JPH09296151A - 塗膜および塗料組成物 - Google Patents

塗膜および塗料組成物

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JPH09296151A
JPH09296151A JP8130959A JP13095996A JPH09296151A JP H09296151 A JPH09296151 A JP H09296151A JP 8130959 A JP8130959 A JP 8130959A JP 13095996 A JP13095996 A JP 13095996A JP H09296151 A JPH09296151 A JP H09296151A
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伸 芳澤
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Junichiro Nagata
順一郎 永田
Yoshiro Nishimura
好郎 西村
Yoshikazu Ishimoda
佳和 石母田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐汚染性と密着性とを両立させた塗膜を実現
する。 【解決手段】 塗膜1は、不規則に多数点在する、ケイ
素含有塗膜からなるスポット状塗膜部分3と、フッ素含
有ウレタン樹脂による連続塗膜部分2とを備えている。
なお、この塗膜1において、スポット状塗膜部分3は、
例えば、一個当たりの平均面積が0.7〜80(10
-12・m2)であり、かつ、スポット状塗膜部分3(A)
と連続塗膜部分2(B)との面積比率(A/B)が、例
えば、85/15〜20/80である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗膜および塗料組
成物、特に、フッ素含有樹脂を用いた塗膜およびフッ素
含有樹脂を含む塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】建築物の外壁に施される塗膜
は、美麗な外観を長期間維持するために、耐汚染性が要
求されている。耐汚染性の良好な塗膜としては、一般
に、フッ素含有樹脂およびシラノール基含有化合物を含
む塗料用組成物を用いて形成されたものが知られてい
る。ところが、この種の塗膜は、一般に塗膜表面にシリ
ケートが浮き出ることが多いため、塗膜を多重に塗り重
ねたり、或いは補修等を目的として既存の同様の塗膜上
に塗り重ねたりした場合に、塗膜間で十分な密着性を確
保するのが困難である。
【0003】このため、特開平8−41415号公報に
は、含フッ素ビニル共重合体、硬化剤、シラノール基を
有する化合物および有機溶剤を必須の成分として含有す
る、耐汚染性と密着性とを両立させた塗膜を形成可能な
樹脂組成物が示されている。しかし、この樹脂組成物を
用いて形成した塗膜は、空気中の煤煙や砂塵等の付着に
よる汚染に対しては比較的良好な耐汚染性を示すもの
の、所謂雨スジ跡が形成されやすく、結果として満足な
耐汚染性を示すには至っていない。なお、このような樹
脂組成物を用いて雨スジ跡が形成されにくい塗膜を実現
するためには、シラノール基を有する化合物の含有量を
増加させればよいが、この場合は、塗膜間の密着性が低
下してしまう。
【0004】本発明の目的は、耐汚染性と密着性とを両
立させた塗膜を実現することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る塗膜は、不
規則に多数点在するケイ素含有塗膜部分と、フッ素含有
ウレタン樹脂による連続塗膜部分とを備えている。な
お、この塗膜において、ケイ素含有塗膜部分は、例え
ば、一個当たりの平均面積が0.7〜80(10-12
2)であり、かつ、ケイ素含有塗膜部分(A)と連続
塗膜部分(B)との面積比率(A/B)が、例えば、8
5/15〜20/80である。
【0006】また、本発明に係る塗膜は、同じ塗膜を塗
り重ねてJIS K5400による付着性碁盤目テープ
法を実施した際の密着性が90/100以上であり、か
つ、6か月以上の暴露試験実施後の複数点における△E
*ab の平均値が6.0以下である。
【0007】また、本発明に係る塗料組成物は、水酸基
を有するフッ素含有ビニル共重合体樹脂と、ポリアルキ
レンオキサイドユニット含有ポリイソシアネートと、シ
ラノール基含有化合物および加水分解性シリル基含有化
合物のうちの少なくとも1種のケイ素含有化合物とを含
んでいる。
【0008】この塗料組成物において、フッ素含有ビニ
ル共重合体樹脂は、例えば、分子の末端または側鎖のう
ちの少なくとも一方に塩構造を形成している基を有して
いる。また、ポリアルキレンオキサイドユニット含有ポ
リイソシアネートは、例えば、イソシアヌレート環含有
ポリイソシアネートにポリアルキレングリコールモノア
ルキルエーテルを反応させることにより得られたもので
ある。さらに、フッ素含有ビニル共重合体樹脂とポリア
ルキレンオキサイドユニット含有ポリイソシアネートと
の配合比は、例えば、フッ素含有ビニル共重合体樹脂の
水酸基量を1とした場合にポリアルキレンオキサイドユ
ニット含有ポリイソシアネートに含まれるイソシアネー
ト基量が当量比で0.5〜2になるよう設定されてお
り、かつ、ケイ素含有化合物の含有量は、例えば、フッ
素含有ビニル共重合体樹脂の固形分とポリアルキレンオ
キサイドユニット含有ポリイソシアネートの固形分との
合計100重量部に対して5〜35重量部になるよう設
定されている。
【0009】
【発明の実施の形態】塗膜 図1は、本発明に係る塗膜のイメージ図である。図にお
いて、塗膜1は、連続塗膜部分2と、当該連続塗膜部分
2中に点在する多数のスポット状塗膜部分3とを有して
いる。このように、塗膜1は、海状の連続塗膜部分2に
スポット状塗膜部分3が島状に存在する所謂海島構造に
形成された、ミクロドメイン構造を有している。なお、
このような塗膜構造は、塗膜表面を電子顕微鏡を用いて
観察すると確認することができる。
【0010】ここで、連続塗膜部分2は、主にフッ素含
有ウレタン樹脂塗膜により形成されており、必要に応じ
