JPH09295958A - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法及びその製造装置 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステルの製造方法及びその製造装置

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JPH09295958A
JPH09295958A JP8134226A JP13422696A JPH09295958A JP H09295958 A JPH09295958 A JP H09295958A JP 8134226 A JP8134226 A JP 8134226A JP 13422696 A JP13422696 A JP 13422696A JP H09295958 A JPH09295958 A JP H09295958A
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methacrylic acid
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慎司 岡田
Takao Murakami
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Hiroya Mishina
博矢 三品
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (メタ)アクリル酸のエステルの製造方法及
びその製造装置を提供する。 【解決手段】 反応容器2内に、少なくともアクリル酸
若しくはメタクリル酸、アルコール及び触媒を入れ、加
温下においてアクリル酸若しくはメタクリル酸とアルコ
ールとをエステル化反応させ、反応容器2内から蒸散さ
せた低沸物を反応精留塔3にて留去するアクリル酸エス
テル若しくはメタクリル酸エステルの製造方法におい
て、アクリル酸若しくはメタクリル酸が低沸物とともに
反応容器2から蒸散流出した後反応精留塔3内に配置さ
れた気液接触効率向上用精留塔内構造物の最下部に至る
までの間に、アクリル酸若しくはメタクリル酸をその捕
捉剤と接触させて捕捉することを特徴とする(メタ)ア
クリル酸の製造止方法、及びこの方法に用いる製造装置
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は(メタ)アクリル酸
(以下、アクリル酸若しくはメタクリル酸と同義として
略記する場合がある。)エステルの製造方法(以下、
「製造方法」という。)及びその装置(以下、「製造装
置」という。)に関する。更に詳しくは、アクリル酸エ
ステル若しくはメタクリル酸エステルを効率的に製造す
るための製造方法及びこの方法に用いられる製造装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、アクリル酸エステルの製造方
法として、アクリル酸及びアルコールを、硫酸等の酸触
媒の存在下で反応させる方法が用いられている。また、
メタクリル酸エステルの製造方法としては、メタクリル
酸及びアルコールを、硫酸等の酸触媒の存在下で反応さ
せる方法が用いられている。このとき、用いられる製造
装置として、例えば、図5に示すように、反応容器82
と、反応精留塔83とを備えるものが知られている。そ
して、この製造装置では、アクリル酸若しくはメタクリ
ル酸、アルコール、触媒及び共沸剤等を用いて生成され
たアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル
を、反応容器82から製品回収工程へと送ると共に、こ
の生成の際に生ずる水、共沸剤等の低沸物を、反応精留
塔83へと送ることを予定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の製造方法(製造装置)においては、反応容器82か
ら反応精留塔83へと、水等の低沸物の蒸気の他に、未
反応のアクリル酸若しくはメタクリル酸の蒸気が流入
し、反応精留塔内で凝縮重合して以下の様な問題が生じ
ている。即ち、気液の接触効率の向上を意図して、反応
精留塔3の内部に配置される構造物が、多孔板である場
合には、製造装置を一定期間、可動させると、上記「未
反応のアクリル酸若しくはメタクリル酸」が凝縮重合し
て多孔板の孔を塞いだり、多孔板の上に堆積することが
多い。また、この構造物が、互い違いに配置された棚段
である場合にも、この凝縮重合物が棚段に落下して堆積
することが多い。更に、この構造物が、ビーズ体、円筒
体等の充填物で構成される場合にも、この凝縮重合物
が、ビーズ体の間、円筒体の間等に形成される隙間を塞
ぐことが多い。このため、この種の製造方法(製造装
