JPH09291102A - 機械的強度に優れたアセチルセルロース及びその製造方法並びにそれを含む成型用組成物 - Google Patents

機械的強度に優れたアセチルセルロース及びその製造方法並びにそれを含む成型用組成物

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JPH09291102A
JPH09291102A JP10286596A JP10286596A JPH09291102A JP H09291102 A JPH09291102 A JP H09291102A JP 10286596 A JP10286596 A JP 10286596A JP 10286596 A JP10286596 A JP 10286596A JP H09291102 A JPH09291102 A JP H09291102A
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cellulose
acetyl
acetylation
polymerization
acetyl cellulose
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JP10286596A
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English (en)
Inventor
Mari Tabuchi
眞理 田渕
Otohiko Watabe
乙比古 渡部
Yasushi Morinaga
康 森永
Fumitaka Horii
文敬 堀井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bio Polymer Research Co Ltd
Original Assignee
Bio Polymer Research Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的性質に優れたアセチルセルロースを高
収率で提供する。 【解決手段】 重量平均重合度が1700以上であるア
セチルセルロース。このアセチルセルロースは超微細繊
維からなるセルロースを、例えば、繊維状酢化法により
アセチル化し、溶媒に溶解することによって得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高重合度のアセチル
セルロース、特に機械的強度に優れた高重合度アセチル
セルロース及びその製造方法並びにそれを含む成型用組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースからのアセチルセルロースの
製造は従来から種々の方法で行われている。かかる製造
方法は(a)アセチルセルロースの溶剤である酢酸又は
塩化メチレン等を反応希釈剤として用いる溶解酢化法と
(b)繊維状酢化法に大別される。
【0003】しかしながら、上記の従来法で得られるア
セチルセルロースの成型物は機械的性質が十分ではない
という問題点があった。
【0004】更に、上記した繊維状酢化法で得られた固
体アセチル化物を高度に利用するためには溶媒に可溶化
する必要があるが、従来の固体アセチル化物は溶媒に対
する可溶化率が低く、そのため可溶化アセチルセルロー
スの収率が低いという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は成型物
とした場合に十分な機械的性質を与えるアセチルセルロ
ースを提供することである。
【0006】本発明の更なる目的は、成型物とした場合
に十分な機械的性質を与えるアセチルセルロースを繊維
状酢化法において収率よく製造する方法を提供すること
である。
【0007】本発明の別の目的は前記アセチルセルロー
スを含み、成型物に十分な機械的性質を与える成型用組
成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討の結果、アセチルセルロースの重
量平均重合度(DPw)が固体アセチル化物の有機溶媒
への可溶化率及び有機溶媒可溶化アセチルセルロースか
ら得られる成型物の機械的性質に大きく関わることを知
見し、本発明を完成させた。
【0009】本発明は重量平均重合度が1700以上で
あるアセチルセルロースである。重量平均重合度が20
00以上であるアセチルセルロースが成型物の機械的性