て顔料などを含んでいる。一方、スポット状塗膜部分3
は、主にケイ素含有塗膜により形成されている。このケ
イ素含有塗膜に含まれるケイ素は、主にシラノール基ま
たはシロキサン結合の状態で存在している。
【0011】スポット状塗膜部分3の形状は、特に限定
されないが、通常は概ね円形状に形成されている。この
スポット状塗膜部分3の平均面積は、通常、0.7〜8
0(10-12・m2)である。この平均面積が0.7(1
-12・m2)未満の場合は、塗膜1が十分な耐汚染性を
発揮しない場合がある。逆に、平均面積が80(10
-12・m2)を超える場合は、塗膜1を多重に塗り重ねた
り、或いは補修等を目的として既存の塗膜1上に同様の
塗膜1を塗り重ねたりした際に、塗膜間での十分な密着
性(以下単に密着性と略す)を確保するのが困難になる
場合がある。
【0012】塗膜1は、通常、スポット状塗膜部分3
(A)と連続塗膜部分2(B)との面積比率(A/B)
が85/15〜20/80になるよう形成されている。
この面積比率がこの範囲以外の場合は、塗膜1が良好な
耐汚染性と密着性とを同時に発揮しない場合がある。
【0013】なお、上述の平均面積および面積比率は、
例えば、塗膜1の画像を電子顕微鏡を用いて撮影し、こ
の画像を基にして求めることができる。
【0014】このような塗膜1は、主に連続塗膜部分2
により良好な密着性を発揮し、また、主にスポット状塗
膜部分3により良好な耐汚染性、特に雨スジ跡が形成さ
れにくい耐汚染性を発揮するものと考えられる。
【0015】上述の塗膜1は、通常、同じ塗膜1を塗り
重ねてJIS K5400による付着性碁盤目テープ法
を実施した際の密着性が90/100以上であり、ま
た、6か月以上の暴露試験実施後の複数点における△E
*ab の平均値が6.0以下の耐汚染性を示す。付着性
碁盤目テープ法および暴露試験の実施方法の詳細は下記
の通りである。
【0016】(付着性碁盤目テープ法)JIS K54
00に従って作成した塗膜上に同様の塗膜を重ねて形成
し、室温で1週間後放置した後にJIS K5400に
従い付着性碁盤目テープ法を実施する。この際、すきま
間隔は1mmに設定し、ます目の数を100個に設定す
る。
【0017】(暴露試験)日本建築学会構造系論文報告
集第393号(昭和63年11月)第11〜16頁に掲
載された屋外暴露法のうちの暴露A法に従って塗膜を6
か月以上暴露する。因みに、暴露A法は、建築物のパラ
ペットや水切り下部等の降雨水の流下が起こりやすい壁
面に発生する汚染を試験する場合の暴露法である。な
お、この暴露試験方法は、現在、財団法人建材試験セン
ターより日本工業規格(JIS)に収載申請中である。
【0018】暴露後の塗膜について、中心線に沿って上
部から下部にかけて均等間隔で5点を設定し、この5点
のそれぞれについて色差計を用いて△E*ab を測定
し、その平均値を求める。なお、色差計としては、ミノ
ルタ株式会社製のCR−310(口径=5cm)を使用
することができる。
【0019】本発明に係る上述の塗膜1は、例えば、鋼
構造物や建築物の外装などの耐汚染性が要望される部位
に形成される。この塗膜1は、例えば、以下に説明する
塗料組成物を鋼構造物や建築物の外壁に適用することに
より形成することができる。
【0020】塗料組成物 上述の塗膜1を形成するための本発明に係る塗料組成物
は、フッ素含有ビニル共重合体樹脂と、ポリアルキレン
オキサイドユニット含有ポリイソシアネートと、ケイ素
含有化合物とを含んでいる。
【0021】(フッ素含有ビニル共重合体樹脂)本発明
で用いられるフッ素含有ビニル共重合体樹脂は、上述の
ポリアルキレンオキサイドユニット含有ポリイソシアネ
ートと硬化反応を起こし得る基、すなわち水酸基を有す
るものである。
【0022】このようなフッ素含有ビニル共重合体樹脂
は、塗膜の耐汚染性をより高めることができるようにな
る点で、分子の末端または側鎖のうちの少なくとも一方
に塩構造を形成している基を有するものが好ましい。な
お、塩構造を形成している基としては、例えば、カルボ
ン酸塩基、リン酸塩基、スルホン酸塩基、4級アンモニ
ウム塩基が挙げられる。
【0023】このようなフッ素含有ビニル共重合体樹脂
は、例えば、フッ素含有単量体、水酸基を含む単量体お
よび必要に応じて塩構造を形成している基を含む単量体
を重合することにより製造することができる。なお、塩
構造を形成している基を含む単量体を用いた場合は、耐
汚染性のより良好な塗膜の形成が期待できる。
【0024】ここで用いられるフッ素含有単量体として
は、分子内にフッ素原子と重合性二重結合とを有するも
のが用いられる。このようなフッ素含有単量体として
は、塗膜の耐候性をも高めることができる点で、重合し
た場合に下記の一般式(1)で示されるフルオロオレフ
ィン構造単位を主鎖中に導入し得るものが好ましい。
【0025】
【化1】
【0026】一般式(1)中、W、X、YおよびZは、
いずれも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはハ
ロゲン化アルキル基を示し、少なくとも1つがフッ素原
子である。なお、W、X、YおよびZは、互いに同一で
あってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0027】このようなフッ素含有単量体としては、フ
ッ化ビニル,フッ化ビニリデン,トリフルオロエチレ
ン,テトラフルオロエチレン,クロロトリフルオロエチ
レン,ブロモトリフルオロエチレン,ペンタフルオロプ
ロピレン,ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素含有α
−オレフィン類、トリフルオロメチルトリフルオロビニ
ルエーテル,ペンタフルオロエチルトリフルオロビニル
エーテル,ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニル
エーテルなどのパーフルオロアルキル−パーフルオロビ
ニルエーテル類、炭素数が1〜18個のアルキル基を有
する(パー)フルオロアルキルビニルエーテル類などを
例示することができる。
【0028】なお、このようなフッ素含有単量体のう
