JPH09289814A - 施肥装置付田植機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 操縦部の横側方に配置される肥料タンクの揺
動移動、切換位置における姿勢ロック及びロック解除の
複数操作が煩わしいので、これを改善する。 【解決手段】 ペースト肥料供給部を植付装置１０に備
えた田植機において、側条用肥料タンクＴ1 をエンジン
ボンネット３の左右に、かつ、深層用肥料タンクＴ2 を
操縦部Ｓの右横に夫々配置し、深層用肥料タンクＴ2
を、運転座席４の横側方とフロアステップ９の横側方と
に跨がる前後向きの作用姿勢と、フロアステップ９の
横側方を開放するべく真横に向いた乗降姿勢、予備苗
取出し用に４５度前右に向いた中間姿勢と、作用姿勢
からさらにタンク前部が機体内方に揺動移動した収納姿
勢との４姿勢に切換可能に機体に装着し、タンク揺動
支点Ｘ部位に備えたデテント機構により、所定以上の揺
動操作力で深層用肥料タンクＴ2 の各姿勢への切換え可
能に構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ペースト状肥料を
田植時に行えるようにした施肥装置付田植機に係り、詳
しくは、肥料タンクの取付け構成に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の田植機としては、特開平７‐１
４７８１８号公報に示されたものが知られている。ペー
スト状肥料のタンクは機体前部のエンジンボンネット横
側方箇所、すなわち、予備苗台の配置箇所の下方に配置
されており、後方が重くなり気味な田植機の前後バラン
スを少しでも改善できるようにされていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記公報に示されたも
のは、植付条の横側方箇所に肥料を撒く、所謂「側条施
肥」としてのものであるが、同時にある程度地中深くに
ペースト状肥料を供給する「深層施肥」も行うものとし
て、先に出願した特願平７−２１５５６３号のものを提
案している。このものでは、側条施肥用の肥料タンクを
エンジンボンネットの左右夫々に配置し、深層施肥用の
肥料タンクはフロアステップと運転座席に跨がる右側
方、すなわち、操縦部の右側方に配置しており、機体右
方からの乗降が行えるように、深層用肥料タンクを、前
後方向に沿った作用姿勢と、右側に揺動して開いた乗降
姿勢とに切換可能に構成するものである。

【０００４】しかしながら、上記姿勢切換えの操作とし
ては、肥料タンクの揺動移動、切換位置における姿勢ロ
ック及びロック解除の複数操作が必要であって操作が煩
わしく、改善の余地があった。この要改善点は、予備苗
の量を確保するため等によって肥料タンクを操縦部の横
側方に配置する場合でも同様に生じる。本発明の目的
は、操縦部の横側方に配置される肥料タンクの姿勢切換
操作を簡単化する点にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

〔構成〕第１発明は、ペースト状肥料を圃場に供給する
肥料供給部が備えられた苗植付装置を、機体の後部に昇
降自在に連結してある施肥装置付田植機において、肥料
供給部にペースト状肥料を送るための肥料タンクを、運
転座席の横側方とフロアステップの横側方とに亘って位
置する作用姿勢と、フロアステップの横側方を開放する
乗降姿勢とに姿勢切換可能に機体に装着するとともに、
肥料タンクに所定操作力よりも大なる操作力が作用する
と、肥料タンクの各姿勢への切換えが行われるように構
成してあることを特徴とする。

【０００６】第２発明は、第１発明において、肥料タン
クが作用姿勢にある肥料タンクよりも左右方向で機体内
側に寄った収納姿勢を現出可能に構成してあることを特
徴とする。

【０００７】第３発明は、第２発明において、肥料タン
クを作用姿勢から収納姿勢に切換えるための最低限度の
操作力を、所定操作力よりも大に設定してあることを特
徴とする。

