JPH09294781A - ベッドの背上げ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベッド上で行なう上体起こし諸条件におい
て、患者の上体のずり下がりを防止する。 【構成】 敷布団を載置するベッド板を長さ方向でＡと
Ｂの部分に２分割する。上体起こしに用いるＡの部分を
支点を境に長い部分の背上げ部１と短い部分の落し部２
に区分する。Ｂの部分を下肢支え用とする。上昇させる
背上げ部１で上体を起こし、下降する落し部２で臀部部
位をベッド平面より下げる。ベッド平面より下位で起点
となる臀部部位を支持装置で安定支持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業状の利用分野】本発明は、上体がずり下がること
なく、上体起こしができるベッドの背上げ装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】ベッドにおける介護機構の一つである上
体起こし機能は、軽度又は重度の障害の患者にあって、
それぞれ相応の自立を促す機能回復の手段として、最も
多く利用されかつ有効な支援機能の一つとして広く実用
に供されている。

【０００３】しかし、上体起こし角度諸条件に問題なく
適応できる軽度障害の患者にあっては快適な機能装置で
あっても、重度又はそれに近い障害をもち寝たきりの状
態にある患者にとっては、上体起こし諸条件において、
上体起こし角度を大きくしていくと、どうしても上体が
下方にずり動いてしまい、体動不自由のことから不快な
不自然な体位が強いられることになる。

【０００４】この防止策として、ベッドに装置されてい
る膝上げ機能を上体起こし機能に連動させることで、上
体のずり下がりの動きを阻止するように設定がなされて
いるものがある。膝上げ機能が別作動とするものにあっ
は、介護の現場において、上体起こし操作の前に該患者
の障害に応じ、あらかじめ相応の膝上げ操作を行うよう
に指導もなされている。

【０００５】しかし、上体起こし、膝上げの作動機構が
いずれもベツド上の平面位置を起点として行われるもの
であり、防止策とされる膝上げ高さも制限されることか
ら、当然敷布団等を介して該患者に作用し、上体起こし
の際における、ずり下がり防止姿勢とする若干高さの膝
上げ姿勢もベッド平面上で構成されるなだらかなスロ−
プ状のものとなり、上体起こし角度が小さい場合はそれ
なりの快適性が体験されるが、上体起こし角度を大きく
し上体が起されるに従い、ベッドの平面上で起点とされ
る臀部部位が押されて滑るように移動し易く、これに対
処できない体動不自由の患者には当然として上体がずり
下がるような動きが起こり、その都度該患者の上体部位
を抱え、その体位を正位置に引き戻さなければならない
という問題点があった。このようなことは、介護者は相
応の労力を要し、患者にとっては不快であり、更に苦痛
でもあった。更に、このようなことから患者自身の自立
への意識を弱め、その意欲を減少させることにもなりか
ねないという大きな問題点も考えられる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ベッドに備えられる背
上げ装置において、上体起こし角度を大きくし上体が起
きるとき、体動が不自由で寝たきり状態の患者におい
て、該患者の上体がずり下がるようなことがなく姿勢が
安定し、不安なくできる安全な上体起こし機能手段がな
い点である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、ベッドに備え
られる背上げ装置において、体動不自由で寝たきり状態
での患者のベッドにおける上体起こしで、上体起こし角
度を大きくしていっても、該患者の上体がずり下がるこ
とのない上体起こし機能手段として、敷布団を載置する
ベッド板を長さ方向にＡとＢの部分に２分割し、上体起
こしに用いられるＡの部分を該ベッドにおける長さ方向
の長短寸法で区分し、支点を設けることで回動自在に構
成される長い部分で上体を支えるための背上げ部の部分
と、短い部分で臀部部位をベッド上の平面位置より下げ
るための落し部の部分とを設け、この落し部の下降時に
臀部部位付近を支えるための支持装置と、ベッド上の平
面状態を維持し下肢部を支えるためのＢの部分と、背上
げ部と落し部の所要駆動を行うための駆動装置を備えた
ことを最も主要な特徴とする。これにより背上げ部が起
立すると同時に落し部が下降し、上体起こしの起点とす
る臀部部位をベッド上の平面位置より下げることで、上
体のずり下がり移動が防止できるという所望の目的を実
現した。

【０００８】

【実施例】上体起こし駆動にボ−ルねじ機構の電動駆動
装置を用いた本発明の実施例で、図１〜６は本発明のそ
れぞれの機能構成と作動の状態を示す説明図である。本
発明の主体は、ベッド上において背上げ装置による上体
起こしの際、該患者の上体のずり下がり防止ができる機
能、機構系の実装方法にあるので、これに用いられる駆
動機構及び電子系の説明は省略する。以下図面に基づ
き、本発明の実施例について詳細に説明する。