ち、フッ素含有ビニル共重合体樹脂中に上述の一般式
(1)で示される構造単位を共重合により導入すること
ができる点で、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリ
フルオロエチレン、テトラフルオロエチレンおよびクロ
ロトリフルオロエチレンのうちの少なくとも1つを用い
るのが好ましい。
【0029】上述のフッ素含有単量体は、2種以上のも
のが併用されてもよい。
【0030】また、水酸基を含む単量体としては、水酸
基と重合性二重結合とを有するものが用いられる。この
ような単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル
ビニルエーテル,3−ヒドロキシプロピルビニルエーテ
ル,4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどの水酸基
含有ビニルエーテル類、これら各種ビニルエーテル類と
ε−カプロラクトンとの付加反応生成物、2−ヒドロキ
シエチルアリルエーテル,2−ヒドロキシエチルメタア
リルエーテル,3−ヒドロキシプロピルアリルエーテ
ル,3−ヒドロキシプロピルメタアリルエーテル,4,
4−ジヒドロキシブチルアリルエーテル,4,4−ジヒ
ドロキシブチルメタアリルエーテルなどの水酸基含有ア
リルエーテル類、これら各種水酸基含有アリルエーテル
類とε−カプロラクトンとの付加反応生成物、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート,2−ヒドロキシプロピルアクリレート,2
−ヒドロキシプロピルメタクリレート,3−ヒドロキシ
プロピルアクリレート,3−ヒドロキシプロピルメタク
リレート,4−ヒドロキシブチルアクリレート,4−ヒ
ドロキシブチルメタクリレートなどの水酸基含有アクリ
レートまたはメタクリレート類、これら各種水酸基含有
アクリレートまたはメタクリレート類とε−カプロラク
トンとの付加反応生成物を挙げることができる。
【0031】なお、上述の水酸基を含む単量体は、2種
以上のものが併用されてもよい。
【0032】さらに、塩構造を形成している基を含む単
量体としては、塩構造を形成している基と重合性二重結
合とを有するものが用いられる。このような単量体とし
ては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸,クロトン
酸,イタコン酸,マレイン酸,フマル酸,シトラコン
酸,カルボキシエチルビニルエーテルなどの各種不飽和
カルボン酸類の金属塩、ビニルホスフィン酸,アシッド
ホスホキシエチルアクリレート,アシッドホスホキシエ
チルメタクリレートなどの各種不飽和リン酸系単量体の
金属塩またはアンモニウム塩、p−トルエンスルホン
酸,2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸などの各種スルホン酸基含有ビニル系単量体の金属塩
またはアンモニウム塩、ポリオキシアルキレン−モノ−
スルホン酸−モノアクリレート,ポリオキシアルキレン
−モノ−スルホン酸−モノメタクリレート,ポリオキシ
アルキレン−モノ−スルホン酸アルケニルフェノール,
ポリオキシアルキレン−モノ−スルホン酸アルケニルア
ルキルフェノールなどの各種ポリオキシアルキレン鎖含
有スルホン酸基含有ビニル系単量体の金属塩またはアン
モニウム塩、ビニルピリジン,N,N−ジメチルアミノ
スチレン,N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレ
ート,N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレー
ト,N−(N’,N’−ジアルキルアミノアルキル)ア
クリルアミド、N−(N’,N’−ジアルキルアミノア
ルキル)メタクリルアミドなどの各種窒素含有ビニル系
単量体を塩化ベンジル,臭化メチルまたは硫酸ジブチル
のような4級化剤類を用いて4級化して得られた種々の
単量体を挙げることができる。
【0033】なお、本発明で用いられる塩構造を形成し
ている基を含む単量体として好ましいものは、塗膜の耐
汚染性を高めることができる点で下記の一般式(2)で
示される特定の一価の有機基である塩構造形成基を主要
部に有するような単量体類である。
【0034】
【化2】
【0035】なお、一般式(2)中、R1 、R2 、R3
およびR4 は、いずれも水素原子、ハロゲン原子、アル
キル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基
または−SO3M 含有基(Mは、金属イオンとアンモニ
ウム塩よりなる群から選ばれた1つの原子イオンまたは
原子団を示す)を示す。なお、R1 、R2 、R3 および
4 は、それぞれ互いに同一であってもよいし、互いに
異なっていてもよい。但し、R1 、R2 、R3 およびR
4 のうちの少なくとも1つは−SO3M 含有基である。
また、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 およびR10は、い
ずれも水素原子、炭素数が1〜20のアルキル基,シク
ロアルキル基,アリール基またはアラルキル基である。
なお、R5 、R6 、R7 、R8 、R9 およびR10は、そ
れぞれ互いに同一であってもよいし、互いに異なってい
てもよい。さらに、mは0または1であり、nは1以上
の自然数である。
【0036】このような一般式(2)で示される単量体
としては、式中の−(CH2)n−で示される部分がビ
ニル基または炭素数が3〜18個のアルケニル基により
置換されたものを用いることもできる。
【0037】一般式(2)で示される単量体の具体例と
しては、例えば、モノ−メチルスルホコハク酸ナトリウ
ム−モノ−ビニルエステル、モノ−エチルスルホコハク
酸アンモニウム−モノビニルエステル、モノ−プロピル
スルホコハク酸カリウム−モノ−プロペニルビニルエス
テル、モノ−オクチルスルホコハク酸アンモニウム−モ
ノ−ブテニルエステル、モノ−オクチルスルホコハク酸
ナトリウム−モノ−プロペニルエステル、モノ−2−エ
チルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム−モノ−プロペ
ニルエステル、モノ−ステアリルスルホコハク酸ナトリ
ウム−モノ−ペロペニルエステル、ジ−n−ブチルスル
ホコハク酸ナトリウム−モノ−ビニルエステル、1−ク
ロロ−2−プロピルスルホコハク酸カルシウム−モノ−
プロペニルビニルエステル、1,1−ジブロモスルホコ
ハク酸ナトリウム−ジ−ビニルエステル、(3−メトキ
シ−2−ヒドロキシ−プロピル)スルホコハク酸ナトリ
ウム−モノ−ビニルエステルなどの各種スルホコハク酸
系不飽和化合物を挙げることができる。
【0038】なお、上述の塩構造を形成している基を含
む単量体は、2種以上のものが併用されてもよい。
【0039】本発明で用いられるフッ素含有ビニル共重
合体樹脂を構成するための単量体としては、上述の単量
体、すなわちフッ素含有単量体、水酸基を含む単量体お
よび塩構造を形成している基を含む単量体以外のビニル
系単量体が併用されてもよい。このような他のビニル系
単量体としては、フッ素含有単量体、水酸基を含む単量
体および塩構造を形成している基を含む単量体と共重合
し得るものであれば特に限定されることはなく種々のも
のを用いることができるが、例えば、アクリル酸エステ
ル類、メタクリル酸エステル類、α−オレフィン類、ハ
ロゲン化オレフィン類、芳香族ビニル化合物、脂肪族カ
ルボン酸ビニルエステル類、環状構造を有するカルボン
酸ビニルエステル類、アルキルまたはアラルキルビニル
エーテル類、シクロアルキルビニルエーテル類、ポリオ
キシアルキレン鎖構造単位を含むビニル系単量体を挙げ
ることができる。
【0040】ここで、アクリル酸エステル類としては、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアク
リレート、シクロヘキシルアクリレートを例示すること
ができる。また、メタクリル酸エステル類としては、メ
チルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメ
タクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジ
ルメタクリレートを例示することができる。
【0041】また、α−オレフィン類としては、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテンを例示することができる。
ハロゲン化オレフィン類としては、フルオロオレフィン
を除くもの、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンを挙
げることができる。芳香族ビニル化合物としては、スチ
レン、α−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチ
レン、ビニルトルエンが例示できる。脂肪族カルボン酸
ビニルエステル類としては、ビニル−2,2−ジメチル
プロパノエート、ビニル−2,2−ジメチルブタノエー
ト、ビニル−2,2−ジメチルペンタノエート、ビニル
−2,2−ジメチルヘキサノエート、ビニル−2−エチ
ル−2−メチルブタノエート、ビニル−2−エチル−2
−メチルペンタノエート、ビニル−3−クロロ−2,2
−ジメチルプロパノエート、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニ
ル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸
ビニル、ステアリン酸ビニル、炭素数が10の分岐状
(分枝状)脂肪族カルボン酸ビニルを例示することがで
きる。環状構造を有するカルボン酸ビニルエステル類と
しては、安息香酸ビニル、p−tert−ブチル安息香
酸ビニルを例示することができる。
【0042】さらに、アルキルまたはアラルキルビニル
エーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビ
ニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロ
ピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソ
ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテ
ル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニル
エーテル、n−オクチルビニルエーテル、2−エチルヘ
キシルビニルエーテル、クロロメチルビニルエーテル、
クロロエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテ
ル、フェネチルエチルビニルエーテルを例示することが
できる。シクロアルキルビニルエーテル類としては、シ
クロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエ
ーテル、メチルヘキシルビニルエーテルを例示すること
ができる。
【0043】さらに、ポリオキシアルキレン鎖構造単位
を含むビニル系単量体としては、下記の一般式(3)で
示される一価の有機基を有する化合物を挙げることがで
きる。
【0044】
【化3】
【0045】一般式(3)中、R11およびR12は、いず
れも水素原子または炭素数が1〜4個のアルコキシ基を
示す。なお、R11およびR12は、互いに同一であっても
よいし、互いに異なるものであってもよい。また、R13
は、水酸基または炭素数が1〜4個のアルコキシ基を示
す。さらに、pは2〜4の整数であり、qは1〜200
の整数である。
【0046】このような一般式(3)で示されるポリオ
キシアルキレン鎖構造単位を含むビニル系単量体として
は、ポリエチレングリコール−モノ−アクリレート、ポ
リエチレングリコール−モノ−メタクリレート、ポリプ
ロピレングリコール−モノ−アクリレート、ポリプロピ
レングリコール−モノ−メタクリレート、ポリテトラエ
チレングリコール−モノ−アクリレート、ポリテトラエ
チレングリコール−モノ−メタクリレート、ポリオキシ
エチレンノニルフェノール−モノ−アクリレート、ポリ
