JPH09295949A - 精製装置、該装置を用いた化合物の精製方法および混合方法 - Google Patents

精製装置、該装置を用いた化合物の精製方法および混合方法

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JPH09295949A
JPH09295949A JP10973196A JP10973196A JPH09295949A JP H09295949 A JPH09295949 A JP H09295949A JP 10973196 A JP10973196 A JP 10973196A JP 10973196 A JP10973196 A JP 10973196A JP H09295949 A JPH09295949 A JP H09295949A
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spherical container
container
spherical
heating
flange
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JP10973196A
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English (en)
Inventor
Toyotaro Maruyama
山 豊太郎 丸
Shinichi Nishiyama
山 伸 一 西
Hiroaki Tan
弘 明 丹
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明の精製装置は、先端にフランジが形
成された円筒状接合管を有する第1の球状容器と、両横
方向に、先端にフランジが形成された第2の球状容器
と、この第1および第2の球状容器をそれぞれ独立に温
度調整することが可能な第1および第2の加熱装置と、
第1および第2の球状容器とを接合状態で回動させる駆
動装置と、該第1および第2の球状容器から蒸散する気
体成分を冷却捕捉する捕捉容器と、この反応装置内の減
圧にする真空装置とを備えている。この精製装置の容器
をフランジで接合し、さらに第1および第2の球状容器
を独立して加熱調整することにより、液晶化合物等を高
い精度で精製することができる。また、この装置を用い
て液晶化合物の均一混合ができる。 【効果】本発明の装置によれば、この装置内を非常に高
真空にすることができ、また、第1及び第2の球状容器
を、精製条件に併せて個別に温度調整して加熱すること
ができるので、例えば液晶化合物等を効率的に精製する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、化合物を精製する新規な
精製装置、この精製装置を用いて化合物を精製する方
法、および均一に混合する方法に関する。さらに詳しく
は本発明は、液晶化合物のように多段階を経て合成さ
れ、かつ高純度で使用される化合物、特に有機化合物を
効率よく精製することができる装置、並びに、この装置
を用いた精製方法および混合方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】近年、情報を視覚化するために種
々の表示装置が使用されている。例えば、液晶ディスプ
レイおよびCRT(cathode-ray tube、陰極線管)など
が代表的である。
【0003】こうした表示装置の内、液晶ディスプレイ
は、CRTに比べ、薄型でかつ軽量であると共に、駆動
電圧が低く、さらに目に優しいなどの特徴を有してい
る。こうした特性を利用して、液晶ディスプレイは、初
期のころは、大型化が難しく、電卓、腕時計などに比較
的簡単な表示装置として使用されていたが、最近では、
種々の駆動方法が開発され、その大型化およびカラー化
が進んでいる。殊に、OA用コンピューターのディスプ
レーあるいは小型携帯用テレビなどのような急成長を遂
げている分野で液晶ディスプレイが使用されていること
から、その市場は急速に拡大しつつある。
【0004】現在液晶ディスプレイとして用いられてい
るのはネマチック液晶である。ネマチック液晶は応答時
間が数十msと長く、ディスプレイの表示面積あるいは
画素数を増やすことが困難であったが、TFT(Thin F
ilm Transister)や、STN(Super Twisted Nemati
c)方式を採用することによって、10インチクラスま
でのディスプレイが商品化されるようになった。しかし
両者とも視野角が狭く、またTFT方式は製造プロセス
上歩留まりが悪いこと(高コスト)、STN方式は応答
速度が遅い(表示品質が悪い)など、今後さらに大画面
かつ高精細な液晶ディスプレイを開発する上で多くの課
題を抱えている。
【0005】このような応答速度の遅いネマチック液晶
に代わって注目されてきたのが、強誘電性液晶(R.B. M
eyer, L. Liebert, L. Strzelecki and P. Keller, J.
Phys. (France) 36, L69 (1975).)、あるいは反強誘電
性液晶(A. D. L. Chandani,T. Hagiwara, Y. Suzuki,
Y. Ouchi, H. Takezoe and A. Fukuda, Jpn. J. Appl.
Phys., 27, L729 (1988).)であるスメクチックC*相を
示す液晶である。この液晶は自発分極を有し、電界強度
と自発分極との積が液晶を動かすための実効エネルギー
強度となる。これらの液晶を数μm程度の厚さのセルに
入れた表示素子(表面安定化強誘電性液晶素子:N. A.
