JPH09286760A - 防菌、防カビ剤 - Google Patents

防菌、防カビ剤

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JPH09286760A
JPH09286760A JP9662096A JP9662096A JPH09286760A JP H09286760 A JPH09286760 A JP H09286760A JP 9662096 A JP9662096 A JP 9662096A JP 9662096 A JP9662096 A JP 9662096A JP H09286760 A JPH09286760 A JP H09286760A
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JP
Japan
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salicylic acid
antibacterial
antifungal agent
diphenylbutyl
salt
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JP9662096A
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English (en)
Inventor
Yoshimitsu Tanabe
良満 田辺
丈太郎 ▲来▼田
Jotaro Kida
Kazuyoshi Yoshikawa
和良 吉川
Kiyoharu Hasegawa
清春 長谷川
Shunichi Inami
俊一 稲見
Hitoshi Shimotori
均 下鳥
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 一般式(1)で表されるサリチル酸誘導
体および該誘導体の塩から選ばれる少なくとも1種を有
効成分とする防菌、防カビ剤。 (式中、R〜Rは水素原子またはアルキル基を表
し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラ
ルキル基またはハロゲン原子を表し、XおよびX
水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原
子を表す) 【効果】 防菌、防カビ性に優れたサリチル酸系防菌、
防カビ剤を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は防菌、防カビ剤に関
する。さらに、該防菌、防カビ剤を用いて防菌、防カビ
性を付与する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、防菌、防カビ効果を有する機能性
基材の開発および利用が盛んに行われている。これらの
防菌、防カビ効果を有する機能性基材は、防菌、防カビ
効果を有する薬剤を該基材に含有し、新たな機能を付与
するものである。このような基材に使用する防菌、防カ
ビ剤には、安全性は勿論、防菌、防カビ効果が高く、且
つ、その効力が広い範囲のカビ、菌種に対して有効であ
る、などの特性が要求される。また、防菌、防カビ剤
が、基材の品質に悪影響を及ぼさないこと、さらには耐
久性(耐水性、耐熱性、耐光性など)、防菌、防カビ効
果の長期持続性などが要求されている。従来より、サリ
チル酸化合物は、優れた殺菌剤として知られている。例
えば、サリチル酸またはサリチル酸メチルは、塗布型の
薬剤として広く利用されている。しかし、例えば、サリ
チル酸は耐水性に問題があり、長期にわたる防菌、防カ
ビ効果が持続できないという難点がある。また、サリチ
ル酸メチルは揮発性であり、持続効果の点で問題があ
り、さらに特有の臭気があるという難点がある。
【0003】また、3,5−ビス(1’−トリル−1’
−メチルエチル)サリチル酸およびその塩(特開昭62
−153245号公報)、6−メチルサリチル酸誘導体
およびその多価金属塩(特開平2−85231号公報)
などのサリチル酸誘導体を抗菌剤として利用することが
提案されている。しかしながら、これらの抗菌剤の抗菌
効果は、実用上充分とは言い難いものである。このよう
な現状を背景に、現在では、防菌、防カビ性の効果に優
れ、しかもその効力が広い範囲のカビ、菌種に対して有
効な防菌、防カビ剤が要望されている。尚、本発明で用
い得るサリチル酸誘導体および該誘導体の塩に関して
は、幾つかの化合物が公知である〔例えば、特公昭60
−43317号公報、特開平2−91042号公報〕
が、これらの化合物の防菌、防カビ剤への適用性につい
ては、全く知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、防
菌、防カビ効果に優れ、しかも、その効力が広い範囲の
カビ、菌種に対して有効である防菌、防カビ剤を提供す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の要
望にこたえるべく、サリチル酸系の防菌、防カビ剤に関
し、鋭意検討した結果、ある種のサリチル酸誘導体また
はその塩が優れた性能を示すことを見出し、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明は、一般式(1)
(化2)で表されるサリチル酸誘導体および該誘導体の
塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分とする防菌、
防カビ剤に関するものである。また、基材に、該防菌、
防カビ剤を含有させて防菌、防カビ性を付与する方法に
関するものである。
【0006】
【化2】 (式中、R1 〜R5 は水素原子またはアルキル基を表
し、X1 は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラ
ルキル基またはハロゲン原子を表し、X2 およびX 3
水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原
子を表す)
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の防菌、防カビ剤に
関して、詳細に説明する。本発明の防菌、防カビ剤は、
前記一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体および該
誘導体の塩から選ばれる少なくとも1種を有効成分とし
て含有するものである。一般式(1)で表されるサリチ
ル酸誘導体において、R1 〜R5 は水素原子またはアル
キル基を表し、好ましくは、水素原子または炭素数1〜
4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、sec −ブチル基)であり、より好ましくは、水素原
子またはメチル基である。
【0008】一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体
において、X1 は水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、アラルキル基またはハロゲン原子を表し、好ましく
は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、イソブチル基、sec −ブチル基、tert−
ブチル基)、炭素数1〜4のアルコキシ基(例えば、メ
トキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポ
キシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基)、炭素数7
〜30のアラルキル基(例えば、ベンジル基、2−メチ
ルベンジル基、4−メチルベンジル基、4−クロロベン
ジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、α,α
−ジメチルベンジル基、1,3−ジフェニルブチル
基)、フッ素原子、塩素原子または臭素原子である。よ
り好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、
炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数7〜20のアラル
キル基、フッ素原子、塩素原子であり、特に好ましく
は、水素原子、メチル基またはα−メチルベンジル基で
ある。
【0009】一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体
