JPH09293225A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH09293225A
JPH09293225A JP10802596A JP10802596A JPH09293225A JP H09293225 A JPH09293225 A JP H09293225A JP 10802596 A JP10802596 A JP 10802596A JP 10802596 A JP10802596 A JP 10802596A JP H09293225 A JPH09293225 A JP H09293225A
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JP
Japan
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magnetic
thin film
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recording medium
metal
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JP10802596A
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English (en)
Inventor
Shinya Yoshida
伸也 吉田
Seiichi Onodera
誠一 小野寺
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Co合金等の金属系磁性薄膜を採用した薄膜
型磁気記録媒体の、静磁気特性および短波長領域での電
磁変換特性を向上する。 【解決手段】 金属系磁性薄膜6を多層化し、中間層と
して炭素系薄膜7を介在させた積層構造とする。 【効果】 金属系磁性薄膜6中の磁性粒子が細分化さ
れ、磁性粒子間の磁気的な相互作用が低減する。また磁
性粒子はすべて成長初期の段階で炭素系薄膜7で分断さ
れ、配向性にも優れる。このため静磁気特性が向上し、
特にサブハーフミクロン領域での再生出力が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非磁性支持体上に金
属系磁性薄膜が形成された磁気記録媒体に関し、さらに
詳しくは、静磁気特性および短波長での電磁変換特性が
改善された磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の分野においては、記録する情
報量の増大や、磁気記録媒体/磁気ヘッド間の相対速度
の低減等の動向から、高密度記録化が要望されている。
これに伴い、磁気記録媒体においても磁性粒子を有機バ
インダ中に分散させた塗布型磁気記録媒体に代わり、金
属系磁性薄膜をめっきや真空薄膜形成技術、すなわち真
空蒸着、スパッタリングあるいはイオンプレーティング
等により成膜する薄膜型磁気記録媒体が主流となりつつ
ある。なかでも金属系磁性薄膜を採用する薄膜型磁気記
録媒体は、保持力、角型比あるいは残留磁束密度等の各
種静磁気特性に優れていることが知られている。また塗
布型磁気記録媒体のように磁性層中に非磁性の有機バイ
ンダを混入する必要がないので、必要とする磁束量を得
るための磁性層厚を薄くすることが可能であり、記録減
磁が小さいので、この面からも短波長領域における電磁
変換特性に優れた性質を有する。
【0003】ヘリカルスキャン方式のビデオテープレコ
ーダ(VTR)等に用いる薄膜型磁気記録媒体において
は、テープ長手方向の磁気異方性を高め、より短波長で
の高出力化を図るため、斜方蒸着による薄膜型磁気記録
媒体が提案され実用に供されている。この斜方蒸着は、
移動走行するポリエステル等の高分子材料からなる非磁
性支持体上に、走行方向に対し斜め方向からの電子ビー
ム蒸着等により磁性層を形成するものである。斜方蒸着