オキシエチレンノニルフェノール−モノ−メタクリレー
ト、ポリオキシエチレンノニルアリルフェノールを例示
することができる。
【0047】上述の各種単量体からフッ素含有ビニル共
重合体樹脂を製造する場合は、公知の各種重合法を採用
することができるが、溶液ラジカル重合法によるのが最
も簡便であり、好ましい。
【0048】溶液ラジカル重合法を実施する際に利用可
能な溶剤類としては、製造しようとするフッ素含有ビニ
ル共重合体樹脂を溶解し得るものであれば特に制限がな
いが、例えば、トルエン,キシレン,シクロヘキサン,
n−ヘキサン,オクタンなどの炭化水素類、メタノー
ル,エタノール,イソプロパノール,n−ブタノール,
イソブタノール,sec−ブタノール,エチレングリコ
ールモノメチルエーテルなどのアルコール類、酢酸メチ
ル,酢酸エチル,酢酸−n−ブチル,酢酸アミルなどの
各種エステル類、アセトン,メチルエチルケトン,メチ
ルイソブチルケトン,シクロヘキサノンなどのケトン類
を例示することができる。なお、これらの溶剤は、2種
以上が併用されてもよい。
【0049】溶液ラジカル重合法を実施する際は、上述
の溶剤類とアゾ系または過酸化物系のような公知のラジ
カル重合開始剤を用い、常法により重合を行う。この
際、必要に応じて分子量調整剤を用いることができる。
分子量調整剤としては、例えば、ラウリルメルカプタ
ン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2
−メルカプトエタノール、チオグリコール酸オクチル、
3−メルカプトプロピオン酸、α−メチルスチレン・ダ
イマーのような連鎖移動剤を用いることができる。
【0050】重合時に用いる上述の各種単量体のうち、
フッ素含有単量体および水酸基を含む単量体の使用量
は、製造しようとするフッ素含有ビニル共重合体樹脂に
おいて、フッ素含有量が15〜40重量%(好ましくは
20〜30重量%)に、また、水酸基価が20〜150
(好ましくは40〜100)になるよう設定するのが好
ましい。フッ素含有量が15重量%未満の場合は、塗膜
の耐汚染性が発現しにくくなる場合がある。逆に、40
重量%を超えると、本発明の塗料組成物の溶剤に対する
溶解性が低下し、塗料組成物の塗装作業性が低下する場
合がある。一方、水酸基価が20未満の場合は、本発明
の塗料組成物による塗膜の機械的強度が低下する場合が
ある。逆に150を超えると、得られる塗膜が硬くなり
過ぎて脆くなるおそれがある。なお、ここでのフッ素含
有量および水酸基価は、原料として用いるモノマーを基
準にして計算した値である。
【0051】また、塩構造を形成している基を含む単量
体の使用量は、重合時に使用するモノマーの1〜40重
量%に設定するのが好ましく、5〜20重量%に設定す
るのがより好ましい。使用量がこの範囲以外の場合は、
本発明の塗料組成物による塗膜の耐汚染性と密着性とを
両立させるのが困難になる場合がある。
【0052】なお、フッ素含有ビニル共重合体樹脂の数
平均分子量は、2,000〜50,000が好ましく、
5,000〜30,000がより好ましい。数平均分子
量が2,000未満の場合は、塗膜の耐候性が低下する
おそれがある。逆に、数平均分子量が50,000を超
えると、本発明の塗料組成物の塗装作業性が低下する場
合がある。
【0053】(ポリアルキレンオキサイドユニット含有
ポリイソシアネート)本発明で用いられるポリアルキレ
ンオキサイドユニット含有ポリイソシアネートは、通
常、水系で用いられるものであり、例えば、イソシアヌ
レート環含有ポリイソシアネートにポリアルキレングリ
コールモノアルキルエーテルを反応させることにより得
られたものである。
【0054】ここで、イソシアヌレート環含有ポリイソ
シアネートは、例えば、脂肪族ジイソシアネートおよび
脂環式ジイソシアネートのうちのいずれか一方または両
方を基にしてイソシアヌレート化反応をおこなうことに
より得られたものであり、下記の一般式(4)で示され
るトリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレートま
たはトリス−イソシアナトシクロアルキル−イソシアヌ
レートである。
【0055】
【化4】
【0056】一般式(4)において、X1 、X2 および
3 は、脂肪族または脂環式ジイソシアネートからシソ
シアネート基を取り除いたものに相当する基である。な
お、X1 、X2 およびX3 は、互いに同一であってもよ
いし、互いに異なっていてもよい。
【0057】なお、イソシアヌレート環含有ポリイソシ
アネートとしては、上述の一般式(4)で示されるもの
の高級同族体、すなわちイソシアヌレート環を2個以上
含むものが用いられてもよい。
【0058】このようなイソシアヌレート環含有ポリイ
ソシアネートを構成するための脂肪族および脂環式ジイ
ソシアネートとしては、それぞれヘキサメチレンジイソ
シアネートおよびイソホロンジイソシアネートを例示す
ることができる。
【0059】上述のイソシアヌレート環含有ポリイソシ
アネートを製造する場合には、脂肪族ジイソシアネート
および/または脂環式ジイソシアネートに対して触媒と
して3級アミン類、アルキル置換エチレンイミン類、3
級アルキルホスフィン類、アセチルアセン金属塩類また
は各種有機酸の金属塩類などを単独使用または併用し、
さらに必要に応じて助触媒を利用して100℃以下でイ
ソシアヌレート化反応を実施する。なお、助触媒として
は、フェノール性ヒドロキシ化合物、アルコール性ヒド
ロキシ化合物、3級アミン類等を用いることができる。
このような助触媒を用いれば、反応を更に容易に進める
ことができる。
【0060】一方、ポリアルキレングリコールモノアル
キルエーテルは、下記の一般式(5)で示されるもので
ある。
【0061】
【化5】
【0062】一般式(5)中、R14はアルキル基を示
し、R15はアルキレン基を示している。また、nは、ポ
リアルキレングリコールモノアルキルエーテルの分子量
が250〜4,000、好ましくは600〜2,000
になるよう設定されている。なお、ポリアルキレングリ
コールモノアルキルエーテルの分子量が250未満の場
合は、得られる塗膜の密着性が不足するおそれがある。
逆に、4,000を超えると、得られる塗膜の諸物性に