置)では、連続的に可動できる期間が短く、その分、製
造効率が低くなっていた。
【0004】一方、反応精留塔83内に、フェノチアジ
ン等の重合防止剤を多量に投入すれば、この凝縮重合を
低減させられるが、スラッジの発生量が多くなったり、
アクリル酸エステル等の製造原価を高くするという問題
を生ずる。また、反応容器82の温度を下げれば、反応
精留塔83内に流入する「未反応のアクリル酸蒸気、若
しくは未反応のメタクリル酸蒸気」の量を低減させられ
るが、反応容器82内でのエステル化反応の反応効率が
低くなるという問題が生ずる。以上の様な事情より、上
記の様な製造装置を用いて、上記「アクリル酸エステ
ル」若しくは上記「メタクリル酸エステル」を効率的に
製造するための方策の出現が望まれていた。
【0005】本発明は、上記観点に鑑みてなされたもの
であり、アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エス
テルを効率的に製造するための製造方法及びこの方法に
用いられる製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本第1発明の製造方法
は、反応容器内に、少なくともアクリル酸若しくはメタ
クリル酸、アルコール及び触媒を入れ、加温下において
該アクリル酸若しくは該メタクリル酸と該アルコールと
をエステル化反応させ、上記反応容器内から蒸散させた
低沸物を反応精留塔にて留去するアクリル酸エステル若
しくはメタクリル酸エステルの製造方法において、アク
リル酸若しくはメタクリル酸が上記低沸物とともに上記
反応容器から蒸散流出した後上記反応精留塔内に配置さ
れた気液接触効率向上用精留塔内構造物の最下部に至る
までの間に、前記アクリル酸若しくはメタクリル酸をそ
の捕捉剤と接触させて捕捉することを特徴とする。
【0007】本発明では、反応容器内から低沸物と共に
蒸散してくるアクリル酸若しくはメタクリル酸の蒸気に
対し、捕捉剤を接触させる。この結果、この蒸気が、反
応精留塔内の塔内構造物に向かって進入することを抑制
できる。従って、アクリル酸エステル若しくはメタクリ
ル酸エステルの製造効率の向上が図られる。また、反応
容器内には、本第1発明で明示する「(メタ)アクリル
酸、アルコール及び触媒」のみを投入してもよいが、本
第2発明に示す様に、「水と共沸混合物を構成する共沸
剤」を投入してもよい。そして、この第2発明の場合に
は、反応精留塔内における水等の低沸物の留去を、より
効率的に行いながら、アクリル酸エステル若しくはメタ
クリル酸エステル等を製造できる。
【0008】上記「加温下」とは、水の沸点以上で、ア
クリル酸及びアクリル酸エステル、若しくはメタクリル
酸及びメタクリル酸エステルの沸点以下の温度状態をい
う。また、(メタ)アクリル酸と捕捉剤を接触させるた
めの好ましい方法としては、上記「捕捉剤」を霧状にし
て噴出する方法を例示できる。尚、この「捕捉剤」の
「噴出方向」は特に問わず、例えば、アクリル酸若しく
はメタクリル酸の蒸気の進行方向と逆方向であっても、
進行方向と同一方向であっても、進行方向と所定の角度
を維持しながら、交叉する方向等であってもよい。但
し、「蒸気の捕捉」をより効果的に行うためには、進行
方向と逆方向(アクリル酸の蒸気等の進行に逆らう方
向)に向かって噴出することが望ましい。尚、本発明
は、上記「スプレー」以外の手法により、「アクリル酸
若しくはメタクリル酸の蒸気に対し、捕捉剤を供給する
場合」についても応用できる。例えば、反応容器内と反
応精留塔とを接続する配管内に向かって、「捕捉剤」を
流下しながら供給する場合についても応用できる。
【0009】上記「捕捉剤」としては、上記「アクリル
酸若しくはメタクリル酸の蒸気」の捕捉が行える液状物
を種々選択できる。例えば、アルコール、共沸剤等の有
機溶剤や水、若しくはこれらの混合物等を選択できる。
但し、この「捕捉剤」が、上記「アクリル酸エステル若
しくはメタクリル酸エステルの合成」を行うための反応
に悪影響を与えないことが望ましく、例えば、アルコー
ルを用いる場合には、反応容器内に投入されるアルコー
ルと同種のものを用いることが好ましい。
【0010】更に、この「捕捉剤」として、上記反応精
留塔からの留去物を還流させて用いることができる。即
ち、この留去物を、「捕捉剤」として、再利用すれば、
経済的である。尚、本第2発明に示す場合等には、この
留去物に、共沸剤及び水を含むこととなるが、この場
合、共沸剤のみを還流させ、スプレーすることが好まし
い。これは、「水」をも、還流させると、反応容器内で
のエステル反応の進行を阻害する恐れがあるからであ
る。但し、この「捕捉剤」として、必ずしも、この様な
留去物を用いる必要はなく、この製造系に関与しない、
アルコール、共沸剤又は水等を用いることもできるし、
