JPH09290700A - エアバッグ用バッグの折り畳み前癖付け装置及びエアバッグモジュールの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 折り畳み前の状態でバッグに折り癖を付ける
ことにより、折り畳み後に大きな癖付け力が得られ、且
つ折り畳み工数の削減が可能となるエアバッグ用バッグ
の小型の折り畳み前癖付け装置の提供。 【解決手段】 下部癖付け板５上の所定位置に折り畳み
前の一層のバッグ４を載置し、天板３上のシリンダ８を
始動させる。該シリンダ８の始動によりピストンロッド
１０を介して上部癖付け板７が降下し、上部癖付け板７
と下部癖付け板５とがバッグ４を挾持するようになる
と、バッグ４はシリンダ８の押圧力により更に押圧さ
れ、この際、上、下部癖付け板７，５に内蔵されたヒー
タは所定温度に上昇されているため、所定時間シリンダ
８によりバッグ４を押圧することで、バッグ４に折り癖
を付与することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エアバッグ用バッ
グを折り畳む前に癖付けすることにより、折り畳み後に
大きな癖付け力が得られ、また、折り畳み工数の削減が
可能となるエアバッグ用バッグの折り畳み前癖付け装置
及びエアバッグモジュールの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のエアバッグの癖付けは、図４に示
すように、折り畳み後のエアバッグ２１を単純な押さえ
であるプレス２２により押圧して行っていた。この方式
では、強い押圧を与えると、バッグ内部に入れてある金
属部品リテーナ２０によりバッグに損傷を発生させるた
め、所定の圧力しか印加できない。その上、多重に重な
った折り目に同時印圧するため、各々の折り目に印加さ
れる力が弱く、十分な癖付け力を得ることができない。
従って、バッグ２１を収容するパッドのスペースを大き
くするか、剛性の高い高価なパッドを使用する等により
対処してきた。一方、従来、人手を利用した図５に示す
ような折り畳み装置も知られている。この装置による作
業を簡単に説明すると、まず、作業台３０に折り畳むべ
きエアバッグ３１を載置し、次に、横方向折りの位置決
めピン３２に折り畳み治具３３をセットする。そして、
作業者３４がエアバッグ３１を折り畳む。次に、折り畳
み治具３３をエアバッグ３１から横へ引き抜き、以下、
同様の作業を繰り返し横折り作業を終了する。次に、縦
方向折りの位置決めピン３５に折り畳み治具３３をセッ
トする。そして、作業者３４が半折りのエアバッグ３１
を折り畳む。次に、折り畳み治具３３をエアバッグ３１
から横へ引き抜き、以下、同様の作業を繰り返し折り畳
み作業を完了する。この方式においては、精度を出すた
めに重く大きな治具をエアバッグに当て実施されてき
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述したいずれの従来
技術も装置が大型化するという問題点を有している。し
かしながら、近年、大幅な価格低下と装置の小型化の要
求が強く、エアバッグを折り畳む前に十分癖付けする技
術が必須となってきた。