質の点で好ましい。
【0010】本発明のアセチルセルロースは前述した従
来のアセチル化方法により得られたアセチルセルロース
よりも重量平均重合度(DPw)が大きい。従来方法に
より得られたアセチルセルロースは原料セルロースのD
Pwにもよるが、溶解酢化法で約160〜550、繊維
状酢化法で約1000〜1500であった。本発明のア
セチルセルロースは従来公知のアセチルセルロースより
も大きいDPwを有しており、このことにより本発明の
効果が達成されるものである。
【0011】すなわち、1700以上、好ましくは20
00以上という大きいDPwを有する本発明のアセチル
セルロースは、それから得た成型物の機械的性質、特に
ヤング率や引張強度等の機械的強度に著しく優れるとい
う効果を奏する。
【0012】本発明のアセチルセルロースは2.5以
上、好ましくは2.6以上、更に好ましくは2.7以上
のアセチル置換度を有し得る。高いアセチル置換度のア
セチルセルロースは水分吸収率が低く、電気絶縁材料と
して用いる場合や写真用フィルムとして用いる場合に好
都合である。
【0013】本発明のアセチルセルロースは例えば以下
に述べる方法により製造することができ、この製造方法
も本発明を構成する。
【0014】本発明のアセチルセルロースは超微細繊維
よりなるセルロースを繊維状酢化法によりアセチル化
し、その後有機溶媒により可溶化し、不溶部を除去する
ことにより製造し得る。
【0015】アセチル化すべき原料セルロースは、超微
細繊維からなることが必要である。超微細繊維とは、繊
維の長径が0.2μm以下であることが望ましい。この
ようなセルロースとしては、超微細繊維として知られる
バクテリアがつくるセルロースがもっとも好適である。
しかし、起源については、特に問われるものではない。
例えば、植物あるいは動物由来または、再生セルロース
などの長径数μm以上のセルロース繊維を微細繊維化
(フィブリル化)したものを用いてもよい。
【0016】バクテリアセルロースは、酢酸菌アセトバ
クター属が産生するものがもっともよく知られている。
このバクテリアセルロースは、菌体から1本以上ずつ排
出されるが、その形態は、長径が0.2μm以下の平た
いリボン状の微細繊維であることが知られている。この
リボン状の微細繊維の厚さについては、0.02μm以
下と考えられている。また、この酢酸菌をカルボキシメ
チルセルロースやキシログルカンなどの共存下で培養す
ることで、さらに細い微細繊維からなるバクテリアセル
ロースが生産されることも知られている。超微細繊維か
らなる原料セルロースは高重合度を有するのが好まし
い。原料セルロースの重合度は6,000以上、好まし
くは10,000以上、より好ましくは16,000以
上、更に好ましくは20,000以上である。
【0017】原料セルロースとしてはバクテリアセルロ
ース、ホヤ又はバロニア由来のセルロース等の高重合度
のセルロースが好ましい。また、これらのセルロースを
フィブリル化したもの等も好ましい。
【0018】バクテリアセルロースはセルロース生産菌
によって製造されうる。セルロース生産菌の中でも、通
気撹拌培養することによって、ポリスチレン換算の重量
平均重合度(DPw)が1.6×104 以上、好ましく
は1.7×104 以上である高重合度のバクテリアセル
ロースを産生するか、又は静置培養することによって、
ポリスチレン換算のDPwが2.0×104 以上である
高重合度バクテリアセルロースを産生する菌株が好まし
い。このような菌株としてBPR3001A(平成7年
6月12日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術
研究所特許微生物寄託センターに寄託され、受託陣号F
ERM P−14982を付与されている)があげられ
る。
【0019】繊維状酢化は原料である超微細繊維からな
るセルロースをアセチルセルロースの非溶剤である有機
溶媒中で触媒の存在下アセチル化剤によりアセチル化す
ることによって実施する。用いる有機溶媒としては例え
ばキシレン、ベンゼン、トルエン、アミルアセテートが
あげられる。アセチル化剤として好ましいのは無水酢酸
である。触媒としては硫酸、過塩素酸等があげられる。
上記の有機溶媒中で行なう場合、アセチル化の温度及び
時間は室温〜55℃及び1〜5時間が好ましい。
【0020】繊維状酢化は無水酢酸とピリジンの蒸気又
は無水酢酸蒸気により気相法でアセチル化することによ