この製造系と異なる同種の他系から得た留去物を用いて
もよい。
【0011】更に、反応容器内に投入される「アルコー
ル」は、脂肪族アルコール、脂環式アルコール、芳香族
アルコールのいずれであってもよい。そして、脂肪族ア
ルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、
n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n
−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘプ
チルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチル
ヘキシルアルコール、イソオクチルアルコール、n−ノ
ニルアルコール、イソノニルアルコール、ステアリルア
ルコール等を例示できる。但し、脂肪族アルコールとし
ては、炭素数が4以上のものが好ましい。炭素数が3以
下である場合には、水の沸点よりも低くなり、エステル
化反応の際に、水を留去することが困難になる恐れがあ
るからである。
【0012】また、脂環式アルコールとしては、シクロ
ヘキシルアルコール、メチルヘキシルアルコール等が例
示できる。更に、芳香族アルコールとしては、ベンジル
アルコール、メチルベンジルアルコール等を例示でき
る。また、反応容器内に投入される「触媒」としては、
硫酸、塩酸等の鉱酸や、パラトルエンスルホン酸、メタ
スルホン酸等の有機酸等の様に、通常、エステル化触媒
として用いられているものが例示できる。
【0013】更に、本第2発明に示す「共沸剤」の種類
は、使用するアルコールとの関係を考慮して定められ
る。即ち、水と共沸混合物を形成するものであり、反応
原料及び生成物と反応せず、反応原料の沸点より低い温
度に共沸点を有するものが好ましい。例えば、使用する
アルコールが2エチルヘキシルアルコール、n−ブタノ
ールの場合には、イソプロピルエーテル等を用いること
ができ、使用するアルコールが、イソブタノールの場合
には、シクロヘキサンを用いることができる。上記「塔
内構造物」は、気液の接触を効率良く行わせることを目
的として、反応精留塔内に配置される構造物である。こ
の構造物としては、例えば、多孔板、棚段、ビーズ体、
円筒体、ヘリパック型、ヘリグリッド型、ヘンスケ型、
スチットマン型、ディクソン型、マクマホン型、回転バ
ンド型、同芯管型、オルダーショウ型、キャップ型等の
充填物、表裏両面を貫通するスリット孔を設けた板等を
例示できる。
【0014】また、上記第1及び2発明において、本第
3発明に示す様に、上記捕捉剤中に、重合防止剤を含有
させてもよい。本第3発明は、本第1及び2発明の目的
をより一層、確実に達せんとするものである。即ち、
「捕捉剤に捕捉されたアクリル酸若しくはメタクリル
酸」の重合を防止せんとしている。上記「重合防止剤」
は、従来技術において重合性液体を取り扱う際に用いら
れるものと同様であり、フェノチアジン等の芳香族アミ
ン類やハイドロキノン及びその誘導体等のフェノール類
化合物等の重合防止剤等が挙げられる。例えば、p−ハ
イドロオキシ・ジフェニールアミン、N,N’−ジフェ
ニールジアミン及び2,5−ジ−tert.−ブチルハ
イドロキノン等である。更に好ましくは、ハイドロキノ
ン、モノメチルエーテルハイドロキノン、フェノチアジ
ン等が挙げられる。
【0015】また、重合防止剤として、酸素を用いるこ
ともでき、また上記ハイドロキノン等と併用することも
できる。即ち、酸素を含有する気体の雰囲気下で重合性
液体を操作し、又は酸素を含有する気体を重合性液体内
に導入してバブリング(曝気)することにより、酸素を
重合性液体中に溶存させ、重合防止剤として用いるもの
である。尚、酸素を溶存させるために用いられる酸素を
含有する気体は、特に限定されるものではない。但し、
酸素濃度が3容積%より低い場合は、酸素分圧が減少
し、高い溶存酸素濃度が得にくいので、酸素濃度は3容
積%以上にすることが好ましい。
【0016】本第4発明の製造装置は、少なくともアク
リル酸若しくはメタクリル酸、アルコール及び触媒を入
れて反応させる反応容器と、該反応容器の上方側に接続
される留去用配管と、該留去用配管の他端部に接続され
る反応精留塔と、一端が上記留去用配管に接続された捕
捉剤用配管と、を備え、上記低沸物とともに上記反応容
器内から蒸散してくるアクリル酸若しくはメタクリル酸
を捕捉するための捕捉剤を該捕捉剤用配管の一端から該
留去用配管内に向けて噴出するノズルを有することを特
徴とする。
【0017】本第5発明の製造装置は、少なくともアク
リル酸若しくはメタクリル酸、アルコール及び触媒を入
れて反応させる反応容器と、該反応容器の上方側に接続
される留去用配管と、該留去用配管の他端部に接続され
