JPH09283326A - 超電導コイルとその製法及び製造装置 - Google Patents
超電導コイルとその製法及び製造装置Info
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- JPH09283326A JPH09283326A JP8978196A JP8978196A JPH09283326A JP H09283326 A JPH09283326 A JP H09283326A JP 8978196 A JP8978196 A JP 8978196A JP 8978196 A JP8978196 A JP 8978196A JP H09283326 A JPH09283326 A JP H09283326A
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- superconducting
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- resin liquid
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 クエンチの発生の虞がない超電導コイルとそ
の製法を提供すること。 【解決手段】 孔を設けた巻胴の外側に超電導線を巻回
して超電導線の巻線部を形成し、次いで前記孔を介し
て、巻線部の外部側から前記孔の方向に樹脂液を吸引含
浸して、超電導線の周囲に樹脂液を含浸した後、樹脂液
を硬化することを特徴とする超電導コイルの製法、該製
法で製造した超電導コイル及びその製造装置。該製造装
置は、巻胴に設けた孔を吸引して、巻線部の外部側から
該孔の方向に樹脂液を吸引して超電導線の周囲に樹脂液
を含浸する吸引管等を備えている。
の製法を提供すること。 【解決手段】 孔を設けた巻胴の外側に超電導線を巻回
して超電導線の巻線部を形成し、次いで前記孔を介し
て、巻線部の外部側から前記孔の方向に樹脂液を吸引含
浸して、超電導線の周囲に樹脂液を含浸した後、樹脂液
を硬化することを特徴とする超電導コイルの製法、該製
法で製造した超電導コイル及びその製造装置。該製造装
置は、巻胴に設けた孔を吸引して、巻線部の外部側から
該孔の方向に樹脂液を吸引して超電導線の周囲に樹脂液
を含浸する吸引管等を備えている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、MRI(磁気イメ
ージング装置)、粒子加速器等のマグネット用コイル等
に使用可能な超電導コイルに関する。
ージング装置)、粒子加速器等のマグネット用コイル等
に使用可能な超電導コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】コイル巻枠に超電導線を巻回した超電導
コイルの超電導状態が破れる現象であるクエンチは、通
電中における、超電導線の機械的な動き等によって生じ
る。そのため、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂を超電導線
の周りに充填することにより超電導線を固定することが
行われている。その固定手段の一つの例として、エポキ
シ樹脂液等の樹脂液を超電導コイルに含浸することが行
われている。則ち、樹脂未充填の超電導コイルを、エポ
キシ樹脂液を収容した含浸槽に浸漬し、次いで含浸槽の
雰囲気を減圧し加圧することによって超電導線の巻線部
の内部まで樹脂液を含浸し、該樹脂液が増粘して寒天状
の半ゲル状になったところで、超電導コイルを含浸槽か
ら取り出した後、巻線部の外周部に付着した余分な樹脂
液を除去してコイルの形を整え、更に巻線部に含浸した
樹脂液を硬化することによって、硬化性樹脂が超電導線
の周りに充填された超電導コイルを製造する方法であ
る。
コイルの超電導状態が破れる現象であるクエンチは、通
電中における、超電導線の機械的な動き等によって生じ
る。そのため、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂を超電導線
の周りに充填することにより超電導線を固定することが
行われている。その固定手段の一つの例として、エポキ
シ樹脂液等の樹脂液を超電導コイルに含浸することが行