により形成された薄膜型磁気記録媒体は、その微細構造
において磁性粒子が非磁性支持体の表面に対して斜めに
配向している。したがって、磁性粒子を非磁性支持体の
面内長手方向に一軸配向した従来の磁気テープに比べ、
高密度記録が可能である。現在実用化されている斜方蒸
着による薄膜型磁気記録媒体の磁化容易軸は、非磁性支
持体表面に対し、およそ20°傾斜しているものが一般
的である。
【0004】斜方蒸着による薄膜型磁気記録媒体におい
は、金属系磁性薄膜材料として、一般にCoやCo−N
i合金系が採用される。これらの金属系磁性薄膜を非磁
性支持体上に形成するには、CoやCo−Ni合金を蒸
発源とし、移動する非磁性支持体上に酸素ガスを吹きつ
けながら斜方蒸着する製造法が通常である。この工程に
より、金属系磁性薄膜は、α−Co(またはCo−N
i)の磁性粒子と、主としてその粒界に存在するCo−
O(またはCo−Ni−O)とが混在する構造となる。
酸素を金属系磁性薄膜中に導入する理由は、磁性粒子サ
イズを微細化して媒体ノイズを低減するとともに、金属
系磁性薄膜を柱状構造とすることで、斜め方向の形状異
方性を増大させるためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
斜方蒸着の金属系磁性薄膜を磁気記録媒体として用いる
VTR等の分野では、更なる高密度記録を目指して、磁
気記録媒体の大容量化とともに、小型軽量化が望まれて
いる。このためには、現行の最短記録波長よりも更に短
波長の記録を可能とする磁気記録媒体の開発が必要であ
る。しかしながら、記録波長が短波長化するほど、記録
された磁化パターンは自己減磁しやすく、見掛け上の残
留磁化が小さくなり、この結果満足な再生出力が得られ
ない。
【0006】短波長における再生出力を増加する手段の
一つとして、磁気記録媒体の保磁力を高くすることが有
効である。高保磁力化により、自己減磁界に対抗しうる
磁化パターンを磁気記録層内に形成することができる。
したがって本発明の課題は、磁気記録層の保磁力を高
め、短波長での再生出力を向上することにより、更なる
高密度記録が可能な薄膜型磁気記録媒体を提供すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体
は、上述した課題を達成するために提案するものであ
り、非磁性支持体上に形成された複数層の金属系磁性薄
膜と、この複数層の金属系磁性薄膜の層間に介在する複
数層の炭素系薄膜を具備することを特徴とする。
【0008】本発明の磁気記録媒体の一実施態様とし
て、複数層の金属系磁性薄膜の磁化容易軸と、非磁性支
持体表面とのなす角度は、20°以上90°以下である
ことが望ましい。
【0009】また本発明の磁気記録媒体の別の一実施態
様として、非磁性支持体と、最下層の金属系磁性薄膜と
の間に、さらに炭素系薄膜を具備することが望ましい。
【0010】また本発明の磁気記録媒体のさらに別の実
施態様として、複数層の金属系磁性薄膜の一層あたりの
層厚は、10nm以上100nm以下であることが望ま
しい。同じくこの複数層の金属系磁性薄膜の合計の全層
厚は、記録最短波長をλ0 としたときに、λ0 /5以上
3λ0 /5以下であることが望ましい。
【0011】さらに炭素系薄膜の一層あたりの層厚は、
10nm以下であることが好ましい。
【0012】次に作用の説明に移る。磁気記録層の保磁
力を高めるためには、磁気記録層中の磁性粒子の磁気的
な相互作用を弱めることが有効である。本発明者らは、
この相互作用を低減するために鋭意検討を加えた結果、
磁気記録層を非磁性層によりその厚さ方向に複数層に分
断し、膜厚方向の磁気的な相互作用を遮断することが有
効なこと、およびこの非磁性層として炭素系薄膜が有効
であることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0013】かかる構造を採用することにより、単層の