【０００４】本発明は、従来技術の有する叙上の問題点
に鑑みて創出されたものであり、その目的とするところ
は、エアバッグが一層であれば折り目が付け易いことに
着目し、折り畳み前の状態でバッグに折り癖を付けるこ
とにより、折り畳み後に大きな癖付け力が得られ、且つ
折り畳み工数の削減が可能となるエアバッグ用バッグの
小型の折り畳み前癖付け装置及びエアバッグモジュール
の製造方法を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項１記載の手段を採用することができる。この手
段によると、下部癖付け板と上部癖付け板との間に挾持
されたバッグに強い折り畳み前癖を短時間で付与するこ
とができるので、少ない工数で精度よくバッグを折り畳
むことができ、従来よりもバッグ収納スペースの削減が
可能となり、又剛性の高い高価なパッド、即ち、バッグ
を収納する部品を適用せずにエアバッグモジュールを構
成可能とすることができる。また、従来必要としていた
治具の着脱無しでの折り畳みが可能で、治具の扱い工数
が不要となる。また、上記課題を解決するために請求項
６記載の手段を採用することができる。この手段による
と、バッグの折り畳み前に予め癖付けしてあるため、少
ない工数で精度よくバッグを折り畳むことができ、従来
よりもバッグ収納スペースの削減が可能となり、又剛性
の高い高価なパッド、即ち、バッグを収納する部品を適
用せずにエアバッグモジュールを構成可能とすることが
できる。また、従来必要としていた治具の着脱無しでの
折り畳みが可能で、治具の扱い工数が不要となる。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明のエアバッグ用バッグの折
り畳み前癖付け装置の実施形態を図１から図３に基づい
て説明する。図において、底板１の四隅部には支柱２が
立設固定され、該支柱２の上部には天板３が載置固定さ
れている。底板１の上部にはヒータ内蔵の下部癖付け板
５が載置固定され、該下部癖付け板５の隅部には複数の
ロッドガイド６が植設固定されている。下部癖付け板５
上には癖付け対象となるバッグ４が載置される。下部癖
付け板５に対面するヒータ内蔵の上部癖付け板７の隅部
には複数の穴が穿設され該穴には上記ロッドガイド６が
貫通しており、上記上部癖付け板７はロッドガイド６に
沿って上下に摺動自在となっている。天板３にはシリン
ダ８が設置されており、該シリンダ８から進出自在のピ
ストンロッド１０端部は上部癖付け板７に固設されてい
る。そして、シリンダ８の作動によりピストンロッド１
０の進出に伴ない上部癖付け板７は、図１中、矢印のよ
うに下方に移動し、下部癖付け板５上のバッグ４を押圧
挾持するようになっている。下部癖付け板５と底板１と
の間には、上記下部癖付け板５からの放熱を遮断するた
め断熱材１１が設置されている。

【０００７】上、下部の癖付け板７，５の対向する面に
は、図２に示すように、バッグ４の折り癖位置に凹状の
受部１２と該受部１２に対向する凸状の突起部１３が形
成されている。エアバッグモジュールを構成するエアバ
ッグは、僅かな傷も致命傷となるために、特に、受部１
２と突起部１３は共にデルリン等の摺動性の良い材料に
より作られるか又は窒化処理やクロムメッキに研摩等の
表面処理が施こされている。また、癖付け板５，７の突
起部１３の先端部と受部１２の谷部には連続した円滑形
状を形成するためにアール（Ｒ）を設けるが、このＲと
先端部形状、谷部形状は折り癖位置により変化させる。
例えば、折りが多重折りの場合、最外部分はＲを大きく
し、また、最内部分はＲを小さくする等により、最終の
畳み形状に合わせた癖付けを施こすとよい。尚、上、下
部癖付け板７，５はバッグ４への傷付きを考慮し、鋭利
な角部やバリ等を除去する。図３は、癖付け板に形成さ
れた突起部１３の位置の一形態を示したものであり、実
線は山折り、即ち、下部癖付け板５の突起部１３を表わ
し、点線は谷折り、即ち、上部癖付け板７の突起部１３
を表わしている。

【０００８】次に、本発明の実施形態の作動及び折り畳
み前癖付け方法について説明する。まず、下部癖付け板
５上の所定位置に折り畳み前状態の一層のバッグ４を載
置し、次に、天板３上のシリンダ８を始動させると、シ
リンダ８内からピストンロッド１０が下方に進出し、上
部癖付け板７をロッドガイド６に沿って下部癖付け板５
に向って降下させる。下部癖付け板５が降下して上部癖
付け板７と下部癖付け板５とがバッグ４を挾持するよう
になると、バッグ４はシリンダ８の押圧力により更に押
圧される。そして、この際、上、下部癖付け板７，５に
内蔵されたヒータは所定温度に上昇されているため、所
定時間シリンダ８によりバッグ４を押圧することで、バ
ッグ４に折り癖を与えることができる。