っても実施し得る。
【0021】繊維状酢化によるアセチル化後、得られた
固体アセチル化物を濾過、遠心分離等により分離する。
【0022】本発明のアセチルセルロース製造方法にお
いて、アセチル化後に固体アセチル化物を可溶化する有
機溶媒はアセチルセルロースを溶解する有機溶媒であれ
ば何んでもよいが、好ましい可溶化有機溶媒はアセト
ン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン/エタノール
(9:1v/v)、クロロホルム/エタノール(9:1
v/v)等であり、好ましくはアセトン、クロロホルム
/エタノール(9:1v/v)である。固体アセチル化
物を有機溶媒に溶解した後、不溶部を濾過、遠心分離等
により除去する。溶解濃度は0.01〜1%が好まし
い。
【0023】有機溶媒に可溶化したアセチルセルロース
は成型後有機溶媒を除去することにより、又はその他の
成型用材料例えば可塑剤を加えて成型後有機溶媒を除去
することによりフィルム、フィルター、分離膜、建材、
繊維等の成型物とすることができる。この成型物はヤン
グ率、引張強度等の機械的性質に優れている。成型用組
成物におけるアセチルセルロースとその他の成型用材料
の量比は一般的及び工業的製法における量に準ずる。
【0024】本発明のアセチルセルロースは、他の材料
と複合化することも可能である。複合化の方法として
は、混溶、混紡、混合、ラミネートなど一般的な工業的
な製法に準ずる。この際の本発明のアセチルセルロース
の比率は、全体の重量に対して、0.01ないし100
%である。
【0025】本発明における原料セルロースの重量平均
重合度、アセチルセルロースの重量平均重合度及びアセ
チルセルロースのアセチル置換度は以下の方法により測
定できる。
【0026】本発明における各種原料セルロースの重量
平均重合度は、検出器としてRIを内蔵したGPCシス
テム(Tosoh HLC−8020)を用いて以下の
ようにして測定する。セルロース試料を発煙硝酸−五酸
化リン溶液でW.J.Alexander,R.L.M
itchell,Analytical chemis
try 21,12,1497−1500(1949)
の方法によりニトロ化する。セルロースニトロ化物はT
HF(和光純薬 1級)に0.05%濃度で溶かしたの
ち、1.0μmポアサイズのフィルターで濾過する。G
PCの溶離液にもTHFを用いる。流速は0.5ml/
min、圧力は10〜13kg f/cm2 、サンプル
注入量は100μlとする。カラムはTSKgel G
MH−HR(S)(7.5ID×300mm×2本)と
ガードカラム(HHR(S))(Tosoh Co.,
Ltd.)を用い35℃で測定する。分子量算出のため
にスタンダードポリスチレン(Tosoh)を用いポリ
スチレン換算の相対分子量を求める。2×107 から2
630の分子量のポリスチレンを用い、溶出時間(t)
と分子量の対数(logM)について、3次式:(lo
gM=At3 +Bt2 +Ct+D)による近似を行いス
タンダード曲線を作製する。分子量はTosohのデー
タ処理専用機(SC−8020)に内蔵されたプログラ
ムにより重量平均分子量を計算する。これらの分子量の
値からニトロ化後の置換度を考慮して重量平均重合度を
計算する。
【0027】アセチルセルロースの重量平均重合度(D
Pw)は検出器としてRI(示差屈折計)を内蔵したG
PC(サイズ排除クロマトグラフィー)システム「To
soh HLC−8020」を用いて以下のようにして
測定する。
【0028】アセチルセルロースをTHF(和光純薬
(株)製テトラヒドロフラン、試薬1級)に0.05%
濃度で溶かしたのち、1.0μmポアサイズのフィルタ
ーで濾過する。GPCの溶離液にもTHFを用いる。流
速は0.5ml/min、圧力は10〜13kgf/c
2 、そしてサンプル注入量は100μlとする。カラ
ムは「TSKgel GMH−HR(S)」(7.5I
D×300mm×2本)とガードカラム「HHR
(S)」(Tosoh Co,, Ltd.)を用いて3
5℃で測定する。
【0029】アセチルセルロースの分子量算出のために
スタンダードポリスチレン「Tosoh」を用い、ポリ
スチレン換算の相対分子量を求める。詳述すると、2×
107 から2630の分子量(M)のポリスチレンを用
い、溶出時間(t)と分子量の対数(logM)につい
て、3次式:(logM=At3 +Bt2 +Ct+D)
