JP3551620B2 - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は(メタ)アクリル酸(以下、アクリル酸若しくはメタクリル酸と同義として略記する場合がある。)エステルの製造方法(以下、「製造方法」という。)及びその装置(以下、「製造装置」という。)に関する。更に詳しくは、アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルを効率的に製造するための製造方法及びこの方法に用いられる製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アクリル酸エステルの製造方法として、アクリル酸及びアルコールを、硫酸等の酸触媒の存在下で反応させる方法が用いられている。また、メタクリル酸エステルの製造方法としては、メタクリル酸及びアルコールを、硫酸等の酸触媒の存在下で反応させる方法が用いられている。このとき、用いられる製造装置として、例えば、図5に示すように、反応容器82と、反応精留塔83とを備えるものが知られている。そして、この製造装置では、アクリル酸若しくはメタクリル酸、アルコール、触媒及び共沸剤等を用いて生成されたアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルを、反応容器82から製品回収工程へと送ると共に、この生成の際に生ずる水、共沸剤等の低沸物を、反応精留塔83へと送ることを予定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の製造方法(製造装置)においては、反応容器82から反応精留塔83へと、水等の低沸物の蒸気の他に、未反応のアクリル酸若しくはメタクリル酸の蒸気が流入し、反応精留塔内で凝縮重合して以下の様な問題が生じている。即ち、気液の接触効率の向上を意図して、反応精留塔3の内部に配置される構造物が、多孔板である場合には、製造装置を一定期間、可動させると、上記「未反応のアクリル酸若しくはメタクリル酸」が凝縮重合して多孔板の孔を塞いだり、多孔板の上に堆積することが多い。また、この構造物が、互い違いに配置された棚段である場合にも、この凝縮重合物が棚段に落下して堆積することが多い。更に、この構造物が、ビーズ体、円筒体等の充填物で構成される場合にも、この凝縮重合物が、ビーズ体の間、円筒体の間等に形成される隙間を塞ぐことが多い。
このため、この種の製造方法(製造装置)では、連続的に可動できる期間が短く、その分、製造効率が低くなっていた。
【0004】
一方、反応精留塔83内に、フェノチアジン等の重合防止剤を多量に投入すれば、この凝縮重合を低減させられるが、スラッジの発生量が多くなったり、アクリル酸エステル等の製造原価を高くするという問題を生ずる。
また、反応容器82の温度を下げれば、反応精留塔83内に流入する「未反応のアクリル酸蒸気、若しくは未反応のメタクリル酸蒸気」の量を低減させられるが、反応容器82内でのエステル化反応の反応効率が低くなるという問題が生ずる。
以上の様な事情より、上記の様な製造装置を用いて、上記「アクリル酸エステル」若しくは上記「メタクリル酸エステル」を効率的に製造するための方策の出現が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記観点に鑑みてなされたものであり、アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルを効率的に製造するための製造方法及びこの方法に用いられる製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明における第3及び第4発明は、第1発明又は第2発明の製造装置を使用することにより、反応容器内に、少なくともアクリル酸若しくはメタクリル酸、アルコール及び触媒を入れ、加温下において該アクリル酸若しくは該メタクリル酸と該アルコールとをエステル化反応させ、上記反応容器内から蒸散させた低沸物を反応精留塔にて留去するアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルの製造方法において、上記低沸物とともに上記反応容器から蒸散してくるアクリル酸若しくはメタクリル酸に対して、低沸物蒸気を反応精留塔に導く配管の途中又は反応精留塔の特定の部位で噴霧される液状捕捉剤と接触させ該捕捉剤に捕捉することを特徴とする。
【0007】
本発明では、反応容器内から低沸物と共に蒸散してくるアクリル酸若しくはメタクリル酸の蒸気に対し、捕捉剤を接触させる。この結果、この蒸気が、反応精留塔内の塔内構造物に向かって進入することを抑制できる。従って、アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルの製造効率の向上が図られる。