る反応精留塔と、一端が反応精留塔に接続された捕捉剤
用配管と、を備え、上記低沸物とともに上記反応容器内
から蒸散してくるアクリル酸若しくはメタクリル酸を捕
捉するための捕捉剤を該捕捉剤用配管の一端から、上記
留去用配管と上記反応精留塔との接合部分に向けて噴出
するノズルを有することを特徴とする。本第4及び5発
明の製造装置は、本第1乃至3発明の方法を実施するた
めのものである。但し、本第4発明では、捕捉剤を、留
去用配管内に向けてスプレーするのに対し、本第5発明
では、この捕捉剤を、留去用配管の内部に向けてスプレ
ーする点で異なっている。尚、第1乃至3発明の方法を
実施するため製造装置は、本第4及び5発明に示すもの
に限定されない。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。 (1)製造装置の概要 本製造装置は、図1に示す様に、反応容器(容量;約2
リットル)2と、反応精留塔(内径;40mmφ)3
と、分離装置6とを備えている。また、反応容器2と、
反応精留塔3の下方側の中間部とは、ベーパー管(留去
用配管、内径;20mmφ)Bを介して接続されてい
る。更に、反応容器2と、反応精留塔3の底部とは、油
相管Yを介して接続されている。
【0019】上記反応容器2では、アクリル酸若しくは
メタクリル酸、アルコール、触媒及び共沸剤等を用い
て、エステル化反応が行われる。そして、この容器2内
で生成されたエステル等は、第1主管Pを通じて、製品
回収工程の側へと送られる。また、反応容器2でのエス
テル化反応により生じた水及び共沸剤等(低沸物)の蒸
気は、ベーパー管Bを通じて反応精留塔3に送られる。
但し、この蒸気には、未反応のアクリル酸若しくは未反
応のメタクリル酸の他に、容器2内での生成物であるア
クリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルも含ま
れる。
【0020】上記反応精留塔3は、図2に示す様に、内
部に、塔内構造物であるヘリパック型充填物〔1.7
(W)×3.5(D)×3.5(L)〕31を有してい
る。但し、塔内構造物は、図2に示すものに限定されな
い。また、この反応精留塔3により、反応容器2からの
低沸物を精留し、分離装置6により水相(水及び共沸
剤)及び油相に分ること等を行う。そして、この油相
は、上記油相管Yを通じて反応容器2に還流される。ま
た、反応精留塔3の塔頂部には、所定の水相用管Sの一
端側が接続されている。そして、反応精留塔3で分留さ
れた水相は、この水相用管Sに送られる。
【0021】上記分離装置6は、この水相用管Sの他端
側に接続されており、この水相用管Sにより送られくる
水相を、比重差を利用して、「水」と、「共沸剤」とに
分離する。また、この分留装置6には、第1分岐管(共
沸剤回収用管)S1 、第2分岐管(水排出用管)S2
び第3分岐管(捕捉剤用管)S3 の各一端側が接続され
ている。そして、分離装置6で分離された「共沸剤」の
一部が、捕捉剤として、第3分岐管S3 に供給される。
また、「共沸剤」の残部は、第1分岐管S1 を用いて、
本装置の系外へと運ばれ、回収される。但し、本装置よ
り、第1分岐管S1 を省略し、分離装置6で分離された
「共沸剤」の全てを、捕捉剤として用いることもでき
る。
【0022】また、第2分岐管(水排出用管)S2 は、
分離装置6で分離された「水」を、装置の系外へと排出
するためのものである。但し、この分離装置6で分離さ
れた「水」中には、微量の「共沸剤」が含まれることが
多い。このため、第2分岐管S2 の他端側に、所定の回
収装置を接続し、この微量の「共沸剤」の回収を行うこ
とが望ましい。そして、第3分岐管S3 の他端は、図3
に示す様に、ベーパー管Bの終端側(反応精留塔3寄り
の箇所)の内部に、引き入れられている。更に、この管
3 の先端部には、スプレー用ノズルNが取着されてい
る。尚、このノズルNの方向は、ベーパー管B内の
「(メタ)アクリル酸を含んだ蒸気」の進行方向に、逆
行する方向でも、同一の方向でも、進行方向に所定の角
度を維持して交叉する方向であってもよい。
【0023】そして、このノズルNの先端より、ベーパ
ー管B内に対し、捕捉剤としての共沸剤が、スプレーさ
れる。この結果、ベーパー管B内を進行する蒸気中に含
まれているアクリル酸若しくはメタクリル酸が、この共
沸剤中に捕捉される。尚、上記ノズルNの先端と、これ
に対向するベーパー管Bの内壁との距離や、上記ノズル
Nの先端の角度等は、このノズルNからの「共沸剤」の
噴出力、噴出量等を考慮しながら、上記各発明の目的を
確実に達成できる範囲で種々選択される。
【0024】(2)性能試験及び評価 以上の様に構成される製造装置の性能を評価するため
に、以下に述べる「実施試験」及び「比較試験」を行っ
た。
