JPH09286943A

JPH09286943A - 記録液の処理方法

Info

Publication number: JPH09286943A
Application number: JP10086596A
Authority: JP
Inventors: Mizue Fujimori; 瑞惠藤森; Masanori Takizawa; 真紀滝沢; Yuji Akao; 赤尾　　祐司; Atsushi Chiba; 淳千葉
Original assignee: Citizen Watch Co Ltd
Current assignee: Citizen Watch Co Ltd
Priority date: 1996-04-23
Filing date: 1996-04-23
Publication date: 1997-11-04

Abstract

(57)【要約】【課題】優れた環境吐出特性を示し、またインクカート
リッジへの充填量のばらつきが無く、更にインクカート
リッジ内の負圧のばらつきの無い水性顔料系記録液を得
るための水性顔料系記録液の処理方法を提供すること。【解決手段】インクジェット記録に使用する記録液が少
なくとも分散剤、水性液媒体、顔料、水から構成される
水性顔料系記録液においてかかる記録液を調製、精製し
た後、超音波処理、並びに真空脱泡処理を行う事を特徴
とする記録液の処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録に使用される記録液の処理方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録は、低騒音で高速印
字が可能な記録方法であり、最近急速に普及しつつある
記録方法である。このようなインクジェット記録は、記
録液を加熱あるいは加圧といった方法により小液滴とし
て吐出させ、それを紙等の被記録材に付着させて記録を
行うものである。

【０００３】記録液の色材としては、これまで、染料が
使用されていた。しかし記録物の耐水・耐候性の面から
考えると、染料よりも顔料を用いる方が有利である。ま
た、液媒体としては、普通紙上への滲みの面から考える
と、非水性液媒体よりも水性液媒体を用いる方が有利で
ある。

【０００４】そこで、記録液の色材に顔料を用い、この
顔料を水性液媒体に分散した水性顔料系記録液の開発が
行われている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、水性顔料系記
録液は水性染料系インクに比べ環境吐出特性が不安定で
あり、特に高温下での印字の際、ドット抜け、着弾位置
のずれ等の吐出不良が多く発生する事が明かとなった。

【０００６】更にヘッドに記録液を供給するインクカー
トリッジに水性顔料系記録液を充填する際、充填量のば
らつきが大きい事が明かとなった。

【０００７】また充填後のインクカートリッジからヘッ
ドへの水性顔料系記録液の供給性を検討した結果、イン
クカートリッジ内の負圧のばらつきが大きい事も明かと
なった。

【０００８】そこで、本発明の目的は環境吐出特性に優
れ、またインクカートリッジへの充填量のばらつきが無
く、更にインクカートリッジからヘッドへの供給性のば
らつきのない水性顔料系記録液を得るための記録液の処
理方法を提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の記録液の処理方
法は、インクジェット記録に使用する記録液が少なくと
も分散剤、水性液媒体、顔料、水から構成される水性顔
料系記録液においてかかる記録液を調製、精製した後、
超音波処理、並びに真空脱泡処理を行う事を特徴とする
ものである。

【００１０】更に、本発明の記録液の処理方法は、イン
クジェット記録に使用する記録液が少なくとも分散剤、
水性液媒体、顔料、水から構成される水性顔料系記録液
においてかかる記録液を調製、精製した後、超音波処理
と真空脱泡処理を同時に行う事を特徴とするものであ
る。

【００１１】更に、本発明の記録液の処理方法はインク
ジェット記録に使用する記録液が少なくとも分散剤、水
性液媒体、顔料、水から構成される水性顔料系記録液に
おいてかかる記録液を調製、精製した後、超音波処理を
施した後に真空脱泡処理を行う事を特徴とするものであ
る。

【００１２】更に、本発明の記録液の処理方法はインク
ジェット記録に使用する記録液が少なくとも分散剤、水
性液媒体、顔料、水から構成される水性顔料系記録液に
おいてかかる記録液を調製、精製した後、真空脱泡処理
を施した後に超音波処理を行う事を特徴とするものであ
る。

【００１３】尚、本発明の記録液の処理方法は超音波の
発振周波数範囲が２０ｋＨｚから１００ｋＨｚで出力範
囲が１００Ｗから６００Ｗである事を特徴とするもので
ある。

【００１４】

【発明の実施の形態】水と水溶性有機溶剤から成る水性
液媒体に共重合体と斯く共重合体と塩を形成する化合物
からなる分散剤を溶解し分散媒とする。斯く分散媒と顔
料を混合分散し記録液を調製する。