金属系磁性薄膜中の磁性粒子は微細化するとともに、そ
の表面の非磁性の金属酸化物薄膜により相互に隔離され
る。また異なる金属系磁性薄膜間の磁性粒子は炭素系薄
膜により隔離される。このように、個々の磁性粒子は非
磁性層により同じ金属系磁性薄膜内、および上下の金属
系磁性薄膜間ともに細分化されるので、磁気的な相互作
用が弱まり、このため保磁力は飛躍的に高まる。
【0014】さらに、単層の金属系磁性薄膜はその膜厚
が薄く、個々の磁性粒子は成長の初期段階であるため、
粒子サイズが微細であるとともに、その磁化容易軸が非
磁性支持体表面となす角度は一般に小さい。すなわち、
面内配向性が高いので角型比にも優れる。
【0015】さらにこれら磁気特性は、非磁性支持体と
最下層の金属系磁性薄膜との間に炭素系薄膜を介在させ
た場合に一層向上させることができる。
【0016】磁気記録層を多層化する際、複数層の金属
系磁性薄膜の合計の全層厚を一定とすると、一般にその
層数が増える程、保磁力、角型比等の磁気特性は向上す
る。これは、上述した作用が増大することによるものと
考えられる。
【0017】しかしながら、金属系磁性薄膜の一層あた
りの厚さが一般に10nmより薄くなると、斜方蒸着等
で薄膜形成する際に均一な連続膜とならない個所も発生
する。かかる不連続膜となる場合には、かえって磁気特
性の劣化が認められるので、金属系磁性薄膜の一層あた
りの厚さは10nm以上が望ましい。また金属系磁性薄
膜の一層あたりの厚さが一般に100nmより厚くなる
と、結晶粒子の過度の成長により角型比、保磁力および
媒体ノイズともに劣化する傾向がある。したがって、金
属系磁性薄膜の一層あたりの厚さは100nm以下が望
ましい。
【0018】最下層の金属系磁性薄膜と非磁性支持体の
間に設ける炭素系薄膜およびその厚さは、本発明者が先
に出願した特許明細書において、単層の金属系磁性薄膜
の下地層として炭素系薄膜を採用する場合の膜厚を、多
層膜の磁気記録層に援用して同様の好結果を得たことに
よる。同様に、複数の金属系磁性薄膜の層間に介在する
炭素系薄膜の厚さも、10nm以下とする場合に磁気特
性上の好結果が得られる。また磁気記録媒体の体積記録
密度の観点からも、その全厚は薄い方が好ましいので、
総磁束量に関与しない非磁性の炭素系薄膜の厚さは薄い
方が好ましい。炭素系薄膜は膜質が一般に緻密であり、
例えば数nm以下の膜厚でも連続膜として形成すること
が可能である。
【0019】ところで従来より知られているように、M
IG(Metal in Gap)ヘッドを含めたリング状ヘッドによ
る磁気記録においては、磁気記録層が実際に記録磁化さ
れる部分は表面から1/4波長程度の厚さであり、磁気
記録層厚をこれより厚くしても特に短波長の再生出力は
あまり増加しない。また磁気記録層厚が1/4波長以下
の場合には全記録波長域での再生出力が低下する。した
がって、複数層の金属系磁性薄膜の合計の全層厚は、記
録最短波長をλ0 とした場合にλ0 /5以上3λ0 /5
以下であることが望ましい。
【0020】なお金属系磁性薄膜を斜方蒸着により成膜
する場合に、金属系磁性薄膜の磁化容易軸と非磁性支持
体のなす角度は20°未満では蒸着金属の堆積効率が極
端に悪化するので、20°以上が好ましい。特に短波長
記録にはこの角度を高角度とすることが有利である。こ
の角度は斜方蒸着の特性上、金属系磁性薄膜の膜厚を増
やすにつれ高角度に湾曲する性質がある。また本発明の
ように、一層の金属系磁性薄膜の厚さが薄い場合には、
非磁性支持体に対する金属系磁性材料の蒸着粒子入射角
を変化することにより、金属系磁性薄膜の磁化容易軸と
非磁性支持体のなす角度は任意に制御することができ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体例につき図面
を参照しながら説明する。始めに本発明の磁気記録媒体
の構成を図1示す概略断面図および図2の断面拡大図を