【0025】実施試験 本試験は、上記製造装置を以下の条件で可動させ、アク
リル酸2エチルヘキシルを製造したものである。即ち、
上記反応容器2に対し、アクリル酸100重量部と、2
エチルヘキシルアルコール130重量部と、触媒として
の硫酸2.0重量部と、共沸剤としてのイソプロピルエ
ーテル50重量部とを連続供給して行った。また、反応
容器2内の温度を120°Cとした。更に、スプレー用
ノズルNからの上記水等の噴出量を、1時間当たり、3
50重量部とした。
【0026】比較試験 上記分離装置6、第3分岐管S3 及びスプレー用ノズル
Nを備えないこと以外は同様な製造装置を、上記実施試
験と同様な条件の下で稼働させて行った。
【0027】(3)性能評価 上記「比較試験」に際しては、反応精留塔入口のガス中
のアクリル酸の濃度は5.11%であった。また、製造
装置を連続的に可動できる期間は約1ケ月であった。こ
れに対し、「実施試験」に際しては、反応精留塔入口の
ガス中のアクリル酸濃度は0.90%であった。また、
製造装置を連続的に可動できる期間は、約3ケ月であっ
た。
【0028】以上の様に、「実施試験」に用いた製造装
置では、比較試験に用いた製造装置に比べ、反応精留塔
3内のアクリル酸(未反応アクリル酸)蒸気の濃度を大
幅に低減できる。例えば、反応精留塔入口の濃度を1/
5以下にしている。そして、製造装置を連続的に可動で
きる期間を、約3倍にしている。以上の様に、「実施試
験」に示す「製造装置」を用いれば、アクリル酸エステ
ルを効率的に製造できる。また、この「製造装置」は、
従来の製造装置に簡単な改良を加えれば足りるため、本
製造装置を用いても、アクリル酸エステルの製造コスト
を大きく、高騰させることはない。
【0029】尚、本発明においては、上記実施の形態に
示した具体的な態様、具体例に限らず、目的、用途に応
じて本発明の範囲内で種々変更した形態、実施例、変形
例とすることができる。即ち、上記実施試験は、アクリ
ル酸エステルの製造に関するものであるが、本形態の製
造装置を用いれば、メタクリル酸エステルの製造も効率
的に行える。また、本実施の形態では、反応容器2内
に、共沸剤を投入する場合について述べたが、反応容器
2内への共沸剤の投入を省略してもよい。
【0030】そして、この「共沸剤を投入しない場合」
には、本形態に示す「共沸剤を投入する場合」よりも、
上記製造装置の存在意義が、より一層、大きくなる。共
沸剤を投入しない場合には、投入する場合よりも、反応
精留塔3内の温度を高めに設定することが必要となる。
従って、反応容器より蒸散してくるアクリル酸(メタク
リル酸)の量が多くなり、より重合し易くなるからであ
る。
【0031】また、上記スプレー用ノズルNの配置され
る箇所は、上記各発明の目的を達成できる範囲で、上記
実施の形態以外の箇所から適宜、選択できる。例えば、
図4に示す様に、第3分岐管S3 の他端を、反応精留塔
3の下方側(上記充填物31よりも下方)の内部に引き
入れ、且つノズルNを、ベーパー管Bとの反応精留塔3
との接続口Cの方向に向けてもよい。更に、図3に示す
実施の形態及び図4に示す変形的な形態の様に、反応精
留塔3における留去物を、捕捉剤とする必要はない。例
えば、所定の捕捉剤用管を用いて、製造装置の系外よ
り、ベーパー管B内等に向かって、捕捉剤を投入しても
よい。
【0032】また、本発明の製造装置(製造方法)で
は、スプレー用ノズルNからスプレーされる共沸剤に、
重合防止剤(例えば、約200ppmのフェノチアジン
等)を混ぜるのも有効である。この場合には、捕捉剤中
に捕捉され、反応精留塔3内に到達したアクリル酸(メ
タクリル酸)が重合することを防止できる。この結果、
このアクリル酸(メタクリル酸)の重合物が、ベーパー
管Bに詰まるという不具合等を確実に防止でき、アクリ
ル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルの製造効率
のより一層の向上が図られる。また、第3分岐管(捕捉
剤用管)S3 の他端側を、絞り込んだ形状等とすれば、
本実施の形態の様なスプレー用ノズルNを用いずに、捕
捉剤をスプレーできる。
【0033】
【発明の効果】以上の様に、上記各発明によると、(メ
タ)アクリル酸の無用な凝縮重合を防止でき、そのため
(メタ)アクリル酸エステルを効率的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に示す製造装置を示す説明
図である。
【図2】図1の装置が備える反応精留塔の概略的な説明
図である。
【図3】図1の装置におけるスプレー用ノズル等の配置
方法を説明するための概略的な縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形的な形態を示すスプ