Clark and S. T. Lagerwall, Appl. Phys. Lett., 36,
899 (1980))は、印加電場に対し強誘電性液晶で安定な
2状態、反強誘電性液晶で3状態をとることができ、そ
れらの状態間のスイッチング時間は数μ秒のオーダーで
非常に短かい。ここで、テレビ(カラー動画、VGA)
表示の必要条件は、1つの走査線あたりの書き込み時間
が1/{30回/秒x640本x3}≒17μ秒とな
る。従来のネマチック液晶では、応答速度が遅いため、
アクティブマトリクス駆動(TFT方式など)を用いな
ければならなかったが、強誘電性液晶あるいは反強誘電
性液晶では、大量生産向きである単純マトリクスでの駆
動が可能となる。
【0006】またこの表面安定化表示素子は、TFTお
よびSTN方式のディスプレイよりも視野角が広く、動
画用のディスプレイに適している。
【0007】
【従来技術における問題点】上記のように表示装置とし
て液晶素子が使用されるようになってきており、液晶化
合物の消費も増加の一途をたどっている。しかしなが
ら、液晶化合物の製造工程は複雑で、反応の際に副生さ
れる化合物、反応触媒、反応溶媒などが混在する。こう
した反応生成物から液晶化合物を取り出すのに、従来
は、再結晶法、シリカゲルや、アルミナなどを用いたカ
ラムクロマトグラフィー法などが用いられる。
【0008】こうした精製方法の中で、例えば再結晶法
では条件が最適であれば、一回の操作で大量の液晶が廉
価に精製できるが、液晶の多くは結晶化温度が室温以下
であり、表示素子に使われるような高純度液晶を再結晶
だけで得ることは難しい。また、カラムクロマトグラフ
ィー法は充填剤、展開溶媒を選択することによって再結
晶法よりも、高純度な液晶を得られる可能性が大きい
が、精製する液晶に対して大量の溶剤、およびカラム充
填剤が必要である。また再結晶法やカラムクロマトグラ
フィー法では、使用する溶剤(再結晶溶媒、展開溶
媒)、水分等の低沸点不純物を除く必要があり、これに
長時間を要し、また完全に除くのは難しい。このように
従来から採用されている方法は、高純度の液晶化合物を
大量に精製する方法としては適していない。
【0009】ところで、一般的な有機化合物を精製する
方法として蒸留法が知られており、多くの分野でこの方
法を採用して工業的に有機化合物を精製している。この
蒸留法は、分子量が小さく、沸点の低い有機化合物の精
製法としては、極めて効率がよい。また、分子量がある
程度大きくなっても系内を減圧(通常は1Pa程度まで)
にすることにより、効率よく有機化合物を精製すること
ができる。
【0010】この蒸留法を液晶化合物の精製に利用する
ことができれば、工業的な規模で純度の高い液晶化合物
を効率よく製造することができると考えられる。しかし
ながら、一般に液晶は分子量が大きいために沸点が高
く、蒸留するには高真空か、高温に加熱する必要があ
る。市販の蒸留装置では液晶化合物を、性能の高い真空
ポンプを用いたとしても、液晶化合物が安定な温度で蒸
留できるまで高真空にすることがでいない。また、こう
した市販の蒸留装置を用いて液晶化合物が蒸留できるま
で加熱温度を上げると、液晶化合物の熱分解による損失
が大きくなる。また、高沸点物の蒸留装置としては、薄
膜式蒸留装置が知られているが、この場合一回の操作で
の分離効率が悪く、目的物よりも低沸点物のみ除ける、
あるいは目的物よりも高沸点物のみ除けるという程度で
ある。また室温で固体のようなものの蒸留には適してい
ない。
【0011】液晶表示素子の表示特性および長期表示安
定性を劣化させる原因の一つに液晶中のイオン性不純物
がある。このものは液晶の比抵抗に大きく影響を与え
る。一般的にはこの比抵抗値が高い方が表示特性はよく
なるが、液晶の種類、および液晶の駆動方法によって異
なり、特に要求特性の厳しいTFT駆動のアクティブマ
トリクス型カラー液晶ディスプレイでは、1012Ωcm以
上の比抵抗が好ましい。
【0012】イオン性不純物の除去には、アルミナ、シ
リカゲルあるいはイオン交換性樹脂を用いた除去方法が
提案されている(特開平1−87685)。ところが、
この方法を複数の液晶化合物が混在している液晶組成物
に適用すると、液晶組成物の組成が変化してしまい、こ
うした組成変化によって予定している表示特性を得るこ
とができない。またイミド基を有する化合物を充填剤と
したカラム法も提案されている(特開平7−27854
4など)が、やはり組成変化の可能性があると共に、イ
ミド基を有する化合物の合成、使用する溶剤の管理、器
具等のイオン濃度管理が非常に面倒で、こうした精製装
置の管理にかかる費用のために、液晶化合物の精製コス
トが上昇するので液晶化合物を安価に提供することの障
害になっている。さらに、こうした液晶化合物には、均
一に混合することが難しい化合物があり、例えば、均一
に混合するために加熱すると、空気との接触によって一
部が分解することがある。こうした液晶化合物を均一に
混合するのも必ずしも容易ではない。
【0013】
【発明の目的】本発明は、比較的高沸点の有機化合物を
効率よく精製することができる精製装置およびこの装置
を用いた精製方法を提供することを目的としている。
【0014】本発明は、液晶中に含有されるイオン性不
純物が除け、かつ従来の精製法よりも簡便で低コストな
精製方法およびこの方法に使用する精製装置を提供する
ことを目的とする。
【0015】また、本発明は、表示品質、および長期表
示安定性に優れた液晶表示素子を形成することができる
ように液晶化合物を精製する装置およびこの装置を用い
た精製方法を提供することを目的としている。
【0016】さらに詳しくは、液晶および液晶組成物を
高効率で蒸留できる装置およびこの装置を用いた効率的
な液晶化合物の精製方法を提供することを目的としてい
る。また本発明は、液晶組成物を効率よくブレンドする
ことができる装置、およびこの装置を用いたブレンド法
(精製法)を提供することを目的としている。
【0017】
【発明の概要】本発明の精製装置は、回動可能な球状容
器の仮想水平回転軸を中心軸とする円筒状接合管を少な
くとも一方の側に有し、該円筒状接合管の先端接合部に
フランジが形成された第1の球状容器と、該第1の球状
容器を加熱する第1の加熱装置と、該第1の球状容器と
接続されて回動可能な球状容器の仮想水平回転軸を中心
軸とする円筒状接合管を球状容器の両側に有し、該円筒
状接合管の先端接合部にフランジが形成された第2の球
状容器と、該第2の球状容器を加熱する第2の加熱装置
と、該第1の球状容器と第2の球状容器とを接合状態で
回動させる駆動装置と、第1の球状容器および第2の球