われている。則ち、樹脂未充填の超電導コイルを、エポ
キシ樹脂液を収容した含浸槽に浸漬し、次いで含浸槽の
雰囲気を減圧し加圧することによって超電導線の巻線部
の内部まで樹脂液を含浸し、該樹脂液が増粘して寒天状
の半ゲル状になったところで、超電導コイルを含浸槽か
ら取り出した後、巻線部の外周部に付着した余分な樹脂
液を除去してコイルの形を整え、更に巻線部に含浸した
樹脂液を硬化することによって、硬化性樹脂が超電導線
の周りに充填された超電導コイルを製造する方法であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、巻線部
の最内部まで完全に樹脂液を含浸することは、従来容易
ではなかった。樹脂液の含浸は超電導コイルの巻枠の表
面性、巻線部のボイド率、絶縁材の種類、真空度及び温
度等の要因により変動するためである。また、樹脂液の
液量及び温度等の要因により樹脂液のゲル化時間が変動
することも、樹脂液の完全な含浸を困難にしている。一
方、硬化性樹脂の未充填部が、超導電線と硬化性樹脂と
からなるコイル部に存在すると、超電導線の機械的な動
きによってクエンチが発生する虞がある。
の最内部まで完全に樹脂液を含浸することは、従来容易
ではなかった。樹脂液の含浸は超電導コイルの巻枠の表
面性、巻線部のボイド率、絶縁材の種類、真空度及び温
度等の要因により変動するためである。また、樹脂液の
液量及び温度等の要因により樹脂液のゲル化時間が変動
することも、樹脂液の完全な含浸を困難にしている。一
方、硬化性樹脂の未充填部が、超導電線と硬化性樹脂と
からなるコイル部に存在すると、超電導線の機械的な動
きによってクエンチが発生する虞がある。
【0004】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、コイル部の最内部まで樹脂液を確実に含浸すること
によって、硬化性樹脂が超電導線の周りに完全に充填さ
れた、クエンチの発生の虞がない超電導コイルとそれを
容易に製造できる製法とを提供することを目的とする。
で、コイル部の最内部まで樹脂液を確実に含浸すること
によって、硬化性樹脂が超電導線の周りに完全に充填さ
れた、クエンチの発生の虞がない超電導コイルとそれを
容易に製造できる製法とを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の、超電導コイル
は、巻胴に超電導線が卷かれ、該超電導線の周りに硬化
性樹脂を充填した超電導コイルであって、該超電導コイ
ルは、巻胴の外側に巻回した超電導線と、該超電導線の
周りに充填せしめた硬化性樹脂よりなる樹脂充填部とか
らなるコイル部を有するとともに、前記樹脂充填部は、
巻胴に設けた孔を介してコイル部の外部側から超電導線
の周囲に吸引含浸、硬化されたものであることを特徴と
する。
は、巻胴に超電導線が卷かれ、該超電導線の周りに硬化
性樹脂を充填した超電導コイルであって、該超電導コイ
ルは、巻胴の外側に巻回した超電導線と、該超電導線の
周りに充填せしめた硬化性樹脂よりなる樹脂充填部とか
らなるコイル部を有するとともに、前記樹脂充填部は、
巻胴に設けた孔を介してコイル部の外部側から超電導線
の周囲に吸引含浸、硬化されたものであることを特徴と
する。
【0006】また、本発明の超電導コイルの製法は、巻
胴に超電導線が巻かれ、該超電導線の周りに硬化性樹脂
を充填した超電導コイルの製法であって、巻胴の外側に
超電導線を巻回して超電導線の巻線部を形成し、次いで
巻胴に設けた孔を介して、前記巻線部の外部側から巻胴
に設けた孔の方向に樹脂液を吸引含浸して、超電導線の
周囲に樹脂液を含浸した後、該樹脂液を硬化することを
特徴とする。本発明の超電導コイルの製造装置は、巻胴
に超電導線が巻かれ、該超電導線の周りに硬化性樹脂を
充填した超電導コイルを製造するための製造装置であっ
て、樹脂液と超電導コイルとを収容する含浸槽の雰囲気
を加圧減圧できる脱気室と、超電導コイルを収容し超電
導線の周りに樹脂液を含浸するための含浸槽と、該含浸
槽内に配置され、巻胴に設けた孔を吸引して、超電導線
の巻線部の外部側から該孔の方向に樹脂液を吸引して超
電導線の周囲に樹脂液を含浸するための吸引管と、該吸