レー用ノズル等の配置方法を説明するための概略的な縦
断面図である。
【図5】従来例に係わる製造装置を示す説明図である。
【符号の説明】
2;反応容器、3;反応精留塔、31;ヘリパック型充
填物、32;水相管、6;分離装置、B;ベーパー管、
Y;油相管、S;水相管、S1 ;第1分岐管(共沸剤回
収用管)S2 ;第2分岐管(水排出用管)、S3 ;第3
分岐管(捕捉剤用管)、C;接続口、P;第1主管、
N;スプレー用ノズル。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 67/54 C07C 67/54 67/62 67/62 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応容器内に、少なくともアクリル酸若
    しくはメタクリル酸、アルコール及び触媒を入れ、加温
    下において該アクリル酸若しくは該メタクリル酸と該ア
    ルコールとをエステル化反応させ、上記反応容器内から
    蒸散させた低沸物を反応精留塔にて留去するアクリル酸
    エステル若しくはメタクリル酸エステルの製造方法にお
    いて、アクリル酸若しくはメタクリル酸が上記低沸物と
    ともに上記反応容器から蒸散流出した後上記反応精留塔
    内に配置された気液接触効率向上用精留塔内構造物の最
    下部に至るまでの間に、前記アクリル酸若しくはメタク
    リル酸をその捕捉剤と接触させて捕捉することを特徴と
    する、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記反応容器内に、上記アクリル酸若し
    くは上記メタクリル酸、上記アルコール及び上記触媒の
    他に、水と共沸混合物を構成する共沸剤を入れることを
    特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル酸エステル
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記捕捉剤中に、重合防止剤を含有させ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の(メタ)アク
    リル酸エステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 少なくともアクリル酸若しくはメタクリ
    ル酸、アルコール及び触媒を入れて反応させる反応容器
    と、該反応容器の上方側に接続される留去用配管と、該
    留去用配管の他端部に接続される反応精留塔と、一端が
    上記留去用配管に接続された捕捉剤用配管と、を備え、 上記低沸物とともに上記反応容器内から蒸散してくるア
    クリル酸若しくはメタクリル酸を捕捉するための捕捉剤
    を該捕捉剤用配管の一端から該留去用配管内に向けて噴
    出するノズルを有することを特徴とする(メタ)アクリ
    ル酸エステルの製造装置。
  5. 【請求項5】 少なくともアクリル酸若しくはメタクリ
    ル酸、アルコール及び触媒を入れて反応させる反応容器
    と、該反応容器の上方側に接続される留去用配管と、該
    留去用配管の他端部に接続される反応精留塔と、一端が
    反応精留塔接続された捕捉剤用配管と、を備え、 上記低沸物とともに上記反応容器内から蒸散してくるア
    クリル酸若しくはメタクリル酸を捕捉するための捕捉剤
    を該捕捉剤用配管の一端から、上記留去用配管と上記反
    応精留塔との接合部分に向けて噴出するノズルを有する
    ことを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7332624B2 (en) 2002-07-16 2008-02-19 Nippon Shokubai Co., Ltd. Method for production of acrylic acid
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WO2021002705A1 (ko) * 2019-07-04 2021-01-07 주식회사 엘지화학 디에스터계 물질의 제조 유닛 및 이를 포함하는 디에스터계 물질의 제조 시스템
US12122747B2 (en) 2019-07-04 2024-10-22 Lg Chem, Ltd. Diester-based material production unit and diester-based material production system including the same

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