状容器に連通し、該第1の球状容器および第2の球状容
器から蒸散する気体成分を冷却して捕捉する捕捉容器
と、第1の球状容器とこれに接続された第2の球状容器
およびこの第2の球状容器と連通した捕捉容器の内部圧
力を減圧にする真空装置とを有し、少なくとも該各容器
が、それぞれの接合部に形成されたフランジにより接合
されており、そして、第1の加熱装置の加熱温度と第2
の加熱装置と加熱温度とがそれぞれ独立に制御可能にさ
れていることを特徴としている。
【0018】また、本発明の精製方法は、回動可能な球
状容器の仮想水平回転軸を中心軸とする円筒状接合管を
少なくとも一方の側に有し、該円筒状接合管の先端接合
部にフランジが形成された第1の球状容器と、該第1の
球状容器を加熱する第1の加熱装置と、該第1の球状容
器と接続されて回動可能な球状容器の仮想水平回転軸を
中心軸とする円筒状接合管を球状容器の両側に有し、該
円筒状接合管の先端接合部にフランジが形成された第2
の球状容器と、該第2の球状容器を加熱する第2の加熱
装置と、該第1の球状容器と第2の球状容器とを接合状
態で回動させる駆動装置と、第1の球状容器および第2
の球状容器と連通し、該第1の球状容器および第2の球
状容器から蒸散する気体成分を冷却して捕捉する捕捉容
器と、第1の球状容器とこれに接続された第2の球状容
器およびこの第2の球状容器と連通した捕捉容器の内部
圧力を減圧にする真空装置とを有し、少なくとも該各容
器が、それぞれの接合部に形成されたフランジにより接
合されており、そして、第1の加熱装置の加熱温度と第
2の加熱装置と加熱温度とがそれぞれ独立に制御可能に
されている精製装置の第1の球状容器に、精製対象物を
入れ、減圧下に、少なくとも連結された第1の球状容器
および第2の球状容器を駆動装置により回動させなが
ら、第1の加熱装置により第1の球状容器を加熱すると
共に、第2の加熱装置により第2の球状容器を第1の球
状容器よりも低い温度に加熱して、第1の球状容器中の
精製対象物を第2の球状容器に留出させることを特徴と
している。
【0019】さらに、本発明の精製方法において、回動
可能な球状容器の仮想水平回転軸を中心軸とする円筒状
接合管を少なくとも一方の側に有し、該円筒状接合管の
先端接合部にフランジが形成された第1の球状容器と、
該第1の球状容器を加熱する第1の加熱装置と、該第1
の球状容器と接続されて回動可能な球状容器の仮想水平
回転軸を中心軸とする円筒状接合管を球状容器の両側に
有し、該円筒状接合管の先端接合部にフランジが形成さ
れた第2の球状容器と、該第2の球状容器を加熱する第
2の加熱装置と、該第2の球状容器と接続されて回動可
能な球状容器の仮想水平回転軸を中心軸とする円筒状接
合管を球状容器の両側に有し、該円筒状接合管の先端接
合部にフランジが形成された第3の球状容器と、該第1
の球状容器と第2の球状容器と第3の球状容器とを接合
状態で回動させる駆動装置と、第1の球状容器、第2の
球状装置および第3の球状容器に連通し、該第1の球状
容器および第2の球状容器から蒸散する気体成分を冷却
して捕捉する捕捉容器と、第1の球状容器とこれに接続
された第2の球状容器、この第2の球状容器に接続され
た第3の球状容器およびこの第3の球状容器と気密状態
で連通する捕捉容器の内部圧力を減圧にする真空装置と
を有し、少なくとも該各容器が、それぞれの接合部に形
成されたフランジにより接合されており、そして、第1
の加熱装置の加熱温度と第2の加熱装置の加熱温度とが
それぞれ独立に制御可能にされている第1の球状容器ま
たは第2の球状容器に、少なくとも2種類の混合対象物
を入れ、減圧下における混合対象物の液状温度以上、沸
点以下の温度に第1の球状容器または第2の球状容器を
加熱して、混合対象物を仕込んだ球状容器内で、複数の
混合対象物を均一に混合することを特徴としている。
【0020】本発明の精製装置では、第1の球状容器を
加熱する第1の加熱装置と、第2の球状容器を加熱する
第2の加熱装置がそれぞれ独立に温度調整ができるよう
に設置されている。そして、第1の球状容器の加熱温度
を、例えば液晶化合物の沸点に設定し、第2の球状容器
の加熱温度を溶剤等の低分子量成分の沸点以上であって
第1の球状容器の加熱温度よりも低く設定することによ
り、液晶化合物等の精製対象物は、第1の球状容器から
第2の球状容器に移行する。しかも第2の球状容器も加
熱されているので、溶剤および未反応試薬等は、第2の
球状容器から留去される。
【0021】しかも、本発明の精製装置では、球状容器
をフランジを介して接合することにより、従来の磨りガ
ラスとグリスを用いた場合よりも、装置全体の気密性が
向上し、従来蒸留による精製は不可能であると考えられ
ていた液晶化合物のような高分子量の有機化合物も熱分
解を引き起こすことなく、効率的に精製することができ
る。殊に本発明の精製装置によれば、液晶化合物中に微
量に含有される無機イオン性の物質を効率的に除去する
ことができる。
【0022】また、第1の球状容器または第2の球状容
器のいずれかに、複数の液晶化合物のような混合対象物
を入れて、混合対象物の液状温度以上沸点以下に加熱す
ることにより、液晶化合物のような混合対象物以外の成
分を留去することができる。そして、この操作は、球状
容器を回転あるいは回動しながら行うので液晶化合物の
ような混合対象物を均一に混合することができる。しか
も、減圧下で操作するので空気との接触による分解を防
止できる。
【0023】
【発明の具体的説明】次に本発明の精製装置およびこの
装置を用いた有機化合物の精製方法を図面を参照しなが
ら具体的に説明する。
【0024】図1は、本発明の精製装置を概念的に示す
図であり、図2は、球状容器の形状を示す図であり、図
3は、球状容器等の接合部分を示す図であり、図4は、
球状容器と加熱装置との関係を示す図である。
【0025】本発明の精製装置は、図1に示すように、
第1の球状容器1、第2の球状容器2、必要により設け
られる第3の球状容器3、球状容器を回動させる回動駆
動装置4、球状容器2または3と上記駆動装置4とを接
続するベロー9、低融点化合物を捕捉する捕捉装置5、
この反応系全体を減圧にする真空装置6とを有し、第
1、第2および第3の球状容器1,2,3は、円筒状接合
管12,12の先端に設けられたフランジ21b,22a,
22b,23a,23bなどによって接合されている。ま
た、第1の球状容器1は第1の加熱装置7によって加熱
され、第2の球状容器2は、第2の球状容器8によって
加熱されるようになっている。
【0026】図1および図5に示すように、球状容器2