また、反応容器内には、本発明で明示する「(メタ)アクリル酸、アルコール及び触媒」のみを投入してもよいが、「水と共沸混合物を構成する共沸剤」を投入してもよい。そして、この場合には、反応精留塔内における水等の低沸物の留去を、より効率的に行いながら、アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル等を製造できる。
【0008】
上記「加温下」とは、水の沸点以上で、アクリル酸及びアクリル酸エステル、若しくはメタクリル酸及びメタクリル酸エステルの沸点以下の温度状態をいう。
また、(メタ)アクリル酸と捕捉剤を接触させるための方法としては、上記「捕捉剤」を霧状にして噴出する方法である。尚、この「捕捉剤」の「噴出方向」は特に問わず、例えば、アクリル酸若しくはメタクリル酸の蒸気の進行方向と逆方向であっても、進行方向と同一方向であつてもよい。但し、「蒸気の捕捉」をより効果的に行うためには、進行方向と逆方向(アクリル酸の蒸気等の進行に逆らう方向)に向かって噴出することが望ましい。
【0009】
上記「捕捉剤」としては、上記「アクリル酸若しくはメタクリル酸の蒸気」の捕捉が行える液状物を種々選択できる。例えば、アルコール、共沸剤等の有機溶剤や水、若しくはこれらの混合物等を選択できる。但し、この「捕捉剤」が、上記「アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルの合成」を行うための反応に悪影響を与えないことが望ましく、例えば、アルコールを用いる場合には、反応容器内に投入されるアルコールと同種のものを用いることが好ましい。
【0010】
更に、この「捕捉剤」として、上記反応精留塔からの留去物を還流させて用いることができる。即ち、この留去物を、「捕捉剤」として、再利用すれば、経済的である。尚、この留去物に、共沸剤及び水を含むこととなる場合、共沸剤のみを還流させ、スプレーすることが好ましい。これは、「水」をも、還流させると、反応容器内でのエステル反応の進行を阻害する恐れがあるからである。但し、この「捕捉剤」として、必ずしも、この様な留去物を用いる必要はなく、この製造系に関与しない、アルコール、共沸剤又は水等を用いることもできるし、この製造系と異なる同種の他系から得た留去物を用いてもよい。
【0011】
更に、反応容器内に投入される「アルコール」は、脂肪族アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコールのいずれであってもよい。
そして、脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソオクチルアルコール、n−ノニルアルコール、イソノニルアルコール、ステアリルアルコール等を例示できる。但し、脂肪族アルコールとしては、炭素数が4以上のものが好ましい。炭素数が3以下である場合には、水の沸点よりも低くなり、エステル化反応の際に、水を留去することが困難になる恐れがあるからである。
【0012】
また、脂環式アルコールとしては、シクロヘキシルアルコール、メチルヘキシルアルコール等が例示できる。
更に、芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール等を例示できる。
また、反応容器内に投入される「触媒」としては、硫酸、塩酸等の鉱酸や、パラトルエンスルホン酸、メタスルホン酸等の有機酸等の様に、通常、エステル化触媒として用いられているものが例示できる。
【0013】
更に、上記「共沸剤」の種類は、使用するアルコールとの関係を考慮して定められる。即ち、水と共沸混合物を形成するものであり、反応原料及び生成物と反応せず、反応原料の沸点より低い温度に共沸点を有するものが好ましい。例えば、使用するアルコールが2エチルヘキシルアルコール、n−ブタノールの場合には、イソプロピルエーテル等を用いることができ、使用するアルコールが、イソブタノールの場合には、シクロヘキサンを用いることができる。
上記「塔内構造物」は、気液の接触を効率良く行わせることを目的として、反応精留塔内に配置される構造物である。この構造物としては、例えば、多孔板、棚段、ビーズ体、円筒体、ヘリパック型、ヘリグリッド型、ヘンスケ型、スチットマン型、ディクソン型、マクマホン型、回転バンド型、同芯管型、オルダーショウ型、キャップ型等の充填物、表裏両面を貫通するスリット孔を設けた板等を例示できる。
【0014】
また、本発明の製造方法において、上記捕捉剤中に、重合防止剤を含有させてもよい。本発明の目的をより一層、確実に達せんとするものである。即ち、「捕捉剤に捕捉されたアクリル酸若しくはメタクリル酸」の重合を防止せんとしている。