による近似を行いスタンダード曲線を作製する。分子量
はTosohのデータ処理専用コンピュータ「SC−8
020」に内蔵されたプログラムにより重量平均分子量
を計算する。
【0030】これらの分子量の値からアセチル化後の置
換度を考慮して重量平均重合度(DPwまたは重合度と
略記することもある)を計算する。
【0031】アセチルセルロースのアセチル置換度はF
T−IR分析において市販アセチルセルロースを基準物
質とし、アセチル基と水酸基のピーク強度の比より求め
た。FT−IRは「FTS165」(バイオラッド社
製)を用い、透過法により測定した。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する
が、これにより本発明が限定されるものではない。
【0033】製造例1(高重合度セルロース生産菌の静
置培養によるバクテリアセルロースの調製) BPR3001Aをグリセロールストックより培地10
0mlを仕込んだ750ml容のルーフラスコに1%濃
度で植菌し、28℃で3日間静置培養した。培養後ルー
フラスコをよく振って菌体をセルロース膜よりはがした
後、菌液3mlをCSL(コーンスチープリカー)−F
ru(フラクトース)培地27mlを入れたシャーレ
(直径90mm)に植菌し、28℃で10日間培養し
た。
【0034】培養終了後、得られたセルロース膜を流水
で洗浄後、約500mlの水中で80℃で20分間加熱
した。加熱後セルロース膜をさらに流水で洗浄し、その
後、約500mlの0.1規定NaOH中で80℃で2
0分間加熱することによりセルロース膜中に含まれる菌
体を溶菌させた。溶菌後、セルロース膜を約500ml
の蒸留水中で80℃で20分間加熱することにより洗浄
した。同様の洗浄を蒸留水を交換しつつ3〜5回行うこ
とにより精製バクテリアセルロースを得た。
【0035】この精製バクテリアセルロースの重量平均
重合度を既に述べた方法で測定した結果22500であ
った。また、このバクテリアセルロースの繊維を常法に
従って、イオンスパッタコーティング法で金パラジウム
を蒸着した。これを走査型電子顕微鏡を用いて観察し、
繊維の長径を測定した結果、0.2μm以下であった。
【0036】製造例2(高重合度セルロース生産菌の通
気撹拌培養によるバクテリアセルロースの調製) BPR3001AをグリセロールストックよりCSL−
Fru培地100mlを仕込んだ750ml容ルーフラ
スコに1%植菌し、28℃で3日間静置培養した。培養
後ルーフラスコをよく振って菌体をセルロース膜よりは
がした後、菌液12.5mlを112.5mlの培地を
含む500mlフラスコに植菌し、28℃で180rp
mの条件で3日間培養した。培養物をブレンダーにより
無菌的に離解し、その60mlを540mlのCSL−
Fru培地を仕込んだ11ジャーに植菌し、pHをNH
3 ガスおよび1規定H2 SO4 で4.9〜5.1に制御
しながら、かつ溶存酸素量(DO)が3.0%以上にな
るように回転数を自動制御しながら、メイン培養を行っ
た。
【0037】培養終了後、得られた培養液を酢酸緩衝液
で約5倍に希釈した後、遠心分離して沈殿物を回収し
た。沈殿を蒸留水で最初の培養液量の約8倍に希釈後、
80℃で20分間加熱し、加熱後遠心分離により沈殿物
を回収した。沈殿物を同じく8倍量の0.1規定NaO
Hに懸濁し、80℃で20分間加熱することにより溶菌
し、溶菌後遠心分離により沈殿物を回収した。この後、
さらに8倍量の蒸留水に沈殿を懸濁し80℃で20分間
加熱し、加熱後遠心分離して沈殿物を回収することによ
りセルロースの洗浄を行った。同様の洗浄を3回行うこ
とにより精製バクテリアセルロースを得た。
【0038】この精製バクテリアセルロースの重量平均
重合度をすでに述べた方法で測定した結果17400で
あった。また、このバクテリアセルロースの繊維を常法
に従って、イオンスパッタコーティング法で金パラジウ
ムを蒸着した。これを走査型電子顕微鏡を用いて観察
し、繊維の長径を測定した結果、0.2μm以下であっ
た。
【0039】尚、以上の製造例で用いたCSL−Fru
の組成は下記第1表に示すとおりである。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】実施例1 製造例2で得られた精製バクテリアセルロースを、有機
溶媒のメタノール、アセトン及びヘキサンでこの順に溶
媒置換して乾燥した(特開平6−233691及びU.