引管内を減圧にするための減圧装置とを備えていること
を特徴とする。
胴に超電導線が巻かれ、該超電導線の周りに硬化性樹脂
を充填した超電導コイルの製法であって、巻胴の外側に
超電導線を巻回して超電導線の巻線部を形成し、次いで
巻胴に設けた孔を介して、前記巻線部の外部側から巻胴
に設けた孔の方向に樹脂液を吸引含浸して、超電導線の
周囲に樹脂液を含浸した後、該樹脂液を硬化することを
特徴とする。本発明の超電導コイルの製造装置は、巻胴
に超電導線が巻かれ、該超電導線の周りに硬化性樹脂を
充填した超電導コイルを製造するための製造装置であっ
て、樹脂液と超電導コイルとを収容する含浸槽の雰囲気
を加圧減圧できる脱気室と、超電導コイルを収容し超電
導線の周りに樹脂液を含浸するための含浸槽と、該含浸
槽内に配置され、巻胴に設けた孔を吸引して、超電導線
の巻線部の外部側から該孔の方向に樹脂液を吸引して超
電導線の周囲に樹脂液を含浸するための吸引管と、該吸
引管内を減圧にするための減圧装置とを備えていること
を特徴とする。
【0007】
【作用】孔を有する巻胴の外周面に巻かれた超電導線の
周りに、硬化性樹脂が完全に充填されていて、硬化性樹
脂で周りを埋められていない超電導線は存在しないの
で、クエンチが発生しない超電導コイルである。また、
巻胴に設けた孔は小径であるので、超電導コイルの性能
に悪影響しない。コイル巻枠の巻胴に設けた孔の部分を
真空引きする等して、巻線部の外周部と内部との間に大
きな圧力差を持たせた状態で、前記孔の方向に、含浸槽
中の樹脂液を吸引することにより、樹脂液を強制的に超
電導線の周りに含浸できるので、巻線部の最内部まで樹
脂液を含浸することが容易である。従って、クエンチし
ない超電導コイルが容易に製造できる。また、コイル形
状が複雑で従来の含浸方法では巻線部の最内部まで、樹
脂液を含浸することが困難な構造の超電導コイルであっ
ても、樹脂液を強制的に吸引含浸する本発明の方法によ
ると、巻線部の最内部まで樹脂液を含浸できる。さらに
また、コイル巻枠の巻胴に設けた孔と連通し、巻線部内
を通過した樹脂液が流出する吸引管の一部又は全部が透
明性であると、吸引管内に流出した樹脂液を肉眼観察す
ることにより、巻線部全体に樹脂液が完全に含浸したこ
とを直接確認できるので、樹脂液の含浸が確実である。
周りに、硬化性樹脂が完全に充填されていて、硬化性樹
脂で周りを埋められていない超電導線は存在しないの
で、クエンチが発生しない超電導コイルである。また、
巻胴に設けた孔は小径であるので、超電導コイルの性能
に悪影響しない。コイル巻枠の巻胴に設けた孔の部分を
真空引きする等して、巻線部の外周部と内部との間に大
きな圧力差を持たせた状態で、前記孔の方向に、含浸槽
中の樹脂液を吸引することにより、樹脂液を強制的に超
電導線の周りに含浸できるので、巻線部の最内部まで樹
脂液を含浸することが容易である。従って、クエンチし
ない超電導コイルが容易に製造できる。また、コイル形
状が複雑で従来の含浸方法では巻線部の最内部まで、樹
脂液を含浸することが困難な構造の超電導コイルであっ
ても、樹脂液を強制的に吸引含浸する本発明の方法によ
ると、巻線部の最内部まで樹脂液を含浸できる。さらに
また、コイル巻枠の巻胴に設けた孔と連通し、巻線部内
を通過した樹脂液が流出する吸引管の一部又は全部が透
明性であると、吸引管内に流出した樹脂液を肉眼観察す
ることにより、巻線部全体に樹脂液が完全に含浸したこ
とを直接確認できるので、樹脂液の含浸が確実である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の超電導コイルの一実施例であって、図
1に示す超電導コイル1は、巻胴2aの外側に巻回した
超電導線3aと、該超電導線3aの周りに充填せしめた
硬化性樹脂よりなる樹脂充填部3bとからなるコイル部
4を有するとともに、前記樹脂充填部3bは、巻胴に設
けた孔を介してコイル部4の外部側から超電導線3aの
周囲に吸引含浸、硬化せしめて構成されたものである。
巻胴に設けた孔の孔跡部2dには、樹脂含浸後に、硬化
性樹脂等の樹脂が付着又は充填されていても良い。超電
導線3aは、超電導性を有する線材であって、例えば線
Nb3Sn、V3Ga、Nb3Ge等の超電導金属間化合