上記「重合防止剤」は、従来技術において重合性液体を取り扱う際に用いられるものと同様であり、フェノチアジン等の芳香族アミン類やハイドロキノン及びその誘導体等のフェノール類化合物等の重合防止剤等が挙げられる。例えば、p−ハイドロオキシ・ジフェニールアミン、N,N’−ジフェニールジアミン及び2,5−ジ−tert.−ブチルハイドロキノン等である。更に好ましくは、ハイドロキノン、モノメチルエーテルハイドロキノン、フェノチアジン等が挙げられる。
【0015】
また、重合防止剤として、酸素を用いることもでき、また上記ハイドロキノン等と併用することもできる。即ち、酸素を含有する気体の雰囲気下で重合性液体を操作し、又は酸素を含有する気体を重合性液体内に導入してバブリング(曝気)することにより、酸素を重合性液体中に溶存させ、重合防止剤として用いるものである。尚、酸素を溶存させるために用いられる酸素を含有する気体は、特に限定されるものではない。但し、酸素濃度が3容積%より低い場合は、酸素分圧が減少し、高い溶存酸素濃度が得にくいので、酸素濃度は3容積%以上にすることが好ましい。
【0016】
第1の本発明の製造装置は、少なくともアクリル酸若しくはメタクリル酸、アルコール及び触媒を入れて反応させる反応容器と、該反応容器の上方側に接続される留去用配管と、該留去用配管の他端部に接続される反応精留塔と、一端が上記留去用配管に接続された捕捉剤用配管と、を備え、上記低沸物とともに上記反応容器内から蒸散してくるアクリル酸若しくはメタクリル酸を捕捉するための捕捉剤を該捕捉剤用配管の一端から該留去用配管内に向けて噴出するノズルを有することを特徴とする。
【0017】
第2の本発明の製造装置は、少なくともアクリル酸若しくはメタクリル酸、アルコール及び触媒を入れて反応させる反応容器と、該反応容器の上方側に接続される留去用配管と、該留去用配管の他端部に接続される反応精留塔と、一端が反応精留塔に接続された捕捉剤用配管と、を備え、上記低沸物とともに上記反応容器内から蒸散してくるアクリル酸若しくはメタクリル酸を捕捉するための捕捉剤を該捕捉剤用配管の一端から、上記留去用配管と上記反応精留塔との接合部分に向けて噴出するノズルを有することを特徴とする。
本発明の製造装置は、本発明の方法を実施するためのものである。但し、第1の本発明では、捕捉剤を、留去用配管内に向けてスプレーするのに対し、第2の本発明では、この捕捉剤を、留去用配管の内部に向けてスプレーする点で異なっている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(1)製造装置の概要
本製造装置は、図1に示す様に、反応容器(容量;約2リットル)2と、反応精留塔(内径;40mmφ)3と、分離装置6とを備えている。また、反応容器2と、反応精留塔3の下方側の中間部とは、ベーパー管(留去用配管、内径;20mmφ)Bを介して接続されている。更に、反応容器2と、反応精留塔3の底部とは、油相管Yを介して接続されている。
【0019】
上記反応容器2では、アクリル酸若しくはメタクリル酸、アルコール、触媒及び共沸剤等を用いて、エステル化反応が行われる。そして、この容器2内で生成されたエステル等は、第1主管Pを通じて、製品回収工程の側へと送られる。
また、反応容器2でのエステル化反応により生じた水及び共沸剤等(低沸物)の蒸気は、ベーパー管Bを通じて反応精留塔3に送られる。但し、この蒸気には、未反応のアクリル酸若しくは未反応のメタクリル酸の他に、容器2内での生成物であるアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルも含まれる。
【0020】
上記反応精留塔3は、図2に示す様に、内部に、塔内構造物であるヘリパック型充填物〔1.7(W)×3.5(D)×3.5(L)〕31を有している。但し、塔内構造物は、図2に示すものに限定されない。
また、この反応精留塔3により、反応容器2からの低沸物を精留し、分離装置6により水相(水及び共沸剤)及び油相に分ること等を行う。そして、上記反応精留塔3の塔底液は、上記油相管Yを通じて反応容器2に還流される。また、反応精留塔3の塔頂部には、所定の水相用管Sの一端側が接続されている。そして、反応精留塔3で分留された水相は、この水相用管Sに送られる。
【0021】
上記分離装置6は、この水相用管Sの他端側に接続されており、この水相用管Sにより送られくる水相を、比重差を利用して、「水」と、「共沸剤」とに分離する。また、この分留装置6には、第1分岐管(共沸剤回収用管)S1 、第2分岐管(水排出用管)S2 及び第3分岐管(捕捉剤用管)S3 の各一端側が接続されている。
そして、分離装置6で分離された「共沸剤」の一部が、捕捉剤として、第3分岐管S3 に供給される。また、「共沸剤」の残部は、第1分岐管S1 を用いて、本装置の系外へと運ばれ、回収される。但し、本装置より、第1分岐管S1 を省略し、分離装置6で分離された「共沸剤」の全てを、捕捉剤として用いることもできる。
【0022】
