JPH09296292A - 傾斜硬度を有するクロムめっきおよびその製造方法 - Google Patents

傾斜硬度を有するクロムめっきおよびその製造方法

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JPH09296292A
JPH09296292A JP13436396A JP13436396A JPH09296292A JP H09296292 A JPH09296292 A JP H09296292A JP 13436396 A JP13436396 A JP 13436396A JP 13436396 A JP13436396 A JP 13436396A JP H09296292 A JPH09296292 A JP H09296292A
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JP
Japan
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plating
hardness
electrodeposition
chromium plating
chromium
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JP13436396A
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Yasuhiko Tanaka
泰彦 田中
Noriaki Yamada
典章 山田
Keiko Kato
恵子 加藤
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Japan Steel Works Ltd
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Japan Steel Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚膜化して耐食性等の特性を向上させたク
ロムめっきの耐剥離性を改善する。 【解決手段】 電析中のめっき浴温度を連続的に下降
させて、被処理物側から表面に向けて硬度が連続的に上
昇しているクロムめっきを形成する。 【効果】 傾斜硬度により耐剥離性が大幅に改善さ
れ、厚膜化による耐食性、耐摩耗性等の特性の向上が可
能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗・耐剥離性
および耐腐食性に優れたクロムめっきおよび該めっきの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】クロムめっきは、表面の摩擦係数が小さ
く高硬度で耐摩耗性に優れており、しかも安価であるこ
とから産業機械用部材の多くに表面被覆材として用いら
れている。しかし、従来のクロムめっきはニッケルめっ
きなどに比べて耐食性が劣っており、腐食環境での使用
には不向きであると考えられている。クロムメッキで高
い耐食性が得られない理由としては、クロムめっきの靱
性が低く、電析直後に表面張力の開放による割れを生じ
ることが挙げられる。この割れがめっきを貫通して被処
理物に達するような大きなものになると、腐食を受けや
すい鉄鋼系の被処理物へ施工した場合、電気的に貴なク
ロムと卑な被処理物との界面において被処理物側が一方
的に腐食し、めっき部分が浮き上がることがある。その
結果、表面に作用する機械的な力によって剥離を起こ
し、さらに腐食が進行する。よって腐食雰囲気中だけで
なく、屋外や湿度の高い場所で用いられる機械部材にも
工業用クロムめっきは適さないとされている。
【0003】従来、これらに対する対策として貫通割れ
の密度を低減する方法が考えられている。例えば、下地
にニッケルめっきを施す方法、クロムめっきを2層に施
工して貫通割れの密度を下げる方法、ニッケルめっきで
割れを埋める方法、被処理物の表面粗度を粗くし、結晶
方位の異なるクロムめっきを成長させた処理方法などが
提唱されている。しかしながら、いずれの方法も通常の
クロムめっきに比較して大幅に手間がかかる。例えば、
クロムめっきを2層に施工して貫通した割れを防ぐ方法
では、2層目を1層目と結晶方位的に整合しないよう
に、1層目のめっきを平滑に研磨し、その後に2層目を
電着させる必要がある。またニッケルめっきで割れを埋
める方法ではクロムとニッケルの2つの浴を準備しなけ