物系の超電素線の周りに石英テープ等の絶縁材が被覆さ
れた構成のものである。
図1は、本発明の超電導コイルの一実施例であって、図
1に示す超電導コイル1は、巻胴2aの外側に巻回した
超電導線3aと、該超電導線3aの周りに充填せしめた
硬化性樹脂よりなる樹脂充填部3bとからなるコイル部
4を有するとともに、前記樹脂充填部3bは、巻胴に設
けた孔を介してコイル部4の外部側から超電導線3aの
周囲に吸引含浸、硬化せしめて構成されたものである。
巻胴に設けた孔の孔跡部2dには、樹脂含浸後に、硬化
性樹脂等の樹脂が付着又は充填されていても良い。超電
導線3aは、超電導性を有する線材であって、例えば線
Nb3Sn、V3Ga、Nb3Ge等の超電導金属間化合
物系の超電素線の周りに石英テープ等の絶縁材が被覆さ
れた構成のものである。
【0009】前記硬化性樹脂としてエポキシ樹脂、シリ
コーン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂が挙げられる。硬化
性樹脂は硬化するまでは液状の樹脂液として、超電導線
3aの周りに含浸させられる。次いで、静置又は加熱に
より樹脂液は硬化して固化し、超電導線3aの周りの隙
間に硬化性樹脂として充填されて樹脂充填部3bを形成
する。硬化性樹脂は超電導線3aを固定するのみなら
ず、コイル部4と巻胴2a及び鍔板2bとを接着により
一体化する。
コーン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂が挙げられる。硬化
性樹脂は硬化するまでは液状の樹脂液として、超電導線
3aの周りに含浸させられる。次いで、静置又は加熱に
より樹脂液は硬化して固化し、超電導線3aの周りの隙
間に硬化性樹脂として充填されて樹脂充填部3bを形成
する。硬化性樹脂は超電導線3aを固定するのみなら
ず、コイル部4と巻胴2a及び鍔板2bとを接着により
一体化する。
【0010】図2〜図4は本発明の超電導コイルの製法
と製造装置を示す図である。本発明の超電導コイルは、
巻胴2aの外側に超電導線3aを巻回して超電導線の巻
線部4’を形成し、次いで、巻胴に設けた孔2cを介し
て、前記巻線部4’の外部側から巻胴に設けた孔2cの
方向に樹脂液12を吸引含浸して、超電導線3aの周囲
に樹脂液12を含浸し、該樹脂液12を硬化することに
より製造できる。
と製造装置を示す図である。本発明の超電導コイルは、
巻胴2aの外側に超電導線3aを巻回して超電導線の巻
線部4’を形成し、次いで、巻胴に設けた孔2cを介し
て、前記巻線部4’の外部側から巻胴に設けた孔2cの
方向に樹脂液12を吸引含浸して、超電導線3aの周囲
に樹脂液12を含浸し、該樹脂液12を硬化することに
より製造できる。
【0011】本発明の超電導コイルの製造装置は、図4
に示すように、樹脂液12と超電導コイル1aとを収容
する含浸槽11の雰囲気を加圧減圧できる脱気室10
と、超電導コイル1aを収容し超電導線の周りに樹脂液
12を含浸するための含浸槽11と、該含浸槽11内に
配置された超電導コイル1aの巻胴に設けた孔2cを吸
引して、超電導線3aの巻線部4’の外部側から該孔2
cの方向に樹脂液12を吸引して超電導線3aの周囲に
樹脂液12を含浸するための吸引管21と、該吸引管2
1内を減圧にするための減圧装置とを備えている。
に示すように、樹脂液12と超電導コイル1aとを収容
する含浸槽11の雰囲気を加圧減圧できる脱気室10
と、超電導コイル1aを収容し超電導線の周りに樹脂液
12を含浸するための含浸槽11と、該含浸槽11内に
配置された超電導コイル1aの巻胴に設けた孔2cを吸
引して、超電導線3aの巻線部4’の外部側から該孔2
cの方向に樹脂液12を吸引して超電導線3aの周囲に
樹脂液12を含浸するための吸引管21と、該吸引管2
1内を減圧にするための減圧装置とを備えている。
【0012】以下、本発明の超電導コイルの製法を図2
から図4に従って、更に詳しく説明する。図2の符号2
は超電導線3aを巻回するためのコイル巻枠であって、
該巻枠2の巻胴2aには巻胴に設けた孔2cが多数個設
けてある。巻胴2a部分に孔2cが巻胴2aの幅方向及
び円周方向に多数個穿設されている。巻胴に設けた孔2
cは、真空引きして空気等を排気するものであるから、