または3と、駆動装置4とは、本発明の装置を接合した
際に生ずる歪みを解消するためにベロー9を介して接続
されていることが好ましい。このようにベロー9を介在
させることにより、本発明の装置全体の歪みをこのベロ
ー9で緩和しているので、各フランジには接続による歪
みがかからなくなり、フランジ部分の気密性がより高く
なる。
【0027】第1、第2、第3の球状容器は、基本的に
図2に示すように、基本的に球体容器本体11とこの球
体容器の左右方向に延出された円筒状接合管12、12
と、この円筒状接合管12,12の先端に設けられたフ
ランジ13,13とからなる。この円筒状接合管12,1
2は、この球状容器が装置に組み込まれて回動する際の
仮想水平回転軸50が中心軸となるように球状容器本体
から左右に延出するように設けられている。
【0028】フランジ13,13は、円筒状接合管12,
12の先端部分に設けられたドウナツ状の形態を有し、
円筒状接合管12,12の筒内径と対応する直径の開口
部15,15を有している。また、フランジ13,13の
表面16は、隣接する球状容器のフランジと接合した際
に間隙が形成されないように平滑に仕上げられている。
【0029】第2の球状容器および必要により配置され
る第3の球状容器は、両端で隣接する容器などのフラン
ジと接合するために、左右に上記のような円筒状接合管
12,12を有し、その先端にはフランジ13,13が形
成されていることが必要であるが、第1の球状容器1
は、第2の球状容器2と接合しているだけなので、容器
本体の一方の側にだけ円筒状接合管12が形成されてい
ればよい。ただし、図2に示すように左右両側に円筒状
接合管12,12およびフランジ13,13が形成されて
いてもよく、この場合には、第2の球状容器2と接合す
るフランジ13の反対側のフランジ13を としての境
界面で閉塞すればよく、例えば図2において、破線で示
されているようなターミネータ17を用いて、この端部
を閉塞することができる。
【0030】この第1の球状容器1、第2の球状容器
2、さらに必要により配置される第3の球状容器3は、
精製対象物に侵されることがなく、かつ耐熱性のある素
材で形成することができるが、例えば液晶化合物を精製
する際には、ナトリウム、カリウム、塩素などの無機成
分の混入を防止する必要があり、このためにこの球状容
器は石英ガラスで形成することが好ましい。
【0031】また、それぞれの球状容器を接合するフラ
ンジ部分では、図3に示すように円筒状接合管12の先
端に設けられているフランジ13と、他の球状容器の円
筒状接合管12aの先端に設けられたフランジ13aとの
間にパッキン19a、あるいは、Oリング19bのような
気密部材19を介して接合することが好ましい。このよ
うに気密部材19を介してフランジ13,13aを接合す
ることにより、仮にフランジの表面に微細な凹凸があっ
た場合であってもこの反応系内を高真空にすることがで
きる。
【0032】上記のような球状容器は、図4(A)に示
すように、第1の球状容器1のフランジ21bと、第2
の球状容器2のフランジ22aとが水平仮想回転軸50
を回転軸として回動可能に接合され、第2の球状容器2
の他方のフランジ22bは、第3の球状容器3を配置す
る場合には、この第3の球状容器3のフランジ23aと
接合される。
【0033】さらに、第3の球状容器3の他方のフラン
ジ23bは、回動駆動装置4から延出したフランジ24
aとベローによって接合される。なお、第3の球状容器
3が用いられない場合には、第2の球状容器2のフラン
ジ22bと回動駆動装置4から延出したフランジ24aと
がベローによって接合される。
【0034】こうして接合された第1の球状容器1、第
2の球状容器2、さらに必要により接合される第3の球
状容器3、およびこれらとベロー9で接合する回動駆動
装置4の接合管は回動駆動装置4によって与えられる回
転、あるいは回動の際の水平仮想回転軸50が共通の回
転軸になるように、換言すれば、円筒状接合管が一本の
直線パイプと同様にほぼ一直線になるように接合され
る。
【0035】上記第1の球状容器1と第2の球状容器2
は、図4(A)および(B)に示すように独立に加熱温
度の調整が可能な第1の加熱容器7および第2の加熱容
器8によって独立に温度調整が可能なようにされてい
る。すなわち、第1の加熱装置7および第2の加熱装置
には、可変抵抗などからなる温度調節装置41,45が
備えられており、これにより加熱装置7,8の筐体4
3、47内に配置されたヒーター42,46(ブロック
ヒーター等)の温度を変えることができる。第1、第2
の加熱装置7,8には、例えばアルミ等のブロックヒー
ターなどを用いることにより球状容器を均一に加熱する
ことができる。
【0036】この加熱装置の筐体43,47は、断熱性
の素材で形成されており、ヒーター42、46からの熱
が外部に露出しにくくしている。また、この筐体43,
47の上部は、球状容器を収容するために解放されてい
るので、球状容器を収容した後にこの筐体43,47の
上部からの放熱を防止するために、断熱材で形成した蓋
体43,47で、筐体43,47の上部解放部を塞ぐこと
が好ましい。
【0037】また加熱装置7,8の筐体43,47の左右
側壁には、球状容器の左右に形成されている円筒状接合
管の軸受けになるようにU字型の凹部49を形成してい
ることが好ましい。なお、第1の球状容器1が一方に円
筒状接合管12を有する場合には、図4(A)に示され
るように、第1の加熱装置7には一方にのみにU字型の
凹部49を有していればよく、また左右方向に両方向に
円筒状接合管12を有する場合には、フランジ21aは
ターミネーター17によって閉鎖されると共に、この右
側の円筒状接合管12を支持するためのU字型の凹部4
9を第1の加熱装置7に形成することができる。そし
て、こうした筐体43,47の内側で、球状容器が接触
する部分は、例えばフッ素樹脂あるいはシリコン樹脂な
どで形成されていることが好ましい。
【0038】上記第1の球状容器と第2の球状容器とさ
らに必要により第3の球状容器は、接合された状態で回
動させながら、第1の球状容器および第2の球状容器は
加熱される。この回動は、水平仮想回転軸50を回転中
心軸として連結された球状容器を回転させてもよいし、
水平仮想回転軸50を中心軸として右周り、左周りに所
定の角度(1/10回転づつ左右に回動〜1回転づつ左右に
回動)で回動させてもよい。
【0039】回動駆動装置4には、上記第1の球状容器
と第2の球状容器とさらに必要により第3の球状容器を
回転あるいは回動させることができる種々の方式を採用
