JPH09283140A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池

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JPH09283140A
JPH09283140A JP8093854A JP9385496A JPH09283140A JP H09283140 A JPH09283140 A JP H09283140A JP 8093854 A JP8093854 A JP 8093854A JP 9385496 A JP9385496 A JP 9385496A JP H09283140 A JPH09283140 A JP H09283140A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱ドープ容量が大きく、充放電効率が高く、
サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供す
る。 【解決手段】 有機物を300〜500℃、脱タール、
ピッチ化することで炭素質物前駆体を作成し、該炭素質
物前駆体を、粉砕後、更に500〜950℃で焼成した
炭素質物を負極とするリチウムイオン二次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン二
次電池に関し、更に詳しくはドープ−脱ドープ容量によ
って規定される容量、充放電効率が高く、サイクル特性
に優れた炭素電極材料使用リチウム二次電池に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】電子機器の小型化に伴い高容量の二次電
池が必要になってきており、ニッケル・カドミウム、ニ
ッケル・水素電池に比べ、エネルギー密度の高いリチウ
ムイオン二次電池が注目を集めてきている。その負極材
料としては、はじめリチウム金属を用いることが試みら
れた。しかし、この材料は充放電を繰り返すうちにデン
ドライト状のリチウムがリチウム金属表面に成長してセ
パレータを貫通し、ついには正極にまで達して短絡し、
発火事故をおこすことが判明した。これを改良するため
充放電過程におけるリチウムの吸蔵を層間で行ない、リ
チウム金属の析出を防止できる炭素質材料を負極として
使用することが見いだされた。その中には、特開平4−
237949で示される様に高分子炭化物、コーク
ス、炭素繊維、石炭及び石油ピッチ焼成物、メソカーボ
ンマイクロビーズ等の黒鉛質炭素など、より低い結晶化
度と比重、ラマン分光、比表面積その他の特性により定
義される炭素質物が提案されている。また、特開昭57
−208079には炭素質物としては最も結晶化度が高
い黒鉛を使用するとよいことが開示されている。しかし
ながら、黒鉛はリチウムイオンの黒鉛結晶中へのインタ
ーカレーションを充放電の原理として使用するため、最
大リチウム導入化合物のLiC6 から算出される372
mAh/g以上の容量が得られないという問題があっ
た。
【0003】一方、950℃以下で焼成した結晶化部分
が極めて少ない炭素質物は黒鉛の理論容量372mAh
/gよりも大きな容量を示すことが報告され、容量増大
法として注目を集めている。この炭素質物は焼成温度の
違いによって、容量、効率、ドープ容量と脱ドープ容量
の差として定義される不可逆容量、充放電時の電位特性
に差があることが知られている(Dahn et al. Science,
270,590(1995) )。
【0004】このように、炭素質物材料は、450℃程
度までの温度域では、より低い温度で焼成するほど、初
回のリチウムイオンの充電容量が大きくなる傾向を示す
が、それに伴いドープ容量と脱ドープ容量の差として定
義される不可逆容量も大きくなっていくという問題があ
った。このため、通常の950℃以下の低温域で、目的
温度に達するまで、一段で焼成された炭素質物材料は、
充電容量が大きいものの、同時に、不可逆容量も大きく
なってしまうため、リチウムイオン二次電池電極材料と
して実用化することができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、脱ド
ープ容量が大きく、アモルファス炭素質物が有する本来
の放電容量を効率よく引き出すことができる炭素質物を
電極材料に用いたリチウム二次電池を提供するものであ
る。即ち、本発明の目的は、高容量で、充放電効率が高
く、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提
供に関するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決するために、鋭意検討を重ねた結果、材料焼成前に
脱タール工程を特定温度範囲で、長時間、行うことで、
従来の炭素質物よりも充放電効率、特に放電容量を大幅