悪影響を及ぼすおそれがある。
【0063】上述のイソシアヌレート環含有ポリイソシ
アネートと上述のポリアルキレングリコールモノアルキ
ルエーテルとを反応させることにより得られるポリアル
キレンオキサイドユニット含有ポリイソシアネートのイ
ソシアネート基含有量は、15〜24重量%が好まし
い。イソシアネート基含有量が15重量%未満の場合
は、塗膜の耐候性が低下するおそれがある。逆に、24
重量%を超える場合は、得られる塗膜の諸物性に悪影響
を及ぼすおそれがある。なお、上述のイソシアネート基
含有量は、ポリアルキレンオキサイドユニット含有ポリ
イソシアネート1分子中に含まれるNCO基の重量%で
ある。
【0064】(ケイ素含有化合物)本発明で用いられる
ケイ素含有化合物は、シラノール基含有化合物または加
水分解性シリル基含有化合物である。シラノール基含有
化合物と加水分解性シリル基含有化合物とは併用されて
もよい。
【0065】ここで、シラノール基含有化合物として
は、例えば、メチルトリクロルシラン,フェニルトリク
ロルシラン,エチルトリクロルシラン,ジメチルジクロ
ルシラン,ジフェニルジクロルシランなどのハロシラン
類を略完全に加水分解させることにより得られる低分子
量のシラノール化合物、このようなシラノール化合物を
さらに脱水縮合させることにより得られるシラノール基
を有するポリシロキサンオリゴマー類、アルコキシシラ
ン類を加水分解縮合させて得られるシラノール基を有す
るシリコーン樹脂を挙げることができる。
【0066】なお、上述のアルコキシシラン類として
は、例えば、テトラメトキシシラン、トリメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、テト
ラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラオ
クトキシシラン、テトラ(2−メトキシエトキシ)シラ
ン、テトラベンジルオキシシラン、メチルトリメトキシ
シラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメト
キシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジ
エトキシシラン,γ−イソシアネートプロピルトリメト
キシシラン,γ−クロロプロピルトリメトキシシラン,
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン,γ−(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げるこ
とができる。
【0067】一方、加水分解性シリル基含有化合物とし
ては、例えば、上述のアルコキシシラン類、テトラアセ
トキシシラン,メチルトリアセトキシシラン,γ−メル
カプトプロピルトリアセトキシシラン,テトラプロピオ
ニルオキシシラン,フェニルトリプロピオニルオキシシ
ランなどのアシロキシシラン類、上述の各種テトラアル
コキシシランの部分加水分解縮合物、テトラクロルシラ
ン,フェニルトリクロルシラン,テトラブロモシラン,
ベンジルトリブロモシランなどのハロシラン類を挙げる
ことができる。
【0068】なお、本発明では、長期の耐汚染性を実現
することができる点で、ケイ素含有化合物として加水分
解性シリル基含有化合物を用いるのが特に好ましい。中
でも、毒性を含めた取り扱いの容易さおよび加水分解性
の点で、テトラメトキシシランの縮合物を用いるのが好
ましい。なお、このようなテトラメトキシシランの縮合
物の具体例としては、三菱化学株式会社製のMS51が
挙げられる。
【0069】(組成物)本発明に係る塗料組成物におい
て、上述のフッ素含有ビニル共重合体樹脂と上述のポリ
アルキレンオキサイドユニット含有ポリイソシアネート
との配合比は、フッ素含有ビニル共重合体樹脂の水酸基
量を1とした場合にポリアルキレンオキサイドユニット
含有ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基量
が当量比で0.5〜2、好ましくは0.8〜1.5にな
るよう設定されている。このイソシアネート基量が0.
5未満の場合は、塗膜の耐候性が低下するおそれがあ
る。逆に、イソシアネート基量が2を超える場合は、塗
膜物性が低下するおそれがある。
【0070】また、本発明に係る塗料組成物において
は、ケイ素含有化合物の含有量がフッ素含有ビニル共重
合体樹脂の固形分とポリアルキレンオキサイドユニット
含有ポリイソシアネートの固形分との合計100重量部
に対して5〜35重量部、好ましくは15〜25重量部
になるよう設定されている。このようなケイ素含有化合
物の含有量が5重量部未満の場合は、塗膜の耐汚染性が
低下するおそれがある。逆に、35重量部を超える場合
は、塗膜の耐候性が低下するおそれがある。
【0071】本発明の塗料組成物は、上述の必須成分以
外に組成物の安定性を維持するための有機溶剤、塗膜の
硬化および上述の加水分解性シリル基含有化合物の加水
分解反応を促進するための触媒、顔料、顔料分散用樹脂
および塗料組成物に通常用いられる各種添加剤などを含
んでいてもよい。
【0072】ここで、有機溶剤としては、例えば、トル
エン,キシレン,シクロヘキサン,n−ヘキサン,オク
タンなどの炭化水素類、メタノール,エタノール,イソ
プロパノール,n−ブタノール,イソブタノール,se
c−ブタノール,エチレングリコールモノメチルエーテ
ルなどのアルコール類、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸
−n−ブチル,酢酸アミルなどの各種エステル類、アセ
トン,メチルエチルケトン,メチルブチルケトン,メチ
ルイソブチルケトン,メチルアミルケトン,シクロヘキ
サノンなどのケトン類を例示することができる。なお、
これらの溶剤は、2種以上が併用されてもよい。
【0073】また、触媒のうち、硬化促進触媒として
は、例えば、テトライソプロピルチタネート,テトラ−
n−ブチルチタネート,オクチル酸錫,オクチル酸鉛,
オクチル酸コバルト,オクチル酸亜鉛,オクチル酸カル
シウム,ナフテン酸亜鉛,ナフテン酸コバルト,ジ−n