【００１５】記録液を調製する際の混合分散にはボール
ミル、サンドミル、ペイントコンディショナー、超音波
ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ジェットミル等
の粉砕分散機が用いられる。

【００１６】次に上記操作により調製した記録液内の粗
大粒子、並びに非記録液成分を遠心分離、濾過処理によ
り除き記録液を精製する。

【００１７】本発明の実施例では先ず上記操作により精
製した記録液の物性値（粘度、表面張力、平均粒径、ゼ
ーター電位）を測定する。

【００１８】その後本発明の超音波処理、真空脱泡処理
を記録液に対して行う。更に本発明の記録液の処理の有
無による記録液の物性値比較、インクカートリッジへの
充填量の比較、インクカートリッジ内の負圧特性の比較
と環境吐出特性の比較を行う。

【００１９】

【実施例】

（実施例１）記録液の配合比を下記に示す。なお、下記
共重合体のかっこ内は各単量体の重合比を表す。

【００２０】水７８重量％ポリエチレングリコール（分子量約３００）１５重量％スチレン−アクリル酸−エトキシジエチレングリコールアクリレート共重合体１．５重量％（５０／４０／１０）；分子量約４千トリエタノールアミン０．５重量％カーボンブラック５重量％

【００２１】調製、精製後、得られた記録液の物性値を
測定し以下の結果を得た。粘度：２．２ｃｐ表面張力：４８ｄｙｎ／ｃｍ平均粒径：７２ｎｍゼーター電位：−４１．９ｍＶ

【００２２】次に上記記録液をガラス製容器に移し発振
周波数３５ｋＨｚ、出力６００Ｗの超音波洗浄機を用い
液温３０℃で３０分間超音波処理を行った。その後７０
０ｍｍＨｇで１時間真空脱泡処理を行った。処理後の記
録液の物性値を測定したところ粘度、表面張力は処理前
と同様であった。一方、平均粒径は６７ｎｍ、ゼーター
電位は−４３．８ｍＶであった。超音波処理、並びに真
空脱泡処理を行う事により顔料表面の吸着空気が脱離し
分散剤との相互作用が強くなる事により平均粒径が小さ
くなりゼーター電位の絶対値が増加した事を示唆するも
のである。

【００２３】上記処理後の記録液をインクカートリッジ
に充填し５℃、２５℃、３５℃にて環境連続印字試験を
行った。その結果、全ての温度下において良好な吐出特
性を示した。

【００２４】（比較例１）実施例１と同様に調製、精製
した記録液を用い、超音波処理や真空脱泡処理は行わず
に実施例１と同様の環境連続印字試験を行った。その結
果、どの温度下においてもドット抜け、着弾不良が発生
した。

【００２５】（比較例２）実施例１と同様に調製、精製
した記録液を用い、真空脱泡処理のみを施した記録液に
ついて実施例１と同様の環境連続印字試験を行った。そ
の結果、比較例１に比べ程度は向上するものの吐出不良
が発生し、特に高温下では比較例１と同様の印字品質で
あった。

【００２６】（比較例３）実施例１と同様に調製、精製
した記録液を用い、超音波処理のみを施した記録液をに
ついて実施例１と同様の環境連続印字試験を行った。そ
の結果、比較例１に比べ程度は向上するものの吐出不良
が発生し、特に高温下では比較例１と同様の印字品質で
あった。

【００２７】（実施例２）実施例１と同様に記録液を調
製、精製した後、記録液をガラス製容器に移し液温２５
℃で４０分間超音波処理を行った。その際、ガラス容器
に冷却管を取付け同時に５００ｍｍＨｇで真空脱泡処理
を行った。処理後の記録液の物性値、並びに環境連続印
字試験の結果は実施例１と同様であった。

【００２８】（実施例３）実施例１と同様に記録液を調
製、精製した後、記録液をガラス製容器に移し５００ｍ
ｍＨｇで真空脱泡処理を行った。その後液温２５℃で３
０分間超音波処理を行った。処理後の記録液の物性値、
並びに環境連続印字試験の結果は実施例１と同様であっ
た。

【００２９】（実施例４）実施例１と同様に調製、精
製、処理を施した記録液をインクカートリッジへ真空充
填し充填量のばらつきを検討した。３０個のインクカー
トリッジを用いた結果、図１に示すように１カートリッ
ジ当たりの平均充填量は３４．９ｇであり、充填量のば
らつきは０．６ｇと小さい事が明かとなった。