ればならず、条件によってはクロムめっきとニッケルめ
っきとの界面で剥離してしまうことがある。上記のよう
に、従来のクロムめっきでは、耐食性の改善のために多
大な手間を必要とし、その結果、製造コストが嵩むとい
う問題があり、これらの手間を必要とせず、したがって
低コストで耐食性を改善できるクロムめっきの開発が望
まれている。
【0004】また、近年、製造プロセスの高度化に伴
い、めっきに要求される材料性能は過酷さを極めてお
り、例えば、エンジニアリングプラスチックの分野にお
ける押し出し機のスクリューでは、400℃近い高温で
の使用が当然とされ、また炭化珪素、窒化珪素などの硬
質粒子を含んだ樹脂の混練を行うために、さらなる耐摩
耗性が必要とされ、かつ高温に熱せられた樹脂から発生
するフッ素ガスなどの腐食性ガスにも耐えなければなら
ないとされる。同じ様なことがガスゲートバルブなど多
くの機械用部材に要求されており、これら過酷な性能要
求にも応えることができるクロムめっきの開発も望まれ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこでめっきの厚さ
を、例えば100μmを越えるような厚膜にすること
で、工程の増加等を必要としないで、亀裂の貫通を防
ぎ、よって耐食性を向上させ、さらには耐摩耗等を向上
させることが考えられる。しかし、めっき膜厚を増加さ
せると転動のような衝撃的な力によってめっき膜が剥離
しやすくなり、特に衝撃を頻繁に受けるような適用分野
によっては使用自体困難になるという問題がある。
【0006】この場合の剥離は、上記した腐食による剥
離現象とは基本的にメカニズムが異なっており、衝撃等
による多くの剥離位置はめっき−被処理物界面近傍のク
ロムめっき内で起こりやすい。FEM(有限要素法)解
析などの結果からは、表面にせん断力が負荷されると、
直下に存在するめっきの割れ先端に応力集中が起こり、
被処理物の面と45度方向に生じる最大せん断応力が剥
離の原因となると考えられている。しかし、静的な荷重
での剥離に比べ、衝撃的な荷重による剥離の形態は複雑
であり、さらに詳しいメカニズムの解析が必要である。
JIS H8615に、参考として一般的めっきの厚さ
の例が表示されているが、もっとも厚いエンジン用にお
いても100μm程度である。しかし耐腐食性に優れ、
過酷な摩耗等にも耐えられるめっきとしては、少なくと
もこの倍以上の200μm程度の厚さが必要と考えられ
る。めっきの剥離は摩耗以上に寸法精度、信頼性を急激
に低下させるため確実に防止しなければならない。よっ
てめっき厚さが増加してもめっき−被処理物界面近傍で
一気に剥離を生じないめっきが求められる。
【0007】そこで、厚いめっきにおける衝撃的な力に
よるめっき−被処理物界面の剥離を防止するために界面
付近に応力が伝播する以前に衝撃力を吸収する方法が有
効と考えられる。この方法はめっき硬度を下げることに
より達成される。しかしながら、めっき硬度を下げる
と、めっき表面付近での耐摩耗性も必然的に低下すると
いう問題がある。これに対しては、被処理物近傍では軟
質の、表面では硬質の2種類のめっきを2層に形成すれ
ばよいことになる。ところが硬度の不連続な界面を持つ
ために剥離に対しての信用性は十分でなく、例えば、不
連続部分に応力が集中してこの部分で剥離するおそれも
ある。
【0008】本発明は、上記事情を背景としてなされた
ものであり、100μmを越えるような膜厚の厚いクロ
ムめっきにおいても剥離のおそれが小さく、よって厚膜
化による耐摩耗性や耐食性等の特性の向上が可能な傾斜
硬度を有するクロムめっきおよびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明のうち第1の発明の傾斜硬度を有するクロムめっ
きは、被処理物側から表面に向けて硬度が連続的に上昇
していることを特徴とする。第2の発明の傾斜硬度を有
するクロムめっきは、第1の発明において、被処理物と
めっきとの界面における両者の硬度の差が、Hv300
以下であることを特徴とする。第3の発明の傾斜硬度を
有するクロムめっきは、第1または第2の発明におい
て、表面の硬度がHv800以上であることを特徴とす
る。
【0010】第4の発明の傾斜硬度を有するクロムめっ
きの製造方法は、被処理物をめっき浴に浸漬し、この被
処理物に電析によってめっきを施すめっきの製造方法に
おいて、電析中にめっき浴温度を連続的に下降させるこ