小径とすることができ、例えば孔径は0.5〜4.0m
mとする。
から図4に従って、更に詳しく説明する。図2の符号2
は超電導線3aを巻回するためのコイル巻枠であって、
該巻枠2の巻胴2aには巻胴に設けた孔2cが多数個設
けてある。巻胴2a部分に孔2cが巻胴2aの幅方向及
び円周方向に多数個穿設されている。巻胴に設けた孔2
cは、真空引きして空気等を排気するものであるから、
小径とすることができ、例えば孔径は0.5〜4.0m
mとする。
【0013】超電導線3aを、孔2cを設けた巻胴2a
の外側に巻回して製造した、樹脂未含浸の超電導コイル
に、樹脂液を含浸する方法を図3及び図4に基づいて詳
しく説明する。図3に示すような、内枠の胴部5aに内
枠胴部孔5cを有する吸引用内枠5を準備することが好
ましい。吸引用内枠5を用いると、吸引管21に接続す
るための接続ジョイントを巻胴に設けた孔2cの部分に
直接設ける必要が無いので、孔径を小とすることができ
る等の利点がある。
の外側に巻回して製造した、樹脂未含浸の超電導コイル
に、樹脂液を含浸する方法を図3及び図4に基づいて詳
しく説明する。図3に示すような、内枠の胴部5aに内
枠胴部孔5cを有する吸引用内枠5を準備することが好
ましい。吸引用内枠5を用いると、吸引管21に接続す
るための接続ジョイントを巻胴に設けた孔2cの部分に
直接設ける必要が無いので、孔径を小とすることができ
る等の利点がある。
【0014】次いで、図4に示すように、内枠鍔板5b
とコイル巻枠2の鍔板2bとの間及び鍔板2bと載置台
7との間には、Oリング等のシークング材6を装着し
て、樹脂未含浸の超電導コイル1aの中央に形成されて
いる透孔の内側に、吸引用内枠5を配置する。シークン
グ材6は、内枠鍔板5bと鍔板2bとの隙間及び鍔板2
bと載置台7との隙間から、空気や樹脂液12が漏れ
て、吸引管21の方向に直接吸引されて、巻線部4’内
が吸引されないことを防ぐ。また、図4に示すように、
シーリング材6を用いて、多数個設けられた孔2cをま
とめて層別に排気できるようにすると、内枠胴部孔5c
は多数個設ける必要は無く、内枠胴部5aの幅方向に数
個(図3の例では3個)設ければ済む。図4に示す例で
は、シーリング材6の使用により、巻胴に設けた孔2c
の多数個は上層、中央層、下層の3層に層別にされてい
る。従って、3本の吸引管21のみによって、樹脂液1
2を巻線部4’の内部全体に吸引できる。
とコイル巻枠2の鍔板2bとの間及び鍔板2bと載置台
7との間には、Oリング等のシークング材6を装着し
て、樹脂未含浸の超電導コイル1aの中央に形成されて
いる透孔の内側に、吸引用内枠5を配置する。シークン
グ材6は、内枠鍔板5bと鍔板2bとの隙間及び鍔板2
bと載置台7との隙間から、空気や樹脂液12が漏れ
て、吸引管21の方向に直接吸引されて、巻線部4’内
が吸引されないことを防ぐ。また、図4に示すように、
シーリング材6を用いて、多数個設けられた孔2cをま
とめて層別に排気できるようにすると、内枠胴部孔5c
は多数個設ける必要は無く、内枠胴部5aの幅方向に数
個(図3の例では3個)設ければ済む。図4に示す例で
は、シーリング材6の使用により、巻胴に設けた孔2c
の多数個は上層、中央層、下層の3層に層別にされてい
る。従って、3本の吸引管21のみによって、樹脂液1
2を巻線部4’の内部全体に吸引できる。
【0015】内枠胴部の孔5cに吸引管21を接続し、
該吸引管21を大気圧の雰囲気又は、好ましくは圧力緩
衝容器、開閉バルブ30等を介して、前記吸引管21は
真空ポンプや真空タンク等の減圧装置に導く。大気圧又
は好ましくは大気圧以上に加圧できる脱気室10内の圧
力と巻胴に設けた孔2cとの間の圧力差を大きくして、
樹脂液12が巻線部4’内部に強制的に吸引含浸される
ように、吸引管21は減圧装置に接続することが好まし
い。
該吸引管21を大気圧の雰囲気又は、好ましくは圧力緩
衝容器、開閉バルブ30等を介して、前記吸引管21は
真空ポンプや真空タンク等の減圧装置に導く。大気圧又
は好ましくは大気圧以上に加圧できる脱気室10内の圧
力と巻胴に設けた孔2cとの間の圧力差を大きくして、
樹脂液12が巻線部4’内部に強制的に吸引含浸される
ように、吸引管21は減圧装置に接続することが好まし
い。
