JPH09279519A - 橋板構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 橋板と床版とを同一平面に保持するととも
に、床版と橋板との相対移動を円滑に行えるようにした
橋板構造を提供する。 【解決手段】 相隣接する床版１間に掛け渡される橋板
構造であって、橋板２の両端には伸縮性踏み板３が一体
に設けられるとともに、床版１には、その上面とこれに
載置される踏み板３の上面とを連続した平坦面とするた
めに踏み板３の厚さで窪ませた段部１ａが形成され、踏
み板３は、多数の小ブロック同士をこれらに形成した長
孔にピンを遊嵌して互いに相対移動自在に連結して構成
されるとともに、その端部が段部１ａに連結固定され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、相隣接する建物
などの床版間に掛け渡され、両建物の床版同士を結ぶた
めの橋板構造の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】独立して構築された相隣接する建物の床
版同士を連続的に結ぶためには、橋板（渡り板とも言
う）などを掛け渡すことによって、両建物の固有振動の
相違を考慮したフレキシビリテイを確保しつつ、両建物
の床版同士を連続させるようにしている。これら橋板に
は、図７に示す各種タイプがある。

【０００３】すなわち、図７（ａ）に示すように、一端
がそれぞれ各床版１の端部に回動可能に支持され、かつ
他端同士を互いに移動可能に重ね合わせるタイプの橋板
ａや、（ｂ）に示すように、一端を一方の床版１の端部
に回動可能に固定し、他端を他方の床版１の端部上面に
設置するタイプの橋板ｂ、（ｃ）に示すように、両端を
各床版１の端部上面に設置しただけの橋板ｃなどがあ
り、いずれもこれらは鋼板により構成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の橋板
構造にあっては、橋板が床版上面に対して相対移動する
際の摩擦を軽減するために、床版上面に載置されるその
端部をテーパ形状に処理していて、これにより上記摩擦
の軽減を確保しつつ橋板を床版上面に滑らかに連続させ
るようにしているが、このような形状の場合には、車椅
子などにより橋板を通過する際に、このテーパ形状の段
差部分を乗り越えるのが難儀であったり、また、高齢者
や段差に気づかない人はこの段差部分に躓くおそれがあ
った。

【０００５】このようなことを考慮して、床版の橋板載
置面には橋板の厚みで窪ませて段差を形成しておき、橋
板をこの段差内に収めるようにすれば、床版と橋板とを
同一平面に保つことができ、歩行安全性を確保できる
が、このような構造の場合、地震時に橋板の端部が床版
の段差の端面に衝突してしまい、この部分の破損や、橋
板の床版上への乗上げ、あるいは床版からの脱落などの
不具合が生じるおそれがある。

【０００６】この発明は、以上の問題を解決するもので
あり、その目的は、橋板と床版とを同一平面に保持する
とともに、床版と橋板との相対移動を円滑に行えるよう
にした橋板構造を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
め、本発明は、相隣接する床版間に掛け渡される橋板構
造であって、橋板の両端には伸縮性踏み板が一体に設け
られるとともに、上記床版には、その上面とこれに載置
される上記踏み板の上面とを連続した平坦面とするため
に該踏み板厚さで窪ませた段部が形成され、上記踏み板
は、多数の小ブロック同士をこれらに形成した長孔にピ
ンを遊嵌して互いに相対移動自在に連結して構成される
とともに、その端部が上記段部に連結固定されることを
特徴とする。

【０００８】以上の構成によれば、橋板及び伸縮性踏み
板と床版とは同一平面にあり、この部分を通過する人の
歩行安全性を確保できる。また地震などにより両床版が
相対変位して隙間間隔が拡縮する際には、多数の小ブロ
ック同士において遊嵌状態にあるピンと長孔とが相対移
動してその累積が床版の変位に応じて伸縮性踏み板を伸
縮させることとなり、橋板機能を維持しながら、床版に
損傷を与えることなく両床版間の拡縮変位を吸収するよ
うになっている。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、この発明の好ましい実施の
形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図
１、２は、この発明にかかる橋板２を備えた床版１同士
の接続部分を示すものである。