とを特徴とする。第5の発明の傾斜硬度を有するクロム
めっきの製造方法は、第4の発明において、めっき浴温
度が電析初期で62℃以上75℃以下、電析終期で55
℃以下であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施形態】なお、本発明が適用される被処理物
の種別は特に限定されるものではなく、めっき可能なあ
らゆる材料への適用が可能である。この被処理物に形成
されるクロムめっきの厚さは、上記したように、良好な
耐腐食性等の特性が得られるように、100μmを越え
るのが望ましく、さらに200μm以上とするのが一層
望ましい。ただし、本発明による耐剥離性の向上は膜厚
に拘わらず得られるものであり、したがって本発明の適
用が膜厚の厚いものに限定されるものではない。
【0012】また、めっき形成に際しては通常は、サー
ジェント浴と称されるめっき浴が使用される。サージェ
ント浴の主成分はクロム酸と硫酸であり、その他に適
宜、活性剤等を使用することができ、これらを適宜量を
混合して使用する。このサージェント浴の一例として、
1リットル当たり、無水クロム酸100〜400g、硫
酸1.0〜4.0g、3価クロム3〜5gのものが挙げ
られる。
【0013】なお、クロムめっきの硬度はめっき施工時
のめっき浴の温度の上昇により変化する。そこで電析初
期のめっき浴温度を高く設定し、連続的に浴温を下降さ
せていくことにより、めっきに硬度が連続的に変化する
傾斜硬度を持たせることができる。上記硬度が連続的に
変化するとは、明確な不連続部を持たないことを意味し
ており、変化の度合いは位置によって異なっていてもよ
い。したがって、部分的には深さ方向で硬度が一定の領
域を含むことも許容される。ただし、局部的な応力集中
を避けるためにはめっきの硬度変化は全体的に緩やかな
ものとするのが望ましい。なお、実際の操業では浴の設
定温度を連続的に変化させる他に、設定温度を段階的に
変化させ、これに伴う浴温の緩やかな変化を利用して浴
温を連続的に降下させることも可能である。
【0014】なお、浴温を上げることによりめっき硬度
が下がることは上述したとおりであるが、75℃を越え
る温度としてもほとんど硬度は変化しない。一方で、7
5℃を越えると電着効率は低下し、面荒れ等のめっき性
状も著しく悪化する。このため、浴温は最高でも75℃
とするのが望ましい。また、温度を十分に上げないとめ
っき硬度の低下も不十分になるので、電析初期では浴温
度を62℃以上とするのが望ましい。例えば、一般的な
平均電流密度20〜30A/dm2の範囲で電流密度を
一定にして電着を行い、脱水素のために200℃程度の
ベーキングを行うと、上記温度域で形成されるめっきの
硬さはHv600以下となる。ここで注意しなければな
らないのは、被処理物の硬度以下にめっき硬度が下がら
ないようにすることである。通常用いられる鉄鋼系材料
の場合、Hv400以下でありクロムめっきの硬度がこ
れ以下になることはあまり考えられないが、めっき硬度
はクロム単体のHv300程度まで理論上軟化できるか
らである。さらには、厚さ方向の硬さ不連続をなるべく
なくすか、その差を小さくすることが望ましく、被処理
物の硬度と接合部分のめっきの硬度を(被処理物の硬度
+Hv300)以下にすると、両者の界面での剥離の確
率が大幅に低下することが実験的に得られている。この
確率をさらに低下させるという点ではその差をなくすこ
とが一層望ましい。
【0015】一方、傾斜硬度を有するめっきの表面近傍
では、良好な耐摩耗性を得るという観点からHv800
以上とすることが望ましい。これはHv800未満では
耐摩耗性が十分でなく摩耗量が急激に増えるためであ
る。なお、先ほどと同条件の平均電流密度20〜30A
/dm2の範囲内で一定にして電着を行い、脱水素のた
めの200℃程度のベーキングを行うならば、浴温55
℃以下でHv800以上となる。したがって、電析終期
のめっき浴温度は55℃以下が望ましい。ただし、電析
安定性の理由で50℃以上とするのが望ましい。なお、
硬度の勾配は浴温によって定まる電着速度を換算して決
定される。硬度は直線的に上昇するように、もしくは表
面に向かって勾配が緩やかになるように設定するのが望
ましい。なお、本発明ではめっきの耐剥離性が向上する
ため、表面の硬度を従来材よりも上げて耐摩耗性をより
向上させることも可能である。
【0016】本発明のクロムめっきは、結晶学的な不連
続な界面を持たず連続的な硬さの勾配を持つので、衝撃