に向上させた炭素質物を調整可能であることを見出し、
本発明に到達した。即ち、本発明の要旨は、有機物を3
00〜500℃、脱タール、ピッチ化することで炭素質
物前駆体を作成し、該炭素質物前駆体を、粉砕後、更に
500〜950℃で焼成した炭素質物を負極とすること
を特徴とするリチウムイオン二次電池に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の炭素質物を得るための原
料について、以下詳細に説明する。液相で炭素化が進行
する有機物として、軟ピッチから硬ピッチまでのコール
タールピッチや乾留液化油などの石炭系重質油や、常圧
残油、減圧残油等の直流系重質油、原油、ナフサなどの
熱分解時に副生するエチレンタール等分解系重質油等の
石油系重質油が挙げられる。
【0008】さらにアセナフチレン、デカシクレン、ア
ントラセンなどの芳香族炭化水素、フェナジンやアクリ
ジンなどのN環化合物、チオフェンなどのS環化合物、
30MPa以上の加圧が必要となるがアダマンタンなど
の脂環、ビフェニルやテルフェニルなどのポリフェニレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールなどの高分
子があげられる。
【0009】固相で炭素化が進行する有機物としては、
セルロースや糖類などの天然高分子、ポリフェニレンサ
イルファイド、ポリフェニレンオキシド等の熱可塑性樹
脂、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムア
ルデヒド樹脂、イミド樹脂等の熱硬化性樹脂などが挙げ
られる。以上のうちで、好ましいのは、液相で炭素化が
進行する有機物であり、更に好ましいのは、石炭系重質
油及び/または石油系重質油である。
【0010】これらの原料を、300〜500℃、好ま
しくは1〜8時間、好ましくは330〜450℃、2〜
5時間、脱タール、ピッチ化することで、炭素質物前駆
体を得る。この場合、好ましくは、不活性ガス雰囲気下
で行う。該炭素質物前駆体を、好ましくは粉砕した後、
更に500〜950℃、好ましくは600〜800℃で
焼成することで、本発明の炭素質物を得る。炭素質物前
駆体の粉砕は粒径が1cm以下、好ましくは1mm以
下、より好ましくは100μm以下であり、最終炭素質
物は、粉砕して、好ましくは、5〜100μmとして、
電極の製造に用いるが、焼成前の炭素質物前駆体の段階
で、焼成後の目的の粒径に粉粒体の大きさを調整してお
くことが、最も好ましい。
【0011】上記炭素質物としては、体積抵抗率が10
1 〜107 Ω・cm、比表面積が1m2 /g以上、10
0m2 /g以下、H/C(水素/炭素原子存在比)が
0.05〜0.5で定義されるアモルファス炭素である
ことが好ましい。また、上記炭素質前駆体を得る脱ター
ル、ピッチ化工程は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの
不活性ガス雰囲気下か、これらのガスフロー下で行うこ
とがより好ましい。
【0012】更に、電位及び放充電特性を改善するため
に、導電性フィラーを炭素質物の原材料に配合して、上
記炭素質物を製造することができる。該導電性フィラー
の好適な具体例としては、アセチレンブラック、ケッチ
ェンブラック等の導電性カーボンブラック、人造黒鉛
(TIMAL社製T6,KS6、SFG6等)、天然黒
鉛(関西熱化学社製NG2、NG7等)等の黒鉛粉末、
気相成長炭素繊維等の炭素繊維、金属粉末としては、電
池中の負極電位の関係からニッケル粉、銅粉、ステンレ
ススチール粉が好ましい。
【0013】特に、ニッケル粉は、導電性が良好で、耐
酸化性にも優れているので好ましく、ニッケルテトラカ
ルボニルの熱分解で製造されるカルボニルニッケル粉は
その純度も高く、スパイク状突起を持つ球状粒子がフィ
ラメント状につながった形状をしているため、粒子同士
の接触性に優れ、導電パスを作りやすいので好ましい。
また、炭素系フィラーは、炭素質物原料、特に重質油系
原料との原料混合段階での相溶性に優れ、均一の組成を
持つ複合材料を作製し易い。加えて、焼成後は、炭素質
材料の導電性の向上及び、フィラー自身が持つリチウム
イオン吸蔵、放出能による電極容量への寄与も得ること
ができる。
【0014】一般的に導電性フィラーを絶縁材料又は高
抵抗材料に添加していくと、特定の体積分率で急速に抵
抗が減少するいわゆるパーコレーション現象を示す。そ
のため、導電性フィラーの割合はパーコレーション閾値
よりも大きいことが必要である。より具体的には導電性
フィラー及び炭素質物の含有量は、好ましくは、最終調
整された電極中で炭素質物が85〜50Vol.%で、
導電性フィラーが15〜50Vol.%、更に好ましく
は炭素質物が85〜65Vol.%で、導電性フィラー
が15〜35Vol.%である。
【0015】導電性フィラーの量が上記範囲以下では、