参照して説明する。なお図1および図2に示す各層の厚
さは、説明の都合上、実際の磁気記録媒体の各層の厚さ
に比例したものではない。
【0022】本発明の磁気記録媒体は、図1に示すよう
に非磁性支持体1上に磁気記録層2が形成されたものが
基本構造であり、必要に応じて磁気記録層2上に保護層
3およびトップコート層が順次形成されている。また非
磁性支持体1の裏面側には、これも必要に応じてバック
コート層5が形成されている。
【0023】このうち、非磁性支持体1はPET(Polye
thyleneterephthalate) 等のポリエステル樹脂をはじめ
として、ポリオレフィン樹脂、ビニル樹脂、ポリイミド
樹脂、ポリアミド樹脂あるいはポリカーボネート樹脂等
の有機高分子類や、アルミニウム系金属やガラス類ある
いはセラミックス類を用いることができる。保護層3と
しては、SiO2 、SiOおよびAl2 3 等の酸化物
類、Si34 、TiN等の窒化物類、SiON、Ti
ON等の酸窒化物類、TiC、MoCおよびCrC等の
炭化物類あるいはカーボン等の材料を任意に用いてよ
い。トップコート層4は、公知の潤滑剤、防錆剤等から
なる。またバックコート層5は、これも公知の帯電防止
剤と結合剤等からなるものである。バックコート層5
は、非磁性支持体がアルミニウム系金属等の導電材料か
らなる場合には不要である。
【0024】磁気記録層2は本発明の磁気記録媒体の特
徴部分であり、この部分の詳細な拡大断面を図2を参照
して説明する。なお図2では保護層3およびトップコー
ト層4は図示を省略する。磁気記録層2は、非磁性支持
体1上に炭素系薄膜7と金属系磁性薄膜6とが交互に形
成されており、図2の例では最下層の金属系磁性薄膜6
と非磁性支持体1との間には炭素系薄膜7が形成されて
いる。この最下層の炭素系薄膜7は省略してもよい。こ
の図2の例では、金属系磁性薄膜6は4層の積層構造と
して例示されている。
【0025】このうち金属系磁性薄膜6の材料として
は、Co、FeあるいはNi等の単体強磁性金属や、C
o−Ni系合金、Co−Ni Pt系合金、Co−Cr
合金、Co−Cr−Ta合金、Co−Cr−Pt合金等
のCo系合金、Fe−Co−Ni合金、Fe−Ni−B
合金、Fe−Co−B合金、Fe−Co−Ni−B合金
等のFe系合金等や、これら強磁性材料中や粒界に酸化
物等が析出した構造からなるものが例示される。
【0026】また炭素系薄膜7としては、炭素、あるい
は炭化珪素、炭化硼素等の炭素系化合物のうち、炭素リ
ッチな組成のものが挙げられるが、この他にも固体の無
機炭素化合物のうち炭素成分の多い材料を用いてもよ
い。また炭素材料としては、一般的にはアモルファスカ
ーボンが例示されるが、グラファイトカーボン、ダイア
モンドライクカーボン等であってもよい。
【0027】以下、本発明の磁気記録媒体の製造方法に
つき詳述する。また得られた磁気記録媒体の各種特性に
つき、適宜比較例を参照しつつ説明する。 実施例1 本実施例は、図1および図2に示した磁気記録媒体の4
層構造の磁気記録層2の製造方法を示すものである。回
転冷却ドラムを用いた通常の連続走行型電子ビーム蒸着
装置を用い、下記条件により金属系磁性薄膜6を蒸着し
た。なお金属系磁性薄膜6の一層当たりの膜厚は50n
mとした。なお図2中の金属系磁性薄膜6の層内に示し
た円弧状の曲線は、個々の磁性粒子の粒界に存在する金
属酸化物層を模式的に示したものである。 金属系磁性薄膜蒸着条件 インゴット Co金属 100% 入射角度 45〜90 ° O2 流量 550 sccm 蒸着時真空度 2×10-2 Pa また炭素系薄膜7は、一例としてダイオード型RFスパ
ッタリング装置により下記スパッタリング条件により成
膜した。炭素系薄膜7の一層当たりの膜厚は5nmとし
た。 炭素系薄膜スパッタリング条件 ターゲット カーボン 100% Ar流量 75 sccm スパッタリング時圧力 0.3 Pa 以上の金属系磁性薄膜6の蒸着および炭素系薄膜7のス