することができる。例えば図1に示す回動駆動装置は、
円筒状接合管の周囲に駆動装置を配置して、例えば連結
管25として耐圧ゴム管を使用して、この連結管25を
左回転および右回転させてよじりながら、上記第1の球
状容器と第2の球状容器とさらに必要により第3の球状
容器を回転軸50を中心軸として右回りおよび左回りに
回動させる装置である。こうして球状容器を左右周りに
回動すると、第1の加熱装置7および第2の加熱装置8
からの熱が、それぞれの加熱装置に設置された球状容器
および内容物に均一に伝わり、球状容器の中で蒸留対象
物が熱分解を起こしにくく、さらに焦げ付きなどが生じ
にくい。
【0040】また、この回動駆動装置4は図5に示すよ
うに円筒状接合管24cをベルト等の回転伝達手段61
を介してモーター62によって回転または回動するよう
にしてもよい。このように円筒状接合管24cが回転す
る場合、この回転する円筒状接合管24cと真空チャン
バー63を介して捕捉容器5に接合することが好まし
い。捕捉容器5は、通常は、回転しないので、回転する
第1、第2、さらに必要により第3の球状容器の連結体
と、真空チャンバー63とは、外周部は真空チャンバー
63に接合し、内周部は回転している円筒状接合管24
cに連結し、内周部と外周部との間が、この系の減圧状
態を維持できるようにシールされた接合具64を使用す
る。そして、高真空状態を維持するためには、この接合
具64としては磁性流体シールを用いた回転導入機を採
用することが好ましい。
【0041】磁性流体シールは、永久磁石によりボール
ビーズと回転軸との間に磁気回路を構成し、そして、回
転体とボールビーズとの間に形成される微小間隙に磁性
流体を注入してこの微小間隙からの空気の侵入を遮断す
るものである。ここでボールビーズと回転体との間隙
は、通常は10〜200μmであり、磁性流体は、ボー
ルビーズと回転軸とによって磁束密度の高い間隙に吸引
され、この間隙を完全に塞いでしまい、あたかもリング
状の液状パッキングとして作用する。本発明で使用する
磁性流体シールは、上記のようなボールビーズと磁性流
体からなるシールを、例えば2〜10段設けたものを使
用する。このように多段シールすることにより、間隙か
らの空気の侵入をほぼ完全に阻止することができる。
【0042】真空チャェンバー63は、一方の端部に上
記のような磁気流体シール方式の接合具64に連結して
いると共に、他方の端部からは、捕捉容器と連結する連
結管65が設けられ、捕捉容器5と連結されている。
【0043】捕捉容器5は、第1の球状容器に仕込まれ
た精製対象物中に含有される低沸点化合物(例えば、溶
剤、未反応原料、低分子量分解物、低分子量副生物)を
捕捉するためのものであり、基本的には、真空チャンバ
ー63から導出された連結管が導入され、真空ポンプ6
に連通する導出管を有する密閉容器67である。そし
て、この捕捉装置の密閉容器67の外周には液体窒素の
ような低温冷却媒体を導入して密閉容器を冷却する外部
ジャケット66が備えられている。このように液体窒素
のような極低温の冷却媒体を用いて捕捉装置を冷却する
ことにより、低沸点物を確実に捕捉することができると
共に、真空ポンプのオイルの劣化を防止することができ
る。さらに、真空度を高くしても、一旦この捕捉装置で
捕捉された低沸点物質が新たに気化することがないの
で、系内全体の真空度を低く維持することができる。
【0044】この捕捉装置は、洗浄が容易なようにセパ
レート型にすることが好ましく、さらに、より完全なト
ラッピングを行うために、複数個の捕捉装置を並列に配
列してもよい。
【0045】この捕捉装置5から導出される連結管68
は、真空ポンプ6に連結されている。真空ポンプ6は、
例えば液晶化合物のように比較的分子量の大きい物質を
できるだけ低温で蒸留することができるように、高真空
度を達成することができるものであることが好ましい。
すなわち、例えば液晶化合物を蒸留により精製するため
には、到達圧力が10-6〜10-7mmHg(10-4〜10-5
Pa)程度、あるいはこれ以上に減圧することが好まし
く、こうした高真空を達成するために、オイル拡散ポン
プのようなに減圧能力が高い真空ポンプが好適に使用さ
れる。
【0046】上記のような本発明の精製装置は次のよう
にして使用される。図1に示すように、まず、精製対象
となる化合物を含有する精製対象物を第1の球状容器1
に入れ、この第1の球状容器1と第2の球状容器2とを
接合し、さらに必要により第3の球状容器3を第2の球
状容器2に接合する。こうして連結された球状容器を回
動駆動装置4の円筒状接合管にベロー9をはさんで接続
する。
【0047】回動駆動装置が組み込まれたユニットと、
真空ポンプが接続した捕捉容器と接合する。上記のよう
に各部材を接合すると共に、第1の球状容器を第1の加
熱装置7内に収容し、第1の球状容器2を第2の加熱装
置8内に収容する。同時に捕捉容器5の外周部に設けら
れたジャケット内に液体窒素を導入して捕捉容器を冷却
すると共に、真空ポンプを作動させて系内を減圧し、回
動駆動装置を作動させて球状容器を回転または回動させ
る。この回動させる場合、球状容器が通常は1〜180
度、好ましく5〜90度左右に回動するようにする。こ
の装置内の圧力は、精製対象物の沸点などにより異なる
が、通常は0.1Pa以下、好ましくは10-4〜10-5Pa
程度まで減圧する。こうした圧力条件下で捕捉容器5
は、通常は、−100℃以下に冷却される。
【0048】第1の加熱装置7および第2の加熱装置8
には、それぞれ独立した温度調節装置41,45が組み
込まれており、この温度調節装置41,45を、第1の
球状容器1の加熱温度が、第2の球状容器の加熱温度よ
りも高くなるように設定して、球状容器を加熱する。第
1の球状容器の加熱温度は、この装置の減圧状態で精製
対象物が気化しうる温度以上である。第2の球状容器の
加熱温度は、この第2の球状容器で精製対象の化合物を
捕捉しようとする場合には、この装置の減圧状態におけ
るこの精製対象の化合物の沸点以下の温度に設定する。
また、第3の球状容器で精製対象の化合物を捕捉する場
合には、第2の球状容器の加熱温度を第1の球状容器の
加熱温度以下であって精製対象の化合物の沸点あるいは
沸点よりもわずかに高い温度に設定する。
【0049】第3の球状容器には、加熱装置は配置され
ておらず、通常は空冷されて精製対象物より低沸点の化
合物が留出されるが、必要であれば、この第3の球状容
器を強制的に冷却してもよい。
【0050】上記のようにして精製対象の化合物は、第
2の球状容器あるいは第3の球状容器に留出するが、こ
