JPH0929233A - 被処理水中の過酸化水素の除去方法及び水処理装置 - Google Patents

被処理水中の過酸化水素の除去方法及び水処理装置

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JPH0929233A
JPH0929233A JP20527495A JP20527495A JPH0929233A JP H0929233 A JPH0929233 A JP H0929233A JP 20527495 A JP20527495 A JP 20527495A JP 20527495 A JP20527495 A JP 20527495A JP H0929233 A JPH0929233 A JP H0929233A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 超純水製造システムの純水系(1次純水系及
び2次純水系)や回収系において、不純物や微粒子の溶
出、混入による水質の悪化、微粒子の増加を生じさせる
ことなく、被処理水中の過酸化水素を除去する。 【構成】 過酸化水素を含む被処理水を、合成有機重合
体の熱分解物である合成炭素系粒状吸着剤に接触させ
る。例えば、被処理水に過酸化水素の存在下で紫外線照
射を行う紫外線照射装置40の後段に、紫外線照射装置
40の処理水を合成炭素系粒状吸着剤に接触させる過酸
化水素除去装置42を設置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被処理水中に含まれる
過酸化水素を除去する方法に関し、特に、超純水製造シ
ステムの純水系(1次純水系及び2次純水系)や回収系
で好適に使用される過酸化水素の除去方法に関する。ま
た、本発明は、前記方法を使用した水処理装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】超純水の製造システムとしては、例えば
図3に示すものが一般的である。図3の超純水製造シス
テムは、1次純水系システムA、2次純水系システムB
及び回収系システムCによって構成され、電子産業用の
超純水の製造に使用されるものである。
【0003】1次純水系システムAにおいて、2は凝集
沈殿・濾過装置、4は活性炭濾過装置、6は2床3塔式
イオン交換装置、8はオゾン添加・紫外線照射装置、1
0は活性炭濾過装置、12は混床式イオン交換装置、1
4は真空脱気装置、16は逆浸透膜装置を示す。逆浸透
膜装置16の透過水は、2次純水系システムBに送られ
る。
【0004】2次純水系システムBにおいて、18はタ
ンク、20は紫外線照射(酸化)装置、22はカートリ
ッジポリシャ、24は限外濾過膜装置を示す。限外濾過
膜装置24を出た超純水は、一部はユースポイント26
に送られて使用され、残部はタンク18に循環される。
また、ユースポイント26で使用された超純水の排水
は、回収系システムCに送られる。
【0005】回収系システムCにおいて、28は弱塩基
性イオン交換樹脂を用いたイオン交換装置、30は紫外
線照射(酸化)装置、32は活性炭濾過装置、34は混
床式イオン交換装置を示す。この場合、紫外線照射装置
30の手前において、被処理水に過酸化水素が添加され
る。回収系システムCの混床式イオン交換装置34の出
口水は、1次純水系システムAの例えば2床3塔式イオ
ン交換装置6の手前に戻され、再利用される。
【0006】超純水製造システムでは、被処理水中に含
まれる過酸化水素を除去する工程がある。例えば、図3
のシステムでは、1次純水系システムAの活性炭濾過装
置10及び回収系システムCの活性炭濾過装置32で過
酸化水素の除去を行っている。すなわち、1次純水系シ
ステムAのオゾン添加・紫外線照射装置8及び回収系シ
ステムCの紫外線照射装置30では、オゾンや過酸化水
素に紫外線を照射すると有機物を完全分解できるヒドロ
キシルラジカルが生成することを利用して、主にTOC
の除去を行っている。そのため、1次純水系システムA
のオゾン添加・紫外線照射装置8の出口水中には該装置
8で副生成した過酸化水素が残存し、回収系システムC
の紫外線照射装置30の出口水中には未反応の過酸化水
素が残存しているので、後段に活性炭濾過装置10、3
2を設置して過酸化水素を除去しているものである。
【0007】被処理水中に含まれる過酸化水素の除去方
法としては、活性炭を用いる方法、カタラーゼ等の酵素
を用いる方法、酸化還元反応を利用する方法などがある