パッタリングを4回ずつ反復し、図2に示す磁気記録層
2を形成した。この後、保護層3、トップコート層4お
よびバックコート層5を常法に準じて形成し、図1に示
す磁気記録媒体を完成した。本実施例における金属系磁
性薄膜6の全層厚は、炭素系薄膜7を含めないで合計2
00nmである。
【0028】比較例1 本比較例は磁気記録層2を炭素系薄膜により多層化せ
ず、単層の金属系磁性薄膜6として形成した。金属系磁
性薄膜6の蒸着条件は実施例1と同様である。比較例の
磁気記録媒体の概略断面図を図9に示す。本比較例で
は、金属系磁性薄膜6の厚さを200nmとし、総磁束
量を実施例1の磁気記録媒体と合わせた。この後、実施
例1と同様に保護装置3、トップコート層4およびバッ
クコート層5を形成して比較例の磁気記録媒体を完成し
た。
【0029】以上のように形成した実施例1および比較
例1の磁気記録媒体につき、それぞれ静磁気特性を測定
し、表1の結果を得た。いずれの磁気記録媒体も、磁化
容易軸の方向は面内長手方向から法線方向に20〜30
°立ち上がった方向であった。なお保磁力Hc、角型比
Sおよび保磁力角型比S* 等の静磁気特性の測定は、す
べて磁気記録媒体の面内長手方向について行った。
【0030】
【表1】
【0031】表1から明らかなように、金属系磁性薄膜
6を炭素系薄膜7により多層化した磁気記録層2を有す
る本発明による磁気記録媒体は、単層の金属系磁性薄膜
6からなる磁気記録層に比較して、保磁力Hc、角型比
Sおよび保磁力角型比S* 等の静磁気特性は著しく向上
していることが判る。
【0032】つぎに、上述した実施例1および比較例1
の磁気記録媒体につき、それぞれの電磁変換特性を市販
の8mmVTRを改造した測定用VTRを用いて測定し
た。磁気ヘッド/磁気記録媒体間の相対速度は3.8m
/secである。図3に再生出力の周波数特性を示す。
図3から明らかなように、本発明による磁気記録媒体は
全周波数帯域にわたり再生出力が増加する。特に注目さ
れることは、自己減磁界が大きく働く短波長領域での出
力増加が著しい点である。
【0033】実施例2 本実施例は、多層化した金属系磁性薄膜1層当たりの膜
厚について最適範囲を検討したものである。金属系磁性
薄膜6の合計の全層厚を200nm一定とし、1層当た
りの膜厚を5nmから100nmまで変化した磁気記録
媒体を作成した。本実施例においても炭素系薄膜7の1
層あたりの厚さは5nmとし、最下層の金属系磁性薄膜
6と非磁性支持体1との間に同じく5nmの厚さの炭素
系薄膜7を介在させた。金属系磁性薄膜6と炭素系薄膜
7の成膜条件は前実施例1と同様である。また保護層3
等もすべての試料について前実施例1と同様に形成し、
磁気記録媒体を完成した。
【0034】以上のように形成した各磁気記録媒体およ
び比較例1の金属系磁性薄膜の厚さが200nm、すな
わち単層の磁気記録媒体について、実施例1と同様に静
磁気特性を測定した。また記録波長λを0.5μm一定
としたときの再生出力を測定した。この再生出力は、比
較例1の磁気記録媒体の再生出力を基準とし、これを0
dbに規格化して示した。以上の各測定値を表2にまと
めて示す。なお記録波長λ=0.5μmは、今後の高密
度磁気記録の分野で一般的に使用することが予想される
波長領域である。
【0035】
【表2】
【0036】この表2から明らかなように、金属系磁性
薄膜6の1層あたりの膜厚は、10nmから100nm
の範囲で比較例1の磁気記録媒体よりも優れた静磁気特
性および電磁変換特性を共に示すことが明らかである。
【0037】実施例3 本実施例は、多層化した金属系磁性薄膜6の全膜厚の最
適値について検討を加えたものである。金属系磁性薄膜
6の1層あたりの膜厚は25nm一定とした。なおここ
で金属系磁性薄膜6の全膜厚とは、中間層の炭素系薄膜
7の膜厚を含まない正味の金属系磁性薄膜6の合計膜厚
のことである。本実施例においても、炭素系薄膜7の厚
