JPH09281110A - 腎機能の検査方法 - Google Patents

腎機能の検査方法

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JPH09281110A
JPH09281110A JP11441696A JP11441696A JPH09281110A JP H09281110 A JPH09281110 A JP H09281110A JP 11441696 A JP11441696 A JP 11441696A JP 11441696 A JP11441696 A JP 11441696A JP H09281110 A JPH09281110 A JP H09281110A
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dipeptidase
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Yoshio Kaira
芳夫 解良
Shoji Kawazu
捷二 河津
Hideya Kikuchi
英弥 菊池
Yukito Fukumura
幸仁 福村
Masahiko Yabuuchi
正彦 薮内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】信頼性の高い腎疾患の検査方法を提供するこ
と。 【解決手段】ジペプチダーゼに選択性の高い基質、グリ
シル−D−アラニンを用いて、尿検体中のジペプチダー
ゼ活性を定量し、該酵素活性の低下の度合いを判別する
ことによって、腎疾患を検査する方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、尿中ジペプチダー
ゼを測定し、その値の低下の程度から腎疾患を診断する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】腎機能検査として、一般には、簡便な尿
検査や血液検査が行われている。さらに詳細な情報を得
るために、腎血流量の測定(PSP検査)、糸球体濾過
値の測定(GFR)、画像診断、腎生検が行われてい
る。尿検査では、尿量、尿比重、尿中蛋白質、尿潜血、
尿沈査(赤血球、白血球など)、クレアチニン、Nー ア
セチル−β−D−グルコサミニダーゼ(NAG)など
が、また、血液検査では、総蛋白、アルブミン、総コレ
ステロール、ナトリウム、カリウム、尿素窒素(BU
N)、クレアチニン、尿酸などが測定されている。
【0003】尿検査や血液検査の意義は、尿や血液中の
内因性物質の濃度を簡便な方法で測定し、腎疾患の種類
と程度を予測することに有るが、機能的には、さらに細
分化されている。具体的には、糸球体の異常を反映する
「蛋白質透過性亢進の指標」として、尿蛋白、尿中アル
ブミン、尿中トランスフェリンなどが、又、「糸球体濾
過値(GFR)低下の指標」として、血中クレアチニ
ン、血中尿素窒素(BUN)、血中β2ーマイクログロブ
リン、血中α1ーミクログロブリンなどが測定されてい
る。また、「尿細管の異常」を反映するものとしては、
尿中β2ーマイクログロブリン、尿中Nー アセチル−βー
D−グルコサミニダーゼ(NAG)などが測定されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いまだ
に尿細管の異常を反映する良好なマーカーは知られてい
ない。現在使用されている尿中β2ーマイクログロブリ
ン、尿中Nー アセチルー β−D−グルコサミニダーゼ
(NAG)には、それぞれ次ぎのような問題点がある。
【0005】β2ーマイクログロブリンは、主要組織適合
遺伝子複合体クラスI分子L鎖の構成成分であり、リン
パ球や血小板をはじめ、有核のほとんどの正常細胞及び
癌細胞で作られ、それらの細胞表面に存在している。ま
た、細胞活動の盛んなほど生産が増加すると言われてい
る。血中のβ2ーマイクログロブリンは、低分子量のた
め、糸球体基底膜を容易に通過し、血中β2ーマイクログ
ロブリンが正常範囲の量であれば、そのほとんどが尿細
管で再吸収・異化されるので、健常人ではわずかしか尿
に漏れない。従って、近位尿細管に障害が起こると、こ
の再吸収・異化が阻害され、尿中に漏れ出すβ2ーマイク
ログロブリン濃度が上昇することになるので、尿細管異
常の指標となる。しかしながら、尿細管に異常がなくて
も、悪性腫瘍によるβ2ーマイクログロブリンの産生増加