−ブチル錫ジアセテート,ジ−n−ブチル錫ジオクトエ
ート,ジ−n−ブチル錫ジラウレート,ジ−n−ブチル
錫マレエートなどの含金属化合物類、p−トルエンスル
ホン酸,トリクロル酢酸,リン酸,モノアルキルリン
酸,ジアルキルリン酸,モノアルキル亜リン酸,ジアル
キル亜リン酸などの酸性化合物を用いることができる。
【0074】一方、触媒のうち加水分解促進用触媒とし
ては、塩基性化合物類、含金属化合物類および酸性化合
物類などを用いることができる。ここで、塩基性化合物
類としては、例えば、ブチルアミン、ジブチルアミン、
ヘキシルアミン、tert−ブチルアミン、エチレンジ
アミン、トリエチルアミン、イソホロンジアミン、イミ
ダゾール、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、ナトリウムメチラートを挙げることができ
る。また、含金属化合物類としては、例えば、テトライ
ソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、オク
チル酸錫、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナ
フテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジ−n−ブチル錫ジ
アセテート、ジ−n−ブチル錫ジオクトエート、ジ−n
−ブチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫マレエート
を挙げることができる。さらに、酸性化合物類として
は、例えば、p−トルエンスルホン酸,トリクロル酢
酸,リン酸,モノアルキルリン酸,ジアルキルリン酸,
β−ヒドロキシエチルアクリレートおよびβ−ヒドロキ
シエチルメタクリレートのリン酸エステル、モノアルキ
ル亜リン酸を挙げることができる。
【0075】なお、上述の触媒のうち、酸性化合物類を
用いた場合はやや硬化反応を遅延させる場合があり、ま
た、アミン系のものを用いた場合には塗膜の耐汚染性を
若干低下させるおそれがおるため、含金属化合物類、特
に錫系のものを選択して用いるのが好ましい。
【0076】本発明の塗料組成物は、上述の各種成分を
全て含んだ状態で提供されてもよいが、2種類のパッケ
ージに分けて使用時に混合するようにしてもよい。この
場合、一方のパッケージ(パッケージ1)には水酸基を
有するフッ素含有ビニル共重合体樹脂を主剤とし、これ
に必要に応じて触媒、顔料およびその分散用樹脂、各種
添加剤、および粘度調整用の有機溶剤を添加する。ま
た、他方のパッケージ(パッケージ2)には、ポリアル
キレンオキサイドユニット含有ポリイソシアネートとケ
イ素含有化合物とを主剤とし、これに必要に応じて組成
物の安定化を図るための有機溶剤を20重量%程度添加
する。なお、パッケージ2は、さらにポリアルキレンオ
キサイドユニット含有ポリイソシアネートを主成分とす
るパッケージとケイ素含有化合物を主成分とするパッケ
ージとの2種類に分割されてもよい。
【0077】本発明の塗料組成物は、例えば、スプレー
塗装や刷毛塗りなどの公知の手法により、鋼構造物や建
築物の外壁に塗布することができる。なお、本発明の塗
料組成物は、常乾型であるが、焼付けも可能である。
【0078】このような本発明の塗料組成物を用いて上
述の塗膜1を形成した場合は、フッ素含有ビニル共重合
体樹脂とポリアルキレンオキサイドユニット含有ポリイ
ソシアネートとにより形成されるフッ素含有ウレタン樹
脂が主に連続塗膜部分2を形成し、ケイ素含有化合物が
主にスポット状塗膜部分3を形成するものと考えられ
る。
【0079】
【実施例】製造例1〜5(フッ素含有ビニル共重合体樹脂の製造) 内容積が5,000mlのステンレス製のオートクレー
ブを用意し、これに1,000重量部のキシレン、10
重量部のビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペ
リジニル)セバケート、表1に示す割合のtert−ブ
チルパーオキシビバレート(重合開始剤)、および表1
に示す単量体Aの混合物を仕込んでオートクレーブ内を
窒素ガスで置換した。
【0080】次に、液化採取した表1に示す単量体Bを
仕込んで密封し、60℃に保温して15時間反応させた
ところ、目的とするフッ素含有ビニル共重合体樹脂が得
られた。
【0081】
【表1】
【0082】なお、表1中の単量体Aおよび単量体Bは
下記の通りである。 ◎VPK:ビニルホスホン酸カリウム ◎p−SSONa:パラスチレンスルホン酸ナトリウム ◎S−1:下記の式(6)で示されるスルホコハク酸系
不飽和化合物(式(6)中、Mは金属イオンまたはアン
モニウム塩基を示す)
【0083】
【化6】
【0084】◎PE−350:ブレンマーPE−350
(日本油脂株式会社製のポリエチレングリコールモノメ
タクリレート) ◎:HBVE:ヒドロキシブチルビニルエーテル ◎:CHVE:シクロヘキサンカルボン酸ビニル ◎:EVE:エチルビニルエーテル ◎:VV−9:ベオバ9(オランダ国シェル株式会社製
の炭素数が9個の分岐脂肪酸のビニルエステル)
【0085】各製造例で得られたフッ素含有ビニル共重
合体樹脂の特性を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】製造例6(ポリアルキレンオキサイドユニ
ット含有ポリイソシアネートの製造) 温度計、撹拌機および窒素シール管を備えた500ml
の摺合わせ蓋付ガラス製4つ口フラスコを用意し、これ
にイソシアヌレート環を有するヘキサメチレンジイソシ
アネート重合体(日本ポリウレタン工業株式会社製のコ
ロネートEH:NCO基含有量=21.0重量%)10
0重量部を仕込んだ。これに、メトキシポリエチレング
リコール(日本乳化剤工業株式会社製のMPG−08
1)を2重量部加え、加熱して70℃に維持しながら3
時間反応させた。この結果、NCO基含有量が19.8
重量%、粘度が3,200cps/25℃の淡黄色透明
のポリアルキレンオキサイドユニット含有ポリイソシア
ネートが得られた。
【0088】実施例1〜9、比較例1〜3 製造例1〜5で得られたフッ素含有ビニル共重合体樹
脂、製造例6で得られたポリアルキレンオキサイドユニ
