JPH09296034A - 分岐ポリエステルの製造方法 - Google Patents

分岐ポリエステルの製造方法

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JPH09296034A
JPH09296034A JP11352096A JP11352096A JPH09296034A JP H09296034 A JPH09296034 A JP H09296034A JP 11352096 A JP11352096 A JP 11352096A JP 11352096 A JP11352096 A JP 11352096A JP H09296034 A JPH09296034 A JP H09296034A
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JP
Japan
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polyhydroxy compound
reaction
bis
monomer
branched polyester
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Application number
JP11352096A
Other languages
English (en)
Inventor
Shunichi Matsumura
俊一 松村
Nobuaki Kido
伸明 城戸
Takashi Ito
伊藤  隆
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ビスフェノールを重合用原料としてそのまま用
いて、毒性の物質を用いず、煩雑な工程を省き、目的と
するビスフェノールのヒドロキシアルキルエーテルを共
重合した分岐ポリエステルを製造する新規な方法を提供
する。 【解決手段】有機ポリカルボン酸低級アルキルエステル
(A)、芳香族ポリヒドロキシ化合物(B)、下記式
(1)で示されるアルキレンカーボネート(C)、なら
びに脂肪族および/または脂環族ポリヒドロキシ化合物
(D)を重合用モノマーとして用い、かつ上記(A)、
(B)および/または(D)の各成分の少なくとも一部
に3個以上の官能基を有する多官能性モノマーを使用す
るとともに特定の割合で上記各成分を混合し、触媒の存
在下芳香族ポリヒドロキシ化合物(B)のOH官能基当
量に対して75モル%以上の炭酸ガスが発生するまで溶
融反応せしめ、次いで溶融重合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分岐構造含有ポリエ
ステルの製造方法に関し、更に詳しくは芳香族ポリヒド
ロキシ化合物のヒドロキシアルキルエーテルをグリコー
ルの1成分とする分岐ポリエステルの改良された新規製
造方法に関する。
【0002】
【従来技術】芳香族ジヒドロキシ化合物のヒドロキシア
ルキルエーテルをジオール成分の1つとする分岐構造を
有するポリエステルは公知である。例えば特開昭62−
195678号公報、特開平2−127657号公報、
特開平6−27726号公報、特開平6−342228
号公報、特開平7−134445号公報、特開平7−1
60045号公報、特公平4−492号公報、特公平4
−44744号公報、特公平5−85901号公報、特
公平5−31886号公報、特公平7−27281号公
報等の各公報には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパンのヒドロキシエチルエーテルあるいはヒ
ドロキシプロピルエーテルをグリコール成分の1つとす
る分岐乃至架橋ポリエステルがトナー用のバインダーと
して有用であることが開示されている。
【0003】ここで用いられている2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパンのヒドロキシアルキルエ
ーテルは、通常該ビスフェノールにエチレンオキシド、
プロピレンオキシド等のオキシラン類を反応せしめるこ
とにより製造されている。しかしながら、この反応は煩
雑な上、例えばエチレンオキシドは極めて毒性が強いな
ど問題点が多い。さらに得られたビスフェノールのヒド
ロキシアルキルエーテルにはオキシラン類が2個以上付
加した副生成物が含まれるのが通例であるが、これを例
えば蒸留等の方法により除去することは目的物の沸点が
高いため実質的に不可能である。また用いるビスフェノ
ールの種類にもよるが生成物の結晶性が一般に低いため
再結晶等による精製も困難な場合が多い。このため高純
度の重合用のモノマーとして使用できない場合や、使用
可能な場合でもポリマーのコストが高くなるなどの問題
点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点のないビスフェノール類のヒドロキシアルキルエ
ーテルを共重合した分岐ポリエステルの新規な製造方法
を提供することにある。本発明の他の目的は、ビスフェ
ノールのヒドロキシアルキルエーテルを重合原料として
使用せず、ビスフェノールを重合用原料としてそのまま
用いて目的とするビスフェノールのヒドロキシアルキル
エーテルを共重合した分岐ポリエステルを製造する新規
な方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、有機ポ
リカルボン酸低級アルキルエステル(A)、芳香族ポリ
ヒドロキシ化合物(B)、下記式(1)で示されるアル
キレンカーボネート(C)、ならびに脂肪族および/ま
たは脂環族ポリヒドロキシ化合物(D)を重合用モノマ
ーとして用い、かつ上記(A)、(B)および/または
(D)の各成分の少なくとも一部に3個以上の官能基を
有する多官能性モノマーを使用するとともに上記成分