【０００９】図１と図２において、敷布団を載置するベ
ッド板は長さ方向でＡとＢの部分に２分割され、Ａの部
分が上体起こしに用いられる。Ａの部分は、ベッドにお
ける長さ方向と直角で左右のベッド枠１０に装置される
シャフト１’を中心軸としＡ部分の下側に支点位置とし
て回動自在に設けられる軸受部１”位置を境にし、上体
を起こすために長い寸法で構成される背上げ部１と臀部
部位を該ベッドの平面位置より下げるために短い寸法で
構成される落し部２とに区分されている。そして、軸受
部１”を支点とし、背上げ部１と落し部２における所定
の動作ができるようになされている。この動作を行うた
め、背上げ部１の裏面側にの所定位置に背上げ部１作動
用の起点部７’が設けられ、後述の電動駆動装置６のロ
ッド５とピン５’を介して自在連結されている。

【００１０】Ｂの部分は、上体起こしの際における下肢
部分の安定に用いられる。Ａの部分の落し部２の先端部
との間に若干の間隔を有し、落し部２の下降回動を妨げ
ることなく、ベッド上で平面状態を維持し、下肢部分を
支える脚部板３としてベッド枠１０に固定装置されてい
る。

【００１１】Ａ部分の落し部２の面上で支点寄り位置と
Ｂ部分の脚部板３の面上で落し部２側の端部寄りの位置
の間に伸縮自在構造材でかつ強靱な支持布４を渡し、支
持布４の両端部分のみをそれぞれの部所で装着固定し、
Ａの部分とＢの部分とで構成されるベッドとしての平面
状態を維持し、該ベッドにおける使用感覚を損なうこと
なく掛けられている。そして、背上げ部１の上体起こし
角度に連動して落し部２が下降すると、落し部２の支点
寄り位置と脚部板３の端部との間に掛けられた支持布４
が臀部部位に発生する荷重を受け、所定の弾性機能で該
臀部部位付近を支えながら下降し、ベッド上平面位置よ
り下位の所定位置に上体起こしの起点とする臀部部位を
移動させることなく安定させることで、起こされる上体
部分も安定し、下方にずり下がるといったことが防止さ
れる。そして、背上げ部１を下降させることで臀部部位
付近を支える支持布４は上昇する落し部２により押し上
げられ、復元する。なお、上体起こし諸条件で、患者の
臀部部位付近の荷重受けて下降する敷布団部位の形状状
態において、起点をベッド平面位置より下位の所定位置
に下げて支えるという所定の効果が得られるように落し
部２の長さと、それに伴う支持布４が設定されている。

【００１２】図３〜６において、上体起こしに用いられ
るＡの部分の構成は前述のものと同様であるが、背上げ
部１の裏面側に設けられる起点部７’に代わり、軸受部
１”の下側に所定角度で一体構成される駆動用のア−ム
７が設けられ、後述の電動駆動装置６のロッド５とピン
５’を介して自在連結されている。そして、落し部２の
先端部は後述のＢ部分側に構成される支持板３’とジョ
イント軸２’を介して自在連結できるように構成されて
いる。

【００１３】Ｂの部分は、上体起こしの際における下肢
部分の安定に用いられる。ベッドの長さ方向における一
方の端部側を落し部２の先端部とジョイント軸２’を介
して自在連結し、臀部部位から大腿部付近を支えるため
に構成される支持板３’の部分と、ベッド枠１０上で平
面状態を維持して支持板３’部分の動きに連動し、下肢
部分を支えながらスライド移動を行うために構成される
脚部板３の部分とに区分されている。そして、脚部板３
は、一方の端部を落し部２の先端部と自在連結する支持
板３’の部分を回動自在構造とするためにジョイント軸
３”を介して自在連結している。脚部板３の所要スライ
ド移動をガイドするためのガイド溝９がベッド枠１０の
左右位置に設けられ、このガイド溝９内を回動するガイ
ド・ロ−ラ８が脚部板３の下部の前後の左右位置にに装
置され、落し部２と連動する支持板３’の回動に応じ、
下肢部分を支える脚部板３の所要スライド移動が円滑に
できるように設定されている。