また、第2分岐管(水排出用管)S2 は、分離装置6で分離された「水」を、装置の系外へと排出するためのものである。但し、この分離装置6で分離された「水」中には、微量の「共沸剤」が含まれることが多い。このため、第2分岐管S2 の他端側に、所定の回収装置を接続し、この微量の「共沸剤」の回収を行うことが望ましい。
そして、第3分岐管S3 の他端は、図3に示す様に、ベーパー管Bの終端側(反応精留塔3寄りの箇所)の内部に、引き入れられている。更に、この管S3 の先端部には、スプレー用ノズルNが取着されている。尚、このノズルNの方向は、ベーパー管B内の「(メタ)アクリル酸を含んだ蒸気」の進行方向に、逆行する方向でも、同一の方向でも、進行方向に所定の角度を維持して交叉する方向であってもよい。
【0023】
そして、このノズルNの先端より、ベーパー管B内に対し、捕捉剤としての共沸剤が、スプレーされる。この結果、ベーパー管B内を進行する蒸気中に含まれているアクリル酸若しくはメタクリル酸が、この共沸剤中に捕捉される。
尚、上記ノズルNの先端と、これに対向するベーパー管Bの内壁との距離や、上記ノズルNの先端の角度等は、このノズルNからの「共沸剤」の噴出力、噴出量等を考慮しながら、上記各発明の目的を確実に達成できる範囲で種々選択される。
【0024】
(2)性能試験及び評価
以上の様に構成される製造装置の性能を評価するために、以下に述べる「実施試験」及び「比較試験」を行った。
【0025】
▲1▼実施試験
本試験は、上記製造装置を以下の条件で可動させ、アクリル酸2エチルヘキシルを製造したものである。即ち、上記反応容器2に対し、アクリル酸100重量部と、2エチルヘキシルアルコール130重量部と、触媒としての硫酸2.0重量部と、共沸剤としてのイソプロピルエーテル50重量部とを連続供給して行った。また、反応容器2内の温度を120°Cとした。更に、スプレー用ノズルNからの上記水等の噴出量を、1時間当たり、350重量部とした。
【0026】
▲2▼比較試験
上記分離装置6、第3分岐管S3 及びスプレー用ノズルNを備えないこと以外は同様な製造装置を、上記実施試験と同様な条件の下で稼働させて行った。
【0027】
(3)性能評価
上記「比較試験」に際しては、反応精留塔入口のガス中のアクリル酸の濃度は5.11%であった。また、製造装置を連続的に可動できる期間は約1ケ月であった。
これに対し、「実施試験」に際しては、反応精留塔入口のガス中のアクリル酸濃度は0.90%であった。また、製造装置を連続的に可動できる期間は、約3ケ月であった。
【0028】
以上の様に、「実施試験」に用いた製造装置では、比較試験に用いた製造装置に比べ、反応精留塔3内のアクリル酸(未反応アクリル酸)蒸気の濃度を大幅に低減できる。例えば、反応精留塔入口の濃度を1/5以下にしている。そして、製造装置を連続的に可動できる期間を、約3倍にしている。
以上の様に、「実施試験」に示す「製造装置」を用いれば、アクリル酸エステルを効率的に製造できる。また、この「製造装置」は、従来の製造装置に簡単な改良を加えれば足りるため、本製造装置を用いても、アクリル酸エステルの製造コストを大きく、高騰させることはない。
【0029】
尚、本発明においては、上記実施の形態に示した具体的な態様、具体例に限らず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した形態、実施例、変形例とすることができる。
即ち、上記実施試験は、アクリル酸エステルの製造に関するものであるが、本形態の製造装置を用いれば、メタクリル酸エステルの製造も効率的に行える。
また、本実施の形態では、反応容器2内に、共沸剤を投入する場合について述べたが、反応容器2内への共沸剤の投入を省略してもよい。
【0030】
そして、この「共沸剤を投入しない場合」には、本形態に示す「共沸剤を投入する場合」よりも、上記製造装置の存在意義が、より一層、大きくなる。共沸剤を投入しない場合には、投入する場合よりも、反応精留塔3内の温度を高めに設定することが必要となる。従って、反応容器より蒸散してくるアクリル酸(メタクリル酸)の量が多くなり、より重合し易くなるからである。
【0031】
また、上記スプレー用ノズルNの配置される箇所は、上記各発明の目的を達成できる範囲で、上記実施の形態以外の箇所から適宜、選択できる。例えば、図4に示す様に、第3分岐管S3 の他端を、反応精留塔3の下方側(上記充填物31よりも下方)の内部に引き入れ、且つノズルNを、ベーパー管Bとの反応精留塔3との接続口Cの方向に向けてもよい。
更に、図3に示す実施の形態及び図4に示す変形的な形態の様に、反応精留塔3における留去物を、捕捉剤とする必要はない。例えば、所定の捕捉剤用管を用いて、製造装置の系外より、ベーパー管B内等に向かって、捕捉剤を投入してもよい。
【0032】