【0016】次いで、樹脂未含浸の超電導コイル1aに
エポキシ樹脂液等の樹脂液12を次のようにして含浸す
る。図4に示すように、超電導コイル1aを収容した脱
気室10内を減圧にし、更に、吸引管21、内枠胴部の
孔5c、巻胴に設けた孔2cより巻線部4’の内部も減
圧吸引して、巻線部4’内部を数十分間減圧乾燥するこ
とが好ましい。まず、樹脂液12を脱気槽13内で減圧
脱気した後、注入管20より、減圧下の含浸槽11内に
注入し、超電導コイル1a全体を樹脂液12の中に浸漬
する。次いで、脱気室10内を常圧に戻すか、好ましく
は該室内10を大気圧以上の加圧状態とする。巻線部
4’の内部は吸引管21に連通して、大気圧又は、好ま
しくは減圧にする。従って、巻線部4’の内側と外側の
大きな圧力差によって、樹脂液12は巻線部4’の外側
から巻胴に設けた孔2cの方向に浸透して、超電導線3
aの周囲に、樹脂液12は吸引含浸される。巻胴に設け
た孔2cの方向に吸引含浸されて、巻線部4’内を通過
した樹脂液12は巻胴に設けた孔2cから内枠胴部孔5
c、該孔5cから吸引管21の方向へと順次進む。
エポキシ樹脂液等の樹脂液12を次のようにして含浸す
る。図4に示すように、超電導コイル1aを収容した脱
気室10内を減圧にし、更に、吸引管21、内枠胴部の
孔5c、巻胴に設けた孔2cより巻線部4’の内部も減
圧吸引して、巻線部4’内部を数十分間減圧乾燥するこ
とが好ましい。まず、樹脂液12を脱気槽13内で減圧
脱気した後、注入管20より、減圧下の含浸槽11内に
注入し、超電導コイル1a全体を樹脂液12の中に浸漬
する。次いで、脱気室10内を常圧に戻すか、好ましく
は該室内10を大気圧以上の加圧状態とする。巻線部
4’の内部は吸引管21に連通して、大気圧又は、好ま
しくは減圧にする。従って、巻線部4’の内側と外側の
大きな圧力差によって、樹脂液12は巻線部4’の外側
から巻胴に設けた孔2cの方向に浸透して、超電導線3
aの周囲に、樹脂液12は吸引含浸される。巻胴に設け
た孔2cの方向に吸引含浸されて、巻線部4’内を通過
した樹脂液12は巻胴に設けた孔2cから内枠胴部孔5
c、該孔5cから吸引管21の方向へと順次進む。
【0017】巻胴に設けた孔2cに連通する吸引管21
の少なくとも一部が、塩化ビニル樹脂ホース等の透明性
の管であれば、樹脂液12が巻線部4’内を含浸して、
吸引管21内に流出したことを肉眼観察できる。従っ
て、巻線部4’内部の樹脂液12の含浸状態を肉眼で直
接確認できるのできわめて好都合である。吸引管21が
減圧装置に接続されている場合は、吸引管21内に樹脂
液先端22が現れれたら、樹脂液先端22が減圧装置内
に到達する前に、その吸引管21の開閉バルブ30を閉
にして、その吸引管21での減圧吸引を停止する。吸引
管21の全て(図4の例では3本)に、樹脂液先端22
が現れたことで、巻線部4’全体に樹脂液12が含浸さ
れたことを確認したら、樹脂含浸を停止する。
の少なくとも一部が、塩化ビニル樹脂ホース等の透明性
の管であれば、樹脂液12が巻線部4’内を含浸して、
吸引管21内に流出したことを肉眼観察できる。従っ
て、巻線部4’内部の樹脂液12の含浸状態を肉眼で直
接確認できるのできわめて好都合である。吸引管21が
減圧装置に接続されている場合は、吸引管21内に樹脂
液先端22が現れれたら、樹脂液先端22が減圧装置内
に到達する前に、その吸引管21の開閉バルブ30を閉
にして、その吸引管21での減圧吸引を停止する。吸引
管21の全て(図4の例では3本)に、樹脂液先端22
が現れたことで、巻線部4’全体に樹脂液12が含浸さ
れたことを確認したら、樹脂含浸を停止する。
【0018】次いで、樹脂液を含浸した超電導コイルを
含浸槽11から取り出し、吸引用内枠5を取り外した
後、靜置又は加熱によって、巻線部4’内に含浸した樹
脂液を硬化させる。硬化性樹脂は超電導線3aの周りを
完全に充填して、樹脂充填部3bを構成し、超電導線3
aは硬化性樹脂により完全に固定される。
含浸槽11から取り出し、吸引用内枠5を取り外した
後、靜置又は加熱によって、巻線部4’内に含浸した樹
脂液を硬化させる。硬化性樹脂は超電導線3aの周りを
完全に充填して、樹脂充填部3bを構成し、超電導線3