が、前述したように、超純水製造システムでは活性炭を
用いるのが一般的である。この場合、電子産業用超純水
製造システムの純水系、回収系における過酸化水素の除
去では、通常、活性炭を充填塔方式で使用し、線流速1
0〜20m/hの条件で活性炭に被処理水を接触させて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、超純
水製造システムにおける被処理水中の過酸化水素の除去
方法としては、被処理水を活性炭に接触させる方法が一
般的である。しかし、活性炭は、過酸化水素除去能力に
優れている反面、金属、無機イオン、シリカ等の不純
物をパーセントのオーダーで含む、使用に伴い微粉炭
が発生する、といった欠点を有する。
【0009】活性炭の含有する金属、無機イオン、シリ
カ等の不純物は、予め純水や酸による洗浄で低減するこ
とは可能であるが、完全に除去することはできない。そ
のため、超純水製造システムで過酸化水素の除去に活性
炭を用いた場合、金属、無機イオン、シリカ等が被処理
水中に溶出あるいは混入し、微量域(ppbオーダー)
での水質の悪化が起こり、後段に用いられているイオン
交換樹脂や膜への負荷が増大する。また、微粉炭も洗浄
によって初期発生は低減できるが、定常的な微粉炭の発
生は防ぐことができない。そのため、超純水製造システ
ムで過酸化水素の除去に活性炭を用いた場合、後段での
膜目詰まり等の問題が生じる。
【0010】特に、電子産業用の超純水製造システムに
おける過酸化水素除去の対象となる被処理水、例えば図
3の活性炭濾過装置10、32の被処理水は、処理対象
物質(過酸化水素)以外の不純物(金属、無機イオン、
シリカ等)がppt〜ppbオーダーと少ないので、過
酸化水素の除去に活性炭を使用した場合、不純物や微粉
炭の溶出、混入による水質の悪化、微粒子の増加が大き
な問題となる。そのため、過酸化水素除去に用いる材質
のクリーン度が要求されていた。
【0011】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、不純物や微粒子の溶出、混入による水質の悪化、微
粒子の増加を生じさせることなく、被処理水中の過酸化
水素を良好に除去することができる被処理水中の過酸化
水素の除去方法、及び、該方法を用いた水処理装置を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため、過酸化水素除去用の材料について種々
検討を行った結果、合成炭素系粒状吸着剤が過酸化水素
除去能力に優れている上、クリーンであり、この合成炭
素系粒状吸着剤に被処理水を接触させることにより、不
純物や微粒子の溶出、混入による水質の悪化、微粒子の
増加を生じさせることなく、被処理水中の過酸化水素を
確実に除去できることを知見し、本発明をなすに至っ
た。
【0013】したがって、本発明は、過酸化水素を含む
被処理水を合成炭素系粒状吸着剤に接触させることを特
徴とする被処理水中の過酸化水素の除去方法を提供す
る。
【0014】また、本発明は、下記(a)、(b)の水
処理装置を提供する。 (a)被処理水に過酸化水素の存在下で紫外線照射を行
う紫外線照射装置と、該紫外線照射装置の後段に設置さ
れ、紫外線照射装置の処理水を合成炭素系粒状吸着剤に
接触させる過酸化水素除去装置とを備えたことを特徴と
する水処理装置。 (b)被処理水にオゾンの存在下で紫外線照射を行う紫
外線照射装置と、該紫外線照射装置の後段に設置され、
紫外線照射装置の処理水を合成炭素系粒状吸着剤に接触
させる過酸化水素除去装置とを備えたことを特徴とする
水処理装置。
【0015】本発明で用いる合成炭素系粒状吸着剤は、
合成有機重合体の熱分解物であり、好ましくは、巨大多
孔性合成有機重合体の部分的熱分解粒子である。本発明
では、かかる合成炭素系粒状吸着剤として、例えば、特
公昭63−17485号公報及び特開平1−30881
7号公報に記載されたものを用いることができる。
【0016】特公昭63−17485号公報に記載され
た合成炭素系粒状吸着剤は、スルホネート、カルボキシ
ル、アミン、ハロゲン、酸素、スルホン酸塩、カルボン
酸塩及び四級アミン塩から選ばれる炭素固定成分を含有
し、かつエチレン系不飽和単量体の1種若しくはそれ以
上を縮合して巨大多孔性(マクロポーラス)重合体を生
じ得る単量体又はこれらの混合物から誘導される巨大多
孔性合成重合体を、不活性雰囲気中において約300〜
約900℃で熱分解して得られる部分的熱分解粒子であ