【００３０】（比較例４）比較例１と同様に調製、精製
を施した記録液をインクカートリッジへ真空充填し充填
量のばらつきを検討した。３０個のインクカートリッジ
を用いた結果、図２に示すように１カートリッジ当たり
の平均充填量は３２．０ｇであり、充填量のばらつきは
１．２ｇと実施例４に比べ充填量が少なく、またばらつ
きも大きい事が明かとなった。

【００３１】（実施例５）実施例１と同様に調製、精
製、処理を施した記録液をインクカートリッジへ真空充
填した。その後ヘッドジョイント部より記録液を一定流
量で吸引した際に生じるインクカートリッジ内の負圧の
測定を行った。３個のインクカートリッジを用い負圧測
定を行った結果、図３の実線に示すようにインク吸引量
に対する負圧変化量が小さく、また個々のばらつきも小
さい事が判った。

【００３２】（比較例５）比較例１と同様に調製、精製
を施した記録液をインクカートリッジへ真空充填した。
その後実施例５と同様にインクカートリッジ内の負圧の
測定を行った。３個のインクカートリッジを用い負圧測
定を行った結果、図３の波線に示すようにインク吸引量
に対する負圧変化量の個々のばらつきが大きい事が判っ
た。

【００３３】以上実施例、比較例を挙げて述べてきた
が、本発明の水性顔料系記録液の処理方法は記録液に用
いられる顔料、分散剤、水性液媒体の種類、濃度等によ
りなんら影響されるものではない。更に本発明の水性顔
料系記録液の処理方法の条件は用いる水性顔料系記録液
の種類により如何様にも条件を変えその効果を発現する
事が可能である。

【００３４】

【発明の効果】以上述べたように、本発明による水性顔
料系記録液の処理方法を用いる事により環境吐出特性が
向上し、ドット抜け、着弾位置のずれれ等の吐出不良を
大きく低減化する事が可能となる。

【００３５】更に本発明による水性顔料系記録液の処理
方法を用いる事によりヘッドに記録液を供給するインク
カートリッジに水性顔料系記録液を充填する際の充填量
のばらつきを大きく低減化する事が可能となる。

【００３６】また本発明による水性顔料系記録液の処理
方法を用いる事により、インクカートリッジからヘッド
への記録液供給性に大きく寄与するインクカートリッジ
内の負圧のばらつきを大きく低減化する事が可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例４で得られたインクカートリッ
ジへ真空充填した際の水性顔料系記録液の充填量のばら
つきの測定結果である。

【図２】比較例４で得られたインクカートリッジへ真空
充填した際の水性顔料系記録液の充填量のばらつきの測
定結果である。

【図３】本発明の実施例５と比較例５で示したインクカ
ートリッジ内の負圧の測定結果である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者千葉淳埼玉県所沢市大字下富字武野840番地シチズン時計株式会社技術研究所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】インクジェット記録に使用する記録液が
少なくとも分散剤、水性液媒体、顔料、水から構成され
る水性顔料系記録液においてかかる記録液を調製、精製
した後、超音波処理、並びに真空脱泡処理を行う事を特
徴とする記録液の処理方法。
【請求項２】インクジェット記録に使用する記録液が
少なくとも分散剤、水性液媒体、顔料、水から構成され
る水性顔料系記録液においてかかる記録液を調製、精製
した後、超音波処理と真空脱泡処理を同時に行う事を特
徴とする記録液の処理方法。
【請求項３】インクジェット記録に使用する記録液が
少なくとも分散剤、水性液媒体、顔料、水から構成され
る水性顔料系記録液においてかかる記録液を調製、精製
した後、超音波処理を施した後に真空脱泡処理を行う事
を特徴とする記録液の処理方法。
【請求項４】インクジェット記録に使用する記録液が
少なくとも分散剤、水性液媒体、顔料、水から構成され
る水性顔料系記録液においてかかる記録液を調製、精製
した後、真空脱泡処理を施した後に超音波処理を行う事
を特徴とする記録液の処理方法。
【請求項５】超音波の発振周波数範囲が２０ｋＨｚか
ら１００ｋＨｚで出力範囲が１００Ｗから６００Ｗであ
る事を特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載
の記録液の処理方法。