や、糸球体障害による漏出の増加によっても尿中β2ーマ
イクログロブリン濃度が増加するので、β2ーマイクログ
ロブリンは、尿細管障害に特異的であるとは言えない。
【0006】一方、N−アセチル−β−D−グルコサミ
ニダーゼ(NAG)は、ヒトの臓器に広く分布し、血中
と尿中にも存在している。正常人では、NAGの分子量
が大きいため、血中NAGは 糸球体を通過せず、尿中
には排泄されない。尿中のNAGは、腎近位尿細管上皮
細胞内に 高濃度に存在するものに由来すると考えられ
ており、尿細管障害を反映してこれらの細胞から漏れだ
し、尿中NAG濃度が上昇すると言われている。しかし
ながら、精液中にも多量にNAGが存在するため、生殖
年齢の男性では、しばしばコンタミネーションが問題に
なる。また、採尿前の生活状態によって大きく変動する
ことも知られており、疾患の判断を困難にしている。さ
らに、尿中のNAG濃度は糖尿病で上昇し、長期血糖管
理の指標であるHbA1 と良く相関することが知られて
おり、NAGは、尿細管障害以外にも血糖の影響も受け
ていることが分かる。
【0007】
【課題を解決するための手段】ジペプチダーゼは、腎
臓、特に、腎の近位尿細管細胞表面の刷子縁に局在して
いる酵素であるが、健常人の尿に一定量漏れだしてい
る。ところが、腎疾患患者では、この尿中酵素の活性量
が著しく減少することを見い出し、本発明に至ったもの
である。即ち、本発明は、腎疾患の診断に有用な検査方
法を提供するものであり、本発明の第1の要旨は、尿検
体中のジペプチダーゼを定量することを特徴とする腎疾
患の検査方法である。本発明の第2の要旨は、ジペプチ
ダーゼの定量方法が、ジペプチダーゼに選択性の高い基
質を用いて、ジペプチダーゼの酵素活性を測定する方法
である第1の要旨の方法である。本発明の第3の要旨
は、ジペプチダーゼの尿量補正を行うステップを含む第
1又は2の要旨の方法である。本発明の第4の要旨は、
グリシル−D−アラニンを基質として尿検体中のジペプ
チダーゼ活性を定量し、同時に測定した該尿検体中のク
レアチニン値で除してジペプチダーゼ/クレアチニン比
を求めることを特徴とする腎尿細管異常の検査方法であ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明における尿検体とは、ジペプチダーゼが
安定に保てるように採尿、または、採尿後保存されたも
ので有れば何であってもよい。ま た、尿の特殊性か
ら、検査の目的によって採尿の時期と方法が異なるが、
ジペプチダーゼの臨床的意義を損なわない範囲で有れ
ば、特に制限されることはない。ジペプチダーゼとは、
国際生化学連合(I.U.B.)の酵素委員会で、EC
3.4.13.11と分類されているものであり、アミノペプチ
ダーゼ群(EC 3.4.11.1 〜EC 3.4. 11.14 )やカルボ
キシペプチダーゼ群(EC 3.4.15.1 〜 EC 3.4.17.8)と
は異なるものである。
【0009】ジペプチダーゼを定量することとは、ジペ
プチダーゼに特異的な系でジペプチダーゼを測定し、
「蛋白質濃度」または「酵素活性値」等としてジペプチ
ダーゼの濃度を求めることであり、これらの何れであっ
てもよい。ジペプチダーゼを測定する方法は公知であ
り、ジペプチダーゼに特異的な方法であれば、どの様な
方法を用いてもよく、特に限定されないが、簡便かつ高
感度で、再現性のよい方法が好ましい。測定原理を具体
的に示すと、「蛋白 質濃度」を求める場合、ジペプチ
ダーゼに特異性を有する抗体を用いて免疫学的に測定す
る方法がある。また、「酵素活性値」を求める場合、ジ
ペプチダーゼに特異性の高い基質を用いて、生化学的に
酵素活性を測定する方法がある。腎疾患の検査方法で
は、ジペプチダーゼの測定値(「蛋白質濃度」や「酵素
活性値」等)そのものの低下の度合いを、直接、腎疾患
の判定に用いてもよいが、他の腎疾患のマーカー、特
に、腎疾患で上昇するマーカーとの比を求めて変化を強
調し、ジペプチダーゼとのインデックスとして判定に用
いてもよい。
【0010】生化学的に酵素活性を測定する方法におい
て、ジペプチダーゼに選択性の高い基質とは、検体中に
存在するジペプチダーゼ以外の酵素、例えば、プロテア
ーゼ、ペプチ ダーゼ、エステラーゼなどの酵素類で加
水分解され難く、ジペプチダーゼで容易に加水分 解さ
れる基質のことである。また、酵素反応の検出に、加水
分解反応の生成物を用いることが多いが、この場合、生
