    似のX線吸収特性を有するX線透過膜を備え、かつ、前
    記X線源と前記試料容器の間で、前記試料容器のX線透
    過窓に照射されるX線よりも低い集光度にてX線が照射
    される位置に配置されてなるX線フィルタ。
  3. 【請求項3】 前記X線透過膜は、窒素の吸収端と呼ば
    れる波長以下の該波長近傍のX線を除去する機能を有す
    ることを特徴とする請求項1または2記載のX線フィル
    タ。
  4. 【請求項4】 前記X線透過膜は、開口部を有する支持
    部材の該開口部に設けられたメンブレンであることを特
    徴とする請求項1〜3記載のX線フィルタ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11160500A (ja) * 1997-11-28 1999-06-18 Japan Science & Technology Corp X線顕微鏡
JP2013536452A (ja) * 2010-06-29 2013-09-19 セントレ ナショナル デ ラ ルシェルシェ サイエンティフィック−シーエヌアールエス サブ波長スケールでの構造化膜を有するスペクトルフィルタおよびそのようなフィルタの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11160500A (ja) * 1997-11-28 1999-06-18 Japan Science & Technology Corp X線顕微鏡
JP2013536452A (ja) * 2010-06-29 2013-09-19 セントレ ナショナル デ ラ ルシェルシェ サイエンティフィック−シーエヌアールエス サブ波長スケールでの構造化膜を有するスペクトルフィルタおよびそのようなフィルタの製造方法

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