aは硬化性樹脂により完全に固定される。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の超電導コ
イルは超電導線の周りに、硬化性樹脂が完全に充填され
ているので、クエンチが発生しない超電導コイルであ
る。また、本発明の超電導コイルの製法によると、コイ
ル巻枠の巻胴に設けられた孔の部分を真空引きし、一方
含浸槽内を大気圧以上の加圧状態とする等して、巻線部
の外側と内部との間に大きな圧力差を持たせて、前記孔
の方向に樹脂液を強制的に吸引して、樹脂液を超電導線
の周りに強制的に吸引含浸できるので、コイルの最内部
まで樹脂液を完全に含浸することができる。従って、ク
エンチしない超電導コイルの製造が容易である。また、
コイル形状が複雑であっても、巻線部の最内部まで樹脂
液を含浸できる。さらにまた、巻胴に設けられた孔と連
通し、巻線部内を通過した樹脂液が流出する吸引管の少
なくとも一部が透明性であると、巻線部全体に樹脂液が
完全に含浸したことを肉眼で直接確認できるので、樹脂
液の含浸が確実である。
イルは超電導線の周りに、硬化性樹脂が完全に充填され
ているので、クエンチが発生しない超電導コイルであ
る。また、本発明の超電導コイルの製法によると、コイ
ル巻枠の巻胴に設けられた孔の部分を真空引きし、一方
含浸槽内を大気圧以上の加圧状態とする等して、巻線部
の外側と内部との間に大きな圧力差を持たせて、前記孔
の方向に樹脂液を強制的に吸引して、樹脂液を超電導線
の周りに強制的に吸引含浸できるので、コイルの最内部
まで樹脂液を完全に含浸することができる。従って、ク
エンチしない超電導コイルの製造が容易である。また、
コイル形状が複雑であっても、巻線部の最内部まで樹脂
液を含浸できる。さらにまた、巻胴に設けられた孔と連
通し、巻線部内を通過した樹脂液が流出する吸引管の少
なくとも一部が透明性であると、巻線部全体に樹脂液が
完全に含浸したことを肉眼で直接確認できるので、樹脂
液の含浸が確実である。
【図1】 本発明の一実施例の超電導コイルを示す部分
切欠正面図である。
切欠正面図である。
【図2】 本発明の超電導コイルの製造に用いる巻枠の
外観図である。
外観図である。
【図3】 本発明の超電導コイルの製造に用いる吸引用
内枠の外観図である。
内枠の外観図である。
【図4】 本発明の超電導コイルの含浸工程を示す説明
図である。
図である。
1 超電導コイル、 2 コイル巻枠、 2
a 巻胴、2b 鍔板、 2c 巻胴に設け
た孔、 2d 孔跡部、3a 超電導線、 3b
樹脂充填部、 4 コイル部 4’ 巻線部 5 吸引用内枠、 5
a 内枠胴部、5b 内枠鍔板、 5c 内枠胴
部の孔 6 シーリング材 10 脱気室、 11 含浸槽、 1
2 樹脂液、13 脱気槽、 20 注入管、
21 吸引管、22 樹脂液先端、 3
0 開閉バルブ
a 巻胴、2b 鍔板、 2c 巻胴に設け
た孔、 2d 孔跡部、3a 超電導線、 3b
樹脂充填部、 4 コイル部 4’ 巻線部 5 吸引用内枠、 5
a 内枠胴部、5b 内枠鍔板、 5c 内枠胴
部の孔 6 シーリング材 10 脱気室、 11 含浸槽、 1
2 樹脂液、13 脱気槽、 20 注入管、
21 吸引管、22 樹脂液先端、 3
0 開閉バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 隆 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 河野 宰 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内
Claims (3)
- 【請求項1】 巻胴に超電導線が卷かれ、該超電導線の
周りに硬化性樹脂を充填した超電導コイルであって、該
超電導コイルは、巻胴の外側に巻回した超電導線と、該
超電導線の周りに充填せしめた硬化性樹脂よりなる樹脂
充填部とからなるコイル部を有するとともに、前記樹脂
充填部は、巻胴に設けた孔を介してコイル部の外部側か
ら超電導線の周囲に吸引含浸、硬化されたものであるこ
とを特徴とする超電導コイル。 - 【請求項2】 巻胴に超電導線が巻かれ、該超電導線の
周りに硬化性樹脂を充填した超電導コイルの製法であっ
て、巻胴の外側に超電導線を巻回して超電導線の巻線部