的な負荷に対する耐剥離性が大幅に改善される。そし
て、内層部の硬度が低下することにより靭性が向上する
こと及び厚膜化が可能なことから、硬質クロムめっき特
有の潜在的な貫通クラックがほとんど存在せず、下地金
属が腐食性の材料であっても耐腐食性は非常に高く、同
時に腐食による耐剥離性にも優れる。 すなわち、本発
明の傾斜硬度めっきは一気にめっきが剥離しないため、
連続的に使用される使用環境においても寸法が急激に変
化せず、寿命を大きく延長することができる。
【0017】
【実施例】
(実施例1)めっき浴として標準浴(サージェント浴、
CrO3:H2SO4=250:2.5、g/リットル)
を用意し、陽極には白金板、陰極(被処理物)には4N
i鋼(Fe−4Ni−1.5Cr−0.5Mo)を使用
してクロムめっき処理を行った。なお、陽極:陰極の面
積比は1:1であり、平均電流密度は20A/dm2
一定とした。めっき槽は循環対流方式で常に攪拌を行
い、またPID制御により槽全体にわたって±1℃の精
度で温調を行った。
【0018】なお、本実験装置を用いて一定膜厚を電着
するとき、その必要な時間と浴温との関係は以下のよう
な関係にあることが経験的に得られた。すなわち、 (電着速度;μm/hr)=57.8×e-0.026T(T;浴温,℃)・・・(1) である。浴温を75℃から毎時1.0℃の速度で降下さ
せ、浴温50℃になるまで25時間電着を行う時の電着
量は、(1)式を積分することにより算出され、その値
は290μmとなる。そこでこれを踏まえて、上記のよ
うな条件で25時間電着処理を行って290μm厚のク
ロムめっきを形成し、続いて250℃で10時間の脱水
素処理を行った。
【0019】また、比較のため、上記と同様のめっき浴
を使用し、終始、浴温を52℃に保ち、19時間電析を
行い、他は上記と同条件で電析を行って290μm厚の
単層クロムめっきを形成した。さらに、同じく比較のた
め、62℃で18時間電析した後、表面を研磨後、52
℃で7時間電着を行い、その後試料厚さを290μmに
機械研磨して2層クロムめっきを形成した。
【0020】得られた被処理物の断面を切り出して研磨
後、ピッカース硬度計にて深さ位置を変えて硬度測定を
行った。その結果を図1に示す。図から明らかなよう
に、比較法による単層クロムめっきでは、被処理物との
界面で硬度差が非常に大きい不連続部が形成された。ま
た比較法による2層クロムめっきでは、硬度差は上記よ
りも小さいものの、上記界面およびめっき層間で明確な
不連続部が形成された。一方、本発明法により製造され
ためっきは、硬度が緩やかに上昇しており、また、めっ
き中に不連続な界面を持たず、また下地から均質に形成
されていた。
【0021】(実施例2)次に、めっきの剥離試験を行
うため、図2に示すロール1の外周に実施例1と同様の
条件で上記3種のめっき2を施工した。実験方法はめっ
きを施した上記ロール1を1分間に2000回転させ、
直上から見て中心線より2/3半径分ずれた位置に直径
10mmの鋼球3を高さ2mの位置からめっき2面に落
下させる方法であり、落下は同じ位置に200回行うも
のとした。
【0022】その結果、3つの試料ともめっきの損傷が
見られたが、比較法の単層めっきでは、星形に鋭角な剥
離を8ヵ所で生じ、一つあたりの剥離部は10mm角ほ
どと大きかった。また、比較法の2層めっきでは、被処
理物の界面にまで達する割れが3ヵ所生じており、その
一つの剥離は10mm角程度でほぼ上記単層めっきと同
じであるが、鋭角には剥離せず、鈍角の多角形状に剥離
を生じた。さらに、深さが100μm以下の欠けあるい
はクレーター状のくぼみを12ヵ所に生じていた。これ
に対し発明法のめっきでは、深さ数10μm程度のクレ
ーター状の欠けが5ヵ所に生じたが、2層めっきのもの
に比べ深さが浅く、表層の20〜50μmほどの位置で
割れの進展が停止していた。以上のように、本発明によ
る傾斜硬度めっきは、比較法によるめっきに比べ耐剥離
性が大幅に向上しており、厚膜化においても剥離が生じ
にくいめっき膜が形成されている。
【0023】次に、めっきの厚膜化による特性の向上効
果を確認するため、厚さを種々変えためっきの腐食試験
を行った。具体的には、上記に示した本発明法のめっき
形成に際し、電着時間(降温速度)を変えて厚さ50,
100,150,200,250,300μmの傾斜硬
度めっきを作製した。ただし、電着初期の浴温を75℃
とし50℃まで連続的に降温することとした。例えば1