【００１４】Ａ部分の落し部２の先端部とＢ部分の支持
板３’の先端部がジョイント軸２’で自在連結されるこ
とにより、後述の電動駆動装置６によるア−ム７の所定
方向への回動で上昇作動し上体起こしを行う背上げ部１
と同時に下降作動する落し部２と連動する支持板３’
で、起点となる臀部部位をベッド上平面位置より下位の
所定位置で支え、かつ臀部部位から大腿部付近も安定し
て支えることができる。その際、上体起こし角度諸条件
に応じ、落し部２と支持板３’が平面状態の脚部板３を
引きながら作動し、支える臀部部位から大腿部付近を所
定の傾斜角度で引き寄せるようにして所定位置まで安定
して下降させるので、起こされる上体部分も安定し、上
体のずり下がりが防止される。背上げ部１が下降作動す
ることで、落し部２と支持板３’が上昇し、脚部板３も
戻され、ベッド上に平面状態が復元される。なお、落し
部２と自在連結する支持板３’の長さ寸法は、上体起こ
し諸条件において所定の効果が得られるように設定され
ている。

【００１５】電動駆動装置６は、支持具６’で角度自在
にベッド枠１０内に装置され、ロッド５を背上げ部１に
設けられる起点部７’又は軸受部１”に設けられるア−
ム７とピン５’を介して自在連結し、それぞれ所定の回
動動作ができるようになされている。その際、背上げ部
１の上昇における上体起こしは所定の角度の範囲で行わ
れ、所望の上体起こし角度で固定維持ができるように
し、背上げ部１の下降はベッド上面に構成される平面位
置で停止固定されるように設定がなされている。そし
て、この所要動作を作動させる電動駆動装置６は、リモ
ト・コントロ−ル・スイッチで制御される。

【００１６】なお、本発明は上記実施例に限定されなけ
ればならない理由はなく、例えばベッド上で所望の上体
起こしを行う機能装置において、敷布団等を載置するベ
ッド板を長さ方向でＡ、Ｂ部分に２分割し、Ａの部分に
設けられる回動自在の軸受部１”を支点として長さ方向
に区分し、上体起こし用の背上げ部１と、起点とされる
臀部部位をベッド平面位置より下げるための落し部２
と、落し部２の下降時に臀部部位を支える支持装置と、
Ｂ部分に設けられ下肢部分を支える脚部板３と、所要の
駆動を行なう駆動装置等で構成される所要の機能構成
が、他の形状構成のものであっても、ベッド上の上体起
こし諸条件において、上体がずり下がることのない所望
の上体起こしを行なうことのできる機能構成が、上記実
施例における各条件を具備するものであれば良いという
ことはいうまでもない。

【００１７】

【発明の効果】以上説明した本発明のベッドの背上げ装
置について、次に記載する効果を奏する。

【００１８】請求項１のベッドの背上げ装置において
は、上体起こしの起点をベッドの平面上において行なう
のではなく、上体起こしを行なうと同時に起点となる臀
部部位をベッドの平面位置より下位の所定位置に下げ、
更に上体部分を支えて下降した臀部部位及び臀部部位か
ら大腿部付近を移動させることなく支え、この起点位置
を安定させるという機能手段は、ベッドの平面上で起点
が構成されることで、上体起こし諸条件で滑り易い臀部
部位が押されて移動し、上体がずり下がってしまうとい
う従来方法の問題点が総て解消されるという大きな利点
がある。この機能手段は、患者の自立への意欲を向上さ
せ、機能回復における大きな効果が期待できる。なお、
この機能手段は、リクライニング機能を備える車椅子等
にも応用利用できる。

【００１９】請求項２の支持装置において、剛性の伸縮
自在構造とされる支持部材を、落し部の面上支点寄り位
置と平面状態で固定されるＢ部分の面上で落し部寄り位
置の間に設けたことは、上体起こし条件で落し部が下降
の際、上体部分の荷重を受ける臀部部位を柔軟に支えて
下降し、起点位置をベッドの平面位置より下位の所定位
置に安定して支えることに大いに役立つ。

【００２０】請求項３の支持装置において、ベッド上で
平面を構成し、下肢を支えてスライド移動自在構造の脚
部板に、回動自在で一体構成される支持板の先端部を落
し部の先端部と回動自在に連結したことは、上体起こし
諸条件で落し部が下降の際、臀部部位から大腿部付近を
支える落し部と支持板が、下肢を支える平面状態の脚部
板を引き寄せながら所定の傾斜角度で下がるので、上体
起こしの起点をベッド上の平面位置より下位の所定位置
に安定して支えることに大いに役立つ。その際、落し部
と支持板と脚部板で構成される動きは、上体起こし諸条
件において、患者の体に無理な力を与えることなくこと
なくベッド部分をスム−ズに連動させることで、苦痛な
どの不快や不安感なく安心感を与えることができるとい
う大きな利点がある。