さは5nm一定とし、最下層の金属系磁性薄膜6と非磁
性支持体1との間には同じく5nmの炭素系薄膜7を挿
入した。
【0038】このようにして作成した各試料磁気記録媒
体につき、前実施例2と同じく記録波長λ=0.5μm
の電磁変換特性を測定し、その結果を図4のグラフにま
とめて示した。
【0039】図4から明らかなように、記録波長λ=
0.5μmにおいて、金属系磁性薄膜6の全膜厚が10
0nm(λ/5に相当)以上では再生出力は殆ど変化し
ない。また金属系磁性薄膜6の全膜厚が100nm未満
では、磁気記録層2の磁束量の不足から再生出力は低下
する。これは、磁気記録層2を多層にしても実際の記録
に関与する磁気記録層の厚さは表面からおよそλ/4の
厚さの範囲であるという、一般的な経験則が成り立って
いるためと考えられる。一方金属系磁性薄膜6の全層厚
が300nm(3λ/5に相当)超では、全ての波長領
域の再生出力はさほど増加しない。また金属系磁性薄膜
6の全層厚を不必要に増やすことは、Co等の材料の使
用効率や磁気記録媒体の体積記録密度、ヘッドタッチ等
の観点等からも得策ではない。
【0040】実施例4 本実施例は全実施例3の結果を他の記録波長について確
認したものである。測定に使用した磁気記録媒体は前実
施例3と同じものであり、それぞれの試料について記録
波長0.3μm、0.5μmおよび1.0μmでの電磁
変換特性を測定し、図5のグラフに示す結果を得た。な
お図5では金属系磁性薄膜6の全層厚は各記録波長λで
規格化して示してある。
【0041】図5から明らかなように、記録波長λを
0.5μmより短波長側、長波長側いずれに設定して
も、全金属系磁性薄膜の膜厚がλ/5未満では再生出力
が減少する傾向は共通である。また全金属系磁性薄膜の
膜厚が3λ/5を超えても再生出力が増加しない傾向も
同様であった。
【0042】実施例5 本実施例は炭素系薄膜の最適厚さについて検討を加えた
結果について示す。本実施例で採用した磁気記録媒体
は、非磁性支持体1上に5nmから50nmまでの各種
厚さの炭素系薄膜7を形成し、この上に単層の金属系磁
性薄膜6を100nm形成したものである。各層の形成
条件は実施例1と同様である。本実施例の磁気記録媒体
の概略断面図を図6に示す。なお比較例として、炭素系
薄膜7を形成しない磁気記録媒体も作成し、測定に供し
た。保護層3等、他の層の形成条件は全て共通とした。
【0043】各試料の磁気記録媒体の静磁気特性を図7
のグラフに示す。図7は磁気記録媒体の飽和磁化Msと
保磁力Hcの、下地炭素系薄膜の膜厚依存性を示すグラ
フである。図7から明らかなように、金属系磁性薄膜6
の飽和磁化Msは、炭素系薄膜7を非磁性支持体1との
間の下地層として設けることにより増大するが、その増
加量は炭素系薄膜7の膜厚にはあまり依存しない。一方
保磁力Hcに関しては、炭素系薄膜7を設けることによ
り増加するが、その層厚が20nm以上ではむしろ低下
する傾向が見られる。
【0044】さらに、各試料の電磁変換特性のデータを
図8に示す。図8は記録波長0.5μmについての再生
出力の、下地炭素系薄膜7の厚さ依存性を示すグラフで
ある。同図から明らかなように、再生出力は炭素系薄膜
7を下地として設けることにより飛躍的に増加するが、
炭素系薄膜7の層厚が10nmを超えるとその増加量は
減少気味となる。炭素系薄膜7の厚さは、磁気記録媒体
の体積記録密度の観点からは薄い方が好ましいので、本
実施例の結果よりその厚さは10nm以下が実用的であ
ることが判る。なお本実施例は金属系磁性薄膜7は単層
の場合についてを示したが、磁気記録層2を多層化し、
中間層として炭素系薄膜7を介在させた多層構造におい
ても本実施例と同様の結果、すなわち炭素系薄膜7の厚
さは10nm以下に設定することが静磁気特性、電磁変
換特性上優れた結果を与えることが確認された。
【0045】以上、本発明の磁気記録媒体につき5例の
実施例により詳細な説明を加えたが、本発明はこれら実