において、X2 およびX3 は水素原子、アルキル基、ア
ルコキシ基またはハロゲン原子を表し、好ましくは、水
素原子、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基)、炭素数1
〜4のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ
基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキ
シ基、イソブトキシ基)、フッ素原子、塩素原子または
臭素原子である。より好ましくは、水素原子または炭素
数1〜4のアルキル基である。一般式(1)において、
1 の置換位置は、サリチル酸骨格において、3位、4
位、5位または6位であり、好ましくは、3位または5
位である。一般式(1)において、1,3−ジフェニル
プロピル誘導体基の置換位置は、サリチル酸骨格におい
て、3位、4位、5位または6位であり、好ましくは、
3位または5位である。
【0010】一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体
の具体例としては、例えば、3−(1’,3’−ジフェ
ニルブチル)サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(2”
−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,
3’−ジ(3”−メチルフェニル)ブチル〕サリチル
酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−メチルフェニル)ブ
チル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(2”−エチ
ルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−
ジ(4”−エチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−
〔1’,3’−ジ(4”−イソプロピルフェニル)ブチ
ル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−n−ブ
チルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’
−ジ(4”−tert−ブチルフェニル)ブチル〕サリチル
酸、3−〔1’,3’−ジ(3”−メトキシフェニル)
ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−メ
トキシフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,
3’−ジ(4”−エトキシフェニル)ブチル〕サリチル
酸、3−〔1’−(4”−メチルフェニル)−3’−フ
ェニルブチル〕サリチル酸、3−〔1’−フェニル−
3’−(4”−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、
3−〔1’−フェニル−3’−(4”−tert−ブチルフ
ェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ
(4”−フルオロフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−
〔1’,3’−ジ(2”−クロロフェニル)ブチル〕サ
リチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−クロロフェニ
ル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”
−ブロモフェニル)ブチル〕サリチル酸、
【0011】3−(1’,3’−ジメチル−1’,3’
−ジフェニルブチル)サリチル酸、4−メトキシ−3−
(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、4−エ
トキシ−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチ
ル酸、5−メチル−3−(1’,3’−ジフェニルブチ
ル)サリチル酸、5−tert−ブチル−3−(1’,3’
−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−メトキシ−3−
(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−n
−ブトキシ−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サ
リチル酸、5−フルオロ−3−(1’,3’−ジフェニ
ルブチル)サリチル酸、5−クロロ−3−(1’,3’
−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−ベンジル−3−
(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−
(4’−メチルベンジル)−3−(1’,3’−ジフェ
ニルブチル)サリチル酸、5−(4’−クロロベンジ
ル)−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル
酸、5−α−メチルベンジル−3−(1’,3’−ジフ
ェニルブチル)サリチル酸、5−(α,α−ジメチルベ
ンジル)−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリ
チル酸、5−(α,α−ジメチルベンジル)−3−
(1’,3’−ジメチル−1’,3’−ジフェニルブチ
ル)サリチル酸、6−エチル−3−(1’,3’−ジフ
ェニルブチル)サリチル酸、4−(1’,3’−ジフェ
ニルブチル)サリチル酸、4−〔1’,3’−ジ(4”
−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、4−〔1’,
3’−ジ(4”−クロロフェニル)ブチル〕サリチル
酸、
【0012】5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サ
リチル酸、5−〔1’,3’−ジ(2”−メチルフェニ
ル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(4”
−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,
3’−ジ(4”−エチルフェニル)ブチル〕サリチル
酸、5−〔1’,3’−ジ(3”−イソプロピルフェニ
ル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(4”
−sec −ブチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−
〔1’,3’−ジ(4”−tert−ブチルフェニル)ブチ
ル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(2”−メトキ
シフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−
ジ(4”−メトキシフェニル)ブチル〕サリチル酸、5
−〔1’,3’−ジ(4”−n−ブトキシフェニル)ブ
チル〕サリチル酸、5−〔1’−(4”−メチルフェニ
ル)−3’−フェニルブチル〕サリチル酸、5−〔1’
−フェニル−3’−(4”−メチルフェニル)ブチル〕
サリチル酸、5−〔1’−フェニル−3’−(4”−te
rt−ブチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−
〔1’,3’−ジ(4”−フルオロフェニル)ブチル〕
サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(3”−クロロフェ
ニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ
(4”−クロロフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−
(1’,3’−ジメチル−1’,3’−ジフェニルブチ
ル)サリチル酸、3−メチル−5−(1’,3’−ジフ
ェニルブチル)サリチル酸、3−メトキシ−5−
(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−ク
ロロ−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル
酸、
【0013】3−ベンジル−5−(1’,3’−ジフェ
ニルブチル)サリチル酸、3−(2’−メチルベンジ
ル)−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル
酸、3−(4’−メチルベンジル)−5−(1’,3’
−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−(4’−メトキ
シベンジル)−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)
サリチル酸、3−(2’−クロロベンジル)−5−
(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−
(4’−クロロベンジル)−5−(1’,3’−ジフェ
ニルブチル)サリチル酸、3−フェネチル−5−
(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−α
−メチルベンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブチ
ル)サリチル酸、3−(α,α−ジメチルベンジル)−
5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3
−(α,α−ジメチルベンジル)−5−(1’,3’−
ジメチル−1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル
酸、3,5−ジ(1’,3’−ジフェニルブチル)サリ
チル酸、3,5−ジ〔1’,3’−ジ(4”−メチルフ
ェニル)ブチル〕サリチル酸、3,5−ジ〔1’,3’
−ジ(4”−エチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、
3,5−ジ〔1’,3’−ジ(4”−tert−ブチルフェ
ニル)ブチル〕サリチル酸、3,5−ジ〔1’,3’−
ジ(4”−メトキシフェニル)ブチル〕サリチル酸、
3,5−ジ〔1’,3’−ジ(2”−フルオロフェニ
ル)ブチル〕サリチル酸、3,5−ジ〔1’,3’−ジ
(4”−クロロフェニル)ブチル〕サリチル酸、4−エ
チル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル
酸、4−クロロ−5−(1’,3’−ジフェニルブチ
ル)サリチル酸、4−フルオロ−5−(1’,3’−ジ
フェニルブチル)サリチル酸、4−メトキシ−5−
(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、4−エ
トキシ−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチ
ル酸、6−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル
酸などを挙げることができるが、勿論、本発明はこれら
に限定されるものではない。これらのサリチル酸誘導体
は、単独で使用してもよく、または複数併用してもよ
い。
【0014】一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体
の塩としては、特に限定するものではなく、該サリチル
酸誘導体と相互作用して、塩を形成しうる全ての塩を挙
げることができ、好ましくは、金属塩または有機塩であ
り、より好ましくは、金属塩であり、特に好ましくは、
1価、2価、3価および4価の金属塩である。塩の具体
例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウ
ム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ベリリウム、バ
リウム、ニッケル、スズ、銅、モリブデン、タングステ
ン、ジルコニウム、マンガン、コバルト、ガリウム、ゲ
ルマニウム、チタン、アルミニウム、鉄、金、銀、白
金、パラジウム等の金属塩;アンモニウム塩;メチルア
ミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、
ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリ
エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、エ
チレンジアミン、モルホリン、ピペリジン、アニリン、
N,N−ジメチルアニリン等の有機アミン塩を挙げるこ
とができ、好ましくは、亜鉛、マグネシウムまたは銀の
塩、アンモニウム塩であり、亜鉛、マグネシウムまたは
銀の塩はより好ましい。
【0015】一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体
の塩を防菌、防カビ剤として用いる場合、単独で使用し
てもよく、複数併用してもよい。さらには、異なる構造
のサリチル酸を複数用いて製造される塩〔例えば、3−
(1’,3’−ジフェニルブチル)−5−α−メチルベ
ンジルサリチル酸のアルカリ金属塩と3−α−メチルベ
ンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチ
ル酸のアルカリ金属塩の混合物と、硫酸亜鉛、硝酸銀と
作用させて調製されるサリチル酸誘導体の亜鉛塩、銀塩
(複合金属塩)〕も防菌、防カビ剤として用いることも
できる。勿論、一般式(1)で表されるサリチル酸誘導
体の1種以上と、一般式(1)で表されるサリチル酸誘
導体の塩の1種以上を併用して、防菌、防カビ剤を調製
することもできる。本発明に係る一般式(1)で表され
るサリチル酸誘導体および該誘導体の塩は、其自体公知
の方法(例えば、特公昭60−43317号公報、特開
平2−91042号公報に記載の方法)により製造する
ことができる。例えば、一般式(2)(化3)で表され
るフェノール誘導体と、塩基の存在下で、二酸化炭素を
反応(コルベ−シュミット反応)させて製造することが
できる。
【0016】
【化3】 (式中、R1 〜R5 およびX1 〜X3 は前記と同じ意味
を表す) また、例えば、一般式(3)(化4)で表されるサリチ
ル酸誘導体と、酸の存在下、一般式(4)(化4)また
は一般式(5)(化4)で表されるスチレン誘導体のダ
イマーを反応させることによっても製造することができ
る。
【0017】
【化4】 (式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基
を表し、R1 、R2 、R 4 およびX1 〜X3 は前記と同
じ意味を表し、R6 およびR7 は水素原子またはアルキ
ル基を表す)
【0018】なお、一般式(4)または一般式(5)で
表されるスチレン誘導体のダイマーは、スチレン誘導体
より公知の方法〔例えば、特開昭51−115449号
公報、J.Org.Chem.,18、1701(19
53)、J.Org.Chem.,19、17(195
3)、J.Amer.Chem.Soc.,74、48
48(1952)、J.Amer.Chem.So
c.,80、1761(1958)に記載の方法〕によ
り製造することができる。
【0019】一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体
の塩を製造する場合、例えば、該塩がアルカリ金属塩ま
たは有機塩の場合には、一般的な方法としては、該サリ
チル酸誘導体のカルボキシル基に対して、当量程度の水
酸化アルカリ金属化合物、炭酸アルカリ金属化合物、炭
酸水素アルカリ金属化合物(例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム)、アンモニア
あるいは有機アミン化合物(例えば、メチルアミン、エ
チルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメ
チルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、イ
ソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、2−ジ
メチルアミノエタノール、モルホリン)を水の存在下で
作用させることにより、該サリチル酸誘導体のアルカリ
金属塩、アンモニウム塩あるいはアミン塩を製造するこ
とができる。
【0020】また、一般式(1)で表されるサリチル酸
誘導体の塩において、例えば、該塩が1〜4価の金属塩
(但し、アルカリ金属塩以外)の場合には、一般的な方
法としては、例えば、該サリチル酸誘導体のアルカリ金
属塩またはアンモニウム塩1当量に対し、0.8〜1.