【００１０】図において、所定の間隔ｄをおいて対向す
る床版１の先端部上面には、後述する伸縮性踏み板３の
厚さで窪ませた段部１ａが形成され、この段部１ａには
当該伸縮性踏み板３が載置される。段部１ａの上面に
は、滑らかな面を形成する鋼板材１９などが敷設され
る。

【００１１】橋板２の両端部には伸縮性踏み板３が一体
的に取り付けられ、段部１ａ上に橋板２とともに設置さ
れている。

【００１２】踏み板３は、図３、４に示すように、一端
側を半円状に膨出させ、他端側を半円状に窪ませて形成
した合成樹脂製等の軽量で剛強な複数の小ブロック３ａ
と、各小ブロック３ａの側面を貫通して開口された前後
一対の長孔３ｂと、各長孔３ｂに挿通されて小ブロック
３ａ同士を連結するピン４とからなっていて、踏み板３
全体としては、左右に隣り合う小ブロック３ａ同士が相
前後するようにそれぞれの前部側長孔３ｂ及び後部側長
孔３ｂにピン４を挿通することで、これら多数の小ブロ
ック３ａを煉瓦積み状に連結した形態に構成されてい
て、前後方向には例えば３０個ほど連ねてあり、また左
右方向には橋板２の幅寸法に応じて組み付けられてい
る。

【００１３】従って、この踏み板３は左右方向には拘束
されるが、前後方向には長孔３ｂとピン４の隙間分だけ
伸縮可能であって、これにより踏み板３全体が伸縮可能
な構造となっている。なお、各小ブロック３ａそれぞれ
における相対移動可能量は例えばせいぜい５ｍｍと小さ
く、車椅子の走行や歩行の障害とはならないようになっ
ている。しかしながら、たとえ一つの小ブロック３ａで
の相対移動可能量が５ｍｍ程度であっても、３０個並べ
ると１５０ｍｍの伸縮代を得られることになる。

【００１４】そしてこのように構成された踏み板３の端
部は、段部１ａの垂直端面に設けた軸１ｂに連結され、
これによって段部１ａ上での全体的移動が規制され、伸
縮動作のみが生じるようになっている。従って、橋板２
が左右方向に移動する際、踏み板３は伸縮するものの全
体が移動することはないので、床版１に衝突することは
ない。

【００１５】設置状態では橋板２の上面は床版１と同一
面であり、さらにこの上面をタイルカーペットで覆うこ
とによって、橋板２の接続部分の各床版１に対する外見
的な連続性ももたせている。

【００１６】さらに、各床版１の先端部垂直面には固定
板６が一体に設けられている。この固定板６の中央には
床版１の先端部に沿って凹溝６ａが形成され、この凹溝
６ａには補強体７の端部が係合されている。

【００１７】補強体７は、図３、４に示すように、橋板
２の下部中央位置に回転可能に枢止される上下一対のス
リーブ８と、各スリーブ８の外周の１８０°対向位置に
一体に突設された支持アーム９と、各スリーブ８の間の
窪み内に配置されて各スリーブ８を逆回り方向に回転付
勢するバネ１０を備えている。

【００１８】各支持アーム９の先端にはボス部９ａが一
体化され、このボス部９ａには前記凹溝６ａの内奥部に
接するガイド１１がボルト、ナットなどからなる取付け
具１２を介して一体に組付けられるようになっている。

【００１９】ガイド１１には、それぞれ縦型ローラ１１
ａ、及び下部ローラ１１ｂが回転可能に枢止され、縦型
ローラ１１ａは凹溝６ａの内奥部に、また下部ローラ１
１ｂは凹溝６ａの底面に対して転動するようにしてい
る。なお、このようなガイド１１に替るものとして支持
アーム９の先端を低摩擦部材で構成しても良い。