の化合物よりも低沸点の化合物である溶剤、反応副生
物、分解物等は、気体のまま捕捉装置5に達し、通常−
100℃以下に冷却されているこの捕捉容器で捕捉され
る。また、沸点が精製対象の化合物よりも高い温度の物
質(例えば、無機化合物、重合物など)は、第1の球状
容器内に残留する。
【0051】上記のようにして蒸留した後、室温まで冷
却し、装置内の圧力を常圧に戻した後に精製物を取り出
す。また、本発明の精製装置は、化合物を均一に混合す
る装置として使用することができる。
【0052】この方法は、例えば液晶組成物のような複
数の化合物を均一に混合する場合に、各成分を第1の球
状容器あるいは第2の球状容器のいずれかに入れて、化
合物の液状温度(融点)以上の温度にこの球状容器を加
熱する。この際、各成分は、高純度溶媒に溶解して導入
してもよい。次いで、球状容器を連結して上述のように
一体化した後、回動装置で球状容器を左右に回動あるい
は回転させながら、減圧にする。
【0053】このように加熱することにより、混合され
る各成分は液状になるが気化することはないのに対し
て、溶剤等の低沸点物質は気化して球状容器から留去さ
れる。そして、この場合においても、本発明の反応装置
内は減圧にされているので、混合対象の化合物と接触す
る空気の量は非常に少なくなり、加熱による化合物の酸
化分解を防止できる。そして、球状容器は回動装置によ
り揺り動かされまた液化した複数の成分が加熱撹拌され
るので、複数の成分を均一に混合することができる。
【0054】こうして低沸点物質が留去され、均一に混
合した後、容器を室温まで冷却し、精製装置の圧力を常
圧に戻す。本発明の精製装置を用いて精製することがで
きる精製対象物は、気化する物質であれば特に制限はな
いが、液晶化合物のように高い純度が要求され、精製規
模をあまり大きくしなくともよい化合物である。
【0055】例えば、液晶化合物は、複数の段階を経て
合成されるが、合成工程でアルカリ金属あるいは塩化物
などを使用することが多く、これらの成分が最終精製さ
れた液晶化合物中に残存することが多い。液晶化合物自
体は、本質的には絶縁性であり、こうした液晶化合物を
用いた表示装置は、本質的に絶縁性である液晶化合物に
電圧を印加することによりその配向状態を変えて光の透
過率を変動させることにより所望の情報を表示する装置
である。ところが、液晶化合物の最終生成物中にアルカ
リ金属あるいは塩化物等が存在すると、これらが電気伝
導の原因となり液相化合物の絶縁性が低下して液晶素子
の性能を低下させる原因ともなる。
【0056】しかしながら、こうした液晶化合物の最終
生成物中に含有される無機イオンの濃度は、合計でもpp
mオーダーであり、しかも微量に各種のイオンが含有さ
れるため、こうした無機イオン性物質は、従来の方法で
は非常に除去しにくい。
【0057】本発明の精製装置は、容器の接合部分にフ
ランジを採用したことによって、さらに、駆動部分を磁
気シールすることによって、高真空な状態を形成するこ
とが可能になり、液晶化合物のように分子量が数百にも
達する液晶化合物をも蒸留することができるようになっ
たのである。また、第1の球状容器および第2の球状容
器を加熱する加熱装置の加熱温度を独立制御することに
より、精製精度が向上する。
【0058】従って、本発明の精製装置およびこの装置
を用いた精製方法は、液晶化合物の精製に特に適してい
る。
【0059】
【発明の効果】本発明の精製法を採用することによっ
て、液晶のイオン性不純物が除け、かつ従来よりも精製
が簡便になった。またこの装置を使うことによって、液
晶組成物を効率よくブレンドすることができるようにな
る。
【0060】そして、この方法によって得られた液晶を
使うことによって表示品質、および長期表示安定性に優
れた液晶表示素子が得られる。すなわち、本発明の精製
装置では、従来磨りガラスによって接合されていた各容
器の接合部分をフランジにより接合することにより、従
来よりも高真空な状態を形成することができ、従って、
この装置を用いることにより、液晶化合物のような比較
的分子量の大きい化合物をも蒸留精製することが可能に
なった。
【0061】また、球状容器を加熱する加熱装置を独立
して温度制御が可能にしたことにより、それぞれの容器
で最適な精製温度を独立に設定することができるので、
より精密な蒸留を行うことができる。
【0062】さらに、本発明の装置を利用することによ
り、液晶化合物を均一に混合することができる。
【0063】
【実施例】次に本発明の実施例を示して本発明をさらに
詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0064】
【実施例1】 (1-1)液晶化合物の合成
【0065】
【化1】
【0066】上記式[1]に示される6-(4'-デシル-4-
ビフェニルメチルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナ
フタレンカルボン酸(R)-1-トリフルオロメチルペンチル
エステルを、炭酸カリウムを用いた、4'-デシル-4-ビフ
ェニルメチルブロマイドと、6-ヒドロキシ-1,2,3,4-テ
トラヒドロ-2-ナフタレンカルボン酸(R)-1-トリフルオ
ロメチルペンチルエステルとの縮合反応によって得た。
この式[1]で表される化合物をクロロホルム/ヘキサ
ン混合溶媒(容量比=1:4)を用いたシリカゲルカラ
ムで粗く精製した。
【0067】この液体クロマトグラフィーによる化学純
度は98.1%であった。またこうして粗く精製した式[1]
で表される液晶化合物中における無機イオン濃度は、次
の通りである。
【0068】Naイオン:0.46ppm Kイオン:0.13ppm Clイオン:530ppm (1-2)液晶素子の製造 この液晶化合物を、ラビング処理したポリイミド薄膜を
有する、ITO電極付きの液晶セルに(セル厚約10μ
m)、加熱して注入し、徐冷した。
【0069】偏光板を偏光軸が直交するように2枚重
ね、この間に上記セルを配置して液晶素子を製造した。
この液晶素子に±30Vの三角波を印加し、このときの
流れた電流量を測定し、この値から充填された液晶の抵
抗が10-9Ωであることがわかった。 (2)液晶の蒸留精製 上記の(1-1)で得られた液晶を図1に示した装置を
用いて蒸留を行った。図1の第1の球状容器であるフラ
スコ1(石英ガラス製、以下記載のフラスコはすべて精
鋭ガラス製である)に液晶を0.558g入れ、オイル拡
散ポンプで減圧にし(1.5×10-5mmHg(2.0×10
-3Pa))、フラスコ1の部分を250〜260℃で1.