5当量、好ましくは、1.0〜1.2当量の対応する1
〜4価の金属化合物を、水の存在下で作用させることに
より、該サリチル酸誘導体の金属塩を製造することがで
きる。尚、この場合の当量とは、例えば、一般式(1)
で表されるサリチル酸誘導体のアルカリ金属塩またはア
ンモニウム塩1モルに対し、例えば、2価の金属化合物
(例えば、硫酸亜鉛)の場合には、0.5モルの2価の
金属化合物が1当量に相当するものである。この際、所
望に応じて加熱を行ったり、あるいは有機溶媒を共存さ
せてもよい。
【0021】上記の金属化合物としては、例えば、硫酸
亜鉛、硫酸銀、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫
酸アルミニウム等の硫酸塩;塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化
銀、ヨウ化銀、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩
化バリウム、塩化ニッケル、塩化コバルト、塩化アルミ
ニウム等のハロゲン化物;酢酸亜鉛、酢酸マンガン等の
酢酸塩;硝酸亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸アルミニウ
ム、硝酸コバルト、硝酸銅、硝酸ニッケル、硝酸銀等の
硝酸塩が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。上述のようにして製造される一般式(1)で表され
るサリチル酸誘導体または該誘導体の塩は、製造条件、
サリチル酸誘導体の種類あるいは塩の種類などによって
は、時として水和物等の溶媒和物を形成することがある
が、勿論、該溶媒和物も本発明の防菌、防カビ剤の有効
成分として好適に使用することができる。
【0022】本発明の一般式(1)で表されるサリチル
酸誘導体または該誘導体の塩を有効成分とする防菌、防
カビ剤の形態は、本発明の所望の効果を損なわない限
り、特に限定するものではなく、ニートの状態(液体ま
たは固体状態、ペレット状態)で使用してもよく、さら
には各種の溶媒に溶解させて液体状態で用いてもよい。
また、一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体または
該誘導体の塩を、界面活性剤、乳化剤等を用いて、水ま
たは有機溶媒の存在下で乳化し、分散状態の防菌、防カ
ビ剤とすることもできる。さらには、一般式(1)で表
されるサリチル酸誘導体または該誘導体の塩を、例え
ば、アルミナ、シリカ、ゼオライトなどの無機化合物に
担持させた形態の防菌、防カビ剤とすることもできる。
これらの各種形態の防菌、防カビ剤において、一般式
(1)で表されるサリチル酸誘導体または該誘導体の塩
の含有量は、特に限定するものではないが、通常、1p
pm(重量比)以上あればよく、好ましくは10ppm
以上、より好ましくは100ppm以上、特に好ましく
は1000ppm以上である。
【0023】本発明で用い得る溶媒の具体例としては、
例えば、水を例示することができ、さらには、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチル
ナフタレン、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキ
サン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホル
ム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロ
エタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ジク
ロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素
系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;メタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペン
タノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、
トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリ
セロール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、酢酸アミル等のエステル系溶媒;ジエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、アニソール、ジフェニル
エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;N,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2
−ピロリドン、N,N’−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノン等の含窒素非プロトン性極性溶媒;ジメチルスルフ
ォキシド、ジメチルスルフォン、スルフォラン等の含硫
黄非プロトン性極性溶媒等の非プロトン性極性溶媒など
の有機溶媒、さらには、流動パラフィン、スピンドル
油、軽油、灯油、マシン油、潤滑油などの鉱物油、オリ
ーブ油、ナタネ油、ヒマシ油、大豆油などの植物油など
が挙げられる。必要に応じて、これらの溶媒は複数併用
してもよく、勿論、例えば、水と有機溶媒を併用しても
よい。
【0024】本発明の防菌、防カビ剤には、さらに必要
に応じて、バインダー、界面活性剤、紫外線吸収剤、紫
外線安定剤、充填剤、顔料、滑剤(ワックス)、可塑
剤、香料、色素、酸化防止剤などを任意の割合で、例え
ば、混合法、溶融混合法、分散法などにより添加、配合
することができる。バインダーとしては、例えば、ポリ
ビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコー
ル、スルフォン化変性ポリビニルアルコール、アルキル
変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール
誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロースなどのセルロース誘導体;エピクロルヒドリ