【０００８】〔作用〕請求項１の構成では、所定以上の
操作力を肥料タンクに加えると移動して姿勢切換えがで
きるとともに、その切換えられた姿勢では、肥料タンク
に所定操作力が作用しない限りはその姿勢が保持される
ようになる。つまり、肥料タンクの移動操作の他に、従
来のような姿勢ロック及びロック解除の操作が不要にな
り、単にある程度の力をいれて肥料タンクを移動操作す
るだけの簡単操作で、姿勢切換え、及び姿勢保持が行え
るようになる。

【０００９】請求項２の構成では、田植機の物流コスト
を下げることが可能になる。すなわち、図５に示すよう
に、工場で生産された田植機は主にトラック自動車で運
搬することになり、田植機の平面視形状から隣合うもの
どうしを反対向けて、荷台Ｎの前後方向幅が極力短くな
るようにして、なるべく一度に多くの台数を運べるよう
に積む。この積み方では、隣合う田植機においては、ス
テップフロアの横側方に搭載した肥料タンクＴ2 どうし
が隣合う状態が一つ飛びに現れるよになるが、植付条数
によっては肥料タンクＴ2 が最も機体横側方に張り出た
箇所となる。

【００１０】従って、ステップフロア横側方の肥料タン
クＴ2 を、作用姿勢よりもさらに機体内方に移動した収
納姿勢が現出できるようにすることにより、図５に示す
ように、荷台Ｎ上で隣合う田植機２台分の前後幅（トラ
ックの前後方向幅）をさらに短くすることができる。す
ると、その寸法縮小が僅かであっても、その作用が複数
箇所に存在することによってまとまった前後寸法短縮が
図れ、従来よりも荷台への積載台数を１台多くすること
が可能となり、田植機１台当たりの運搬コストを下げる
ことが可能になった。

【００１１】上述した肥料タンクの収納姿勢は、運送手
段での運搬時にのみ使用するものであり、通常の使用で
は先ず使用しない姿勢である。従って、姿勢切換時に簡
単に収納位置に切換えられると、慣れない作業者では何
の姿勢であるのかと余計な気を使うことがあるととも
に、先ず使うことのない収納姿勢に操作して又戻すとい
う操作効率の悪化も考えられる。そこで請求項３の構成
では、収納姿勢への切換えには他の姿勢への切換操作力
よりも大きな力が必要となるようにしておけば、簡単に
は収納姿勢に切換わらないものとなり、切換操作間違い
や無駄な移動操作が省けるようになる。

【００１２】〔効果〕請求項１に記載の施肥装置付田植
機では、（イ）操縦部の横側方に配置される肥料タンク
の姿勢切換が簡単・便利に行えるとともに、それによっ
て乗降し易いとか植付作業体制に迅速に移行できる等の
利点もある。

【００１３】請求項２に記載の施肥装置付田植機では、
上記効果（イ）に加え、（ロ）肥料タンクの前部を作業
姿勢よりも内側に寄せるだけの簡単な改造により、トラ
ック荷台等の運搬手段への積載台数を増加でき、合理的
に物流コストを下げることができた。

【００１４】請求項３に記載の施肥装置付田植機では、
上記効果（イ），（ロ）に加え、（ハ）収納姿勢の追加
によるタンク移動の誤操作やそれによる操作無駄が抑制
され、実際の姿勢切換操作に支障を及ぼさない利点があ
る。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図１に乗用型の施肥装置付田植
機が示され、１は前輪、２は後輪、３は原動部、Ｓは運
転座席４やステップフロア９等を備えた操縦部、Ｔ1 は
原動部３の両横側に配置された側条施肥用の第１肥料タ
ンク、５は予備苗載せ台、Ｔ2 は操縦部Ｓの右横側に配
置された深層施肥用の第２肥料タンク、Ｂは機体、６は
リフトシリンダ、７は四連リンク機構、１０は苗植付装
置、８は苗植付装置１０駆動用のＰＴＯ軸である。苗植
付装置１０には、第１及び第２肥料タンクＴ1 ，Ｔ2 か
らのペースト肥料を圃場泥土に供給する施肥装置２０が
備えられ、この施肥装置２０は苗植付装置１０から動力
が伝達される。