【００２０】そして、各スリーブ８の組立状態でその中
央に挿通されるボルト１４によって補強体７は、橋板２
の下部中央位置に回動可能に枢止され、各支持アーム９
がＸ字型に交差した状態でその先端のガイド１１が凹溝
６ａ内に係合支持され、さらにバネ１０の付勢力で支持
アーム９がこれら床版１間で展開されることによって、
常時橋板２の中央位置が両床版１の中間位置に保持され
るとともに、橋板２上に加わる荷重を、補強体７を介し
て凹溝６ａ側に伝達することができて当該橋板２を補強
できるようになっている。

【００２１】この状態から床版１同士の相対変位により
隙間間隔が拡縮すると、各橋板２は、ピン４と長孔３ｂ
の遊嵌構成から得られる多数の小ブロック３ａでの相対
移動量の累積による伸縮性踏み板３の伸縮によって床版
１に対して相対移動するとともに、バネ１０の付勢力に
応じて支持アーム９はその開き具合が拡大縮小されつつ
その変位に追随し、橋板２の中央位置を両床版１間の中
央位置に移動させ保持する。

【００２２】これにより、地震その他により床版１同士
が相対的に移動しても自動的に橋板２は隙間の中央位置
に保持されるため、橋板２にずれや脱落を生ずることが
なく、両床版１間の接続を確実に維持できることにな
る。

【００２３】そして特に、橋板２及び伸縮性踏み板３と
床版１とを同一平面とすることができるので、この部分
を通過する人の歩行安全性を確保できる。また地震など
により両床版１が相対変位して隙間間隔が拡縮する際に
は、上述したように伸縮性踏み板３が伸縮することとな
り、橋板機能を維持しながら、床版１に損傷を与えるこ
となく両床版１間の拡縮変位を吸収できる。

【００２４】

【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明にかかる橋板構造にあっては、橋板の両端に伸縮性踏
み板を一体に設けるとともに、床版には、その上面とこ
れに載置される踏み板の上面とを連続した平坦面とする
ために踏み板厚さで窪ませた段部を形成し、特に踏み板
については、多数の小ブロック同士をこれらに形成した
長孔にピンを遊嵌して互いに相対移動自在に連結して構
成するとともに、その端部を段部に連結固定して構成し
たので、橋板及び伸縮性踏み板と床版とを同一平面とす
ることができて、この部分を通過する人の歩行安全性を
確保することができるとともに、地震などにより両床版
が相対変位して隙間間隔が拡縮する際には、多数の小ブ
ロック同士において遊嵌状態にあるピンと長孔とが相対
移動しその累積により伸縮性踏み板が伸縮して、橋板機
能を維持しながら床版に損傷を与えることなく、両床版
間の拡縮変位を吸収することができ、このように橋板を
床版とを同一平面に保持しつつ、床版と橋板との円滑な
相対移動を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかる橋板構造を示す部分平面図で
ある。

【図２】図１の断面図である。

【図３】伸縮性踏み板の詳細を示す分解斜視図である。

【図４】伸縮性踏み板と床版の段部との関係を示す部分
拡大断面図である。

【図５】補強体のスリーブとバネとの取り付け関係を示
す分解斜視図である。

【図６】補強体の組立構造を示す分解斜視図である。

【図７】（ａ）〜（ｃ）は従来の橋板の構造例を示す断
面図である。

【符号の説明】

１ 床版 １ａ 段部 ２ 橋板 ３ 伸縮性踏み板 ３ａ 小ブロック ３ｂ 長孔 ４ ピン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 相隣接する床版間に掛け渡される橋板構
   造であって、橋板の両端には伸縮性踏み板が一体に設け
   られるとともに、上記床版には、その上面とこれに載置
   される上記踏み板の上面とを連続した平坦面とするため
   に該踏み板厚さで窪ませた段部が形成され、上記踏み板
   は、多数の小ブロック同士をこれらに形成した長孔にピ
   ンを遊嵌して互いに相対移動自在に連結して構成される
   とともに、その端部が上記段部に連結固定されることを
   特徴とする橋板構造。