【０００９】本実施形態においては、バッグ４が一層状
態であるため、シリンダ８の弱い印圧でも癖付けが可能
となり、温度も均一かつ効率的に伝えるため、短時間で
強い癖付け力が得られる。これにより従来よりもバッグ
収納スペースの削減が可能となり、又剛性の高い高価な
パッド、即ち、バッグを収納する部品を適用せずにエア
バッグモジュールを構成可能とすることができる。ま
た、本実施形態においては、予め癖付けしてあるため、
図４に示された従来技術において必要とされる治具の脱
着無しでの折り畳みが可能で、治具の扱い工数が不要と
なる。

【００１０】本実施形態における癖付け板の受部１２
は、柔軟な部品にて形成してもよく、また、下部癖付け
板５と底板１との間に設置された断熱材１１は省略する
こともできる。また、癖付け板は上下２枚である必要は
なく、複数枚に分割し、各々にシリンダを取り付ける構
成としても本実施形態と同様の効果を得ることができ
る。更に、上、下癖付け板７，５の位置関係は、上下の
位置関係以外に左右の位置関係でも本実施形態と同様の
作用効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のエアバッグ用バッグの折り畳み前癖付
け装置の実施形態の斜視図である。

【図２】上、下部癖付け板の一部切截断面図である。

【図３】癖付け板の突起位置の一例を示す上面図であ
る。

【図４】従来のエアバッグ用バッグの折り畳み癖付け装
置の一例を示す断面図である。

【図５】従来のエアバッグ用バッグの折り畳み装置の一
例を示す平面図である。

【符号の説明】

１…底板 ３…天板 ４…バッグ ５…下部癖付け板 ６…ロッドガイド ７…上部癖付け板 ８…シリンダ １０…ピストンロッド １１…断熱材 １２…受部 １３…突起部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 熊田 茂雄 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 日本電 装株式会社内

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エアバッグ用バッグの折り畳み前癖付け
   装置において、 底板に載置固定された下部癖付け板と、該下部癖付け板
   上の所定位置に載置されたバッグと、上記下部癖付け板
   に対向し、天板に設置されたシリンダにより上下移動可
   能にされた上部癖付け板とからなり、上記シリンダを作
   動して上部癖付け板を下方に押出し下部癖付け板に押圧
   することにより、下部癖付け板と上部癖付け板間に挾持
   された上記バッグに折り畳み前癖を付与することを特徴
   とするエアバッグ用バッグの折り畳み前癖付け装置。
2. 【請求項２】 上記上、下部癖付け板はヒータを内蔵し
   ており、また、該上、下部癖付け板の対向する面には、
   突起部と、該突起部に対向する受部が形成されており、
   該突起部と該受部は摺動性の良い材料により形成される
   か又は表面処理が施こされていることを特徴とする請求
   項１記載のエアバッグ用バッグの折り畳み前癖付け装
   置。
3. 【請求項３】 上記摺動性の良い材料はデルリンからな
   ることを特徴とする請求項２記載のエアバッグ用バッグ
   の折り畳み前癖付け装置。
4. 【請求項４】 上記表面処理は窒化処理やクロムメッキ
   に研摩を施こした処理であることを特徴とする請求項２
   記載のエアバッグ用バッグの折り畳み前癖付け装置。
5. 【請求項５】 上記上、下部癖付け板に形成された突起
   部と受部の形状を上記バッグの折り目位置により変化さ
   せることを特徴とする請求項２記載のエアバッグ用バッ
   グの折り畳み前癖付け装置。
6. 【請求項６】 エアバッグモジュールを組立する工程に
   おいて、バッグの折り畳み前に癖付けを行なうことを特
   徴とするエアバッグモジュールの製造方法。
7. 【請求項７】 ヒータを内蔵し、且つ、対向面に摺動性
   の良い材料にて形成され又は表面処理が施こされた突起
   部と受部を有する上、下部癖付け板により、上記バッグ
   を所定時間、所定温度にて押圧挾持することにより上記
   バッグの折り畳み前に癖付けを行なうことを特徴とする
   請求項６記載のエアバッグモジュールの製造方法。