成物として、検体中には含まれない物質(非内因性物
質)が生じるように基質を選択し、内因性の物質の影響
を受けないようにすることが望ましい。例えば、グリシ
ル−D−アラニン(Gly-D-Ala )、グリシル−D−セリ
ン(Gly-D-Ser )、グリシル ー D ー フェニルアラニン
(Gly-D-Phe )、グリシル−D−ロイシン(Gly-D-Leu
)、グリシルー D ー アスパラギン(Gly-D-Asn )、D
−ロイシル−L−ロイシン(D-Leu ーL-Leu )、D−ロ
イシル−D−ロイシン(D-Leu ー D-Leu )、D−ロイシ
ルー L−チロシン(D-Leu ー L-Tyr )、L-チロシル−D
−アルギニン(L-Tyr ー D-Arg)、D−ロイシルー グリ
シル−グリシン(D-Leu ー Gly-Gly )などのD−アミノ
酸を含む基質や、グリシルデヒドロフェニルアラニン
(Gly-dhー Phe )などの合成基質がある。好ましい基質
としては、Gly ー D-Ala,Gly-D-Ser,Gly-D-Leu,Gly-D-As
n,Gly-D-Phe などが挙げられる。
【0011】ジペプチダーゼの酵素活性を測定する方法
としては、ジペプチダーゼによる基質の水解産物を直接
測定してもよいが、該水解産物のいずれかを高感度かつ
特異的に検出できる系と組み合わせて、間接的に測定し
てもよい。例えば、D−アミノ酸が結合しているものを
基質として用いる場合で説明すると、加水分解生成物の
D−アミノ酸を免疫的に検出したり、D−アミノ酸をD
−アミノ酸酸化酵素(D−アミノ酸オキシダーゼやD−
アミノ酸脱水素酵素)を用いて酸化後、該反応の生成物
である過酸化水素(Analytical Biochemistry 226 p10-
14(1995)、アンモニア、補酵素の還元体などを介して検
出したり、D−アミノ酸をD−アミノ酸オキシダーゼで
酸化後、生成物のケト酸とヒドラジン誘導体をさらに化
学的に縮合反応させ、ケト酸のヒドラゾンとして検出し
たりすることができる。また、Gly-dhー Phe などの合成
基質を用いて、基質または生成物の吸光度の変化を直接
検出する方法などもある(Antimicrobial Agents and C
hemotherapy 22(1) p62-70(1982))。
【0012】尿中の成分は、一般に、尿量の影響を受け
ることから、1日分の尿を全て蓄積(蓄尿)して測定す
ることが多い。しかしながら、尿の蓄積は、患者への負
担が大きいことや、不安定な尿中成分の場合、安定に保
存するための工夫が必要など、検体の採取に問題があ
る。そこで、簡便に入手できる随時に採取した尿(随時
尿)検体を用いて尿中成分を測定し、蓄尿検体で測定し
た場合の値に近づける補正法が、色々工夫されてきた。
本発明のジペプチダーゼの尿量補正とは、この随時尿検
体での測定値を、蓄尿検体での測定値に近づけるための
方法である。具体的には、ジペプチダーゼを測定した同
一尿検体中のクレアチニン値、比重、浸透圧などを公知
の方法に従って測定し、これらの値とジペプチダーゼの
比、ジペプチダーゼ/クレアチニン値、ジペプチダーゼ
/比重、ジペプチダーゼ/浸透圧として補正される。特
にジペプチダーゼ/クレアチニン比を求めて尿量補正を
行なうのが好ましい。
【0013】本発明の検査方法を実施するにあたり、健
常者の少なくとも90%以上が正常と判断される範囲に
カットオフ値を設定し検査するのが好ましい。
【0014】
【実施例】実施例によって本発明を具体的に説明する
が、本発明がこれらの実施例のみによって限定されるも
のではない。
【0015】実験例1(生化学的なジペプチダーゼ活性
の測定) [尿検体の前処理]尿検体を、100倍量の塩化亜鉛1
0μMを含む25mMトリス塩酸緩衝液(pH7.9〜
8.1)で2〜3時間透析した。同様の透析操作をもう
一度繰り返して、透析尿を得た。また、透析前後での容
量の変化も測定し、透析での希釈を補正した。
【0016】[酵素活性の測定]ガラス製の試験管に、
500mMトリス塩酸緩衝液(pH7.9〜8.0)1
00μL、基質液[Gly-D-Ala 150mMを含む50m
Mトリス塩酸緩衝液(pH7.9〜8.0)]100μ
L、D−アミノ酸オキシダーゼ(ベーリガー社、ブタ腎
由来)98U/mLとFAD(フラビンアデニンジヌク
レオチド)20μMを含む50mMトリス塩酸緩衝液
(pH8.0)20μL、カタラーゼ(シグマ社)2.