低電位化、急速充放電特性の改善が少なく、また、上記
範囲以上では、体積エネルギー密度、重量エネルギー密
度の低下を引き起こす可能性がある。尚、上記範囲は原
料仕込み比ではなく、最終的炭素質物の段階での含有量
である。そのため、仕込み時には、最終段階での組成比
を考慮して原料の配合量を決定する必要がある。
【0016】これらの製造方法について次に説明する。
炭素質物の原料と導電性フィラーを加熱手段がある混合
機で最終組成が上記範囲内となる仕込み比で混合し、3
00〜500℃で1〜8時間脱気、及び脱タール処理を
行い、固形物を得た後、1cm以下、好ましくは1mm
以下、より好ましくは100μm以下の粉粒体とする。
その後、好ましくは500〜950℃で、0.5〜3時
間で焼成を行って、導電性フィラー複合電極材料を得
る。
【0017】このようにして得たアモルファス炭素質物
を、好ましくは1〜100μm、更に好ましくは平均粒
径5〜50μmの範囲に粉砕し、該粉砕物に結着剤、溶
媒等を加えて、スラリー状とし、銅箔等の金属製の集電
体の基板にスラリーを塗布・乾燥することで電極とす
る。また、該電極材料をそのままロール成形、圧縮成形
等の方法で電極の形状に成形することもできる。
【0018】上記の目的で使用できる結着剤としては、
溶媒に対して安定な、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、セル
ロース等の樹脂系高分子、スチレン・ブタジエンゴム、
イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレ
ンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチ
レンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン・イ
ソプレン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物
等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチッ
ク12−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合
体、プロピレン・α−オレフィン(炭素数2〜12)共
重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、
ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチ
レン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ
金属イオン、特にリチウムイオンのイオン伝導性を有す
る高分子組成物が挙げられる。
【0019】上記のイオン伝導性を有する高分子として
は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等
のポリエーテル系高分子化合物、ポリエーテル化合物の
架橋体高分子、ポリエピクロルヒドリン、ポリフォスフ
ァゼン、ポリシロキサン、ポリビニルピロリドン、ポリ
ビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリル等の高
分子化合物に、リチウム塩、またはリチウムを主体とす
るアルカリ金属塩を複合させた系、、あるいはこれに炭
酸プロピレン、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等の
高い誘電率を有する有機化合物を配合した系を用いるこ
とができる。この様な、イオン伝導性高分子組成物の室
温におけるイオン導電率は、好ましくは10-5S/cm
以上、より好ましくは10-3S/cm以上である。
【0020】本発明に用いる炭素質物と上記の結着剤と
の混合形式としては、各種の形態をとることができる。
即ち、両者の粒子が混合した形態、繊維状の結着剤が炭
素質物の粒子に絡み合う形で混合した形態、または結着
剤の層が炭素質物の粒子表面に付着した形態などが挙げ
られる。炭素質物と上記結着剤との混合割合は、炭素質
物に対し、好ましくは0.1〜30重量%、より好まし
くは、0.5〜10重量%である。これ以上の量の結着
剤を添加すると、電極の内部抵抗が大きくなり、好まし
くなく、これ以下の量では集電体と炭素質粉体の結着性
に劣る。
【0021】こうして作製した負極板と以下に説明する
電解液、正極板を、その他の電池構成要素であるセパレ
ータ、ガスケット、集電体、封口板、セルケース等と組
み合わせて二次電池を構成する。作成可能な電池は筒
型、角型、コイン型等特に限定されるものではないが、
基本的にはセル床板上に集電体と負極材料を乗せ、その
上に電解液とセパレータを、更に負極と対向するように
正極を乗せ、ガスケット、封口板と共にかしめて二次電