ン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合
体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン
−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアク
リルアミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デン
プン、デンプン誘導体(例えば、酸化デンプン、エーテ
ル化デンプン)、カゼイン、ゼラチン、アラビアゴム、
スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリ
ル−ブタジエンラテックス、アクリル酸メチル−ブタジ
エンラテックス、酢酸ビニルエマルジョンなどの水溶
性、不水溶性のバインダーが挙げられる。
【0025】界面活性剤としては、例えば、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエー
テル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレ
ンアルキルエーテル、アルキロールアミドなどの非イオ
ン系界面活性剤;アルキル硫酸エステルの塩、アルキル
スルホン酸の塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジア
ルキルスルフォコハク酸の塩、ポリオキシエチレンアル
キルアリールエーテルリン酸エステルの塩、ナフタレン
スルホン酸ホルマリン縮合物のアニオン系界面活性剤が
挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、桂皮酸誘
導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェ
ノール誘導体、シアノアクリレート誘導体、サリチル酸
誘導体などが挙げられる。紫外線安定剤としては、例え
ば、ヒンダードアミン誘導体などが挙げられる。
【0026】顔料および充填剤としては、例えば、炭酸
カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜
鉛、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、タ
ルク、ロウ石、カオリン、クレイ、ケイソウ土、シリ
カ、カーボンブラックなどの無機顔料、無機充填剤;ス
テレンマイクロボール、ナイロン粒子、尿素−ホルマリ
ン充填剤、ポリエチレン粒子、セルロース充填剤、デン
プン粒子などの有機顔料、有機充填剤が挙げられる。
【0027】滑剤(ワックス)としては、例えば、パラ
フィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カル
ボキシ変性パラフィンワックス、カルナウバワックス、
ポリエチレンワックス、ポリスチレンワックス、キャン
デリアワックス、モンタンワックス、高級脂肪酸エステ
ル、シリコーン油などが挙げられる。可塑剤としては、
例えば、ジオクチルフタレート、ブチルベンジルフタレ
ート、トリブチルフタレート、アジピン酸ジオクチルエ
ステル、セバシン酸ジブチルエステル、クエン酸アセチ
ルトリブチルなどのエステル系可塑剤、ポリエステル系
可塑剤、エポキシ系可塑剤などが挙げられる。
【0028】本発明の防菌、防カビ剤は、一般式(1)
で表されるサリチル酸誘導体および該誘導体の金属塩か
ら選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有するこ
とを特徴とするものであるが、本発明の所望の効果を損
なわない範囲で、さらに、他の防菌、防カビ効果を有す
る薬剤を併用することも可能である。この場合、全防
菌、防カビ薬剤中に占める一般式(1)で表されるサリ
チル酸誘導体または該誘導体の塩の割合は、とくに限定
するものではないが、通常、20重量%以上、好ましく
は、40重量%以上、より好ましくは、50重量%以上
に調製するのが望ましい。
【0029】本発明で使用し得る一般式(1)で表され
るサリチル酸誘導体または該誘導体の金属塩以外の防
菌、防カビ効果を有する薬剤としては、例えば、2−
(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、2−(4−
チアゾリル)−5’−メチルベンズイミダゾール、2−
(5−メチル−4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、
2−(5−イソプロピル−4−チアゾリル)ベンズイミ
ダゾール、2−(5−エチル−4−チアゾリル)−5’
−ブチルベンズイミダゾール、2−(4−チアゾリル)
−6’−メチルベンズイミダゾールなどのベンズイミダ
ゾール誘導体;1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オ
ン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
等のチアゾール系誘導体;3−ヨード−2−プロパルギ
ルブチルカルバミン酸、4−クロロフェニル−3−ヨー
ドプロパルギルホルマール等のヨード系誘導体;2,
3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等のニト
リル系誘導体;p−クロロ−m−クレゾール等のフェノ
ール誘導体;N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタ
ルイミド、N,N−ジメチル−N’−(ジクロロフルオ
ロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミド等のハロ
アルキルチオ系誘導体;2−ピリジンチオール−1−オ
キシド亜鉛、2−ピリジンチオール−1−オキシドナト
リウム等のピリジン系誘導体;ヘキサヒドロ−1,3,
5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン
等のトリアジン系誘導体;塩化ベンゼトニウム等の4級
アンモニウム塩系誘導体;安息香酸、安息香酸メチル、
安息香酸エチル、安息香酸ブチル等の安息香酸誘導体等
が挙げられる。
【0030】次に、本発明の防菌、防カビ剤を、基材に
含有させて基材に防菌、防カビ性を付与する方法につい
て説明する。基材としては、特に限定するものではな
く、工業用、民生用を含めて種々の基材を挙げることが