5mg/mLを含む12.5mMトリス塩酸緩衝液(p
H7.9)10μL、333μMのFAD30μL、蒸
留水140μL、透析尿100μLを加え、37℃で3
0分間反応させた。同時に、基質液を蒸留水に置き換え
た「検体ブランク」と、基質液と尿検体の両方を蒸留水
で置き換えた「セルブランク」も調製し、同様に反応さ
せた。これらの反応液に、25%のトリクロル酢酸20
0μLを添加撹拌して反応を止め、遠心分離して上清液
を得た。エッペンチューブに、この遠心上清液500μ
L、2%濃度の2,4−ジニトロフェニルヒドラジンの
2M塩酸溶液100μLを加え、30〜37℃で15分
間反応させた後、3.75M水酸化ナトリウム溶液40
0μLを添加撹拌し、室温で5分間放置後、「セルブラ
ンク」を対照として「検体」及び「検体ブランク」の4
45nmにおける吸光度を測定した。
【0017】[酵素活性の計算] 2.8:ヒドラゾン化の希釈倍率 5:酵素反応溶液中での透析尿の希釈倍率 30:酵素反応の時間 16.69×10-3:ピルビン酸のヒドラゾンのマイク
ロモル吸光係数
【0018】実験例2(各種アミノペプチダーゼ活性の
測定) 石英セルに、検体20μLと100mMリン酸緩衝液
(pH7.0)800μLを加えて攪拌後、分光光度計
の恒温装置付きセルホルダーにセットして、37℃で3
分間保持して高温化した。このセルに、さらに、20m
M濃度の基質溶液200μLを添加し、3分後から4分
間の415nmにおける吸光度の変化を測定した。酵素
活性の計算には、基質の加水分解により生成したp−ニ
トロアニリンのモル吸光係数を用い、p−ニトロアニリ
ンの生成速度μmol/分を1単位(U)とした。ここ
では、基質としてロイシル−p−ニトロアニリド(Leu-
pNA)、アラニル−p−ニトロアニリド(Ala-pNA )、
グリシル−p−ニトロアニリド(Gly-pNA )を使用し
た。
【0019】また、S−ベンジルシスチル−p−ニトロ
アニリド(Cys(Bzl)-pNA)を基質とする場合 には、検
体20μLとTween20を0.6%含む100mM
リン酸緩衝液(pH7.0)900μLを加えて攪拌
後、分光光度計の恒温装置付きセルホルダーにセットし
て、 37℃で3分間保持して高温化した。このセル
に、さらに、5mM濃度の基質溶液100μLを添加
し、3分後から4分間の415nmにおける吸光度の変
化を測定した。
【0020】比較例 健常者、肝疾患患者、妊婦の血清、健常者の尿、ブタ腎
由来の精製ジペプチダーゼを検体として、実験例2の方
法を用い、 Leu-pNA(ロイシンアミノペプチダーゼに対
する基質)、Ala-pNA (アラニンアミノペプチダーゼに
対する基質)、Gly-pNA 、Cys(Bzl)-pNA(シスチンアミ
ノペプツダーゼに対する基質)に対するペプチダーゼ活
性を測定し、その結果を図2〜5に示した。
【0021】実施例1 比較例1と同じ健常者、肝疾患患者、妊婦の血清、健常
者の尿、ブタ腎由来の精製ジペプチダーゼを検 体とし
て、実験例1の方法でジペプチダーゼ活性(Gly-D-Ala
)を測定し、その結果を図1に示した。
【0022】図1〜5から明らかなように、ブタ腎由来
の精製ジペプチダーゼ(22,800U /L)は Gly
-D-Alaのみを加水分解し、アミノペプチダーゼ類の基質
Leu-pNA、Ala-pNA 、Gly-pNA 、Cys(Bzl)-pNAには作用
しなかった。また、Leu-pNA、Ala-pNA 、Cys(Bzl)-pNA
に高い活性を示した肝疾患患者と妊婦の血清では、ジペ
プチダーゼ活性をほとんど示さず、実験例1がジペプチ
ダーゼに特異性的な測定系であることが分かる。
【0023】実施例2 実験例1の方法で、健常者、糖尿病患者(糖尿病性腎症
を含む)、腎症患者の尿中ジペプチダーゼ活性を測定し
た。併せて、同一尿検体中のクレアチニン値を測定して
尿量を補正(ジペプチダーゼ/クレアチニン比)した。
また、同じ日に採取した血清を用いてクレアチニン値を
測定した。図6には、疾患別のジペプチダーゼ/クレア
チニン比を、図7には、血清クレアチニンで群別したジ
ペプチダーゼ/クレアチニン比を示した。