る。この中で好ましいものとしては、巨大気孔率を有す
るスルホン化スチレン/ジビニルベンゼン共重合体の部
分的熱分解物が挙げられる。
【0017】特開平1−308817号公報に記載され
た合成炭素系粒状吸着剤は、ポリスルホン化された巨大
多孔性の架橋されたビニル芳香族ポリマーを、約300
〜約1200℃で熱分解して得られる部分的熱分解粒子
であり、マルチモード孔径分布及び約0.02cm3
gの最小微小孔容積を有するものである。マルチモード
孔径分布とは、孔径分布において少なくとも2つのピー
クが存在することをいい、微小孔とは、平均径約0.1
0〜約3.5nmの孔をいい、ポリスルホン化とは、芳
香核当たり平均1より多くのスルホン基を導入するスル
ホン化法をいう。
【0018】合成炭素系粒状吸着剤として、具体的に
は、ロームアンドハース社製のアンバーソーブ(商品
名)を好適に使用することができる。アンバーソーブ
は、巨大網目構造を有するスチレン−ジビニルベンゼン
タイプのスルホン酸型イオン交換樹脂の熱分解物であ
る。アンバーソーブの中では、グレード572が特に好
ましい。アンバーソーブ572は、表面積1100m2
/g程度、孔容積0.84cm3/g程度、ミクロ孔容
積0.41cm3/g程度、メソ孔容積0.19cm3
g程度、マクロ孔容積0.24cm3/g程度、灰分含
有率0.05%以下、粒子径0.300〜0.850m
m(ふるいNO.(ASTMによる)50〜20)、嵩
密度0.49g/cm3程度の物性値を有するものであ
る。
【0019】本発明に係る被処理水中の過酸化水素の除
去方法は、過酸化水素を含む被処理水を、前述した合成
炭素系粒状吸着剤に接触させるものである。この場合、
合成炭素系粒状吸着剤への被処理水の接触は、充填塔方
式で行うことが過酸化水素の除去効率の点で好ましい。
このように充填塔方式で被処理水を合成炭素系粒状吸着
剤に接触させる場合、通水条件は線流速100m/h以
下、特に20〜50m/hとすることが適当である。線
流速が100m/hを超えると、過酸化水素が十分に除
去されないことがある。
【0020】(a)の水処理装置は、図1に示すよう
に、被処理水に過酸化水素の存在下で紫外線照射を行う
紫外線照射装置40と、該紫外線照射装置40の後段に
設置され、紫外線照射装置40の処理水を合成炭素系粒
状吸着剤に接触させる過酸化水素除去装置42とを備え
たものである。
【0021】また、(b)の水処理装置は、図2に示す
ように、被処理水にオゾンの存在下で紫外線照射を行う
紫外線照射装置50と、該紫外線照射装置50の後段に
設置され、紫外線照射装置50の処理水を合成炭素系粒
状吸着剤に接触させる過酸化水素除去装置52とを備え
たものである。
【0022】前記紫外線照射装置40、50は、過酸化
水素やオゾンに紫外線を照射することにより生成するヒ
ドロキシルラジカルによってTOC等の除去を行ってお
り、そのため(a)の紫外線照射装置40では処理水中
に未反応の過酸化水素が残存し、(b)の紫外線照射装
置50では処理水中に副生成した過酸化水素が残存して
いる。(a)、(b)の水処理装置は、上述した紫外線
照射装置40、50の処理水中に残存する過酸化水素
を、不純物や微粒子の溶出、混入による水質の悪化、微
粒子の増加を生じさせることなく除去できるものであ
る。
【0023】ここで、(a)の紫外線照射装置40とし
ては、例えば、図3に示した回収系システムCの紫外線
照射装置30が挙げられる。(b)の紫外線照射装置5
0としては、例えば、図3に示した1次純水系システム
Aのオゾン添加・紫外線照射装置8が挙げられる。ま
た、(a)、(b)の水処理装置の過酸化水素除去装置
50、52としては、合成炭素系粒状吸着剤を充填した
塔内に被処理水を通水する充填塔方式であることが過酸
化水素の除去効率の点で好ましい。(a)の水処理装置
は、超純水製造システムの回収系に好適に使用され、
(b)の水処理装置は、超純水製造システムの純水系
(1次、2次)及び回収系に好適に使用されるものであ
る。
【0024】
【作用】本発明で用いる合成炭素系粒状吸着剤は、過酸
化水素除去能力に優れている上、合成有機重合体の熱分
解物であるため、金属、無機イオン、シリカ等の不純物
を殆ど含まない。したがって、通水による不純物の溶出
あるいは混入のない吸着剤である。また、強固な構造を
しているので、微粒子の発生がない吸着剤である。した
がって、かかる合成炭素系粒状吸着剤に被処理水を接触
させることにより、不純物や微粒子の溶出、混入による