施例以外にも種々の実施態様が可能である。例えば、金
属系磁性薄膜としてCoあるいはCo−O系金属からな
るものを示したが、先述したように各種強磁性金属およ
びその合金系を用いても同様の好結果を納めることが可
能である。炭素系薄膜については、スパッタリング成膜
による純炭素の他に、プラズマCVD等によるアモルフ
ァスカーボン、ダイアモンドライクカーボン等を用いる
ことができる。また炭素リッチな組成であれば、SiC
等の炭素系化合物を採用してもよい。また非磁性支持体
として例えばAl系金属等を採用して、ハードディスク
型の磁気記録媒体を製造する際にも本発明を好適に実施
することが可能である。またCo−Cr合金のごとく垂
直磁気異方性を利用する垂直磁気記録媒体に本発明の多
層磁気記録層を採用する場合にも好結果を得ることがで
きる。
【0046】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の磁気記録媒体の採用により、金属系磁性薄膜を採用す
る磁気記録媒体の静磁気特性ならびに電磁変換特性を飛
躍的に向上することができる。したがって、サブハーフ
ミクロンの記録波長を指向する次世代の高密度磁気記録
媒体を、安定に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の概略断面図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の磁気記録層の断面拡大
図である。
【図3】実施例1の磁気記録媒体の電磁変換特性を、比
較例とともに示すグラフである。
【図4】実施例3の磁気記録媒体の電磁変換特性を示す
グラフである。
【図5】実施例4の磁気記録媒体の電磁変換特性を示す
グラフである。
【図6】実施例5の磁気記録媒体の概略断面図である。
【図7】実施例5の磁気記録媒体の静磁気特性を示すグ
ラフである。
【図8】実施例5の磁気記録媒体の電磁変換特性を示す
グラフである。
【図9】比較例の磁気記録媒体の概略断面図である。
【符号の説明】
1…非磁性支持体、2…磁気記録層、3…保護層、4…
トップコート層、5…バックコート層、6…金属系磁性
薄膜、7…炭素系薄膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に形成された複数層の金
    属系磁性薄膜と、 前記は複数層の金属系磁性薄膜の層間に介在する、複数
    層の炭素系薄膜を具備することを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 前記複数層の金属系磁性薄膜の磁化容易
    軸と、 前記非磁性支持体表面とのなす角度は、 20°以上90°以下であることを特徴とする請求項1
    記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記非磁性支持体と、最下層の前記金属
    系磁性薄膜との間に、さらに炭素系薄膜を具備すること
    を特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記複数層の金属系磁性薄膜の一層あた
    りの層厚は、 10nm以上100nm以下であることを特徴とする請
    求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記複数層の金属系磁性薄膜の合計の全
    層厚は、 記録最短波長をλ0 としたときに、 λ0 /5以上3λ0 /5以下であることを特徴とする請
    求項1記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記炭素系薄膜の一層あたりの層厚は、 10nm以下であることを特徴とする請求項1または3
    記載の磁気記録媒体。
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