【0024】図6から、尿中ジペプチダーゼは、腎疾患
で著しく低下していることが分かる。杉浦ら は、L−
アラニル−L−アラニン(L-Ala-L-Ala )を基質として
用い、ジペプチダーゼ活性を測定しているが、腎疾患患
者で上昇するという該実施例と全く逆の結論得ている
(J. B iochem. 96 p1-8(1984) )。これは、用いてい
る基質の L-Ala-L-Alaが、ジペプチダーゼよりも、ジペ
プチダーゼ以外のペプチダーゼで強く加水分解されてい
るためである(The Journal of Biological Che-mistry
257(11) p6322-6327(1982) )。
【0025】また、図7は、腎疾患の程度を血清クレア
チニン値で群別したものであるが、正常群(血清クレア
チニン値1.5mg/dL未満)のジペプチダーゼ/ク
レアチニン比のカットオフ値を14(平均−2SD)と
すると、腎異常群(血清クレアチニン値1.5mg/d
L以上)の78%を陽性と識別しており、ジペプチダー
ゼの低下が、腎疾患の良好なマーカーとなっていること
を示している。
【0026】
【発明の効果】尿中のジペプチダーゼ活性を選択的に測
定し、その値の低下の程度から、腎疾患患者を効果的に
診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブタ腎由来精製ジペプチダーゼ、及び、健常者
血清、肝疾患患者血清、妊婦血清、健常者尿に含まれる
ペプチダーゼ群に対する基質(Gly-D-Ala) の反応性を示
す。
【図2】ブタ腎由来精製ジペプチダーゼ、及び、健常者
血清、肝疾患患者血清、妊婦血清、健常者尿に含まれる
ペプチダーゼ群に対する基質(Leu-pNA) の反応性を示
す。
【図3】ブタ腎由来精製ジペプチダーゼ、及び、健常者
血清、肝疾患患者血清、妊婦血清、健常者尿に含まれる
ペプチダーゼ群に対する基質(Ala-pNA) の反応性を示
す。
【図4】ブタ腎由来精製ジペプチダーゼ、及び、健常者
血清、肝疾患患者血清、妊婦血清、健常者尿に含まれる
ペプチダーゼ群に対する基質(Gly-pNA) の反応性を示
す。
【図5】ブタ腎由来精製ジペプチダーゼ、及び、健常者
血清、肝疾患患者血清、妊婦血清、健常者尿に含まれる
ペプチダーゼ群に対する基質(Cys(Bzl)-pNA)の反応性を
示す。
【図6】健常者、糖尿病患者(糖尿病性腎症を含む)及
び腎症患者尿中のジペプチダーゼ活性を示す。
【図7】図2と同一群を、腎疾患の指標である血清クレ
アチニン値で2群に分類し、そのジペプ チダーゼ活性
示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】尿検体中のジペプチダーゼを定量すること
    を特徴とする腎疾患の検査方法。
  2. 【請求項2】ジペプチダーゼの定量方法が、ジペプチダ
    ーゼに選択性の高い基質を用いて、ジペプチダーゼの酵
    素活性を測定する方法である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】ジペプチダーゼの尿量補正を行うステップ
    を含む請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】グリシル−D−アラニンを基質として尿検
    体中のジペプチダーゼ活性を定量し、同時に測定した該
    尿検体中のクレアチニン値で除してジペプチダーゼ/ク
    レアチニン比を求めることを特徴とする腎尿細管異常の
    検査方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5481662B2 (ja) * 2006-06-28 2014-04-23 国立大学法人 熊本大学 腎臓・泌尿器疾患の診断方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5481662B2 (ja) * 2006-06-28 2014-04-23 国立大学法人 熊本大学 腎臓・泌尿器疾患の診断方法

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