でき、例えば、樹脂(例えば、プラスチック)、ゴム、
接着剤、糊、塗料、印刷インク、繊維、不織布、木材、
建材、紙、合成紙、皮革、シーラント材(例えば、コン
クリート)、およびこれらの複合物、さらには食品(例
えば、果実、穀物)等が挙げられる。本発明の防菌、防
カビ性を付与する方法において、本発明の防菌、防カビ
剤の使用量は、特に限定するものではなく、基材の種類
あるいは用途により任意の割合で使用することができる
が、通常、基材の重量に対して、0.001〜10重量
%程度、より好ましくは、0.01〜5重量%程度使用
するのが望ましい。本発明の防菌、防カビ剤を、基材に
含有させる方法としては、特に限定するものではない
が、例えば、混合法、溶融混合法、含浸法、噴霧法、分
散混合法など種々の方法を適用することができる。
【0031】樹脂(プラスチック)としては、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、AB
S樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミ
ド、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリカーボネー
ト、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、フェノ
ール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエス
テル、エポキシ樹脂、レーヨン、アセテート、塩素化ポ
リエチレン、ポリウレタンエラストマー、ポリエステル
エラストマー、天然ゴム、合成ゴム等の天然樹脂、半合
成樹脂および合成樹脂などが挙げられる。これらの樹脂
に、防菌、防カビ性を付与する方法としては、例えば、
樹脂に直接、本発明の防菌、防カビ剤を溶融混合または
分散混合する方法、もしくは、本発明の防菌、防カビ剤
を、予め高濃度に溶融混合または分散混合して調製され
るマスターバッチを同一の樹脂、あるいは他の樹脂で希
釈する方法、を挙げることができる。なお、樹脂が液状
ないし溶液状態の場合には、本発明の防菌、防カビ剤を
溶解または分散混合させることにより防菌、防カビ性を
付与することができる。
【0032】接着剤としては、例えば、ユリア樹脂系接
着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着
剤、α−オレフィン樹脂系接着剤、エチレン共重合樹脂
系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、アクリルエマルジョ
ン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタ
ン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、SBR(スチレン
・ブタジエンラバー)系接着剤、レゾルシン系接着剤、
セルロース系接着剤、天然ゴム系接着剤などが挙げられ
る。これらの接着剤に、防菌、防カビ性を付与する方法
としては、例えば、接着剤に直接、本発明の防菌、防カ
ビ剤を溶融混合または分散混合する方法を挙げることが
できる。
【0033】塗料としては、例えば、ボイル油、油ワニ
ス、精ワニス、堅練ペイント、種ペイント、調合ペイン
ト、油性エナメル、アルミニウムペイント、油性下地塗
料などの油性塗料、例えば、ニトロセルロースラッカ
ー、アクリルラッカー、アセチルセルロースラッカー、
ラッカー下地塗料などの繊維素誘導体塗料;フェノール
樹脂塗料、アルキド樹脂塗料、アミノアルキド塗料、ビ
ニル樹脂塗料、塩化ゴム塗料、エポキシ樹脂塗料、アク
リル樹脂塗料、不飽和ポリエステル樹脂塗料、ポリウレ
タン樹脂塗料、ケイ素樹脂塗料などの合成樹脂塗料;さ
らには、フッ素樹脂塗料、酒精塗料、シンナー、特殊塗
料(例えば、船底塗料、電気絶縁塗料、導電性塗料、防
火塗料など)などが挙げられる。これらの塗料に、防
菌、防カビ性を付与する方法としては、例えば、塗料に
直接、本発明の防菌、防カビ剤を溶融混合または分散混
合する方法を挙げることができる。
【0034】印刷インクとしては、例えば、平版イン
ク、輪転インク、ゴム版インク、グラビアインク、さら
にはスクリーンインク、磁性インク、カーボンインク、
紫外線硬化型インクなどの各種印刷インクなどが挙げら
れる。これらの印刷インクに、防菌、防カビ性を付与す
る方法としては、例えば、印刷インクに直接、本発明の
防菌、防カビ剤を溶融混合または分散混合する方法を挙
げることができる。
【0035】繊維に防菌、防カビ性を付与する方法とし
ては、例えば、本発明の防菌、防カビ剤を、紡糸段階で
繊維に混合する方法、あるいは、繊維加工後に、繊維に
付着させる方法などを挙げることができる。尚、繊維加
工後に付着させる方法においては、通常は、本発明の防
菌、防カビ剤をバインダーを介して繊維に付着させる
が、必要に応じて、溶媒、親和促進剤などの存在下で処
理することにより防菌、防カビ性を付与させることがで
きる。不織布に防菌、防カビ性を付与する方法として
は、例えば、本発明の防菌、防カビ剤を、不織布の原料
繊維を紡糸する段階で混合する方法、あるいは、加工後
に、不織布に付着させる方法などを挙げることができ
る。尚、加工後に付着させる方法においては、通常は、
本発明の防菌、防カビ剤をバインダーを介して不織布に
付着させるが、必要に応じて、溶媒、親和促進剤などの
存在下で処理することにより防菌、防カビ性を付与させ
ることができる。
【0036】皮革に防菌、防カビ性を付与する方法とし
ては、例えば、天然皮革(例えば、牛、馬、豚、羊、
鰐、トカゲ、蛇、鮫などの動物性皮革)の場合には、例
えば、本発明の防菌、防カビ剤を、バインダーを用いて
皮革の表面に付着させることができる。また、人造皮革
(例えば、ビニルレザー、合成皮革、人工皮革)の場合
には、繊維基材を構成する繊維を製造する際に、本発明
の防菌、防カビ剤を、混合したり、表面層を形成するた
めの樹脂エマルジョンまたは樹脂溶液中に分散し、この
分散液を繊維基材に塗布または含浸する方法等により、
防菌、防カビ性を付与させることができる。
【0037】紙に防菌、防カビ性を付与する方法として
は、特に制限はないが、例えば、抄紙工程において本発
明の防菌、防カビ剤を含有させる方法、あるいはバイン
ダーと共に本発明の防菌、防カビ剤を含有する液体、あ
るいは分散液を、紙に、例えば、塗布、噴霧する方法な
どを挙げることができる。シーリング材としては、無機