池とする。
【0022】電解液用に使用できる非水溶媒としては、
プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエ
チルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチ
ルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、γ−ブチ
ロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒ
ドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の有
機溶媒の単独、または二種類以上を混合したものを用い
ることができる。
【0023】これらの溶媒に0.5〜2.0M程度のL
iClO4 ,LiPF6 ,LiBF 4 ,LiCF3 SO
3 ,LiAsF6 等の電解質を溶解して電解液とする。
また、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電
体である高分子固体電解質を、用いることもできる。正
極体の材料は、特に限定されないが、リチウムイオンな
どのアルカリ金属カチオンを充放電時に吸蔵、放出でき
る金属カルコゲン化合物からなることが好ましい。その
様な金属カルコゲン化合物としては、バナジウムの酸化
物、バナジウムの硫化物、モリブデンの酸化物、モリブ
デンの硫化物、マンガンの酸化物、クロムの酸化物、チ
タンの酸化物、チタンの硫化物及びこれらの複合酸化
物、複合硫化物等が挙げられる。好ましくは、Cr3
8 ,V2 5 ,V5 13,VO2,Cr2 5 ,MnO
2 ,TiO2 ,MoV2 8 ,TiS2 2 5 MoS
2,MoS3 VS2 ,Cr0.250.752 ,Cr0.5
0.5 2 等である。また、LiMY2 (Mは、Co,N
i等の遷移金属YはO,S等のカルコゲン化合物),L
iM2 4 (MはMn,YはO),WO3 等の酸化物、
CuS,Fe0.25 0.752 ,Na0.1 CrS2 等の硫
化物、NiPS3 ,FePS3 等のリン、硫黄化合物、
VSe2 ,NbSe3 等のセレン化合物等を用いること
もできる。これらを負極材と同様、結着剤と混合して集
電体の上に塗布して正極板とする。
【0024】電解液を保持するセパレーターは、一般的
に保液性に優れた材料であり、例えば、ポリオレフィン
系樹脂の不織布や多孔性フィルムなどを使用して、上記
電解液を含浸させる。評価内容の内、負極充放電容量、
サイクル特性、及び電位−容量曲線等の測定については
以下の様に行った。
【0025】結着剤を用いペレット状に成形した上記の
負極材料を、セパレーター、電解液と共に、対極をリチ
ウム金属とした半電池とし、2016コインセル中に組
み立て、充放電試験機で評価した。一方、抵抗率は、結
着剤を用いシート状に加工した上記の負極材料につい
て、四探針法により表面抵抗を計測し、算出した。
【0026】この様な条件でテストを行ったところ、本
発明の炭素負極板中でのIRドロップが減少し、脱ドー
プ容量が増大した。以上説明したように、本発明のリチ
ウムイオン二次電池用電極は、原料重質油を脱タール、
ピッチ化し、固形化した段階で、粉砕し、更に500〜
950℃で焼成することで、焼成後の炭素負極中のIR
ドロップが減少し、大きな脱ドープ容量を示すようにな
った。
【0027】上記、電極の性能向上の理由は、抵抗率の
結果からも推察されるように、不可逆容量の大きさに関
係する非常に未発達な炭素質物前駆体の結晶部分が長時
間の脱タールにより、ある程度除去できたためと推察さ
れる。従って、焼成後の材料に、より大きな結晶からな
る部分的な規則構造が生成したこと、及び抵抗率の減少
による材料内でのIR降下の減少が脱ドープ容量の向上
をもたらしたものと考えられる。
【0028】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるも
のではない。 (実施例1)内容積10リットルのステンレスバットに
ナフサ分解時に得られるエチレンヘビーエンドタール
(三菱化学(株)社製)2Kgを投入し、これを内温が
400℃に保たれた窒素ガス雰囲気下にある加熱オーブ
ンに投入し、脱タール及び固形ピッチ化を4時間行っ
た。これによりエチレンヘビーエンドタールの軽質留分
の除去を行い、ブロック状固溶体である生成物を回収し
た。
【0029】得られたものを最大1mm径に粉砕し、回分
式加熱炉で不活性雰囲気下にて室温から700℃まで2
時間で昇温させ熱処理した。これを粉砕し、振動式篩い
により粒径を7〜20μmに整えてからサンプルとし
た。該サンプルを元素分析し、H/Cを算出したとこ
ろ、0.27であった。また、BET法比表面積は11
2 /gであった。
【0030】この電極材料サンプル5gに、ポリフッ化