Geyer,Int.J.Biol.Macromo
l.,16,6(1994)参照)。
【0044】溶媒置換により乾燥したバクテリアセルロ
ースは、これに20倍量(重量)の氷酢酸を加え、24
時間スターラーでゆっくり撹拌することで浸漬処理した
後、吸引濾過により付着した酢酸を除去した。
【0045】付着酢酸を除去したバクテリアセルロース
10重量部に対し、アセチル化剤として無水酢酸100
重量部、希釈剤としてキシレンを400重量部、触媒と
して97%濃硫酸を2重量部加え、55℃で4時間反応
させ繊維状酢化を行なった。
【0046】反応終了後、吸引濾過により反応液と固体
アセチル化物を分離した。得られた固体アセチル化物を
十分にキシレンで洗浄後、60℃で乾燥した。乾燥後、
得られた固体アセチル化物1重量部をアセトン1,00
0重量部に溶解し、吸引濾過により不溶部を除去し、ア
セチルセルロース溶液を得た。この溶液を平底のガラス
容器に入れて風乾し、容器底面に生成したアセチルセル
ロース膜を得た。
【0047】比較例1 溶媒置換により乾燥したバクテリアセルロースの代りに
市販のコットンリンター(繊維の長径約10μm)を使
用した以外は、上記実施例1におけると全く同様にして
アセチルセルロース膜を回収した。
【0048】比較例2(酢酸溶剤法によるアセチル化) (a)実施例1における溶媒置換により乾燥したバクテ
リアセルロースを20倍量(重量)の氷酢酸を使用して
3時間浸漬処理した後、吸引濾過により付着した酢酸を
除去した。
【0049】付着酢酸を除去した前処理後のバクテリア
セルロース100重量部を、20倍量(重量)の無水酢
酸及び20倍量の氷酢酸並びに15重量部の濃硫酸の混
合物に加え、低温(20〜30℃)で5時間保持すると
セルロースが完全に溶けて反応液が透明になったので、
この時点を反応終了時とした。
【0050】バクテリアセルロースの3倍量(重量)の
水を加え、25℃で2日間熟成の後、反応混合物を大量
の水中に投じて反応を停止してアセチルセルロースを得
た。これを十分に水洗いし、中和後乾燥させた。乾燥
後、これをアセトンに溶解し、この溶液を平底のガラス
容器に入れて風乾し、底面に生成したアセチルセルロー
ス膜を回収した。
【0051】(b)溶媒置換により乾燥したバクテリア
セルロースの代りに比較例1で用いた市販のコットンリ
ンターを使用し、かつアセチル化反応時間を3時間とし
た以外は、上記(a)におけると全く同様にしてアセチ
ルセルロース膜を回収した。
【0052】検査例1(各種アセチルセルロースの重合
度の検査) 実施例及び比較例で得られたアセチルセルロースについ
て、重量平均重合度(DPw)を前記の方法により検査
した。
【0053】検査結果を下記第2表に示す。
【0054】
【表4】
【0055】第2表より、本発明のアセチルセルロース
(実施例1で得られたもの)は、従来法によるアセチル
セルロース(比較例のもの)に比較して重合度(DP
w)が高いことがわかる。
【0056】検査例2(各種アセチルセルロース膜のヤ
ング率の測定) ヤング率は、以下のように測定した。すなわち、回収し
たアセチルセルロース膜から5×30mmの短冊状サン
プルを切り出し、厚さと重量を測定後、セイコー電子工
業(株)製の動的粘弾性測定装置「DMS210」を用
いて測定した。測定は、自動テンション測定で、初期テ
ンション250g/mm2 、変位量±20μm、そして
周波数10Hzの条件下で昇温測定を行ない、引張貯蔵
弾性率(ヤング率)及び内部損失を求めた。ヤング率の
温度分散パターン(温度範囲28〜40℃)の最高値を
ヤング率の値として用いた。アセチルセルロースの比重
を1.36とし、上記ヤング率の測定値を補正した値を
計算し、真のヤング率とした。
【0057】検査例3(各種アセチルセルロース膜の引
張強度の測定) 引張強度は回収したアセチルセルロースの膜を不動工業
(株)製レオメーター「NRM−2010J−CW」に
より測定した。試料長は20mm、そして引張速度は2
cm/minとした。
【0058】検査例2及び3の結果を下記第3表に示
す。