系材料(セメント)、有機系材料(合成樹脂エマルジョ
ン、反応硬化形成樹脂)またはこれらの複合材料がある
が、これらの各種のシーリング材に防菌、防カビ性を付
与する方法としては、特に限定するものではないが、使
用するシーリング材の特性に合わせて、適当な温度およ
び圧力下で本発明の防菌、防カビ剤を、シーリング材に
混合、混入する方法を挙げることができる。勿論、各種
の基材は、さらに必要に応じて、バインダー、界面活性
剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、充填剤、顔料、滑剤
(ワックス)、可塑剤、香料、色素、酸化防止剤、帯電
防止剤、難燃剤、各種の安定剤などを任意の割合で含有
していてもよい。
【0038】これらの方法で防菌、防カビ性を付与され
た各種の基材は、各種の分野で利用できる。例えば、壁
紙、バスタブシーラント、シャワーホース、コンクリー
ト、タイル目地材、洗濯機、冷蔵庫、台所・風呂場用雑
貨、カーペット、床材、合成皮革、筆記具、電話機、ス
リッパ、防水シート、コーティング材、漁網、船等の用
途において利用される。
【0039】本発明の一般式(1)で表されるサリチル
酸誘導体および該誘導体の塩から選ばれる少なくとも1
種を有効成分とする防菌、防カビ剤は、例えば、以下に
示すような糸状菌、細菌に有効である。例えば、黒カビ
(Aspergillus niger)、青カビ(Penicillium citrinu
m)、枯草(Bacillus sutilis) 、緑膿菌(Pseudomonas a
eraginosa)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae )、
大腸菌(Escherchia coli )、サルモネラ菌(Salmonel
la typhimurium )、腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaem
olyticus )、白癬菌(Trichohyton mentagrophytes)
、メシチリン耐性黄色ブドウ状球菌(MRSA)、黄
色ブドウ状球菌(Stapylococus aureus )等が挙げられ
る。この他、クラドスポリウム(Cladosporium)属、ア
ルタナリア(Alternaria )属、ペニシリウム( Penic
illiam)属、オーレオバシジウム(Auoreobasidium)
属、アスペルギルス(Aspergillus )属のカビ菌に有効
である。
【0040】
【実施例】以下、製造例および実施例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。 製造例1 4−α−メチルベンジルフェノール19.8gとメタン
スルホン酸2gの混合物を100℃に加熱した後、同温
度で1,3−ジフェニル−1−ブテン23gを滴下し、
滴下終了後、さらに1時間反応した。反応液にトルエン
を加えた後、水、炭酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液
で有機層を洗浄し、メタンスルホン酸と4−α−メチル
ベンジルフェノールを除去した。有機層に共沸脱水下、
水酸化ナトリウム水溶液を滴下しナトリウムフェノキシ
ドを含むトルエン溶液を得た。この溶液をオートクレブ
に仕込み130℃、10気圧で炭酸ガスを吹き込み5時
間反応した。反応終了後、55℃に冷却し、水200g
を加え水層を分取し、さらに水層をトルエンで2回洗浄
し未反応フェノールを除去した。水層を希塩酸で酸性と
し、エーテルを加え有機物を抽出した後、エーテルを留
去して3−(1’,3’−ジフェニルブチル)−5−α
−メチルベンジルサリチル酸41gを得た。得られた3
−(1’,3’−ジフェニルブチル)─5─α─メチル
ベンジルサリチル酸22gを、2gの水酸化ナトリウム
を含む水溶液(220ml)に、25℃で溶解した。該
水溶液に攪拌下、7.1gの硫酸亜鉛7水和物を含む水
溶液(50ml)を、30分を要して25℃で滴下し
た。さらに、30分間、25℃で攪拌後、析出物を濾過
し、水洗した後、50〜60℃で真空乾燥し、無色粉末
状の3−(1’,3’−ジフェニルブチル)−5−α−
メチルベンジルサリチル酸の亜鉛塩24.2gを製造し
た。
【0041】製造例2 2−α−メチルベンジルフェノールを用いた以外、製造
例1と同様な操作により、3−α−メチルンベンジル−
5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸を製
造し、その後、製造例1に記載した方法に従い、3−α
−メチルンベンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブ
チル)サリチル酸の亜鉛塩を製造した。
【0042】製造例3 フェノールとα−メチルスチレンを用いた以外、製造例
1と同様な操作により、5−(1’,3’−ジメチル−
1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸を製造し、
その後、製造例1に記載した方法に従い5−(1’,
3’−ジメチル−1’,3’−ジフェニルブチル)サリ
チル酸の亜鉛塩を製造した。
【0043】製造例4 フェノールとスチレンを用いた以外、製造例1と同様な
操作により、3−(1’,3’−ジフェニルブチル)−
5−α−メチルベンジルサリチル酸と3−α−メチルベ
ンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチ
ル酸の混合物(6:4モル比)製造し、得られた混合物
22gを、2gの水酸化ナトリウムを含む水溶液(22
0ml)に、25℃で溶解した。該水溶液に攪拌下、1
規定の硝酸銀水溶液(50ml)を、30分を要して2
5℃で滴下した。さらに、30分間、25℃で攪拌後、
析出物を濾過し、水洗し、乾燥した。さらに、該銀塩
を、25℃でアセトン250mlに溶解後、不溶物を濾
別し、濾液よりアセトンを留去して、3−(1’,3’
−ジフェニルブチル)−5−α−メチルベンジルサリチ
ル酸と3−α−メチルベンジル−5−(1’,3’−ジ
フェニルブチル)サリチル酸の混合物(6:4モル比)
の銀塩25.1gを製造した。銀含有率は19.2重量
%であった。
【0044】製造例5 サリチル酸メチル15.2gとメタンスルホン酸4gの
混合物に、30〜40℃で、1.3−ジフェニル−1−
ブテン20.8gを滴下し、滴下終了後、さらに4時間