(A)、(B)、(C)および(D)を下記式(2)、
(3)および(4)を満足する当量比に混合し、触媒の
存在下芳香族ポリヒドロキシ化合物(B)のOH官能基
当量に対して75モル%以上の炭酸ガスが発生するまで
溶融反応せしめ、次いで溶融重合することを特徴とする
分岐ポリエステルの製造方法により達成することができ
る。
【0006】
【化2】
【0007】[式(1)において、Rは環状カーボネー
ト構造が5員環あるいは6員環を形成する炭素原子数2
〜5のアルキレン基を示す。]
【0008】
【数2】 0.01a≦b≦0.99a (2) 1.8b≦c≦3b (3) 1.1(a−b)≦d≦10(a−b) (4) [式(2)、(3)および(4)において、a,b,c
およびdはそれぞれ上記成分A,B,CおよびDの当量
数を示す。]
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳述する。
【0010】本発明で使用する有機ポリカルボン酸低級
アルキルエステル(A)のカルボン酸としては、以下の
ものを挙げることができる。テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジ
カルボン酸、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、
トリメシン酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカル
ボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸、シクロペンタンジカ
ルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサ
ントリカルボン酸等の脂環族ポリカルボン酸など。また
低級アルキルエステルとしては、具体的にはメチルエス
テル等の炭素原子数1〜3のアルキルエステルを挙げる
ことができる。
【0011】芳香族ポリヒドロキシ化合物(B)は、芳
香環に2個以上のヒドロキシ基を含有する化合物であ
り、具体的には以下の如き化合物を挙げることができ
る。
【0012】ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジ
ヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレ
ン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒド
ロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ル、2,2’−ジヒドロキシジフェニル、3,3’−ジ
ヒドロキシジフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)パーフロロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
ホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フ
ェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1,1−ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−フルオレン、フェノールフタレ
イン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル−フ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3
−クロル−フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−ブロモ−フェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチル−フェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチル−
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3−プロピル−フェニル)プロパン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3−イソプロピル−フェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
−フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
−3,5−ジクロル−フェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ−フェニル)プ
ロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−クロル−フェニ
ル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモ−フ
ェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
クロル−フェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジブロモ−フェニル)スルホン、1,4−ビス
(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス
(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビ
ス(4−ヒドロキシフェノキシ)ジフェニル、1,4−
ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’