【００１６】図１、図２に示すように、ＰＴＯ軸８から
フィードケース（符記せず）を経て動力が入力される植
付ケース１１と、この植付ケース１１の前端側に連結し
た横フレーム部材１２とによって苗植付装置１０のフレ
ームが形成されている。植付ケース１１の後端部にはロ
ータリー型の植付機構１３が左右に並列配備されるとと
もに、植付機構１３の作動に連動して往復横送りされる
苗載せ台１４、複数個の接地フロート１５等が苗植付装
置１０に備えられている。

【００１７】各接地フロート１５には、植付機構１３に
よる苗の植付箇所の横傍に施肥する２個の側条施肥ノズ
ル（肥料供給部Ａ）２２と、隣合う植付箇所どうしの左
右中央に配置された１個の深層施肥ノズル（肥料供給部
Ａ）２３とが取付けられている。植付ケース１１の後端
側に亘って連結配置された支持フレーム２４に、側条施
肥用の５個の第１施肥ポンプＰ1 及びこれ用の第１変速
機２５と、深層施肥用の３個の第２施肥ポンプＰ2 とこ
れ用の第２変速機２６とを取付け、ポンプカバー２１で
上部を覆ってある。つまり、２個の第１肥料タンクＴ1
からの配管３０ａを各第１肥料ポンプＰ1 に、かつ、１
個の第２肥料タンクＴ2 からの配管３０ｂを各第２ポン
プＰ2 に夫々接続してあり、苗植付に伴って側条及び深
層の各施肥が行えるように構成されている。

【００１８】深層施肥用の深層用肥料タンクＴ2 は、そ
の長手方向後部の上下支点Ｘ回りで揺動可能に操縦部Ｓ
の右横に配置され、人為揺動操作によって乗降姿勢、
中間姿勢、作用姿勢、及び収納姿勢の４姿勢に人
力操作で揺動移動させての切換え及び保持可能に構成さ
れている。尚、深層用配管３０ｂのタンク取出し部分
は、上下支点Ｘに一致させてあり、深層用肥料タンクＴ
2 の揺動移動による影響が少ないようにしてある。

【００１９】図２〜図４に示すように、後輪フェンダー
４０等を形成する上部構造体にタンク支持体４１を設
け、このタンク支持体４１側の取付ステー４２に、第２
肥料タンクＴ2 から延出された取付杆４３を嵌合連結し
てあり、これによって第２肥料タンクＴ2 を支点Ｘ回り
に揺動可能に機体Ｂに装着してある。

【００２０】取付ステー４２には、支点Ｙで揺動自在な
クランク４４が枢支され、このクランク４４は、その根
元側に作用する引張りバネ４５によって先端の係合ピン
４６が上下支点Ｘに接近する方向に付勢されている。
又、取付杆４３の下部には４箇所の係合凹部ａ，ｂ，
ｃ，ｄが形成された円弧形状の係合板４７が固着されて
おり、各係合凹部ａ，ｂ，ｃ，ｄには係合ピン４６が係
合可能に寸法設定してある。この構造によって第２肥料
タンクＴ2 を前述した４か所の姿勢が現出される位置に
係止維持可能なデテント機構Ｄが構成されている。

【００２１】乗降姿勢は、係合ピン４６が第１係合凹
部ａに係合し、深層用肥料タンクＴ2 が丁度真横に向い
た状態の姿勢（図２仮想線参照）であり、ステップフロ
ア９の右側方が大きく開放されて、機体Ｂの右側から操
縦者が乗り降りできるものである。

【００２２】中間姿勢は、係合ピン４６が第２係合凹
部ｂに係合し、深層用肥料タンクＴ2 が４５度の角度で
斜め前に開いた状態の姿勢（図２参照）である。これ
は、予備苗載せ台５に載置された予備苗（図示せず）
を、苗補給するべく操縦者が後方に引張り出すときに第
２肥料タンクＴ2 との干渉を回避するための姿勢であ
り、必要最小限度の揺動操作で済むようにこのポジショ
ンが設定されている。