5時間加熱すると第2の球状容器であるフラスコ2の部
分へ0.508g液晶が蒸留された。
【0070】上記(1-1)と同様にして分析したこの
液晶化合物の化学純度は、99.5%であった。また無
機イオン濃度は次の通りである。
【0071】Naイオン:0.11ppm Kイオン:0.28ppm Clイオン:57ppm (1-2)と同様に蒸留物して液晶素子を製造し、同様
にして充填された液晶の抵抗を測定したところ10-11
Ωであった。
【0072】
【実施例2】 (2-1)液晶化合物の合成
【0073】
【化2】
【0074】上記式[2]に示される6-(4'-ウンデシル
-4-ビフェニルカルボニルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒド
ロ-2-ナフタレンカルボン酸(R)-1-トリフルオロメチル
ペンチルエステルを、ジシクロヘキシルカルボジイミド
を用いた4'-ウンデシル-4-ビフェニルカルボン酸と、6-
ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレンカルボ
ン酸(R)-1-トリフルオロメチルペンチルエステルとの縮
合反応によって得た。
【0075】得られた化合物[2]をアルミナを用いたカ
ラムで不純物を吸着させ粗く精製した。この粗く精製し
た化合物について液体クロマトグラフィーにより測定し
た化学純度は、99.8%であった。 (2-2)液晶の蒸留精製 上記(2-1)で得られた液晶を図1に示した装置を用
いて蒸留を行った。
【0076】図1において第1の球状容器であるフラス
コ1に液晶を0.430g入れ、オイル拡散ポンプで減圧
にし(2×10-5mmHg(2.7×10-3Pa))、フラスコ
1の部分を250〜260℃で2.5時間加熱するとフ
ラスコ2の部分へ0.259g液晶が蒸留された。(1-
1)と同様に分析した化学純度は99.9%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の精製装置を概念的に示す図で
ある。
【図2】図2は、球状容器の形状の例を示す図である。
【図3】図3は、球状容器等の接合部分の例を示す図で
ある。
【図4】図4は、球状容器と加熱装置との関係の例を示
す図である。
【図5】図5は、回動駆動装置および捕捉装置の例を示
す図である。
【符号の説明】
1・・・第1の球状容器(石英ガラス製フラスコ) 2・・・第2の球状容器(石英ガラス製フラスコ) 3・・・第3の球状容器(石英ガラス製フラスコ) 4・・・回動駆動装置 5・・・捕捉容器 6・・・真空ポンプ 7・・・第1の加熱装置 8・・・第2の加熱装置 9・・・ベロー 11・・・球状容器本体 12,12a,24c・・・円筒状接合管 13,13a,21,22a,22b,23a,24b・・・フ
ランジ 17・・・ターミネーター 19a,19b・・・パッキンまたはOリング 25・・・連結管 43,47・・・加熱装置の筐体 44,48・・・加熱装置の蓋体 41,45・・・温度調節装置 50・・・水平仮想回転軸 62・・・モーター 61・・・回転伝達手段 63・・・真空チャンバー 64・・・接合具 65・・・連結管 66・・・外部ジャケット 67・・・密閉容器 68・・・連結管

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回動可能な球状容器の仮想水平回転軸を中
    心軸とする円筒状接合管を少なくとも一方の側に有し、
    該円筒状接合管の先端接合部にフランジが形成された第
    1の球状容器と、該第1の球状容器を加熱する第1の加
    熱装置と、該第1の球状容器と接続されて回動可能な球
    状容器の仮想水平回転軸を中心軸とする円筒状接合管を
    球状容器の両側に有し、該円筒状接合管の先端接合部に
    フランジが形成された第2の球状容器と、該第2の球状
    容器を加熱する第2の加熱装置と、該第1の球状容器と
    第2の球状容器とを接合状態で回動させる駆動装置と、
    第1の球状容器および第2の球状容器に連通し、該第1
    の球状容器および第2の球状容器から蒸散する気体成分
    を冷却して捕捉する捕捉容器と、第1の球状容器とこれ
    に接続された第2の球状容器およびこの第2の球状容器
    と連通した捕捉容器の内部圧力を減圧にする真空装置と
    を有し、 少なくとも該各容器が、それぞれの接合部に形成された
    フランジにより接合されており、 そして、第1の加熱装置の加熱温度と第2の加熱装置と
    加熱温度とがそれぞれ独立に制御可能にされていること
    を特徴とする精製装置。
  2. 【請求項2】前記第2の球状容器と捕捉容器との間に、
    該第2の球状容器と接続されて回動可能な球状容器の仮
    想水平回転軸を中心軸とする円筒状接合管を球状容器の
    両側に有し、該円筒状接合管の先端接合部にフランジが
    形成された第3の球状容器が、フランジを介して第2の
    球状容器および捕捉容器に接続されていることを特徴と
    する請求項第1項記載の精製装置。
  3. 【請求項3】前記各容器が、気密部材を介してフランジ
    で接合されていることを特徴とする請求項第1項または
    第2項記載の精製装置。
  4. 【請求項4】上記、第1、第2および第3の球状容器が
    石英ガラスで形成されていることを特徴とする請求項第
    1項または第2項記載の精製装置。
  5. 【請求項5】回動可能な球状容器の仮想水平回転軸を中
    心軸とする円筒状接合管を少なくとも一方の側に有し、
    該円筒状接合管の先端接合部にフランジが形成された第
    1の球状容器と、該第1の球状容器を加熱する第1の加
    熱装置と、該第1の球状容器と接続されて回動可能な球
    状容器の仮想水平回転軸を中心軸とする円筒状接合管を
    球状容器の両側に有し、該円筒状接合管の先端接合部に