また、本発明の製造装置(製造方法)では、スプレー用ノズルNからスプレーされる共沸剤に、重合防止剤(例えば、約200ppmのフェノチアジン等)を混ぜるのも有効である。この場合には、捕捉剤中に捕捉され、反応精留塔3内に到達したアクリル酸(メタクリル酸)が重合することを防止できる。この結果、このアクリル酸(メタクリル酸)の重合物が、ベーパー管Bに詰まるという不具合等を確実に防止でき、アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルの製造効率のより一層の向上が図られる。
また、第3分岐管(捕捉剤用管)S3 の他端側を、絞り込んだ形状等とすれば、本実施の形態の様なスプレー用ノズルNを用いずに、捕捉剤をスプレーできる。
【0033】
【発明の効果】
以上の様に、上記各発明によると、(メタ)アクリル酸の無用な凝縮重合を防止でき、そのため(メタ)アクリル酸エステルを効率的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に示す製造装置を示す説明図である。
【図2】図1の装置が備える反応精留塔の概略的な説明図である。
【図3】図1の装置におけるスプレー用ノズル等の配置方法を説明するための概略的な縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形的な形態を示すスプレー用ノズル等の配置方法を説明するための概略的な縦断面図である。
【図5】従来例に係わる製造装置を示す説明図である。
【符号の説明】
2;反応容器、3;反応精留塔、31;ヘリパック型充填物、6;分離装置、B;ベーパー管、Y;油相管、S;水相管、S1 ;第1分岐管(共沸剤回収用管)S2 ;第2分岐管(水排出用管)、S3 ;第3分岐管(捕捉剤用管)、C;接続口、P;第1主管、N;スプレー用ノズル。
Claims (4)
- 少なくともアクリル酸若しくはメタクリル酸、アルコール及び触媒を入れて反応させる反応容器と、該反応容器の上方側に接続される留去用配管と、該留去用配管の他端部に接続される反応精留塔と、一端が上記留去用配管に接続された捕捉剤用配管と、を備え、
上記反応器内から蒸散させた低沸物とともに上記反応容器内から蒸散してくるアクリル酸若しくはメタクリル酸を捕捉するための捕捉剤を、該捕捉剤用配管の一端から該留去用配管内に向けて霧状に噴出するノズルを有することを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造装置。 - 少なくともアクリル酸若しくはメタクリル酸、アルコール及び触媒を入れて反応させる反応容器と、該反応容器の上方側に接続される留去用配管と、該留去用配管の他端部に接続される反応精留塔と、一端が反応精留塔に接続された捕捉剤用配管と、を備え、
上記反応器内から蒸散させた低沸物とともに上記反応容器内から蒸散してくるアクリル酸若しくはメタクリル酸を捕捉するための捕捉剤を、該捕捉剤用配管の一端から上記留去用配管と上記反応精留塔との接合部分に向けて霧状に噴出するノズルを有することを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造装置。 - 反応容器内に、少なくともアクリル酸若しくはメタクリル酸、アルコール及び触媒を入れ、加温下において該アクリル酸若しくは該メタクリル酸と該アルコールとをエステル化反応させ、上記反応容器内から蒸散させた低沸物を反応精留塔にて留去するアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルの製造方法において、請求項1記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造装置を用い、上記アクリル酸若しくはメタクリル酸の捕捉剤を請求項1記載の留去用配管内に向けて霧状にして噴出させることにより、上記アクリル酸若しくはメタクリル酸を上記捕捉剤と接触させることを特徴とする、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
- 反応容器内に、少なくともアクリル酸若しくはメタクリル酸、アルコール及び触媒を入れ、加温下において該アクリル酸若しくは該メタクリル酸と該アルコールとをエステル化反応させ、上記反応容器内から蒸散させた低沸物を反応精留塔にて留去するアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルの製造方法において、請求項2記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造装置を用い、上記アクリル酸若しくはメタクリル酸の捕捉剤を請求項2記載の留去用配管と上記反応精留塔との接合部分に向けて霧状にして噴出させることにより、上記アクリル酸若しくはメタクリル酸を上記捕捉剤と接触させることを特徴とする、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
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