反応した。反応液にトルエンを加えた後、水、炭酸水、
水酸化ナトリウム水溶液で有機層を洗浄し、水層を除去
した。その後有機層より溶媒を留去し、水70gを装入
して、98〜100℃に加熱した後、40%の水酸化ナ
トリウム水溶液10gを1時間かけて滴下し、滴下終了
後2時間反応して加水分解を行った。次いで、反応液に
トルエンを加えた後、希硫酸により中和して、加熱し、
溶解させ水層を除去した後、有機層より溶媒を留去して
5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸の粗
生成物を得た。その後、粗生成物をトルエンとn−ヘキ
サンの混合溶媒により再結晶精製して5−(1’,3’
−ジフェニルブチル)サリチル酸の精生成物(融点16
5℃)24gを得た。その後、製造例1に記載した方法
に従い、5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチ
ル酸の亜鉛を製造した。
【0045】実施例1〜8 各種のサリチル酸誘導体および該誘導体の塩を用いて、
下記の方法で試験を行った。なお、実施例で使用したサ
リチル酸誘導体を、第1表(表1、表2)に示した。ま
た、試験結果を、第2表(表3)、第3表(表4)に示
した。 (試験方法)実施例1〜7および比較例1は、試料濃度
2重量%のアセトン溶液を用いて、寒天培地における濃
度が1000ppmの検体を作製した。実施例8では、
試料濃度2重量%の精製水/アセトン(混合比60/4
0重量%)の混合溶液を用いて、寒天培地における濃度
が1000ppmの検体を作製した。また、比較例2
は、試料濃度ゼロの寒天培地で試験した。糸状菌の場合
は、上記検体により菌叢盤(disk) 接種法により、24
℃で5日間培養した後、菌糸伸長阻害率を求めた。細菌
の場合は、スラントに生やした細菌を5mlの滅菌水で
希釈し、この細菌懸濁液を用いて、画線法により、30
℃で24時間培養した後、生育阻害を観察した。尚、試
験に使用した、糸状菌および細菌は、以下に示したもの
を使用した。 (供試糸状菌) (供試細菌) Cladosporium herbarum(CH) Pseudomonas aeraginosa(PA) Aspergillus niger (AN) Escherchia coli (EC) Penicillium citrinum (PC) Proteus vulgaris(PV) Alternaria mail (AM) Proteus mirabilis (PM) Fusarium oxysporum (FO) Stapylococcus aureus (SA) Trichoderma sp (TS) Bacillus cereus(BC)
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】 第2表中の数値は、コロニー長(半径、単位はmm)を
示し、( )の数値は阻害率(%)を示す。
【0049】
【表4】 第3表中の+++、++、+、−は、細菌生育阻害状態
を表す。+++は生育阻害なし、++はやや生育阻害あ
り、+は殆ど生育してない、−は全く生育してないこと
を示す。第2表および第3表の試験結果から、一般式
(1)で表されるサリチル酸誘導体および該誘導体の塩
は糸状菌および細菌に対して、高い成育阻害効果を有し
ていることが判明した。
【0050】
【発明の効果】本発明により、防菌、防カビ効果に優
れ、且つ、広い範囲のカビ、菌種に対して有効である防
菌、防カビ剤を提供することが可能になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 清春 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 稲見 俊一 千葉県茂原市東郷1144番地 三井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 下鳥 均 千葉県茂原市東郷1144番地 三井東圧化学 株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)(化1)で表されるサリチ
    ル酸誘導体および該誘導体の塩から選ばれる少なくとも
    1種を有効成分とする防菌、防カビ剤。 【化1】 (式中、R1 〜R5 は水素原子またはアルキル基を表
    し、X1 は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラ
    ルキル基またはハロゲン原子を表し、X2 およびX 3
    水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原
    子を表す)
  2. 【請求項2】 サリチル酸誘導体の塩が金属塩である請
    求項1記載の防菌、防カビ剤。
  3. 【請求項3】 サリチル酸誘導体の塩がアンモニウム塩
    である請求項1記載の防菌、防カビ剤。
  4. 【請求項4】 サリチル酸誘導体の塩がアミン塩である
    請求項1記載の防菌、防カビ剤。
  5. 【請求項5】 基材に対して、請求項1〜4のいずれか
    に記載の防菌、防カビ剤を含有させて防菌、防カビ性を
    付与する方法。
JP9662096A 1996-04-18 1996-04-18 防菌、防カビ剤 Pending JPH09286760A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001007217A1 (de) * 1999-07-28 2001-02-01 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Holzschutzmittel sowie ein verfahren zum schutz von holz mit diesem mittel

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WO2001007217A1 (de) * 1999-07-28 2001-02-01 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Holzschutzmittel sowie ein verfahren zum schutz von holz mit diesem mittel

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