    フランジが形成された第2の球状容器と、該第2の球状
    容器を加熱する第2の加熱装置と、該第1の球状容器と
    第2の球状容器とを接合状態で回動させる駆動装置と、
    第1の球状容器および第2の球状容器と連通し、該第1
    の球状容器および第2の球状容器から蒸散する気体成分
    を冷却して捕捉する捕捉容器と、第1の球状容器とこれ
    に接続された第2の球状容器およびこの第2の球状容器
    と連通した捕捉容器の内部圧力を減圧にする真空装置と
    を有し、 少なくとも該各容器が、それぞれの接合部に形成された
    フランジにより接合されており、 そして、第1の加熱装置の加熱温度と第2の加熱装置と
    加熱温度とがそれぞれ独立に制御可能にされている精製
    装置の第1の球状容器に、精製対象物を入れ、減圧下
    に、少なくとも連結された第1の球状容器および第2の
    球状容器を駆動装置により回動させながら、第1の加熱
    装置により第1の球状容器を加熱すると共に、第2の加
    熱装置により第2の球状容器を、第1の球状容器よりも
    低い温度に加熱して、第1の球状容器中の精製対象物を
    第2の球状容器に留出させることを特徴とする精製方
    法。
  6. 【請求項6】前記第2の球状容器と捕捉容器との間に、
    該第2の球状容器と接続されて回動可能な球状容器の仮
    想水平回転軸を中心軸とする円筒状接合管を球状容器の
    両側に有し、該円筒状接合管の先端接合部にフランジが
    形成され、該フランジを介して第2の球状容器および捕
    捉容器に接続された第3の球状容器が配置されており、
    該第3の球状容器が第2の球状容器よりも低温に保たれ
    ており、第2の加熱装置で第2の球状容器を第1の球状
    容器の加熱温度よりも低い温度であってこの減圧状態に
    おける精製対象物の沸点よりも低い温度に加熱して、第
    2の球状容器内に留出した精製対象物中の不純物を第3
    の球状容器に留出させることを特徴とする請求項第5項
    記載の化合物の精製方法。
  7. 【請求項7】各フランジが気密部材を介して接合されて
    いることを特徴とする請求項第5項または第6項記載の
    精製方法。
  8. 【請求項8】捕捉容器が−100℃以下に冷却されてい
    ることを特徴とする精製方法。
  9. 【請求項9】減圧装置により、該精製装置内を0.1P
    a以下の圧力に減圧することを特徴とする請求項第5項
    または第6項記載の精製方法。
  10. 【請求項10】上記、第1、第2および第3の球状容器
    が石英ガラスで形成されていることを特徴とする請求項
    第5項または第6項記載の精製方法。
  11. 【請求項11】回動可能な球状容器の仮想水平回転軸を
    中心軸とする円筒状接合管を少なくとも一方の側に有
    し、該円筒状接合管の先端接合部にフランジが形成され
    た第1の球状容器と、該第1の球状容器を加熱する第1
    の加熱装置と、該第1の球状容器と接続されて回動可能
    な球状容器の仮想水平回転軸を中心軸とする円筒状接合
    管を球状容器の両側に有し、該円筒状接合管の先端接合
    部にフランジが形成された第2の球状容器と、該第2の
    球状容器を加熱する第2の加熱装置と、該第2の球状容
    器と接続されて回動可能な球状容器の仮想水平回転軸を
    中心軸とする円筒状接合管を球状容器の両側に有し、該
    円筒状接合管の先端接合部にフランジが形成された第3
    の球状容器と、該第1の球状容器と第2の球状容器と第
    3の球状容器とを接合状態で回動させる駆動装置と、第
    1の球状容器、第2の球状装置および第3の球状容器に
    連通し、該第1の球状容器および第2の球状容器から蒸
    散する気体成分を冷却して捕捉する捕捉容器と、第1の
    球状容器とこれに接続された第2の球状容器、この第2
    の球状容器に接続された第3の球状容器およびこの第3
    の球状容器と気密状態で連通する捕捉容器の内部圧力を
    減圧にする真空装置とを有し、 少なくとも該各容器が、それぞれの接合部に形成された
    フランジにより接合されており、 そして、第1の加熱装置の加熱温度と第2の加熱装置の
    加熱温度とがそれぞれ独立に制御可能にされている第1
    の球状容器または第2の球状容器に、少なくとも2種類
    の混合対象物を入れ、減圧下における混合対象物の液状
    温度以上、沸点以下の温度に第1の球状容器または第2
    の球状容器を加熱して、混合対象物を仕込んだ球状容器
    内で、複数の混合対象物を均一に混合することを特徴と
    する混合方法。
  12. 【請求項12】混合対象物を、装置内を減圧にして加熱
    して均一に混合することを特徴とする請求項第11項記
    載の混合方法。
  13. 【請求項13】異なる沸点を有する複数の精製対象物
    が、液晶化合物の混合物であることを特徴とする請求項
    第10項または第11項記載の混合方法。
  14. 【請求項14】前記各容器が、気密部材を介してフラン
    ジで接合されていることを特徴とする請求項第10項ま
    たは第11項記載の混合方法。
  15. 【請求項15】捕捉容器が−100℃以下に冷却されて
    いることを特徴とする請求項10項または第11項記載
    の混合方法。
  16. 【請求項16】減圧装置により、該装置内を0.1Pa
    以下の圧力に減圧することを特徴とする請求項第10項
    または第11項記載の混合方法。
  17. 【請求項17】第1、第2および第3の球状容器が、石
    英ガラスからなることを特徴とする請求項第10項また
    は第11項記載の混合方法。
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