ビニリデン(PVdF)のジメチルアセトアミド溶液を
を固形分換算で10重量%加えたものを攪拌し、スラリ
ーを得た。このスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で予
備乾燥を行った。さらに圧着させたのち、直径20mm
の円盤状に打ち抜き、110℃で減圧乾燥をして電極と
した。
【0031】また、同スラリーをポリエチレンテレフタ
レート薄膜上に塗布し、80℃で予備乾燥を行った。2
0cm×10cmの長方形以外の部分を除去したのち、
110℃で減圧乾燥を行った。このものの抵抗率を測定
した結果を表1に示す。得られた電極に対し、電解液を
含浸させたポリプロピレン製セパレーターをはさみ、リ
チウム金属電極に対向させたコイン型セルを作製し、充
放電試験を行った。電解液には、エチレンカーボネート
とジエチルカーボネートを容量比1:1の比率で混合し
た溶媒に過塩素酸リチウムを1.0mol/Lの割合で
溶解させたものを用いた。
【0032】充放電試験は電流密度0.16mA/cm
2 で極間電位差が0Vになるまでドープを行い、電流密
度0.33mA/cm2 で極間電位差1.5Vになるま
で脱ドープを行った。容量値は、コイン型セル3個につ
いて各々5サイクル充放電試験を行い、それらの初回平
均ドープ容量、初回平均脱ドープ容量、初回平均ドープ
容量ー初回平均脱ドープ容量で表される不可逆容量、
(初回平均脱ドープ容量/初回平均ドープ容量)×10
0(%)で表される充放電効率をそれぞれ算出して評価
した。評価結果を表2に示す。
【0033】(実施例2)固形ピッチを得るための加熱
オーブンの保持温度が350℃である他は、実施例1と
全く同様にして、サンプルを得た。該サンプルを元素分
析し、H/Cを算出したところ、0.30であった。ま
た、BET法比表面積は17m2 /gであった。 該サン
プルを用いて実施例1と同様の評価を行った結果をそれ
ぞれ、表1、表2に示す。
【0034】(比較例1)原料である重質油を回分式加
熱炉により700℃まで2時間で昇温、700℃で1時間
保持し、脱タール、ピッチ化、及び焼成を一段階で行う
以外は実施例と同様な操作を行った。抵抗率を表1に、
評価結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】 表2 ドープ容量 脱ドープ容量 不可逆容量 効率 0.2mA/cm2 0.4mA/cm2 mAh/g mAh/g mAh/g % 実施例1 956 695 261 72.8 実施例2 1040 748 292 71.9 比較例1 950 485 465 51.0
【0037】
【発明の効果】本発明のリチウム二次電池は、電極の脱
ドープ容量が大きく、原材料内にある低結晶部分を効率
的に除去することによって導電性を向上させるととも
に、本来炭素質物が有する放電容量を効率よく引き出す
ことができることが特徴である。そのため、本発明のリ
チウム二次電池は、高容量で、充放電サイクル特性に優
れる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機物を300〜500℃、脱タール、
    ピッチ化することで炭素質物前駆体を作成し、該炭素質
    物前駆体を、粉砕後、更に500〜950℃で焼成した
    炭素質物を負極とすることを特徴とするリチウムイオン
    二次電池。
  2. 【請求項2】 炭素質物が、体積抵抗率が101 Ω・c
    m以上、107 Ω・cm以下、比表面積が1m2 /g以
    上、100m2 /g以下、H/C(水素/炭素原子存在
    比)が0.05以上0.5以下で定義されるアモルファ
    ス炭素であることを特徴とする請求項1記載のリチウム
    イオン二次電池。
  3. 【請求項3】 脱タール、ピッチ化工程が、330〜4
    50℃、2〜5時間であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 【請求項4】 脱タール、ピッチ化工程を、不活性ガス
    雰囲気で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 【請求項5】 有機物が、石炭系重質油及び/または石
    油系重質油であることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れかに記載のリチウムイオン二次電池。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003022803A (ja) * 2001-07-06 2003-01-24 Kansai Research Institute 非水系二次電池

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