を形成し、次いで巻胴に設けた孔を介して、前記巻線部
の外部側から巻胴に設けた孔の方向に樹脂液を吸引含浸
して、超電導線の周囲に樹脂液を含浸した後、該樹脂液
を硬化することを特徴とする超電導コイルの製法。 - 【請求項3】 巻胴に超電導線が巻かれ、該超電導線の
周りに硬化性樹脂を充填した超電導コイルを製造するた
めの製造装置であって、樹脂液と超電導コイルとを収容
する含浸槽の雰囲気を加圧減圧できる脱気室と、超電導
コイルを収容し超電導線の周りに樹脂液を含浸するため
の含浸槽と、該含浸槽内に配置され、巻胴に設けた孔を
吸引して、超電導線の巻線部の外部側から該孔の方向に
樹脂液を吸引して超電導線の周囲に樹脂液を含浸するた
めの吸引管と、該吸引管内を減圧にするための減圧装置
とを備えていることを特徴とする超電導コイルの製造装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8978196A JPH09283326A (ja) | 1996-04-11 | 1996-04-11 | 超電導コイルとその製法及び製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8978196A JPH09283326A (ja) | 1996-04-11 | 1996-04-11 | 超電導コイルとその製法及び製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09283326A true JPH09283326A (ja) | 1997-10-31 |
Family
ID=13980232
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8978196A Pending JPH09283326A (ja) | 1996-04-11 | 1996-04-11 | 超電導コイルとその製法及び製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09283326A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007234692A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-09-13 | Hitachi Ltd | 超電導コイルの樹脂含浸方法 |
WO2011102513A1 (ja) * | 2010-02-22 | 2011-08-25 | ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー株式会社 | 超電導コイルの含浸方法 |
JP2011171631A (ja) * | 2010-02-22 | 2011-09-01 | Japan Superconductor Technology Inc | 超電導コイルの含浸方法 |
-
1996
- 1996-04-11 JP JP8978196A patent/JPH09283326A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007234692A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-09-13 | Hitachi Ltd | 超電導コイルの樹脂含浸方法 |
WO2011102513A1 (ja) * | 2010-02-22 | 2011-08-25 | ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー株式会社 | 超電導コイルの含浸方法 |
JP2011171631A (ja) * | 2010-02-22 | 2011-09-01 | Japan Superconductor Technology Inc | 超電導コイルの含浸方法 |
CN102667973A (zh) * | 2010-02-22 | 2012-09-12 | 日本超导体技术公司 | 超导线圈的浸渍方法 |
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