【００２３】作用姿勢は、係合ピン４６が第３係合凹
部ｃに係合し、深層用肥料タンクＴ2 が運転座席４の横
側方とフロアステップ９の横側方とに亘る状態の姿勢
（図２実線参照）であり、タンク長手方向が丁度前後方
向に一致した状態となっている。つまり、苗植付作業時
の操縦の妨げにならず、かつ、極力左右方向に突出しな
いようにして左右バランスを良好に保てるような姿勢に
設定されている。

【００２４】収納姿勢は、作用姿勢からさらに機体
Ｂの内方に揺動移動させて、深層用肥料タンクＴ2 が約
２０度内側に傾いた状態（図２参照）である。この姿勢
は、「作用」の項で述べたように、田植機をその方向を
互い違いにしてトラック荷台に積載するときの姿勢であ
り、第２肥料タンクＴ2 の前部が作用姿勢にあるときよ
りもさらに機体内側に寄るようになる。故に、図５に示
すように、最も左右方向で張り出した第２肥料タンクＴ
2 が互いに入り込むことにより、トラック荷台Ｎへの積
載時における荷台の前後方向寸法を少しでも小さくでき
るのである。

【００２５】図４に示すように、係合板４７の第２係合
凹部ｂの凹み深さを他の箇所より浅くして、比較的中間
姿勢での保持力を弱い目にしてあり、頻繁に使用する作
用姿勢と乗降姿勢との切換時におけるショックを軽減し
て操作がし易いようにしてある。又、第３係合凹部ｃか
ら第４係合凹部ｄに向かう傾斜面ｅを直線形状に形成す
ることにより、作用姿勢から収納姿勢に切換えるに要す
る操作力を、これ以外の姿勢切換に要する各操作力より
も大に設定してあり、容易に収納姿勢に切換わらないよ
うにしてある。

【００２６】〔別実施形態〕タンク回動支点Ｘを、第２
肥料タンクＴ2 よりも後方に設け、又はスライド移動す
るように構成し、収納姿勢では作用姿勢のときよりもタ
ンク全体が機体内側に寄る構造でも良い。又、作用姿勢
から収納姿勢に切換えるときにだけ、補助のデテント機
構が追加作用するようにして、姿勢切換の所定操作力を
増加させる手段でも良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】田植機の側面図

【図２】肥料供給経路を示す田植機の平面図

【図３】深層用肥料タンクの装着構造を示す背面図

【図４】デテント機構の構造を示す平面図

【図５】トラック荷台への田植機積載状態を示す平面図

【符号の説明】

４ 運転座席 ９ ステップフロア １０ 苗植付装置 Ａ 肥料供給部 Ｔ2 肥料タンク

フロントページの続き (72)発明者 松村 哲也 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボ タ堺製造所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ペースト状肥料を圃場に供給する肥料供
   給部を備えた苗植付装置を、機体の後部に昇降自在に連
   結してある施肥装置付田植機であって、 前記肥料供給部にペースト状肥料を送るための肥料タン
   クを、運転座席の横側方とフロアステップの横側方とに
   亘って位置する作用姿勢と、前記フロアステップの横側
   方を開放する乗降姿勢とに姿勢切換可能に機体に装着す
   るとともに、 前記肥料タンクに所定操作力よりも大なる操作力が作用
   すると、該肥料タンクの前記各姿勢への切換えが行われ
   るように構成してある施肥装置付田植機。
2. 【請求項２】 前記肥料タンクが前記作用姿勢にある前
   記肥料タンクよりも左右方向で機体内側に寄った収納姿
   勢を現出可能に構成してある請求項１に記載の施肥装置
   付田植機。
3. 【請求項３】 前記肥料タンクを前記作用姿勢から前記
   収納姿勢に切換えるための最低限度の操作力を、前記所
   定操作力よりも大に設定してある請求項２に記載の施肥
   装置付田植機。