水質の悪化、微粒子の増加を生じさせることなく、被処
理水中の過酸化水素を除去することができ、通水による
水質悪化を防止することができる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に示す
が、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0026】[実施例]超純水に過酸化水素を添加し
て、過酸化水素濃度が10ppm、不純物濃度が表1に
示す濃度である被処理水を調製した。この被処理水を、
合成炭素系粒状吸着剤(ロームアンドハース社製アンバ
ーソーブ572)を充填した充填塔に通水して過酸化水
素の除去を行った。充填塔としては、高さ90cm、内
径2cmの円筒状のものを用い、内部に合成炭素系粒状
吸着剤300mlを充填した。被処理水は充填塔の上部
から導入し、下部から流出させた。通水は線流速20m
/hで行った。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】[比較例]表2に示す比較例1、2の水質
の被処理水を、充填塔方式の活性炭濾過装置(実機)に
線流速20m/hで通水した。活性炭としては、三菱化
学社製ダイヤホープ006EA(微粉炭発生及び不純物
溶出の低減のために予め酸洗処理を行った活性炭)を用
いた。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】また、実施例及び比較例1、2の各出口水
1リットルを孔径0.2μmのメンブレンフィルタで濾
過したところ、実施例の出口水の場合にはフィルタに微
粒子が付着せず、フィルタの変色は生じなかったが、比
較例1、2の出口水の場合にはフィルタに微粉炭が付着
し、フィルタが黒くなった。
【0031】以上の結果より、過酸化水素の除去に合成
炭素系粒状吸着剤を用いた場合、被処理水中の過酸化水
素を良好に除去(定量下限である0.2ppm以下に低
減)することができる上、不純物や微粒子の溶出、混入
が生じないことがわかった。これに対し、従来の活性炭
を用いた場合は、過酸化水素の除去はできるが、酸洗処
理を行っても不純物や微粉炭の溶出、混入が生じるもの
であった。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、不純物や微粒子の溶
出、混入による水質の悪化、微粒子の増加を生じさせる
ことなく、被処理水中の過酸化水素を良好に除去するこ
とができる。したがって、本発明によれば、下記の利点
が得られる。 (1)被処理水中の過酸化水素を除去し、かつ他の面での
水質は維持することができる。 (2)金属等の不純物の溶出、混入がないので、後段の樹
脂や膜への負荷を低減することができる。 (3)金属等の不純物の溶出、混入がないので、超純水製
造システムの1次系後段、2次系に使用することができ
る。 (4)微粒子の混入がないので、後段の膜の目詰まり等の
問題が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水処理装置の一実施例を示すフロ
ー図である。
【図2】本発明に係る水処理装置の他の実施例を示すフ
ロー図である。
【図3】電子産業用超純水製造システムの一例を示すフ
ロー図である。
【符号の説明】
40 紫外線照射装置 42 過酸化水素除去装置 50 紫外線照射装置 52 過酸化水素除去装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過酸化水素を含む被処理水を合成炭素系
    粒状吸着剤に接触させることを特徴とする被処理水中の
    過酸化水素の除去方法。
  2. 【請求項2】 被処理水に過酸化水素の存在下で紫外線
    照射を行う紫外線照射装置と、該紫外線照射装置の後段
    に設置され、紫外線照射装置の処理水を合成炭素系粒状
    吸着剤に接触させる過酸化水素除去装置とを備えたこと
    を特徴とする水処理装置。
  3. 【請求項3】 被処理水にオゾンの存在下で紫外線照射
    を行う紫外線照射装置と、該紫外線照射装置の後段に設
    置され、紫外線照射装置の処理水を合成炭素系粒状吸着
    剤に接触させる過酸化水素除去装置とを備えたことを特
    徴とする水処理装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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