−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ジフェニル、1,
4−ビス{p−ヒドロキシ−α−クミル}ベンゼン、
1,3−ビス{p−ヒドロキシ−α−クミル}ベンゼ
ン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、フェノ
ールノボラック等。
【0013】上記式(1)で示されるアルキレンカーボ
ネート(C)において、Rは環状カーボネート構造が5
員環あるいは6員環を形成するエチレン、プロピレン、
トリメチレン等の炭素原子数2〜5のアルキレン基を示
す。アルキレンカーボネート(C)としては具体的に
は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、
トリメチレンカーボネート、ネオペチレングリコール環
状カーボネート等を挙げることができる。これらのうち
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ま
しく、エチレンカーボネートが特に好ましい。
【0014】本発明で用いる脂肪族および/または脂環
族ポリヒドロキシ化合物(D)としては、以下の如き化
合物を挙げることができる。
【0015】エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ネオペンチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチ
ロールエタン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサン
ジメタノール等。
【0016】本発明の製造方法では上記成分(A)、
(B)、(C)および(D)を重合用原料として使用す
るが、成分(A)の一部もしくは全部、(B)の一部も
しくは全部、および/または(D)の一部もしくは全部
に、3個以上の官能基を有する多官能性モノマーを使用
する。これら多官能性モノマーの使用量は、ポリマー組
成、多官能性モノマーの種類、官能基数にもよるが、得
られるポリマーの重量に対し、大略0.01〜20重量
%、好ましくは0.03〜10重量%、より好ましくは
0.05〜5重量%程度の量である。3個以上の官能基
を有する多官能性モノマーとしては成分(A)および
(D)の多官能性モノマーを使用することが好ましい。
【0017】さらに、かかる3個以上の官能基を有する
多官能性モノマーは、重合性やポリマーの物性をコント
ロールするために、2官能性モノマーと併用することが
できる。例えば成分(A)の多官能性モノマーは、成分
(A)の2官能性モノマーとともに用いてもよく、成分
(B)の多官能性モノマーは、成分(B)の2官能性モ
ノマーとともに用いることができる。
【0018】本発明の製造方法では上記成分(A)、
(B)、(C)および(D)を下記式(2)、(3)お
よび(4)を満足する当量比に混合し、これらを触媒の
存在下に反応せしめる。
【0019】
【数3】 0.01a≦b≦0.99a (2) 1.8b≦c≦3b (3) 1.1(a−b)≦d≦10(a−b) (4) 上記式(2)、(3)および(4)において、a,b,
cおよびdはそれぞれ上記成分A,B,CおよびDの当
量数を示す。
【0020】式(2)は芳香族ポリカルボン酸低級アル
キルエステル(A)に対する芳香族ポリヒドロキシ化合
物(B)の使用割合を示すが、この使用割合は下記式
(2−1)を満足することが好ましく、下記式(2−
2)を満足することがより好ましい。
【0021】
【数4】 0.03a≦b≦0.97a (2−1) 0.05a≦b≦0.95a (2−2) 上記式(3)において、アルキレンカーボネート(C)
の使用割合cが芳香族ポリヒドロキシ化合物(B)の使
用割合bに対して1.8倍当量未満では、未反応のフェ
ノール性OHの残留量が多くなって重合性が低下し、ま
た3倍当量より多いと未反応のアルキレンカーボネート
を留去させる必要が生じ好ましくない。アルキレンカー
ボネート(C)の芳香族ポリヒドロキシ化合物(B)に
対する使用割合は下記式(3−1)を満足することが好
ましく、下記式(3−2)を満足することがより好まし
い。
【0022】
【数5】 1.9b≦c≦2.7 (3−1) 2.0b≦c≦2.5 (3−2) 上記式(4)において、脂肪族および/または脂環族ポ
リヒドロキシ化合物(D)の使用割合dが上記式(4)
の範囲外となるとエステル交換反応が遅くなったり、ま
た重合性が低下したりして好ましくない。脂肪族および
/または脂環族ポリヒドロキシ化合物(D)の使用割合
は下記式(4−1)を満足することが好ましく、下記式
(4−2)を満足することがより好ましい。
【0023】
【数6】 1.3(a−b)≦d≦7(a−b) (4−1) 1.5(a−b)≦d≦4(a−b) (4−2) 本発明の製造方法においては、上記成分(A)、
(B)、(C)および(D)の他に単官能性化合物を一
部使用しても差し支えない。これら単官能性化合物は3
官能性以上の多官能性モノマーの使用量に対応する量を
使用することにより、溶融重合時にゲル化などのトラブ
ルを防止でき安定して分岐ポリエステルを製造すること
が可能となり好ましい。これらの成分としては例えば以
下の如き化合物を挙げることができる。
【0024】安息香酸メチル、トリル酸メチル、ベンゾ
イル安息香酸メチル等。
【0025】これら単官能性化合物は添加する多官能性
モノマーの官能基当量に対し等当量以下の量使用するこ
とが好ましい。
【0026】本発明に用いる触媒としては、芳香族ポリ
カルボン酸低級アルキルエステル(A)と脂肪族および
/または脂環族ポリヒドロキシ化合物(D)とのエステ
ル交換反応ならびに芳香族ポリヒドロキシ化合物(B)