ット含有ポリイソシアネート、およびケイ素含有化合物
を表3、表4に示す割合で混合し、塗料組成物を得た。
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】表3、表4中、*1、*2、*3、Aおよ
びBは、下記の通りである。 *1:単位=重量部(固形分換算) *2:単位=重量部 *3:単位=重量部(日本ポリウレタン工業株式会社製
の”コロネートHX”) A:テトラメチルシリケートのダイマー、トリマー、テ
トラマー、ペンタマー、ヘキサマーおよびヘプタマーの
混合物(三菱化成株式会社製の”メチルシリケート5
1”) B:テトラエチルシリケートのモノマー、ダイマー、ト
リマーおよびテトラマーの混合物(米国コルコート株式
会社製の”エチルシリケート40”)
【0092】得られた塗料組成物を用いて塗膜を形成
し、この塗膜について耐汚染性および密着性を試験し
た。試験方法は下記の通りである。結果を表5に示す。
【0093】(耐汚染性)被塗装板として長さ200m
m、幅140mm、厚さ2〜20mmの鉄板を用意し、
これにJIS K5400に従ってスプレーを用いて塗
料組成物を1度塗りした。塗布した塗料組成物を室温で
7日間乾燥し、塗膜を有する試験板を得た。
【0094】得られた試験板を大阪府寝屋川市において
上述の暴露A法に従って6か月間暴露した。暴露後の試
験板の塗膜について、汚染状態を目視で評価すると共に
色差を測定することにより評価した。なお、目視評価の
基準は下記の通りであり、A〜Dが合格である。
【0095】A:全く雨スジ跡は認められない。 B:ほとんど雨スジ跡は認められない。 C:かすかに部分的な雨スジ跡が認められる。 D:複数の雨スジ跡が認められるが、試験板の上から下
まで達していない。 E:複数の雨スジ跡が認められるが、試験板の上から下
まで達しているのは1本のみ。 F:試験板の上から下まで複数の雨スジ跡が明確に認め
られる。
【0096】一方、色差は、試験板の塗膜の中心線に沿
って上部から下部にかけて均等間隔で5点を設定し、こ
の5点のそれぞれについて色差計を用いて△E*ab を
測定してその平均値を求めた。なお、色差計は、ミノル
タ株式会社製のCR−310(口径=5cm)を用い
た。△E*ab の平均値が6.0以下の場合は耐汚染性
が良好である。
【0097】(密着性)被塗装板として長さ150m
m、幅70mm、厚さ0.8mmの鉄板を用意し、これ
にJIS K5400に従ってスプレーを用いて塗料組
成物を1度塗りした。これを室温で1日乾燥し、得られ
た塗膜の上に同じ塗料組成物を刷毛塗りした。そして、
これを1週間室温で乾燥した後に、JIS K5400
に従って付着性碁盤目テープ法を実施した。この際、碁
盤目のすきま間隔は1mmに設定し、碁盤目の数は10
0個に設定した。試験実施後に90個以上の碁盤目が残
存している場合は密着性が良好である。
【0098】
【表5】
【0099】
【発明の効果】本発明の塗膜は、耐汚染性と密着性とが
ともに良好である。また、本発明の塗料組成物によれ
ば、耐汚染性と密着性とを両立させた塗膜を実現するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗膜の一例のイメージ図。
【符号の説明】
1 塗膜 2 連続塗膜部分 3 スポット状塗膜部分
フロントページの続き (72)発明者 西村 好郎 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 石母田 佳和 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不規則に多数点在するケイ素含有塗膜部分
    と、 フッ素含有ウレタン樹脂による連続塗膜部分と、を備え
    た塗膜。
  2. 【請求項2】前記ケイ素含有塗膜部分は、一個当たりの
    平均面積が0.7〜80(10-12・m2)であり、か
    つ、前記ケイ素含有塗膜部分(A)と前記連続塗膜部分
    (B)との面積比率(A/B)が85/15〜20/8
    0である、請求項1に記載の塗膜。
  3. 【請求項3】同じ塗膜を塗り重ねてJIS K5400
    による付着性碁盤目テープ法を実施した際の密着性が9
    0/100以上であり、かつ、6か月以上の暴露試験実
    施後の複数点における△E*ab の平均値が6.0以下
    である塗膜。
  4. 【請求項4】水酸基を有するフッ素含有ビニル共重合体
    樹脂と、 ポリアルキレンオキサイドユニット含有ポリイソシアネ
    ートと、 シラノール基含有化合物および加水分解性シリル基含有
    化合物のうちの少なくとも1種のケイ素含有化合物と、
    を含む塗料組成物。
  5. 【請求項5】前記フッ素含有ビニル共重合体樹脂は、分
    子の末端または側鎖のうちの少なくとも一方に塩構造を
    形成している基を有している、請求項4に記載の塗料組
    成物。
  6. 【請求項6】前記ポリアルキレンオキサイドユニット含
    有ポリイソシアネートは、イソシアヌレート環含有ポリ
    イソシアネートにポリアルキレングリコールモノアルキ
    ルエーテルを反応させることにより得られたものであ
    る、請求項4または5に記載の塗料組成物。
  7. 【請求項7】前記フッ素含有ビニル共重合体樹脂と前記
    ポリアルキレンオキサイドユニット含有ポリイソシアネ
    ートとの配合比が、前記フッ素含有ビニル共重合体樹脂
    の前記水酸基量を1とした場合に前記ポリアルキレンオ
    キサイドユニット含有ポリイソシアネートに含まれるイ
    ソシアネート基量が当量比で0.5〜2になるよう設定
    されており、かつ、 前記ケイ素含有化合物の含有量が、前記フッ素含有ビニ
    ル共重合体樹脂の固形分と前記ポリアルキレンオキサイ
    ドユニット含有ポリイソシアネートの固形分との合計1
    00重量部に対して5〜35重量部になるよう設定され
    ている、請求項4、5または6に記載の塗料組成物。
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