8時間の電着(200μm厚)では(25/18)℃/
hrで降温を行っていることになる。また、比較のた
め、上記した単層めっきについて電析時間を変えること
により上記と同厚さの5種の単層めっきを形成した。
【0024】上記各めっきに対し、JIS Z2371
の塩水噴霧試験法に準じた実験により耐腐食性の評価を
行った。この結果、発明材、比較材ともに100μm以
下の厚さのめっきでは噴霧後1日程度で表面に錆が浮き
上がりはじめる。めっきの厚さ150μmではわずかな
がら表面に変色が認められるが、200μm以上の発明
材では十分な時間保持後もほとんど観察されなかった。
次に、各めっきに対し、上記と同様の剥離試験を行った
ところ、発明材ではいずれも良好な耐剥離性を示した。
一方、比較材では、150μm以上のめっきで明らかな
剥離が生じており、膜厚が厚くなるに従ってその現象が
顕著になった。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の傾斜硬度
を有するクロムめっきによれば、被処理物側から表面に
向けて硬度を連続的に上昇させたので、表面では良好な
耐摩耗性等を確保できるとともに、内層では割れの進展
を防いで耐剥離性を大幅に向上させることができる。な
お、被処理物とめっきとの界面における両者の硬度の差
を、Hv300以下とすれば、めっき膜の剥離をより有
効に防止することができ、また、めっきの表面の硬度を
Hv800以上とすれば、良好な耐摩耗性が保証され
る。
【0026】また、本発明のクロムめっきの製造方法に
よれば、被処理物をめっき浴に浸漬し、この被処理物に
電析によってめっきを施すめっきの製造方法において、
電析中にめっき浴温度を連続的に下降させるので、不連
続部がなく良質で硬度が所望の状態で傾斜しためっきが
簡易な製造工程により得られる。なお、めっき浴温度を
電析初期で62℃以上75℃以下、電析終期で55℃以
下とすれば、良質で表面および被処理物との界面で所望
の硬度を有するクロムめっきが確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明および比較例によるめっきの断面硬度
を示す図である。
【図2】 めっきの剥離性試験概念図である。
【符号の説明】
1 ロール 2 クロムめっき 3 鋼球

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理物側から表面に向けて硬度が連続
    的に上昇していることを特徴とする傾斜硬度を有するク
    ロムめっき
  2. 【請求項2】 被処理物とめっきとの界面における両者
    の硬度の差が、Hv300以下であることを特徴とする
    請求項1に記載の傾斜硬度を有するクロムめっき
  3. 【請求項3】 表面の硬度がHv800以上であること
    を特徴とする請求項1または2に記載の傾斜硬度を有す
    るクロムめっき
  4. 【請求項4】 被処理物をめっき浴に浸漬し、この被処
    理物に電析によってめっきを施すめっきの製造方法にお
    いて、電析中にめっき浴温度を連続的に下降させること
    を特徴とするクロムめっきの製造方法
  5. 【請求項5】 めっき浴温度が電析初期で62℃以上7
    5℃以下、電析終期で55℃以下であることを特徴とす
    る請求項4記載のクロムめっきの製造方法
JP13436396A 1996-05-01 1996-05-01 傾斜硬度を有するクロムめっきおよびその製造方法 Pending JPH09296292A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114059109A (zh) * 2021-12-01 2022-02-18 上海通乐冶金设备工程有限公司 一种导电辊表面防腐镀层的制作工艺
EP4201693A1 (en) * 2021-12-21 2023-06-28 Sesa S.p.A. Method for manufacturing a surface of a press element, pressing element obtained by such method and method for the production of coated panels using such press element

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