とアルキレンカーボネート(C)とのエーテル化反応を
促進するものであり、例えば以下に示す化合物を挙げる
ことができる。炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リ
チウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシ
ド、酢酸カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化マグ
ネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、酢酸
カルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属
化合物;酢酸マンガン等のマンガン化合物;ジブチル錫
オキシド、ジブチル錫ジアセテート、酢酸第一錫等の錫
化合物;酢酸亜鉛等の亜鉛化合物;テトラブチルチタネ
ート等のチタン化合物;三酸化アンチモン等のアンチモ
ン化合物;酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物;
等。
【0027】これら触媒の使用量は特に制限はないが、
芳香族ポリカルボン酸低級アルキルエステル(A)に対
し、大略0.005〜0.5モル%程度の量である。これ
らの触媒は1種または2種以上を併用してもよい。
【0028】本発明の製造方法はまず、上記成分
(A)、(B)、(C)および(D)を溶融反応せしめ
るが、この際芳香族ポリヒドロキシ化合物(B)のOH
官能基当量に対して75モル%以上の炭酸ガスが発生す
るまで反応せしめる必要がある。ここで発生する炭酸ガ
スは芳香族ポリヒドロキシ化合物(B)とアルキレンカ
ーボネート(C)との反応により生成するものであり、
この反応により芳香族ポリドロキシ化合物のヒドロキシ
アルキルエーテル(E)が生成する。従って炭酸ガスの
発生量をモニターすることによりエーテル化反応の進行
をチェックすることができる。炭酸ガスの発生量は例え
ばガスフローメーター、ガス流量積算計などにより容易
に測定することができる。この発生量が芳香族ポリヒド
ロキシ化合物(B)のOH官能基当量に対して75モル
%未満ではエーテル化反応が不十分であり、結果として
低反応性のフェノール性のOH基の残留量が多くなり、
重合性が低下するなどの問題がある。炭酸ガスの発生量
は芳香族ポリヒドロキシ化合物(B)のOH官能基当量
に対して好ましくは80モル%以上、より好ましくは8
5モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
【0029】溶融反応時の反応条件としては、大略反応
温度が150〜260℃、好ましくは170〜240℃
程度、反応時間が30分〜8時間、好ましくは1〜6時
間程度である。この反応は常圧下、窒素、アルゴン等の
不活性ガス気流中で好ましく実施できるが、炭酸ガスの
発生が開始した後はこれら不活性ガスを強制的に導入す
る必要はなく、炭酸ガスの発生量測定のため一時的に不
活性ガス導入を停止することが好ましく実施される。こ
の場合、所定量の炭酸ガスの発生を確認した後不活性ガ
スを導入することが好ましい。
【0030】この反応時には上記のエーテル化反応と同
時に、芳香族ポリカルボン酸低級アルキルエステル
(A)と脂肪族および/または脂環族ポリヒドロキシ化
合物(D)ならびに上記反応により生成した芳香族ポリ
ヒドロキシ化合物のヒドロキシアルキルエーテル(E)
とのエステル交換反応が進行し、芳香族ポリカルボン酸
低級アルキルエステル(A)のエステル残基を形成する
低級アルコールが生成し、反応系外へ留出する。本発明
の方法によれば炭酸ガス発生により低級アルコールの留
出が促進されエステル交換反応が速やかに進行する。
【0031】本発明の製造方法は上記の溶融反応に引き
続いて溶融重合反応を実施する。この溶融重合はポリエ
ステルの分野において従来より実施されている公知の方
法をそのまま用いることができる。すなわち反応条件と
しては反応温度が240〜320℃、好ましくは260
〜300℃程度、反応時間は30分〜8時間、好ましく
は1〜6時間程度である。反応は不活性ガス雰囲気下の
常圧から徐々に減圧とすることが好ましく、最終的には
高真空条件下とする。この重合反応時には重合用触媒と
して上記1段目の溶融反応時に使用した触媒をそのまま
使用してもよいし、また他の触媒を別途添加しても差し
支えない。別途添加する場合には、1段目の反応時に使
用した触媒を失活剤等を添加することにより不活性化し
ておくことが好ましい。
【0032】
【発明の効果】本発明の分岐ポリエステルの製造方法に
よれば、従来のように芳香族ジヒドロキシ化合物のヒド
ロキシアルキルエーテルを用いることなく、安価な芳香
族ジヒドロキシ化合物をそのまま重合原料として使用可
能である。従って原料コストが安価となるのはもちろん
のこと、ヒドロキシアルキルエーテル化物の合成、精製
が困難であった各種の芳香族ジヒドロキシ化合物が使用
できるため、煩雑な工程を省くことができ、従来製造す
ることができなかった新規構造の分岐した共重合ポリエ
ステルが合成可能となるなどその工業的意義は極めて大
きい。
【0033】本発明の分岐ポリエステルは繊維、フィル
ム、シート、プラスチックス、接着剤、バインダー、コ
ーティング用樹脂等として用いられる。特にトナー用の
バインダー樹脂として好適である。
【0034】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を詳述するが、本
発明はこれに限定されるものではない。実施例中、
「部」は重量部を示す。ポリマーの還元粘度(ηsp/
C)は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエ
タン混合溶媒(重量比6/4)を用い、ポリマー濃度
1.2g/dl、温度35℃で測定した。またポリマー
の熱特性はDSCを用い、昇温速度20℃/分の条件下
で測定した。
【0035】[実施例1]テレフタル酸ジメチル92
部、トリメリット酸トリメチル5部、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン57部、エチレンカー
ボネート44部、エチレングリコール47部、および炭
酸ナトリウム0.1部を撹拌装置、精留塔を介した留出
系を有する反応容器に入れ、常温下で反応容器を窒素ガ
スで置換し、常圧下反応容器を200℃に加熱した。内
温が180℃になった時点で窒素ガスの導入を停止し、
反応留出系の末端に積算計を備えたガスフローメーター
を接続し、反応系内から発生する炭酸ガス量を測定し
た。反応温度200℃で1時間保持した後、これを22
0℃に昇温しさらに1.5時間反応させた。この時点で
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのO
H基当量に対し91%の炭酸ガスが発生し、また30部
のメタノールが留出した。次いで得られた反応物を撹拌
装置、真空留出系を備えた反応容器に入れ、これにp−
トルエンスルホン酸水和物0.19部、三酸化アンチモ
ン0.09部を加え、常圧下窒素気流中270℃で35
分、約20mmHgの弱真空下で15分、更に1mmH
g以下の高真空下で10分間反応させた。得られたポリ
マーは淡黄色透明で、ηsp/C0.24、Tg62℃で
あった。
【0036】このポリマーはトナー用のバインダー樹脂
として用いることができた。
【0037】[実施例2]エチレンカーボネートに代
え、プロピレンカーボネート51部を用いる以外は実施
例1同様に反応させた。炭酸ガスの発生量は2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのOH基当量に
対し94%、メタノールの留出量は30部であった。重
合反応はテトラブチルチタネートに代え、三酸化アンチ
モン0.12部を用い、実施例1と同様に実施した。得
られたポリマーは無色透明で、ηsp/C0.15、Tg
55℃であった。
【0038】[実施例3]テレフタル酸ジメチル97
部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
57部、プロピレンカーボネート51部、ペンタエリス
リトール3.4部、エチレングリコール47部、および
炭酸ナトリウム0.05部を撹拌装置、精留塔を介した
留出系を有する反応容器に入れ、常温下で反応容器を窒
素ガスで置換し、常圧下反応容器を200℃に加熱し
た。内温が180℃になった時点で窒素ガスの導入を停
止し、反応留出系の末端に積算計を備えたガスフローメ
ーターを接続し、反応系内から発生する炭酸ガス量を測
定した。反応温度200℃で1時間保持した後、これを
220℃に昇温しさらに1.5時間反応させた。この時
点で2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
のOH基当量に対し92%の炭酸ガスが発生し、また3
0部のメタノールが留出した。次いで得られた反応物を
撹拌装置、真空留出系を備えた反応容器に入れ、これに
p−トルエンスルホン酸水和物0.19部、三酸化アン
チモン0.09部を加え、常圧下窒素気流中270℃で
1時間、約20mmHgの弱真空下で15分、更に1m
mHg以下の高真空下で15分間反応させた。得られた
ポリマーは淡黄色透明で、ηsp/C0.16、Tg54
℃であった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ポリカルボン酸低級アルキルエステ
    ル(A)、芳香族ポリヒドロキシ化合物(B)、下記式
    (1)で示されるアルキレンカーボネート(C)、なら
    びに脂肪族および/または脂環族ポリヒドロキシ化合物
    (D)を重合用モノマーとして用い、かつ上記(A)、
    (B)および/または(D)の各成分の少なくとも一部
    に3個以上の官能基を有する多官能性モノマーを使用す
    るとともに上記成分(A)、(B)、(C)および
    (D)を下記式(2)、(3)および(4)を満足する
    当量比に混合し、触媒の存在下芳香族ポリヒドロキシ化
    合物(B)のOH官能基当量に対して75モル%以上の
    炭酸ガスが発生するまで溶融反応せしめ、次いで溶融重
    合することを特徴とする分岐ポリエステルの製造方法。 【化1】 [式(1)において、Rは環状カーボネート構造が5員
    環あるいは6員環を形成する炭素原子数2〜5のアルキ
    レンを示す。] 【数1】 0.01a≦b≦0.99a (2) 1.8b≦c≦3b (3) 1.1(a−b)≦d≦10(a−b) (4) [式(2)、(3)および(4)において、a,b,c
    およびdはそれぞれ上記成分A,B,CおよびDの当量
    数を示す。]
  2. 【請求項2】 有機ポリカルボン酸低級アルキルエステ
    ル(A)として、2官能性モノマーと3官能性モノマー
    とを同時に用いることを特徴とする請求項1記載の分岐
    ポリエステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 脂肪族および/または脂環族ポリヒドロ
    キシ化合物(D)として、2官能性モノマーと3官能性
    モノマーとを同時に用いることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の分岐ポリエステルの製造方法。
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