【００２１】請求項４の上体起こしを行なう駆動機構と
して、Ａの部分の支点位置の軸受部の下側に所定角度で
一体構成される駆動用のア−ムは、上体起こし諸条件に
おける駆動装置の所要ストロ−ク寸法を小さくし、装置
形状の小型化に役立つ。

【００２２】請求項５のア−ムに代わる起点部を背上げ
部の裏面に設けたことは、上体起こしを行なう構造機構
を簡単なものとし、背上げ部の上昇及び下降速度の低速
範囲における超低速作動の構成にも簡単に対処できる。

【００２３】請求項６の電動駆動装置がクランク・ハン
ドルを介し手動操作を可能としたことは、停電又は電気
的故障の際に大いに役に立つ。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の実施例で、支持装置に支持布４を
用い、背上げ部１の裏面に起点部７’を設けた構成と作
動の状態を示す縦断面図である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】本発明装置の実施例で、支持装置に支持板３’
を用い、軸受部１”の下側にア−ム７を設けた構成を示
す縦断面図である。

【図４】図３の作動の状態を示す縦断面図である。

【図５】図３の平面図である。

【図６】図３の作動の状態を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 背上げ部 １’ シャフト １” 軸受部 ２ 落し部 ２’、３” ジョイント軸 ３ 脚部板 ３’ 支持板 ４ 支持布 ５ ロッド ５’ ピン ６ 電動駆動装置 ６’ 支持具 ７ ア−ム ７’ 起点部 ８ ガイド・ロ−ラ ９ ガイド溝 １０ ベッド枠

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベッド上で行う上体起こしで、患者の上
   体がずり下がることなくできるようにする機能手段にお
   いて、敷布団を載置しベッド上で平面を構成するベッド
   板を長さ方向にＡとＢの部分に２分割し、上体起こしに
   用いられるＡの部分を該ベッドにおける長さ方向の長短
   寸法で作動別に区分し、支点を設けることで回動自在と
   し、長い部分で上体を起こすための背上げ部の部分と、
   短い部分で臀部部位をベッドの平面位置より下げるため
   の落し部の部分とを設け、落し部の下降で下がる臀部部
   位付近を所定位置で支えるための支持装置と、背上げ部
   と落し部の所要連動作動を行わせるための駆動機構と、
   ベッド上で平面状態を維持し下肢を支えるためのＢの部
   分と、から成ることを特徴とするベッドの背上げ装置。
2. 【請求項２】 支持装置に、剛性の伸縮自在構造とされ
   る支持部材を、落し部の面上の支点寄り位置とＢの部分
   の面上で落し部側の端部の間に設け、落し部の下降で下
   がる臀部部位を所定位置で安定して支えることができる
   ようにしたことを特徴とする請求項１記載のベッドの背
   上げ装置。
3. 【請求項３】 支持装置が、Ｂの部分を該ベッドにおけ
   る長さ方向で作動別に区分し、落し部の先端部と自在連
   結することで臀部部位から大腿部付近を支えるための支
   持板の部分と、回動する支持板に連動しベッド上におけ
   る平面を維持してスライド移動自在とする脚部板の部分
   とを設け、脚部板の平面スライド移動をガイドするため
   にベッド枠に設けられる複数のガイド溝と、脚部板の下
   部位置に設けられガイド溝と組み合う複数のガイド・ロ
   −ラと、から成ることを特徴とする請求項１記載のベッ
   ドの背上げ装置。
4. 【請求項４】 上体起こしを行う駆動機構として、Ａ部
   分の支点位置に構成される軸受部の下側に所定の角度で
   一体構成し、背上げ部と落し部を回動させるためのア−
   ムと、ア−ムを所定方向に回動させるための電動駆動装
   置と、電動駆動装置を制御するリモト・コントロ−ル・
   スイッチと、から成ることを特徴とする請求項１記載の
   ベッドの背上げ装置。
5. 【請求項５】 請求項４のア−ムに代わる機構として、
   背上げ部の裏面で軸受部寄り位置に起点部を設けたこと
   を特徴とする請求項４記載のベッドの背上げ装置。
6. 【請求項６】 請求項４の電動駆動装置が、クランク・
   ハンドルを介し、手動操作で駆動ができるようにしたこ
   とを特徴とする請求項４記載のベッドの背上げ装置。