【0059】
【表5】
【0060】第3表より、本発明のアセチルセルロース
(実施例1で得られたもの)から作成したアセチルセル
ロース膜は、従来法によるものに比較して機械的強度に
おいて優れていることが分る。尚、実施例1で得られた
アセチルセルロースの置換度は2.8であった。比較例
1で得られたアセチルセルロースの置換度は1.8〜
2.0であった。
【0061】検査例4(溶媒可溶化率) 乾燥固体アセチル化物のアセトン又はTHFへの可溶化
率を次のようにして求めた。1重量部の固体アセチル化
物に1,000重量部の溶媒を加えて溶解したときに溶
媒にとけず不溶部として回収された固体アセチル化物の
乾燥重量を求め、溶解前の全固体アセチル化物の乾燥重
量からこれを引いて溶媒に溶解したアセチルセルロース
の乾燥重量を求めた。可溶化率は溶解アセチルセルロー
スの重量を溶解前の全固体アセチル化物の重量で除し、
それを%で表わした値で示した。測定結果を以下の第4
表に示す。
【0062】
【表6】
【0063】実施例1は比較例1にくらべ有機溶媒可溶
化アセチルセルロースが収率よく得られることがわか
る。
【0064】
【発明の効果】本発明により、重合度(DPw)の高い
アセチルセルロース及び機械的強度に優れたアセチルセ
ルロースの成型物が容易に提供され得るところとなっ
た。又、本発明によって高重合度のアセチルセルロース
可溶化物を収率よく得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森永 康 神奈川県川崎市高津区坂戸3−2−1 K SP R&D B−1015 株式会社バイオ ポリマー・リサーチ内 (72)発明者 堀井 文敬 京都府宇治市折居台4丁目1番地101

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均重合度が1700以上であるア
    セチルセルロース。
  2. 【請求項2】 アセチル置換度が2.5以上である請求
    項1に記載のアセチルセルロース。
  3. 【請求項3】 超微細繊維からなるセルロースを繊維状
    酢化法によりアセチル化し、得られた固体アセチル化物
    を有機溶媒に溶解し、不溶部を除去することを含む請求
    項1又は2に記載のアセチルセルロースの製造方法。
  4. 【請求項4】 超微細繊維からなるセルロースが高重合
    度セルロースである請求項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 超微細繊維からなるセルロースがバクテ
    リアセルロースである請求項3又は4に記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 超微細繊維からなるセルロースが撹拌培
    養で生産されたバクテリアセルロースである請求項3〜
    5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1又は2に記載のアセチルセルロ
    ースを含む成型用組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011122014A (ja) * 2009-12-09 2011-06-23 Konica Minolta Opto Inc 樹脂複合体とその製造方法、及びそれに用いられるセルロースナノファイバーの製造方法
WO2014054779A1 (ja) 2012-10-05 2014-04-10 オリンパス株式会社 セルロースナノファイバーとその製造方法、複合樹脂組成物、成形体
JPWO2017131035A1 (ja) * 2016-01-26 2018-11-15 富士フイルム株式会社 ナノファイバーおよび不織布
JP2020033423A (ja) * 2018-08-28 2020-03-05 株式会社ダイセル 増核剤、樹脂組成物、成形体、及び増核剤の製造方法

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